(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出対象である物理量の変化に反応してON/OFFが切り換わるスイッチを各々含み、各々が含むスイッチのON/OFF状態に応じて変化する状態信号を各々出力する複数のスイッチ回路を有し、前記複数のスイッチ回路は、ON/OFFの切り換わる前記物理量の閾値が互いに異なる2個のスイッチを含み、前記物理量が前記2個のスイッチの閾値のうち小さい方の閾値を越えることにより状態信号を反転させ、前記物理量が前記2個のスイッチの閾値のうち大きい方の閾値を越えることにより状態信号をさらに反転させる3状態スイッチ回路と、前記3状態スイッチ回路の2個のスイッチの各閾値間の閾値を有し、物理量が当該閾値を越えることにより状態信号を反転させる2状態スイッチ回路とを含むことを特徴とする状態検出回路。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である状態検出回路10を用いた押鍵検出回路1の構成を示すブロック図である。なお、
図1では、理解を容易にするため、押鍵検出回路1を構成する回路のうち鍵1個分の回路の構成を示している。
図1に示すように、押鍵検出回路1は、鍵盤の各鍵に対応した状態検出回路10と、選択信号発生回路11と、状態判別回路12と、他の回路13とを有する。なお、この例では、この発明を鍵盤の押鍵深度を検出する状態検出回路に適用するが、この発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。
【0024】
選択信号発生回路11は、一定の周期でレベルが切り換わる選択信号を状態検出回路10に供給する。状態検出回路10は、鍵盤の各鍵の押鍵深度に応じてON/OFFが切り換わるスイッチのON/OFF状態を検出し、検出結果を状態信号として状態判別回路12に出力する。状態判別回路12は、状態検出回路10から出力された状態信号を基に鍵盤の各鍵の押鍵深度を判別する。他の回路13は、例えば状態判別回路12により判別される押鍵深度に基づいて押鍵のベロシティを算出する回路等である。
【0025】
図2(a)は、本実施形態による鍵1個分の状態検出回路10の構成を示す回路図である。
図2(a)に示すように、鍵1個分の状態検出回路10は、スイッチ回路IC11およびIC12と、論理和回路OC1とにより構成される。
【0026】
図2(a)において、スイッチ回路IC11はスイッチAおよびCを含み、スイッチ回路IC12はスイッチBを含む。ここで、スイッチA、B、Cは、前掲
図18のものと同様、押鍵深度が所定の閾値を越えることによりOFFからONに切り換わるキーオンスイッチである。ここで、スイッチAのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値th1、スイッチBのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値th2、スイッチCのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値th3の間には、th1<th2<th3の関係がある。すなわち、押鍵深度を0から増加させてゆくと、押鍵深度が閾値th1を越えることによりスイッチAがOFFからONに切り換わり、次に押鍵深度が閾値th2を越えることによりスイッチBがOFFからONに切り換わり、最後に押鍵深度が閾値th3を越えることによりスイッチCがOFFからONに切り換わる。
【0027】
スイッチ回路IC11には、選択信号発生回路11から選択線SL1を介して選択信号S1が供給され、スイッチ回路IC12には選択信号発生回路11から選択線SL2を介して選択信号S2が供給される。この選択信号S1およびS2は、それぞれ一定の周期で交互にHレベルとなる交番信号である。より具体的には、選択信号S1がHレベルのとき、選択信号S2はLレベルとなり、選択信号S2がHレベルのとき、選択信号S1はLレベルとなる。
【0028】
スイッチ回路IC11は、スイッチAおよびCに加えて抵抗102を有する。ここで、抵抗102は、一端が選択線SL1に接続され、他端がスイッチAの一端に接続されている。このスイッチAの他端は、スイッチCの一端に接続されている。このスイッチCの他端は基準電源線(この例では接地線)に接続されている。そして、スイッチAおよびCの共通接続点は状態信号Q1を出力するスイッチ回路IC11の出力端子となっている。このスイッチ回路IC11は、選択信号S1と、スイッチAおよびCのON/OFF状態とに基づく論理演算を行い、論理演算結果を示す状態信号Q1を論理和回路OC1に出力する回路である。
【0029】
スイッチ回路IC12は、1個のスイッチBにより構成されている。このスイッチBは、選択線SL2とスイッチ回路IC12の出力端子との間に介挿されている。このスイッチ回路IC12は、選択信号S2と、スイッチBのON/OFF状態とに基づく論理演算を行い、論理演算結果を示す状態信号Q2を論理和回路OC1に出力する回路である。
【0030】
論理和回路OC1は、ダイオード111、ダイオード112および抵抗101を有する。ここで、ダイオード111のアノードはスイッチ回路IC11の出力端子であるスイッチAおよびCの共通接続点に接続され、ダイオード112のアノードはスイッチ回路IC12の出力端子であるスイッチBの一端に接続されている。また、ダイオード111および112の各カソードは共通接続され、このカソード同士の共通接続点と基準電源線(この例では接地線)との間に抵抗101が介挿されている。そして、ダイオード111および112のカソード同士の共通接続点が論理和回路OC1の出力端子となっている。この論理和回路OC1は、スイッチ回路IC11が出力する状態信号Q1と、スイッチ回路IC12が出力する状態信号Q2の論理和を状態信号Qとして出力する回路である。
【0031】
図2(b)は、
図2(a)に示す状態検出回路10の各要素を論理シンボルに置き換えた等価論理回路図である。図中の信号A、B、Cは、それぞれスイッチA、B、CのON/OFF=1/0を示す信号である。
【0032】
図2(a)において、抵抗102は抵抗101に比べて十分に低く、抵抗102と抵抗101の分圧比は1に近い。従って、選択信号S1がHレベル、スイッチAがON、スイッチCがOFFである場合、スイッチ回路IC11が出力する状態信号Q1は、選択信号S1(1=Hレベル)を抵抗102および101により分圧した電圧、すなわち、Hレベル(=1)となる。
【0033】
一方、スイッチCがONである場合は、たとえ選択信号S1がHレベルであり、かつ、スイッチAがONであっても、スイッチ回路IC11が出力する状態信号Q1はLレベルとなる。
【0034】
また、スイッチAおよびCがOFFである場合、スイッチ回路IC11に供給される選択信号S1のレベルに拘わらず、スイッチ回路IC11が出力する状態信号Q1はLレベルとなる。
【0035】
このように状態信号Q1が1(=Hレベル)になるのは、選択信号S1が1(=Hレベル)であり、かつ、スイッチAがON(=1)であり、さらにスイッチCがOFF(=0)である場合のみである。
【0036】
従って、スイッチ回路IC11は、
図2(b)に示すように、信号Aと選択信号S1との論理積演算を行う論理積回路IC11_1と、この論理積回路IC11_1の出力信号と信号Cを論理反転した信号との論理積演算を行い、演算結果を状態信号Q1として論理和回路OC1に出力する論理積回路IC11_2とからなる論理回路と等価である。
【0037】
また、
図2(a)において、スイッチ回路IC12が出力する状態信号Q2は、選択信号S2が1(=Hレベル)であり、かつ、スイッチBがON(=1)である場合のみ1(=Hレベル)となる。従って、スイッチ回路IC12は、
図2(b)に示すように、信号Bと選択信号S2との論理積を状態信号Q2として出力する論理積回路IC12と等価である。
【0038】
論理和回路OC1では、ダイオード111のアノード111に与えられる状態信号Q1が1(Hレベル)である場合にダイオード111がONとなり、状態信号Qとして状態信号Q1(1=Hレベル)を出力する。
【0039】
ここで、状態信号Q2が0(=Lレベル)である場合は、ダイオード112がOFFとなる。従って、論理和回路OC1が出力する状態信号Q=Q1は、状態信号Q2の影響を受けない。
【0040】
また、論理和回路OC1では、ダイオード112のアノード111に与えられる状態信号Q2が1(=Hレベル)である場合にダイオード112がONとなり、状態信号Qとして状態信号Q2(1=Hレベル)を出力する。
【0041】
ここで、状態信号Q1が0(Lレベル)である場合は、ダイオード111がOFFとなる。従って、論理和回路OC1が出力する状態信号Q=Q2は、状態信号Q1の影響を受けない。
【0042】
そして、状態信号Q1およびQ2が1(Hレベル)である場合は、ダイオード111および112がONとなり、論理和回路OC1は状態信号Qとして1(Hレベル)を出力する。このように論理和回路OC1は、状態信号Q1およびQ2の論理和を状態信号Qとして出力する。
【0043】
図2(c)は、本実施形態における状態検出回路10の動作を示す真理値表である。
図2(c)では、スイッチA、B、CがONの状態を1、OFFの状態を0としている。また、選択信号S1およびS2や状態信号Q1およびQ2については、Hレベルの場合を1、Lレベルの場合を0としている。また、上述したように、スイッチA、B、CのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値はth1、th2、th3(th1<th2<th3)である。
【0044】
