(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの構成>
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100は、
図1から
図4に示されるように、主に、本体110、調理羽根150(
図4参照)、ワークボウル160、蓋体170、電源コード181(
図3参照)および電源プラグ182から構成されている。以下、これらの構成部品についてそれぞれ詳述する。
【0019】
1.本体
本体110は、
図1から
図4に示されるように、主に、外装体111、操作パネル131、モータ132、回転シャフト133、軸受機構135(142)、ベルト伝達機構134、ワークコイル137および電装品ユニット136から構成される。以下、これらの構成部品について詳述する。
【0020】
(1)外装体
外装体111は、樹脂成形体であって、
図1から
図4に示されるように、主に、第1筐体部112、第2筐体部113および加熱テーブル114から構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0021】
第1筐体部112は、樹脂成形体であって、
図1から
図4に示されるように、平面視において略三日月形状を呈する有底の筒状体であり、内部に収容空間SP1を有する。この収容空間SP1には、
図4に示されるように、主に、モータ132およびモータ側プーリ134b等が収容されている。
【0022】
第2筐体部113は、樹脂成形体であって、
図1から
図4に示されるように、平面視において略円形状を呈する有底の形状であり、内部に収容空間SP2を有する。この第2筐体部113は、
図1から
図4に示されるように、第1筐体部112の下部と接合されている。なお、本実施の形態において、収容空間SP2は、第1筐体部112の収容空間SP1と連通しており、一つの収容空間を形成している。また、この収容空間SP2には、
図4に示されるように、主に、電装品ユニット136、下側ボールベアリング142、シャフト側プーリ134a等が収容されている。
【0023】
加熱テーブル114は、樹脂成形体であって、
図2および
図4に示されるように、主に、大径円筒部114A、小径円筒部114Bおよび開口部114Cから構成されている。大径円筒部114Aは、有蓋の円筒体であって、
図2に示されるように、第2筐体部113の上側の開口を覆うように配設されている。そして、この大径円筒部114Aには、
図4に示されるようにワークコイル137が収容されている。なお、この大径円筒部114Aには、
図2および
図4に示されるように、平面視において略中央付近にD字状の浅い窪みを有する。また、この大径円筒部114Aの側壁には、
図2に示されるように、後述する容器カバー166を取り付けるための切欠部114bが3つ形成されている。なお、この切欠部114bは、大径円筒部114Aの上面に開口する部分(以下「上面開口部分」という)と横溝部分から形成されている。横溝部分の片側は上面開口部分に連通しており、横溝部分のもう片側は閉塞されている。なお、容器カバー166をこの加熱テーブル114に装着する場合、容器カバー166の下端部内周面に形成されている爪部166c(
図4参照)を、上面開口部分に差し込んだ後、容器カバー166を横溝部分の閉塞側に向かう方向に回転させる。なお、上面開口部分から横溝部分の閉塞側に向かう方向は、回転シャフト133の回転方向と一致している。このため、容器カバー166は常に横溝部分の閉塞側でその動きが規制されることになり、回転シャフト133の回転につられて容器カバー166が回転し出すようなことはない。小径円筒部114Bは、大径円筒部114Aよりも小径の円筒体であって、
図2および
図4に示されるように、大径円筒部114Aの中央部から上方および下方に向かって延びている。そして、この小径円筒部114Bには、
図4に示されるように軸受機構135および回転シャフト133の一部が収容されている。なお、本実施の形態において、小径円筒部114Bの中心軸は、大径円筒部114Aの中心軸と一致している。そして、この小径円筒部114Bは、加熱テーブル114に対するワークボウル160の位置決めの役目を担っているのみならず、ワークボウル160から含水調理物等が漏れ出した場合に、その含水調理物を内部に侵入させない役割を担っている。開口部114Cは、温度センサ114aを挿通するための開口を有しており、大径円筒部114AのD字状の窪みの縁付近に配設されている。なお、この温度センサ114aは、出没可能なように、バネ等によって上方に向かって付勢されている。また、この温度センサ114aの下方には、調理容器検知センサ114bが配設されている。そして、調理容器161によって温度センサ114aが押し下げられると、温度センサ114aの後端が調理容器検知センサ114bに接触し、調理容器検知センサ114bが電装ユニット136のマイクロコンピュータ136Aに検知信号を送信する。
【0024】
(2)操作パネル
操作パネル131は、
