特許第6394095号(P6394095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6394095-車両用灯具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394095
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20180913BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B60Q1/00 C
   B60Q1/04 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-124992(P2014-124992)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-2913(P2016-2913A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】三國 祐幸
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−132463(JP,U)
【文献】 特開2013−237309(JP,A)
【文献】 特開2002−091381(JP,A)
【文献】 特開昭62−116329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給ラインとグランドラインとの間に接続される発光素子と、
前記発光素子に並列接続されるコンデンサと、
前記発光素子に並列接続される光源抵抗と、
前記電源供給ラインに設けられ、第1抵抗、第2抵抗及び第3抵抗の順番で直列に接続される3つの抵抗と、
前記電源供給ラインに設けられ、カソードが前記第1抵抗に接続されるダイオードと、
前記電源供給ラインと前記グランドラインとの間に設けられ、カソードが前記第2抵抗と前記第3抵抗との接続点に接続されるツェナーダイオードと、を有し、
前記光源抵抗は、前記発光素子の順方向電圧Vfと、前記発光素子の発光を視覚的に確認することができる電流値Ifと、安全係数xとに基づいて、以下の数式、
R=Vf÷If÷x
を満たすように抵抗値Rが設定され、
前記光源抵抗は、前記電源供給ライン及び前記グランドラインの電流経路の形態に起因して発生する誘導起電力に伴う電流を流すことにより、前記発光素子に流れる電流を抑制することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光素子、前記コンデンサ及び前記光源抵抗を含む第1の回路部分と、
前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗、前記ダイオード及び前記ツェナーダイオードを含む第2の回路部分と、が互いに分割され、コネクタによって相互に接続可能とされていることを特徴とする請求項1に記載された車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED等の発光素子を用いた照明装置が提案されており(例えば特許文献1参照)、発光効率の高さや意匠性に優れることから車両用灯具への適用が進められている。車両用灯具は、発光素子を含む光源部と、当該発光素子の点灯回路を含む回路部とを主体に構成されているが、車両構造の制約等の理由から直線的な経路が確保できず、光源部へと至る電流経路が長くなることがある。このような長い電流経路は、プリント基板の形状を工夫したりワイヤーハーネスを用いたりすることにより実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−209580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリント基板の形状や長さ、ワイヤーハーネスの長さによっては、この長い電流経路部分がアンテナとしての役割を果たすことがある。そのため、移動する車両がテレビやラジオ等の電波を出力する基地局に近づいた場合に、当該電波をアンテナ部分が受信してしまう可能性がある。この場合、アンテナ部分が誘導起電力を発生し、この誘導起電力により発光素子が勝手に点滅してしまうという不都合がある。
【0005】
特許文献1に開示された手法のように、発光素子に対して並列にコンデンサを接続し、コンデンサにより電圧を平滑化することで、このようなノイズによる点灯を抑制することができる。しかしながら、すべてのノイズをコンデンサで平滑化することは困難である。そのため、発光素子の順方向電圧を超える電圧が印加され、かつ発光素子に一定の電流が流れた場合には、LEDが点滅してしまう。特に、このような点滅が視覚的に認識できるレベルで発生することは望ましくない。
