(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の接合部は、前記第2の接合部の長手方向の一端および他端のそれぞれに対して、長手方向に電池セルの外形円周の半径と略同じ長さ分延設された部分を有する請求項2に記載の組電池。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。説明は、以下の順序で行う。実施の形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1.第1の実施の形態(蓄電装置の一の例)
2.第2の実施の形態(蓄電装置の他の例)
3.他の実施の形態(変形例)
4.応用例
なお、以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また例示した効果と異なる効果が存在することを否定するものではない。
【0013】
1.第1の実施の形態
(蓄電装置の構成例)
本技術の第1の実施の形態による蓄電装置の構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の線A−A'に沿った断面図である。なお、
図2では外装ケース、電池ケース、電池セルおよび仕切り板以外の部材の図示を省略している。
図3は、本技術の第1の実施の形態による蓄電装置の電気的構成の概略を示す。
図4は、本技術の第1の実施の形態による蓄電装置の電気的構成の概略を示す。
【0014】
図1に示すように、蓄電装置1は、外装ケース20を備える。外装ケース20は、前面部20a、背面部20b、上面部20cおよび下面部20d、並びに、2つの側面部20eおよび20fからなる略直方体状の筺体である。外装ケース20の材料としては、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。すなわち、前面部20a、背面部20b、上面部20cおよび下面部20d、2つの側面部20eおよび20fには、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。これにより、優れた筐体放熱性を得ることができ、外装ケース20内の温度上昇を抑制することができる。例えば、外装ケース20を構成する前面部20a、背面部20b、上面部20c、下面部20dおよび2つの側面部20e〜20fのそれぞれは、板状体または板状体を形状加工したもの等である。板状体は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金または銅または銅合金等の金属板等である。
【0015】
筺体を構成する前面部20aは、保護カバー21によって覆われている。保護カバー21は、例えば、樹脂等の絶縁性を有する絶縁材料から構成されている。前面部20aを、絶縁性を有する材料からなる保護カバー21で覆うことによって、例えば、バスバー等の複数の蓄電装置1間を電気的に接続する接続部材と前面部20aとの間の絶縁性を確保することができる。なお、蓄電装置1は、前面部20a以外の面を下面として置くことができる。すなわち、蓄電装置1は、背面部20b、上面部20c、下面部20d、側面部20e、または側面部20fを下面として置くことができる。
【0016】
図2に示すように、蓄電装置1の外装ケース20内には、電池ユニット51および電池ユニット52と、制御回路ブロック等が搭載された基板等(
図2では図示を省略)が収容されている。電池ユニット51および電池ユニット52のそれぞれは、複数の電池セル10aで構成される組電池である電池ブロック群10、列状に配置された複数の電池セル10aの列間に嵌入される仕切り板93および複数の電池セル10aを電気的に接続する接続端子部91(
図2では図示を省略)等の部材が、トップケース61aおよびボトムケース61bからなる電池ケース61に収容されたものである。
【0017】
外装ケース20の手前側の側面部20eおよび奥側の側面部20fは、例えば、矩形状の板状体である。側面部20fには電池ユニット51が固定され、側面部20eには電池ユニット52が固定されている。図示は省略するが、例えば、側面部20fに設けられた複数の凸状の嵌合部と、ボトムケース61bの底面部に設けられた複数の孔状の嵌合部とが嵌合されることにより、電池ユニット51が側面部20fに固定されている。側面部20eに設けられた複数の凸状等の嵌合部と、ボトムケース61bの底面部に設けられた複数の孔状等の嵌合部とが嵌合されることにより、電池ユニット52が側面部20eに固定されている。
【0018】
電池ブロック群10は、例えば、直列に接続された複数の電池ブロックで構成され、1つの電池ブロックは、並列に接続された複数の電池セル10aで構成される。電池セル10aは、例えば、円筒型リチウムイオン二次電池等の二次電池である。なお、電池セル10aは、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
【0019】
例えば、電池ユニット51および電池ユニット52は、電池ケース61の底面部および上面部が水平方向に向く縦置き状態で、水平方向に2段積層されて外装ケース20に収容されている。詳細は後述するが、積層された電池ユニット51および電池ユニット52の対向面の間には、間隙Sが設けられている。
【0020】
図3に示すように、例えば、電池ユニット51および電池ユニット52には、並列に接続された14本の電池セル10aで構成された電池ブロックB1〜B16が、直列に接続されて収納される。電池ユニット51には、電池ブロックB1〜B8で構成された電池ブロック群10が収容される。電池ユニット52には、電池ブロックB9〜B16で構成された電池ブロック群10が収容される。なお、各電池ブロックを構成する電池セル10aの数は14本に限定されるものではなく、また、電池ブロック群10を構成する電池ブロックの数も上記に限定されるものではない。
【0021】
電池ユニット51および電池ユニット52内において、電池セル10a間または電池セル10a間および隣り合う電池ブロック間を直列および/または並列接続するために、接続用の電気伝導性を有する部材である接続端子部91が使用される。接続端子部91は、例えば、金属等の電気伝導性を有する材料で構成された板状体である。
【0022】
電池ブロックB1〜B16は、それぞれ制御回路ブロック(以下制御ブロックと称する)に接続され、充放電が制御される。充放電は、外部正極端子4および外部負極端子5を介してなされる。例えば一つの蓄電装置1は、(16×3.2V=51.2V)を出力する。
【0023】
電池セル10aの電圧、電流、温度の監視を行うために、蓄電装置1内に制御ブロックが設けられている。制御ブロックからの情報が外部のコントローラに対して通信により送信される。外部のコントローラが充電管理、放電管理、劣化抑制等のための管理を行う。例えば、制御ブロックは、各電池ブロックの電圧をモニタし、検出した電圧をデジタル信号に変換して、外部のコントローラであるコントロールボックスICNTに伝送する。電圧に加えて各電池ブロックの温度を検出し、温度をデジタルデータに変換し、コントロールボックスICNTに対して伝送するようにしても良い。
【0024】
図4に制御ブロックの一例を示す。
図4に示すように、直列に接続された16個の電池ブロックB1〜B16の両端の電圧と、各電池ブロックの電圧を検出するようになされる。電池ブロックB1〜B16の両端の電圧と各電池ブロックの電圧を順次出力するマルチプレクサ8(MUX8)が設けられている。
【0025】
MUX8は、例えば、所定の制御信号に応じてチャネルを切り替え、n個のアナログ電圧データの中から一のアナログ電圧データを選択する。MUX8によって選択された一のアナログ電圧データがA/Dコンバータ(ADC(Analog to Digital Converter)6)に供給される。
【0026】
ADC6は、MUX8から供給されるアナログ電圧データをデジタル電圧データに変換する。例えばアナログ電圧データが14〜18ビットのデジタル電圧データに変換される。ADC6からのデジタル電圧データが通信部COM1に供給される。通信部COM1は、制御部7によって制御され、通信端子を通じて接続される外部の装置との通信を行う。例えば、通信端子を通じて他の蓄電装置MOとの通信を行い、通信端子を通じてコントロールボックスICNTとの通信を行う。さらに、通信端子を通じてコントロールボックスICNTからの制御信号を受け取る。このように、通信部COM1が双方向通信を行う。
