(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外部熱源部は、前記カバー部の内部に前記外部熱源部からの熱を伝熱することによって、前記カバー部の内部の温度を、前記カバー部の外部の雰囲気温度よりも高くするように構成されている、請求項1に記載のプロジェクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、面状発熱体(熱源部)を発熱させる際には、電力を供給するために電流が流される。その結果、電力を供給するための電流が流れること(または電流の大きさの変化)に起因したノイズ(電磁波など)が発生する場合があると考えられる。そして、上記特許文献1の偏向走査装置では、光学箱の内部に、回転多面鏡と面状発熱体とが近接して配置されているため、面状発熱体(熱源部)からのノイズ(電磁波など)に起因して、回転多面鏡(光走査部材)の動作が不安定になる場合があるという問題点が発生すると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、光走査部材の動作が不安定になるのを抑制しながら、光走査部材の近傍で結露が発生するのを抑制することが可能なプロジェクタおよびヘッドアップディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるプロジェクタは、投影光を照射する光源部と、光源部からの投影光を走査する光走査部材と、光走査部材が内部に配置されているとともに光走査部材を覆うように設けられているカバー部と、カバー部の外部に設けられているとともに、熱を発することが可能に構成された外部熱源部とを備え、
外部熱源部は、プロジェクタ本体に配置されている電気部品を含み、カバー部の内部は、
電気部品の排熱が熱伝達部材を介して、カバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面によるプロジェクタでは、上記のように、外部熱源部を、カバー部の外部に設けるとともに、熱を発することを可能に構成する。これにより、外部熱源部がカバー部の外部に設けられているので、内部熱源がカバー部の内部に設けられている場合と異なり、内部熱源の駆動に伴うノイズに起因して光走査部材の動作が不安定になるのを抑制することができる。同時に、内部熱源を駆動するための配線スペースを削減できる。また、カバー部の内部を、外部熱源部からの熱がカバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成することによって、カバー部の内部の光走査部材の近傍で結露が発生するのを抑制することができる。その結果、光走査部材の動作が不安定になるのを抑制しながら、光走査部材の近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、外部熱源部は、カバー部の内部に外部熱源部からの熱を伝熱することによって、カバー部の内部の温度を、カバー部の外部の雰囲気温度よりも高くするように構成されている。ここで、カバー部の内部の温度が、カバー部の外部の雰囲気温度よりも低い場合には、カバー部の内部で結露が発生する場合がある。そこで、本発明では、カバー部の内部の温度を、カバー部の外部の雰囲気温度よりも高くするように構成することによって、光走査部材の近傍で結露が発生するのを、より確実に抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、
熱伝達部材は、カバー部の内部の雰囲気に接触するとともに、外部熱源部からの熱をカバー部の内部に伝熱
し、外部熱源部は、外部熱源部からの熱を、熱伝達部材を介して、カバー部の内部に伝熱することによって、カバー部の内部の雰囲気温度を、カバー部の外部の雰囲気温度よりも高くするように構成されている。このように構成すれば、外部熱源部からの熱を、容易にカバー部の内部の雰囲気に伝熱することができる。
【0012】
上記電気部品を含む外部熱源部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、電気部品は、光源部を含む。このように構成すれば、光源部は投影光を発する際に発熱するので、光源部を容易に外部熱源部として用いることができる。
【0013】
上記光源部を含む外部熱源部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、光源部の近傍に配置されており、光源部の排熱を放熱することが可能に構成されている放熱部をさらに備え、熱伝達部材は、放熱部と接続されており、カバー部の内部は、光源部の排熱が、放熱部および熱伝達部材を介して、カバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成されている。このように構成すれば、放熱部を介することによって、光源部からの排熱を放熱しながら、放熱部および熱伝達部材によりカバー部の内部に伝熱することができる。
【0014】
上記電気部品を含む外部熱源部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、電気部品は、光源部を駆動させるための電子回路基板を含む。このように構成すれば、光源部を駆動させるための電子回路基板は、電力を消費することにより発熱するので、電子回路基板から発した熱(排熱)を外部熱源部の熱源として用いることができる。
【0015】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、カバー部の内部は、光源部に隣接し、かつ、光源部に対して壁部により隔離されて配置されている。このように構成すれば、カバー部の内部と光源部との間における熱の移動(熱干渉)を壁部により抑制することができる。たとえば、光源部を冷却して、カバー部の外部の雰囲気温度よりも光源部の温度を低くするように構成する場合には、カバー部の内部が光源部により冷却されるのを抑制することができるとともに、光源部がカバー部により加熱されるのを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、カバー部には、カバー部の内部とカバー部の外部とを通気するための通気部が設けられており、通気部には、防塵および透湿の性質を有する部材が設けられている。このように構成すれば、カバー部の内部に塵が混入するのを抑制しながら、カバー部の内部に湿気がこもるのを抑制することができる。