(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱源機の筐体内において燃焼装置および送風装置を取り囲むように防音材が配置される場合、多くの防音材が配置されるため、熱源機の小型化および低コスト化が妨げられるという問題がある。また、上記公報に開示された給湯器では、燃焼装置において燃焼ガスの燃焼時に発生する騒音および送風装置においてファンの回転により発生する騒音が筐体の前面から熱源機外に漏れることを十分に抑制できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、熱源機の小型化および低コスト化を図ることができ、かつ燃焼装置および送風装置による騒音が筐体の前面から熱源機外に漏れることを十分に抑制できる熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱源機は、燃焼ガスの潜熱を回収可能な熱源機であって、筐体と、燃焼装置と、送風装置と、熱交換器と、中和器と、コントローラと、第1の防音材とを備えている。筐体は、前面と前面の両端にそれぞれ配置された第1および第2の側面とを有する。燃焼装置は筐体内に配置されており、かつ燃焼ガスを供給するためのものである。送風装置は筐体内に配置されており、かつ燃焼装置に燃焼用の空気を供給するためのものである。熱交換器は筐体内に配置されており、かつ燃焼装置によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためものである。中和器は、筐体内において燃焼装置および送風装置の各々と前面との間に配置されており、かつ熱交換器で燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを中和するためのものである。コントローラは筐体内において中和器と前面との間に配置されており、前面側から見たときに中和器と第1の側面との間の領域に重なるように配置されており、かつ燃焼装置および送風装置を制御するためのものである。第1の防音材は、筐体内において中和器と第2の側面との間に配置されている。
【0008】
本発明の熱源機によれば、中和器は筐体内において燃焼装置および送風装置の各々と前面との間に配置されており、コントローラは筐体内において中和器と前面との間に配置されている。このため、燃焼装置および送風装置による騒音が中和器に加えてコントローラによって遮音される。そのため、燃焼装置および送風装置による騒音が前面に伝わることが抑制される。したがって、燃焼装置および送風装置を取り囲むように防音材を配置しなくても燃焼装置および送風装置による騒音が前面に伝わることを抑制できる。これにより、防音材を少なくすることができるため、熱源機の小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、コントローラは前面側から見たときに中和器と第1の側面との間の領域に重なるように配置されている。このため、中和器と第1の側面との間の領域を通って前面に伝わる燃焼装置および送風装置による騒音がコントローラによって遮音される。そのため、燃焼装置および送風装置による騒音が中和器と第1の側面との間の領域を通って前面に伝わることを抑制できる。また、第1の防音材は、筐体内において中和器と第2の側面との間に配置されている。このため、中和器と第2の側面との間を通って前面に伝わる騒音が第1の防音材によって遮音される。そのため、燃焼装置および送風装置による騒音が中和器と第2の側面との間の領域を通って前面に伝わることを抑制できる。以上より、燃焼装置および送風装置による騒音が前面から熱源機外に漏れることを十分に抑制できる。
【0009】
上記の熱源機は、筐体内において第1の防音材と中和器との間の領域を前面側から塞ぐように配置された第2の防音材をさらに備えている。このため、第1の防音材と中和器との間の領域を通って前面に伝わる燃焼装置および送風装置による騒音が第2の防音材によって遮音される。そのため、燃焼装置および送風装置による騒音が第1の防音材と中和器との間の領域を通って前面に伝わることを抑制できる。よって、燃焼装置および送風装置による騒音が前面から熱源機外に漏れることをさらに抑制できる。
【0010】
上記の熱源機においては、熱交換器は、熱交換器ケースと、熱交換器ケース外に燃焼ガスを排気するための排気出口部とを含んでいる。排気出口部は、熱交換器ケースから外方に突出する筒状形状を有している。このため、排気出口部によって燃焼ガスが整流化される。これにより、排気出口部から排気される燃焼ガスによる騒音を低減できる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、熱源機の小型化および低コスト化を図ることができ、かつ燃焼装置および送風装置による騒音が筐体の前面から熱源機外に漏れることを十分に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における熱源機の構成について説明する。
