特許第6394090号(P6394090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6394090カテーテルのフレア加工方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394090
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】カテーテルのフレア加工方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A61M25/00 500
   A61M25/00 510
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-122733(P2014-122733)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-2139(P2016-2139A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹野 幸三
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−22940(JP,A)
【文献】 特表2007−537054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する方法であって、
成形型の内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔に上記カテーテルを通す工程と、
フレア成形用ピンの先細になった先端部を加熱する工程と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部を上記ピンの先端部に嵌める工程と、
上記カテーテルの端部が上記ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出して上記カテーテルの端部をフレア加工する工程とを備え
上記ピンにおけるカテーテル嵌合部の際(きわ)部分の表面温度を検出する非接触式センサを備え、
上記ピンからの伝導熱によって上記カテーテルの端部が軟化流動して上記際部分が覆われたときに、上記センサの検出温度が急変することをもって、上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったと判定することを特徴とするカテーテルのフレア加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの端部を上記ピンにさらに深く嵌め込んで該端部のフレア加工を進めることを特徴とするカテーテルのフレア加工方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する方法であって、
成形型の内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔に上記カテーテルを通す工程と、
フレア成形用ピンの先細になった先端部を加熱する工程と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部を上記ピンの先端部に嵌める工程と、
上記カテーテルの端部が上記ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出して上記カテーテルの端部をフレア加工する工程とを備え、
上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことを検出したときに、上記カテーテルの端部を上記ピンにさらに深く嵌めこむとともに、上記カテーテルの中間部を押し潰してエアが抜けないように又はエアの流れ抵抗が大きくなるようにし、その状態で上記ピンの先端から加圧エアを上記カテーテル内に供給することにより、上記カテーテルの塑性流動する状態になった端部の孔径を加圧エアで拡大させて該端部を上記成形型の拡開孔の内周面に当接させることを特徴とするカテーテルのフレア加工方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する装置であって、
上記カテーテルが通される内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔を有する成形型と、
上記カテーテルの端部が嵌まる先細になった先端部を有し、上記成形型の拡開孔に向けて配設されたフレア成形用のピンと、
上記ピンを加熱する加熱手段と、
上記カテーテル及び上記成形型を上記ピンに対して相対的に移動させる駆動手段と、
上記ピンの先端部に嵌められた上記カテーテルの端部が該ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出する塑性流動検出手段と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部が上記加熱手段によって加熱された上記ピンの先端部に嵌まり、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記加熱手段による上記ピンの加熱が停止され、上記カテーテルの端部がフレア加工されるように、上記駆動手段及び上記加熱手段の作動を制御する制御手段とを備え