その結果、光走査部材の近傍で結露が発生するのを、さらに抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、光走査部材は、光源部からの投影光を反射しながら振動して、光源部からの投影光を走査する振動ミラー素子を含み、振動ミラー素子は、外部熱源部からの熱がカバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成されている。このように構成すれば、振動ミラー素子が振動することによって、振動ミラー素子の近傍の気圧が変動して結露が生じやすい状態になっても、振動ミラー素子の近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面によるヘッドアップディスプレイ装置は、ユーザが視認する虚像に対応する画像の光を照射する光源部と、光源部からの光を走査する光走査部材と、光走査部材が内部に配置されているとともに光走査部材を覆うように設けられているカバー部と、カバー部の外部に設けられているとともに、熱を発することが可能に構成された外部熱源部とを備え、
外部熱源部は、ヘッドアップディスプレイ装置本体に配置されている電気部品を含み、カバー部の内部は、電気部品の排熱が熱伝達部材を介して、カバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面によるヘッドアップディスプレイ装置では、上記のように、外部熱源部を、カバー部の外部に設けるとともに、熱を発することを可能に構成する。また、カバー部の内部を、外部熱源部からの熱がカバー部の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、第2の局面によるヘッドアップディスプレイ装置においても、光走査部材の動作が不安定になるのを抑制しながら、光走査部材の近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、光走査部材の動作が不安定になるのを抑制しながら、光走査部材の近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜
図6を参照して、本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100の構成について説明する。なお、ヘッドアップディスプレイ装置100は、本発明の「プロジェクタ」の一例である。
【0024】
本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100は、
図1に示すように、自動車101などの輸送用機器に搭載されるように構成されている。また、ヘッドアップディスプレイ装置100は、フロントガラスなどのスクリーン101aにレーザ光(投影光)を照射することにより、ユーザは、スクリーン101aの前方の自動車101の外側に虚像(画像)を視認可能に構成されている。このヘッドアップディスプレイ装置100は、カーナビゲーションに関する情報や自動車101に関する情報などの画像をスクリーン101aに表示する機能を有している。
【0025】
また、
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100には、光走査ブロック1が設けられている。光走査ブロック1は、後述する光源ブロック2からのレーザ光を走査しながら、スクリーン101aにレーザ光(投影光)を照射するように構成されている。
【0026】
そして、ヘッドアップディスプレイ装置100には、光源ブロック2が設けられている。光源ブロック2は、レーザ光を出射することが可能に構成されており、光走査ブロック1に隣接して配置されている。なお、光源ブロック2は、本発明の「光源部」の一例である。
【0027】
そして、ヘッドアップディスプレイ装置100には、制御ブロック3が設けられている。制御ブロック3は、光走査ブロック1および光源ブロック2の上方側(矢印Z1方向側)に配置されており、光走査ブロック1および光源ブロック2の駆動を制御するように構成されている。
【0028】
そして、ヘッドアップディスプレイ装置100には、放熱部4が設けられている。放熱部4は、光走査ブロック1および光源ブロック2の下方側(矢印Z2方向側)に配置されており、光源ブロック2からの熱を吸熱するように構成されている。そして、後述するように、放熱部4は、吸熱した光源ブロック2からの熱を放熱するとともに、光走査ブロック1に伝熱するように構成されている。
【0029】
また、
図3に示すように、光走査ブロック1には、固定ミラー11が設けられている。固定ミラー11は、光源ブロック2から照射されたレーザ光を、後述するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー12a側に反射するように構成されている。
【0030】
そして、光走査ブロック1には、MEMSミラー12aが設けられている。MEMSミラー12aは、軸回りに振動することによって、固定ミラー11に反射されたレーザ光を、スクリーン101aの水平方向に走査しながら、後述するMEMSミラー12b側に反射するように構成されている。なお、MEMSミラー12aは、本発明の「光走査部材」および「振動ミラー素子」の一例である。
【0031】
そして、光走査ブロック1には、MEMSミラー12bが設けられている。MEMSミラー12bは、軸回りに振動することによって、MEMSミラー12aに反射されたレーザ光を、スクリーン101aの垂直方向に走査しながら、スクリーン101a側に反射するように構成されている。なお、MEMSミラー12bは、本発明の「光走査部材」および「振動ミラー素子」の一例である。
【0032】
また、
図3に示すように、光源ブロック2には、レーザダイオード21a〜21cが設けられている。レーザダイオード21aは、後述するLDドライバ32cから電力が供給されることによって、赤色波長域のレーザ光を発するように構成されている。また、レーザダイオード21bは、緑色波長域のレーザ光を発するように構成されている。また、レーザダイオード21cは、青色波長域のレーザ光を発するように構成されている。そして、レーザダイオード21a〜21cは、レーザ光を発する際に、熱が発生する。なお、レーザダイオード21a〜21cは、本発明の「光源部」、「電気部品」および「外部熱源部」の一例である。
【0033】
そして、光源ブロック2には、コリメートレンズ22a〜22cが設けられている。コリメートレンズ22a〜22cは、レーザダイオード21a〜21cから発せれたレーザ光の光軸を、互いに同一平面上になるように補正するように構成されている。
【0034】