【0014】
図1および
図2を参照して、本実施の形態の熱源機は、燃焼ガスの潜熱を回収可能な熱源機である。本実施の形態における熱源機は、筐体1と、燃焼装置2と、送風装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器(熱交換器)5と、中和器6と、コントローラ7と、第1の防音材8と、給湯経路10とを主に有している。なお、
図1などでは、説明の便宜のため、筐体1の内部に収納された燃焼装置2および送風装置3などが実線で示されている。また、
図3などでは、説明の便宜のため、筐体1は断面で示されている。
【0015】
筐体1は、前面1a、第1の側面1b1、第2の側面1b2、天面(上面)1c、底面(下面)1d、後面1eを有しており、かつこれらの面によって取り囲まれた内部空間を有している。前面1aは熱源機の正面を構成している。第1の側面1b1および第2の側面1b2は前面1aの両端にそれぞれ配置されている。天面1cは熱源機の上面を構成している。底面1dは熱源機の下面を構成している。後面1eは熱源機の背面を構成している。なお、前後および上下は熱源機が設置された状態を基準にしている。
【0016】
筐体1の内部空間に、燃焼装置2、送風装置3、一次熱交換器4、二次熱交換器5、中和器6、コントローラ7、第1の防音材8および給湯経路10が収納されている。筐体1は前面1aに排気口EPを有している。排気口EPは前面1aを貫通している。排気口EPは燃焼ガスを排気するためのものである。また、筐体1は、前面1aに吸気口IPを有しており、後面1eに吸気口APを有している。吸気口IPは前面1aを貫通しており、吸気口APは後面1eを貫通している。吸気口IP、APはそれぞれ筐体1外から筐体1内に空気を取り込んで送風装置3に供給するためのものである。
【0017】
燃焼装置2は筐体1内に配置されている。燃焼装置2は、燃焼ガスを供給するためのものである。燃焼ガスは、一次熱交換器4および二次熱交換器5との間で熱交換を行なうためのものである。燃焼装置2は筐体1の高さ方向の中央部に配置されている。燃焼装置2はたとえばバーナである。
【0018】
送風装置3は筐体1内に配置されている。送風装置3は、燃焼装置2に燃焼用の空気を供給するためのものである。送風装置3は、燃焼装置2よりも底面1d側(下方)に配置されている。また、送風装置3は、一次熱交換器4および二次熱交換器5よりも底面1d側に配置されている。送風装置3は具体的にはたとえばファンである。
【0019】
一次熱交換器4は筐体1内に配置されている。一次熱交換器4は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。二次熱交換器5は筐体1内に配置されている。二次熱交換器5は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。一次熱交換器4と二次熱交換器5とは互いに接続されている。一次熱交換器4は二次熱交換器5よりも底面1d側(下方)に配置されている。また、一次熱交換器4および二次熱交換器5は、燃焼装置2よりも天面1c側(上方)に配置されている。一次熱交換器4および二次熱交換器5はそれぞれ被加熱流体を流通可能な伝熱管と、この伝熱管を収容可能な熱交換器ケースとを有している。
【0020】
一次熱交換器4で熱交換した後の燃焼ガスが二次熱交換器5へ通されることで二次熱交換器4内の被加熱流体が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱が回収される。そして、燃焼ガスの潜熱が回収されることによってドレンが発生する。
【0021】
中和器6は、二次熱交換器5で燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを中和するためのものである。中和器6は、たとえばポリプロピレンで形成されている。中和器6は第1のドレン配管DP1および第2のドレン配管DP2のそれぞれが接続されている。
【0022】
ドレン受けDRは二次熱交換器5の下方に配置されており、二次熱交換器5で生じたドレンを受けるように構成されている。このドレン受けDRで受けられたドレンは排気ガス中の窒素酸化物などが溶け込んでいるため酸性となる。第1のドレン配管DP1はドレン受けDRと中和器6とを接続している。酸性のドレンは、ドレン受けDRから第1のドレン配管DP1を通って中和器6に送られる。