図2(c)の左側の真理値表では、押鍵深度を増加させていったときのスイッチA、B、CのON/OFF状態の推移が上下方向に示されている。押鍵がなされていない状態では、スイッチA、B、CのON/OFF状態は000となる。また、押鍵がなされ、th1<押鍵深度<th2の状態になると、スイッチA、B、CのON/OFF状態は100となる。また、th2<押鍵深度<th3の状態なると、スイッチA、B、CのON/OFF状態は110となる。そして、押鍵深度>th3の状態になると、スイッチA、B、CのON/OFF状態は111となる。このようにスイッチA、B、CのON/OFF状態は、押鍵深度に応じて、000、100、110、111の4つの状態のいずれかをとり得る。
【0045】
図2(c)の右下の真理値表では、スイッチA、B、Cの4つのON/OFF状態に各々対応付けて、選択信号S1およびS2の両方が1=Hレベルである場合の状態信号Q1およびQ2が各々示されている。
【0046】
この真理値表に示すように、状態信号Q1は、スイッチCがOFFであり、かつ、スイッチAがONである場合、すなわち、スイッチA、B、CのON/OFF状態が100の場合と110の場合に限り1となる。また、状態信号Q2は、スイッチBがONである場合、すなわち、スイッチA、B、CのON/OFF状態が110の場合と111の場合に限り1となる。従って、スイッチA、B、Cの状態が000→100→110→111と変化するのに対応し、状態信号Q1、Q2は、00→10→11→01と変化する。このように本実施形態では、スイッチA、B、Cがとり得る4種類のON/OFF状態を互いに互いに内容の異なる4組の状態信号Q1、Q2により表現することができる。
【0047】
そして、本実施形態では、
図2(c)の右上の真理値表に示すように、選択信号S1およびS2を1および0とすることにより、状態信号Q2を強制的に0とし、状態信号Q1を状態信号Qとして論理和回路OC1から出力させる。また、本実施形態では、選択信号S1およびS2を0および1とすることにより、状態信号Q1を強制的に0とし、状態信号Q2を状態信号Qとして論理和回路OC1から出力させる。
以上が本実施形態の動作である。
【0048】
本実施形態によると、スイッチ回路IC11が2個のスイッチAおよびCを含み、これらのスイッチのON/OFF状態と選択信号S1との論理演算を行う。これにより、1個のスイッチ回路が2個のスイッチのON/OFF状態を利用した論理演算を行うので、選択線の本数をスイッチの個数よりも減らすことができる。また、スイッチ回路の個数がスイッチの個数よりも少なくなるので、論理和回路OC1に設けるダイオードの個数を減らすことができる。このように本実施形態によれば、鍵1個分の状態検出回路に関係した配線数および部品点数を従来技術に比べて減らすことができる。
【0049】
また、本実施形態において、2個のスイッチAおよびCを含むスイッチ回路IC11では、スイッチAおよびCのON/OFF状態が00→10→10→11と変化する過程において、状態信号Q1は0→1→1→0と変化する。このように2個のスイッチAおよびCを含むスイッチ回路IC11では、スイッチAおよびCのON/OFF状態が00である場合と11である場合の両方において、状態信号Q1が0となる。従って、状態信号Q1が0である場合に、スイッチAおよびCのON/OFF状態が00であるために状態信号Q1が0であるのか、スイッチAおよびCのON/OFF状態が11であるために状態信号Q1が0であるのか、状態信号Q1のみから判別することはできない。
【0050】
しかしながら、本実施形態において、スイッチA、B、Cの各閾値th1、th2、th3にはth1<th2<th3の関係がある。従って、スイッチBがONであり、状態信号Q2が1である場合、スイッチAがONになっているはずである。従って、状態信号Q1が0であり、かつ、状態信号Q2が1である場合、状態信号Q1が0である原因は、スイッチAがONであり、かつ、スイッチCがONであることによる。
【0051】
一方、状態信号Q2が0である場合にはスイッチBがOFFであり、その場合にはスイッチCはOFFである。従って、状態信号Q1が0であり、かつ、状態信号Q2が0である場合、状態信号Q1が0である原因は、スイッチAがOFFであり、かつ、スイッチCがOFFであることによる。
【0052】
このように本実施形態では、状態信号Q1が0となる場合に、スイッチAおよびCのON/OFF状態が00であるのか11であるのかを状態信号Q2の0/1により区別することができる。従って、本実施形態によれば、3個のスイッチA、B、Cがとり得る4種類のON/OFF状態を2ビットの状態信号Q1およびQ2により重複なく表現することができる。この点は
図2(c)の真理値表に示す通りである。
【0053】
図3は、状態判別回路12の構成を示す回路図である。この状態判別回路12は、状態検出回路10が出力する状態信号Q=Q1、Q2をスイッチA、B、CのON/OFFを各々示す押鍵深度信号Aout、BoutおよびCoutに変換する回路である。
図3に示すように、状態判別回路12は、フリップフロップ121と、論理和回路122と、論理否定回路123と、論理積回路124とを有する。
【0054】
フリップフロップ121のデータ端子Dには、状態検出回路10が出力する状態信号Qが入力され、クロック端子CLKには図示しないクロック発生手段から選択信号S1およびS2の切り換わりタイミングに同期したクロックが供給される。
【0055】
論理和回路122は、フリップフロップ121の出力信号と、状態検出回路10が出力する状態信号Qとの論理和を信号Aoutとして出力する。状態検出回路10が出力する状態信号Qは、信号Boutとして出力される。
【0056】
論理積回路124は、フリップフロップ12の出力信号を論理否定回路123で反転させた信号と、状態検出回路10が出力する状態信号Qとの論理積を信号Coutとして出力する。
【0057】
以下、状態判別回路12の動作を説明する。まず、選択信号S1およびS2が1および0になると、フリップフロップ121は、それまでに状態検出回路10が出力していた状態信号Q=Q2をその時点において発生するクロックの立ち上がりエッジにより取り込んで出力する。
【0058】
次に選択信号S1およびS2が0および1になると、フリップフロップ121は、それまでに状態検出回路10が出力していた状態信号Q=Q1をその時点において発生するクロックの立ち上がりエッジにより取り込んで出力する。
【0059】
この時点において、論理和回路122は、フリップフロップ121が出力する状態信号Q1と、状態検出回路10が出力する状態信号Q2との論理和を信号Aoutとして出力する。ここで、
図2(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q1と状態信号Q2の論理和は、スイッチAのON/OFF=1/0と一致する。従って、信号Aoutは、スイッチAのON/OFF=1/0を示す信号となる。
【0060】
また、状態検出回路10が出力する状態信号Q=Q2は、信号Boutとして出力される。ここで、
図2(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q2は、スイッチBのON/OFF=1/0と一致する。従って、信号Boutは、スイッチBのON/OFF=1/0を示す信号となる。
【0061】
また、論理積回路124は、フリップフロップ12が出力する状態信号Q1を論理否定回路123で反転させた信号と、状態検出回路10が出力する状態信号Q2との論理積を信号Coutとして出力する。ここで、
図2(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q1の論理反転値と状態信号Q2との論理積は、スイッチCのON/OFF=1/0と一致する。従って、信号Coutは、スイッチCのON/OFF=1/0を示す信号となる。
【0062】
このように状態判別回路12によれば、状態検出回路10が出力する状態信号Q=Q1、Q2からスイッチA、B、CのON/OFFを各々示す押鍵深度信号Aout、BoutおよびCoutを発生することができる。
【0063】
図4は、状態検出回路10および状態判別回路12の動作例を示すタイムチャートである。ここで、
図4(a)は、選択信号S1およびS2の変化を示している。また、
図4(b)は、押鍵深度に応じて変化するスイッチA、B、CのON/OFF状態を示している。また、
図4(c)は、
図4(b)に示すスイッチA、B、CのON/OFF状態に基づき、状態検出回路10が出力する状態信号Q1およびQ2を示している。また、
図4(d)は、
図4(c)に示す状態信号Q1およびQ2に基づき、状態判別回路12が出力する押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを示している。
図4(e)は、
図4(b)のスイッチA、B、CのON/OFF状態が示す押鍵深度を示すグラフである。押鍵深度には、0〜3の4種類がある。押鍵深度0は、スイッチA、B、Cが全てOFFとなる押鍵深度である。押鍵深度1は、スイッチAがON、スイッチBおよびCがOFFとなる押鍵深度である。押鍵深度2は、スイッチAおよびBがON、スイッチCがOFFとなる押鍵深度である。押鍵深度3は、スイッチA、B、Cが全てONとなる押鍵深度である。
図4(f)は、
図4(d)の押鍵深度信号Aout、Bout、Coutが示す押鍵深度を示すグラフである。
【0064】
図4(f)に示すグラフの形状は、
図4(e)に示すグラフの形状とほぼ一致しており、状態判別回路12は、スイッチA〜CのON/OFF状態を正確に判別することができることが分かる。ただし、前述した通り、状態判別回路12は、選択信号S2が1のときの状態信号Q1およびQ2に基づき、スイッチA〜CのON/OFF状態を判別する。従って、選択信号S1が1から0に切り換わる間に、スイッチA〜CのON/OFF状態が変化すると、状態判別回路12が判別するスイッチA〜CのON/OFF状態に誤差が生じる。このため、
