(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸気通路の前記湾曲下流部は、前記吸気通路の延びる方向と直交する断面において、前記下流部第1間隔よりも前記下流部第2間隔が大きく、かつ、4隅に円弧形状部が設けられた長方形形状、または長円形状の断面形状を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸気装置。
前記吸気通路の前記湾曲下流部は、前記吸気通路の延びる方向と直交する断面において、前記湾曲内側の吸気通路内面に接する2つの前記円弧形状部が、前記湾曲外側の吸気通路内面に接する2つの前記円弧形状部よりも小さい半径を有する、請求項4に記載の吸気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された吸気マニホルドでは、扁平率(断面形状)が一定であることから湾曲部における湾曲外側および内側の内面の各々が一定の曲率半径を有して曲げられていると考えられるため、湾曲部の前半部分を通過した吸気流が後半部分を通過する際に、連続する一定の曲げ半径に起因して湾曲内側の内面近傍から剥離しやすいと考えられる。また、湾曲部の後半部分で吸気流が剥離した場合には、背後(徐変部を含む後流領域)における剥離渦の発生が吸気管の圧力損失を増加させることにつながる。このため、吸気管(吸気通路)の湾曲部を通過する吸気流の剥離に起因して圧力損失を効果的に低減することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、吸気流の剥離を抑制して吸気通路の湾曲部における圧力損失を効果的に低減することが可能な吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における吸気装置は、内燃機関に接続され、通路外面および通路内面が共に湾曲する湾曲部を有する吸気通路を備え、吸気通路の湾曲部は、湾曲部の上流側の部分である湾曲上流部と、湾曲部の下流側の部分である湾曲下流部とを含み、
湾曲下流部の湾曲内側の吸気通路内面は、湾曲上流部の湾曲内側の吸気通路内面よりも大きい曲率半径を有しており、湾曲下流部の吸気通路の延びる方向と直交する断面において、湾曲下流部における湾曲外側の吸気通路内面と湾曲内側の吸気通路内面との間の下流部第1間隔を湾曲下流部の吸気流れ方向に沿って徐々に小さくするとともに、下流部第1間隔を有して対向する吸気通路内面に直交して対向する吸気通路内面間の下流部第2間隔を吸気流れ方向に沿って徐々に大きくすることによって、湾曲下流部の断面積が吸気流れ方向に沿って一定になるように構成され
、吸気通路の延びる方向と直交する断面において、下流部第1間隔は、湾曲上流部における湾曲外側の吸気通路内面と湾曲内側の吸気通路内面との間の上流部第1間隔よりも小さい。
【0008】
この発明の一の局面による吸気装置では、上記のように、湾曲下流部の吸気通路の延びる方向と直交する断面において、湾曲下流部における湾曲外側の吸気通路内面と湾曲内側の吸気通路内面との間の下流部第1間隔を吸気流れ方向に沿って徐々に小さくするとともに、下流部第1間隔を有して対向する吸気通路内面に直交して対向する吸気通路内面間の下流部第2間隔を吸気流れ方向に沿って徐々に大きくすることによって、湾曲下流部の断面積が吸気流れ方向に沿って一定になるように吸気通路の湾曲部を構成する。これにより、吸気流の剥離が発生しやすい湾曲下流部において、湾曲外側および内側の吸気通路内面間の下流部第1間隔を小さくすることにより、湾曲外側の吸気通路内面近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面近傍での流路長との差が減少されるので、吸気流が湾曲内側の吸気通路内面から剥離するのが抑制される。さらに、湾曲下流部の湾曲外側および内側の吸気通路内面間の下流部第1間隔を急激に変化させることなく徐々に変化させることによって、湾曲外側の吸気通路内面近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面近傍での流路長との差を急激に減少させることなく徐々に減少させることができるので、吸気流が湾曲内側の吸気通路内面から剥離するのをより効果的に抑制することができる。その結果、吸気通路の湾曲部における圧力損失を効果的に低減することができる。また、湾曲外側の吸気通路内面と湾曲内側の吸気通路内面との間の下流部第1間隔を減少させるように流路断面形状を変化させた場合にも、下流部第2間隔を増加させることにより断面積を一定に保つことによって、下流部第1間隔が細められた湾曲下流部での吸気流の圧力損失が増加するのを効果的に抑制することができる。これによっても、吸気通路の湾曲部における圧力損失を効果的に低減することができる。
【0009】
また、これにより、吸気流の剥離が発生しやすい湾曲下流部において、湾曲内側の吸気通路内面の曲率半径を増加させて湾曲外側の吸気通路内面に容易に近付けることができるので、湾曲上流部における上流部第1間隔に対して湾曲下流部における下流部第1間隔を容易に減少させることができる。すなわち、湾曲上流部において湾曲外側の吸気通路内面近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面近傍での流路長との差が比較的大きい状態から、湾曲下流部においては湾曲内側の吸気通路内面近傍での流路長を増加させて湾曲外側の吸気通路内面近傍での流路長に近付けてその差を容易に減少させることができる。
この結果、湾曲内側の吸気通路内面から吸気流が剥離するのを抑制可能な湾曲下流部を容易に設けることができる。