【0023】
中和器6の内部には中和剤が充填されており、この中和剤によって酸性のドレンを中和することができる。第2のドレン配管DP2は中和器6とドレン排出口DOとを接続している。中和器6で中和されたドレンは第2のドレン配管DP2を通ってドレン排出口DOから筐体1外に排出される。
【0024】
コントローラ7は燃焼装置2および送風装置3を制御するためのものである。コントローラ7は、ケースと、ケース内に収容された制御部とを有している。この制御部は燃焼装置2および送風装置3の各々に電気的に接続されている。ケースは略直方体形状を有している。ケースはたとえばポリプロピレンで形成されている。コントローラ7は、制御部によって燃焼装置2および送風装置3を制御可能に構成されている。
【0025】
第1の防音材8は、燃焼装置2および送風装置3で発生した騒音を遮音および吸音することができるように構成されている。第1の防音材8は、例えば発泡ゴム、グラスウールなどで形成されている。第1の防音材8は第2の側面1b2に沿って配置されている。
【0026】
給湯経路10は、一次熱交換器4および二次熱交換器5で燃焼ガスと熱交換された湯水を熱源機外に供給するためのものである。給湯経路10は、給水配管10aと、給湯配管10bと、入水口IWと、出湯口OWとを有している。給水配管10aは、入水口IWから二次熱交換器5に被加熱流体である水を給水可能に構成されている。給湯配管10bは、一次熱交換器4と出湯口OWとを接続している。給湯配管10bは、一次熱交換器4から出湯口OWに一次熱交換器4および二次熱交換器5で温められた温水を給湯可能に構成されている。これにより、入水口IWから給水された水は、二次熱交換器5および一次熱交換器4を通過する際に燃焼ガスによって加熱されて出湯口OWから給湯される。
【0027】
続いて、本実施の形態の中和器6、コントローラ7、第1の防音材8の配置について詳しく説明する。
【0028】
図3および
図4を参照して、中和器6は、筐体1内において燃焼装置2および送風装置3の各々と前面1aとの間に配置されている。中和器6は、前面1a側から見て燃焼装置2の下部および送風装置3と重なるように配置されている。中和器6は、燃焼装置2の下部から筐体1の底面1dに渡って形成されている。また、中和器6は第1の側面1b1および第2の側面1b2のそれぞれから離れて配置されている。
【0029】
コントローラ7は筐体1内において中和器6と前面1aとの間に配置されている。コントローラ7の後面1e側の端面が中和器6の前面1a側の端面に当接していてもよい。このため、コントローラ7の後面1e側の端面と中和器6の前面1a側との隙間を通る騒音を遮音することができる。
【0030】
コントローラ7は前面1a側から見たときに中和器6と第1の側面1b1との間の領域A1に重なるように配置されている。コントローラ7は、前面1a側から見たときに領域A1の一部に重なるように配置されていればよい。また、コントローラ7は前面1a側から見たときに領域A1の全てに重なっていてもよい。
【0031】
本実施の形態では、コントローラ7の第1の側面1b1側の端面が第1の側面1b1に当接している。このため、コントローラ7の第1の側面1b1側の端面と第1の側面1b1との隙間を通る騒音を遮音することができる。
【0032】
コントローラ7は、前面1a側から見たときに吸気口IPと重なるように配置されている。吸気口IPは前面1aを貫通しているため、筐体1内の騒音は吸気口IPを通して漏れやすい。本実施の形態では、コントローラ7が前面1a側から見たときに吸気口IPと重なるように配置されているため、コントローラ7によって吸気口IPを通して漏れる騒音を効果的に遮音することができる。
【0033】
第1の防音材8は、筐体1内において中和器6と第2の側面1b2との間に配置されている。第1の防音材8は第2の側面1b2に取り付けられている。第1の防音材8は、上下方向において燃焼装置2の下部から底面1dに渡って設けられている。第1の防音材8は、前後方向において筐体1の前面1a近傍から後面1eに渡って設けられている。
【0034】
次に、
図5〜7を参照して、本実施の形態の熱源機の変形例1について説明する。この変形例1は特に説明しない限り上記本実施の形態の熱源機と同様の構成を備えている。
【0035】
この変形例1では、熱源機は第2の防音材9を備えている。第2の防音材9は、燃焼装置2および送風装置3で発生した騒音を遮音および吸音することができるように構成されている。第2の防音材9は、例えば発泡ゴム、グラスウールなどで形成されている。
【0036】
