(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グラフ式決定手段は、ユーザにより指定された前記表示画面上の位置に基づいて当該指定の位置に応じたグラフ表示の対象となる式を算出するグラフ式算出手段を有し、
前記操作表示体は、前記グラフ式算出手段により算出された式に含まれる係数の数値を中央値としてその前後に数値を変化させる操作表示体である、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラフ表示装置。
前記グラフ式決定手段は、ユーザにより指定された前記表示画面上の連続的な位置の軌跡に基づいて当該軌跡に応じたグラフの種類を特定し、この特定されたグラフの種類に応じたグラフの式を決定する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のグラフ表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明のグラフ表示装置の実施形態に係るグラフ関数電卓10の外観構成を示す正面図である。
【0015】
なお、このグラフ表示装置は、以下に説明する専用のグラフ関数電卓10として構成されるが、グラフ表示のアプリケーションプログラムを搭載したタブレット端末、携帯電話、携帯ゲーム機等として構成されるようにしても良い。
【0016】
このグラフ関数電卓10の本体には、本体正面の下3分の1程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上3分の2程度の範囲でタッチパネル表示部13が設けられる。
【0017】
前記キー入力部12には、数値や[・][x][y][z]等の記号キー、四則演算子キー、カーソルキーなどが備えられる。
【0018】
[Keyboard]キー12kは、当該キー入力部12に予め備えられたキーには存在しない種類のキーを含むソフトキーボードをタッチパネル表示部13に表示させる際に操作される。ユーザは、各種関数を入力する際に、[Keyboard]キー12kを操作すると、表示部下段に[sin][cos][tan][√□]などの各種関数キーがソフトキーボードとして表示されるので、任意の関数キーを選んで入力できるようになる。そして、前記ソフトキーボードが表示された状態で[Keyboard]キー12kを操作すると、当該ソフトキーボードは消去される。
【0019】
前記タッチパネル表示部13は、カラー表示可能な液晶表示画面13dの上に、透明タッチパネル13tを重ねて構成される。
【0020】
そして、このグラフ関数電卓10は、ユーザ操作に応じて任意のグラフ画像を表示させる機能(グラフ表示モード)を備えている。
【0021】
このグラフ表示モードでは、x,yの座標軸を表記したグラフ座標画面Gを表示させる機能、前記グラフ座標画面Gに対するユーザのタッチ操作により指定された2〜3点P1,P2,…を受け付ける機能、前記指定点P1,P2,…に応じたグラフの種類をユーザに選択させる機能、選択されたグラフの種類に応じた前記指定点P1,P2,…に対応するグラフの式(グラフ式y=f(x))を算出する機能、算出されたグラフ式に含まれる係数a,b,…の値をユーザ操作に応じて変更可能なスライダSLa,SLb,…を生成する機能、前記グラフ座標画面Gに前記グラフ式に対応したグラフyおよび前記スライダSLa,SLb,…を表示させる機能、前記表示されたスライダSLa,SLb,…のユーザ操作に応じて前記係数a,b,…の値を変更し前記表示されたグラフyを変化させて表示させる機能等を有する。
【0022】
図2は、前記グラフ関数電卓10の回路構成を示すブロック図である。
【0023】
前記グラフ関数電卓10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。
【0024】
前記CPU11は、フラッシュROM等の記憶装置14に予め記憶された電卓制御プログラム14aに従い、RAM15を作業用のメモリとして回路各部の動作を制御し、電卓機能やグラフ表示機能など、グラフ関数電卓10に備えられた各種の機能を実行する。なお電卓制御プログラム14aは、メモリカードなどの外部記録媒体17から記録媒体読取部16を介して前記記憶装置14に読み込ませるか、あるいは通信ネットワーク(インターネット)上のWebサーバ(プログラムサーバ)から通信制御部18を介して前記記憶装置14にダウンロードされるようにしても良い。
