【文献】
Journal of Photopolymer Science and Technology,1996年,Vol.9,No.1,1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2ブロックが、非置換若しくは置換スチレン単位からなるポリスチレンブロック又は(メタ)アクリル酸エステル単位からなるポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックである請求項1に記載のパターン形成用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<パターン形成用組成物>
本発明のパターン形成用組成物は[A]ブロック共重合体及び[B]溶媒を含有する。当該パターン形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、界面活性剤等の任意成分を含有していてもよい。当該パターン形成用組成物により、基板の上面側に自己組織化による相分離構造を有する膜(自己組織化膜)を形成し、この自己組織化膜の一部の相を除去することにより、パターンを形成することができる。
以下、各成分について説明する。
【0014】
<[A]ブロック共重合体>
[A]ブロック共重合体は、自己組織化により相分離構造を形成し得るブロック共重合体であって、ブロック(a)とブロック(b)とを有する。上記ブロックのそれぞれは1種類の単量体に由来する繰り返し単位の連鎖構造からなる。このような複数のブロックを有する[A]ブロック共重合体は、加熱等により、同じ種類のブロック同士が凝集し、同種のブロックからなる相を形成する。このとき異なる種類のブロックから形成される相同士は互いに混ざり合うことがないため、異種の相が周期的に交互に繰り返される秩序パターンを有する相分離構造を形成することができると推察される。
【0015】
当該パターン形成用組成物は、[A]ブロック共重合体がブロック(a)とブロック(b)とを有し、ブロック(a)の繰り返し単位(I)におけるケイ素原子数及び構成する原子の原子量の総和をそれぞれ上記特定範囲とすることで、相分離時間及び塗布性を維持しつつ、十分に微細なパターンを形成することができる。当該パターン形成用組成物が上記構成を有することで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、ブロック(a)の疎水性と嵩高さとを共に適度な範囲とすることにより、ブロック(a)とブロック(b)との物性の差が適度となり、その結果、相分離速度、塗布性及びパターン形成性を共に高めることができること等が考えられる。
【0016】
[A]ブロック共重合体は、ブロック(a)を1種又は複数種有していてもよく、ブロック(b)を1種又は複数種有していてもよい。
【0017】
[A]ブロック共重合体としては、例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、テトラブロック共重合体等が挙げられる。これらの中で、所望の微細なパターンをより容易に形成できるという観点から、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体が好ましく、ジブロック共重合体がより好ましい。
また、[A]ブロック共重合体は、上記ブロック間に連結基を有していてもよい。
以下、各ブロックについて説明する。
【0018】
[ブロック(a)]
ブロック(a)は、繰り返し単位(I)からなる。この繰り返し単位(I)は、2個以上のケイ素原子を含み、かつ構成する原子の原子量の総和が700以下である。
【0019】
繰り返し単位(I)が有するケイ素原子数の下限としては、2であり、3が好ましく、4がより好ましい。ケイ素原子数の上限としては、15が好ましく、10がより好ましく、7がさらに好ましい。
ケイ素原子数が1であると、ブロック(a)とブロック(b)との物性の差が小さくなると考えられ、相分離が不十分となり、十分に微細なパターンを形成できない。逆に、ケイ素原子数が上記上限を超えても、ブロック(a)とブロック(b)との物性の差が大きくなり過ぎると考えられ、十分に微細なパターンは形成し難くなる。
【0020】
繰り返し単位(I)の原子量の総和の上限としては、700であり、600が好ましく、500がさらに好ましく、450が特に好ましい。上記原子量の総和の下限としては、70が好ましく、100がより好ましく、200がさらに好ましく、300が特に好ましい。
上記原子量の総和が上記下限未満だと、[A]ブロック共重合体の相分離時間が長くなる傾向にある。逆に、上記原子量の総和が上記上限を超えると、相分離により形成されるパターンの形状が悪化する。
【0021】
繰り返し単位(I)におけるケイ素原子の位置としては、主鎖中でもよく、側鎖中でもよいが、側鎖が好ましい。繰り返し単位(I)におけるケイ素原子が側鎖に位置することで、当該パターン形成用組成物の塗布性がより向上する。
【0022】
繰り返し単位(I)としては、下記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I−1)」ともいう)が好ましい。
【0024】
上記式(1)中、R
1は、水素原子又はメチル基である。R
2は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、−SiR’
3、−Si
2R’
5若しくは−OSiR’
3であるか、又はこれらが互いに合わせられこれらが結合するケイ素原子と共に構成される環員数3〜10の環構造を表す。R’は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。但し、R
3、R
4及びR
5のうちの少なくともいずれかは−SiR’
3、−Si
2R’
5又は−OSiR’
3である。R
3、R
4及びR
5が有する炭素原子数の総和は20以下である。
【0025】
R
1としては、繰り返し単位(I−1)を与える単量体の共重合性の観点から、メチル基が好ましい。
【0026】
R
2で表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0027】
上記2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロピンジイル基等のアルキンジイル基等が挙げられる。
【0028】
上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等のシクロアルカンジイル基;
シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基等のシクロアルケンジイル基等が挙げられる。
【0029】
上記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、ナフタレンジイル基等のアレーンジイル基;
ベンゼンジイルメタンジイル基、ベンゼンジイルエタンジイル基等のアレーンジイルアルカンジイル基等が挙げられる。
【0030】
R
2としては、2価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましく、炭素数2〜4のアルカンジイル基がさらに好ましく、プロパンジイル基が特に好ましい。
【0031】
R
3、R
4及びR
5で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの基としては、上記R
2の2価の炭化水素基として例示した基に1個の水素原子を加えたもの等が挙げられる。
これらの中で、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0032】