【0027】
さらに、制御部7が電池ブロックB1〜B16の電圧の均一化を制御するようになされる。このような制御は、セルバランス制御と称される。例えば複数の電池ブロックB1〜B16の内で一つの電池ブロックが使用下限の放電電圧まで到達した場合、未だ容量が残っている他の電池ブロックが存在する。次に充電した場合に、容量が残っていた他の電池ブロックが速く充電上限電圧に到達してしまい、満充電まで充電できない。かかるアンバランスを避けるために、容量が残っている電池ブロックをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をオンさせることによって、強制的に放電するようになされる。なお、セルバランス制御の方式は、上述したパッシブ方式に限らず、いわゆるアクティブ方式や他の様々な方式を適用できる。
【0028】
蓄電装置1および複数の蓄電装置MO間の電圧バランスを制御するモジュールバランス制御回路のフライバックトランスT1の1次側のスイッチ(MOSFET)S1に対するコントロールパルスがパルス発生器17から供給される。パルス発生器17は、モジュールコントローラCTN1の制御部7からのコントロール信号に応じてコントロールパルスを発生する。例えばパルス発生器17は、パルス幅変調されたコントロールパルスを出力する。フライバックトランスT1の2次側のスイッチ(MOSFET)S01に対するコントロールパルスが通信部COM1内のMCU(MIcroController Unit)から供給される。
【0029】
コントロールボックスICNTは、各蓄電装置1および蓄電装置MOの電圧情報から蓄電装置間のバランスのシーケンスを決める。各蓄電装置のMCUに対して蓄電装置間のバランスの充放電の有無を個別に伝達する。MCUは、フライバックトランスの2次側に直接的にコントロール信号を供給するか、絶縁部ISC1を介する絶縁通信によってコントロール信号をフライバックトランスT1の1次側に伝送する。
【0030】
温度検出部15は、サーミスタ等の温度検出素子からなる。温度検出部15によって検出された電池ブロックB1〜B16毎の温度を示すアナログ温度データTが、セル温度マルチプレクサ16(MUX16)に供給される。例えば、電池ブロックB1の温度を示すアナログ温度データT1がMUX16に供給される。電池ブロックB2の温度を示すアナログ温度データT2がMUX16に供給される。同様にして、電池ブロックB3〜電池ブロックB16のそれぞれの温度を示すアナログ温度データT3〜アナログ温度データT16がMUX16に供給される。
【0031】
MUX16は、所定の制御信号に応じてチャネルを切り替え、16個のアナログ温度データT1〜アナログ温度データT16から一のアナログ温度データTを選択する。そして、MUX16によって選択された一のアナログ温度データTが、ADC6に供給される。
【0032】
電流検出部9が、複数の電池ブロックB1〜B16に流れる電流値を検出する。電流検出部9は、例えば、電流検出抵抗9aと、電流検出アンプ9bとからなる。電流検出抵抗9aによって、電流検出抵抗9aの両端の電圧値を示すアナログ電流データが検出される。アナログ電流データは、充電中および放電中を問わず、常時、検出されている。所定の周期でアナログ電流データが検出されるようにしてもよい。
【0033】
検出されたアナログ電流データが電流検出アンプ9bに供給される。供給されたアナログ電流データが電流検出アンプ9bによって増幅される。増幅されたアナログ電流データがADC6に供給される。
【0034】
ADC6は、電流検出アンプ9bから供給されるアナログ電流データをデジタル電流データに変換する。ADC6によって、アナログ電流データが、デジタル電流データに変換され、デジタル電流データが出力される。
【0035】
例えば、モジュールコントローラCTN1において、放電時に過大な電流が流れたことを検出した場合には、放電過電流状態と判定して、スイッチ(図示を省略)を開放状態(電流を遮断する状態)に制御する。一方、充電時に過大な電流が流れたことを検出した場合には、スイッチ(図示を省略)を開放状態(電流を遮断する状態)に制御する。
【0036】
絶縁部ISC1は、通信部COM1とモジュールコントローラCTN1との間を絶縁する機能を有する。すなわち、通信部COM1の電源の基準電位と、モジュールコントローラCTN1の電源の基準電位とが分離され、独立したものとされる。さらに、絶縁した状態において、絶縁部ISC1は、電源電圧をモジュールコントローラCTN1に対して供給する機能と、双方向通信の伝送媒体としての機能とを備えている。
【0037】
絶縁部ISC1を通じてなされる双方向通信方式としては、CANの規格を使用できる。絶縁部ISC1を通じてなされる電力伝送方式としては、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電波受信方式等を使用することができる。
【0038】
第1の実施の形態では、例えば、非接触ICカード技術を使用する。非接触ICカード技術は、リーダー/ライターのアンテナコイルとカードのアンテナコイルを磁束結合させて、リーダー/ライターとカード間で通信および電力伝送を行う。通信は、13.56kHzの周波数の搬送波をASK(Amplitude Shift Keying)変調する方式を利用し、212もしくは424kbpsの速度が行われる。絶縁部ISC1は、上記非接触ICカード方式と同様の仕様にしている。さらに、例えば、絶縁部ISC1は、多層プリント基板の異なる層に形成したアンテナ(コイル)間で通信および電力伝送を行うようになされる。
【0039】
(蓄電装置の前端部)
図5は、蓄電装置の前端部分の構成を示す分解斜視図である。
図6は、前面部と共に取り外される部材を示す斜視図である。
図7は、前面部が取り外された状態を示す斜視図である。
【0040】
図5に示すように、前面部20aは保護カバー21で覆われており、前面部20aの内面側には基板等を含む部品群を収容する空間が確保されている。この空間には、
図6に示す外部通信基板45、出力端子基板44を少なくとも含む部品群が配置および固定されている。この部品群は、具体的には、例えば出力端子である外部正極端子4および外部負極端子5が設けられた出力端子基板44、外部通信基板45、ヒューズ2、バスバー47a1〜47a3、基板保持部材49、コネクタ3aおよび3bを含む部材等が含まれる。外部通信基板45および出力端子基板44は、コネクタ(図示省略)によってメイン基板46に接続されている。基板保持部材49は、樹脂等の絶縁性を有する材料からなり、基板の機械的な保持を行うと共に、基板間、基板および部品間等の絶縁を施す役割を備える。また、2つのサブ基板42が、それぞれ電池ユニット51および電池ユニット52のそれぞれに対して、固定されている。例えば、電池ケース61の4つの壁面のうちの電池列の列方向と直交する一の壁面に対して、サブ基板42の一主面が対面し、且つ、一部が密接するように、サブ基板42が配置および固定されている。サブ基板42、出力端子基板44、外部通信基板45、メイン基板46には、
図3および
図4に示した、監視、制御回路を含む制御ブロックが搭載されている。これらの別体で構成された複数の基板等を含む部品群を、前面部20aの内面と電池ユニット51および電池ユニット52の前壁面との間のスペースに配して、それぞれをバスバー47a1〜47a3等の板状の部材等の接続部材やコネクタ等によって接続しているので、基板同士の接続を簡単に行うことができる。このような蓄電装置1は、効率的で組立て性に優れ、さらに省スペース化による高エネルギー化を実現することができる。
【0041】
保護カバー21で覆われた前面部20aを取り外すと、前面部20aに固定された、上述した少なくとも外部通信基板45および出力端子基板44を含む部品群も、前面部20aと一体となって取り外される。