そして、光源ブロック2には、偏光プリズム23a〜23cが設けられている。偏光プリズム23a〜23cは、コリメートレンズ22a〜22cにより互いに同一平面上にされた3つのレーザ光を、同一の光軸にするように構成されている。
【0035】
そして、光源ブロック2には、ビーム整形プリズム24が設けられている。ビーム整形プリズム24は、レーザ光のスポット形状を整形する(たとえば、楕円形状から略円形状に整形する)ように構成されている。
【0036】
そして、光源ブロック2には、集光レンズ25が設けられている。集光レンズ25は、ビーム整形プリズム24から出射されたレーザ光を集光しながら、光走査ブロック1に入射させるように構成されている。
【0037】
そして、光源ブロック2には、温度センサ26aおよび26bが設けられている。温度センサ26aは、レーザダイオード21aの近傍に配置されており、レーザダイオード21aの温度を検出可能に構成されている。そして、温度センサ26aは、後述するメインCPU(Central Processing Unit)31と接続されており、検出した温度の情報をメインCPU31に伝達するように構成されている。また、温度センサ26bは、光源ブロック2の外部雰囲気の温度を検出可能に構成されている。そして、温度センサ26bは、検出した温度の情報をメインCPU31に伝達するように構成されている。
【0038】
また、
図3に示すように、制御ブロック3には、メインCPU31が設けられている。メインCPU31は、ヘッドアップディスプレイ装置100の各部に制御信号を伝達することによって各部を制御するように構成されている。たとえば、温度センサ26aからレーザダイオード21aの温度の情報を取得して、取得した温度の情報に基づいて、後述するペルチェ素子41の吸熱量(レーザダイオード21aの温度)を制御するように構成されている。また、メインCPU31は、温度センサ26bから光源ブロック2の外部雰囲気の温度の情報を取得して、取得した温度の情報に基づいて、光源ブロック2の外部雰囲気の温度が所定の閾値よりも高い場合には、光走査ブロック1および光源ブロック2の動作を停止する制御を行うように構成されている。
【0039】
そして、制御ブロック3には、表示制御部32が設けられている。表示制御部32は、メインCPU31の指令に基づいて、MEMSミラー12aおよび12bと、レーザダイオード21a〜21cとを駆動させる制御を行うように構成されている。
【0040】
そして、
図3に示すように、表示制御部32には、映像処理部32aが設けられている。映像処理部32aは、外部から入力された映像信号に基づいて、画像情報を光源制御部32bおよびミラー制御部32dに出力するように構成されている。
【0041】
そして、表示制御部32には、光源制御部32bが設けられている。光源制御部32bは、映像処理部32aからの画像情報に基づいて、LDドライバ32cを制御するように構成されている。
【0042】
そして、表示制御部32には、LDドライバ32cが設けられている。LDドライバ32cは、光源制御部32bの指令に基づいて、レーザダイオード21a〜21cに対しての電力の供給を制御(オンオフ)するように構成されている。
【0043】
そして、表示制御部32には、ミラー制御部32dが設けられている。ミラー制御部32dは、所定の制御信号をミラードライバ32eに伝達することにより、ミラードライバ32eを制御するように構成されている。
【0044】
そして、表示制御部32には、ミラードライバ32eが設けられている。ミラードライバ32eは、ミラー制御部32dの指令に基づいて、MEMSミラー12aおよび12bの駆動を制御するように構成されている。
【0045】
また、制御ブロック3には、素子駆動部33が設けられている。素子駆動部33は、メインCPU31からの制御信号に基づいて、ペルチェ素子41に電力を供給することにより、ペルチェ素子41を駆動させるように構成されている。
【0046】
また、放熱部4には、ペルチェ素子41が設けられている。そして、
図4に示すように、ペルチェ素子41は、後述するヒートシンク42aの上方側(矢印Z1方向側)の表面にヒートシンク42aと接触するように配置されている。そして、ペルチェ素子41は、素子駆動部33から電力が供給されることによって、一方表面側(光源ブロック2側)の温度を低下させる(吸熱する)ように構成されているとともに、他方表面側(後述するヒートシンク42a側)を、発熱させる(一方表面側で吸熱した熱を放熱する)ように構成されている。すなわち、ペルチェ素子41は、一方表面側に対して冷却機能を有する。また、ペルチェ素子41は、素子駆動部33から供給する電力の大きさに応じて、吸熱量を調整可能に構成されている。
【0047】
そして、
図3に示すように、メインCPU31は、温度センサ26aからレーザダイオード21aの温度の情報を取得して、取得した温度の情報に基づいて、ペルチェ素子41の吸熱量(レーザダイオード21aの温度)を制御するように構成されている。たとえば、メインCPU31は、赤色のレーザ光を発するレーザダイオード21aが、5℃以上10℃以下の状態を保つようにペルチェ素子41を制御するように構成されている。なお、レーザダイオード21bおよび21cには、ペルチェ素子を設けておらず、後述するヒートシンク42bから自然放熱するように構成されている。
【0048】
そして、
図4に示すように、レーザダイオード21aの下方側(矢印Z2方向側)には、熱伝達部材28aが設けられている。熱伝達部材28aは、アルミ合金などの金属により円筒形状を有するように形成されており、樹脂等に比べて、熱伝導性が高くなるように構成されている。そして、熱伝達部材28aは、レーザダイオード21aの下方側(矢印Z2方向側)に面接触するとともに、上記したペルチェ素子41の上方側(矢印Z1方向側)に面接触した状態で固定されている。そして、熱伝達部材28aは、レーザダイオード21aがレーザ光を発する際に生じた熱(排熱)を、ペルチェ素子41に伝熱するように構成されている。
【0049】
ここで、第1実施形態では、
図4に示すように、ペルチェ素子41(レーザダイオード21a)の下方側(矢印Z2方向側)には、レーザダイオード21aの排熱を放熱することが可能に構成されているヒートシンク42aが設けられている。具体的には、ヒートシンク42aは、ペルチェ素子41と面接触するように配置されており、ペルチェ素子41を介して、レーザダイオード21aの排熱が伝熱されるように構成されている。そして、ペルチェ素子41が配置されていない他方側(矢印Z2方向側)には、フィンが形成されている(