−SiR’
3、−Si
2R’
5及び−OSiR’
3のR’で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、上記R
3、R
4及びR
5で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記R’としては、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0033】
上記R
3、R
4及びR
5の基が互いに合わせられこれらが結合するケイ素原子と共に構成される環員数3〜10の環構造としては、例えば、2〜5個の−Si−O−を含む環構造等が挙げられる。
【0034】
上記R
3、R
4及びR
5が有する炭素原子の数の総和としては、20以下であり、18以下が好ましい。
【0035】
繰り返し単位(I−1)としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−12)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I−1−1)〜(I−1−12)」ともいう)等が挙げられる。
【0037】
上記式(1−1)〜(1−12)中、R
1は、上記式(1)と同義である。
【0038】
繰り返し単位(I)としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−8)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I−2−1)〜(I−2−8)」ともいう)等も挙げられる。
【0040】
上記式(2−1)〜(2−4)中、R
6は、水素原子又はメチル基である。
上記式(2−5)中、R
7は、水素原子又はメチル基である。
【0041】
繰り返し単位(I)としては、繰り返し単位(I−1−1)〜(I−1−4)が好ましい。
【0042】
<ブロック(b)>
ブロック(b)は、繰り返し単位(II)からなる。この繰り返し単位(II)は、ケイ素原子を含まない繰り返し単位である。
【0043】
上記ブロック(b)としては、例えば、ポリスチレンブロック、ポリ(メタ)アクリル酸エステルブロック、ポリビニルアセタール系ブロック、ポリウレタン系ブロック、ポリウレア系ブロック、ポリイミド系ブロック、ポリアミド系ブロック、エポキシ系ブロック、ノボラック型フェノールブロック、ポリエステル系ブロック等が挙げられる。
【0044】
ブロック(b)しては、相分離構造の形成し易さ及び相の除去し易さの観点から、ポリスチレンブロック、ポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックが好ましい。
【0045】
上記ポリスチレンブロックは、繰り返し単位(II)が非置換又は置換スチレン単位である。この非置換又は置換スチレン単位を与える単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン;o−、m−又はp−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、o−、m−又はp−ビニルスチレン等の電子供与性基置換スチレン;o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン、m−又はp−クロロメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−ヨードスチレン、p−ニトロスチレン、p−シアノスチレン等の電子求引性基置換スチレンなどの置換スチレンが挙げられる。これらの単量体は、2種以上の混合物であっても良い。
これらの中で、自己組織化による相分離をより良好に行う観点からは、電子供与性基置換スチレンが好ましく、p−t−ブチルスチレンがより好ましい。また、重合反応をより安定的に行う観点からは、電子求引性基置換スチレンが好ましく、m−又はp−クロロメチルスチレンがより好ましい。
【0046】
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックは、繰り返し単位(II)が(メタ)アクリル酸エステル単位である。この(メタ)アクリル酸エステル単位を与える単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−メチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−1−イル)プロピル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、(メタ)アクリル酸3−グリシジルプロピル等の(メタ)アクリル酸置換アルキルエステルなどが挙げられる。
これらの単量体は、2種以上の混合物であっても良い。
【0047】
ブロック(b)を、ポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックとすると、より欠陥の少ないパターンを形成することができる。これは、(メタ)アクリル酸エステルは、アニオン重合反応等をより安定的に進行させることができるため、ブロック(b)のみからなる重合体の生成が抑制され、その結果、得られる[A]ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の値をより小さくすることができるためと考えられる。また、ブロック(b)をポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックとすることで、当該パターン形成用組成物の塗布性及び自己組織化膜のエッチング選択性を共に向上させることができ、その結果、パターン形成性及びパターン形成後のパターン高さを共に向上させることができる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステル単位を与える単量体としては、パターン形成性及びパターン形成後のパターン高さがより向上する観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
【0048】
[A]ブロック共重合体における繰り返し単位(I)の繰り返し単位(II)に対する含有割合のモル比((I)/(II))としては、所望するラインスペースパターンのライン/スペース幅比、コンタクトホールパターン又はシリンダーパターンの寸法等に応じて適宜選択できるが、より微細かつ良好なパターンを形成できる観点から、ラインアンドスペースパターンを形成する場合は、20/80以上80/20以下が好ましく、35/65以上65/35以下がより好ましい。また、コンタクトホールパターン又はシリンダーパターンを形成する場合は、10/90以上90/10以下が好ましく、20/80以上80/20以下がより好ましい。
【0049】
<連結基>
[A]ブロック共重合体は、ブロック(a)及びブロック(b)のうちの隣り合うブロックの間に、連結基を有していてもよい。[A]ブロック共重合体が連結基を有することで、相分離性が向上し、また形成されるパターンがより微細化できる場合がある。
このような連結基としては、例えば、炭素数1〜50の2価の有機基等が挙げられる。
上記連結基を与える単量体としては、例えば、ジフェニルエチレン等が挙げられる。ジフェニルエチレン等は、[A]ブロック共重合体をアニオン重合で合成する際に、途中で生成するアニオン末端を安定化させることができ、その結果、得られる[A]ブロック共重合体の分散度をより小さくすることができ、形成されるパターンの寸法のばらつきを小さくすることができる。[A]ブロック共重合体は、連結基を1種又は2種以上有していてもよい。