上記塑性流動検出手段は、上記ピンのテーパ部における上記カテーテルの端部が嵌められた部位の際(きわ)部分の表面温度を検出する非接触式センサを備え、上記ピンからの伝導熱によって上記カテーテルの端部が軟化流動して上記際部分が覆われたときに上記センサの検出温度が急変する現象に基いて、上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことを検出することを特徴とするカテーテルのフレア加工装置。
【請求項5】
熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する装置であって、
上記カテーテルが通される内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔を有する成形型と、
上記カテーテルの端部が嵌まる先細になった先端部を有し、上記成形型の拡開孔に向けて配設されたフレア成形用のピンと、
上記ピンを加熱する加熱手段と、
上記カテーテル及び上記成形型を上記ピンに対して相対的に移動させる駆動手段と、
上記ピンの先端部に嵌められた上記カテーテルの端部が該ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出する塑性流動検出手段と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部が上記加熱手段によって加熱された上記ピンの先端部に嵌まり、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記加熱手段による上記ピンの加熱が停止され、上記カテーテルの端部がフレア加工されるように、上記駆動手段及び上記加熱手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記ピンは、その先端に開口したエア通路を内部に有し、
上記ピンのエア通路を通して該ピンに嵌まった上記カテーテルに加圧エアを供給するエア供給手段と、
上記カテーテルの中間部を扁平にしてエアが抜けないように又はエアの流れ抵抗が大きくなるようにするカテーテル押潰手段と備え、
上記制御手段は、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの中間部が扁平になるように押し潰された状態で、上記ピンのエア通路を通して上記カテーテルに加圧エアが供給され、それによって、上記カテーテルの塑性流動する状態になった端部が押し広げられて上記成形型の上記拡開孔の内面に当接するように、上記エア供給手段及び上記カテーテル押潰手段の作動を制御することを特徴とするカテーテルのフレア加工装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5において、
上記制御手段は、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの端部が上記ピンの先端部にさらに深く嵌まるように上記駆動手段の作動を制御することを特徴とするカテーテルのフレア加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルのフレア加工方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にカテーテルはその端部がフレア加工され、そのフレア部に薬剤等を供給するためのコネクタが接続されている。そのフレア加工方法の一例が特許文献1に記載されている。それは、熱可塑性樹脂よりなるチューブ(以下、「カテーテル」と表現する。)の端部にフレア拡張体の先端の先細になったテーパ部を挿入し、カテーテル及びフレア拡張体を同軸で回転させながら、熱風をカテーテルの端部に当て、該端部をラッパ状に拡開する(フレア状にする)というものである。
【0003】
特許文献2には別のフレア加工方法が記載されている。それは、ヒータ及び温度センサを内蔵したフレア拡張体を外金型に嵌め、フレア拡張体の先端のフレア成形面と外金型のフレア成形面の間にフレア成形空間を形成してフレア加工を行なうというものである。つまり、フレア拡張体を上記ヒータ及び温度センサによって所定温度に加熱した状態で、カテーテルの端部を上記フレア成形空間に押し込んでいくというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−120664号公報
【特許文献2】特開平8−322940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテル端部のフレア加工の問題の一つに温度管理がある。すなわち、フレア加工のためには、カテーテルの端部をフレア加工に適した温度に加熱する必要がある。これに対して、上述の熱風による加熱方法では、雰囲気温度、熱風の温度、風量、送風時間等によってカテーテル端部の温度の上昇状態が変化し、それによって、フレア加工の良否が左右され、品質がばらつかないように温度管理することが難しい。また、上述のフレア拡張体に内蔵したヒータ及び温度センサによって該フレア拡張体の温度を制御する方法では、カテーテルの端部がフレア拡張体からの伝熱で加熱溶融されるものの、その溶融の程度は外金型の温度等で変わることから、得られるフレア加工品の品質がばらつき、所期の品質を安定して得ることが難しい。