【0006】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノイズに起因した発光素子の誤点滅を抑制することができる車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、電源供給ラインとグランドラインとの間に接続される発光素子と、発光素子に並列接続されるコンデンサと、発光素子に並列接続される光源抵抗と、電源供給ラインに設けられ、第1抵抗、第2抵抗及び第3抵抗の順番で直列に接続される3つの抵抗と、電源供給ラインに設けられ、カソードが第1抵抗に接続されるダイオードと、電源供給ラインとグランドラインとの間に設けられ、カソードが第2抵抗と第3抵抗との接続点に接続されるツェナーダイオードと、を有する車両用灯具を提供する。この場合、光源抵抗は、発光素子の順方向電圧Vfと、発光素子の発光を視覚的に確認することができる電流値Ifと、安全係数xとに基づいて、次の数式、R=Vf÷If÷x、を満たすように抵抗値Rが設定される。そして、光源抵抗は、電源供給ライン及びグランドラインの電流経路の形態に起因して発生する誘導起電力に伴う電流を流すことにより、発光素子に流れる電流を抑制する。
【0008】
ここで、本発明は、発光素子、コンデンサ及び光源抵抗を含む第1の回路部分と、第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、ダイオード及びツェナーダイオードを含む第2の回路部分と、が互いに分割され、コネクタによって相互に接続可能とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電波などのノイズに起因して誘導起電力が発生した場合であっても、コンデンサによりその電圧を平滑化することができるので、その電流が発光素子へ流れることを抑制することができる。また、コンデンサにて抑制することができない場合であっても、その電流を抵抗にて消費することで、発光素子に流れる電流を抑制することができる。これにより、ノイズにより発光素子が勝手に点滅してしまうといった事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両用灯具の主要部の構成を模式的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具の主要部の構成を模式的に示す説明図である。車両用灯具は、後述する光源部、第1抵抗R21、第2抵抗R22、第3抵抗R23、ダイオードD21及びツェナーダイオードZDを有している。光源部10を含む第1の回路部分と、第1抵抗R21、第2抵抗R22、第3抵抗R23、ダイオードD21及びツェナーダイオードZDを含む第2の回路部分とは互いに分割されており、コネクタCNTにより相互に接続可能となっている。このコネクタCNTに示す「1」は電源供給側に相当し、「2」はグランド側に相当する。
【0012】
光源部は、LED11と、コンデンサC1と、抵抗R1とで構成されている。
【0013】
LED11は、車両に用いられる灯具であり、発光素子である発光ダイオードが用いられている。LED11は、電源供給ラインL1とグランドラインL2との間に接続されている。LED11は、例えば、複数の発光ダイオードが直列接続された光源列が複数並列に接続されて構成されている。光源部は、車両に用いられる灯具の一例として、例えば車両の前照灯に採用されている。
【0014】
コンデンサC1は、LED11の両端電圧を平滑化して、当該両端電圧を安定させるためのものである。コンデンサC1は、LED11の両端間に並列接続されている。
【0015】
抵抗R1は、コンデンサC1により平滑化することができず、光源部に残留するエネルギーを消費するためのものである。この抵抗R1により、ノイズの影響によってLED11が勝手に点滅することを抑制している。抵抗R1は、コンデンサC1と同様、LED11の両端間に並列接続されている。この抵抗R1の詳細については後述する。
【0016】
第2の回路部分において、電源供給ラインL1には、第1抵抗R21、第2抵抗R22及び第3抵抗R23の順番で直列に接続する3つの抵抗R21〜R23が配設されている。また、この電源供給ラインL1には、逆流を防止するためのダイオードD1が配設されており、そのアノードがコネクタCNTに接続し、カソードが第1抵抗R21に接続している。また、電源供給ラインL1とグランドラインL2との間には、ツェナーダイオードZDが接続されており、このツェナーダイオードZDのカソードが第2抵抗R22と第3抵抗R23との接続点に接続している。
【0017】
電源供給ラインL1には、図示しない点灯回路から所定電圧の印加が可能とされている。電源供給ラインL1に所定電圧が印加されると、ダイオードD1、第1抵抗R21、第2抵抗R22、第3抵抗R23を経て、LED11の両端に電圧が印加されLED11が点灯する。ここで、第2抵抗R22と第3抵抗R23との接続点における電圧は、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧に維持されており、所定の電圧が負荷1に印加されることとなる。一方、電源供給ラインL1に電圧が印加されていないと、LED11の両端に電位差が生じずLED11が点灯されない。
【0018】
この第2の回路部分においては、第3抵抗R23からコネクタCNTまでの距離が大きく確保されている。これは、車両構造の制約等の理由から、光源部へと至る電流経路を長く確保する必要があるからである。このような長い電流経路部分は、プリント基板における形状的な対策やワイヤーハーネスを用いたりすることにより実現されている。
【0019】
ところで、プリント基板の形状や基板長さ、ワイヤーハーネスの長さに起因して、その電流経路部分がアンテナとしての役割を果たしてしまうことがある。そのため、テレビやラジオ等の基地局から送出される電波により、アンテナ部分が誘導起電力を発生し、これにより、LEDが勝手に点滅してしまうという不都合が生じることがある。