【0010】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、湾曲下流部の下流端において、下流部第1間隔が最も小さく、かつ、下流部第2間隔が最も大きくなるように構成されている。このように構成すれば、湾曲下流部においては下流端での断面における下流部第1間隔を最も細める(最も扁平形状にする)ことによって、湾曲外側の吸気通路内面近傍における吸気流の流速と湾曲内側の吸気通路内面近傍における吸気流の流速との差を最も小さくすることができるので、湾曲下流部の下流端において吸気流の剥離が低減された状態を維持することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、吸気通路は、湾曲部の下流端に接続され湾曲度合いが湾曲部よりも小さい湾曲小部をさらに含み、湾曲部の下流端から湾曲小部の下流に向かって、湾曲小部の断面の縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づくように、下流部第1間隔に対応する湾曲小部の吸気通路内面間の湾曲小部第1間隔が徐々に大きくなるとともに、下流部第2間隔に対応する湾曲小部の吸気通路内面間の湾曲小部第2間隔が徐々に小さくなっている。ここで、湾曲下流部の下流端では、断面が最も扁平形状になることから流路断面における吸気通路内面の周長が極大値となるため、吸気流と吸気通路内面との間に壁面摩擦に起因した圧力損失が僅かながら生じる。しかしながら、上記構成のように湾曲下流部の下流端に接続される湾曲小部をその断面の縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づくように吸気通路内面間の湾曲小部第1間隔を徐々に増加させかつ湾曲小部第2間隔を徐々に減少させることによって、湾曲下流部の下流端において最も扁平となった断面形状を徐々に扁平でない状態(縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づけられる状態)へと戻すことができる。これにより、湾曲下流部の下流端で周長の極大化に伴って発生する吸気流と吸気通路内面との間の壁面摩擦に起因した圧力損失を即座に解消することができる。その結果、湾曲下流部と湾曲小部とによって、吸気流の剥離の低減と壁面摩擦の低減とを両立させることができるので、湾曲部を含めた吸気通路の圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0012】
なお、本発明における湾曲小部とは、湾曲部(湾曲上流部および湾曲下流部)よりも吸気通路における通路外面および通路内面の曲率半径が大きくかつ湾曲下流部の下流端に接続された下流区間のことを意味する。すなわち、湾曲小部は、湾曲部よりも大きな所定の曲率半径を有する場合に加えて、曲率半径が無限大に近付けられてほぼ直線状に延びる場合も含む広い概念である。
【0013】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、吸気通路の湾曲下流部は、吸気通路の延びる方向と直交する断面において、下流部第1間隔よりも下流部第2間隔が大きく、かつ、4隅に円弧形状部が設けられた長方形形状、または長円形状の断面形状を有する。このように構成すれば、4隅に円弧形状部が設けられた断面では、4隅に円弧形状部が設けられていない断面と比較して、吸気通路内面の周長(吸気通路内面の面積)をより少なくすることができるとともに、4隅の円弧形状部により、4隅での流路抵抗を減少させることができる。したがって、吸気流と吸気通路内面との間の壁面摩擦をさらに低減することができるので、湾曲部における圧力損失をさらに低減することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、吸気通路の湾曲下流部は、吸気通路の延びる方向と直交する断面において、湾曲内側の吸気通路内面に接する2つの円弧形状部が、湾曲外側の吸気通路内面に接する2つの円弧形状部よりも小さい半径を有する。このように構成すれば、下流部第1間隔を減少させかつ下流部第2間隔を増加させるような流路断面形状を湾曲下流部に容易に形成することができる。すなわち、湾曲下流部における湾曲内側の吸気通路内面を湾曲外側の吸気通路内面に向かって容易に近付けることができる。
【0015】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、湾曲下流部の湾曲外側の吸気通路内面は、湾曲上流部の湾曲外側の吸気通路内面と同じ曲率半径を有する。このように構成すれば、湾曲上流部における湾曲外側の吸気通路内面近傍での吸気流の流線(流れの状態)を湾曲下流部の湾曲外側の吸気通路内面近傍においても維持することができる。そして、この状態で、湾曲下流部における湾曲内側の吸気通路内面を湾曲外側の吸気通路内面に徐々に近付けることができるので、この点でも、湾曲内側の吸気通路内面近傍において吸気流が剥離するのを抑制することができる。
【0016】
なお、本出願では、上記一の局面による吸気装置において、以下のような構成も考えられる。
【0017】
(付記項1)
すなわち、上記一の局面による吸気装置において、湾曲部の下流端から湾曲小部の下流に向かって、湾曲小部の断面の縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づき、かつ、吸気流れ方向に沿って断面積が一定になるように、湾曲小部第1間隔が徐々に大きくなるとともに、湾曲小部第2間隔が徐々に小さくなっている。
【0018】
(付記項2)
また、上記一の局面による吸気装置において、湾曲上流部および湾曲下流部は、同じ断面積を有する。
【0019】
(付記項3)
また、上記一の局面による吸気装置において、湾曲部の吸気流れ方向に沿った中間部近傍に湾曲上流部と湾曲下流部との境界が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、吸気流の剥離を抑制して吸気通路の湾曲部における圧力損失を効果的に低減することが可能な吸気装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜
図6を参照して、本発明の一実施形態による吸気装置100の構成について説明する。なお、以下では、内燃機関90を基準とした場合にX軸に沿って各気筒が配置されているものとして説明を行う。