【0025】
このCPU11には、
図1に示したキー入力部12、タッチパネル表示部13の他に、前記記憶装置14、RAM15、記録媒体読取部16、通信制御部18などが接続されている。
【0026】
前記RAM15は、前記CPU11の処理動作に必要な各種のデータを記憶する。このRAM15には、前記タッチパネル表示部13の画面上にカラー表示されるデータが展開される表示データ記憶領域15a、タッチ座標データ記憶領域15b、レンジデータ記憶領域15c、数式データ記憶領域15d、係数データ記憶領域15e、スライダデータ記憶領域15f等が設けられる。
【0027】
前記タッチ座標データ記憶領域15bには、前記タッチパネル表示部13により検出されたユーザ操作に応じたタッチ位置の座標データが記憶される。
【0028】
前記レンジデータ記憶領域15cには、前記タッチパネル表示部13のグラフ座標画面Gに対して設定されたグラフyの表示範囲を示す表示レンジデータとしてX座標レンジ(Xmin〜Xmax)とY座標レンジ(Ymin〜Ymax)が記憶される。
【0029】
前記数式データ記憶領域15dには、前記グラフ座標画面Gに対してユーザが任意に指定した点P1,P2,…に応じて算出された関数式(グラフ式)y=f(x)のデータが記憶される。
【0030】
前記係数データ記憶領域15eには、前記数式データ記憶領域15dに記憶されたグラフ式(y=f(x))に含まれる係数a,b,…がその数値(係数値)のデータと共に記憶される。
【0031】
前記スライダデータ記憶領域15fには、前記グラフ式(y=f(x))に含まれる各係数a,b,…の数値をユーザ操作に応じて指定するための操作表示体であるスライダSLa,SLb,…に関するデータが記憶される。このデータには、スライダの形状、色、そのつまみTによる現在値(Current)、可変最小値(Min)、可変最大値(Max)に関するデータが含まれる。
【0032】
なお、前記つまみTの移動に伴う単位変化量(Dot)は、当該つまみTの移動範囲(最小値(Min)〜最大値(Max))における1表示ドット分の移動幅に対応した数値変化量である。
【0033】
このように構成されたグラフ関数電卓10は、前記CPU11が前記電卓制御プログラム14aに記述された各種の処理の命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる各種の機能を実現する。
【0034】
次に、前記構成のグラフ関数電卓10の動作について説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図3は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【0036】
図4は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示処理において、グラフ座標画面Gに対するユーザ指定点Pnの数に応じて表示可能なグラフの種類を設定するための電卓制御プログラム14aに含まれたグラフ種類テーブルを示す図である。
【0037】
図5は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示処理に伴う第1のスライダ生成処理(1)を示すフローチャートである。
【0038】
図6は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示処理に伴う第2のスライダ生成処理(2)を示すフローチャートである。
【0039】
図7は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示処理に従ったユーザ操作に対応する表示動作を示す図である。
【0040】
前記タッチパネル表示部13に表示される動作モードのメニュー画面(図示せず)において、ユーザ操作に応じてグラフ表示モードが指定されると、
図7(A)に示すように、予め設定されたx軸とy軸の座標レンジに対応したグラフ座標画面Gが生成され、前記タッチパネル表示部13に表示される(ステップS1)。
【0041】
このグラフ座標画面G(13)において、ユーザが所望のグラフを表示させるために、当該所望のグラフの軌跡を想定した2点P1,P2,をタッチ操作により指定すると、これらの指定された点が受け付けられる(ステップS2)。すると、
図4に示すようなグラフ種類テーブル(14a)に従って、