図7に示すように、前面部20aおよび部品群が取り外されると、部品群より奥側に配置されたメイン基板46を含む部分が、前面部20aが取り外された外装ケース20の開口から外部に臨む。そして、開口から中に手をいれて、メイン基板46のメンテナンス等の作業を行ったり、メイン基板46を速やかに取り出したりすることなどが可能になる。したがって、前面部20aおよびこれと一体となって取り外される部品群を取り外すだけで、メイン基板46のメンテナンス等を行うことができるので、メンテナンス性を向上することができる。すなわち、保守および点検や部品群に含まれる部品交換等を簡単に行うことができる。また、複雑な配線の取出しおよび配線の再配置の必要をなくすことができる。
【0042】
蓄電装置1に対して充放電のために設けられた外部正極端子4および外部負極端子5は、保護カバー21および前面部20aに設けられた開口を通り外部に露出されている。
【0043】
また、蓄電装置1の前面部20aおよび保護カバー21には、互いに近接する窓25a〜bおよび26a〜bが、保護カバー21および前面部20aに形成されている。
図1に示すように、この窓25a〜25bおよび26a〜26bは、蓄電装置1の動作時には、導通部材11によって覆われている。
【0044】
前面部20aに形成されている窓25a〜bの内側には、コネクタ3aおよび3bが立設されている。
図8に示すように、直列接続された電池ブロックB1〜B16の正極側の端子が、電流遮断素子であるヒューズ2を介してコネクタ3aと接続される。コネクタ3aの近傍に他方のコネクタ3bが設けられている。コネクタ3bが外部正極端子4と接続されている。電池ブロックB1〜B16の負極側の端子が外部負極端子5と接続されている。
【0045】
コネクタ3aおよび3bに対して接続部として、誤接続を防止するために挿入離脱自在となされた導通部材11が設けられる。導通部材11は、一対の板状突起12aおよび12bを持つように導電板が折り曲げられ、導電板の基部が支持板13の一面に取り付けられた構成を有する。支持板13の一端が延長されることによってカバー14が形成される。さらに、支持板13の他面には、つまみ15が形成される。カバー14およびつまみ15を有する支持板13は、例えば合成樹脂の成形品である。
【0046】
コネクタ3aおよび3bは、それぞれ対向配置された2枚のバネ接点板を有し、2枚のバネ接点板の対向間隙内に、窓25a〜bを通じて導通部材11の板状突起12a、12bが挿入されるようになされている。さらに、導通部材11の支持板13と一体のカバー14によって、窓26a〜bが塞がれるようになされている。板状突起12aおよび12bがコネクタ3aおよび3bの2枚のバネ接点板によりそれぞれ挟まれているので、コネクタ3aおよび3bに対して導通部材11の挿入状態を保持することができる。
【0047】
導通部材11の板状突起12aおよび12bが、各コネクタの間隙内に挿入されることによって、コネクタ3a、コネクタ3b間が導通部材11によって接続(導通)される。一方、導通部材11の板状突起12aおよび12bが各コネクタの間隙から抜き取られることによって、コネクタ3a、コネクタ3b間が切断(非導通)される。このように、導通部材11をコネクタ3aおよび3bに挿入する接続状態と、導通部材11をコネクタ3aおよび3bから抜き取った非接続状態とを切り替えることができる。
【0048】
前面部20aに形成されている窓26aおよび26bの内側には、設定または接続用の電子部品28が配置されている。電子部品28は、例えばスライドスイッチ、ロータリースイッチおよびJTAGコネクタ等である。例えば、ロータリースイッチによって蓄電装置1に対するアドレスが設定される。すなわち、蓄電装置1を複数台接続して使用することが可能とされ、複数台接続した場合に各蓄電装置に対して識別用のアドレスが設定される。このアドレスに基づいて外部のコントローラが制御処理を行う。スライドスイッチは、ロータリースイッチにより指定されるアドレスを増やすために使用される。
【0049】
JTAGコネクタは、JTAG(Joint European Test Action)によって提案された標準のコネクタである。JTAGコネクタを通じてケース内部のMPU(Micro Processing Unit)、IC(Integrated Circuit)等の検査のために、テストデータが入出力され、また、内部のMPUのファームウエァの書き換えがなされる。なお、電子部品としては、上述した素子以外のスイッチング部品、コネクタ等を使用しても良い。
【0050】
導通部材11をコネクタ3aおよび3bに挿入した接続状態では、カバー14が電子部品の操作面の前方の窓25a〜bおよび26a〜bを塞ぐ。すなわち、接続状態においては、電子部品に対するアクセスが阻止される。一方、導通部材11をコネクタ3aおよび3bから抜き取ると、設定部の操作面の前方の窓が開き、窓25a〜bおよび26a〜bを通じて操作面を操作して例えば蓄電装置1のアドレスを設定することができる。
【0051】
導通部材11を取り外して操作面の前方の窓25a〜bおよび26a〜bを開けた場合にのみ、操作面に対するアクセスが可能となり、電子部品の設定操作が可能となる。設定操作を外装ケース20の外側から行うことによって、ケース内部で電子部品を操作するのと比較して作業性を向上できると共に、安全性を高めることができる。
【0052】
さらに、蓄電装置1には、外部のコントローラとの通信のための通信端子であるコネクタ27が設けられている。上述したように、蓄電装置1には、電池の電圧、電流、温度の監視を行う制御ブロックが設けられている。制御ブロックからの情報が、外部のコントローラに対して通信により送信される。外部のコントローラが充電管理、放電管理、劣化抑制等のための管理を行う。
【0053】
コネクタ27を介してなされる外部のコントローラとの通信としては、例えばシリアルインターフェースが使用される。シリアルインターフェースとしては、具体的にSMバス(System Management Bus)等が使用される。例えばI2Cバスを使用することができる。I2Cバスは、SCL(シリアルクロック)と双方向のSDA(シリアル・データ)の2本の信号線で通信を行う同期式のシリアル通信である。
【0054】
(電池ユニット)
図9は、電池ユニットの構成例を示す分解斜視図である。電池ユニット51は、トップケース61aおよびボトムケース61bからなる電池ケース61に、複数の電池セルブロックからなる電池ブロック群10、仕切り板93、接続端子部91、および、正極絶縁シート92が収容されたものである。なお、電池ユニット52は、電池ユニット51と同様の構成である。したがって、以下では、電池ユニット51の構成を詳細に説明し、電池ユニット52の構成の詳細な説明を省略する。
【0055】
(電池ケース)
電池ケース61は、トップケース61aとボトムケース61bとから構成されている。電池ケース61は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂成形品である。
【0056】
図10はトップケース61aの構成例を示す斜視図である。トップケース61aは、上面部と、この上面部の周囲に立設された壁部とを備える。トップケース61aの上面部には、複数の電池セル10aの端子面上に配置された接続端子部91が露出する複数の開口71が設けられている。また、トップケース61aの上面部には、後述の仕切り板93の突起部93aが嵌合する複数の孔72が設けられている。また、トップケース61aの上面部には、嵌合部62が突設されている。この突設された嵌合部62は、複数個設けられ、これにより、対向する電池ユニット51および電池ユニット52間に間隙Sを形成することができ、且つ、電池ユニット51および電池ユニット52を組み合わせて間隙Sを保持した状態を安定して維持することができる。なお、図示は省略するが、トップケース61aの上面部には、サーミスタ挿入用の孔が設けられていてもよい。
【0057】