【0024】
本発明の一実施形態による吸気装置100は、
図1に示すように、多気筒(直列4気筒)エンジンである内燃機関90に空気を供給する装置である。また、吸気装置100は、内燃機関90の吸気系の一部を構成しており、吸気装置100は、サージタンク10と、サージタンク10の下流に配置される吸気ポート部20とを備えている。サージタンク10および吸気ポート部20は共に樹脂(ポリアミド樹脂)製であり、サージタンク10の上側半分および吸気ポート部20の上側半分が一体成形されたアッパピースと、サージタンク10の下側半分および吸気ポート部20の下側半分が一体成形されたロアピースとが振動溶着により接合されて一体化されている。
【0025】
また、吸気ポート部20は、サージタンク10に蓄えられた吸気空気をシリンダヘッド91内の各気筒に分配する役割を有する。なお、吸気ポート部20における矢印A方向側がサージタンク10に接続される吸気上流側であり、矢印B方向側が内燃機関90(シリンダヘッド91)に接続される吸気下流側である。
【0026】
また、吸気ポート部20は、
図1および
図2に示すように、経路の途中が所定の曲率半径を有して湾曲した複数(4本)の吸気管1と、各々の吸気管1の下流端部に一体的に形成されたフランジ部7とを備えている。なお、
図1においては、各々の吸気管1は、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って紙面手前側から紙面奥に向かって曲げられている。なお、
図2では、吸気管1の管形状を形成する管壁部1c(
図3参照)に関し、その厚みの図示を便宜的に省略している。
図2では、吸気管1の通路外面1aおよび通路内面1bの形状を主に図示している。なお、吸気管1は、本発明の「吸気通路」の一例である。
【0027】
吸気ポート部20を矢印X1方向に沿って見た場合、
図2に示すように、各々の吸気管1は、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って、上流配管部2と、湾曲部3と、戻し配管部6とがこの順に接続されている。上流配管部2は、サージタンク10(
図1参照)に接続されるとともに、戻し配管部6は、下流端6zがフランジ部7を介してシリンダヘッド91に接続されている。なお、戻し配管部6は、本発明の「湾曲小部」の一例である。
【0028】
吸気管1は、管壁部1c(
図3参照)における通路外面1aおよび通路内面1bを有している。上流配管部2では、通路外面1aおよび通路内面1bは共に湾曲せず、上流配管部2は直線的に延びている。湾曲部3では、通路外面1aおよび通路内面1bは共に同じ方向(
図2において反時計回り方向)に湾曲している。そして、戻し配管部6では、通路外面1aおよび通路内面1bの一部が共に湾曲しているがその度合いは湾曲部3よりも非常に緩やかであり、フランジ部7までおおよそ直線的に延びている。このように、吸気ポート部20では、サージタンク10(
図1参照)に蓄えられた吸気空気が、上流配管部2と、途中で曲げられた湾曲部3と、戻し配管部6とを有する吸気管1を流通してシリンダヘッド91に供給される。なお、管壁部1cの厚みは、上流配管部2、湾曲部3および戻し配管部6までの全区間に亘っておおよそ一定である。
【0029】
ここで、本実施形態では、湾曲部3は、湾曲部3における上流側の部分となる湾曲上流部4と、湾曲部3における下流側の部分となる湾曲下流部5とによって構成されている。また、湾曲上流部4は、吸気流れ方向に沿って約60度だけ反時計回りに曲げられるとともに、湾曲上流部4につづく湾曲下流部5も、約60度だけ反時計回りに曲げられている。また、湾曲上流部4が
図3に示される断面C1のような断面形状を有するのに対して、湾曲下流部5は、
図4および
図5に示される断面C2のような断面形状を有する。すなわち、湾曲上流部4の断面C1と、湾曲下流部5の断面C2とは、その断面形状が互いに異なる。以下、湾曲部3における各区間に応じた断面形状について詳細に説明する。
【0030】
まず、湾曲上流部4は、
図2に示すように、曲率半径R1aを有して湾曲する湾曲外側の吸気通路内面4aと、曲率半径R1aよりも小さい曲率半径R1bを有して湾曲する湾曲内側の吸気通路内面4bとを有している。なお、吸気通路内面4aおよび4bは、曲げの半径方向(矢印R方向)に互いに対向し、かつ、X軸に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。また、吸気通路内面4aは、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って一定の曲率半径R1aで曲げられるとともに、吸気通路内面4bは、吸気流れ方向に沿って一定の曲率半径R1bで曲げられている。したがって、湾曲上流部4は、
図3に示すように、吸気流れ方向のどの位置においても断面C1からなる断面形状を有している。すなわち、吸気通路内面4aおよび4bは、一定の間隔H1を有して曲げの半径方向(矢印R方向)に互いに対向している。なお、間隔H1は、本発明の「上流部第1間隔」の一例である。なお、吸気通路内面4aは、本発明の「湾曲外側の吸気通路内面」の一例であり、吸気通路内面4bは、本発明の「湾曲内側の吸気通路内面」の一例である。
【0031】
また、湾曲上流部4は、
図3に示すように、吸気通路内面4aおよび4bの対向方向(矢印R方向)に直交するX軸方向において互いに対向する吸気通路内面4cおよび4dをさらに有する。なお、吸気通路内面4cおよび4dは、X軸方向に互いに対向し、かつ、矢印R方向に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。また、吸気通路内面4cおよび4dは、一定の間隔W1を有して互いに対向している。したがって、湾曲上流部4では、断面C1は、X軸方向の中心線31(一点鎖線で示す)および曲げの半径方向(矢印R方向)の中心線32(一点鎖線で示す)の各々に対して線対称な形状を有している。また、湾曲上流部4では、曲率半径R1aおよびR1bがそれぞれ一定であるので、吸気流れ方向に沿った湾曲外側の吸気通路内面4a近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面4b近傍での流路長とには、曲率半径R1aおよびR1bの差に対応した流路長差が存在する。また、流路長差は、吸気流の吸気通路内面4a近傍での流速と吸気通路内面4b近傍での流速とに僅かな差(流速差)をもたらしうる。