【0006】
一方、カテーテルのような特定(細長い)形状の樹脂部品の所望箇所のみを、比較的簡単な構成(構造)の装置で、瞬時に間違いなく溶融しようとする場合、選択できる手段は限られ、その一つとして、誘導加熱が挙げられる。すなわち、フレア成形用のピンを誘導加熱するというものである。しかし、誘導加熱を採用した場合、フレア成形用ピンの昇温・降温が速いことから、やはり温度管理が問題になる。
【0007】
そこで、本発明は、上記温度管理の問題を解決し、品質が安定したフレア加工品を得ることができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、カテーテルの端部が加熱によって実際に塑性流動する状態になったことを利用してフレア加工を行なうようにした。以下、具体的に説明する。
【0009】
ここに提示する熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する方法は、
成形型の内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔に上記カテーテルを通す工程と、
フレア成形用ピンの先細になった先端部を加熱する工程と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部を上記ピンの先端部に嵌める工程と、
上記カテーテルの端部が上記ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出して上記カテーテルの端部をフレア加工する工程とを備え
上記ピンにおけるカテーテル嵌合部の際(きわ)部分の表面温度を検出する非接触式センサを備え、
上記ピンからの伝導熱によって上記カテーテルの端部が軟化流動して上記際部分が覆われたときに、上記センサの検出温度が急変することをもって、上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったと判定することを特徴とする。
【0010】
ここに、上記フレア成形用ピンの先端を加熱する工程と、上記カテーテルの端部を上記ピンに嵌める工程とは、いずれを先にしてもよく、また、同時に進行させてもよい。
【0011】
上記方法によれば、カテーテルの端部がピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったこと、換言すれば、フレア加工することができる温度及び溶融状態になったことを検出するから、フレア加工を進めるタイミングを捉えることが容易になり、所期の品質のフレア加工品を確実に得る上で有利になる。特に、非接触式センサにより、カテーテルの端部が安定して塑性加工、すなわち、フレア加工することができる温度及び溶融状態になったことを的確に検出することができるから、カテーテルの端部のフレア加工(例えば、後述するピン先端部からの加圧ブロー加工)を進めるタイミングを捉えることが容易になる。
【0012】
上記フレア加工方法の好ましい態様は、上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの端部を上記ピンにさらに深く嵌め込んで該端部のフレア加工を進めることを特徴とする。これにより、所期の品質のフレア加工品を得ることができる。
【0013】
ここに提示する熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する方法の別の態様は、
成形型の内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔に上記カテーテルを通す工程と、
フレア成形用ピンの先細になった先端部を加熱する工程と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部を上記ピンの先端部に嵌める工程と、
上記カテーテルの端部が上記ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出して上記カテーテルの端部をフレア加工する工程とを備え、
記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことを検出したときに、上記カテーテルの端部を上記ピンにさらに深く嵌めこむとともに、上記カテーテルの中間部を押し潰してエアが抜けないように又はエアの流れ抵抗が大きくなるようにし、その状態で上記ピンの先端から加圧エアを上記カテーテル内に供給することにより、上記カテーテルの塑性流動する状態になった端部の孔径を加圧エアで拡大させて該端部を上記成形型の拡開孔の内周面に当接させることを特徴とする。
【0014】
これによれば、カテーテルの端部がピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったこと、換言すれば、フレア加工することができる温度及び溶融状態になったことを検出するから、フレア加工を進めるタイミングを捉えることが容易になり、所期の品質のフレア加工品を確実に得る上で有利になる。また、カテーテルの塑性流動する状態になった端部は、成形型の拡開孔の内面に沿った形状にフレア加工され、さらに、エアによるフレア加工部の冷却効果も得られることになり、品質のばらつきが少なくなる。