ボトムケース61bは、底面部と、この底面部の周囲に立設された壁部とを備える。なお、図示は省略するが底面部の中央には、4つの中空構造体が、列状に設けられており、トップケース61aと組み合わせた状態で、トップケース61aの中空構造体70と嵌合される。ボトムケース61bの中空構造体は、例えば、中空構造であり、且つ、上面が開口しており、且つ、下面の中心に孔を有する、中空円筒形状の構造体である。なお、孔は、側面部20fに設けられた突起部と嵌合し、必要に応じてネジ止め等がなされ、電池ユニット51が側面部20fに固定される。図示は省略するが、ボトムケース61bの底面部には、トップケース61aの上面部と同様、接続端子部91bが露出する複数の開口71が設けられている。また、ボトムケース61bの底面部には、後述の仕切り板93の突起部93aが嵌合する複数の孔72が設けられている。
【0058】
図11は2つの電池ユニットを組み合わせる前の状態を示す斜視図である。
図11に示すように、電池ユニット51および電池ユニット52の組み合わせ時には、電池ユニット51のトップケース61aの上面部と、電池ユニット52のトップケース61aの上面部とが対向して、対応する一方の上面部に突設された嵌合部62および他方の上面部に突設された嵌合部62が、嵌合される。
【0059】
(電池ブロック群)
図9に戻り、電池ブロック群10は、例えば、直線状に配置された複数個の電池セル10aからなる電池列が、電池列の列方向に対して略直交する方向に並置された構成とされたものである。電池列のそれぞれは、例えば、14本の電池で構成されている。
【0060】
電池ブロック群10は、複数の電池セル10a間が電気的に接続された組電池である。電池ブロック群10を構成する複数の電池セル10a間は、接続端子部91によって電気的に接続される。例えば、各電池列は、複数の電池セル10aが並列接続された電池ブロックB1〜B8を構成する。さらに電池ブロックB1〜B8が、直列に接続されて電池ブロック群10を構成する。
【0061】
なお、図示は省略するが、電池ユニット52の電池ケース61に収容された電池ブロック群10も同様の構成とされる。例えば、電池列L1〜電池列L8の各列は、複数の電池セル10aが並列接続された電池ブロックB9〜B16を構成する。さらに電池ブロックB9〜B16が、直列に接続されて電池ブロック群10を構成する。
【0062】
電池ブロック群10では、並列に複数の電池セル10aが接続された複数の電池列(電池列L1〜L8)を、列方向に対して略直交する方向に並置し、且つ、これらを直列に接続させることで、電流通路を単一方向(例えば、電池列の列方向に対して略直交する方向)に整流でき且つ電流通路の総長を短縮でき、その結果、抵抗値が大きくなることを抑制できる。
【0063】
電池ブロック群10では、電池列L1と電池列L2とが対向配置され、電池列L2と電池列L3とが対向配置され、電池列L3と電池列L4とが対向配置され、電池列L4と電池列L5とが対向配置され、電池列L5と電池列L6とが対向配置され、電池列L7と電池列L8とが対向配置されている。電池列L1、L3、L5、L7では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、上面が正極端子面、下面が負極端子面となる配置とされている。電池列L2、L4、L6、L8では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、上面が負極端子面、下面が正極端子面となる配置とされている。
【0064】
奇数番号の電池列L1、L3、L5、L7では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、直線状且つ密接状態で並置されている。
図9に示す例では、奇数番号の電池列L1、L3、L5、L7では、各電池列を構成する14本の電池セル10aは、直線状且つ密接状態で並置されている。
【0065】
これに対して、偶数番号の電池列L2、L4、L6、L8では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、直線状且つ密接状態で並置された2組の複数の電池セル10aの間に、1本の電池セル10aに略相当する空間が設けられるように配置されている。この一本の電池に相当する空間は、それぞれ、例えば、隣り合い且つ対向する電池列L1、L3、L5またはL7の中央に対向する位置に設けられていることが好ましい。
【0066】
偶数番号の電池列L2、L4、L6、L8では、各電池列を構成する14本の電池セル10aは、直線状且つ密接状態で並置された2組の7本の電池セル10aの間に、1本の電池セル10aに相当する空間が設けられるように配置されている。この一本の電池に略相当する空間は、それぞれ、例えば、隣り合い且つ対向する電池列L1、L3、L5またはL7の中央に対向する位置に設けられている。
【0067】
1本の電池セル10aに略相当する空間には、ボトムケース61bの中空構造体(図示省略)およびこの中空構造体に対向するトップケース61aの中空構造体70が嵌入されている。上述したように、トップケース61aの中空構造体の底面には孔が設けられ、この孔に側面部20fの突起部が嵌合され、必要に応じてネジ止めがなされ、側面部20fに電池ユニット51が固定される。電池ユニット51の中央付近に、側面部20fとの固定部が設けられることによって、電池ブロック群10を構成する電池セル10aのずれ等により、電池ユニット51の中央付近に膨れが生じることを抑制できる。
【0068】
電池列L1〜L8で構成された電池ブロック群10では、隣り合う電池列が、互いにほぼ電池セル10aの外径円周の半径とほぼ同じ長さで、列方向にずらされている俵積み状の配置とされている。俵積み状の配置では、一の列の隣接する2つの電池セル10aの端面の略中心と、一の列の隣接する2つの電池セル10aの間に入る、一の列の隣の列の他の列の電池セル10aの略中心とが、略正三角形状となるような配置を含む。
【0069】
俵積み状の配置では、限られたスペースの電池ケース61に対して、より多数の電池セル10aを収容することができる。したがって、面積当たりの電池セル数を増大することができ、蓄電装置1のエネルギー密度を向上することができる。
【0070】
(トップケース側の接続端子部)
複数の電池セル10aを電気的に接続する接合部材である接続端子部91が、複数の電池セル10aの端子面上に設けられている。1つの接続端子部91は、隣り合う2つの電池列を構成する電池セル10aの下面の端子と電気的に接合される。詳細は後述するが、接続端子部91は、例えば、略矩形状等の平面形状を有する板状体等である。
【0071】
(ボトムケース側の接続端子部)
ボトムケース61bの底面部の内側の面上に、接続端子部91として、複数の接続端子部91が電池列の列方向に対して略直交する方向に並置される。1つの接続端子部91は、隣り合う2つの電池列を構成する電池セル10aの下面の端子と電気的に接合される。
【0072】
(トップケース側の正極絶縁シート)
電池ブロック群10を構成する電池セル10aの正極端子面上に正極絶縁シート92が重ねられている。具体的には、上面が正極端子面である電池セル10aの正極端子面上に、正極絶縁シート92が重ねられている。各電池列をそれぞれ構成する複数の電池セル10aの正極端子面上に、正極絶縁シート92が重ねられている。
【0073】
正極絶縁シート92は、電気絶縁性を有する樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料で構成される。正極絶縁シート92には、複数の凸状の正極端子が嵌入する複数の開口が設けられている。
【0074】
正極絶縁シート92の複数の開口のそれぞれに各正極端子が嵌入され、各正極端子が正極絶縁シート92の開口から露出される。正極絶縁シート92の開口から露出させた正極端子と接続端子部91aまたは接続端子部91bとが、電気的に接合される。一方、正極絶縁シート92によって正極端子の周囲の面が覆われることで、各正極端子の周囲の面と接続端子部91aまたは接続端子部91bとの間が絶縁される。
【0075】
(ボトムケース側の正極絶縁シート)
ボトムケース側の正極絶縁シート92と同様、ボトムケース61b側の正極絶縁シート92は、凸状の正極端子の周囲の面と、接続端子部91bとの短絡を抑制するためのものである。電池ケース側の正極絶縁シート92は、電池列L2、電池列L4、電池列L6および電池列L8の電池セル10aの正極端子面に重ねられている。