図1から
図4に示されるように、第2筐体部113の正面部に配設されている。この操作パネル131には、
図5に示されるように「きざむ」ボタン131aや、「飲むスープ」ボタン131b、「食べるスープ」ボタン131c、「あたため再加熱」ボタン131d、「一時停止」ボタン131e、「取消」ボタン131f等、種々の操作ボタンが配置されている(
図5参照)。「きざむ」ボタン131aは、加熱することなく食材を切断するときに使用するボタンである。「飲むスープ」ボタン131bは、例えば、ポタージュスープ等の比較的きめが細かく流動性が低いスープを調理するときに使用するボタンである。「食べるスープ」ボタン131cは、例えば、ミネストローネ等の比較的きめが粗く流動性が高いスープを調理するときに使用するボタンである。「あたため再加熱」ボタン131dは、一度冷えてしまったスープを温め直すときに使用するボタンである。「一時停止」ボタン131eは、「きざむ」処理や、「飲むスープ」調理処理、「食べるスープ」調理処理、「あたため再加熱」処理を一時的に中断するときに使用するボタンである。「取消」ボタン131fは、一度押したボタンに対応する処理を取り消す際に使用するボタンである。なお、この操作パネル131は、
図4に示されるように、電装品ユニット136に組み込まれている。このため、使用者によって操作パネル131の各種操作ボタン131a〜131fが押圧されると、電装品ユニット136は、モータ132やワークコイル137等に対し、その操作ボタンに対応する制御を実行する(
図5参照)。
【0025】
(3)モータ
モータ132は、通常の電動機であって、
図4に示されるように、外装体111の第1筐体部112の収容空間SP1の上部に配設されている。このモータ132は、
図4に示されるように、回転シャフト132aが下方に向かって延びるように設置されている。また、このモータ132は、電装品ユニット136に配設されるインバータ回路(図示せず)を介してマイクロコンピュータ136A等に接続されている。すなわち、このフードプロセッサ100では、マイクロコンピュータ136Aによってモータ132の回転数を制御することができる。
【0026】
(4)回転シャフト
回転シャフト133は、
図4に示されるように、主に、芯部133aおよび調理羽根取付部133bから形成される。芯部133aは、
図4に示されるように、第2筐体部113の収容空間SP2から加熱テーブル114の小径円筒部114Bを貫通して上方に延びている。なお、この芯部133aは、
図4に示されるように、上側ボールベアリング141および下側ボールベアリング142によって回転自在に軸支されている。調理羽根取付部133bは、芯部133aの上端部の外周を覆うようにして芯部133aの上端部に固定されている。調理羽根取付部133bは、芯部133aの上方に延びている。また、この調理羽根取付部133bには、
図2に示されるように、切欠部133cが形成されている。この切欠部133cには、調理羽根150の内側突起部151cが嵌め込まれる。このような嵌込構造によって、調理羽根150が回転シャフト133と共に回転する。
【0027】
(5)軸受機構
軸受機構135は、
図4に示されるように、主に、上側ボールベアリング141、下側ボールベアリング142およびベアリング支持部材143から構成されている。
図4に示されるように、上側ボールベアリング141は加熱テーブル114の小径円筒部114Bの上端部に配設され、下側ボールベアリング142は加熱テーブル114の小径円筒部114Bの下端部に配設されている。ベアリング支持部材143は、フェライト製の筒状体であって、上側ボールベアリング141と下側ボールベアリング142の間に配設されており、上側ボールベアリング141および下側ボールベアリング142に結合されている。
【0028】
(6)ベルト伝達機構
ベルト伝達機構134は、
図4に示されるように、主に、シャフト側プーリ134a、モータ側プーリ134bおよびベルト134cから構成されている。シャフト側プーリ134aは、
図4に示されるように、回転シャフト133の芯部133aの下端部に取り付けられている。モータ側プーリ134bは、
図4に示されるように、モータ132の回転シャフト132aの先端部、すなわち下端部に取り付けられている。ベルト134cは、シャフト側プーリ134aとモータ側プーリ134bとに架け渡されている。このため、モータ132が駆動されると、その回転駆動力は、モータ側プーリ134b、ベルト134cおよびシャフト側プーリ134aを介して回転シャフト133に伝達される。そして、モータ132の回転駆動力が回転シャフト133に伝達されると、回転シャフト133の上部に嵌め込まれる調理羽根150が回転する。
【0029】
(7)ワークコイル
ワークコイル137は、