【0050】
<[A]ブロック共重合体の合成方法>
[A]ブロック共重合体は、例えば、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、配位重合(チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒)等によって合成することができ、例えば、ブロック(a)及びブロック(b)を所望の順で重合しながら連結することにより合成することができる。これらの中で、パターンの形状を向上させる観点から、リビングアニオン重合がより好ましい。
【0051】
[A]ブロック共重合体をアニオン重合で合成する場合、例えば、ブロック(a)及びブロック(b)からなるジブロック共重合体を合成する場合は、まずアニオン重合開始剤を使用して、適当な溶媒中で、例えば、ブロック(a)を与える単量体を重合することによりブロック(a)を形成する。次に、ブロック(b)を与える単量体を同様に添加し、上記ブロック(a)に繋げてブロック(b)を形成する。ブロック(a)とブロック(b)との間に、ジフェニルエチレン等の反応により、連結基を形成させることもできる。
【0052】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記重合における反応温度は、開始剤の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常−150℃〜50℃であり、−80℃〜40℃が好ましい。反応時間としては、通常5分〜24時間であり、20分〜12時間が好ましい。
【0054】
上記重合に使用される開始剤としては、例えばアルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、ナフタレンナトリウム、アルキル化ランタノイド系化合物;t−ブトキシカリウム、18−クラウン−6−エーテルカリウム等のカリウムアルコキシド;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等のアルキル亜鉛;トリメチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ベンジルカリウム、クミルカリウム、クミルセシウム等の芳香族系金属化合物などが挙げられる。これらのうち、モノマーとしてスチレン、メタクリル酸メチルを使用して重合する場合には、アルキルリチウム化合物を用いることが好ましい。
【0055】
上記[A]ブロック共重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち反応終了後、反応液を再沈溶媒に投入することにより、目的の共重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類、超純水、アルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して重合体を回収することもできる。
【0056】
[A]ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、5,000〜80,000が好ましく、8,000〜70,000がより好ましく、10,000〜50,000がさらに好ましい。[A]ブロック共重合体のMwを上記範囲とすることで、当該パターン形成用組成物は、より十分に微細なパターンを形成することができる。
【0057】
[A]ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)としては、4,500〜70,000が好ましく、7,000〜60,000がより好ましく、9,000〜40,000がさらに好ましい。[A]ブロック共重合体のMnを上記範囲とすることで、当該パターン形成用組成物は、より十分に微細なパターンを形成することができる。
【0058】
[A]ブロック共重合体の分散度(Mw/Mn)としては、通常1〜5であり、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1〜1.5がさらに好ましく、1〜1.2が特に好ましく、1〜1.1がさらに特に好ましい。分散度を上記範囲とすることで、当該パターン形成用組成物は、さらに十分に微細なパターンを形成することができる。
【0059】
なお、Mw及びMnは、GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、試料濃度1.0質量%、試料注入量100μm、カラム温度40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものである。
【0060】
[A]ブロック共重合体の含有量としては、当該パターン形成用組成物中の全固形分に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
【0061】
<[B]溶媒>
当該パターン形成用組成物は、[B]溶媒を含有する。[B]溶媒は、少なくとも[A]ブロック共重合体を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
【0062】
[B]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0063】
アルコール系溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0064】
エーテル系溶媒としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0065】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0066】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒等が挙げられる。
【0067】
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
【0068】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0069】
これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、エステル系溶媒がより好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒がさらに好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。当該パターン形成用組成物は、[B]溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0070】
<任意成分>
当該パターン形成用組成物は、[A]ブロック共重合体及び[B]溶媒以外にも任意成分を含有していてもよい。上記任意成分としては、例えば、界面活性剤等が挙げられる。当該パターン形成用組成物は、界面活性剤を含有することで、基板等への塗布性を向上させることができる。
【0071】
<パターン形成方法>
当該パターン形成方法は、自己組織化膜形成工程及び除去工程を備える。当該パターン形成方法は、上記自己組織化膜形成工程の前に、基板の上面側に下層膜を形成する工程(以下、「下層膜形成工程」ともいう)及び/又は上記基板の上面側にプレパターンを形成する工程(以下、「プレパターン形成工程」ともいう)をさらに備えていてもよい。
以下、各工程について図面を参照しつつ説明する。
【0072】
[下層膜形成工程]
本工程は、基板の上面側に下層膜を形成する工程である。これにより、