【0076】
(仕切り板の構成)
(仕切り板)
図12は、仕切り板の構成および仕切り板と電池ブロック群との組み合わせ前の状態を示す概略斜視図である。仕切り板93は、矢印に示すように、電池ブロック群10の、対向且つ隣り合う電池列間に嵌入されるものである。仕切り板93は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂成形品等である。
【0077】
また、仕切り板93は、電池ケース61に対して着脱可能とされている。仕切り板93は、上面および下面に複数の突起部93aを備え、この突起部93aが電池ケース61の孔72に嵌合されることより、電池ケース61に取りつけられ、嵌合された突起部を孔から外すことにより、電池ケース61から外される。
【0078】
例えば、複数の突起部93aが、仕切り板93の上面および下面の所定位置に設けられている。上面に設けられた複数の突起部93aは、トップケース61aの所定位置に設けられた、仕切り板の位置決め用の複数の孔72に嵌合し、下面に設けられた複数の突起部93aは、ボトムケース61bの所定位置に設けられた、仕切り板の位置決め用の複数の孔72に嵌合する。これにより、仕切り板93は、トップケース61aとボトムケース61bとの間に固定される。
【0079】
固定された仕切り板93によって、複数の電池セル10aを所定位置に配置および固定することができる。これにより、従来のように1個の電池形状に対応した電池個別ホルダを複数設けたホルダケース等を用いることなく、複数の電池セル10aが高エネルギー密度に最適な配置で固定された電池ブロック群10を構成することできる。また、固定された仕切り板93を、電池セル10aの側面が垂直方向に向いて、複数積層されている電池列間に設けることで、上側の電池セル10aから下側の電池セル10aに加わる荷重を緩和できる等、圧力および応力を分散させて、電池ブロック群10全体に力を分布できる。これにより、電池セル10aの変形等を抑制することができる。
【0080】
(本技術の接続端子部の詳細)
本技術の接続端子部91の詳細について説明する。まず、本技術の理解を容易にするため、本技術の接続端子部91とは異なる構造を有する典型的な接続端子部について説明し、その後、本技術の接続端子部91の構成例について説明する。
【0081】
図13Aは、本技術とは異なる構造を有する接続端子部の一部を示す斜視図である。
図13Bは、本技術とは異なる構造を有する接続端子部の一部を示す平面図である。
図13Aおよび
図13Bに示すように、この接続端子部191bは、2つの電池列の端子面が接合される接合部191Rと、複数の電池セル10aの電圧をセンシングするためにサブ基板42に接続される延出部191R3とを有する。
【0082】
接合部191Rは、一の電池列の端子面と接合される第1の接合部191R1および一の電池列と隣接する他の電池列の端子面と接合される第2の接合部191R2とからなる。第1の接合部191R1は、接続端子部191bの短手方向の中心を通る長手方向に沿った中心線dによって区分された手前側の略半分の部分であり、第2の接合部191R2は、同様の中心線dによって区分された奧側の略半分の部分である。
【0083】
延出部191R3は、第1の接合部191R1の長手方向の一端の略中心部分から、第1の接合部191R1の幅より狭い幅を有する細長い形状で延出された部分である。この延出部191R3の先端部はサブ基板42に接続され、センシング位置S
1とされ、例えば、各電池列L1〜L8の各電圧がセンシングされる。
【0084】
図14は、
図13Aおよび
図13Bに示した接続端子部を用いた蓄電装置の平面図である。
図15は、
図14を電池セルの上面側から観た、上面側の接続端子部および下面側の接続端子部の配置を示す概略図である。
図16A〜
図16Dは、上面側の接続端子部および下面側の接続端子部に接合される電池セルの端子面の極性、並びに、電気的構成の概略を示す概略図である。なお、
図15および
図16A〜
図16Dでは、接続端子部191aの図示を省略している。
【0085】
図14に示す電池列L1、L3、L5、L7では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、上面が負極端子面、下面が正極端子面となる配置とされている。電池列L2、L4、L6、L8では、各電池列を構成する複数の電池セル10aは、上面が正極端子面、下面が負極端子面となる配置とされている。
【0086】
図15に示すように、電池セル10aの上面側では、2つの接続端子部191a(図示省略)および3つの接続端子部191b
1が、電池列の列方向に対して略直交する方向に並置されており、電池セル10aの下面側では、点線で示される4つの接続端子部191b
2が、電池列の列方向に対して略直交する方向に並置されている。なお、接続端子部191b
1および接続端子部191b
2を区別しない場合には、接続端止部191bとする。
【0087】
図16Aに示すように、接続端子部191b
1は、電池列L2を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L3を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191b
1は、電池列L4を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L5を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191b
1は、電池列L6を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L7を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。
【0088】
図16Cに示すように、接続端子部191b
2は、電池列L1を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L2を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191b
2は、電池列L3を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L4を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191bは、電池列L5を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L6を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191bは、電池列L7を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L8を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。
【0089】
図16Bの電気的構成に示したように、電池列L1、L3、L5、L7は、電圧センシング位置S
1から近い位置にある。一方、電池列L2、L4、L6、L8は、電圧センシング位置S
1から遠い位置にある。
【0090】
図16Dに示すように、例えば、2つの電池列が接合された接続端子部191b
2では、矢印に示すように、センシング位置S
1から接続端子部191b
2の抵抗が生じる部分である抵抗Rを介して、電流が2つの電池列間を流れる。このため、センシング位置S
1では、センシング位置S
1から遠い位置にある電池列の電圧は、抵抗Rによる電圧降下の影響を受けたものがセンシングされる。一方、センシング位置S
1では、センシング位置S
1から近い位置にある電池列の電圧は、抵抗Rによる電圧降下の影響を受けないものがセンシングされる。
【0091】
したがって、一つの接続端子部191bに接合された2つの電池列のうちのセンシング位置S
1から近い位置にある一の電池列と、遠い位置にある他の電池列とでは、抵抗Rによる電圧降下分だけセンシング電圧に測定誤差が生じてしまう。蓄電装置では、大電流(例えば10A以上等)が流れるため、この抵抗Rによる電圧降下分の測定誤差がより大きくなってしまう傾向にある。これを改善するために、本技術では、以下に説明する構成の接続端子部を用いている。
