特許第6394194号(P6394194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6394194動作情報測定装置、ゲーム制御プログラム、動作情報測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394194
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】動作情報測定装置、ゲーム制御プログラム、動作情報測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/212 20140101AFI20180913BHJP
   A63F 13/825 20140101ALI20180913BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20180913BHJP
   A63F 13/215 20140101ALI20180913BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20180913BHJP
   A63F 13/424 20140101ALI20180913BHJP
【FI】
   A63F13/212
   A63F13/825
   A63F13/58
   A63F13/215
   A63F13/211
   A63F13/424
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-175836(P2014-175836)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49237(P2016-49237A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】濱口 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】北村 優美
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−509205(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3131833(JP,U)
【文献】 特開2003−154168(JP,A)
【文献】 特開2012−128750(JP,A)
【文献】 特開2008−289583(JP,A)
【文献】 特開2007−117639(JP,A)
【文献】 特開2010−194140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の動きを検出する検出部と、
利用者の活動量を測定する活動量測定部と、
前記検出部により検出される動きに基づいて利用者の行動パターンを識別する行動識別部と、
前記行動識別部が識別した利用者の行動パターンに含まれる睡眠及び学習の行動と基準行動パターンに含まれる睡眠及び学習の行動との一致度を算出する一致度算出部と、
前記活動量測定部により測定された利用者の前記活動量、及び、前記一致度算出部により算出された利用者の前記一致度に基づいて電子ゲームのパラメータを制御するゲーム制御部に、前記活動量測定部が測定した前記活動量と前記一致度算出部が算出した前記一致度とを転送する転送部と、を備える動作情報測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の動作情報測定装置であって、
前記ゲーム制御部は、前記活動量に応じて決定した電子ゲームのパラメータを前記一致度に基づいて補正する動作情報測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の動作情報測定装置であって、
前記ゲーム制御部は、前記一致度が高いほど、前記決定したパラメータを電子ゲームの進行に有利となる値に補正する動作情報測定装置。
【請求項4】
請求項記載の動作情報測定装置であって、
音を検出する音検出部を更に備え、
前記活動量測定部は、前記音検出部により検出される音声情報を解析することで利用者の会話量を前記活動量として測定する動作情報測定装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項記載の動作情報測定装置であって、