図7(B)に示すように、前記指定点P1,P2に応じて表示可能なグラフの種類がグラフ種類選択ウインドウWとして表示される(ステップS3)。なお、複数の点の指定は1点ずつ指定しても良いし、同時にタッチされた複数点を検出するようにしても良い。
【0042】
この実施形態では、2点の場合は、当該指定点P1,P2を通る直線、または一方の指定点を頂点とし他方の点を通る2次関数、または指定点P1を中心とし点P2を通る円のグラフを表示可能とし、3点の場合は、当該指定点P1,P2,P3を通る2次関数または円のグラフを表示可能とする。
【0043】
これにより、前記タッチ操作により指定された2点の指定点P1,P2に応じて表示可能なグラフの種類が、[直線]のグラフと正負両方向の[2次関数]のグラフと[円]のグラフとを一覧にしたグラフ種類選択ウインドウWとして表示される。
【0044】
そして、前記一覧表示されたグラフの種類の中から、例えば正方向の[二次関数]のグラフがユーザのタッチ操作により選択されると(ステップS4(Yes))、当該選択されたグラフの種類(2次関数のグラフ)であって前記指定点P1を頂点としP2の座標を通るグラフ式(2次関数式;y=ax
2+bx+c)が算出される(ステップS5)。
【0045】
そして、前記算出されたグラフ式に含まれる各係数(a,b,c)についてそれぞれその数値を数値可変範囲の中央値(つまみTa,Tb,Tcの初期位置)とした係数スライダSLa,SLb,SLcが生成される(ステップSA)。
【0046】
ここで、
図5を用いて第1のスライダ生成処理を説明する。第1のスライダ生成処理では、まず、前記算出されたグラフ式に含まれる係数a,b,cの数値が取得される(ステップA11)。そして、当該取得された係数a,b,cの数値を中央値としてその前後に所定の数値幅を加えた数値可変範囲の係数スライダSLa,SLb,SLcが生成される(ステップA12)。
【0047】
スライダが生成されると、
図7(C)に示すように、前記グラフ座標画面Gに対して、前記算出された2次関数のグラフ式に対応するグラフyおよび前記生成された係数スライダSLa,SLb,SLcが共に表示される(ステップS6)。
【0048】
これにより、ユーザは先ず当該ユーザ自身がイメージしたグラフy上の2点あるいは3点を指定しそのグラフyの種類を選択するだけで、そのイメージ通りのグラフyを表示させることができると共に、グラフ式に含まれる係数a,b,…の数値を変更するための係数スライダSLa,SLb,…を表示させることができる。
【0049】
そして、
図7(D)に示すように、係数スライダSLa,SLb,SLcのつまみTa,Tb,Tc(ここではTa)がユーザ操作に応じて移動されると(ステップS7(Yes))、当該つまみTaの移動量に応じて前記グラフ式の係数aの数値が変更される(ステップS8)。
【0050】
すると、前記係数aの数値が変更された前記グラフ式に応じて前記グラフyが再表示される(ステップS9)。
【0051】
これにより、前記ユーザ自身がイメージしたグラフyを、そのイメージしたグラフy上の2〜3点Pn…を指定し同グラフyの種類を選択するだけで、非常に簡単に表示させることができるだけでなく、当該グラフyのグラフ式に含まれる係数a,b,…の数値をその係数スライダSLa,SLb,…により簡単に変更して同グラフyを変化させながら表示させることができる。
【0052】
なお、スライダーは、
図6で示す処理で生成するようにしても良い。
【0053】
図6で示す第2のスライダ生成処理では、まず、前記算出されたグラフ式に含まれる係数a,b,…の数値が取得され(ステップA21)、当該係数a,b,…の数値に端数があるか否か判断される(ステップA22)。端数とは、係数が小数値で得られた場合の小数部分をいう。
【0054】
そして、前記係数a,b,…の数値に端数があると判断された場合は(ステップA22(Yes))、その端数を整理して整数化した数値を前記係数a,b,…としたグラフ式を決定する(ステップA23)。
【0055】
そして、前記整数化した係数a,b,…の数値を中央値としてその前後に所定の数値幅を加えた数値可変範囲の係数スライダSLa,SLb,…が生成される(ステップA24)。
【0056】
一方、前記係数a,b,…の数値に端数がないと判断された場合は(ステップA22(No))、前記第1のスライダ生成処理と同様に前記係数a,b,…の数値を中央値としてその前後に所定の数値幅を加えた数値可変範囲の係数スライダSLa,SLb,…が生成される(ステップA24)。