【0032】
次に、湾曲下流部5は、
図2に示すように、曲率半径R2aを有して湾曲する湾曲外側の吸気通路内面5aと、曲率半径R2aよりも小さい曲率半径R2bを有して湾曲する湾曲内側の吸気通路内面5bとを有する。なお、吸気通路内面5aおよび5bは、曲げの半径方向(矢印R方向)に互いに対向し、かつ、X軸に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。また、吸気通路内面5aは、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って一定の曲率半径R2aで曲げられるとともに、吸気通路内面5bは、吸気流れ方向に沿って変化するような曲率半径R2bで曲げられている。したがって、湾曲下流部5は、
図4に示すような断面C2を部分的に有しており、吸気通路内面5aおよび5bが間隔H2を有して曲げの半径方向(矢印R方向)に互いに対向している。なお、間隔H2は、本発明の「下流部第1間隔」の一例である。
【0033】
また、湾曲下流部5は、吸気通路内面5aおよび5bの対向方向(矢印R方向)に直交するX軸方向において互いに対向する吸気通路内面5cおよび5dをさらに有する。なお、吸気通路内面5cおよび5dは、X軸方向に互いに対向し、かつ、矢印R方向に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。また、吸気通路内面5cおよび5dは、間隔W2を有して互いに対向している。なお、間隔W2は、本発明の「下流部第2間隔」の一例である。また、吸気通路内面5aは、本発明の「湾曲外側の吸気通路内面」の一例であり、吸気通路内面5bは、本発明の「湾曲内側の吸気通路内面」の一例である。また、吸気通路内面5cおよび5dは、本発明の「直交して対向する吸気通路内面」の一例である。
【0034】
ここで、本実施形態では、湾曲上流部4では、吸気流れ方向のどの位置においても断面C1(
図3参照)であるのに対し、湾曲下流部5では、吸気流れ方向の位置に応じて断面C2(
図4および
図5参照)が変化するように構成されている。すなわち、湾曲上流部4の断面C1(
図3参照)と、湾曲下流部5の断面C2(
図4または
図5参照)との比較からも明らかなように、湾曲下流部5においては、湾曲外側の吸気通路内面5aは、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って一定の曲率半径R2aで曲げられる一方、湾曲内側の吸気通路内面5bは、吸気流れ方向に沿って曲率半径R2bを徐々に増加させるようにして曲げられている。すなわち、
図4の断面C2と、
図5の断面C2とは、その形状が互いに異なる。ここで、湾曲上流部4の吸気通路内面4aの曲率半径R1aと、湾曲下流部5の吸気通路内面5aの曲率半径R2aとは、等しくなる(曲率半径R1a=曲率半径R2a)ように湾曲部3は構成されている。
【0035】
したがって、湾曲下流部5の吸気管1の延びる方向(吸気流れ方向)と直交する断面C2において、湾曲外側の吸気通路内面5aと湾曲内側の吸気通路内面5bとの間の間隔H2(
図4および
図5における矢印R方向の寸法)が湾曲下流部5の吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って
図4の状態から
図5の状態へと徐々に小さくされるとともに、この間隔H2を有して対向する吸気通路内面5aおよび5bに直交して対向する吸気通路内面5cおよび5d間の間隔W2(
図4および
図5におけるX軸方向の寸法)が吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って
図4の状態から
図5の状態へと徐々に大きくされている。すなわち、湾曲内側の吸気通路内面5bは、吸気流れ方向に沿って湾曲外側の吸気通路内面5aに徐々にせり上がっている。また、これによって、湾曲下流部5では、吸気流れ方向に沿って曲率半径R2bの曲率半径R2aに対する差が徐々に減少されるので、湾曲外側の吸気通路内面5a近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面5b近傍での流路長との流路長差も減少される。流路長差の減少は、吸気流の吸気通路内面5a近傍での流速と吸気通路内面5b近傍での流速との差(流速差)を減少させる効果を生み出す。
【0036】
そして、本実施形態では、湾曲下流部5の断面C2を
図4の状態から
図5の状態へと変化させる(間隔H2を徐々に減少させ、間隔W2を徐々に増加させる)ことによって、湾曲下流部5の断面C2の面積(以下、断面積Sと記載する)は、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って一定になるように構成されている。この場合、湾曲下流部5では、断面積Sおよび湾曲外側の吸気通路内面5aに関する曲率半径R2aを一定に保った状態で、湾曲内側の吸気通路内面5bに関する曲率半径R2bを吸気流れ方向に沿って徐々に増加させるようにして、断面C2の形状のみを変化させている。
【0037】
湾曲上流部4との対比でこの断面形状変化を説明する。すなわち、
図2に示すように、湾曲下流部5の吸気通路内面5bの曲率半径R2bは、湾曲上流部4の吸気通路内面4bの曲率半径R1bよりも大きい(R2b>R1b)。これにより、湾曲上流部4とは異なり、湾曲下流部5では曲率半径R2bを増加させて吸気通路内面5bが吸気通路内面5aに近付けられる。そして、湾曲上流部4の断面C1が示された
