(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
(1−1)自動倉庫全体概要
図1は、本発明に係る実施形態の自動倉庫100の概略構成を示す平面図である。
【0015】
自動倉庫100は、3つの自動倉庫部1を有している。3つの自動倉庫部1のそれぞれは、主に、前ラック2aおよび後ラック2bを有するラック2と、前ラック2aと後ラック2bの間を走行するスタッカクレーン3を有している。なお、3台のスタッカクレーン3は同様の構成であるが、
図1では、区別をするために3(1)、3(2)、3(3)と符号を付している。
また、3つの自動倉庫部1は、前ラック2aおよび後ラック2bが、平行になるように並んで配置されている。なお、本実施形態において、
図1の上下方向が自動倉庫100の前後X方向とし、X1を前方向とし、X2が後方向を示す。また、
図1の左右方向が自動倉庫100の左右Y方向とし、右方向をY1、左方向をY2で示す。
【0016】
(1−2)ラック
図2は、自動倉庫部1の構成を示す平面図である。
図3は、
図2のII-II間の矢示断面図である。
図4は、
図2のIII-III間の矢示断面図である。
ラック2を構成する前ラック2aおよび後ラック2bは、左右Y方向に延びるスタッカクレーン3の走行通路5を挟むよう前後に配置されている。前ラック2aおよび後ラック2bは、走行通路5側に所定間隔で左右に並ぶ多数の第1支柱7と、走行通路5と反対側に所定間隔を空けて並ぶ第2支柱8と、隣り合う第1支柱7及び第2支柱8の間に設けられた多数の収納部11とを有している。収納部11には、それぞれ一対の荷物支承部材13が設けられている。収納部11には、
図2から明らかなように、スタッカクレーン3が中心基準で荷物Bを載置される。なお、各荷物Bは、
図3に示すように、パレットP上に載置され、パレットPと共に移動させられる。また、左右一対の荷物支承部材13の間は、後述するスライドフォーク29の上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙15となっている。
【0017】
前ラック2aの左側方には、荷物Bを入庫するための入庫ステーション17が配置されている。後ラック2bの左側方には出庫ステーション19が配置されている。入庫ステーション17および出庫ステーション19においては、1個の荷物Bを入出庫可能である。
前ラック2aの右端のいくつかの収納部11には、
図2に示すように、錘WがパレットP上に載置された状態で配置されている。
【0018】
(1−3)スタッカクレーン
図3および
図4に示すように、走行通路5に沿って、上ガイドレール21aおよび下ガイドレール21bが設けられており、上ガイドレール21aおよび下ガイドレール21bにスタッカクレーン3が左右Y方向に移動可能に案内されている。スタッカクレーン3は、多数の収納部11と入庫ステーション17と出庫ステーション19との間で荷物Bを搬送する。
スタッカクレーン3は、走行台車23と、走行台車23に設けられた左マスト25a及び右マスト25bに昇降自在に装着された昇降台27と、昇降台27に進退機構(図示せず)によって前後X方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク29とを有している。走行台車23は、下ガイドレール21b上を走行可能である。左マスト25a及び右マスト25bは上部で連結されており、連結部分が上ガイドレール21aに案内される。
【0019】
昇降台27は、走行台車23の上方に対向して配置される載置部31と、載置部31の左右端から上方に延びる左右両側の壁部33を有している。
図5は、昇降台27近傍を示す拡大図である。載置部31の下面には、
図5に示すように、各収納部11における昇降台4の上下方向の停止位置を検出するための停止位置検出部66の検出子としての反射板35が設けられている。停止位置検出部66は、例えばレーザ発光する距離センサを用いている。停止位置検出部66は、走行台車23に上向きに設けられ、反射板35に向けてレーザ光を出射し、反射したレーザ光により昇降台27の高さを計測可能である。
【0020】
壁部33には、左マスト25a及び右マスト25bに案内される昇降ガイドローラ37が回転自在に装着されている。昇降ガイドローラ37は、左マスト25a及び右マスト25bの前後面を挟みかつ上下に間隔を隔てて配置されている。
スライドフォーク29は、前後X方向に伸縮して前ラック2aまたは後ラック2bと昇降台27の間で、荷物Bまたは錘Wの受け渡しを行う。