【0015】
また、ここに提示する熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する装置は、
上記カテーテルが通される内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔を有する成形型と、
上記カテーテルの端部が嵌まる先細になった先端部を有し、上記成形型の拡開孔に向けて配設されたフレア成形用のピンと、
上記ピンを加熱する加熱手段と、
上記カテーテル及び上記成形型を上記ピンに対して相対的に移動させる駆動手段と、
上記ピンの先端部に嵌められた上記カテーテルの端部が該ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出する塑性流動検出手段と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部が上記加熱手段によって加熱された上記ピンの先端部に嵌まり、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記加熱手段による上記ピンの加熱が停止され、上記カテーテルの端部がフレア加工されるように、上記駆動手段及び上記加熱手段の作動を制御する制御手段とを備え
上記塑性流動検出手段は、上記ピンのテーパ部における上記カテーテルの端部が嵌められた部位の際(きわ)部分の表面温度を検出する非接触式センサを備え、上記ピンからの伝導熱によって上記カテーテルの端部が軟化流動して上記際部分が覆われたときに上記センサの検出温度が急変する現象に基いて、上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことを検出することを特徴とする。
【0016】
この装置によれば、上述のフレア加工方法を実施して、品質のばらつきが少ない所期のフレア加工品を確実に得ることができる。
【0017】
ここに提示する熱可塑性樹脂よりなるカテーテルの端部をフレア加工する装置の別の態様は、
上記カテーテルが通される内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔を有する成形型と、
上記カテーテルの端部が嵌まる先細になった先端部を有し、上記成形型の拡開孔に向けて配設されたフレア成形用のピンと、
上記ピンを加熱する加熱手段と、
上記カテーテル及び上記成形型を上記ピンに対して相対的に移動させる駆動手段と、
上記ピンの先端部に嵌められた上記カテーテルの端部が該ピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出する塑性流動検出手段と、
上記成形型の拡開孔内において上記カテーテルの端部が上記加熱手段によって加熱された上記ピンの先端部に嵌まり、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記加熱手段による上記ピンの加熱が停止され、上記カテーテルの端部がフレア加工されるように、上記駆動手段及び上記加熱手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記ピンは、その先端に開口したエア通路を内部に有し、
上記ピンのエア通路を通して該ピンに嵌まった上記カテーテルに加圧エアを供給するエア供給手段と、
上記カテーテルの中間部を扁平にしてエアが抜けないように又はエアの流れ抵抗が大きくなるようにするカテーテル押潰手段と備え、
上記制御手段は、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの中間部が扁平になるように押し潰された状態で、上記ピンのエア通路を通して上記カテーテルに加圧エアが供給され、該加圧エアによって、上記カテーテルの塑性流動する状態になった端部の孔径が拡大するように、上記エア供給手段及び上記カテーテル押潰手段の作動を制御することを特徴とする。
【0018】
これにより、カテーテルの塑性流動する状態になった端部は、成形型の拡開孔の内周面に沿った形状にフレア加工されるとともに、エアによるフレア加工部の冷却効果も得られ、品質のばらつきが少なくなる。
【0019】
この場合、上記塑性流動検出手段としては、上記非接触式センサの他、上記カテーテルの端部が軟化流動して上記際部分を覆ったことを変位センサによって検出する方式を採用することもできる。
【0020】
上記各フレア加工装置において、好ましい態様は、
上記制御手段は、上記塑性流動検出手段によって上記カテーテルの端部が塑性流動する状態になったことが検出されたときに、上記カテーテルの端部が上記ピンの先端部にさらに深く嵌まるように上記駆動手段の作動を制御することを特徴とする。
【0021】
これにより、所期の品質のフレア加工品を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カテーテルの端部がピンからの伝導熱によって実際に塑性流動する状態になったことを検出するから、カテーテルの端部のフレア加工を進めるタイミングを捉えることが容易になり、所期の品質のフレア加工品を確実に得る上で有利になる。