【0092】
(本技術の接続端子部の構成)
本技術の接続端子部の一構成例について説明する。
図17Aは、本技術の接続端子部を用いた蓄電装置の一部を示す平面図である。
図17Bは、電池セルの上面側の接続端子部および電池セルの下面側の接続端子部に接合される電池セルの端子面の極性、並びに、電気的構成の概略を示す概略図である。なお、
図17Bでは、接続端子部91aの図示を省略している。
【0093】
図17Aおよび
図17Bに示すように、電池セル10aの上面側では、本技術の接続端子部91として、2つの接続端子部91aおよび3つの接続端子部91b
1が、電池列の列方向に対して略直交する方向に並置されている。電池セルの下面側では、本技術の接続端子部91として、接続端子部91b
2が、電池列の列方向に対して略直交する方向に4つ並置されている。なお、接続端子部91b
1および接続端子部91b
2を区別しない場合は接続端子部91bとする。
【0094】
接続端子部91aは、1つの電池列を構成する複数の電池セル10aの端子面と電気的に接合される。接続端子部91bは、隣り合う2つの電池列を構成する複数の電池セル10aの端子面と電気的に接合される。接合方法としては、例えば、電気抵抗溶接またはレーザー光加熱による溶接等が挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではなく従来公知の溶接方法を適宜用いることができる。
【0095】
少なくとも1つの電池列を、1つの接続端子部91aまたは1つの接続端子部91bで接続することで、抵抗値を低減でき、端子発熱を低減できる。接続端子部間の接合も単純接合で行うことができる。電池セル10aの計測端子も共通化することができる。電池列を構成する複数の電池セル10aを、1つの接続端子部で接合するので、組み立て作業を単純化でき、また、組立時の作業効率も向上できる。しかも、接合箇所も少なくできるので、組立て接合時点での電池セル10aの熱上昇を低減できる。電池セル10aが充放電時に生じる熱を、接続端子部91aおよび接続端子部91bに伝導させ放熱できる。
【0096】
図17Bに示すように、接続端子部91b
1は、電池列L2を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L3を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部91b
1は、電池列L4を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L5を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部91b
1は、電池列L6を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L7を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。
【0097】
接続端子部91b
2は、電池列L1を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L2を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191b
2は、電池列L3を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L4を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191bは、電池列L5を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L6を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。接続端子部191bは、電池列L7を構成する複数の電池セル10aの正極端子および電池列L8を構成する複数の電池セル10aの負極端子と電気的に接合される。
【0098】
図18は、本技術の接続端子部の全体の構成例を示す斜視図である。接続端子部91bは、短手方向に沿った中心線cを対称軸として、略線対称の形状を有している。長手方向の中央部において、切り欠き部99bを有する。例えば、切り欠き部99bは、例えば、円弧状等である。例えば、接続端子部91bの切り欠き部99bは、偶数電池列の一本の電池セルに略相当する空間に重なる位置に配置される。この切り欠き部99bを設けることによって、熱の伝播を抑制することができる。また、電池異常時の大電流発生時に接続端子部91が、切り欠き部99bを起点に溶断され、電流を遮断することができる。なお、接続端子部91aも同様の切り込み部99aおよび切り欠き部99bを備え、また短手方向に沿った中心線を対称軸として、略線対称の形状を有しており、上述と同様の作用効果を奏する。
【0099】
図19Aは、
図18に示す接続端子部の一部を示す斜視図である。
図19Bは、
図18に示す接続端子部の一部を示す平面図である。接続端子部91bは、2つの電池列の端子面と接続される接合部91Rと、複数の電池セル10aの電圧を検出するためサブ基板42に接続される延出部91R3とを有する。
【0100】
接合部91Rは、一の電池列の端子面と接合される第1の接合部91R1と一の電池列と隣接する他の電池列の端子面と接合される第2の接合部91R2とからなる。第1の接合部91R1は、接続端子部91bの短手方向の中心を通る長手方向に沿った中心線dによって区分された手前側(
図19Bでは左側)の略半分の部分であり、第2の接合部91R2は、同様の中心線dによって区分された奧側(
図19Bでは右側)の略半分の部分である。接合部91Rは、俵積み状の配置とされた一の電池列の端子面および他の電池列の端子面に接合される。これに対応するため、第1の接合部91R1は、第2の接合部91R2の長手方向の一端および他端のそれぞれに対して、長手方向に電池セルの外形円周の半径と略同じ長さ分延設された部分を有することが好ましい。
【0101】
延出部91R3は、接合部91Rの長手方向の一端から延出された部分である。延出部91R3は、例えば、その幅が第1の接合部91R1および第2の接合部91R2のそれぞれの幅より小とされている。この延出部91R3の先端部分がサブ基板42に接続され、センシング位置S
1とされ、例えば、各電池列の各電圧が検出される。例えば、直列に接続された電池列L1〜L8および直列に接続された電池列L9〜L16(図示省略)の各電圧がセンシングされ、各電池列の電位差がセンシングされる。
【0102】
なお、延出部91R3は、
図19Aおよび
図19Bに示す例のように、接合部91Rと一体的に形成された構成とされていてもよいし、接合部91Rと別個のものとして形成され、接合部91Rに接合された構成とされていてもよい。例えば、
図20に示すように、延出部91R3は、接合部91Rとは別個のものとして形成された、ハーネス等の導線等の電気伝導体で構成されていてもよい。
【0103】
延出部91R3は、延出部91R3の延出始端tの中心pが所定の位置にあるように設けられる。例えば、延出部91R3は、点線で示した延出部91R3の延出始端tの中心pが例えば中心線dから第1の接合部91R1側の水平方向の距離L/12の位置と第2の接合部91R2側の水平方向の距離3L/12の位置との間にあるように設けられる。なお、Lは、接続端子部91bに接合された一の電池列の中心と、一の電池列に隣接する他の電池列の中心との間の水平方向の距離である。また、上記位置の範囲は境界値の位置も含まれる(以下も同様)。
【0104】
また、より測定精度を向上できる観点から、延出部91R3は、延出部91R3の延出始端の中心pが中心線dから第1の接合部側の水平方向の距離L/12の位置と中心線dから第2の接合部側の水平方向の距離2L/12の位置との間にあるように設けられていることが好ましい。さらに測定精度を向上できる観点から、延出部91R3は、延出部91R3の延出始端の中心pが中心線dから第1の接合部91R1側の水平方向の距離L/12の位置と中心線dから第2の接合部91R2側の水平方向の距離L/12の位置との間にあるように設けられていることがより好ましい。