図3と、湾曲下流部5の断面C2が示された
図4または
図5との比較からも明らかなように、湾曲下流部5では、吸気管1の延びる方向と直交する断面C2において、間隔H2(
図4および
図5参照)は、湾曲上流部4における吸気通路内面4aと吸気通路内面4bとの間の間隔H1(
図3参照)よりも小さい(間隔H2<間隔H1)。
【0038】
さらには、
図5に示すように、湾曲下流部5の下流端5z近傍においては、徐々に減少された間隔H2(矢印R方向)が最も小さくなり、かつ、徐々に増加された間隔W2(X軸方向)が最も大きくなる。すなわち、湾曲下流部5は、下流端5z近傍において断面C2の形状が最もX軸方向に引き延ばされた扁平形状を有するように構成されている。なお、湾曲下流部5における断面C2の断面積Sは、湾曲上流部4における断面C1(
図3参照)の断面積Sと等しい。また、湾曲上流部4における断面C1の断面積Sは、上流配管部2の断面積Sとも等しい。したがって、吸気流は、上流配管部2から湾曲下流部5までの区間においては、流路断面の拡大および縮小を一切起こすことなく断面積Sを一定に保ったまま流通される。
【0039】
なお、断面形状変化のない湾曲上流部4(
図3参照)おけるX軸方向の中心線31(
図3参照)をそのまま湾曲下流部5での断面C2にまで延長した場合、
図4および
図5に示すように、湾曲下流部5では、中心線31から湾曲内側の吸気通路内面5bまでの距離H2bは、中心線31(仮想線として図示)から湾曲外側の吸気通路内面5aまでの距離H2aよりも小さい。ここに、距離H2aは、断面C1(
図3参照)における間隔H1の半分である。したがって、断面C2では、中心線31(仮想線)から吸気通路内面5aまでの距離H2aを一定に保ったまま(曲率半径R1a=曲率半径R2aとしたまま)、中心線31から吸気通路内面5bまでの距離H2bを吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って徐々に減少させて、吸気通路内面5bを吸気通路内面5aに向けて徐々に近付けている。
【0040】
これにより、吸気管1では、上流配管部2を流通した吸気流(空気)は、湾曲上流部4にて所定角度(約60度)だけ反時計回りに曲げられた後、湾曲下流部5を所定角度(約60度)だけ反時計回りに曲げられながら通過する。なお、湾曲上流部4を通過する際は、湾曲外側と内側とで流速差が生じうる。これに対して、湾曲下流部5を通過する際は、吸気流の一部は、吸気流れ方向に沿って曲率半径R2bが徐々に増加された湾曲内側の吸気通路内面5bに沿って流れる。これにより、前述したように湾曲外側の吸気通路内面5a近傍における吸気流の流速と、湾曲内側の吸気通路内面5b近傍における吸気流の流速との差が縮小(減少)される。すなわち、吸気通路内面5b近傍での流れに乱れが生じない。また、吸気流は、湾曲下流部5で乱れを起こすことなく下流の戻し配管部6へと流通される。
【0041】
また、本実施形態では、
図4および
図5に示すように、吸気管1の湾曲下流部5は、吸気管1の延びる方向と直交する断面C2において間隔H2よりも間隔W2が大きいことに加えて、断面C2は、4隅に円弧形状部5e〜5hが設けられた長円形状の断面形状を有している。ここで、円弧形状部5eは、吸気通路内面5aおよび5cを繋ぐ部分であり、円弧形状部5fは、吸気通路内面5aおよび5dを繋ぐ部分である。また、円弧形状部5gは、吸気通路内面5bおよび5cを繋ぐ部分であり、円弧形状部5hは、吸気通路内面5bおよび5dを繋ぐ部分である。また、
図4に示された断面C2においても
図5に示された断面C2においても、吸気通路内面5bに接する2つの円弧形状部5gおよび5hの曲率半径Rbは、湾曲外側の吸気通路内面5aに接する2つの円弧形状部5eおよび5fの曲率半径Raよりも小さい(曲率半径Rb<曲率半径Ra)。また、この4隅の円弧形状部5e〜5hによって、4隅での流路抵抗は、さらに減少される。
【0042】
このように、湾曲下流部5では、湾曲外側の吸気通路内面5a近傍での流路長(流速)と湾曲内側の吸気通路内面5b近傍での流路長との流路長差が減少され、かつ、吸気通路内面5a近傍における吸気流の流速と吸気通路内面5b近傍における吸気流の流速との差も減少される。したがって、吸気通路内面5b近傍の吸気流は、吸気通路内面5bから剥離することなく吸気通路内面5bの形状に沿って下流端5zまで流れる。また、吸気流の剥離現象が発生しないので、背後(後流領域)に剥離渦が発生するのが抑制され、湾曲下流部5には顕著な圧力損失が発生しない。
【0043】
また、戻し配管部6は、
図2に示すように、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿ってほぼ直線状に延びる吸気通路内面6aと、所定の曲率半径を有する内面を一部に含んで吸気流れ方向に延びる吸気通路内面6bとを有する。したがって、戻し配管部6は、下流端6zにおいては、
図6に示すような断面C3を有しており、吸気通路内面6aおよび6bが間隔H3を有して矢印R方向に互いに対向している。なお、吸気通路内面6aおよび6bは、矢印R方向に互いに対向し、かつ、X軸に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。また、戻し配管部6は、吸気通路内面6aおよび6bの対向方向(矢印R方向)に直交するX軸方向において間隔W3を有して互いに対向する吸気通路内面6cおよび6dをさらに有する。なお、吸気通路内面6cおよび6dは、X軸方向に互いに対向し、かつ、矢印R方向に沿ってほぼ平行に延びた部分を含んでいる。なお、間隔H3は、本発明の「湾曲小部第1間隔」の一例である。また、間隔W3は、本発明の「湾曲小部第2間隔」の一例である。なお、吸気通路内面6aおよび6bは、本発明の「下流部第1間隔に対応する湾曲小部の吸気通路内面」の一例である。また、吸気通路内面6cおよび6dは、本発明の「下流部第2間隔に対応する湾曲小部の吸気通路内面」の一例である。
【0044】