図4に示されるように、加熱テーブル114の大径円筒部114Aに収容されている。そして、このワークコイル137は、通電されることによって磁束を発生させ、その磁束によって調理容器161(後述)を自己発熱させる。また、このワークコイル137は、電装品ユニット136に配設される電力制御回路(後述)を介してマイクロコンピュータ136A等に接続されている。すなわち、このフードプロセッサ100では、マイクロコンピュータ136Aによってワークコイル137への出力(電力)を制御することができる。
【0030】
(8)電装品ユニット
電装品ユニット136は、
図5に示されるように、主に、マイクロコンピュータ136A、タイマー136B、インバータ回路136Cおよび電力制御回路(図示せず)等から構成されている。そして、この電装品ユニット136は、
図5に示されるように、温度センサ114a、操作パネル131の各種操作ボタン131a〜131f、モータ132、ワークコイル137等に通信接続されており、電源制御を行ったり、温度センサ114aから取得される温度情報やタイマー136Bの時間情報などに基づいてワークコイル137やモータ132の出力制御を行ったりする。
【0031】
2.調理羽根
調理羽根150は、
図4に示されるように、主に、本体部151および一対の回転刃152から構成される。本体部151は、
図4に示されるように、二重筒構造体であって、主に、内筒151aおよび外筒151bから形成されている。内筒151aは、
図4に示されるように、内径が回転シャフト133の調理羽根取付部133bの外径とほぼ等しく、回転シャフト133の上部に嵌め込まれる。なお、この内筒151aの外径は、調理容器161(後述)の略中央に設けられる回転シャフト挿通筒161dの内径よりも小さい。すなわち、内筒151aは、ワークボウル160が加熱テーブル114に設置された後に調理羽根150が回転シャフト133に嵌め込まれるとき、回転シャフト挿通筒161dの内側に入り込む(
図4参照)。また、この内筒151aには、内周面から内側に向かって突起する内側突起部151cが形成されている。この内側突起部151cは、上述の通り、回転シャフト133の切欠部133cに嵌め込まれる。外筒151bは、
図4に示されるように、ワークボウル160が加熱テーブル114に設置され且つ調理羽根150の内筒151aが回転シャフト133の上部に嵌め込まれた状態において、回転シャフト挿通筒161dの外側を覆う。すなわち、外筒151bの内径は、
図4に示されるように、回転シャフト挿通筒161dの外径よりも大きい。回転刃152は、
図4に示されるように、本体部151の外筒151bの上下方向の下側と、上下方向の中央よりやや下側とにおいて外方に延びるように取り付けられている。なお、この一対の回転刃152は、平面視において、調理羽根150の回転軸を挟んで対向している。
【0032】
3.ワークボウル
ワークボウル160は、
図2および
図4に示されるように、主に、調理容器161および容器カバー166から構成されている。なお、本実施の形態において、容器カバー166は、調理容器161に対して着脱自在な構造とされている。以下、調理容器161および容器カバー166ならびに調理容器161に対する容器カバー166の着脱方法について詳述する。
【0033】
(1)調理容器
調理容器161は、ステンレス等の電磁誘導加熱可能な金属製容器であって、
図2および
図4に示されるように、主に、側壁部161a、底壁部161b、フランジ部161c、回転シャフト挿通筒161dおよびリブ部161eから形成されている。側壁部161aは、円筒形状を呈している。底壁部161bは、円環板形状を呈している。すなわち、この底壁部161bの中央部には、開口が形成されている。この底壁部161bは、外縁で側壁部161aと接合されている。フランジ部161cは、
図2および
図4に示されるように、側壁部161aの上端から略水平方向外側に向かって延びている。回転シャフト挿通筒161dは、円筒形状を呈する部材であって、底壁部161bの開口の縁部分に接合されている。調理容器161が本体110の加熱テーブル114に設置されたとき、この回転シャフト挿通筒161dには、回転シャフト133が挿通される。リブ部161eは、
図2および
図4に示されるように、側壁部161aの外周面から外側に向かって突起している。このリブ部161eは、
図2に示されるように、側壁部161aの高さ方向中央よりもやや下側の位置において周方向に沿って一定間隔で複数設けられている。
【0034】
(2)容器カバー
容器カバー166は、熱伝導性が低い樹脂成形品であって、
図2および
図4に示されるように、主に、側壁部166a、取っ手166bおよびリブ部166eから形成されている。側壁部166aは、円筒形状を呈している。なお、この側壁部166aの直径は調理容器161の側壁部161aの直径よりも大きくされており、調理容器161に容器カバー166が装着された状態において、調理容器161の側壁部161aの外周面と、容器カバー166の側壁部166aの内周面との間に略円筒状の隙間(以下「円筒隙間」という)Cr1が生じる。また、本実施の形態において、この円筒隙間Cr1は、調理容器161のリブ部161eおよび容器カバー166のリブ部166eによって一定に保たれている。また、この側壁部166aは、