図1に示すように、基板101上に下層膜102が形成された下層膜付き基板を得ることができ、自己組織化膜はこの下層膜102上に形成される。自己組織化膜が有する相分離構造(ミクロドメイン構造)は、当該パターン形成用組成物が含有する[A]ブロック共重合体の各ブロック間の相互作用に加えて、下層膜102との相互作用によっても変化するため、下層膜102を有することで構造制御がより容易となる場合がある。さらに、自己組織化膜が薄膜である場合には、下層膜102を有することでその転写プロセスを改善することができる。
【0073】
上記基板101としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。
【0074】
上記下層膜の形成に用いられる下層膜形成用組成物としては、従来公知の有機下層膜形成材料等を用いることができ、例えば架橋剤を含む下層膜形成用組成物等が挙げられる。また、当該パターン形成用組成物は[A]ブロック共重合体がケイ素原子を含むので、下層膜形成用組成物として、ケイ素原子を含む重合体を含有する組成物も好ましく用いることができ、例えば、ケイ素原子含有構造単位を有する重合体、ポリシロキサン、ポリシロキサングラフト重合体等を含む下層膜形成用組成物等が挙げられる。
【0075】
上記下層膜102の形成方法は特に限定されないが、例えば、基板101上に下層膜形成用組成物をスピンコート法等の公知の方法により塗布した後、露光及び/又は加熱することにより硬化して形成する方法等が挙げられる。この露光に用いられる放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。また、上記加熱の温度としては、特に限定されないが、90℃〜550℃が好ましく、90℃〜450℃がより好ましく、90℃〜300℃がさらに好ましい。上記加熱の時間としては、5秒〜1,200秒が好ましく、10秒〜600秒がより好ましく、20秒〜300秒がさらに好ましい。上記下層膜102の膜厚は特に限定されないが、1nm〜20,000nmが好ましく、2nm〜1,000nmがより好ましく、3nm〜100nmがさらに好ましい。
【0076】
[プレパターン形成工程]
本工程は、プレパターンを形成するする工程である。このプレパターンは、基板上に形成してもよく、
図2に示すように上記下層膜形成工程で形成された下層膜101上に形成してもよい。上記プレパターン103によって塗膜104の自己組織化による相分離構造の形状が制御され、より微細なパターンの形成が可能となる。すなわち、当該パターン形成用組成物が含有する[A]ブロック共重合体が有するブロックのうち、プレパターンの側面と親和性が高いブロック(「ブロック(β)」とする)はプレパターンに沿って相105bを形成し、親和性の低いブロック(「ブロック(α)」とする)はプレパターンから離れた位置に相105aを形成する。これにより、形成されるパターンがより微細かつ良好になる。また、プレパターンの材質、サイズ、形状等により、当該パターン形成用組成物の相分離によって得られるパターンの構造を細かく制御することができる。なお、プレパターン103としては、最終的に形成したいパターンに合わせて適宜選択することができ、例えばラインアンドスペースパターン、ホールパターン、シリンダーパターン等を用いることができる。
【0077】
上記プレパターン103を形成する方法としては、公知のレジストパターン形成方法と同様の方法等が挙げられる。また、このプレパターン103の形成に用いられる組成物としては、酸解離性基を有する重合体、感放射線性酸発生剤及び有機溶媒を含有する組成物等の従来のレジスト組成物を用いることができる。具体的には、例えば、市販の化学増幅型レジスト組成物を基板101又は下層膜102上に塗布してレジスト膜を形成する。次に、上記レジスト膜の所望の領域に特定パターンのマスクを介して放射線を照射し、露光を行う。上記放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、X線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中で、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光が好ましく、ArFエキシマレーザー光がより好ましい。また、露光方法としては液浸露光を行うこともできる。次いでポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、アルカリ現像液、有機溶媒等の現像液を用いて現像を行い、所望のプレパターン103を形成することができる。得られたプレパターン103は、例えば、254nmの紫外線等を照射した後、100℃〜200℃で1分〜30分間加熱する処理により硬化をより促進させることが好ましい。
【0078】
なお、上記プレパターン103の表面を疎水化処理又は親水化処理してもよい。具体的な処理方法としては、水素プラズマに一定時間さらす水素化処理等が挙げられる。上記プレパターン103の表面の疎水性又は親水性を増長させることにより、塗膜104の自己組織化をより促進することができる。
【0079】
本工程は、パターン形成用組成物を用い、基板の上面側に相分離構造を有する自己組織化膜を形成する工程である。上記下層膜及びプレパターンを用いない場合には、基板上に直接当該パターン形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、相分離構造を備える自己組織化膜を形成する。また、上記下層膜及びプレパターンを用いる場合には、
図3に示すように、パターン形成用組成物をプレパターン103によって挟まれた下層膜102上の領域に塗布して塗膜104を形成し、この塗膜104の自己組織化により、基板101上に形成された下層膜102上に、相分離構造を備える自己組織化膜を形成する。形成される自己組織化膜としては、例えば、
図4における自己組織化膜105のように、基板101に対して略垂直な界面を有する相分離構造を備えるもの等が挙げられる。互いに不相溶な2種以上のブロックを有する[A]ブロック共重合体を含有するパターン形成用組成物を基板上に塗布し、アニーリング等を行うことで、同じ性質を有するブロック同士が集積して秩序パターンを自発的に形成する、いわゆる自己組織化を促進させることができる。これにより、海島構造、シリンダー構造、共連続構造、ラメラ構造等の相分離構造を有する自己組織化膜を形成することができる。シリンダー構造の相分離構造を有する自己組織化膜としては、
図7に示すように、マトリックス相105a’と、シリンダー状相105b’とを有し、シリンダー状相の対称軸が基板101’に対して略平行に配列した自己組織化膜105’等が挙げられる。特に、当該パターン形成用組成物を用いる場合、
図6のようにプレパターンの形成を要することなく塗膜104’を形成し、この塗膜104’を自己組織化することにより、
図7に示すように[A]ブロック共重合体のブロック(a)から形成されるシリンダー状相105b’と、ブロック(b)から形成されるマトリックス相105a’とを有する自己組織化膜105’を容易に形成することができる(ブロック(a)から形成される相は、自己組織化膜105’の表層部分にも形成される場合がある)。また、シリンダー構造の相分離構造を有する自己組織化膜としては、
図11に示すように、マトリックス相105a’と、シリンダー状相105b’とを有し、シリンダー状相の対称軸が基板101’に対して略垂直に配列した自己組織化膜105’も挙げられる。特に、当該パターン形成用組成物を用いる場合、プレパターンの形成を要することなく塗膜104’を形成し、この塗膜を自己組織化することにより、