そして、本実施形態では、湾曲部3(湾曲下流部5)の下流端5zから戻し配管部6の下流に向かう矢印B方向に沿って、戻し配管部6の断面C3の縦横比(間隔H3と間隔W3との比率)が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づくように、間隔H2(
図5参照)に対応する戻し配管部6の吸気通路内面6aおよび6b間の間隔H3が徐々に大きく変化されるとともに、間隔W2(
図5参照)に対応する戻し配管部6の吸気通路内面6cおよび6d間の間隔W3が徐々に小さく変化されるように構成されている。なお、
図6に示す断面C3では、戻し配管部6の全区間の中で最も縦横比が1に近づけられた状態である。すなわち、戻し配管部6は、湾曲下流部5の下流端5zでの断面C2(
図5参照)を出発点として下流端6zにおける断面C3(
図6参照)になるまで、その断面形状を扁平形状から徐々に扁平でない状態(縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づけられる状態)へと戻される。
【0045】
これにより、吸気管1では、剥離を起こすことなく湾曲部3(湾曲下流部5)を流通した吸気流(空気)は、断面C2から断面C3へと断面形状が徐々に変化される戻し配管部6を下流端6zに向けて通過しながら最終的にシリンダヘッド91へと送られる。なお、下流端5z近傍では、断面C3が最も扁平形状になるため吸気通路内面の周長(吸気通路内面5aと吸気通路内面5bとの合計長さ)が極大値に達する。このため、吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび吸気通路内面5b)との間に壁面摩擦に起因した圧力損失が僅かながら生じる。しかしながら、下流端5zに接続される戻し配管部6を適切に利用して、この最も扁平となった断面C2を徐々に扁平でない状態へと断面形状が戻される。これにより、湾曲下流部5の下流端5zで周長の極大化に伴って発生する吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび吸気通路内面5b)との間の壁面摩擦に起因した圧力損失は、即座に解消される。
【0046】
また、上流配管部2においては、
図2に示すように、吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って直線状に延びる吸気通路内面2a(上流配管部2での通路内面1b)を有する。すなわち、上流配管部2は、湾曲上流部4が開始される位置の断面C1(
図3参照)と同じ断面形状を有した状態で、曲がり部分を有しないままサージタンク10まで延びている。また、吸気ポート部20は、フランジ部7がガスケット部材92を介してシリンダヘッド91に接続されている。
【0047】
また、
図1に示すように、吸気ポート部20を構成する各々の吸気管1は、サージタンク10に対して並列的に接続されている。また、吸気装置100では、吸気路としての図示しないエアクリーナおよびスロットルを介して到達する吸気がサージタンク10に流入される。本実施形態における吸気装置100は、上記のように構成されている。
【0048】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
すなわち、本実施形態では、上記のように、湾曲下流部5の吸気管1の延びる方向と直交する断面C2(
図4および
図5参照)において、湾曲下流部5における湾曲外側の吸気通路内面5aと湾曲内側の吸気通路内面5bとの間の間隔H2を吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って徐々に小さくするとともに、間隔H2を有して対向する吸気通路内面5aおよび5bに直交して対向する吸気通路内面5cおよび5d間の間隔W2を吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って徐々に大きくする。そして、湾曲下流部5の断面C2の断面積Sが吸気流れ方向に沿って一定になるように吸気管1の湾曲部3を構成する。これにより、吸気流の剥離が発生しやすい湾曲下流部5において、吸気通路内面5aおよび5b間の間隔H2を小さくすることにより、吸気通路内面5a近傍での流路長と吸気通路内面5b近傍での流路長との差が減少されるので、吸気流が湾曲内側の吸気通路内面5bから剥離するのが抑制される。さらに、湾曲下流部5の吸気通路内面5aおよび5b間の間隔H2を急激に変化させることなく徐々に変化させることによって、吸気通路内面5a近傍での流路長と吸気通路内面5b近傍での流路長との差を急激に減少させることなく徐々に減少させることができるので、吸気流が湾曲内側の吸気通路内面5bから剥離するのをより効果的に抑制することができる。その結果、吸気管1の湾曲部3における圧力損失を効果的に低減することができる。また、吸気通路内面5aおよび5b間の間隔H2を減少させるように断面C2の形状を変化させた場合にも、間隔W2を増加させることにより断面積Sを一定に保つことによって、間隔H2が細められた湾曲下流部5での吸気流の圧力損失が増加するのを効果的に抑制することができる。これによっても、吸気管1の湾曲部3における圧力損失を効果的に低減することができる。
【0050】
また、本実施形態では、湾曲下流部5の湾曲内側の吸気通路内面5bの曲率半径R2bを、湾曲上流部4の湾曲内側の吸気通路内面4bの曲率半径R1bよりも大きく(曲率半径R2b>曲率半径R1b)構成する。そして、吸気管1の延びる方向と直交する断面C2において、間隔H2を、湾曲上流部4における吸気通路内面4aと吸気通路内面4bとの間の間隔H1よりも小さく構成する。これにより、吸気流の剥離が発生しやすい湾曲下流部5において、吸気通路内面5bの曲率半径R2bを増加させて吸気通路内面5aに容易に近付けることができるので、湾曲上流部4における間隔H1に対して湾曲下流部5における間隔H2を容易に減少させることができる。すなわち、湾曲上流部4において湾曲外側の吸気通路内面4a近傍での流路長と湾曲内側の吸気通路内面4b近傍での流路長との差が比較的大きい状態から、湾曲下流部5においては湾曲内側の吸気通路内面5b近傍での流路長を増加させて湾曲外側の吸気通路内面5a近傍での流路長に近付けてその差を容易に減少させることができる。これにより、湾曲内側の吸気通路内面5bから吸気流が剥離するのを抑制可能な湾曲下流部5を容易に設けることができる。