図4に示されるように、調理容器161に容器カバー166が装着された状態において調理容器161の底壁部161bの下面よりも更に下方に延びている。また、上述した通り、この容器カバー166の下端部の内周面には内側に突起する爪部166cが形成されている。そして、この爪部166cが加熱テーブル114の切欠部114bに嵌め込まれた状態において、調理容器161の底壁部161bの下面と、加熱テーブル114の上面との間には略円環状の隙間(以下「円環隙間」という)Cr2が生じる。取っ手166bは、
図4に示されるように、略「コ」の字状の部材であって、側壁部166aに取り付けられている。リブ部166eは、
図4に示されるように、側壁部166aの内周面から内側に向かって突起している。このリブ部166eは、
図4に示されるように、側壁部166aの高さ方向中央よりもやや下側の位置において周方向に沿って一定間隔で複数設けられている。また、このリブ部166eは、
図4に示されるように、調理容器161に容器カバー166が装着された状態で、調理容器161のリブ部161eよりも僅かに上側に位置するように設計されている。
【0035】
(3)調理容器に対する容器カバーの着脱方法
先ず、調理容器161に容器カバー166を装着する方法について説明する。
最初に、容器カバー166を蓋装着側が上側を向くようにして台の上に置く。次に、容器カバー166の側壁部166aの内孔に、底壁部側から調理容器161を挿入する。すると、調理容器161のリブ部161eが容器カバー166のリブ部166eの上側部分に当接する。そして、そのまま調理容器161に上から外力をかけていくと、容器カバー166が僅かに変形し、調理容器161のリブ部161eが容器カバー166のリブ部166eを乗り越えて容器カバー166のリブ部166eの下側に位置する。これと同時に、調理容器161のフランジ部161cが容器カバー166の上端側部分に当接する。このようにして、調理容器161に対して容器カバー166が装着される。なお、最初に、調理容器161を底壁部側が上側を向くようにして台の上に置き、容器カバー166を蓋装着側が下側を向くようにして調理容器161に嵌め込んでもかまわない。
【0036】
次に、調理容器161から容器カバー166を取り外す方法について説明する。
容器カバー付調理容器を開口側が下側を向くようにして台の上に置き、調理容器161の底壁部161bを押圧しがら、容器カバー166を上方に引き上げる。このようにして調理容器161から容器カバー166が取り外される。片手で容器カバー166を固定した状態で、調理容器161を下に押し下げて、調理容器161から容器カバー166を取り外してもよい。
【0037】
4.蓋体
蓋体170は、
図1から
図3に示されるように、主に、蓋部171、取っ手172および蒸気孔173から構成されている。蓋部171は、
図1から
図3に示されるように、円盤状の部材である。なお、この蓋部171には、周囲を覆うように円環状のパッキン174が取り付けられている。取っ手172は、
図1から
図3に示されるように、平面視において楕円形の突起物であって、蓋部171の中央に取り付けられている。蒸気孔173は、蓋部171を貫通する孔であって、
図1から4に示されるように、蓋部171の外周部分に形成されている。
【0038】
5.電源コードおよび電源プラグ
電源コード181は、
図3に示されるように、第1筐体部112の側面から外方に向かって延びている。電源プラグ182は、
図3に示されるように、電源コード181の先端に取り付けられている。
【0039】
<本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの使用方法とその動作態様>
先ず、上述の調理容器に対する容器カバーの装着方法に従って調理容器161に容器カバー166を装着してワークボウル160を形成する。次に、上述の通りにしてワークボウル160を本体110の加熱テーブル114に装着する。なお、このとき、調理容器161の底壁部161bに温度センサ114aが当接し、温度センサ114aが僅かに押し下げられ、温度センサ114aの後端が調理容器検知センサ114bに接触し、調理容器検知センサ114bが電装ユニット136に検知信号を送信する。次いで、ワークボウル160の回転シャフト挿通筒161dに調理羽根150を嵌め込む。続いて、ワークボウル160内に調理具材および水や牛乳等の液体等を投入する。そして、ワークボウル160に蓋体170を装着する。最後に操作パネル131において所望の操作ボタン131a〜131dを押圧して、調理を開始する。調理が開始されると調理羽根150が回転して調理物を切断したり、ワークコイル137による電磁誘導加熱によって調理物が加熱されたりする。
【0040】