【0105】
このように延出部91R3を設けることで、接続端子部91bに接合された一方の電池列の電池セルとセンシング位置S
1との距離と、接続端子部91bに接合された他方の電池列の電池セルとセンシング位置S
1との距離とを、適切なものとすることができる。その結果、センシング位置S
1でセンシングされる電池セルの電圧が、接続端子部91bの抵抗による電圧降下の影響を受けることを抑制できる。
【0106】
また、接続端子部91bには、仕切り板93の突起部93aが挿通される複数の孔96が設けられている。接続端子部91bは、長手方向が電池列の列方向と平行になるように配置されている。また、接続端子部91bの長手方向に対して略垂直方向に、接続端子部91bの側端から切り込まれた1以上の切り込み部99aが形成されている。この切り込み部99aが形成されることによって、電池セル10aが異常発熱した場合の、接続端子部91bにおける熱の伝播を抑制することができる。
【0107】
この切り込み部99aは、例えば、隣接する並列に接続された電池セル10a間に対応する位置に形成されていることが好ましい。隣接する電池セル10a間に対応する位置に切り込み部99aが形成されることで、一の電池セル10aが隣接する他の電池セル10aに与える熱的影響を効果的に抑制できる。また、電池セル10aが内部ショートして並列に接続された電池セル10aから電流が流れ込むような場合にも、接続端子部91bの電気抵抗によるジュール発熱によって切り込み部99aを起点として接続端子部91bが溶断されるので、流れ込む電流を遮断することができる。また、切り込み部99aの切り込み方向は、電流が流れる方向(電池セルブロックが直列接続された方向)に対して略平行であるため、通常使用時には電流の流れを妨げず、異常時のみ異方向への電流の流れを妨げることができる。
【0108】
(試験例)
以下の試験例では、上述した延出部91R3の延出始端tの中心pの最適な位置について検証した結果について説明する。
図21に示すように、2つの電池列が接合された接続端子部において、2つ電池列の中心間の距離Lを12区間に均等に分割して設定した接続端子部のポイント0〜11(ポイントX)について、ポイントAとポイントXとの間の抵抗値、ポイントXとポイントBとの間の抵抗値を測定した。測定結果を表1に示す。また、測定結果をまとめたグラフを
図22に示す。
【0110】
表1および
図22に示すように、ポイントXが、中心線dから第1の接合部側の水平距離L/12の位置と、中心線dから第2の接合部側の水平距離3L/12の位置との間にある場合には、抵抗値の差が少ないため、好ましいことが確認できた。さらに、ポイントXが、中心線dからの第1の接合部側の水平距離がL/12の位置と、中心線dからの第2の接合部側の水平距離が2L/12の位置との間にある場合には、抵抗値の差がより少ないため、より好ましいことが確認できた。さらに、ポイントXが、中心線dからの第1の接合部側の水平距離がL/12の位置と、中心線dからの第2の接合部側の水平距離がL/12の位置との間にある場合には、抵抗値の差が特に少ないため、特に好ましいことが確認できた。
【0111】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態による蓄電装置の構成例について説明する。第2の実施の形態による蓄電装置は接続端子部が異なる構造をとること以外、第1の実施の形態と同様である。したがって、以下では、接続端子部の構造について説明し、その他は第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0112】
(接続端子部)
図23は、接続端子部の一部を示す平面図である。第1の実施の形態と同様、接続端子部91bは、2つの電池列の端子面と接続される。接続端子部91bは、接合部91Rと、延出部91R3とを有する。接合部91Rは、一の電池列の端子面と接合される第1の接合部91R1と一の電池列と隣接する他の電池列の端子面と接合される第2の接合部91R2とからなる。
【0113】
延出部91R3は、第1の接合部91R1の長手方向の一端および第2の接合部91R2の長手方向の一端のそれぞれから延出され、結合されて一つにされた構造を有する。第2の実施の形態では、一つの接続端子部91bに接合された2つの電池列のうちの一の電池列の電池セルとセンシング位置との距離、並びに、他の電池列の電池セルとセンシング位置との距離に大きな差が生じないようにすることができる。その結果、電圧センシングの精度をより向上できる。
【0114】
3.他の実施の形態
本技術は、上述した本技術の実施の形態に限定されるものでは無く、本技術の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0115】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等を用いてもよい。例えば、複数の突起部、複数の孔は、1の突起部、1の孔であってもよい。
【0116】
また、上述の実施の形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0117】
上述の第1の実施の形態では、外装ケース20に収容された電池ユニットの数が2つの例について説明したが、外装ケース20に収容される電池ユニットの数は2つに限定されるものではない。例えば、外装ケースに収容される電池ユニットは、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、蓄電装置は、トップケース61aの上面部が水平方向に向く縦置き状態で、水平方向に3段以上積層されて外装ケース20に収容されていてもよい。また、例えば、蓄電装置は、トップケース61aの上面部が垂直方向に向く横置き状態で、水平方向に3段以上積層されて外装ケース20に収容されていてもよい。また、ボトムケース61bの底面部をトップケース61aの上面部と同様の構成にしてもよい。また、外装ケース20に、トップケース61aの上面部およびボトムケース61bの底面部が垂直方向に向くように置かれ、水平方向に2段以上積層された2つの電池ユニット51および52が収容された構成としてもよい。また、例えば、接合端子部は、3列以上の電池列の端子面が接合される構成としてもよい。
【0118】
なお、本技術の蓄電装置は、以下の構成をとることもできる。
[1]
列状に配置された複数の電池セルからなる複数の電池列が、列方向に対して略直交する方向に並置された電池ブロック群と、
少なくとも2つの前記電池列を構成する複数の電池セルの端子面に接合され、長手方向が前記電池列の列方向に対して平行に配置された接続端子部と
を備え、
前記接続端子部は、一の電池列が接合される第1の接合部および前記一の電池列に隣接する他の電池列が接合される第2の接合部からなる接合部と、
前記接合部の長手方向の一端から延出された延出部と
を有し、
前記一の電池列および前記他の電池列の2つの電池列間の水平方向の距離をLとすると共に前記電池列間の中心を通る中心線を設定した場合において、
前記延出部の延出始端の中心は、前記中心線から第1の接合部側の水平方向の距離L/12の位置と、前記中心線から第2の接合部側の水平方向の距離3L/12の位置との間にある組電池。
[2]
前記延出部の延出始端の中心は、前記中心線から第1の接合部側の水平方向の距離L/12の位置と、前記中心線から第2の接合部側の水平方向の距離2L/12の位置との間にある[1]に記載の組電池。
[3]
前記延出部の延出始端の中心は、前記中心線から第1の接合部側の水平方向の距離L/12の位置と、前記中心線から第2の接合部側の水平方向の距離L/12の位置との間にある[1]に記載の組電池。
[4]
隣り合う2つの前記電池列が、互いに電池セルの外径円周の半径と略同じ長さで、列方向にずらされている俵積み状の配置とされた[1]〜[3]の何れかに記載の組電池。
[5]
前記第1の接合部は、前記第2の接合部の長手方向の一端および他端のそれぞれに対して、長手方向に電池セルの外形円周の半径と略同じ長さ分延設された部分を有する[4]に記載の組電池。