図4(f)に示すグラフには、これに起因する1ビットの誤差が見られる。しかし、選択信号S1およびS2の1/0の切り換わり周期は高速(1μs〜1ms)であるため、この誤差は無視できる。従って、状態判別回路12は、スイッチA〜CのON/OFF状態を正確に判別することができる。
【0065】
図5は、以上説明した状態検出回路10および状態判別回路12を利用した押鍵検出回路1の詳細な構成例を示すブロック図である。押鍵検出回路1は、鍵盤楽器が有する88個の各鍵に対応した88個の状態検出回路10からなる状態検出回路群10Gと、制御回路131と、マルチプレクサ132と、デマルチプレクサ133とにより構成される。上述した状態判別回路12と他の回路13は、制御回路131内に含まれている。
【0066】
状態検出回路群10Gは、各々12個の状態検出回路10からなる第1〜第7のグループと、4個の状態検出回路10からなる第8のグループに区分されている。
図5では、これらのグループ毎に状態検出回路10が1行に並べて図示され、状態検出回路群10Gを構成する各状態検出回路10がマトリックス状に図示されている。
【0067】
図5において1行をなす1つのグループの各状態検出回路10は、1オクターブの範囲内の各鍵のスイッチA、B、CのON/OFF検出を行うものである。デマルチプレクサ133は、制御回路131による制御の下、
図5に示す状態検出回路10の各行を順次選択する回路である。
【0068】
図5に示すように、デマルチプレクサ133は、第1行の状態検出回路10_k(k=1〜12)と2本の選択線SL1およびSL2を介して接続され、第2行の状態検出回路10_k(k=13〜24)と2本の選択線SL3およびSL4を介して接続され、…、第8行の状態検出回路10_k(k=85〜88)と2本の選択線SL15およびSL16を介して接続されている。
【0069】
これらの選択線SL1〜SL16のうち選択線SL1、SL3、SL5、SL7、SL9、SL11、SL13、SL15は、前掲
図2(a)の選択線SL1としての役割を果たすものであり、各状態検出回路10_kのスイッチ回路IC11に接続されている。また、選択線SL2、SL4、SL6、SL8、SL10、SL12、SL14、SL16は、前掲
図2(a)の選択線SL2としての役割を果たすものであり、各状態検出回路10_kのスイッチ回路IC12に接続されている。
【0070】
デマルチプレクサ133は、選択線SL1〜SL16を各々介して選択信号S1〜S16を状態検出回路群10Gに供給する。さらに詳述すると、デマルチプレクサ133は、選択信号S1のみを1として、第1行の状態検出回路10_k(k=1〜12)から前掲
図2(a)の状態信号Q1に相当する状態信号Q1_k(k=1〜12)を出力させ、選択信号S2のみを1として、第1行の状態検出回路10_k(k=1〜12)から前掲
図2(a)の状態信号Q2に相当する状態信号Q2_k(k=1〜12)を出力させ、選択信号S3のみを1として、第2行の状態検出回路10_k(k=13〜24)から前掲
図2(a)の状態信号Q1に相当する状態信号Q1_k(k=13〜24)を出力させ、…、選択信号S16のみを1として、第8行の状態検出回路10_k(k=85〜88)から前掲
図2(a)の状態信号Q2に相当する状態信号Q2_k(k=85〜88)を出力させる、という動作を周期的に繰り返す。
【0071】
状態検出回路群10Gにおいて、状態検出回路10の各列に各々対応させて、12列分の出力線OLj(j=1〜12)が配線されている。そして、状態検出回路群10Gにおいて、第j列の状態検出回路10の各出力端子は出力線OLjに各々共通接続されている。前掲
図2(a)では、状態検出回路10の論理和回路OC1の出力端子は抵抗101を介して接地されていた。
図5に示す構成では、1列を構成する各状態検出回路10の各論理和回路OC1は、1本の抵抗101を共有している。すなわち、
図5に示す構成では、1列分の各状態検出回路10のダイオード111および112の各カソード(
図2(a)参照)が共通接続され、この共通接続点が出力線OLjに接続されるとともに、抵抗101を介して接地されており、各状態検出回路10の出力部がワイヤードOR回路を構成している。
【0072】
マルチプレクサ132は、制御回路131による制御の下、出力線OL1〜OL12を順次選択し、当該出力線から出力される状態信号Q1_k(1≦k≦88)およびQ2_k(1≦k≦88)を制御回路131に順次出力する動作を周期的に繰り返す。
【0073】
制御回路131は、マルチプレクサ132およびデマルチプレクサ133を制御する。また、制御回路131は、マルチプレクサ132から状態信号Q1_k(1≦k≦88)およびQ2_k(1≦k≦88)を取り込むと、デマルチプレクサ133に供給した選択信号S1〜S16との関係から、当該状態信号が、状態検出回路10_k(1≦k≦88)のうち、いずれの状態検出回路から出力されたものであるのかを特定する。
【0074】
例えば、選択信号S3が1のとき、制御回路131が出力線OL4を介して状態信号を取り込んだとする。この場合、制御回路131は、この状態信号を状態検出回路群10Gの2行4列の位置に属する状態検出回路10_16から出力されたものとして取り扱う。
【0075】
制御回路131は、マルチプレクサ132に出力線OLj(j=1〜12)を順次選択させ、マルチプレクサ132に1本の出力線OLjを選択させている間に、デマルチプレクサ133に論理値が1である選択信号S1〜S16を順次出力させる動作を周期的に繰り返す。これにより制御回路131は、マルチプレクサ132が出力線OL1を選択している間に、第1列の各状態検出回路10が出力する状態信号Q1_1、Q2_1、Q1_13、Q2_13、…、Q1_85、Q2_85をマルチプレクサ132から取得する。次に制御回路131は、マルチプレクサ132が出力線OL2を選択している間に、第2列の各状態検出回路10が出力する状態信号Q1_2、Q2_2、Q1_14、Q2_14、…、Q1_86、Q2_86をマルチプレクサ132から取得する。以下、同様であり、制御回路131は、第3列〜第12列についても、各行の状態検出回路10が出力する状態信号を順次取得する。
【0076】
制御回路131に含まれる状態判別回路12は、例えば状態検出回路10_1が出力する状態信号Q1_1およびQ2_1をマルチプレクサ132から取得したタイミングにおいて、これらの状態信号から上述した信号Aout、Bout、Coutを生成する。また、状態判別回路12は、例えば状態検出回路10_13が出力する状態信号Q1_13およびQ2_13をマルチプレクサ132から取得したタイミングにおいて、これらの状態信号から上述した信号Aout、Bout、Coutを生成する。以下、同様であり、状態判別回路12は、各鍵に対応した状態検出回路10から取得した状態信号に基づいて上述した信号Aout、Bout、Coutを生成する。
【0077】
そして、制御回路131は、88鍵の各々について状態検出回路10が出力する状態信号から信号Aout、Bout、Coutを生成する処理を周期的に繰り返し、これにより押下された鍵を検出するとともに、周知の技術により、その押鍵操作のベロシティ情報を生成する。
【0078】
1個の鍵の押鍵操作を検出するために3個のスイッチA、B、Cを使用すると、上述した従来技術では、1個の状態検出回路につき3本の選択線を接続しなければならない。このため、押鍵検出回路1における選択線の総本数は264本となる。これに対し、本実施形態では、1個の状態検出回路10に配線する選択線の本数は2本である。従って、本実施形態における押鍵検出回路1の選択線の総本数は176本となる。従って、本実施形態による押鍵検出回路1によると、従来技術に比べて大幅に選択線の本数を減らすことができる。
【0079】
また、本実施形態では、従来技術に比べて、状態検出回路10のダイオードの個数を1個減らすことができる。従って、本実施形態では、従来技術に比べて、ダイオードを88個減らすことができる。
【0080】
<第2実施形態>
図6(a)は、この発明の第2実施形態である状態検出回路20の構成を示す回路図である。上記第1実施形態の状態検出回路10と同様、状態検出回路20は3個のスイッチA、B、Cを有する。上記第1実施形態において、スイッチA、B、Cは全てキーオンスイッチであった。これに対し、本実施形態では、スイッチB、Cはキーオンスイッチであるが、スイッチAは押鍵によりONからOFFに切り換わるキーオフスイッチである。スイッチA、B、CのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値th1、th2、th3に関しては、上記第1実施形態と同様、th1<th2<th3の関係がある。
【0081】
図6(a)に示すように、状態検出回路20は、上記第1実施形態の状態検出回路10において、スイッチ回路IC11をスイッチ回路IC21に変更したものである。このスイッチ回路IC21は、選択線SL1と論理和回路OC1内のダイオード111のアノードとの間に並列に介挿されたスイッチAおよびCにより構成されている。そして、スイッチAおよびCとダイオード111のアノードとの共通接続点がスイッチ回路IC21の出力端子となっている。この状態検出回路20のスイッチ回路IC21以外の部分の構成は、前述した状態検出回路10と同一である。
図6(a)および(b)において、
図2(a)および(b)と共通する部分に同一符号が付されている。
【0082】
図7(a)および(b)は、鍵盤楽器の鍵盤下部におけるスイッチA、B、Cの取り付け構造を例示する側面図である。