【0021】
(1−4)自動倉庫の制御構成
図6は、本実施形態の自動倉庫100の制御構成を示す図である。
3台のスタッカクレーン3は同様の構成であるが、区別をするために3(1)、3(2)、3(3)と符号を付している。
【0022】
スタッカクレーン3のクレーン制御部51は、各スタッカクレーン3に搭載され、自動倉庫100全体を制御するコントローラ52と通信可能である。コントローラ52およびクレーン制御部51は、CPUやメモリ等のコンピュータ・ハードウェアで実現されているが、
図6においてはコンピュータ・ハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能構成で表現している。
クレーン制御部51は、走行制御部53と、昇降制御部55と、移載制御部57と、記憶部73とを有している。走行制御部53は、走行台車23の走行・停止を制御するための制御部であり、走行用モータ59およびロータリエンコーダ61に接続されている。昇降制御部55は、昇降台27を左マスト25a及び右マスト25bに沿って上下動させるための制御部であり、昇降用モータ63、ロータリエンコーダ65および停止位置検出部66と、に接続されている。移載制御部57は、スライドフォーク29を前後方向に移動させるための制御部であり、移載用モータ67およびロータリエンコーダ69に接続されている。記憶部73には、コントローラ52から送信された荷物の搬送先又は搬送元の収納部のデータ等が記憶される。
【0023】
電源回生コンバータ104は、分電盤101から交流電力を受信し、受信した交流電力を直流電力に変換して、トロリー線などの電力線を介して複数のスタッカクレーン3のそれぞれに直流電力を供給する。
複数(本実施形態では3台)のスタッカクレーン3は、錘Wまたは荷物Bを上方から下方に下ろすときに昇降用モータ63において回生電力を発生する。この錘Wまたは荷物Bを下方に移動する動作を、以下、回生電力発生動作とよぶ。発生した回生電力は、他のスタッカクレーン3の走行および移載作業に利用される。
【0024】
また、自動倉庫100全体の制御を行うコントローラ52は、タイマー102と、記憶部103と、を有している。タイマー102は、時間を管理するために設けられている。記憶部103は、入力された入出庫の予定、在庫情報を記憶する。
コントローラ52は、入出庫の予定に従って3つのスタッカクレーン3を制御し、入出庫作業を行わせる。
【0025】
(1−5)ラック上の錘の配置
図7は、前ラック2aを模式的に示した正面図である。詳しくは後述するが、
図1および
図7での錘Wの配置状態は、夜間に錘Wが上方の収納部11に移動された後の状態を示す。
錘Wは、スタッカクレーン3の移載可能な最大の重さに設定されている。これは、錘Wを載せた状態でスタッカクレーン3を下降させることによって最大の回生電力を発生させるためである。
【0026】
図1および
図7に示すように、前ラック2aの入庫ステーション17から遠い側の端2aeから5列目までの最上段および上から2段目の収納部11には、錘Wが配置されている。また、前ラック2aの端2aeから5列目までであって、最下段および下から2段目の収納部11は、空いている状態となっている。
また、後ラック2bも同様の錘Wの配置となっており、入庫ステーション17から遠い側の端2beから5列目までの最上段および上から2段目の収納部11には、錘Wが配置されている。また、後ラック2bの端2beから5列目までであって、最下段および下から2段目の収納部11は、空いている状態となっている。
【0027】
(1−6)自動倉庫の動作
次に、自動倉庫100の動作について説明する。はじめに、夜間に実施されるエネルギー保存モードについて説明する。
(1−6−1)エネルギー保存モード
図8は、昼間の入出庫作業が終了した後の前ラック2aの状態を示す模式正面図である。
図9は、自動倉庫のエネルギー保存モード時の動作を示すフロー図である。
【0028】
図8に示す前ラック2aの状態では、端2aeから5列までであって、下から2段目までの収納部11に錘Wが配置されている。
自動倉庫100全体の制御を行うコントローラ52は、タイマー102によって管理されている時間に基づいて、夜間の電気料金の安い時間帯になったことを検知する(ステップS101)。
【0029】
コントローラ52は、夜間になったことを検知すると、全てのスタッカクレーン3に、エネルギー保存動作を行う指令を発信し、全てのスタッカクレーン3は、エネルギー保存動作を行う(ステップS102)。