【0057】
これにより、前記第2のスライダ生成処理に従い係数スライダSLa,SLb,…を生成した場合は、当該係数a,b,…の数値に端数がなくユーザとって解析し易い状態で、その数値を変更して前記グラフyを変化させることができる。
【0058】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第1実施形態のグラフ表示機能によれば、前記タッチパネル表示部13に表示させたグラフ座標画面Gにおいて、ユーザがイメージした所望のグラフy上の2〜3点P1,P2,…をタッチ操作により指定し、当該指定点P1,P2,…に応じたグラフの種類を選択すると、選択されたグラフの種類であって前記指定点P1,P2,…を通るグラフyのグラフ式y=f(x)が算出されると共に、算出されたグラフ式y=f(x)に含まれる係数a,b,…の値をユーザ操作に応じて変更するための係数スライダSLa,SLb,…が生成される。そして、前記グラフ座標画面Gに前記グラフ式に対応したグラフyおよび前記係数スライダSLa,SLb,…が共に表示され、当該係数スライダSLa,SLb,…のユーザ操作に応じて前記係数a,b,…の値を変更すると、変更後の前記係数a,b,…の値に応じて前記グラフyが変化して表示される。
【0059】
これにより、前記ユーザがイメージしたグラフyを、そのイメージしたグラフy上の2〜3点Pn…を指定し同グラフyの種類を選択するだけで、非常に簡単に表示させることができるだけでなく、当該グラフyのグラフ式に含まれる係数a,b,…の数値をその係数スライダSLa,SLb,…により簡単に変更して同グラフyを変化させながら表示させることができる。よって、ユーザ所望のグラフを簡単に入力して表示させることが可能になる。
【0060】
なお、前記ユーザがイメージしたグラフに対応するグラフ式は、ユーザ操作に応じた指定点P1,P2,…と当該指定点P1,P2,…に応じて選択されたグラフの種類とに基づいて、同指定点P1,P2,…を通るグラフ式(y=f(x))として算出する構成としたが、様々な形態のグラフの種類に応じて予め記憶されたグラフ式の中から前記指定点P1,P2,…とグラフの種類とに応じたグラフ式を決定する構成としてもよい。
【0061】
(第2実施形態)
図8は、前記グラフ関数電卓10の第2実施形態のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【0062】
図9は、前記グラフ関数電卓10の第2実施形態のグラフ表示処理に従ったグラフ座標画面Gの表示動作を示す図である。
【0063】
この第2実施形態のグラフ表示処理のうちステップS11〜S15およびS17〜S19の処理については、前記第1実施形態のグラフ表示処理におけるステップS1〜S5およびS7〜S9の処理と同様の処理であるので、当該各処理S11〜S15,S17〜S19の詳細な説明は省略する。
【0064】
前記グラフ表示モードによりタッチパネル表示部13に表示されたグラフ座標画面Gにおいて(ステップS11)、
図9に示すように、ユーザがイメージしたグラフ上の2点P1,P2がタッチ操作により指定された後(ステップS12)、前記指定点P1,P2に応じて表示可能なグラフの種類([直線][2次関数][円])の中から[2次関数]が選択されると(ステップS13,S14(Yes))、この選択されたグラフの種類[2次関数]であって前記指定点P1,P2の座標を通るグラフ式(2次関数式;y=ax
2+bx+c)が算出される(ステップS15)。この場合、点P2が原点Oに近い位置が指定されたとする。
【0065】
すると、前記2つの指定点P1,P2を通るグラフ式(2次関数式;y=ax
2+bx+c)に対応するグラフyとは別に、前記グラフ式に含まれる各係数a,b,cの数値を変化させることでその数値変化後のグラフ式に対応するグラフynが原点を通るグラフや座標軸と接するグラフなど特徴的なグラフとなるような当該各係数a,b,cの数値が候補として算出される(ステップS15a)。
【0066】
すると、前記2つの指定点P1,P2を通るグラフyと、前記候補として算出された各係数a,b,cの数値を代入した前記グラフ式に対応する原点を通るグラフy1とx軸に接するグラフy2とが、当該グラフyを赤色、グラフy1を緑色、グラフy2を青色とした異なる表示色で前記グラフ座標画面Gに表示される(ステップS15b)。