図7(a)および(b)では、鍵Kの右側端部が演奏者側を向いた前端部、左側端部が後端部となっている。鍵Kは、支点Oにおいて鍵盤に支持されている。鍵Kは、前端部が押下されることにより、支点O廻りに矢印方向に回動する。
図7(a)に示す構成例では、スイッチAは、可動接点を鍵Kの後端部下面に当接させている。また、スイッチBおよびCは、鍵Kの前端部下面から下方に離れて位置しており、各々の可動接点を鍵Kの前端部下面に対向させている。ここで、スイッチCの可動接点はスイッチBの可動接点よりも深い位置にある。スイッチ回路IC21およびIC22の構成は
図6(a)に示す通りである。
【0083】
以上の構成において、非押鍵時は、スイッチAの可動接点は鍵Kの後端部下面により押下され、スイッチA内の固定接点と接触している。このため、スイッチAはONとなっている。演奏者が、鍵Kの前端部を押下すると、鍵Kは支点Oを中心に矢印の方向に回動する。これに伴い、鍵Kの後端部は上方に移動するため、スイッチAがOFFする。さらに、鍵Kを押下すると、鍵Kの前端部下面がスイッチBの可動接点を押下するため、スイッチBがONする。さらに、鍵Kを押下すると、スイッチBの前端部下面がスイッチCの可動接点を押下するため、スイッチCがONとなる。以上のようにして、
図6(a)のスイッチA〜Cの機能が実現される。
【0084】
図7(b)に示す構成例では、鍵Kの前端部下面には突起形状を有する押下部P1およびP2が設けられている。スイッチAおよびCは、導電部材からなる可動接点OP1と、固定接点AおよびCにより構成される。スイッチBは、導電部材からなる可動接点OP2と固定接点Bにより構成される。固定接点A、B、Cの中では、固定接点Aが最も上方にある。そして、この固定接点Aの下方に固定接点Bがあり、さらに下方に固定接点Cがある。可動接点OP1およびOP2は、押下部OP1およびOP2の下方に各々位置している。
【0085】
以上の構成において、非押鍵時は、鍵Kの前端部下面の押下部P1およびP2が可動接点ОP1およびOP2から離間している。この状態において、可動接点OP1は固定接点Aと接触しており、スイッチAはON、スイッチCはOFFとなっている。また、可動接点OP2は固定接点Bから離間しており、スイッチBはOFFとなっている。演奏者が、鍵Kの前端部を押下すると、鍵Kは支点Oを中心に矢印の方向に回動する。これに伴い、まず、鍵Kの前端部下面の押下部P1が可動接点OP1を押下し、固定接点Aから離す。これによりスイッチAがOFFとなる。さらに、鍵Kを押下すると、鍵Kの前端部下面の押下部P2が可動接点OP2を押下し、可動接点OP2を固定接点Bに当接させる。これにより、スイッチBがONとなる。さらに、鍵Kを押下すると、鍵Kの前端部下面の押下部P1が可動接点OP1を固定接点Cに当接させる。これによりスイッチCがONとなる。以上のようにして、
図6(a)のスイッチA〜Cの機能が実現される。
【0086】
図6(b)は、
図6(a)に示す状態検出回路20の各要素を論理シンボルに置き換えた等価論理回路図である。図中の信号A、B、Cは、それぞれスイッチA、B、CのON/OFFを示す信号である。本実施形態において、キーオンスイッチBおよびCは、押すという操作が行われることによりONとなるので、ONを示す信号BおよびCを1、OFFを示す信号BおよびCを0とする。一方、キーオフスイッチAは、押すという操作が行われることによりOFFとなるので、OFFを示す信号Aを1とし、ONを示す信号Aを0とする。
【0087】
図6(a)において、選択信号S1が1であり、かつ、スイッチAがONである場合または選択信号S1が1であり、かつ、スイッチCがONである場合に状態信号Q1が1となる。また、選択信号S1が0である場合、スイッチA、CのON/OFFと無関係に状態信号Q1は0となる。従って、スイッチ回路IC21は、信号Aの論理反転値と選択信号S1との論理積を出力する論理積回路IC21_1と、信号Cと選択信号S1との論理積を出力する論理積回路IC21_2と、論理積回路IC21_1の出力信号と論理積回路IC21_2の出力信号との論理和を状態信号Q1として出力する論理和回路IC21_3とからなる論理回路と等価である。スイッチ回路IC12および論理和回路OC1の等価回路は上記第1実施形態と同様である。
【0088】
図6(c)は、本実施形態における状態検出回路20の動作を示す真理値表である。
図6(c)の左側の真理値表では、押鍵深度を増加させていったときのスイッチA、B、CのON/OFF状態の推移が上下方向に示されている。押鍵がなされていない状態では、スイッチA、B、CのON/OFF状態はON、OFF、OFF=000となる。また、押鍵がなされ、th1<押鍵深度<th2の状態になると、スイッチA、B、CのON/OFF状態はOFF、OFF、OFF=100となる。また、th2<押鍵深度<th3の状態になると、スイッチA、B、CのON/OFF状態はOFF、ON、OFF=110となる。そして、押鍵深度>th3の状態になると、スイッチA、B、CのON/OFF状態はOFF、ON、ON=111となる。このようにスイッチA、B、CのON/OFF状態は、押鍵深度に応じて4つの状態のいずれかをとり得る。
【0089】
図6(c)の右下の真理値表では、スイッチA、B、Cの4つのON/OFF状態に各々対応付けて、選択信号S1およびS2の両方が1である場合の状態信号Q1およびQ2が各々示されている。
【0090】
この真理値表に示すように、状態信号Q1は、スイッチAがONであり、かつ、スイッチCがOFFである000の場合およびスイッチAがOFFであり、かつ、スイッチCがONである111の場合に限り1となる。また、状態信号Q2は、スイッチBがONである110および111の場合に限り1となる。従って、スイッチA、B、Cの状態が000→100→110→111と変化するのに対応し、状態信号Q1、Q2は、10→00→01→11と変化する。このように本実施形態では、スイッチA、B、Cがとり得る4種類のON/OFF状態を互いに互いに内容の異なる4組の状態信号Q1、Q2により表現することができる。
【0091】
そして、本実施形態では、
図6(c)の右上の真理値表に示すように、選択信号S1およびS2を1および0とすることにより、状態信号Q2を強制的に0とし、状態信号Q1を状態信号Qとして論理和回路OC1から出力させる。また、本実施形態では、選択信号S1およびS2を0および1とすることにより、状態信号Q1を強制的に0とし、状態信号Q2を状態信号Qとして論理和回路OC1から出力させる。
以上が本実施形態の動作である。
【0092】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、スイッチ回路IC21をキーオフスイッチAとキーオンスイッチCにより構成することにより上記第1実施形態の抵抗102を省略することができ、鍵1個分の状態検出回路20の部品点数を減らすことができる。
【0093】
図8は、本実施形態における状態判別回路22の構成を示す回路図である。
図8に示すように、上記第1実施形態の状態判別回路12ではフリップフロップ121と論理積回路124との間に論理否定回路123が介挿されていた(
図3参照)。これに対し、本実施形態における状態判別回路22では、この論理否定回路123はなく、その代わりに、フリップフロップ121と論理和回路122との間に論理否定回路223が介挿されている。状態判別回路22のこれ以外の部分の構成は、状態判別回路12と同一である。従って、状態判別回路12と共通する部分に同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0094】
以下、状態判別回路22の動作を説明する。本実施形態では、選択信号S1およびS2が0および1になった状態において、論理和回路122は、フリップフロップ121が出力する状態信号Q1を論理反転した信号と、状態検出回路10が出力する状態信号Q2との論理和を信号Aoutとして出力する。ここで、
図6(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q1の論理反転値と状態信号Q2の論理和は、スイッチAのOFF/ON=1/0と一致する。従って、信号Aoutは、スイッチAのOFF/ON=1/0を示す信号となる。
【0095】
また、状態検出回路10が出力する状態信号Q=Q2は、信号Boutとして出力される。ここで、
図6(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q2は、スイッチBのON/OFF=1/0と一致する。従って、信号Boutは、スイッチBのON/OFF=1/0を示す信号となる。
【0096】
また、論理積回路124は、フリップフロップ121が出力する状態信号Q1と、状態検出回路10が出力する状態信号Q2との論理積を信号Coutとして出力する。ここで、
図6(c)の下側左右の2つの真理値表から明らかなように、状態信号Q1と状態信号Q2との論理積は、スイッチCのON/OFF=1/0と一致する。従って、信号Coutは、スイッチCのON/OFF=1/0を示す信号となる。
【0097】
このように状態判別回路22によれば、スイッチA、B、CのON/OFFを個別に示す押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを発生することができる。
【0098】
<第3実施形態>
図9(a)は、本発明の第3実施形態である状態検出回路30の構成を示す回路図である。
図9(a)に示すように、状態検出回路30は、第1実施形態に示した状態検出回路10と同様にスイッチ回路IC11およびIC12を有する。ただし、本実施形態では、スイッチ回路IC11およびIC12は、上記第1実施形態のように選択線SL1およびSL2に個別に接続されるのではなく、共通の選択線FLに接続され、この選択線FLを介して共通の選択信号Fが与えられる。また、状態検出回路30には、