コントローラ52から全てのスタッカクレーン3に指令が発信されると、全てのスタッカクレーン3は、最下段および下から2段目の収納部11に配置されている錘Wを、最上段および上から2段目の収納部11に移しかえる(
図8の矢印C参照)。この下方から上方の収納部11への錘Wの移しかえの動作の際には、スタッカクレーン3は消費電力を抑えるように遅い速度で移動する。特に錘Wを載置部31に載置した状態で上昇する際の速度を遅くすることにより、消費電力を抑える効果を発揮できる。ただし、上記の場合にタッカクレーン3が遅い速度で移動することは必須ではない。
【0030】
このように、下方の収納部11に配置されている錘Wが全て上方に移し変えられて、動作が完了(ステップS103)すると、エネルギー保存モードは終了する。エネルギー保存モードが終了すると、
図7にしめすような錘Wの配置状態となる。
なお、
図8では、最下段および下から2段目であって端2aeから5列目までの10個の収納部11の全てに錘Wが配置されているが、後述するピーク電力低減モードの際の動作によっては、10個の収納部11の全てに錘Wが配置されていない場合もある。
【0031】
このような場合であっても、錘Wの移動は各スタッカクレーン3の記憶部73またはコントローラ52の記憶部103に記憶されているため、ピーク電力低減モードの際に下方に移動した錘Wの全てが、エネルギー保存モードの際に上方に移動されることになる。
このようなエネルギー保存モードによって、全ての前ラック2aおよび後ラック2bの上方の収納部11(最上段および上から2段目であって、端2aeから5列目までの収納部11)に錘Wが載置される(
図1および
図7参照)。
【0032】
(1−6−2)ピーク電力低減モード
次に、ピーク電力低減モード(消費電力低減モードの一例)について説明する。
図10は、ピーク電力低減モードを実行する際の自動倉庫100の動作を示すフロー図である。
ここで、使用電力がピークとなるピーク時間帯は、経験則によって求められており、その時間帯が記憶部103に記憶されている。
【0033】
コントローラ52は、タイマー102に基づいてピーク時間帯になったことを検知する(ステップS201)と、ピーク電力低減モードの動作を行わせる1つのスタッカクレーン3を選択する(ステップS202)。このスタッカクレーン3の選択は、コントローラ52が記憶部103に記憶されている入出庫指令などに基づいて行われる。たとえば、スタッカクレーン3(1)、3(2)、3(3)の順に、それぞれ担当する前ラック2aまたは後ラック2bの入出庫予定が入っていた場合には、入出庫予定の最も遅いスタッカクレーン3(3)が選択される。
次に、選択したスタッカクレーン3に対して、コントローラ52は、回生電力発生動作の指示を行う(ステップS203)。一方、他のスタッカクレーン3に対しては通常の入出庫指令が行われる(ステップS204)。
【0034】
ここで、ステップS202で選択されたスタッカクレーン3は、前ラック2aまたは後ラック2bの上方の錘Wを載置部31上に移載し、下降動作を行う。この下降の際に昇降用モータ63において回生電力が発生する(
図7に示す矢印D参照)。
そして、発生した回生電力は、他の2台のスタッカクレーン3に供給され、他の2台のスタッカクレーン3が外部電源から供給されて消費する電力を低減できる。
【0035】
入出庫動作が完了(ステップS205)すると、ピーク時間帯を過ぎているか否かが判定される(ステップS206)。ステップS206において、ピーク時間帯を過ぎていない場合、ステップS202からステップS206の動作が行われる。すなわち、ピーク時間帯の間はステップS202〜ステップS206の動作が繰り返され、いずれかのスタッカクレーン3で発生させた回生電力を、他のスタッカクレーン3に供給することによって使用電力が低減する。
そして、コントローラ52は、タイマー102に基づいてピーク時間帯の終了を検出すると、ピーク電力低減モードを終了する。
【0036】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の自動倉庫100´について説明する。本実施形態2の自動倉庫は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、回生電力発生動作の際に錘Wを用いず、荷物Bを用いる点が異なっている。そのため、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明する
【0037】