【0020】
このようなノイズに起因する電圧が光源部に印加された場合には、コンデンサC1により平滑化される。すなわち、コンデンサC1によりノイズに起因する電圧が平滑化されるので、LED11の両端電圧はその順方向電圧を超えないように抑制される。これにより、ノイズに起因する電圧が光源部に印加された場合であっても、LEDが勝手に点滅するという事態が抑制される。
【0021】
ここで、長い電流経路が設定された場合であっても、その経路が相対的に短い、すなわち、プリント基板の長さやワイヤーハーネスの長さが比較的に短い場合には、高周波のノイズの影響を受けやすい。このような高周波ノイズにおいては、低容量のコンデンサで対策が可能となる。
【0022】
一方で、その電流経路が相対的に長い、すなわち、プリント基板の長さやワイヤーハーネスの長さが比較的に長い場合には、低周波のノイズの影響を受けやすい。このような周波ノイズにおいては、大容量のコンデンサが必要となる。しかしながら、大容量のコンデンサはコストアップに通じることとなる。
【0023】
そこで、低容量のコンデンサC1を用いつつも、このコンデンサC1により平滑化できない程度の電圧が印加された場合には、LED11と並列に接続された抵抗R1によりそのエネルギーを消費することとしている。
【0024】
抵抗R1はLEDと並列の関係にあるため、抵抗R1側に電流が流れ過ぎると消費電力の増大を招くこととなる。そのため、抵抗R1にあまり小さな抵抗値を設定することは好ましくない。もっとも、本実施形態によれば、上述の如く、抵抗R1はコンデンサC1と相互に補完することが可能であるため、ある程度大きな抵抗値を設定することも可能となる。
【0025】
具体的には、抵抗R1は、以下に示す関係を満たすように設定されている。
(数式1)
R=Vf÷If÷x
【0026】
数式1において、「R」は、抵抗R1の抵抗値であり、「Vf」はLED11の順方向電圧である。「If」はLED11の発光を視覚的に確認することができる電流値であり、「x」は安全係数である。LED11の順方向電圧は、製造メーカや発光する色によっても相違するが、白色なら3V程度である。また、LED11の発光を視覚的に確認することができる電流値は、1mA程度である。ここで、安全係数を「2」に設定した場合、上記の計算式に従えば、抵抗R1は、1.5kΩ程度のものを利用すればよいこととなる。
【0027】
このように本実施形態の車両用灯具は、電源供給ラインL1とグランドラインL2との間に接続されるLED11と、LED11に並列接続されるコンデンサC1と、LED11に並列接続される抵抗R1と、を有している。電源供給ラインL1及びグランドラインL2の電流経路の形態は、プリント基板の形状や基板長さ、ワイヤーハーネスの長さに応じて定まり、プリント基板の形状や基板長さ、ワイヤーハーネスの長さは、車両構造の制約等により冗長となることがある。そのため、このような長い電流経路部分がアンテナとしての役割を果たすことがある。そこで、抵抗R1は、電源供給ラインL1及びグランドラインL2の電流経路の形態に起因して発生する誘導起電力に伴う電流を流すことにより、LED11に流れる電流を抑制することとしている。
【0028】
この構成によれば、電波などのノイズに起因して誘導起電力が発生した場合であっても、コンデンサC1によりその電圧を平滑化することができるので、その電流がLED11へ流れることを抑制することができる。また、コンデンサC1の容量を超えるようなノイズについては、その電流が抵抗R1にて消費されて、LED11に流れる電流を抑制することができる。これにより、ノイズ(誘導起電力)によりLED11が勝手に点滅してしまうといった事態を抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、コンデンサC1と抵抗R1とが相互に補完することで、ノイズ(誘導起電力)によるLED11の点滅を有効に抑制することができる。すなわち、低周波ノイズに対応する抵抗R1を備えることで、低容量なコンデンサC1において回路を構築することができるため、車両用灯具のコストアップを抑制することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の構成によれば、ノイズ耐性に優れるため、電流経路、すなわち、基板やワイヤーハーネスの配索距離を延ばすことが可能となる。これにより、車両用灯具に関する設計自由度を向上させることができる。
【0031】
また、本実施形態の車両用灯具において、抵抗R1は、LED11の順方向電圧Vfと、LED11の発光を視覚的に確認することができる電流値Ifとに基づいて抵抗値が設定されている。
【0032】
この構成によれば、視覚的に認識できるレベルでLED11が点灯することを抑制することができる。これにより、抵抗R1の抵抗を適切に設定することができ、抵抗R1による消費電力の増大を抑制することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態にかかる車両用灯具について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
11 LED
R1 抵抗
C1 コンデンサ
R21 抵抗
R22 抵抗
R23 抵抗
D21 ダイオード
ZD ツェナーダイオード
L1 電源供給ライン
L2 グランドライン
CNT コネクタ
図1