図2(a)および(b)に示した論理和回路OC1に相当する回路は設けられていない。本実施形態において、スイッチ回路IC11およびIC12が出力する状態信号Q1およびQ2は、ダイオード311および312を各々介して出力線OL1およびOL2に出力される。このダイオード311および312の各カソードが状態検出回路30の出力端子となっている。
【0099】
図9(b)は本実施形態における状態検出回路30の等価論理回路図、
図9(c)は状態検出回路30の動作を示す真理値表である。これらの図に示すように、状態検出回路30のスイッチ回路IC11およびIC12の機能および動作は上記第1実施形態と同様である。本実施形態では、状態検出回路30のスイッチ回路IC11およびIC12が出力する状態信号Q1およびQ2が上記第1実施形態の状態判別回路12に相当する回路に供給される。
【0100】
図10は、以上説明した状態検出回路30および上記第1実施形態の状態判別回路12を利用した押鍵検出回路3の詳細な構成例を示すブロック図である。押鍵検出回路3は、鍵盤楽器が有する88個の各鍵に対応した88個の状態検出回路30からなる状態検出回路群30Gと、制御回路131と、マルチプレクサ132と、デマルチプレクサ133とにより構成される。
【0101】
状態検出回路群30Gは、各々12個の状態検出回路30からなる第1〜第7のグループと、4個の状態検出回路30からなる第8のグループに区分されている。
図10では、これらのグループ毎に状態検出回路30が1行に並べて図示され、状態検出回路群30Gを構成する各状態検出回路30がマトリックス状に図示されている。
図10において1行をなす1つのグループの各状態検出回路30は、1オクターブの範囲内の各鍵のスイッチA、B、CのON/OFF検出を行うものである。
【0102】
デマルチプレクサ133は、制御回路131による制御の下、
図10に示す状態検出回路30の各行を順次選択する回路である。
図10に示すように、デマルチプレクサ133は、第1行の状態検出回路30_k(k=1〜12)と選択線FL1を介して接続され、第2行の状態検出回路30_k(k=13〜24)と選択線FL2を介して接続され、…、第8行の状態検出回路80_k(k=85〜88)と選択線FL8を介して接続されている。これらの選択線FL1〜FL8は、前掲
図9(a)の選択線FLとしての役割を果たすものであり、各状態検出回路30_kのスイッチ回路IC11およびIC12に接続されている。
【0103】
デマルチプレクサ133は、選択線FL1〜FL8を各々介して選択信号F1〜F8を状態検出回路群30Gに供給する。さらに詳述すると、デマルチプレクサ133は、選択信号F1のみを1として、第1行の状態検出回路30_k(k=1〜12)から状態信号Q1_k(k=1〜12)と状態信号Q2_k(k=1〜12)を出力させ、選択信号F2のみを1として、第2行の状態検出回路30_k(k=13〜24)から状態信号Q1_k(k=13〜24)と状態信号Q2_k(k=85〜88)を出力させ、…、選択信号F8のみを1として、第8行の状態検出回路30_k(k=85〜88)から状態信号Q1_k(k=85〜88)と状態信号Q2_k(k=85〜88)を出力させる、という動作を周期的に繰り返す。
【0104】
状態検出回路群30Gには、状態検出回路30の各列に対応させて、第1列に対応した出力線OL1およびOL2、第2列に対応した出力線OL3およびOL4、…、第12列に対応した出力線OL23およびOL24が配線されている。そして、状態検出回路群30Gにおいて、第1列の状態検出回路30における状態信号Q1の各出力端子は、出力線OL1に各々共通接続され、状態信号Q2の各出力端子は、出力線OL2に各々共通接続されている。
【0105】
さらに詳述すると、1列分の各状態検出回路30のダイオード311の各カソード(
図9(a)参照)が共通接続され、この共通接続点が出力線OL1に接続されるとともに、抵抗(図示略)を介して接地されており、各状態検出回路30の状態信号Q1の出力部がワイヤードOR回路を構成している。また、1列分の各状態検出回路30のダイオード312の各カソード(
図8(a)参照)が共通接続され、この共通接続点が出力線OL1に接続されるとともに、抵抗(図示略)を介して接地されており、各状態検出回路30の状態信号Q2の出力部がワイヤードOR回路を構成している。他の列についても同様である。
【0106】
マルチプレクサ132は、制御回路131による制御の下、出力線OL1〜OL24を順次選択し、当該出力線から出力される状態信号を制御回路131に順次出力する動作を周期的に繰り返す。
【0107】
制御回路131は、マルチプレクサ132に出力線OLj(j=1〜24)を順次選択させる。そして、制御回路131は、マルチプレクサ132に例えば出力線OL1を選択させている間に、デマルチプレクサ133に論理値が1である選択信号F1〜F8を順次出力させる。これにより制御回路131は、第1列の各状態検出回路10が出力する状態信号Q1_1、Q1_13、…、Q1_85をマルチプレクサ132から取得する。
【0108】
次に制御回路131は、マルチプレクサ132が出力線OL2を選択している間に、デマルチプレクサ133にHレベルの選択信号F1〜F8を順次出力させる。これにより制御回路131は、第1列の各状態検出回路10が出力する状態信号Q2_1、Q2_13、…、Q2_85をマルチプレクサ132から取得する。
【0109】
制御回路131に含まれる状態判別回路12は、例えば状態検出回路30_1が出力する状態信号Q1_1およびQ2_1が得られたタイミングにおいて、これらの状態信号から上述した押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを生成する。また、状態判別回路12は、例えば状態検出回路30_13が出力する状態信号Q1_13およびQ2_13が得られたタイミングにおいて、これらの状態信号から上述した押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを生成する。以上、第1列を例に説明したが、他の列についても同様である。
【0110】
状態判別回路12は、各鍵に対応した状態検出回路30から取得した状態信号に基づいて上述した押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを生成する。そして、制御回路131は、88鍵の各々について状態検出回路10が出力する状態信号から押鍵深度信号Aout、Bout、Coutを生成する処理を周期的に繰り返し、これにより押下された鍵を検出するとともに、周知の技術により、その押鍵操作のベロシティ情報を生成する。
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0111】
<第4実施形態(状態検出回路の一般化)>
本実施形態では、上記第1実施形態における状態検出回路に各種の変形を施し、その動作を検討することにより、この発明による状態検出回路を一般化する。
【0112】
図11(a)は上記第1実施形態(
図2)のスイッチ回路IC11およびIC12において、選択信号S1およびS2の両方を1とした状態における押鍵深度と状態信号Q1およびQ2との関係を示す図である。
図11(a)において、上下方向は押鍵深度である。また、上下方向に延在する2列の矩形は、状態信号Q1およびQ2を各々表しており、各矩形の途中にある水平線は
図2のスイッチA、B、CのON/OFFが切り換わる押鍵深度の閾値th1、th2、th3を示している。
【0113】
図11(a)に示す状態信号Q1を出力するスイッチ回路IC11では、押鍵深度が閾値th1を越えることにより、スイッチA、Cの状態がOFF、OFFからON、OFFに切り換わり、押鍵深度が閾値th2>th1を越えることにより、スイッチA、Cの状態がON、OFFからON、ONに切り換わる。すなわち、スイッチ回路IC11は、スイッチA、CがOFF、OFFの状態、ON、OFFの状態、ON、ONの状態の3状態を有する。この意味において、スイッチ回路IC11は、2個のスイッチを含む3状態スイッチ回路であるといえる。
【0114】
そして、この3状態スイッチ回路IC11が出力する状態信号Q1は、
図11(a)に示すように、押鍵深度が閾値th1を越えることにより第1の値0から第2の値1に反転し、押鍵深度が閾値th3を越えることにより、第2の値1から第1の値0に戻る。このように3状態スイッチ回路IC11では、スイッチA、CがOFF、OFFとなる押鍵深度の区間とスイッチA、CがON、ONとなる押鍵深度の区間とで、状態信号Q1の内容が重複し、状態信号Q1のみからスイッチA、CがOFF、OFFであるのかON、ONであるのかを判別することができない。
【0115】
一方、
図11(a)に示す状態信号Q2を出力するスイッチIC12では、押鍵深度が閾値th2(th1<th2<th3)を越えることにより、スイッチBの状態がOFFからONに切り換わる。このようにスイッチ回路IC12は、スイッチBがOFFの状態、ONの状態の2状態を有する。この意味において、スイッチ回路IC12は、1個のスイッチを含む2状態スイッチ回路であるといえる。
【0116】
そして、この2状態スイッチ回路IC12が出力する状態信号Q2は、
図11(a)に示すように、押鍵深度が閾値th2を越えることにより第1の値0から第2の値1に反転する。このように2状態スイッチ回路IC12では、スイッチBがOFFである状態とスイッチBがONである状態とで、状態信号Q2の内容が重複しないため、状態信号Q2のみからスイッチBがOFFであるのかONであるのかを判別することができる。
【0117】
そして、