前記ゲーム制御部を更に備える動作情報測定装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1〜のいずれか1項記載のゲーム制御部として機能させるためのゲーム制御プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1又は4に記載の動作情報測定装置における活動量測定部、行動識別部、一致度算出部及び転送部として機能させるための動作情報測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作情報測定装置、ゲーム制御プログラム、動作情報測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加速度センサ及び角速度センサ等の体の動きを検出する動き検出センサを用いることにより、人の行動(歩行、走行、階段昇降、睡眠等)を識別したり、活動量(歩数、歩行距離、消費カロリー等)を測定したりすることのできる動作情報測定装置の開発が盛んである。本明細書では、行動種別と活動量の情報を総称して動作情報ともいう。
【0003】
動作情報測定装置は、利用者に動作情報を提示することで、利用者の健康管理意欲を増進するものであり、毎日継続的に使用することが望まれる。そこで、動作情報をゲームに利用することで、装置の利用促進を図る提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、利用者の歩数によってキャラクタを成長させる歩数計が開示されている。この歩数計では、利用者が頑張って歩いて目標を達成すると、キャラクタが突然変異して大きく成長するようになっている。
【0005】
特許文献2には、利用者の行動パターンを反映したアバターを生成するシステムが開示されている。
【0006】
特許文献3には、利用者の行動パターンに応じて電子ペットを育成するシステムが開示されている。このシステムは、利用者の生活が不規則になると電子ペットが病気になり、規則的な生活を利用者に促すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−154168号公報
【特許文献2】特開2012−128750号公報
【特許文献3】特開2008−289583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の歩数計は、利用者が歩けば歩くほどキャラクタが大きく成長していくものである。これでは、利用者が子供であれば、例えば睡眠時間や勉強時間を削ってまで歩数を稼ぐことも考えられ、子供の正常な成長を妨げるおそれがある。
【0009】
特許文献3に記載のシステムは、利用者の生活が規則的になれば電子ペットが病気になることはない。このため、子供の正常な成長を促す効果が期待できる。しかし、生活パターンを規則的にすることで電子ペットが元気になるだけでは、利用者の運動意欲を向上させることは難しい。また、ただ規則的に生活していても、誰ともコミュニケーションをとっていないようでは、健康的な生活とは言えない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、利用者の活動意欲を向上させつつ、利用者に規則正しい生活を促すことのできる動作情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の動作情報測定装置は、利用者の動きを検出する検出部と、利用者の活動量を測定する活動量測定部と、前記検出部により検出される動きに基づいて利用者の行動パターンを識別する行動識別部と、前記行動識別部が識別した利用者の行動パターンに含まれる睡眠及び学習の行動と基準行動パターンに含まれる睡眠及び学習の行動との一致度を算出する一致度算出部と、前記活動量測定部により測定された利用者の前記活動量、及び、前記一致度算出部により算出された利用者の前記一致度に基づいて電子ゲームのパラメータを制御するゲーム制御部に、前記活動量測定部が測定した前記活動量と前記一致度算出部が算出した前記一致度とを転送する転送部と、を備えるものである。
【0012】
本発明のゲーム制御プログラムは、コンピュータを、前記ゲーム制御部として機能させるためのプログラムである。
【0013】
本発明の動作情報測定プログラムは、コンピュータを、前記動作情報測定装置における活動量測定部、行動識別部、一致度算出部及び転送部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利用者の活動意欲を向上させつつ、利用者に規則正しい生活を促すことのできる動作情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態を説明するためのシステム100の概略構成を示すブロック図である。
図2】動作情報測定装置10に登録されている基準行動パターン及び動作情報測定装置10により識別された行動パターンを説明するための図である。
図3図1の動作情報測定装置10の制御部2の機能ブロックを示す図である。
図4図1に示すシステム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのシステム100の概略構成を示す図である。システム100は、動作情報測定装置10と、ゲーム装置30と、を備える。動作情報測定装置10は、利用者(利用者)の体に装着されて使用される。