以下、使用者によって「飲むスープ」ボタン131bが押された場合、「食べるスープ」ボタン131cが押された場合、「あたため再加熱」ボタン131dが押された場合のフードプロセッサの各動作について詳述する。なお、使用者がこれらの操作ボタン131b〜131dを押した後に、「一時停止」ボタン131eを押すと調理処理または再加熱処理が一時停止し、「取消」ボタン131fを押すと調理処理または再加熱処理が完全に停止される。また、調理容器検知センサ114bによって調理容器161が検出されなくなると、それ以降の工程は自動的に全て取り消される。
【0041】
1.「飲むスープ」ボタンが押された場合のフードプロセッサの動作
先ず、使用者によって「飲むスープ」ボタン131bが押されると、マイクロコンピュータ136Aによって、確認工程、予備加熱工程、予備切断工程、仕上げ工程、第1保温工程、再加熱工程および第2保温工程が順に実行される(
図6参照)。以下、各工程におけるフードプロセッサの動作態様について詳述する。
【0042】
(1)確認工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、温度センサ114aから調理容器161の温度の情報を取得する。そして、調理容器161の温度が所定の閾値以下であれば、マイクロコンピュータ136Aは、t31秒間だけモータ132を高速回転させる。なお、この高速回転は、蓋体170が正常に取り付けられているか否かを確認するために行われている。すなわち、蓋体170が正常に装着されている場合は蓋体170から水等の液体が漏れ出すことがなく、蓋体170が正常に装着されていない場合はシール部分から水等の液体が漏れ出す。後者の場合、使用者は、蓋体170を装着し直したり、パッキンの装着を確認したりする。また、かかる場合、本工程開始時点からt11(>t31)秒間は、ワークコイル137に通電がなされない。一方、調理容器161の温度が所定の閾値を超えていた場合、マイクロコンピュータ136Aは、以降の工程を全て取り消す。
【0043】
(2)予備加熱工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、モータ132を停止させた状態で本工程開始時点からt12秒経過するまでの間、ワークコイル137に100%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱する。この際、マイクロコンピュータ136Aは、温度上昇速度の情報に基づいて空焚き検知を実行する。そして、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了後も引き続いて、ワークコイル137に100%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱するが、温度センサ114aからの温度値Tが第1閾値Ts11以上になったか、t12秒経過時点から更にt13秒が経過したときに本工程を終了させる。
【0044】
なお、本工程において、加熱時間t12,t13や、加熱停止温度条件である第1閾値Ts11は、予備切断工程において回転刃152が具材をほぼ均一に切断することができる状態になるのに必要な程度の時間を目安として決定されている。
【0045】
(3)予備切断工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、モータ132を低速で間欠運転させた状態(tn:オン時間,tf:オフ時間)でワークコイル137に100%の電力を投入する。そして、マイクロコンピュータ136Aは、温度センサ114aからの温度値Tが第2閾値Ts12以上になったか、本工程開始時点からt14秒が経過したときに本動作を終了させる。そして、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了後も引き続いて、モータ132を低速で間欠運転させた状態(tn:オン時間,tf:オフ時間)で前動作終了時点からt15秒が経過するまでの間、ワークコイル137に70%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続ける。マイクロコンピュータ136Aは、その後も、モータ132を低速で間欠運転させた状態(tn:オン時間,tf:オフ時間)で前動作終了時点からt16秒が経過するまでの間、ワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材をさらに加熱し続ける。
【0046】
なお、本工程において、回転刃152の回転時間であるモータ132のオン時間tnやオフ時間tfは、仕上げ工程において具材を芯まで加熱することができる大きさにまで切断するのに必要な程度の時間や、調理容器161の底面に焦げ付きを生じさせない程度のタイミング等を考慮して決定されている。また、加熱時間t14,t15,t16や、加熱停止温度条件である第2閾値Ts13は、切断された食材の芯にまで火が通る程度を目安として決定されている。
【0047】