第2の防音材9は筐体1内において第1の防音材8と中和器6との間の領域A2を前面1a側から塞ぐように配置されている。第2の防音材9は前面1aに取り付けられている。第2の防音材9は、前面1aから見て第1の防音材8と重なるように配置されており、第1の防音材8よりも前面1a側に配置されている。
【0037】
第2の防音材9は前面1a側から見て、略L字状に形成されている。第2の防音材9は、横長部9aと、横長部9aと交差する方向に延びる縦長部9bとを有している。横長部9aは、第1の側面1b1から第2の側面1b2に渡って設けられている。縦長部9bは、横長部9aの下端から底面1dに渡って設けられている。縦長部9bは第2の側面1b2に沿って設けられている。
【0038】
第2の防音材9は、前面1a側から見てコントローラ7の周囲に配置されている。つまり、第2の防音材9は、前面1a側から見てコントローラ7に重ならないように配置されている。このため、熱源機を前後方向に小型化することができる。
【0039】
次に、
図8を参照して、本実施の形態の熱源機の変形例2について説明する。この変形例2は特に説明しない限り上記本実施の形態の熱源機と同様の構成を備えている。
【0040】
この変形例2では、二次熱交換器5は、熱交換器ケース5aと、排気出口部5bとを有している。排気出口部5bは、熱交換器ケース5a外に燃焼ガスを排気するためのものである。排気出口部5bは、熱交換器ケース5aから外方に突出する筒状形状を有している。このため、排気出口部5bから燃焼ガスが排気される際に燃焼ガスが整流化される。排気出口部5bから排気された燃焼ガスは排気口EPを通って筐体1外に排気される。
【0041】
次に、本実施の形態の熱源機の作用効果について説明する。
本実施の形態の熱源機では、筐体1内で燃焼装置2において燃焼ガスの燃焼時に騒音が発生し、送風装置3においてファンの回転による騒音が発生する。
【0042】
本実施の形態の熱源機によれば、中和器6は筐体1内において燃焼装置2および送風装置3の各々と前面1aとの間に配置されており、コントローラ7は筐体1内において中和器6と前面1aとの間に配置されている。このため、燃焼装置2および送風装置3による騒音が中和器6に加えてコントローラ7によって遮音される。そのため、燃焼装置2および送風装置3による騒音が前面1aに伝わることが抑制される。したがって、燃焼装置2および送風装置3を取り囲むように防音材を配置しなくても燃焼装置2および送風装置3による騒音が前面に伝わることを抑制できる。これにより、防音材を少なくすることができるため、熱源機の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0043】
さらに、コントローラ7は前面1a側から見たときに中和器6と第1の側面1b1との間の領域A1に重なるように配置されている。このため、中和器6と第1の側面1b1との間の領域A1を通って前面1aに伝わる燃焼装置2および送風装置3による騒音がコントローラ7によって遮音される。そのため、燃焼装置2および送風装置3による騒音が中和器6と第1の側面1b1との間の領域A1を通って前面1aに伝わることを抑制できる。
【0044】
また、第1の防音材8は、筐体1内において中和器6と第2の側面1b2との間に配置されている。このため、中和器6と第2の側面1b2との間を通って前面1aに伝わる騒音が第1の防音材8によって遮音される。そのため、燃焼装置2および送風装置3による騒音が中和器6と第2の側面1b2との間の領域A2を通って前面1aに伝わることを抑制できる。以上より、燃焼装置2および送風装置3による騒音が前面1aから熱源機外に漏れることを十分に抑制できる。
【0045】
図6に示すように、本実施の形態の熱源機の変形例1は、筐体1内において第1の防音材8と中和器6との間の領域A2を前面1a側から塞ぐように配置された第2の防音材9をさらに備えている。このため、第1の防音材8と中和器6との間の領域A2を通って前面1aに伝わる燃焼装置2および送風装置3による騒音が第2の防音材9によって遮音される。そのため、燃焼装置2および送風装置3による騒音が第1の防音材8と中和器6との間の領域A2を通って前面1aに伝わることを抑制できる。よって、燃焼装置2および送風装置3による騒音が前面1aから熱源機外に漏れることをさらに抑制できる。
【0046】
図8に示すように、本実施の形態の熱源機の変形例2においては、二次熱交換器5の排気出口部5bは、熱交換器ケース5aから外方に突出する筒状形状を有している。このため、排気出口部5bによって燃焼ガスが整流化される。これにより、排気出口部5bから排気される燃焼ガスによる騒音を低減できる。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。