図11に示すように[A]ブロック共重合体のブロック(b)から形成されるシリンダー状相105b’と、ブロック(a)から形成されるマトリックス相105a’とを有する自己組織化膜105’を容易に形成することができる。本工程において、当該パターン形成用組成物を用いることで相分離が起こり易くなるため、より微細な相分離構造(ミクロドメイン構造)を形成することができる。
【0080】
プレパターンを有する場合、この相分離構造はプレパターンに沿って形成されることが好ましく、相分離により形成される界面は、プレパターンの側面と略平行であることがより好ましい。例えば、
図4に示す相分離構造を形成する場合、プレパターン103と[A]ブロック共重合体のブロック(b)との親和性が高い場合には、ブロック(b)の相がプレパターン103に沿って直線状に形成され(105b)、その隣にブロック(a)の相(105a)及びブロック(b)の相(105b)がこの順で交互に配列するラメラ状相分離構造等を形成する。なお、本工程において形成される相分離構造は、複数の相からなるものであり、これらの相から形成される界面は基板に対して略垂直又は略平行であるが、界面自体は必ずしも明確でなくてよい。また、[A]ブロック共重合体分子における各ブロックの長さの比、[A]ブロック共重合体分子の長さ(重量平均分子量等)、下層膜、プレパターン等により、得られる相分離構造を精密に制御し、海島構造、シリンダー構造、共連続構造、ラメラ構造等の相分離構造を有する自己組織化膜を形成することができ、その結果、所望の微細パターンを得ることができる。
【0081】
当該パターン形成用組成物を基板の上面側に塗布して塗膜104を形成する方法は特に制限されないが、例えば使用される当該パターン形成用組成物をスピンコート法等によって塗布する方法等が挙げられる。これにより、当該パターン形成用組成物は、上記下層膜102上の上記プレパターン103間に充填される。
【0082】
上記塗膜を相分離させることにより自己組織化膜とする方法としては、例えば、アニーリングする方法等が挙げられる。
アニーリングの方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート等により通常80℃〜400℃、より好ましくは100℃〜350℃、さらに好ましくは150℃〜300℃の温度で加熱する方法等が挙げられる。アニーリングの時間としては、10秒〜120分が好ましく、20秒〜10分がより好ましく、30秒〜5分がさらに好ましい。ラメラパターンが形成される場合、アニーリングの時間をより長くすることにより、含まれるラインパターンの割合を高めることができる。得られる自己組織化膜105の膜厚としては、0.1nm〜500nmが好ましく、1nm〜100nmがより好ましく、5nm〜50nmがさらに好ましい。
【0083】
[除去工程]
本工程により、例えば、自己組織化により相分離した各相のエッチングレートの差などを用いて、例えば、
図4における自己組織化膜105から、
図5に示すように一部のブロック相105aが除去される。
図7における自己組織化膜105’から、
図8に示すように一部の相105a’が除去される。
図11における自己組織化膜105’から、
図12に示すように一部の相105b’が除去される。また、プレパターン103も、上記一部の相と同時又は別途、除去することができる。
図4における相分離構造のうちの一部の相105a及び後述するようにプレパターン103を除去した後の状態を
図5に示す。なお、上記エッチング処理の前に、必要に応じて放射線を照射してもよい。上記放射線としては、エッチングにより除去する相がポリメタクリル酸メチルブロック相である場合には、254nmの放射線を用いることができる。上記放射線照射により、ポリメタクリル酸メチルブロック相が分解されるため、よりエッチングされ易くなる。
【0084】
上記自己組織化膜105が有する相分離構造のうちの一部の相の除去の方法としては、例えばケミカルドライエッチング、ケミカルウェットエッチング等の反応性イオンエッチング(RIE);スパッタエッチング、イオンビームエッチング等の物理的エッチング等の公知の方法が挙げられる。これらのうち反応性イオンエッチング(RIE)が好ましく、中でもCF
4、O
2ガス等を用いたケミカルドライエッチング、有機溶媒、フッ酸等の液体のエッチング液を用いたケミカルウェットエッチング(湿式現像)がより好ましい。上記有機溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等のアルカン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ペンチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0085】
図7における自己組織化膜105’のうちのマトリックス相105a’を、CF
4、O
2ガス等を用いたケミカルドライエッチングによって除去することにより(但し、相105b’の下側の部分は除去されない)、
図8に示すように、ラインアンドスペースパターンを得ることができる。
図11における自己組織化膜105’のうちのシリンダー状相105b’をCF
4、O
2ガス等を用いたケミカルドライエッチングによって除去することにより、
図12に示すようにホールパターンを得ることができる。
【0086】
[プレパターン除去工程]
本工程は、
図4及び
図5に示すように、プレパターン103を除去する工程である。プレパターン103を除去することにより、より微細かつ複雑なパターンを形成することが可能となる。なお、プレパターン103の除去の方法については、相分離構造のうちの一部の相の除去の方法の上記説明を適用できる。また、本工程は、上記除去工程と同時に行ってもよいし、除去工程の前又は後に行ってもよい。
【0087】
[基板パターン形成工程]
当該パターン形成方法は、上記除去工程の後に、基板パターン形成工程をさらに有することが好ましい。本工程は、残存した自己組織化膜の一部(
図5における105bからなるパターン、
図8における105b’を含むパターン、
図12における105a’からなるパターン)をマスクとして、ケイ素原子含有膜及び基板をエッチングすることによりパターニングする工程である。基板へのパターニングが完了した後、マスクとして使用された相は溶解処理等により基板上から除去され、最終的に、パターニングされた基板(パターン)を得ることができる。この得られるパターンとしては、例えばラインアンドスペースパターン、ホールパターン等が挙げられる。上記エッチングの方法としては、上記除去工程と同様の方法を用いることができ、エッチングガス及びエッチング液は、ケイ素原子含有膜及び基板の材質により適宜選択することができる。例えば基板がシリコン素材である場合には、フロン系ガスとSF
4の混合ガス等を用いることができる。また、基板が金属膜である場合には、BCl
3とCl
2の混合ガス等を用いることができる。当該パターン形成方法により得られるパターンは半導体素子等に好適に用いられ、さらに上記半導体素子はLED、太陽電池等に広く用いられる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各物性値の測定方法を下記に示す。
【0089】
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0090】
[
13C−NMR分析]:
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−EX400」)を使用し、測定溶媒としてDMSO−d
6を使用して行った。重合体における各繰り返し単位の含有割合は、
13C−NMRで得られたスペクトルにおける各繰り返し単位に対応するピークの面積比から算出した。