【0067】
そして、表示された各グラフy(赤),y1(緑),y2(青)のうちユーザが所望するグラフynがタッチされて選択されると(ステップS16a(Yes))、選択されたグラフynのグラフ式に含まれる各係数(a,b,c)についてそれぞれその数値を数値可変範囲の中央値(つまみTa,Tb,Tcの初期位置)とした係数スライダSLa,SLb,SLcが生成される(ステップS16b)。
【0068】
すると、前記選択されたグラフynと前記生成された当該グラフynに対応するグラフ式の係数スライダSLa,SLb,…とが共に前記グラフ座標画面Gに表示される(ステップS16c)。
【0069】
そして、前記選択されたグラフynと共に表示された係数スライダSLa,SLb,…のつまみTa,Tb,…がユーザ操作に応じて移動されると(ステップS17(Yes))、当該つまみTa,Tb,…の移動量に応じて前記グラフ式の係数a,b,…の数値が変更され(ステップS18)、前記グラフynが再表示される(ステップS19)。
【0070】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第2実施形態のグラフ表示機能によれば、ユーザ操作の指定点P1,P2に対応するグラフ式のグラフyと共に、当該グラフ式に含まれる係数a,b,…の数値を変化させることで得られる特徴的なグラフynが候補として表示される。そして、前記各グラフy,ynの何れかが選択されると、選択されたグラフy(yn)とそのグラフ式の係数スライダSLa,SLb,…が共にグラフ座標画面Gに表示される。
【0071】
これにより、前記ユーザがイメージしたグラフyに近似した特徴的なグラフynがある場合はその特徴的なグラフynを候補として共に表示できるので、ユーザがイメージしたより解析し易いグラフynを非常に簡単に表示させることができるだけでなく、当該グラフynに対応する係数スライダSLa,SLb,…により同グラフynを変化させながら表示させることができる。よって、ユーザ所望のグラフをより解析し易いグラフとして簡単に入力して表示させることが可能になる。
【0072】
(第3実施形態)
図10は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【0073】
この第3実施形態のグラフ表示処理では、前記タッチパネル表示部13に表示させたグラフ座標画面Gにおいて、ユーザがイメージしたグラフを手書きで書いて表示させることで、当該手書きのグラフHyに対応するグラフyが何の関数のグラフであるかを特定し、この特定されたグラフyとそのグラフ式に対応する係数スライダSLとを共に表示させる構成とする。
【0074】
この第3実施形態のグラフ表示処理のうちステップS21およびS27〜S29の処理については、前記第1実施形態のグラフ表示処理におけるステップS1およびS7〜S9の処理と同様の処理であるので、当該各処理S21,S27〜S29の詳細な説明は省略する。
【0075】
図11は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のグラフ表示処理に従ったユーザ操作に対応する表示動作(その1)を示す図である。
【0076】
前記グラフ表示モードによりタッチパネル表示部13に表示されたグラフ座標画面Gにおいて(ステップS21)、例えば、
図11(A)に示すように、ユーザがイメージしたsin関数のグラフに応じたジグザグ状の手書きのグラフHyがユーザ操作により描画されて表示されると(ステップS22a)、当該手書きのグラフHyの軌跡に対応するユーザの動き(ジェスチャ)が判断(解析)され(ステップS22b)、このジェスチャに対応する形態のグラフが予め記憶された各種のグラフモデルの中にあるか否かが判断される(ステップS23)。
【0077】
ここで、前記ジグザグ状の手書きのグラフHyに対応するユーザの動き(ジェスチャ)に応じたグラフモデルがあると判断され(ステップS23(Yes))、当該グラフの種類がsin関数のグラフy(sin x)であると特定されると(ステップS24)、当該グラフy(sin x)のグラフ式「y=a sin(bx)+c」に含まれる各係数a,b,cの数値が算出される(ステップS25)。
【0078】
そして、前記グラフ式「y=a sin(bx)+c」に含まれる各係数(a,b,c)についてそれぞれ前記算出された数値を数値可変範囲の中央値(つまみTa,Tb,Tcの初期位置)とした係数スライダSLa,SLb,SLcが生成される(ステップS26a)。