【0018】
動作情報測定装置10は、検出部1と、全体を統括制御する制御部2と、通信部3と、操作部4と、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を含む記憶部5と、各種情報を表示するための表示部6と、音検出部7と、を備える。
【0019】
検出部1は、動作情報測定装置10が装着された利用者の体の部位の動きに応じた情報を検出するものであり、体動検出部11と、高度検出部12と、を備える。
【0020】
体動検出部11は、動作情報測定装置10が装着された利用者の体の部位の動き(加速度、角速度等)を検出するものであり、加速度センサ及び角速度センサ等の各種センサと、各種センサから出力された信号を処理する信号処理部とを含む。体動検出部11は少なくとも1つのモーションセンサとこのモーションセンサからの信号を処理する信号処理部を含んでいればよい。
【0021】
高度検出部12は、気圧センサを含み、気圧センサの検出信号を処理して、動作情報測定装置10が装着されている部位の高度を検出する。なお、高度検出部12は省略してもよい。動作情報測定装置10の装着部位の高度は、利用者の動き(例えば、階段昇降)によって変化する。したがって、この高度の情報も、動作情報測定装置10を装着した部位の動きに応じた情報となる。
【0022】
制御部2は、記憶部5のROMに記憶された動作情報測定プログラムを実行するプロセッサを主体に構成される。
【0023】
通信部3は、ゲーム装置30を含む他の電子機器と通信を行うためのインターフェースである。インターフェースとしては、ANTに準拠した通信インターフェース、WIFIに準拠した通信インターフェース、ブルートゥースに準拠した通信インターフェース等が用いられる。また、通信部3は、インターネット等のネットワークを介してゲーム装置30と通信可能に構成してもよい。
【0024】
操作部4は、制御部2に各種指示を入力するためのデバイスであり、ボタンや表示部6に搭載されたタッチパネル等により構成される。
【0025】
記憶部5は、検出部1によって検出された検出情報を記憶したり、通信部3を介して受信した情報を記憶したり、動作情報測定装置10の動作に必要な情報を記憶したりする。記憶部5には、利用者の模範とすべき基準行動パターンが記憶されている。基準行動パターンとは、睡眠や学習等の少なくとも1つの特定行動を1日のうちのどの時間帯に行うべきかを指定したデータである。
【0026】
図2(A)は、基準行動パターンの一例を説明するための図である。図2(A)は、1日(0:00〜24:00)を表すブロックを24分割したものであり、この24のブロックにおいて、特定行動である睡眠を行う睡眠期間として21時〜翌朝7時を指定し、特定行動である学習を行う学習期間として19時〜20時を指定したデータの例である。
【0027】
このような基準行動パターンは、予め決められた固定のものを用いたり、予め決められた複数のパターンの中からマニュアルで選択できるようにしたりしてもよい。または、基準行動パターンを、操作部4を操作してマニュアルで設定できるようにしてもよい。基準行動パターンをマニュアル設定する場合には、動作情報測定装置10と通信可能な別の電子機器(例えばスマートフォン)によってアプリ上で基準行動パターンを設定し、設定データを電子機器から動作情報測定装置10に送信して記憶部5に記憶する構成としてもよい。
【0028】
音検出部7は、動作情報測定装置10の周囲の音を検出するものであり、例えばマイクロフォンで構成される。
【0029】
ゲーム装置30は、通信部31と、ゲーム制御部32と、表示部33と、を備える。
【0030】
通信部31は、動作情報測定装置10の通信部3と通信するためのインターフェースである。
【0031】
ゲーム制御部32は、メモリを内蔵したプロセッサにより構成される。このメモリにはゲームプログラム(ゲーム制御プログラム含む)が記憶されている。プロセッサが、ゲームプログラムを実行することにより、表示部33にゲーム画面を表示させ、このゲーム画面で遊べる電子ゲームが提供される。
【0032】
提供される電子ゲームは、キャラクタを操作及び成長させストーリーを進めるロールプレイングゲーム、キャラクタを使って対戦する対戦ゲーム、電子ペットを成長させて楽しむペット育成ゲーム、及び、ポイント等を貯めることでステージをクリアしたり、懸賞への応募資格を取得したりするゲーム等を含む。ここで挙げた電子ゲームは一例であり、これらに限定されない。
【0033】
ゲーム制御部32は、ゲームプログラムに基づく電子ゲームにおけるパラメータを、動作情報測定装置10から通信部31を介して転送されてきた利用者の活動量の情報と利用者の行動のパターンに関する情報に基づいて制御する。これらの情報については後述する。