【0051】
また、本実施形態では、湾曲下流部5の下流端5zにおいて、間隔H2が最も小さく、かつ、間隔W2が最も大きくなるように湾曲下流部5を構成する。これにより、湾曲下流部5においては下流端5zでの断面C3における間隔H2を最も細める(最も扁平形状にする)ことによって、湾曲外側の吸気通路内面5a近傍における吸気流の流速と湾曲内側の吸気通路内面5b近傍における吸気流の流速との差を最も小さくすることができるので、湾曲下流部5の下流端5zにおいて吸気流の剥離が低減された状態を維持することができる。
【0052】
また、本実施形態では、吸気管1に湾曲部3の下流端5zに接続され湾曲度合いが湾曲部3(湾曲上流部5および湾曲下流部5)よりも小さい戻し配管部6を設ける。そして、湾曲部3の下流端5zから戻し配管部6の下流に向かって、戻し配管部6の断面C3の縦横比(間隔H3と間隔W3との比率)が吸気流れ方向(矢印B方向)に沿って徐々に1に近づくように、間隔H2に対応する戻し配管部6の吸気通路内面間の間隔H3が徐々に大きくなるとともに、間隔W2に対応する戻し配管部6の吸気通路内面6aおよび6b間の間隔W3が徐々に小さくなるように戻し配管部6を構成する。ここで、湾曲下流部5の下流端5z近傍では、断面C3が最も扁平形状になることから流路断面における吸気通路内面の周長(吸気通路内面5aと吸気通路内面5bとの合計長さ)が極大値となるため、吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび5b)との間に壁面摩擦に起因した圧力損失が僅かながら生じる。しかしながら、湾曲下流部5の下流端5zに接続される戻し配管部6をその断面C3の縦横比が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づくように吸気通路内面6aおよび6b間の間隔H3を徐々に増加させかつ間隔W3を徐々に減少させることによって、湾曲下流部5の下流端5zにおいて最も扁平となった断面C2を徐々に扁平でない状態(間隔H3と間隔W3との比率が吸気流れ方向に沿って徐々に1に近づけられる状態)へと戻すことができる。これにより湾曲下流部5の下流端5zで周長の極大化に伴って発生する吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび5b)との間の壁面摩擦に起因した圧力損失を即座に解消することができる。その結果、吸気流の剥離の低減と、壁面摩擦の低減とを両立させることができるので、湾曲部3を含めた吸気管1の圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態では、吸気管1の延びる方向と直交する断面C2において、間隔H2よりも間隔W2が大きく、かつ、4隅に円弧形状部5e〜5hが設けられた長円形状の断面形状を有するように吸気管1の湾曲下流部5を構成する。これにより、4隅に円弧形状部5e〜5hが設けられた断面では、4隅に円弧形状部5e〜5hが設けられていない断面と比較して、吸気通路内面5aと吸気通路内面5bとの合計長さ(周長:吸気通路内面の面積)をより少なくすることができるとともに、4隅の円弧形状部5e〜5hにより、4隅での流路抵抗を減少させることができる。したがって、吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび吸気通路内面5b)との間の壁面摩擦をさらに低減することができるので、湾曲部3における圧力損失をさらに低減することができる。
【0054】
また、本実施形態では、吸気管1の延びる方向と直交する断面C2において、湾曲内側の吸気通路内面5bに接する2つの円弧形状部5gおよび5hの曲率半径Rbが、湾曲外側の吸気通路内面5aに接する2つの円弧形状部5eおよび5fの曲率半径Raよりも小さくなるように吸気管1の湾曲下流部5を構成する。これにより、間隔H2を減少させかつ間隔W2を増加させるような流路断面形状を湾曲下流部5に容易に形成することができる。すなわち、湾曲下流部5における湾曲内側の吸気通路内面5bを湾曲外側の吸気通路内面5aに向かって容易に近付けることができる。
【0055】
また、本実施形態では、湾曲下流部5の湾曲外側の吸気通路内面5aの曲率半径R2aと、湾曲上流部4の湾曲外側の吸気通路内面4aの曲率半径R1aとを等しく構成する。これにより、湾曲上流部4における吸気通路内面4a近傍での吸気流の流線(流れの状態)を湾曲下流部5の吸気通路内面5a近傍においても維持することができる。そして、この状態で、湾曲下流部5における湾曲内側の吸気通路内面5bを湾曲外側の吸気通路内面5aに徐々に近付けることができるので、この点でも、湾曲内側の吸気通路内面5b近傍において吸気流が剥離するのを抑制することができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、直線的に延びた上流配管部2および戻し配管部6が湾曲部3の上流側および下流側にそれぞれ接続されて吸気管1を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の「吸気通路」の一例としての吸気管201を、
図7に示す第1変形例のように構成してもよい。
【0058】
具体的には、