【0079】
すると、
図11(B)に示すように、前記グラフ座標画面Gに対して、前記特定されたsin関数のグラフy(sin x)および前記生成された係数スライダSLa,SLb,SLcが共に表示される(ステップS26b)。
【0080】
そして、前記sin関数のグラフy(sin x)と共に表示された係数スライダSLa,SLb,…のつまみTa,Tb,…がユーザ操作に応じて移動されると(ステップS27(Yes))、当該つまみTa,Tb,…の移動量に応じて前記グラフ式の係数a,b,…の数値が変更され(ステップS28)、前記グラフy(sin x)が再表示される(ステップS29)。
【0081】
なお、前記ステップS23において、前記手書きのグラフHyに対応するユーザの動き(ジェスチャ)に応じたグラフモデルがないと判断された場合は(ステップS23(No))、前記グラフ座標画面Gにエラーメッセージが表示される(ステップS23e)。
【0082】
図12は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のグラフ表示処理に従ったユーザ操作に対応する表示動作(その2)を示す図である。
【0083】
この
図12に示す表示動作(その2)の場合は、
図12(A)に示すように、ユーザがイメージした指数関数のグラフに応じた指数曲線状の手書きのグラフHyがユーザ操作により描画された場合であって、前記同様のグラフ表示処理(ステップS21〜S29)に従って、
図12(B)に示すように、前記指数曲線状の手書きのグラフHyに応じて特定された指数関数のグラフy(a
x)と共にその係数スライダSLaを表示させることができる。
【0084】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第3実施形態のグラフ表示機能によれば、前記タッチパネル表示部13に表示させたグラフ座標画面Gにおいて、ユーザがイメージした手書きのグラフHyを描画して表示させると、その手書きの軌跡の形態からグラフの種類が特定される。そして、前記特定された種類のグラフyと共に当該グラフyのグラフ式に含まれる係数a,b,…の数値を変更するための操作表示体である係数スライダSLa,SLb,…が前記グラフ座標画面Gに表示され、同係数スライダSLa,SLb,…のユーザ操作により前記グラフyを変化させながら表示させることができる。
【0085】
これにより、前記ユーザがイメージしたグラフyを、前記手書きのグラフHyとして入力するだけで、非常に簡単に表示させることができるだけでなく、当該グラフyのグラフ式に含まれる係数a,b,…の数値をその係数スライダSLa,SLb,…により簡単に変更して同グラフyを変化させながら表示させることができる。よって、ユーザ所望のグラフを簡単に入力して表示させることが可能になる。
【0086】
なお、前記各実施形態では、前記グラフ式に含まれる係数a,b,…の数値をユーザ操作に応じて変更するための操作表示体として係数スライダSLa,SLb,…を用いる構成としてが、これに限らずユーザ操作に応じて数値変更可能な操作表示体であれば如何なる形状の表示体であってもよい。
【0087】
前記各実施形態において記載したグラフ関数電卓10による各処理の手法、すなわち、
図3のフローチャートに示す第1実施形態のグラフ表示処理、
図5,
図6のフローチャートに示す第1,第2のスライダ生成処理、
図8のフローチャートに示す第2実施形態のグラフ表示処理、
図10のフローチャートに示す第3実施形態のグラフ表示処理等の各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録装置の媒体(17)に格納して配布することができる。そして、ユーザ入力可能な表示部(13)を備えた電子機器のコンピュータ(制御装置)(11)は、この外部記録装置の媒体(17)に格納されたプログラムを記憶装置(14)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明したグラフ表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0088】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク上を伝送させることができ、この通信ネットワークに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記プログラムのデータをユーザ入力可能な表示部(13)を備えた電子機器に取り込んで記憶装置(14)に記憶させ、前述したグラフ表示機能を実現することもできる。