【0091】
<重合体の合成>
[[A]ブロック共重合体の合成]
[A]ブロック共重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
【0092】
【化4】
【0093】
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
500mLのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン158gを注入し、−78℃まで冷却した。その後、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)の1Nシクロヘキサン溶液を1.28mL(1.24mmol)注入し、蒸留脱水処理を行ったスチレン(上記単量体(M−6))8.39g(80.56mmol、60モル%)と蒸留処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−65℃以上にならないように注意した。滴下終了後30分間熟成した後、塩化リチウムの0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液4.95mL(2.48mmol)及びジフェニルエチレン0.53mL(3.72mmol)を加え十分に撹拌したのち、蒸留脱水処理を行った3−トリス[(トリメチルシリロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(上記単量体(M−1))22.60g(53.45mmol、40モル%)を30分かけて滴下注入し、120分間熟成し、メタノール0.032g(1.00mmol)を加え、重合末端を停止させた。得られた樹脂溶液をメタノール中で沈殿精製を行い、濾過にて溶媒を除去することで白色固体を得た。
得られた白色固体をメチルイソブチルケトンに溶解させて10質量%溶液とし、1質量%のシュウ酸水溶液500gを注入撹拌し、静置後、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、Li塩を除去した後、超純水500gを注入して撹拌し、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返しシュウ酸を除去した後、溶液を濃縮した後メタノール2,000g中に滴下して、重合体を析出させた。減圧濾過した重合体をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥させることで、白色の重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)のMwは20,800、Mnは18,300、Mw/Mnは1.13であった。また、
1H−NMR分析の結果、(M−1)に由来する繰り返し単位及び(M−6)に由来する繰り返し単位の各含有割合はそれぞれ38モル%及び62モル%であった。
【0094】
[合成例2〜5]
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−4)及び(A−6)を合成した。得られた重合体のMw、Mn、Mw/Mn及び各繰り返し単位の含有割合について表1に合わせて示す。
【0095】
[合成例6](重合体(A−8)の合成)
500mLのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン168gを注入し、−78℃まで冷却した。その後、塩化リチウムの0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液6.00mL(2.98mmol)及びジフェニルエチレン0.63mL(4.48mmol)を加え十分に撹拌した。その後、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)の1Nシクロヘキサン溶液1.53mL(1.50mmol)を注入し、蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチル(上記単量体(M−7))14.8mL(134.4mmol、80モル%)と蒸留処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−65℃以上にならないように注意した。滴下終了後120分間熟成した後、3−トリス[(トリメチルシリロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(上記単量体(M−1)15.1mL(33.1mmol、20モル%)と蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入し、120分間熟成し、メタノール0.032g(1.00mmol)を加え、重合末端を停止させた。得られた樹脂溶液をメタノール中で沈殿精製を行い、濾過にて白色固体を得た。
得られた白色固体をメチルイソブチルケトンに溶解させて10質量%溶液とし、1質量%のシュウ酸水溶液500gを注入撹拌し、静置後、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、Li塩を除去した後、超純水500gを注入して撹拌し、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返しシュウ酸を除去した後、溶液を濃縮した後メタノール2,000g中に滴下して、重合体を析出させた。減圧濾過した重合体をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥させることで、白色の重合体(A−8)を得た。重合体(A−8)のMwは18,000、Mnは17,600、Mw/Mnは1.02であった。また、
1H−NMR分析の結果、(M−1)に由来する繰り返し単位及び(M−7)に由来する繰り返し単位の各含有割合はそれぞれ20モル%及び80モル%であった。
【0096】
[合成例7](重合体(A−9)の合成)
500mLのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン168gを注入し、−78℃まで冷却した。その後、塩化リチウムの0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液5.00mL(2.47mmol)及びジフェニルエチレン0.52mL(3.71mmol)を加え十分に撹拌した。その後、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)の1Nシクロヘキサン溶液1.27mL(1.24mmol)を注入し、蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチル(上記単量体(M−7))8.6mL(80.4mmol、60モル%)と蒸留処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−65℃以上にならないように注意した。滴下終了後120分間熟成した後、3−トリス[(トリメチルシリロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(上記単量体(M−1))23.9mL(53.5mmol、40モル%)と蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入し、120分間熟成し、メタノール0.032g(1.00mmol)を加え、重合末端を停止させた。得られた樹脂溶液をメタノール中で沈殿精製を行い、濾過にて白色固体を得た。