図11(a)に示すように、2状態スイッチ回路IC12の閾値th2は、3状態スイッチ回路IC11の閾値th1およびth3の間にある。このため、押鍵深度が閾値th1より浅い区間と閾値th3より深い状態とで状態信号Q1が重複していたとしても、状態信号Q2の0/1により押鍵深度が前者の区間にあるのか後者の区間にあるのか区別することができる。また、2状態スイッチ回路IC12の閾値th2により、状態信号Q1が1となる区間がth1<押鍵深度<th2の区間とth2<押鍵深度<th3の区間に区分される。従って、状態信号Q1が1である区間では、押鍵深度がth1<押鍵深度<th2の区間にあるのかth2<押鍵深度<th3の区間にあるのかを状態信号Q2の0/1により区別することができる。
【0118】
従って、3状態スイッチ回路IC11および2状態スイッチ回路IC12からなる回路構成によると、スイッチA、B、CがOFF、OFF、OFFの状態(押鍵深度<th1)、スイッチA、B、CがON、OFF、OFFの状態(th1<押鍵深度<th2)、スイッチA、B、CがON、ON、OFFの状態(th2<押鍵深度<th3)、スイッチA、B、CがON、ON、ONの状態の4状態を重複しない状態信号Q1、Q2により表現することができる。
【0119】
このように状態信号Q1、Q2に重複を発生させないためには、2状態スイッチ回路の閾値が重要である。
図11(a)に示すように、3状態スイッチ回路IC11の閾値th1およびth3の間に2状態スイッチ回路IC12の閾値th2がある場合、押鍵深度<th1の区間と押鍵深度>th3の区間において内容が重複する状態信号Q1に対して状態信号Q2が加わることにより、状態信号Q1、Q2全体として、スイッチA、B、Cの全てのON/OFF状態を重複することなく表現することが可能となる。
【0120】
これに対し、
図11(b)に示すように、状態信号Q2を出力する2状態スイッチ回路が最も小さな閾値th1を有し、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路が閾値th1より大きい閾値th2およびth3を有していると、状態信号Q1、Q2全体として、スイッチA、B、Cの全てのON/OFF状態を重複することなく表現することはできない。この場合、押鍵深度が閾値th2より浅く、状態信号Q1が0となる区間を状態信号Q2が2つに区分することとなるが、そのために、th1<押鍵深度<th2の区間と押鍵深度>th3の区間の両方において状態信号Q1、Q2が0、1となるからである。図示は省略したが、2状態スイッチ回路の閾値を3状態スイッチ回路の2つの閾値よりも大きくした場合も同様な結果となる。
【0121】
次に、この発明による状態検出回路を一般化するために、3状態スイッチ回路が複数ある状態検出回路について検討する。
図12(a)は、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路と、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路と、状態信号Q3を出力する2状態スイッチ回路とを組み合わせた状態検出回路の動作例を示している。
【0122】
この例において、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路は、th1<th5である閾値th1およびth5を有する。この3状態スイッチ回路では、小さい方の閾値th1よりも押鍵深度が浅い区間と大きい方の閾値th5より押鍵深度が深い区間の2区間において状態信号Q1が第1の値0となり、状態信号Q1が重複する。
【0123】
状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路は、th1<th2<th4<th5である閾値th2およびth4を有している。この3状態スイッチ回路では、小さい方の閾値th2よりも押鍵深度が浅い区間と大きい方の閾値th4より押鍵深度が深い区間の2区間において状態信号Q2が第1の値0となり、状態信号Q2が重複する。
【0124】
ここで、押鍵深度<th2である区間(状態信号Q2が第1の値0となる区間)は、押鍵深度<th1である区間(状態信号Q1が第1の値0となる区間)を包含する。また、押鍵深度>th4である区間(状態信号Q2が第1の値0となる区間)は、押鍵深度>th5である区間(状態信号Q1が第1の値0となる区間)を包含する。従って、状態信号Q2は、第1の値0の状態信号Q1が押鍵深度<th1である区間を示すのか押鍵深度>th5である区間を示すのかを区別するのに役立たない。
【0125】
また、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路を設けた結果、押鍵深度<th1である区間と押鍵深度>th5である区間の2区間において状態信号Q1、Q2が0、0となることに加えて、th1<押鍵深度<th2である区間とth4<押鍵深度<th5である区間の2区間において状態信号Q1、Q2が1、0となる。このように、各々の2つの閾値間の区間が包含関係を持つような2つの3状態スイッチ回路を設けると(この例では、閾値th1およびth5間の区間に閾値th2およびth4間の区間が包含される)、一方の間に他方が挟まった2対の重複区間対(この例では押鍵深度<th1である区間と押鍵深度>th5である区間の対と、th1<押鍵深度<th2である区間とth4<押鍵深度<th5である区間の対)が生じる。
【0126】
しかしながら、
図12(a)に示す例において、状態信号Q3を出力する2状態スイッチ回路は、th2<th3<th4である閾値th3を有している。この2状態スイッチ回路が出力する状態信号Q3は、閾値th3を境に反転する。従って、この状態信号Q3の0/1により、押鍵深度<th1である区間と押鍵深度>th5である区間(状態信号Q1、Q2が0、0となる重複区間対)を区別し、かつ、th1<押鍵深度<th2である区間とth4<押鍵深度<th5である区間(状態信号Q1、Q2が1、0となる重複区間対)を区別することができる。
【0127】
3状態スイッチ回路が1個である場合(
図11(a)参照)と同様、3状態スイッチ回路が2個の場合も、状態信号Q1、Q2、Q3に重複を発生させないためには、2状態スイッチ回路の閾値が重要である。仮に
図12(b)に示すように、状態信号Q3を出力する2状態スイッチ回路が最も小さな閾値th1を有し、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路が閾値th1より大きい閾値th2およびth5を有し、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路がth2<th3<th4<th5である閾値th3およびth4を有していると、状態信号Q1、Q2、Q3全体として、各スイッチ回路の各スイッチの全てのON/OFF状態を重複することなく表現することはできない。この場合、押鍵深度が閾値th2より浅く、状態信号Q1が0となる区間を状態信号Q3が2つに区分することとなるが、そのために、th1<押鍵深度<th2の区間と押鍵深度>th5の区間の両方において状態信号Q1、Q2、Q3が0、0、1となるからである。
【0128】
図12(c)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路が最も小さな閾値th1と最も大きな閾値th5を有する。また、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路はth1<th3<th4<th5である閾値th3およびth4を有する。そして、状態信号Q3を出力する2状態スイッチ回路は、th1<th2<th3である閾値th2を有する。この場合も、th2<押鍵深度<th3の区間とth4<押鍵深度<th5の区間の2区間において状態信号Q1、Q2、Q3が1、0、1となり、状態信号Q1、Q2、Q3が重複する。
【0129】
図示は省略したが、2状態スイッチ回路の閾値が
図12(a)の閾値th1〜th5の区間内にある場合、閾値th5より大きい区間内にある場合も、状態信号Q1、Q2、Q3の重複が生じる。
【0130】
このように各々の2つの閾値間の各区間が包含関係を持つ2つの3状態スイッチ回路と、1つの2状態スイッチ回路とからなる構成において、押鍵深度の全範囲を各スイッチ回路の閾値により区切った全区間を重複することなく表現する状態信号Q1、Q2、Q3を発生するためには、2状態スイッチ回路の閾値は、各3状態スイッチ回路の2つの閾値間の各区間のうち最も内側の区間の間になければならない。
【0131】
以上、3状態スイッチ回路が1個である場合と2個である場合について説明したが、3状態スイッチ回路が3個以上の場合についても同様である。
【0132】
図13(a)は3個の3状態スイッチ回路と1個の2状態スイッチ回路から得られる状態信号Q1、Q2、Q3、Q4を例示している。この例において、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路は、最も小さな閾値th1と最も大きな閾値th7を有する。状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路は、th1<th2<th6<th7である閾値th2およびth6を有する。状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路は、th2<th3<th5<th6である閾値th3およびth5を有する。そして、状態信号Q4を出力する2状態スイッチ回路は、th3<th4<th5である閾値th4を有する。このように各スイッチ回路の閾値を設定することにより、
図13(a)に示すように、押鍵深度の全範囲を7個の閾値th1〜th7により区切った8個の区間を状態信号Q1、Q2、Q3、Q4により重複することなく表現することができる。3状態スイッチ回路が4個以上である場合も同様である。