図2参照)。そして、ヒートシンク42aは、ペルチェ素子41から伝熱された熱を、フィンにより、光走査ブロック1および光源ブロック2が配置されている側(矢印Z1方向側)とは異なる方向(矢印Z2方向側)に放熱するように構成されている。
【0050】
また、
図4に示すように、放熱部4には、ヒートシンク42aとは別個に、ヒートシンク42bが設けられている。ヒートシンク42bは、ヒートシンク42aの矢印Y2方向側に、ヒートシンク接続部材42cを挟むように配置されている。そして、ヒートシンク42bは、ヒートシンク42aと同様に、矢印Z2方向側にフィンが設けられており、レーザダイオード21bおよびレーザダイオード21cの排熱を放熱可能に構成されている。また、ヒートシンク接続部材42cは、熱伝導性の低い材料(たとえば、樹脂など)から形成されており、ヒートシンク42aとヒートシンク42bとの間の伝熱を抑制するように構成されている。
【0051】
また、
図5に示すように、光源ブロック2には、光源カバー27が設けられている。そして、光源カバー27の内部には、光源ハウジング29が配置されている。光源ハウジング29は、樹脂などにより構成されており、内部に上記したコリメートレンズ22a〜22c(
図3参照)などが配置されている。そして、光源ハウジング29の矢印Y1方向側には、レーザダイオード21aが光源ハウジング29の内側方向(矢印Y2方向)にレーザ光を発するように取付けられている。また、光源ハウジング29の他方側面(矢印Y2方向側の側面)には、緑色のレーザ光を発するレーザダイオード21bが光源ハウジング29の内側方向(矢印Y1方向)にレーザ光を発するように取付けられている。また、光源ハウジング29の後面側面(矢印X1方向側の側面)には、青色のレーザ光を発するレーザダイオード21cが光源ハウジング29の内側方向(矢印X2方向側)にレーザ光を発するように取付けられている。
【0052】
そして、光源ハウジング29の前面側(矢印X2方向側)には、出射部29aが設けられている。出射部29aは、レーザダイオード21a〜21cから発せられ、コリメートレンズ22a〜22cおよび偏光プリズム23a〜23c等を介したレーザ光が出射するように構成されている。そして、出射部29aから出射されたレーザ光は、上記したように、光走査ブロック1の固定ミラー11と、MEMSミラー12aおよび12bとを介して、スクリーン101aに投影されるように構成されている。
【0053】
また、
図5に示すように、レーザダイオード21bの下方側(矢印Z2方向側)には、熱伝達部材28bがレーザダイオード21bと面接触するように配置されている。そして、熱伝達部材28bは、熱伝達部材28bの下方側(矢印Z2方向側)で、ヒートシンク42bと接続するように設けられている。これにより、レーザダイオード21bからの排熱をヒートシンク42bに伝熱するように構成されている。また、レーザダイオード21cの下方側(矢印Z2方向側)には、熱伝達部材28cが設けられている。熱伝達部材28cは、熱伝達部材28bと同様に、レーザダイオード21cからの排熱をヒートシンク42bに伝熱するように構成されている。
【0054】
また、
図4に示すように、制御ブロック3は、光走査ブロック1および光源ブロック2の上方側(矢印Z1方向側)に配置されている。そして、制御ブロック3には、電子回路基板35が設けられている。電子回路基板35は、XY平面に平行な平板形状を有する。そして、電子回路基板35には、上記したメインCPU31と、表示制御部32と、素子駆動部33として機能する素子が実装されている。また、電子回路基板35は、実装されている素子が動作して熱を発することによって、温度が大きくなる。なお、電子回路基板35は、本発明の「電気部品」の一例である。
【0055】
そして、
図4に示すように、電子回路基板35の上方側(矢印Z1方向側)には、基板カバー36が設けられている。そして、基板カバー36は、金属性の板により形成されており、一部が上方側(矢印Z1方向側)に窪んだ凹形状を有する。そして、基板カバー36は、電子回路基板35の上方側(矢印Z1方向側)の平面(XY平面)を覆うように配置されている。また、制御ブロック3には、ビス37が設けられている。そして、ビス37は、矢印Z1方向側から、基板カバー36を挟むようにして、電子回路基板35に螺合して固定されるように構成されている。
【0056】
ここで、第1実施形態では、
図4に示すように、光走査ブロック1には、ミラーカバー13が設けられている。ミラーカバー13は、樹脂等により形成されており、内部に上記したMEMSミラー12aおよび12bなどが配置されている。そして、ミラーカバー13は、光源カバー27のレーザ光の出射方向側(矢印X2方向側)に配置されている。そして、光走査ブロック1には、ビス14が設けられている。そして、ビス14は、矢印X2方向側からミラーカバー13を挟むように、光源カバー27に螺合して固定されるように構成されている。すなわち、MEMSミラー12aおよび12bが配置されている空間(ミラーカバー13の内部)と、レーザダイオード21a〜21cが配置されている空間(光源カバー27の内部)とは、隣接し、かつ、壁部(ミラーカバー13および光源カバー27)により隔離されて配置されている。なお、ミラーカバー13は、本発明の「カバー部」の一例である。
【0057】
また、第1実施形態では、
図6に示すように、光走査ブロック1には、熱伝達部材15が設けられている。熱伝達部材15は、ミラーカバー13の内部の雰囲気(
図6符号A)に接触するとともに、レーザダイオード21aからの熱をミラーカバー13の内部に伝熱するように構成されている。
【0058】
具体的には、
図6に示すように、ミラーカバー13は、下側ミラーカバー13aと、窓部13bと、隔壁部13cと、上側ミラーカバー13dとが組み合わされて構成されている。そして、ミラーカバー13の内部には、固定ミラー11と、MEMSミラー12aおよび12bと、ミラーベース部16aおよび16bとが配置されている。また、ミラーカバー13の内部は、空気などを含む雰囲気(
図6符号A)を有する。
【0059】
また、熱伝達部材15は、アルミなどの熱伝導性の高い金属により形成されている。そして、熱伝達部材15の上部15aは、Z方向に延びる円筒形状に形成されている。そして、上部15aの一部は、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aに露出するように構成されている。また、熱伝達部材15の下部15bは、ミラーカバー13の外部において、ヒートシンク42aに接続するように配置されている(
図4参照)。
【0060】