【0023】
非接触式センサで上記ピンのカテーテル端部際の表面温度を検出するようにしたものによれば、カテーテルの端部の(合成)樹脂が溶融して、塑性流動する状態になったことを確実に検出することができる。
【0024】
また、ピンの先端から加圧エアをカテーテル内に供給してカテーテルの塑性流動する状態になった端部を成形型の拡開孔の内周面に当接させるものによれば、カテーテルの塑性流動する状態になった端部が成形型の拡開孔の内面に沿った形状にフレア加工され、さらに、エアによるフレア加工部の冷却効果も得られることになり、品質のばらつきが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】フレア加工装置の全体構成図。
図2】高周波変流器の平面図。
図3】成形型、ピン及び非接触式センサを示す断面図。
図4】制御フロー図。
図5】カテーテルを成形型にセットした状態を示す断面図。
図6】カテーテルを原点に位置付けた状態を示す断面図。
図7】カテーテルが成形型及びローラと共に前進する状態を示す断面図。
図8】カテーテル端部の塑性流動する状態になったことが検出される状態を示す断面図。
図9】カテーテル端部のピンに対する嵌合が深くなった状態を示す断面図。
図10】塑性流動する状態になったカテーテル端部をエアブローで押し広げた状態を示す断面図。
図11】非接触式センサによる検出温度の経時変化を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
<フレア加工装置の全体構成>
図1に示すカテーテルのフレア加工装置において、1はカテーテル2が通されるフレア成形用の拡開孔を有する成形型、3はフレア成形用のピンであり、成形型1の拡開孔とピン3は互いに同軸で水平に対向するように配設されている。
【0028】
成形型1はステージ4に支持され、ステージ4は動力付スライダ5を介してレール6に支持されている。レール6はベース7に固定されている。スライダ5の作動により成形型1がピン3に向けて進退する。ステージ4には、成形型1の他に、カテーテル2を成形型1に対して進退させるための上下のローラ8,9が支持されている。
【0029】
上ローラ8は、モータ11によって回転される駆動ローラであり、その周面の中央にはカテーテル2の断面における上半周部が嵌まる周回溝8aが形成されている。上ローラ8及びモータ11の支持のために、ステージ4に支持板12が立設され、この支持板12にモータ11が取り付けられ、支持板12に設けた軸受部材13に上ローラ8が支持されている。
【0030】
下ローラ9は、従動ローラであり、昇降テーブル14に立設した軸受部材15に回転自在に支持されている。昇降テーブル14は、ステージ4に設けられた昇降駆動手段16の作動によって昇降する。昇降テーブル14には、下ローラ9の他に、カテーテル2を受ける受台17が支持されている。
【0031】
ここに、動力付スライダ5及び上下のローラ8,9が、成形型1及びカテーテル2をピン3に対して相対的に移動させる駆動手段を構成している。すなわち、動力付スライダ5の作動により、ピン3に対する成形型1及びカテーテル2の相対位置が変化し、上ローラ8の回転により成形型1及びピン3に対するカテーテル2の相対位置が変化する。
【0032】
フレア成形用のピン3はベース7に立設した支持板18に固定されている。さらに、このピン3の先端部を加熱するための加熱手段19がベース7に設けられている。加熱手段19は、高周波誘導加熱方式であり、電源21及び真空管を用いた自励式発振回路方式の高周波発生装置22、並びに図2にも示す高周波変流器23及び加熱コイル24を備えてなる。加熱コイル24はピン3の先端部まわりに設けられている。
【0033】
加熱手段19の特徴の一つは変流器23としてトロイダルコア変流器を採用していることである。図2に示すように、この変流器23は、4つのトロイダルコア41を備えている。すなわち、2つのトロイダルコア41を同軸で直結して1つのコア組とし、このコア組2つを並設している。
【0034】
変流器23の二次側は、各コア組の片側に設けられた一対の銅板42,42と、両コア組に跨がるように両コア組の反対側に設けられた1枚の銅板43と、各コア組の2つのトロイダルコア41を貫通して各銅板42と銅板43とを連結する2本の銅パイプ44とで構成されている。一対の銅板42,42に加熱コイル24が接続されている。変流器23の一次側は、コイル44を銅パイプ43,43に通して2巻することによって構成されている。
【0035】
このように構成された変流器23では、コイル巻数比が1:1でも一次電流の2倍の強さの二次電流が得られ、図2の例では、巻数比が1:2であるから二次電流は一次電流の4倍の強さになる。このように、トロイダルコア41を利用して変流器23の効率を上げたことにより、小型化が容易になった。
【0036】