【0133】
以上のように複数の3状態スイッチ回路の各々の2個の閾値間の各区間が包含関係を持つ場合には、それらの各区間の最も内側の区間内の閾値を有する2状態スイッチ回路を追加することにより状態信号の重複を回避することができる。しかし、このような2状態スイッチ回路の追加が状態信号の重複回避に効を奏するのは、複数の3状態スイッチ回路の2個の閾値間の各区間に包含関係がある場合に限ったことではない。
【0134】
図13(b)に示す例では、
図13(a)の閾値th5と閾値th6との関係が入れ替わっている。そして、
図13(b)に示す例において、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth7間の区間と、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth5間の区間との間には包含関係がある。しかし、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth5間の区間と、状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路の閾値th3およびth6間の区間との間には包含関係がない。しかしながら、
図13(b)に示す例において、状態信号Q4を出力する2状態スイッチ回路の閾値th4は、閾値th3およびth5間の区間内にある。この結果、状態信号Q1、Q2、Q3、Q4は、
図13(b)に示すように、押鍵深度の全範囲を7個の閾値th1〜th7により区切った8個の区間を重複することなく表現する。
【0135】
複数の3状態スイッチ回路と1つの2状態スイッチ回路とがある場合、各スイッチ回路の各閾値を小さい順に序列化した場合において、複数の3状態スイッチ回路の各々の小さい方の各閾値のうち最も大きい閾値の次の順位を2状態スイッチ回路の閾値が有していればよい。ここで、複数の3状態スイッチ回路は、押鍵深度の範囲の下限側と上限側に状態信号の重複区間対を発生する。しかし、2状態スイッチ回路の閾値を上記のように設定した場合、2状態スイッチ回路の閾値は複数の3状態スイッチの各重複区間の間に位置する。このため、複数の3状態スイッチ回路の各々において状態信号の重複した2区間を2状態スイッチ回路が出力する状態信号の0/1により区別することができる。
【0136】
本実施形態は、以上の検討に基づき、次の条件を満たす状態検出回路を提供する。
a.1または複数の3状態スイッチ回路を有する。
b.各スイッチ回路の各閾値を小さい順に序列化した場合において、複数の3状態スイッチ回路の各々の小さい方の各閾値のうち最も大きい閾値の次の順位を有する閾値を持った2状態スイッチ回路を有する。
【0137】
本実施形態によれば、押鍵深度の全範囲を各スイッチ回路の閾値により区切った全区間を重複することなく表現する状態信号を発生することができる。
【0138】
なお、以上検討した例では、2状態スイッチ回路の個数は1個であったが、2状態スイッチ回路の個数は2個以上であってもよい。2状態スイッチ回路が出力する状態信号は1つの閾値を境に反転するだけであるので、異なる2区間において重複するということがない。従って、他のスイッチ回路が出力する状態信号が2つの区間において重複しない場合、他のスイッチ回路に対して2状態スイッチ回路が加わった回路全体が出力する状態信号に2区間での重複が発生することはない。
【0139】
<第5実施形態(状態検出回路のさらなる一般化)>
本実施形態では、上記第4実施形態の成果にさらなる検討を加え、この発明による状態検出回路のさらなる一般化を行う。
【0140】
上記第4実施形態では、3状態スイッチ回路が状態信号の重複した重複区間対を発生することと、2状態スイッチ回路がこの重複区間対の2区間を区別するのに役立つことを説明した。ここでは、複数の3状態スイッチ回路がある場合にどのような重複区間が発生するかについて検討する。
【0141】
2個の3状態スイッチ回路がある場合、2個の3状態スイッチ回路の2個の閾値間の各区間の関係は、
図14(a)〜(c)の3通りのいずれかの関係となる。
【0142】
図14(a)に示す例では、
図12(a)および
図13(a)でも示したように、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth4間の区間が状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth3間の区間を包含している。この場合、押鍵深度<th1の区間X1aと押鍵深度>th4の区間X1bが重複区間対となり、th1<押鍵深度<th2の区間X2aとth3<押鍵深度<th4の区間X2bが重複区間対となる。
【0143】
図14(b)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth3間の区間が状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth4間の区間の一部同士が重複している。さらに詳述すると、一方の3状態スイッチ回路の閾値th2およびth3間に他方の3状態スイッチ回路の小さい方の閾値th2が挟まれ、他方の3状態スイッチ回路の閾値th2およびth3の間に一方の3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th3が挟まれる関係が成立している。この場合、押鍵深度<th1である区間Xaと押鍵深度>th4である区間とからなる重複区間対しか生じない。
【0144】
図14(c)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth2間の区間と、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th3およびth4間の区間とが重複部分を持たず、互いに離れている。この場合、押鍵深度<th1である区間Xaと、押鍵深度>th4である区間Xbと、th2<押鍵深度<th3である区間Xcとにおいて、状態信号Q1、Q2の重複が生じる。
【0145】
次に
図14(a)〜(c)に示す各例において発生する重複区間の解消方法を検討する。
図14(a)に示す例において生じる重複区間を解消する方法は既に第4実施形態において述べた通りである。すなわち、
図15(a)に示すように、2状態スイッチ回路の閾値th3を各3状態スイッチ回路の2つの閾値間の各区間のうち最も内側の区間(
図14(a)では閾値th2およびth4間の区間)の間に設ければよい。
【0146】
図14(b)に示す例では、区間XaおよびXbからなる重複区間対しかない。従って、この区間XaおよびXbの内側に2状態スイッチ回路の閾値を設ければ、その2状態スイッチ回路の状態信号の0/1により区間XaおよびXbを区別することができる。
【0147】
図15(b)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の小さい方の閾値th1と状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の小さい方の閾値th3との間の閾値th2を持った2状態スイッチ回路を設けている。また、
図15(d)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th3と状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th5との間の閾値th4を持った2状態スイッチ回路を設けている。
【0148】
3個以上の3状態スイッチ回路からなる構成においても同様のことが成立する。
図16(a)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth3の間に状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th2が挟まれている。また、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth5の間に状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th4が挟まれている。そして、この例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値th3は、状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路の小さい方の閾値th4より小さい。この場合、押鍵深度<th1の区間と押鍵深度>th6の区間からなる重複区間対しか生じない。
【0149】
また、
図16(b)の例でも同様である。
図16(a)と
図16(b)との違いは、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の大きい方の閾値と状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路の小さい方の閾値との大小関係が逆になっている点のみである。
図16(b)に示す例でも、押鍵深度<th1の区間と押鍵深度>th6の区間からなる重複区間対しか生じない。図示は省略したが、4個以上の3状態スイッチ回路からなる構成においても同様である。
【0150】
このように複数の3状態スイッチ回路を有し、かつ、各3状態スイッチ回路が各々の大きい方の閾値と小さい方の閾値との間に他の3状態スイッチ回路の一方の閾値のみが含まれる場合、複数の3状態スイッチ回路が有する各閾値のうち最小の閾値よりも小さい押鍵深度の区間と最大の閾値より大きい押鍵深度の区間とからなる重複区間対のみが生じる。従って、複数の3状態スイッチ回路が有する各閾値のうち最小の閾値と最大の閾値との間の閾値を有する2状態スイッチ回路を設ければ、押鍵深度の全範囲を各スイッチ回路の閾値により区切った全区間を重複することなく表現することができる状態信号を発生することができる。