(4)仕上げ工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、ワークコイル137に50%の電力を投入させた状態でモータ132を連続運転に切り換え、その後、本工程開始時点からt17秒が経過する時点までモータ132の回転数を徐々に速める。なお、このとき、モータ132の駆動時間はt32(<t17)に設定されている。そして、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了時点からt18秒の間、ワークコイル137への通電を停止させる共にモータ132を停止させる。
【0048】
(5)第1保温工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、本工程開始時点からt19秒経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を保温する。
【0049】
(6)再加熱工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、モータ132を低速で間欠運転させた状態(tn:オン時間,tf:オフ時間)でワークコイル137に100%の電力を投入する。そして、マイクロコンピュータ136Aは、温度センサ114aからの温度値Tが第3閾値Ts13以上になったか、本工程開始時点からt20秒が経過したときに本動作を終了させる。その後、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了時点からt21秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続ける。
【0050】
(7)第2保温工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、第1保温工程と同様に、本工程開始時点からt22秒経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を保温する。
【0051】
2.「食べるスープ」ボタンが押された場合のフードプロセッサの動作
使用者によって「食べるスープ」ボタン131cが押されると、マイクロコンピュータ136Aによって本加熱工程、第1保温工程、再加熱工程および第2保温工程が順に実行される(
図7参照)。以下、各工程におけるフードプロセッサの動作態様について詳述する。
【0052】
(1)本加熱工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、温度センサ114aから調理容器161の温度の情報を取得する。そして、調理容器161の温度が所定の閾値以下であれば、マイクロコンピュータ136Aは、t51秒間だけモータ132を高速回転させる。なお、この高速回転は、蓋体170が正常に取り付けられているか否かを確認するために行われている。すなわち、蓋体170が正常に装着されている場合は蓋体170から水等の液体が漏れ出すことがなく、蓋体170が正常に装着されていない場合はシール部分から水等の液体が漏れ出す。後者の場合、使用者は、蓋体170を装着し直したり、パッキンの装着を確認したりする。また、かかる場合、本工程開始時点からt41(>t51)秒間は、ワークコイル137に通電がなされない。一方、調理容器161の温度が所定の閾値を超えていた場合、マイクロコンピュータ136Aは、以降の工程を全て取り消す。マイクロコンピュータ136Aは、次に、前動作終了後からt42秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に100%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱する。この際、マイクロコンピュータ136Aは、温度上昇速度の情報に基づいて空焚き検知を実行する。そして、マイクロコンピュータ136Aは、前動作開始時点からt42秒が経過した後も引き続き、ワークコイル137に100%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続けるが、温度センサ114aからの温度値Tが第4閾値Ts41以上になったか、t42秒経過時点から更にt43秒が経過したときに本動作を終了させる。マイクロコンピュータ136Aは、次いで、前動作終了時点からt44秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に80%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続ける。マイクロコンピュータ136Aは、続けて、前動作終了時点からt45秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材をさらに加熱し続ける。そして、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了時点からt46秒の間、ワークコイル137への通電を停止させる。
【0053】
(2)第1保温工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、本工程開始時点からt47秒経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を保温する。