ここに、フレア加工装置は、加熱コイル24によって加熱されたピン3の先端部にカテーテル2の端部を嵌め、このピン3の先端部からの伝導熱でカテーテル2の端部を塑性流動する状態になるように加熱し、成形型1及びピン3によってフレア加工する。そうして、当該フレア加工装置には、カテーテル2の端部が実際に塑性流動する状態になったことを検出するために、非接触式温度センサ25が設けられている。また、ピン3の内部にはピン3の先端に開口したエア通路26が設けられており、このエア通路26に加圧エアを供給するエア供給手段(エアコンプレッサー及びレギュレータ)27が接続されている。
【0037】
また、フレア加工装置は、ステージ4の前進を所定位置で停止させるための固定ストッパ28aと、固定ストッパ28aで止められたステージ4を所定量後退させるための可動ストッパ28bと、ステージ4が固定ストッパ28aに当たる際の衝撃を緩和するショックアブソーバ28cとを備えている。さらに、フレア加工装置は、可動ストッパ28を駆動するエアシリンダ29を備え、さらに、スライダ5、モータ11、昇降駆動手段16、加熱手段18、エア供給手段27及びエアシリンダ29の作動を制御するためのマイクロコンピュータを利用した制御手段30を備えている。
【0038】
<成形型1及びピン3の構成、センサ25の配置>
図3(水平断面図)に示すように、成形型1は左右に分離可能な一対の半割り型1aによって構成されている。成形型1の中心部には、カテーテル2を通すための、ピン3の長手方向に延びる一定内径の貫通孔31が形成されている。この貫通孔31は、成形型1のピン3側の端部において、内径が漸次拡大して開口したフレア成形用の拡開孔32に続いている。成形型1の拡開孔32の近傍には、カテーテル2の先端を成形型1における加工原点に位置付けるための位置センサ(光電センサ)33が設けられている。すなわち、成形型1を構成する各半割り型1aには、貫通孔31と直交して相対するセンサ取付孔34が形成されており、この取付孔34に位置センサ33を構成する投光部33aと受光部33bが相対するように設けられている。
【0039】
ピン3は、先細になった先端部35を有する。この先端部35は、その先端から順に、一定角度で先細になった第1テーパ部35a、第1テーパ部35aに続く同一外径部35b、並び同一外径部35bに続く湾曲した第2テーパ部35cを設けてなるものである。ピン3には、先細の先端部35に続いて外径が拡大して第1段部36が形成され、第1段部36から少し軸方向に離れた部位に外径が拡大して第2段部37が形成されている。成形型1をピン3の方へ前進させると、成形型1の端面がピン3の第2段部37に当接する。
【0040】
温度センサ25は、ピン3からの伝導熱によってカテーテル2の端部が軟化流動したこと、すなわち、カテーテル3の端部が実際に塑性流動する状態になったことを検出すべく、ピン3のカテーテル嵌合部の際部分35dの表面温度を検出するように配設されている。上記塑性流動する状態になったことの検出については後に詳述する。
【0041】
<フレア加工>
フレア加工装置はスタートボタン(図示省略)のオン操作によって起動し、制御手段30が、所定の制御フローに従って、スライダ5、モータ11、昇降駆動手段16、加熱手段18、エア供給手段27及びエアシリンダ29の作動を制御する。図4は制御フローを示す。
【0042】
以下、図4(制御フロー)、図5乃至図10(各工程の状態を示す)及び図11(センサ25の検出温度変化)を参照して、制御手段30の内容及びフレア加工の流れを説明する。
【0043】
初期状態では、図1に示すように成形型1はピン3から離れ、図5に示すように下ローラ9は下降している(ローラ開状態)。まず、カテーテル2を成形型1の貫通孔31に通して支持する。カテーテル2はその端部を位置センサ33よりも前方に位置付けた状態にする。
【0044】
スタートボタンをオンにすると、ステップS1で、図6に示すように、下ローラ9が上昇してローラ閉の状態(上ローラ8の回転によってカテーテル2が進退する状態)になる。続くステップS2で、上ローラ8が回転することにより、カテーテル2が後退する。カテーテル2の先端が位置センサ33を通過し、その通過が該位置センサ33によって検出されると、上ローラ8によるカテーテル2の後退が停止する(ステップS3)。これにより、カテーテル2は、成形型1におけるフレア加工のための原点に位置付けられる。このことを端面合わせ動作と呼び、フレア加工はこの原点を基準に進める。
【0045】
なお、カテーテル2の端部を位置センサ33よりも後方に位置付け、上ローラ8の回転によってカテーテル2を前進させることによって原点に位置付けるようにしてもよい。
【0046】
カテーテル2が原点に位置付けられると、ステップS4で、加熱手段19が作動してピン3の先端部が加熱される。続くステップS5で、スライダ5が作動してステージ4が固定ストッパ28aに当接するまで前進する。すなわち、図7に示すように、原点に位置付けたカテーテル2が成形型1及びローラ8,9と共に前進し、その後、ステージ4の前進が固定ストッパ28aとの当接によって止められる。続くステップS6で可動ストッパ28bがステージ4側へ移動することにより、図8に示すように、成形型1の端面とピン3の第2段部37との間に所定の隙間が形成された状態になる。
【0047】