(2−1)自動倉庫の構成
図11は、本実施の形態2の自動倉庫100´の制御ブロック図である。
図11に示すように、本実施の形態2の自動倉庫100´は、実施の形態1の自動倉庫100と異なり、コントローラ52に、重量把握部105が設けられている。この重量把握部105は、記憶部103に在庫管理として記録されている荷物の種類および数から、パレットPに載置している荷物の重量を把握する。すなわち、荷物の種類によって重量が分かるため、重量×数で各収納部11に収納されているパレットP上の荷物Bの重量を把握できる。
【0038】
(2−2)自動倉庫の動作
次に、本実施の形態2の自動倉庫100´の動作について説明する。
(2−2−1)エネルギー保存モード
図12は、本実施の形態2の自動倉庫100´の動作を示すフロー図である。
本実施の形態2のエネルギー保存モードでは、コントローラ52は、重量把握部105によって把握されている各荷物の重量および出庫予定日時に基づいて、所定の重量以上の荷物Bを上方に移動する。
【0039】
本実施の形態では、荷物Bに対してエネルギー保存モードを実行し、回生電力発生動作を実行することになるが、例えば所定の荷物Bに対して回生電力発生動作を実行した場合に、その荷物Bの重量によっては、回生電力発生動作時にその搬送物を移動させた消費電力よりも大きい回生電力を発生できない場合がある。したがって、所定の重量とは、その荷物Bを回生電力発生動作の際に動かすことに使用した電力を上回り他のスタッカクレーン3に供給可能な回生電力を発生できる重量に設定されている。
コントローラ52は、タイマー102に基づいて、電気料金の安い夜間の時間帯になったことを検出(ステップS301)すると、荷物Bについて、所定の重量以上か否かの判定を行い、所定の重量以上の荷物Bを選別する(ステップS302)。
【0040】
次に、コントローラ52は、ステップS302で選択された荷物Bの中で、次の日中に出庫予定のある荷物Bを選択する(ステップS303)。
コントローラ52は、上記ステップS302、S303によって選択された荷物Bを分類して記憶部103に記憶する(ステップS304)。
【0041】
ここで分類について説明すると、所定の重量以上の荷物であって、次の日中に出庫予定のある荷物Bが第1群として分類される。次の日中に出庫予定がないが、所定の重量以上の荷物Bが第2郡として分類される。なお、ステップS304における記憶の際に、コントローラ52は、第1群に属する荷物Bについて次の日中のピーク時間帯に出庫を行うように出庫予約し、出庫予約は記憶部103に記憶される。
次に、コントローラ52は、全てのスタッカクレーン3に対してエネルギー保存モードの動作を行うように指令を送信し、各スタッカクレーン3がエネルギー保存モード時の動作を行う(ステップS305)。すなわち、コントローラ52は、第1群、第2群に分類されている荷物Bを上方に移動させるようにスタッカクレーン3を制御する。ここで、第1群の荷物Bを第2群の荷物よりも優先的に上方に移動させる。
【0042】
なお、上方の収納部11とは、たとえば、最上段および上から2段目の収納部11のことであるが、第1群に分類されている荷物は、実施の形態1の錘Wの載置場所のように入庫ステーション17および出庫ステーション19から遠い側である必要はない。第1群に分類されている荷物Bは次の日中に出庫が行われる予定であるので、入庫ステーション17および出庫ステーション19近傍の上方の収納部11に移動されるほうが、出庫の際の横移動で消費される電力が少なくなり、好ましい。
また、第2群に分類されている荷物Bは、次の日中に出庫されないため、入庫ステーション17および出庫ステーション19の近傍でないほうが好ましい。また、第1群に属する荷物Bであって、入庫の際に上方の収納部11に収納されている荷物Bについては、移動させる必要がないため、そのままの状態とする。
【0043】
図13は、エネルギー保存モードを行った後の前ラック2aにおける荷物Bの配置を示す図である。
図13では、第1分類の属する荷物をB1と示し、第2分類に属する荷物B2として示す。B1は、入庫ステーション17の近傍であって、前ラック2aの上方の収納部11に配置されている。また、B2は、前ラック2aの入庫ステーション17から遠い方の端2ae側近傍であって、上方の収納部11に配置されている。また、荷物B2が配置されている収納部11の下方の収納部(
図13では、最下段および下から2段目の収納部11)は空となっている。