【0034】
ゲーム装置30は、ゲーム専用機であってもよいし、スマートフォン等のゲーム以外の機能を主とする電子機器であってもよい。
【0035】
図3は、図1の動作情報測定装置10の記憶部5に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより制御部2によって実現される機能ブロックを示す図である。
【0036】
図3に示すように、制御部2は、活動量測定部20と、行動識別部21と、一致度算出部22と、転送部23と、を備える。
【0037】
活動量測定部20は、検出部1により検出される検出情報に基づいて利用者の活動量を測定する。この活動量は、例えば、歩数、歩行距離、消費カロリー等の人の活動の大きさに関する情報である。活動量測定部20は、検出情報に基づいて活動量を測定する代わりに、音検出部7により検出される音声情報を解析することで、活動量としての会話量を測定してもよい。
【0038】
例えば、記憶部5には利用者の音声を予め登録できるようにしておく。活動量測定部20は、音検出部7により検出される音声情報が記憶部5に登録された利用者の音声情報と一致した回数をカウントし、カウントした回数を会話量として算出する。会話量は、利用者の音声情報が検出された時間の合計値としてもよい。
【0039】
行動識別部21は、検出部1で検出される検出情報に基づいて利用者の行動を識別する。行動識別部21は、検出部1で検出される検出情報に加えて、音検出部7により検出される音声情報を使用して利用者の行動を識別してもよい。このようにすることで、利用者の行動の識別精度を高めることが可能になる。
【0040】
例えば、利用者が座って学習をしている状態と、利用者が座って食事をしている状態とを識別する場合、利用者の動きに応じた検出情報だけでは誤識別する可能性がある。音声情報を併せて利用すると、食事中は家族と会話しながら食べることが多く、学習は一人で黙々と行うことが多いため、食事中と学習中の識別を高精度に行うことが可能となる。
【0041】
なお、本明細書において、行動とは、歩いている、走っている、座っている、立ち止まっている、階段を昇降している、寝ている、学習している、食事している、等の人の動作状態のことを言う。例えば、階段の昇降は、高度検出部12で検出される高度情報の変化によって識別することができる。歩いている、走っている、座っている、立ち止まっている、寝ている等の状態は、例えば体動検出部11で検出される情報によって識別することができる。
【0042】
一致度算出部22は、記憶部5に記憶されている基準行動パターンに含まれる特定行動の期間と、行動識別部21により識別された利用者の行動のパターン(以下、識別行動パターンともいう)に含まれる当該特定行動の期間との重複量にしたがって一致度を算出する。
【0043】
以下、一致度の算出方法の一例を説明する。
【0044】
例えば、行動識別部21により識別された利用者の行動のパターンが図2(B)に示すものであった場合について説明する。図2(A)と図2(B)を比較すると、睡眠期間については基準行動パターンと識別行動パターンとで一部重複するが、完全には重複していない。また、学習期間は、識別行動パターンには存在していない。
【0045】
基準行動パターンにおける各行動の期間と、識別行動パターンにおける該各行動の期間とが完全に一致する場合の点数を“100”とし、この最大点数を睡眠期間と学習期間に対し均等に配分して各50点とする。一致度算出部22は、基準行動パターンにある任意の行動の期間に対する、識別行動パターンにある該行動の期間の重複量を求め、この重複量により、各行動に配分された最大点数を補正して、各行動に対する点数を算出する。そして、各行動に対して算出した点数を加算して得られる点数を100で割った値を一致度とする。
【0046】
具体的には、一致度算出部22は、(基準行動パターンにおける学習期間と重複する識別行動パターンの学習期間の長さ)/(基準行動パターンにおける学習期間の長さ)の演算により、基準行動パターンにおける学習期間と、識別行動パターンにおける学習期間との重複量を求める。図2の例では、(0/1)の演算により重複量は“0”となるため、学習期間に対する点数は、50×0=“0”になる。
【0047】
また、一致度算出部22は、(基準行動パターンにおける睡眠期間と重複する識別行動パターンの睡眠期間の長さ)/(基準行動パターンにおける睡眠期間の長さ)の演算により、基準行動パターンにおける睡眠期間と、識別行動パターンにおける睡眠期間との重複量を求める。図2の例では、(8/10)の演算により重複量は“0.8”となるため、睡眠期間に対する点数は、50×0.8=40になる。そして、学習期間に対する点数(0点)と睡眠期間に対する点数(40点)を足して得た“40”を“100”で割って得られる“0.4”が一致度として算出される。