【0151】
図14(c)に示す例では、区間Xa、Xb、Xcにおいて状態信号が重複する。そこで、状態検出回路全体として状態信号の重複をなくすためには、区間XaおよびXcを区別する手段と、区間XcおよびXbを区別する手段を設ける必要がある。
【0152】
図15(c)に示す例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth3の間の閾値th2を有し、状態信号Q3を出力する2状態スイッチ回路と、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th4およびth6の間の閾値th5を有し、状態信号Q4を出力する2状態スイッチ回路とが設けられている。
図14(c)の区間XaおよびXcは状態信号Q3の0/1により区別することができ、区間XcおよびXbは状態信号Q4の0/1により区別することができる。
【0153】
図15(e)は、
図14(c)の区間Xa、Xb、Xcの状態信号の重複をなくす他の例を示すものである。この例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth3の間の閾値th2と、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th5およびth7の間の閾値th6とを有し、状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路が設けられている。この場合、状態信号Q1、Q2、Q3を出力する3個の3状態スイッチ回路は、
図16(a)に示す回路となる(厳密には
図16(a)の状態信号Q2およびQ3の位置関係を逆にしたものが
図15(e)となる)。そして、
図15(e)に示す例では、最も小さい閾値th1と最も大きい閾値th7の間の閾値th4を有し、状態信号Q4を出力する2状態スイッチ回路が設けられている。この
図15(e)に示す構成でも、
図14(c)の区間Xa、Xb、Xcの状態信号の重複をなくすことができる。
【0154】
以上総括すると、3状態スイッチ回路が作り出す状態信号の重複区間を解消するための策として次の点が挙げられる。
【0155】
a.3状態スイッチ回路は、2つの閾値のうち小さい方の閾値より押鍵深度が浅い区間と、大きい方の閾値より押鍵深度が深い区間において、状態信号の重複区間が発生する。この状態信号の重複区間を解消するためには、3状態スイッチ回路の2つの閾値の間の閾値を持った2状態スイッチ回路を設ければよい。
【0156】
b.複数の3状態スイッチ回路の各々の2個の閾値間の各区間が包含関係を持つ場合、それらの各区間の最も内側の区間を挟んだ複数の重複区間対が発生する。これらの重複区間対を解消するためには、その最も内側の区間内の閾値を持った2状態スイッチ回路を設ければよい。
【0157】
c.複数の3状態スイッチ回路を有し、かつ、各3状態スイッチ回路が各々の大きい方の閾値と小さい方の閾値との間に他の3状態スイッチ回路の一方の閾値のみが含まれる場合、複数の3状態スイッチ回路が有する各閾値のうち最小の閾値よりも小さい押鍵深度の区間と最大の閾値より大きい押鍵深度の区間とからなる重複区間対のみが生じる。従って、この重複区間対を解消するために、複数の3状態スイッチ回路が有する各閾値のうち最小の閾値と最大の閾値との間の閾値を有する2状態スイッチ回路を設ければよい。
【0158】
d.複数の3状態スイッチ回路を有し、かつ、各3状態スイッチ回路の2つの閾値間の区間が他の3状態スイッチ回路の2つの閾値間の区間と重複しない場合、各3状態スイッチ回路の各閾値のうち最も小さい閾値より浅い押鍵深度の区間、各3状態スイッチの2つの閾値間の各区間の間の区間、各3状態スイッチ回路の各閾値のうち最も大きい閾値より深い押鍵深度の区間が状態信号の重複区間となる。従って、これらの重複区間をなくすために、これらの各重複区間の間の閾値を各々持った2状態スイッチ回路を設ければよい。
【0159】
図17は以上の重複区間の解消策の全てを実施した状態検出回路の動作を示す真理値表である。この例では、状態信号Q1を出力する3状態スイッチ回路の閾値th1およびth6間の区間に、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth5間の区間が包含されている。また、状態信号Q2を出力する3状態スイッチ回路の閾値th2およびth5間の区間に、状態信号Q3を出力する3状態スイッチ回路の閾値th3およびth4間の区間が包含されている。
【0160】
また、この例では、th6<th7<th8<th9<th10<th11<th12<th13の関係を有する各閾値のうち、閾値th7およびth10を有し、状態信号Q4を出力する3状態スイッチ回路と、閾値th8およびth11を有し、状態信号Q5を出力する3状態スイッチ回路と、閾値th9およびth12を有し、状態信号Q6を出力する3状態スイッチ回路とが設けられている。
【0161】
また、この例では、th12<th13<th14<th15の関係を満たす閾値th13およびth14を有し、状態信号Q7を出力する3状態スイッチ回路と、th14<th15<th16<th17の関係を満たす閾値th15およびth16を有し、状態信号Q8を出力する3状態スイッチ回路と、th16<th17<th18の関係を満たす閾値th17およびth18を有し、状態信号Q9を出力する3状態スイッチ回路とが設けられている。
【0162】
このように3状態スイッチ回路を設けた結果、押鍵深度<th1の区間X1、th6<押鍵深度<th7の区間X2、th12<押鍵深度<th13の区間X3、th14<押鍵深度<th15の区間X4、th16<押鍵深度<th17の区間X5、押鍵深度>th18の区間X6が状態信号の重複区間となっている。また、th1<押鍵深度<th2の区間とth5<押鍵深度<th6の区間の対、th2<押鍵深度<th3の区間とth4<押鍵深度<th5の区間の対が重複区間対となっている。
【0163】
そこで、
図17に示す状態検出回路では、閾値th2およびth3間の閾値thaを有し、状態信号Qaを出力する2状態スイッチ回路が設けられている。この状態信号Qaの0/1により、重複区間X1およびX2を区別し、th1<押鍵深度<th2の区間とth5<押鍵深度<th6の区間を区別し、さらにth2<押鍵深度<th3の区間とth4<押鍵深度<th5の区間を区別することができる。
【0164】
また、
図17に示す状態検出回路では、閾値th7およびth8間の閾値thbを有し、状態信号Qbを出力する2状態スイッチ回路が設けられている。この状態信号Qbの0/1により、重複区間X2およびX3の区別が可能になる。なお、閾値thbは、th7<thb<th12を満たすものであれば他の閾値でもよい。
【0165】
また、
図17に示す状態検出回路では、閾値th13およびth14間の閾値thcを有し、状態信号Qcを出力する2状態スイッチ回路と、閾値th15およびth16間の閾値thdを有し、状態信号Qdを出力する2状態スイッチ回路と、閾値th17およびth18間の閾値theを有し、状態信号Qeを出力する2状態スイッチ回路とが設けられている。従って、状態信号Qcの0/1により重複区間X3およびX4を区別し、状態信号Qdの0/1により重複区間X4およびX5を区別し、状態信号Qeの0/1により重複区間X5およびX6を区別することが可能である。
【0166】
部品点数や配線本数を削減するためには、可能な限り2状態スイッチ回路を減らすことが望まれる。従って、部品点数や配線本数を削減するためには、全ての3状態スイッチ回路の閾値間の各区間が包含関係を持った構成あるいは各3状態スイッチ回路の閾値間の区間が他の3状態スイッチ回路の閾値間の区間と重複した構成が好ましい態様ということになる。
【0168】
以上、この発明の各種実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0169】
(1)上記各実施形態において、状態検出回路は正論理で構成しているが、負論理で構成してもよい。すなわち、選択信号または固定信号がローレベルのときに、スイッチ回路から状態信号が論理和回路に出力されるような構成にしてもよい。
【0170】
(2)上記各実施形態では、この発明を鍵盤の押鍵検出回路に用いられる状態検出回路に適用したが、この発明の適用対象はこれに限定されるものではない。この発明は、鍵盤楽器の押鍵深度だけでなく、他の物理量の変化に反応してON/OFFが切り換わるあらゆるスイッチの状態を検出する状態検出回路に適用可能である。例えば、吹奏圧に応じて音量等の制御を行う電子管楽器等において、吹奏圧に応じてON/OFFが切り換わる複数のスイッチのON/OFF状態を検出し、吹奏圧を算出する回路等にこの発明による状態検出回路を適用してもよい。
【0171】
(3)上記各実施形態では、押鍵深度の全範囲をスイッチの閾値により区切った全区間を重複なく表現する状態信号を出力する状態検出回路を提供した。しかし、押鍵深度の全範囲をスイッチの閾値により区切った全区間のうち一部の区間において状態信号の重複が生じたとしても、用途によっては、そのような状態信号の一部重複が後段の回路に悪影響を与えない場合もあり得る。例えば、
図16(a)に示す例では押鍵深度<th1の区間と、押鍵深度>th6の区間に状態信号の重複が発生しているが、これらの区間の検出が重要でない場合等である。また、状態信号が重複したとしても、直前に検出した区間から現在の区間を推測することが可能な場合もある。従って、そのような場合には、状態信号が一部重複する構成を採用してもよい。