そして、第1群および第2群に分類される全ての荷物Bが上方の収納部に配置されるか、第1群および第2群の荷物Bを配置する予定の位置(エネルギー保存モードおよび回生電力発生動作に利用する位置ともいえる)の収納部11が全て埋まると動作が終了する(ステップS306)
【0044】
(2−2−2)回生電力発生動作
次に、回生電力発生動作について説明する。
図14は、回生電力発生動作を実行する際の自動倉庫100の動作を示すフロー図である。
ここで、使用電力がピークとなるピーク時間帯は、経験則によって求められており、その時間帯が記憶部103に記憶されている。
【0045】
コントローラ52は、タイマー102に基づいてピーク時間帯になったことを検知する(ステップS401)と、回生電力発生動作を行わせる1つのスタッカクレーン3を選択する(ステップS402)。
このスタッカクレーン3の選択は、例えば上方の収納部11に配置され第1分類に属している荷物B1を移載可能なスタッカクレーン3が優先して選択される。例えば、スタッカクレーン3(1)の移載可能なラック2a、2bに第1群および第2群の荷物B1、B2が存在し、スタッカクレーン3(2)の移載可能なラック2a、2bには第2群の荷物B2しか存在せず、スタッカクレーン3(2)の移載可能なラック2a、2bには第2群の荷物B2しか存在しない場合には、スタッカクレーン3(1)が選択される。
また、上方の収納部11に配置され第1分類に属している荷物B1がない場合には、上方の収納部11に配置され第2分類に属している荷物B2を移載可能なスタッカクレーン3が選択される。
【0046】
次に、コントローラ52は、選択したスタッカクレーン3の移載可能な収納部11に荷物B1が存在している場合(ステップS403)には、コントローラ52は、その荷物B1の出庫動作を行うように制御する(ステップS404)。この出庫動作では、上方の収納部11に収納されている荷物B1を下降させた後に出庫ステーション19へと移載されるが、下降の際に、回生電力が発生する(矢印E参照)。
また、荷物B1が存在しない場合は、コントローラ52は、選択したスタッカクレーン3に対して荷物B2を下方の収納部11に移動する動作を行わせる(ステップS405)。この荷物B2の移動動作における下降の際に、回生電力が発生する(矢印F参照)。
【0047】
一方、コントローラ52は、選択していないスタッカクレーン3に対しては、通常の入出庫動作を行うように制御する(ステップS406)。この選択されていないスタッカクレーン3が入出庫動作を行う際に使用する電力の一部として、選択されたスタッカクレーン3で発生した回生電力が使用される。なお、選択されたスタッカクレーン3で回生電力発生動作を行っている際には、選択されていないスタッカクレーン3では、第1群に属しない出庫予定の荷物を出庫するほうが好ましい。このほうが、ピーク時間帯に回生電力を発生できる荷物を有効に利用できる。
入出庫動作が完了(ステップS407)すると、ピーク時間帯を過ぎているか否かが判定される(ステップS408)。ステップS408において、ピーク時間帯を過ぎていない場合、ステップS402からステップS407の動作が行われる。すなわち、ピーク時間帯の間はステップS402〜ステップS407の動作が繰り返され、いずれかのスタッカクレーン3で発生させた回生電力を、他のスタッカクレーン3に供給することによって使用電力を低減させる。
そして、コントローラ52は、タイマー102に基づいてピーク時間帯が過ぎたことを検出する(ステップS408)と回生電力発生動作を終了する。
【0048】
(3)実施形態の共通事項
上記第1および第2実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
自動倉庫(例えば、100、100´)は、棚(例えば、ラック2)と、搬送装置(例えば、スタッカクレーン3)と、コントローラ(例えば、コントローラ52)と、を備える。棚は、搬送物を収納する複数の収納部(例えば、収納部11)を有する。搬送装置は、棚の収納部に搬送物を搬送する。コントローラは、棚の下方の収納部に収納されている搬送物を棚の上方の収納部に移しかえるエネルギー保存モードを実行し、棚の上方の収納部に収納されている搬送物を下方に移動させることにより回生電力を発生させる。
このように、搬送物を予め上方に移動させておくことにより、搬送物を下方に移動させて回生電力を発生でき、回生電力を利用することで、ピーク時の消費電力をより低減できる。
【0049】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0050】