そして、下側ミラーカバー13aは、樹脂などにより形成されており、底面を覆う平面と側壁部で構成されている。そして、下側ミラーカバー13aの上部に固定ミラー11が配置されている。また、下側ミラーカバー13aの投影光(レーザ光)の出射方向(矢印X2方向)には、長方形形状を有する枠部13eが設けられている。そして、下側ミラーカバー13aの枠部13eは、窓部13bが嵌合可能に構成されている。
【0061】
そして、窓部13bは、下側ミラーカバー13aの枠部13eに配置されており、平板形状を有する。また、窓部13bは、投影光を透過可能な透明材料により形成されている。
【0062】
そして、下側ミラーカバー13aの光源ブロック2側(矢印X1方向側)には、隔壁部13cがYZ平面と平行に広がるように設けられている。隔壁部13cは、下側ミラーカバー13aと一体的に形成されており、光源カバー27と面接触するように配置されている。また。隔壁部13cは、上記した出射部29aからの投影光を導光可能な穴部(図示せず)が設けられている。そして、出射部29aから出射した投影光は、穴部を介して、固定ミラー11に入射するように構成されている。なお、隔壁部13cは、本発明の「壁部」の一例である。
【0063】
そして、下側ミラーカバー13aおよび隔壁部13cの上方側(矢印Z1方向側)には、上側ミラーカバー13dが設けられている。上側ミラーカバー13dは、後述する防塵透湿フィルム17とともに、ミラーカバー13の上面として構成されている。そして、上側ミラーカバー13dは、樹脂などにより形成されている。
【0064】
ここで、第1実施形態では、
図6に示すように、上側ミラーカバー13dの中央部には、防塵透湿フィルム17が設けられている。防塵透湿フィルム17は、ミラーカバー13の内部とミラーカバー13の外部との間の通気が可能に構成されている。そして、防塵透湿フィルム17は、空気が通気する際に、塵がミラーカバー13の内部に侵入しない性質を有するともに、ミラーカバー13の内部からミラーカバー13の外部に、湿気を透過させる性質を有するように構成されている。なお、防塵透湿フィルム17は、本発明の「防塵および透湿の性質を有する部材」の一例である。
【0065】
次に、
図7を参照して、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100のレーザダイオード21aの排熱の伝熱経路について説明する。
【0066】
まず、
図7に示すように、レーザダイオード21aに電力が供給されることによって、レーザ光が発せられるとともに、熱が発せられる。そして、レーザダイオード21aから発せられた熱は、主にレーザダイオード21aと接触している熱伝達部材28aに伝熱される(矢印C1)。そして、熱伝達部材28aに伝熱された熱は、ペルチェ素子41により吸熱される(矢印C2)。この場合、レーザダイオード21aは、ペルチェ素子41により温度T3(たとえば、5℃以上10℃未満であり温度T1および温度T2よりも低い)に調節されているので、レーザダイオード21aの排熱とペルチェ素子41を駆動するための電力消費による排熱が、ペルチェ素子41と面接触して配置されているヒートシンク42aに伝熱される(矢印C3)。これにより、ヒートシンク42aは、温度T4(温度T2よりも高い)となる。そして、ヒートシンク42aに伝熱された熱は、熱伝達部材15に伝熱される(矢印C4およびC5)。そして、熱伝達部材15に伝熱された熱は、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aに伝熱される(矢印C6)。そして、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aの温度は、温度T1となる。なお、光源カバー27とミラーカバー13とは、隣接して配置されている一方、光源カバー27の内部とミラーカバー13の内部とは隔壁部13cにより隔離されているため、伝熱は略ない。上記の熱の伝達によって、温度T1〜T4は、以下の式(1)の関係を有する。
T3<T2<T1≦T4 ・・・ (1)
【0067】
このように、第1実施形態では、レーザダイオード21aの排熱が、熱伝達部材28とヒートシンク42aと熱伝達部材15を介して、ミラーカバー13の内部に伝熱されることによって、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aの温度T1が、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも高くなる。
【0068】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、レーザダイオード21aを、ミラーカバー13の外部に設けるとともに、熱を発することを可能に構成する。これにより、レーザダイオード21aがミラーカバー13の外部に設けられているので、内部熱源がミラーカバー13の内部に設けられている場合と異なり、内部熱源の駆動に伴うノイズに起因してMEMSミラー12aおよび12bの動作が不安定になるのを抑制することができる。同時に、内部熱源を駆動するための配線スペースを削減することができる。また、ミラーカバー13の内部を、レーザダイオード21aからの熱がミラーカバー13の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成することによって、ミラーカバー13の内部のMEMSミラー12aおよび12bの近傍で結露が発生するのを抑制することができる。その結果、MEMSミラー12aおよび12bの動作が不安定になるのを抑制しながら、MEMSミラー12aおよび12bの近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイ装置100を、ミラーカバー13の内部にレーザダイオード21aからの熱を伝熱することによって、ミラーカバー13の内部の温度T1を、ミラーカバー13の外部の雰囲気B(