続くステップS7で、上ローラ8が回転してカテーテル2が前進する。カテーテル2は、その端部がピン3の先端部35に嵌まっていき、ピン3からの伝導熱で軟化して半流動状態になる、すなわち、塑性流動する状態になる。そのため、図8に示すように、ピン3に対するカテーテル2の端部の嵌合が深くなっていく。そして、カテーテル2の先端は溶融した状態になり、温度センサ25による表面温度検出部であるピン3の上述の際部分35dがカテーテル2の溶融した先端で覆われた状態になる。
【0048】
その結果、図11に示すように、温度センサ25による検出温度が急激に上昇していく。これは、ピン3よりも塑性流動する状態になった樹脂の方が放射する赤外線エネルギー量が多いためである。制御手段30は、温度センサ25の検出温度が急変して所定温度に達したときにカテーテル2の端部が塑性流動する状態になったと判定し、上ローラ8によるカテーテル2の前進を停止させる(ステップS8)。
【0049】
続く、ステップS9で、加熱手段19によるピン3の加熱がオフにされ、ほぼ同時に上ローラ8によりカテーテル2を僅かに前進させる(ステップS10)。その理由は次のとおりである。上記塑性流動検出位置でカテーテル2の前進を停止させたままであると、カテーテル2の先端部の溶融にバラツキがあったとき、フレア加工後のフレア端面が不揃いになる可能性がある。そこで、上記塑性流動検出後にカテーテル2を僅かに前進させることで、カテーテル2の先端をその全周にわたってピン3の第1段部36に押当てた状態にし、フレア端面に不揃いが出ないようにする。
【0050】
続くステップS11で、ステージ4の前進を止めていた可動ストッパ28bが後退する。この可動ストッパ28bの後退によってステージ4がさらに前進し、図9に示すように、カテーテル2のピン3に対する嵌合がさらに深くなる、すなわち、フレア加工が進むとともに、成形型1の端面がピンの第2段部37に当接し、成形型1とピン3の間の隙間がなくなる。なお、ステップS10(カテーテル前進)をステップS11の可動ストッパ28bが後退するタイミングで行なうようにしてもよい。
【0051】
続くステップS12で、昇降駆動手段16が作動して図9に2点鎖線で示すように下ローラ9が下降する。すなわち、ローラ開の状態になる。続くステップS13で、エア供給手段27が作動し、ピン3のエア通路26を通してその先端からカテーテル2の内部に加圧エアが供給されることにより(エアブロー)、カテーテル2が所定時間冷却される(ステップS14)。
【0052】
続くステップS15で、昇降駆動手段16が作動して図10に示すように下ローラ9が上昇し、ローラ閉の状態になる。これにより、カテーテル2はローラ8,9で扁平になるように押し潰された状態になり、カテーテル2の孔を通るエアの流れ抵抗が大きくなる。なお、ローラ9が上昇したときに、カテーテル2が完全に押し潰されてエアが通り抜けなくなるようにしてもよい。
【0053】
続くステップS16で、エア供給手段27が作動し、ピン3の先端からカテーテル2の内部に加圧エアが供給される(エアブロー)。このエアブローは所定時間行なわれる(ステップS17)。カテーテル2はエアの流れ抵抗が大きくなっているから、さらに、成形型1とピン3の間の隙間がなくなっているから、加圧エアがカテーテル2の塑性流動する状態になった端部に加わり、図10に示すように、塑性流動する状態になった端部は、その孔径が拡大して成形型1の拡開孔32の内周面に当接する(エアブローによるフレア加工)。
【0054】
なお、ステップS11(可動ストッパ後退)後、先にエアブローによるフレア加工(ステップS16,S17)を実施し、その後に、エアブローによるカテーテル2の冷却(ステップS13,S14)を実施するようにしてもよい。
【0055】
図4のフローに沿って説明を続けると、エアブローによるフレア加工(ステップS16,S17)に続くステップS18で、昇降駆動手段16の作動によってローラ開となる。続くステップS19,S20で、エア供給手段27が所定時間作動し、エアブローによってカテーテル2が冷却される。
【0056】
続くステップS21で、昇降駆動手段16の作動によってローラ閉となり、続くステップS22で、エア供給手段27が作動してエアブローが行なわれ、その状態でステージ4が後退していく(ステップS23)。そして、温度センサによる検出温度が所定値以下になった時点でエアブローが停止し(ステップS24,25)、一連のフレア加工が終了する。
【0057】
上述の如く、エアブローを行なったまま、ステージ4を後退させることにより、ピン3を冷却することができ、ピン3の蓄熱によって得られるフレア加工品の品質がバラツクことが避けることができる。例えば、温度センサ25による検出温度が35℃になるまで、エアブローを継続することが好ましい。
【0058】
なお、ステップS21のローラ閉を実行せず、ローラ開のまま、エアブローを継続してピン3を冷却するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 成形型
2 カテーテル
3 ピン
5 スライダ(駆動手段)
8,9 ローラ(駆動手段,カテーテル押潰手段))
19 加熱手段
25 非接触式センサ(塑性流動検出手段)
26 エア通路
27 エア供給手段
30 制御手段
35 ピンの先端部
35d 際部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11