【0054】
(3)再加熱工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に100%の電力を投入する。そして、マイクロコンピュータ136Aは、温度センサ114aからの温度値Tが第5閾値Ts42以上になったか、本工程開始時点からt48秒が経過したときに本動作を終了させる。その後、マイクロコンピュータ136Aは、前動作終了時点からt49秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続ける。
【0055】
(4)第2保温工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、第1保温工程と同様に、本工程開始時点からt50秒経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を保温する。
【0056】
3.「あたため再加熱」ボタンが押された場合のフードプロセッサの動作
使用者によって「あたため再加熱」ボタン131dが押されると、マイクロコンピュータ136Aによって本加熱工程および保温工程が順に実行される(
図8参照)。以下、各工程におけるフードプロセッサの動作態様について詳述する。
【0057】
(1)本加熱工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、先ず、温度センサ114aから調理容器161の温度の情報を取得する。そして、調理容器161の温度が所定の閾値以下であれば、マイクロコンピュータ136Aは、ワークコイル137に100%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱する。一方、調理容器161の温度が所定の閾値を超えていた場合、マイクロコンピュータ136Aは、以降の工程を全て取り消す。そして、マイクロコンピュータ136Aは、温度センサ114aからの温度値Tが第6閾値Ts61以上になったか、本動作開始時点からt61秒が経過したときに本動作を終了させる。マイクロコンピュータ136Aは、次いで、前動作終了時点からt62秒が経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を加熱し続ける。
【0058】
(2)保温工程
本工程では、マイクロコンピュータ136Aは、本工程開始時点からt63秒経過するまでの間、モータ132を停止させた状態でワークコイル137に50%の電力を投入して、調理容器161内の具材を保温する。
【0059】
<本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、飲むスープ製造時の確認工程や食べるスープ製造時の本加熱工程において蓋体170の装着状態を確認するために、所定時間、回転刃152が高速回転される。このため、このとき具材が多少なりとも切断される。したがって、このフードプロセッサ100では、次工程において多少なりとも具材に火を通しやすくすることができる。
【0060】
(2)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、飲むスープ製造時において具材が所定温度まで加熱されて柔らかくされてから切断される。このため、このフードプロセッサ100では、具材を飛び散らせることなく具材を切断することができる。
【0061】
(3)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、飲むスープ製造時の予備切断工程において芯まで加熱することができる大きさにまで具材が切断される。このため、このフードプロセッサ100では、予備切断工程において具材を細かく均一に加工することができる。
【0062】
(4)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、飲むスープ製造時の仕上げ工程においてモータ132の回転数が徐々に速められる。このため、このフードプロセッサ100では、仕上げ工程における具材の飛び散りを抑制することができる。
【0063】
(5)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、複数の工程を経て飲むスープや食べるスープが製造される。このため、このフードプロセッサ100では、具材を吹き零れさせることなく綺麗にスープを製造することができると共に、比較的短時間でスープを製造することができる。
【0064】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係るフードプロセッサ100では回転刃152すなわちモータ132の回転数制御にインバータ回路を利用したが、変速機を利用してもよい。
【0065】
(B)
先の実施の形態に係るフードプロセッサ100では加熱手段として誘導加熱が利用されたが、抵抗加熱が利用されてもよい。