図7参照)温度T2よりも高くなるように構成する。ここで、ミラーカバー13の内部の温度T1が、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも低い場合には、ミラーカバー13の内部で結露が発生する場合がある。そこで、第1実施形態では、ミラーカバー13の内部の温度T1を、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも高くするように構成することによって、MEMSミラー12aおよび12bの近傍で結露が発生するのを、より確実に抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイ装置100に、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aに接触するとともに、レーザダイオード21aからの熱をミラーカバー13の内部に伝熱する熱伝達部材15および28aを設ける。そして、ヘッドアップディスプレイ装置100を、レーザダイオード21aからの熱が、熱伝達部材15および28aを介して、ミラーカバー13の内部に伝熱されることによって、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aの温度T1を、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも高くなるように構成する。これにより、レーザダイオード21aからの熱を、容易にミラーカバー13の内部の雰囲気Aに伝熱することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、レーザダイオード21aは、ヘッドアップディスプレイ装置100に配置されている電気部品であり、ミラーカバー13の内部を、レーザダイオード21aの排熱が熱伝達部材15および28aを介して、ミラーカバー13の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、レーザダイオード21aは投影光を発する際に発熱して、レーザダイオード21aから発した熱(排熱)を用いるので、レーザダイオード21aとは別個に熱源部を設ける必要がない。その結果、ヘッドアップディスプレイ装置100の構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイ装置100に、レーザダイオード21aの近傍に配置される、レーザダイオード21aの排熱を放熱することが可能に構成されるヒートシンク42aを設ける。そして、熱伝達部材15および28aは、ヒートシンク42aと接続されている。そして、ミラーカバー13の内部を、レーザダイオード21aの排熱が、ヒートシンク42aと熱伝達部材15および28aとを介して、ミラーカバー13の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、ヒートシンク42aを介することによって、レーザダイオード21aからの排熱を放熱しながら、ヒートシンク42aと熱伝達部材15および28aとによって、ミラーカバー13の内部に伝熱することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラーカバー13の内部を、光源ブロック2に隣接し、かつ、光源ブロック2に対して隔壁部13cにより隔離されて配置する。これにより、ミラーカバー13の内部と光源ブロック2との間における熱の移動(熱干渉)を隔壁部13cにより抑制することができる。上記のように、レーザダイオード21aを冷却して、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりもレーザダイオード21aの温度T3を低くするように構成する場合には、ミラーカバー13の内部がレーザダイオード21a(光源ブロック2)により冷却されるのを抑制することができるとともに、レーザダイオード21aがミラーカバー13により加熱されるのを抑制することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラーカバー13に、ミラーカバー13の内部とミラーカバー13の外部とを通気するための防塵透湿フィルム17を設ける。これにより、ミラーカバー13の内部に塵が混入するのを抑制しながら、ミラーカバー13の内部に湿気がこもるのを抑制することができる。その結果、MEMSミラー12aおよび12bの近傍で結露が発生するのを、さらに抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、MEMSミラー12aおよび12bを、光源ブロック2からの投影光を反射しながら振動して、光源ブロック2からの投影光を走査するように構成する。そして、MEMSミラー12aおよび12bを、レーザダイオード21aからの熱がミラーカバー13の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、MEMSミラー12aおよび12bが振動することによって、MEMSミラー12aおよび12bの近傍の気圧が変動して結露が生じやすい状態になっても、MEMSミラー12aおよび12bの近傍で結露が発生するのを抑制することができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、
図8を参照して、第2実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置200の構成について説明する。第2実施形態では、レーザダイオードの排熱をミラーカバーの内部に伝熱することによって、ミラーカバーの内部を加熱するように構成されていた第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100と異なり、電子回路基板の排熱をミラーカバーの内部に伝熱することによって、ミラーカバーの内部を加熱するように構成されている。
【0078】
図8に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置200には、基板カバー236が設けられている。基板カバー236は、金属性の材料により形成されており、電子回路基板35の排熱を伝熱することが可能に構成されている。そして、基板カバー236の矢印X2方向側で、かつ、矢印Z2方向側には、ミラーカバー213の内部に挿入可能に構成された熱伝達部236aが設けられている。熱伝達部236aは、基板カバーと一体的に形成されており、ミラーカバー213の内部の雰囲気Aに接するように配置されている。なお、電子回路基板35は、本発明の「外部熱源部」の一例である。
【0079】
また、
図8に示すように、ミラーカバー213の上面の一部には、熱伝達部236aをミラーカバー213の内部に挿入することが可能に構成された開口部213aが設けられている。また、第2実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置200のその他の構成は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0080】
次に、