得られた白色固体をメチルイソブチルケトンに溶解させて10質量%溶液とし、1質量%のシュウ酸水溶液500gを注入撹拌し、静置後、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、Li塩を除去した後、超純水500gを注入して撹拌し、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返しシュウ酸を除去した後、溶液を濃縮した後メタノール2,000g中に滴下して、重合体を析出させた。減圧濾過した重合体をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥させることで、白色の重合体(A−9)を得た。重合体(A−9)のMwは18,400、Mnは17,800、Mw/Mnは1.03であった。また、
1H−NMR分析の結果、(M−1)に由来する繰り返し単位及び(M−7)に由来する繰り返し単位の各含有割合はそれぞれ40モル%及び60モル%であった。
【0097】
[合成例8](重合体(A−10)の合成)
500mLのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン168gを注入し、−78℃まで冷却した。その後、塩化リチウムの0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液7.00mL(3.49mmol)及びジフェニルエチレン0.74mL(5.23mmol)を加え十分に撹拌した。その後、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)の1Nシクロヘキサン溶液1.80mL(1.75mmol)を注入し、蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチル(上記単量体(M−7))21.2mL(192mmol、90モル%)と蒸留処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−65℃以上にならないように注意した。滴下終了後120分間熟成した後、3−トリス[(トリメチルシリロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(上記単量体(M−1))9.7mL(21.3mmol、10モル%)と蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入し、120分間熟成し、メタノール0.032g(1.00mmol)を加え、重合末端を停止させた。得られた樹脂溶液をメタノール中で沈殿精製を行い、濾過にて白色固体を得た。
得られた白色固体をメチルイソブチルケトンに溶解させて10質量%溶液とし、1質量%のシュウ酸水溶液500gを注入撹拌し、静置後、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、Li塩を除去した後、超純水500gを注入して撹拌し、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返しシュウ酸を除去した後、溶液を濃縮した後メタノール2,000g中に滴下して、重合体を析出させた。減圧濾過した重合体をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥させることで、白色の重合体(A−10)を得た。重合体(A−10)のMwは17,400、Mnは17,000、Mw/Mnは1.02であった。また
1H−NMR分析の結果、(M−1)に由来する繰り返し単位及び(M−7)に由来する繰り返し単位の各含有割合はそれぞれ10モル%及び90モル%であった。
【0098】
[合成例9](重合体(A−11)の合成)
500mLのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン168gを注入し、−78℃まで冷却した。その後、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)の1Nシクロヘキサン溶液0.83mL(0.75mmol)を注入し、蒸留脱水処理を行ったスチレン(上記単量体(M−6))19.7mL(171mmol、70モル%)と蒸留処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−65℃以上にならないように注意した。滴下終了後120分間熟成した後、塩化リチウムの0.5Nテトラヒドロフラン溶液2.98mL(1.49mmol)及びジフェニルエチレン0.32mL(2.24mmol)を加え十分に撹拌し、メタクリル酸メチル(上記単量体(M−7))7.7mL(72.9mmol、30モル%)と蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン10gとの混合物を30分かけて滴下注入し、120分間熟成し、メタノール0.032g(1.00mmol)を加え、重合末端を停止させた。得られた樹脂溶液をメタノール中で沈殿精製を行い、濾過にて白色固体を得た。
得られた白色固体をメチルイソブチルケトンに溶解させて10質量%溶液とし、1質量%のシュウ酸水溶液500gを注入撹拌し、静置後、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、Li塩を除去した後、超純水500gを注入して撹拌し、下層の水層を取り除いた。この操作を3回繰り返しシュウ酸を除去した後、溶液を濃縮した後メタノール2,000g中に滴下して、重合体を析出させた。減圧濾過した重合体をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥させることで、白色の重合体(A−11)を得た。重合体(A−11)のMwは54,400、Mnは50,900、Mw/Mnは1.07であった。また、
1H−NMR分析の結果、(M−6)に由来する繰り返し単位及びに(M−7)に由来する繰り返し単位の各含有割合はそれぞれ70モル%及び30モル%であった。
【0099】
【表1】
【0100】
[下層膜用重合体の合成]
[合成例5](ポリシロキサングラフト重合体(N−1)の合成)
窒素雰囲気下、三口フラスコ中に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン32.6g(0.166mol)及びメチルトリメトキシシラン31.9g(0.234mol)を仕込み、メチルイソブチルケトン100gを加えて溶解させ、得られた溶液をマグネチックスターラにより撹拌しながら60℃に加温した。この溶液に、8.6gの1質量%シュウ酸水溶液を1時間かけて連続的に添加し、60℃で4時間反応を行った。その後、減圧下で水、メタノール及びメチルイソブチルケトンを留去した。得られた生成物をトルエンに溶解させ、分液ロートで3回水洗し、乾燥剤を用いて脱水した後、減圧下でトルエンを留去したのち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにて希釈し、重合体(N−1)の10質量%溶液とした。重合体(N−1)は、GPC測定より、Mwが2,615、Mnが1,214、Mw/Mn比が2.15であった。得られた重合体(N−1)のIRスペクトル測定を行い、3750cm
−1にシラノール基由来の吸収を確認した。