【0048】
或いは、一致度の最大点数を“1”とし、基準行動パターンに含まれる行動毎に、識別行動パターンにおける該行動の期間のずれ量(単位:時間)を24時間で割った値を減点情報として求める。そして、“1”から減点情報の積算値を減算した値を一致度としてもよい。
【0049】
図2の例では、睡眠期間に対する減点情報が“2/24”となり、学習期間に対する減点情報が“1/24”となるため、一致度は、1−{(1/24)+(2/24)}=0.875となる。
【0050】
また、一致度算出部22は、識別行動パターンの行動のうち、基準行動パターンにおける行動と完全に一致している行動の数を、基準行動パターンに設定される行動の総数で割った値を一致度としてもよい。
【0051】
転送部23は、活動量測定部20により測定された利用者の活動量、及び、一致度算出部22により算出された一致度の情報を、通信部3を介してゲーム装置30のゲーム制御部32に転送する。そして、ゲーム装置30のゲーム制御部32は、転送部23から転送されてきた活動量の情報と一致度の情報に基づいて、電子ゲームのパラメータを制御する。具体的には、ゲーム制御部32は、転送されてきた活動量に応じて電子ゲームのパラメータを設定し、設定したパラメータを、転送されてきた一致度に基づいて補正する。
【0052】
一致度算出部22により算出される一致度の情報は、行動識別部21により識別された利用者の行動のパターンによって一意に決まる値である。このため、この一致度の情報は、行動識別部21により識別された利用者の行動のパターンに関する(パターンに相関のある)情報と言うことができる。
【0053】
以上のように構成されたシステム100の動作を説明する。
【0054】
図4は、システム100の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、ゲーム装置30がキャラクタを育成する電子ゲームを提供するものとして説明する。
【0055】
利用者が動作情報測定装置10を装着して活動すると、制御部2によって活動量が測定され、活動量が記憶部5に記憶される(ステップS1)。また、制御部2によって利用者の行動識別が行われ、行動種別とその行動を行っている時間の情報とが関連付けられて記憶部5に記憶されていく(ステップS2)。
【0056】
利用者が操作部4を操作してゲーム装置30へのデータ転送指示を行うと(ステップS3:YES)、制御部2は、記憶部5に記憶された最新の1日分(0:00〜24:00)の識別行動パターンの情報と、記憶部5に記憶されている基準行動パターンの情報との比較により、双方の一致度を算出する(ステップS4)。データ転送指示がない場合(ステップS3:NO)は活動量測定と行動識別の処理が継続して行われる。
【0057】
制御部2は、ステップS4において一致度を算出すると、算出した一致度の情報と、記憶部5に記憶された上記最新の1日分の活動量の情報をゲーム装置30に転送する(ステップS5)。
【0058】
ゲーム装置30のゲーム制御部32は、通信部31を介して、動作情報測定装置10から転送されてきた活動量の情報及び一致度の情報を取得する(ステップS6)。
【0059】
次に、ゲーム制御部32は、取得した活動量が大きいほど、電子ゲームのパラメータであるキャラクタの成長率を大きな値に設定する(ステップS7)。
【0060】
続いて、ゲーム制御部32は、ステップS7で設定したパラメータ(成長率)に、取得した一致度を乗じて、パラメータを補正し(ステップS8)、補正後のパラメータにしたがって電子ゲームを進行する。
【0061】
以上のように、システム100によれば、動作情報測定装置10の利用者の活動量が大きいほど、ゲーム制御部32が、電子ゲームのパラメータをゲーム進行に有利になる値に設定する。このため、利用者は、電子ゲームを攻略するために頑張って運動したり、人と会話したり等の活動を行うようになる。したがって、利用者へ活動を促すことができ、利用者の健康的な生活を支援することができる。
【0062】
また、システム100によれば、動作情報測定装置10の利用者の活動量が大きくても、利用者の行動パターンと基準行動パターンとの一致度が低ければ、電子ゲームのパラメータがゲーム進行に不利な方向に設定される。このため、利用者は、電子ゲーム攻略のために、自身の生活を基準行動パターンに近づけるよう努力することになる。したがって、利用者が子供であれば、親等が予め決めた生活を子供が自然と行うようになり、子供の正常な成長を支援することができる。
【0063】
なお、以上の説明では、一致度の生成を動作情報測定装置10が行うものとしたが、一致度の生成をゲーム制御部32が行う構成としてもよい。
【0064】