図8を参照して、第2実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置200の電子回路基板35の排熱の伝熱経路について説明する。
【0081】
図8に示すように、レーザダイオード21a〜21cを駆動させる際に、電子回路基板35に電力が供給されることによって、電子回路基板35から熱が発せられる。そして、電子回路基板35から発せられた熱は、主に基板カバー236に伝熱される(矢印D1)。この場合、電子回路基板35および基板カバー236は、ともにミラーカバー213の外部の雰囲気Bの温度T2よりも高い温度T5となる。
【0082】
そして、基板カバー236からの熱が、熱伝達部236aに伝熱される(矢印D2およびD3)。そして、熱伝達部236aに伝熱された熱は、ミラーカバー213の内部の雰囲気Aに伝熱される(矢印D4)。そして、ミラーカバー213の内部の雰囲気Aの温度は、温度T1となる。上記のように伝熱されることによって、温度T1、T2、および、T5は、以下の式(2)の関係を有する。
T2<T1≦T5 ・・・ (2)
【0083】
このように、第2実施形態では、電子回路基板35の排熱が、基板カバー236を介して、ミラーカバー213の内部に伝熱されることによって、ミラーカバー213の内部の雰囲気Aの温度T1が、ミラーカバー213の外部の雰囲気Bの温度T2よりも高くなる。
【0084】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第2実施形態では、上記のように、ミラーカバー213の内部を、電子回路基板35の排熱が基板カバー236および熱伝達部236aを介して、ミラーカバー213の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、電子回路基板35は、電力を消費することにより発熱するので、電子回路基板35とは別個に熱源部を設ける必要がない分、ヘッドアップディスプレイ装置200の構成が複雑化するのを抑制することができる。また、第2実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置200のその他の効果は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0086】
(第3実施形態)
次に、
図9および
図10を参照して、第3実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置300の構成について説明する。第3実施形態では、レーザダイオードの排熱をミラーカバーの内部に伝熱することによって、ミラーカバーの内部を加熱するように構成されていた第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100と異なり、ミラーカバーの外部にヒータを設けることによりミラーカバーの内部を加熱するように構成されている。
【0087】
図9に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置300は、光走査ブロック301と、制御部303とを含む。そして、光走査ブロック301には、ヒータ318が設けられている。また、制御部303には、メインCPU331とヒータドライバ334とが設けられている。なお、ヒータ318は、本発明の「外部熱源部」の一例である。
【0088】
そして、ヒータドライバ334は、制御部303の指令に基づいて、ヒータ318に電力を供給するように構成されている。そして、ヒータ318は、電力が供給されることによって発熱するように構成されている。
【0089】
そして、
図10に示すように、光走査ブロック301には、ミラーカバー313が設けられている。そして、ミラーカバー313には、下側ミラーカバー313aが設けられており、下側ミラーカバー313aは、第1実施形態による下側ミラーカバー13aと異なり、熱伝達部材15を配置するための構成は設けられていない。そして、ヒータ318は、ミラーカバー313の外部に配置されており、上側ミラーカバー13dの上面(矢印Z1方向側の面)に面接触するように配置されている。
【0090】
そして、
図10に示すように、ヒータ318は、ヒータドライバ334から、電線(図示せず)を介して電力が供給されることによって発熱して、温度T6になるように構成されている。この場合、温度T6は、ミラーカバー313の外部の雰囲気Bの温度T2よりも大きくなるように構成されている。
【0091】
そして、ミラーカバー313の内部の雰囲気Aは、ヒータ318からの熱が上側ミラーカバー13dを介して伝熱される(矢印E1)ことによって、温度T1を有する。これにより、ミラーカバー313の内部の雰囲気Aの温度T1は、ミラーカバー313の外部の雰囲気Bの温度T2よりも大きくなるように構成されている。すなわち、温度T1、温度T2および温度T6は、以下の式(3)の関係を有する。
T2<T1≦T6 ・・・ (3)
【0092】
また、第3実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置300のその他の構成は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0093】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
第3実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイ装置300に、ミラーカバー313の外部に設けられているとともに、熱を発することが可能に構成されたヒータ318を設ける。そして、ミラーカバー313の内部を、ヒータ318からの熱がミラーカバー313の内部に伝熱されることにより加熱されるように構成する。これにより、ヒータ318によりミラーカバー313の内部を加熱するので、第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100のレーザダイオード21aの排熱を用いる場合と異なり、ミラーカバー313の内部の温度T1を任意の温度に上昇させることができる。また、第3実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置300のその他の効果は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0095】
(第4実施形態)
次に、
図11および