次に、冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、メチルエチルケトン100gを仕込んで窒素置換した。85℃に加熱して、メチルエチルケトン100g、スチレン51g(0.49mol)、メチルメタクリレート49g(0.49mol)及び上記得られた重合体(N−1)溶液30gの混合物と、2,2−アゾビスブチロニトリル3g及びメチルエチルケトンの混合物とを3時間かけて各々滴下し、この温度を保持して3時間重合した。得られた重合体溶液を3Lのメタノールにて沈殿精製を行い残留モノマー、開始剤等を除き、重合体(N−2)を合成した。重合体(N−2)は、Mwが8,280、Mnが4,465、Mw/Mn比が1.84であった。この重合体(N−2)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、10質量%の重合体溶液とした。
【0101】
[下層膜形成用組成物の調製]
重合体(N−2)を含む溶液150g及び溶媒としてのPGMEA9,850gを混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、下層膜形成用組成物(U−1)を調製した。
【0102】
<パターン形成用組成物の調製>
パターン形成用組成物の調製に用いた各成分について以下に示す。
【0103】
[[A]ブロック共重合体]
A−1〜A−4、A−6、A−8〜A−11:上記合成した重合体(A−1)〜(A−4)、(A−6)、(A−8)〜(A−11)
A−5:Polymer Source社の「P8245−SDMS」(下記(A−5)に示す式(a)で表される繰り返し単位からなるブロックと、式(b)で表される繰り返し単位からなるブロックを有するジブロック共重合体である。分子量測定の結果、Mwは56,600、Mnは48,000、Mw/Mn比は1.18であった。
1H−NMR分析の結果、式(a)で表される繰り返し単位及び式(b)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ65モル%及び35モル%であった。)
A−7:Polymer Source社の「P9029−SLA」(下記(A−7)に示す式(c)で表される繰り返し単位からなるブロックと、式(d)で表される繰り返し単位からなるブロックを有するジブロック共重合体である。分子量測定の結果、Mwは99,000、Mnは90,000、Mw/Mn比は1.10であった。
1H−NMR分析の結果、式(c)で表される繰り返し単位及び式(d)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ70モル%及び30モル%であった。)
【0104】
【化5】
【0105】
[実施例1]
[A]ブロック共重合体としての(A−1)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、1質量%溶液とした。この溶液を孔径200nmのメンブランフィルターで濾過して、パターン形成用組成物(S−1)を調製した。
【0106】
[実施例2〜7及び比較例1〜4]
実施例1において、下記表2に示す種類の[A]成分を用いた以外は実施例1と同様にしてパターン形成用組成物(S−2)〜(S−7)及び(CS−1)〜(CS−4)を調製した。
【0107】
<パターンの形成>
[実施例8〜14及び比較例5〜8]
(下層膜の形成)
上記調製した下層膜形成用組成物(U−1)を、12インチシリコンウエハーの表面上に塗布し、膜厚が5nmの塗膜を形成した。次に、220℃で120秒間焼成することにより、下層膜を形成した(
図1参照)。
【0108】
(パターンの形成)
(実施例8〜11及び14並びに比較例5〜7:パターン形成用組成物(S−1)〜(S−4)及び(S−7)並びに(CS−1)〜(CS−3)の場合)
上記調製したパターン形成用組成物を、上記形成した下層膜上に、塗膜厚さが25nmになるように塗布し(
図6参照)、窒素雰囲気下、230℃で60秒間加熱して相分離させ、ブロック(a)から形成されるシリンダー状のミクロドメインが基板に略平行に配列した自己組織化膜(
図7参照)を形成した。次に、この自己組織化膜を2段階でドライエッチング処理することで、実施例8〜11及び比較例5〜7においてはラインアンドスペースパターン(
図8参照)、実施例14においてはホールパターンを形成した。
(条件)
(段階1)圧力:0.03Torr、高周波電力:300W、エッチングガス:CF
4、流量100sccm、基板温度:20℃
(段階2)圧力:0.03Torr、高周波電力:300W、エッチングガス:O
2、流量100sccm、基板温度:20℃
【0109】
(実施例12:パターン形成用組成物(S−5)の場合)
上記実施例8と同様の方法で、パターン形成用組成物を下層膜上に塗布し、加熱して相分離させることにより、各相が基板に略垂直に配列したラメラ構造を有する自己組織化膜(
図9)を形成した。次に、この自己組織化膜を上記実施例8と同様の2段階のドライエッチング処理することで、ラインアンドスペースパターン(
図10)を形成した。
【0110】
(実施例13及び比較例8:パターン形成用組成物(S−6)及び(CS−4)の場合)
上記実施例8と同様の方法で、パターン形成用組成物を下層膜上に塗布し、加熱して相分離させることにより、ブロック(b)から形成されるシリンダー状のミクロドメインが基板に略垂直に配列した自己組織化膜(
図11参照)を形成した。次に、この自己組織化膜を2段階でドライエッチング処理することで、ホールパターン(
図12参照)を形成した。
【0111】
<評価>
上記調製したパターン形成用組成物について、相分離時間、塗布性及びパターン形成性を評価した。評価結果を下記表2及び表3に合わせて示す。
【0112】
[相分離時間]
上記「パターン形成」において、パターンが形成される最短の加熱時間を、相分離時間(秒)とした。
【0113】
[塗布性]
塗布装置(東京エレクトロン社の「クリーントラックACT12」)を用いて、パターン形成用組成物をシリコン基板に塗布した後、加熱を行い、シリコン基板上に塗膜を形成した。この塗膜の膜厚を、膜厚測定装置(J.A.Woollam社の「真空紫外分光エリプソメーター VUV−VASE」)を用いて面内の9点について測定した。塗布性は、膜厚の測定値の最大値と最小値の差が0.5nm未満の場合は、面内膜厚の均一性が高いとして「◎」と、0.5nm以上1nm未満の場合は、面内膜厚がやや均一であるとして「○」と、1nm以上の場合は、面内膜厚が不均一であるとして「×」と評価した。
【0114】
[パターン形成性]
上記形成したパターンを、測長SEM(日立製作所社の「S−4800」)を用いて観察し、パターンが明確に観測される場合は「◎」と、パターンが観測される場合は「○」と、エッチングにより生じる凹凸が一定の深さではない場合は「×」と評価した。
【0115】
[パターン形成後のパターン高さ]
パターン形成後のパターン高さを、上記測長SEMを用いて測定した。パターン高さの測定値(nm)を表2及び表3に合わせて示す。表2中の「−」は、塗布できなかったため又はパターンが形成されなかったため、測定しなかったことを示す。
【0116】
[ホールサイズ]
ホールパターンが形成される場合、そのホールサイズを上記測長SEMを用いて測定した。ホールサイズの測定値(nm)を表3に合わせて示す。表3中の「−」は、ホールパターンが形成される場合でないことを示す。
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
表2及び表3に示されるように、実施例のパターン形成用組成物を用いた場合は、十分微細なミクロドメイン構造が得られ、パターン高さに優れるパターンが得られることがわかった。また、相分離時間も短く、塗布性も良好であった。一方、比較例のパターン形成用組成物では、パターン形成の際の相分離が起こり難く相分離時間が長くなるもの、ミクロドメイン構造が形成されないもの、塗布性に劣るもの等が見られた。