【0089】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0090】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0091】
[1]
表示部と、
この表示部の表示画面上の位置がユーザ操作に応じて指定されることに応じてグラフ表示の対象となる式を決定するグラフ式決定手段と、
このグラフ式決定手段により決定された式に含まれる係数の値をユーザ操作に応じて変化させるための操作表示体を生成する操作表示体生成手段と、
前記グラフ式決定手段により決定された式のグラフを前記操作表示体生成手段により生成された操作表示体とともに前記表示画面に表示させるグラフ表示手段と、
このグラフ表示手段により前記表示画面に表示された操作表示体のユーザ操作に応じて当該表示画面に表示されているグラフを変化させて表示させるグラフ変化表示手段と、
を備えたことを特徴とするグラフ表示装置。
【0092】
[2]
前記グラフ式決定手段は、ユーザにより指定された前記表示画面上の位置に基づいて当該指定の位置に応じたグラフ表示の対象となる式を算出するグラフ式算出手段を有し、
前記操作表示体は、前記グラフ式算出手段により算出された式に含まれる係数の数値を中央値としてその前後に数値を変化させる操作表示体である、
ことを特徴とする[1]に記載のグラフ表示装置。
【0093】
[3]
ユーザにより指定された前記表示画面上の位置に応じて表示可能なグラフの種類をユーザ操作に応じて選択するグラフ種類選択手段を備え、
前記グラフ式決定手段は、前記ユーザにより指定された前記表示画面上の位置と前記グラフ種類選択手段により選択されたグラフの種類とに基づいて当該指定の位置に応じたグラフの式を決定する、
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のグラフ表示装置。
【0094】
[4]
前記グラフ式決定手段は、前記ユーザにより指定された前記表示画面上の位置に基づいて当該指定の位置に応じたグラフの式と、当該グラフの式に対応するグラフに近似した特徴的なグラフの式とを決定する複数グラフ式決定手段と、この複数グラフ式決定手段により決定された複数のグラフの式に対応する各グラフを前記表示画面に共に表示させる複数グラフ表示手段と、この複数グラフ表示手段により表示された複数のグラフのうち何れかのグラフをユーザ操作に応じて選択するグラフ選択手段とを有し、
前記操作表示体生成手段は、前記グラフ選択手段により選択されたグラフの式に含まれる係数の値をユーザ操作に応じて変化させるための操作表示体を生成し、
前記グラフ表示手段は、前記グラフ選択手段により選択されたグラフと共に前記操作表示体生成手段により生成された操作表示体を前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする[1]ないし[3]の何れかに記載のグラフ表示装置。
【0095】
[5]
前記グラフ式決定手段は、ユーザにより指定された前記表示画面上の連続的な位置の軌跡に基づいて当該軌跡に応じたグラフの種類を特定し、この特定されたグラフの種類に応じたグラフの式を決定する、
ことを特徴とする[1]に記載のグラフ表示装置。
【0096】
[6]
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記表示部の表示画面上の位置がユーザ操作に応じて指定されることに応じてグラフ表示の対象となる式を決定するグラフ式決定手段、
このグラフ式決定手段により決定された式に含まれる係数の値をユーザ操作に応じて変化させるための操作表示体を生成する操作表示体生成手段、
前記グラフ式決定手段により決定された式のグラフを前記操作表示体生成手段により生成された操作表示体とともに前記表示画面に表示させるグラフ表示手段、
このグラフ表示手段により前記表示画面に表示された操作表示体のユーザ操作に応じて当該表示画面に表示されているグラフを変化させて表示させるグラフ変化表示手段、
として機能させるためのコンピュータ読み込み可能なプログラム。