この場合、動作情報測定装置10の制御部2は、図3において一致度算出部22を削除した構成とする。また、転送部23が、活動量の情報と、行動識別部21により識別された利用者の行動のパターンを示す情報とを、ゲーム制御部32に転送する構成とする。更に、基準行動パターンの情報は、ゲーム装置30の図示しない記憶部に予め登録しておく構成とする。
【0065】
ゲーム制御部32は、動作情報測定装置10から転送されてきた行動のパターンを示す情報に基づく利用者の行動パターンと、予め登録された基準行動パターンとの比較により、双方の一致度を算出する。そして、ゲーム制御部32は、転送されてきた活動量と、算出した一致度とに基づいて、電子ゲームのパラメータを制御する。
【0066】
このようにすることで、動作情報測定装置10の処理量を減らすことができ、電池寿命を延ばすことができる。
【0067】
基準行動パターンに含まれる特定行動としては、利用者とその家族の意図によって様々なものを設定可能である。例えば、読書、遊び、及び入浴等の行動を設定できてもよい。
【0068】
利用者の健康的な生活や成長を支援する観点から言えば、特定行動は少なくとも“睡眠”を含むのがよい。また、利用者の成長を支援する観点から言えば、特定行動は少なくとも“学習”を含むのがよい。図2に示したように、特定行動として“睡眠”と“学習”を含ませることが、例えば子供の成長を考える上では最も好ましい。
【0069】
ここまで説明したゲーム装置30のゲーム制御部32の機能は、動作情報測定装置10の制御部2が有する構成としてもよい。これにより、動作情報測定装置10単体でゲームを楽しむことができる。
【0070】
コンピュータを、動作情報測定装置10の活動量測定部20、行動識別部21、一致度算出部22、及び転送部23として機能させるためのプログラム、及び、コンピュータをゲーム制御部32として機能させるためのプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。
【0071】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0072】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0073】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0074】
開示された動作情報測定装置は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、利用者の活動量を測定する活動量測定部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の行動を識別する行動識別部と、前記活動量測定部により測定された利用者の活動量、及び、前記行動識別部により識別された利用者の行動のパターンに関するパターン情報に基づいて電子ゲームのパラメータを制御するゲーム制御部に、前記パターン情報と前記活動量の情報を転送する転送部と、を備えるものである。
【0075】
開示された動作情報測定装置は、前記転送部が、前記行動識別部により識別された行動のパターンと基準行動パターンとの一致度の情報を前記パターン情報として転送し、前記ゲーム制御部は、前記活動量に応じて決定した電子ゲームのパラメータを前記一致度に基づいて補正するものである。
【0076】
開示された動作情報測定装置は、前記ゲーム制御部が、前記一致度が高いほど、前記決定したパラメータを電子ゲームの進行に有利となる値に補正するものである。
【0077】
開示された動作情報測定装置は、前記基準行動パターンに含まれる特定行動の期間と、前記行動識別部により識別された行動のパターンに含まれる前記特定行動の期間との重複量にしたがって前記一致度を算出する一致度算出部を更に備えるものである。
【0078】
開示された動作情報測定装置は、前記特定行動が睡眠及び学習の少なくとも1つを含むものである。
【0079】
開示された動作情報測定装置は、音を検出する音検出部を更に備え、前記活動量測定部は、前記音検出部により検出される音声情報を解析することで利用者の会話量を前記活動量として測定するものである。
【0080】
開示された動作情報測定装置は、前記ゲーム制御部を更に備えるものである。
【0081】
開示されたゲーム制御プログラムは、コンピュータを、前記ゲーム制御部として機能させるためのプログラムである。
【0082】
開示された動作情報測定プログラムは、コンピュータを、前記動作情報測定装置における活動量測定部、行動識別部、及び転送部として機能させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0083】
10 動作情報測定装置
1 検出部
2 制御部
3 通信部
7 音検出部
20 活動量測定部
21 行動識別部
22 一致度算出部
23 転送部
30 ゲーム装置
31 通信部
32 ゲーム制御部
33 表示部
図1
図2
図3
図4