[6]
前記延出部は、前記複数の電池セルの電圧検出がなされる基板に接続される[1]〜[5]の何れかに記載の組電池。
[7]
前記延出部は、前記接合部と一体的に形成されたものである[1]〜[6]の何れかに記載の組電池。
[8]
前記延出部は、前記接合部と別個のものとして形成されて前記接合部に接合された電気伝導体である[1]〜[7]の何れかに記載の組電池。
[9]
前記電気伝導体は、導線である[8]に記載の組電池。
[10]
列状に配置された複数の電池セルからなる複数の電池列が、列方向に対して略直交する方向に並置された電池ブロック群と、
少なくとも2つの前記電池列を構成する複数の電池セルの端子面に接合され、長手方向が前記電池列の列方向に対して平行に配置された接続端子部と
を備え、
前記接続端子部は、一の電池列が接合される第1の接合部および前記一の電池列に隣接する他の電池列が接合される第2の接合部からなる接合部と、
前記第1の接合部の長手方向の一端および前記第2の接合部の長手方向の一端のそれぞれから延出され、結合されて一つにされた延出部と
を有する組電池。
[11]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池を備えた蓄電装置。
[12]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
[13]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池を有し、前記組電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
[14]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池から、電力の供給を受ける電子機器。
[15]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両。
[16]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、
前記送受信部が受信した情報に基づき、[1]〜[10]の何れかに記載の組電池の充放電制御を行う電力システム。
[17]
[1]〜[10]の何れかに記載の組電池から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から前記組電池に電力を供給する電力システム。
【0119】
4.応用例
以下、組電池を備えた蓄電装置の応用例について説明する。なお、蓄電装置の応用例は、以下に説明する応用例に限られることはない。
【0120】
本技術は、上述した蓄電装置の組電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システムである。本技術は、上述した蓄電装置の組電池を有し、蓄電装置の組電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。本技術は、上述した蓄電装置の組電池から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの電子機器および電力システムは、例えば住宅の電力供給システムとして実施される。さらに、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。さらに、本技術は、上述した蓄電装置の組電池から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置の組電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。本技術は、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の組電池の充放電制御を行う電力システムである。本技術は、上述した蓄電装置の組電池から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置の組電池に電力を供給する電力システムである。
【0121】
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本技術を住宅用の蓄電システムに適用した例について、
図24を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0122】
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池、風車等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置であるエアコン105b、テレビジョン受信機であるテレビ105c、風呂であるバス105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。電動車両106は、電動アシスト自転車等でもよい。
【0123】
蓄電装置103は、二次電池等から構成された組電池を備える。例えば、組電池は、リチウムイオン二次電池によって構成されている。この蓄電装置103に対して、上述した本技術の蓄電装置1が適用可能とされる。1または複数の蓄電装置1が適用可能である。スマートメータ107は、商用電力の使用量を検出し、検出された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0124】
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0125】
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インタフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0126】
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0127】
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、発電装置104、電力消費装置105、各種センサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0128】
以上のように、電力が火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102のみならず、発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0129】
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0130】
「応用例としての車両における蓄電システム」
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、
図25を参照して説明する。
図25に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0131】
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本技術の蓄電装置1が適用される。蓄電装置1が1または複数適用される。
【0132】
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等が含まれる。
【0133】
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
【0134】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
【0135】
バッテリー208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0136】
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
【0137】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用できる。