図7(第1変形例)に示すように、吸気管201は、所定の曲率半径を有して曲げられた上流配管部202と、所定の曲率半径を有して曲げられた戻し配管部206とが湾曲部3の上流側および下流側にそれぞれ接続されて構成されている。ここで、上流配管部202および戻し配管部206の各々の曲率半径は、湾曲部3の曲率半径よりも大きい。特に、戻し配管部206における湾曲外側の吸気通路内面206aの曲率半径は、湾曲下流部5の吸気通路内面5aの曲率半径R2aよりも十分に大きい。また、湾曲内側の吸気通路内面206bの曲率半径は、湾曲下流部5の吸気通路内面5bの曲率半径R2bよりも十分に大きい。この場合も、戻し配管部206を利用して、湾曲下流部5の最も扁平となった断面C2を徐々に扁平でない状態へと徐々に戻すことができるので、湾曲下流部5での吸気流と吸気通路内面(吸気通路内面5aおよび5b)との間の壁面摩擦に起因した圧力損失を容易に解消することができる。なお、戻し配管部206は、本発明の「湾曲小部」の一例である。また、吸気通路内面206aおよび206bは、本発明の「下流部第1間隔に対応する湾曲小部の吸気通路内面」の一例である。
【0059】
また、上記実施形態では、断面C2(
図4および
図5参照)において、間隔H2よりも間隔W2が大きく、かつ、4隅に円弧形状部5e〜5hが設けられた長円形状の断面形状を有するように湾曲下流部5を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の「湾曲下流部」の一例としての湾曲下流部205を、
図8に示す第2変形例のように構成してもよい。
【0060】
具体的には、
図8(第2変形例)に示すように、湾曲下流部205は、4隅に円弧形状部205e〜205hが設けられた長方形形状の断面C2aを有している。すなわち、断面C2aは、断面C2(
図4および
図5参照)と比較して、全体的により四角形状(長方形形状)に近づけられた吸気通路内面205a〜205dを有している。湾曲部3に、このような断面C2aを有する湾曲下流部205が含まれるような吸気ポート部220に対しても、湾曲下流部205での断面積Sを一定に保ちつつ、吸気通路内面205aおよび205bの間隔H2を吸気流れ方向に沿って徐々に小さくするとともに、吸気通路内面205cおよび205dの間隔W2を吸気流れ方向に沿って徐々に大きくするように構成してもよい。製造プロセス上、断面C2aを有するように長方形形状に形成される部分を含む吸気ポート部230が形成される場合も十分にありうる。断面C2aにおいても4隅の円弧形状部205e〜205hにより4隅での流路抵抗を減少させることができる。なお、吸気通路内面205aは、本発明の「湾曲外側の吸気通路内面」の一例であり、吸気通路内面205bは、本発明の「湾曲内側の吸気通路内面」の一例である。また、吸気通路内面205cおよび205dは、本発明の「直交して対向する吸気通路内面」の一例である。
【0061】
また、上記実施形態では、管壁部1cの厚みを上流配管部2、湾曲部3および戻し配管部6までの全区間に亘っておおよそ一定であるように吸気管1を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、管壁部1cの厚みが場所によって異なるように構成された湾曲部3に対しても、本発明を適用することができる。管壁部1cの厚みに関係なく、湾曲下流部5での断面積Sを一定に保ちつつ、吸気通路内面5aおよび5bの間隔H2を吸気流れ方向に沿って徐々に小さくするとともに、吸気通路内面5cおよび5dの間隔W2を吸気流れ方向に沿って徐々に大きくするように構成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、湾曲上流部4における湾曲外側の吸気通路内面4aの曲率半径R1aと、湾曲下流部5における湾曲外側の吸気通路内面5aの曲率半径R2aとを等しく構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、湾曲下流部5において断面積Sを一定にしたまま間隔H2を徐々に小さくしかつ間隔W2を徐々に大きくするのであれば、吸気通路内面5aの曲率半径R2aを吸気通路内面4aの曲率半径R1aとは異ならせるようにして湾曲部3を構成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、湾曲下流部5の断面C2(
図4および
図5参照)において、湾曲内側の吸気通路内面5bに接する2つの円弧形状部5gおよび5hの曲率半径Rbを湾曲外側の吸気通路内面5aに接する2つの円弧形状部5eおよび5fの曲率半径Raよりも小さく構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、円弧形状部5gおよび5hの曲率半径Rbと円弧形状部5eおよび5fの曲率半径Raとを等しくしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態および上記実施形態の第1および第2変形例では、吸気ポート部20(230)を樹脂(ポリアミド樹脂)製とした例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、吸気管1(201)を含む吸気ポート部20(230)は、金属製であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、本発明の「吸気装置」を、自動車用の直列4気筒エンジンに適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明の吸気装置を、自動車用のエンジン以外の内燃機関に適用してもよい。また、自動車用のエンジンであっても、直列4気筒エンジン以外の直列多気筒エンジン、V型多気筒エンジンや水平対向エンジンなどに本発明を適用してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、多気筒エンジンからなる内燃機関90に接続される吸気装置100に対して本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、単気筒エンジン用の吸気装置に対して本発明を適用してもよい。また、内燃機関90としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどが適用可能である。