図12を参照して、第4実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置400の構成について説明する。第4実施形態では、レーザダイオードの排熱を、ペルチェ素子とヒートシンクと熱伝達部材とを介して、ミラーカバーの内部に伝熱することによって、ミラーカバーの内部を加熱するように構成されていた第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100と異なり、レーザダイオードの排熱を、ペルチェ素子を介さないで、ヒートシンクと熱伝達部材とを介して、ミラーカバーの内部に伝熱することによって、ミラーカバーの内部を加熱するように構成されている。
【0096】
図11に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置400には、熱伝達部材415と、ヒートシンク442aと、ヒートシンク442bと、ヒートシンク接続部材442cとが設けられている。
【0097】
そして、
図12に示すように、ヒートシンク442bは、レーザダイオード21bおよび21cの排熱が、それぞれ熱伝達部材28bおよび28cを介して、伝熱されるように構成されている。この場合、ヒートシンク442bは、温度T7を有する。そして、レーザダイオード21bおよび21cの排熱が伝熱されることによって、温度T7は、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも大きくなる。
【0098】
そして、
図11および
図12に示すように、熱伝達部材415は、ヒートシンク442bの上面側(矢印Z1方向側)に接続するように配置されている。そして、熱伝達部材415の上部415aは、第1実施形態による熱伝達部材15の上部15aと同様に、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aに接触するように配置されている。そして、ミラーカバー13の内部は、ヒートシンク442bから、熱伝達部材415を介して、レーザダイオード21bおよび21cの排熱が伝熱されるように構成されている(
図12の矢印F1〜F5)。これにより、ミラーカバー13の内部の雰囲気Aの温度T1は、ミラーカバー13の外部の雰囲気Bの温度T2よりも大きくなる。すなわち、温度T1、温度T2および温度T7は、以下の式(4)の関係を有する。
T2<T1≦T7 ・・・ (4)
【0099】
また、第4実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置400のその他の構成は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0100】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0101】
第4実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイ装置400を、レーザダイオード21bおよび21cの排熱を、ペルチェ素子41を介さないで、ヒートシンク442aと熱伝達部材415とを介して、ミラーカバー13の内部に伝熱することによって、ミラーカバー13の内部を加熱するように構成する。これにより、ペルチェ素子41を介して、レーザダイオード21bおよび21cの排熱をミラーカバー13の内部に伝熱する場合に比べて、ヘッドアップディスプレイ装置400の構成が複雑化するのを抑制することができる。また、第4実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置400のその他の効果は、第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100と同様である。
【0102】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0103】
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、本発明のプロジェクタとして、ヘッドアップディスプレイ装置を用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明は、プロジェクタとしてヘッドアップディスプレイ装置以外を用いてもよい。たとえば、レーザ光をフロントガラスとは異なるスクリーンに投影させるプロジェクタを用いてもよい。
【0104】
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明の光源部として、レーザダイオードを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、光源としてレーザダイオード以外を用いてもよい。たとえば、発光ダイオード(LED)を用いてもよい。
【0105】
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明の光走査部材として、MEMSミラーを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、光走査部材としてMEMSミラー以外の光走査部材を用いてもよい。たとえば、光走査部材として回転多面鏡などを用いてもよい。
【0106】
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明の複数の光源部として、3つのレーザダイオードを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、3つ以外の数のレーザダイオードを用いてもよい。たとえば、レーザダイオードを2つ用いてもよいし、レーザダイオードを4つ以上用いてもよい。
【0107】
また、上記第1および第4実施形態では、レーザダイオードの排熱を、ヒートシンクを介して、ミラーカバーの内部に伝熱するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、レーザダイオードの排熱を、ヒートシンクを介さずに、ミラーカバーの内部に伝熱するように構成してもよい。たとえば、レーザダイオードの排熱を熱伝達部材に伝熱させるとともに、熱伝達部材から直接、ミラーカバーの内部に伝熱するように構成してもよい。
【0108】
また、上記第1、第2および第4実施形態では、レーザダイオードの排熱をミラーカバーの内部に伝熱する構成と電子回路基板の排熱をミラーカバーの内部に伝熱する構成とを別々に記載したが、本発明はこれに限られない。本発明は、レーザダイオードの排熱と電子回路基板の排熱との両方をミラーカバーの内部に伝熱するように構成してもよい。