(4−1)
上記実施の形態1では、錘Wを下方に移動させて回生電力を発生させ、実施の形態2では荷物Bを下方に移動させて回生電力を発生させているが、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせてもよい。この場合、荷物Bを錘Wの代わりに下降させてもよい。
(4−2)
上記実施の形態1、2では、使用電力がピークになる時間帯を経験則に基づいて決定し、ピーク時間帯になると回生電力発生動作を実行して回生電力を発生させていたが、例えば、使用電力を監視し、使用電力が所定の電力を超過した場合に、回生電力発生動作を実行してもよい。
なお、所定電力とは、回生電力発生動作を実行しない場合には契約電力を超過するような値としてもよいし、回生電力発生動作を実行しない場合であっても若干契約電力を下回るような値に設定してもよい。
【0051】
(4−3)
上記実施の形態1,2では、発生した回生電力を蓄電せずに利用しているが、バッテリーなどを備えて、一旦蓄電してから用いるようにしてもよい。
【0052】
(4−4)
上記実施の形態1,2では、エネルギー保存モードを電気料金の安い夜間に実行しているが、夜間に限らなくてもよく、入出庫作業の少ない時間帯にエネルギー保存モードを実行してもよい。
【0053】
(4−5)
上記実施の形態1,2では、前ラック2aおよび後ろラック2bにおいて、同じラックの上方から下方に搬送物(荷物Bまたは錘W)を移動させていたが、例えば前ラック2aの上方から後ラック2bの下方に移動させるように、前ラック2aと後ラック2bの間で搬送物の移動を行ってもよい。
【0054】
(4−6)
上記実施の形態1では、パレットPの上に錘Wを載せていたが、パレット型の錘であってもよい。
【0055】
(4−7)
上記実施の形態1,2では、発生した回生電力を他のスタッカクレーンに供給していたが、他の設備に供給するようにしてもよい。例えば、入庫ステーション17への荷物の入庫および出庫ステーション19からの荷物の出庫を行う有軌道台車が存在する場合、有軌道台車を駆動する電力として回生電力を利用してもよい。
【0056】
(4−8)
上記実施の形態1,2では、タイマー102に基づいてピーク時間帯になったことを検出すると回生電力発生動作を実行していたが、外部からの指示によって回生電力発生動作を実行してもよい。
(4−9)
上記実施の形態1,2では、消費電力のピーク時間帯に回生電力発生動作を実行させていたが、回生電力を発生させる時間帯は、ピーク時間帯に限らなくても良い。夜間電力よりも料金の高い時間帯であれば、回生電力発生動作を実行して消費電力を低減することによって、電気料金を下げることができる。
(4−10)
上記実施の形態1,2では、
図11に示したように、3つのスタッカクレーン3に対して1つの電源回生コンバータ104が設けられていたが、それぞれのスタッカクレーン3に対して電源回生コンバータ104が配置されてもよい。
(4−11)
上記実施の形態2の自動倉庫100´には、3つのスタッカクレーン3が用いられていたが、3つに限られるものではなく、1つのスタッカクレーン3だけが用いられてもよい。
この場合、ピーク時間帯には、できるだけ第1群の荷物B1を出庫するようにすれば、消費電力をへらすことができ、さらに他の設備にも電力を供給できる。
【0057】
(4−12)
上記実施の形態2では、次の日中に出庫予定の荷物B1を上方の収納部11に移動しピーク時間帯に出庫するように出庫予約を行っていたが、上記の出庫予約は行わずに、次のピーク時間帯に出庫予定の荷物を上方の収納部11に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態2では、荷物Bを2つに分類していたが、次のピーク時間帯に出庫予定の荷物についての分類分けも加えて3つの群に分けてもよい。この場合、所定の重量以上の荷物であって、次のピーク時間帯に出庫予定のある荷物Bが第1群として分類される。そして、所定の重量以上の荷物であって、次のピーク時間帯に出庫予定はないが、次の日中に出庫予定のある荷物Bが第2群として分類される。さらに、次の日中に出庫予定がないが、所定の重量以上の荷物Bが第3群として分類される。
【0058】
そして、エネルギー保存モードの際には、第1群、第2群および第3群の順に優先的に上方の収納部11に移動させればよい。さらに、第1群、第2群の荷物Bの順に入庫ステーション17または出庫ステーション19の近くに収納するようにすれば、ピーク時間帯に回生電力を発生させつつ出庫を行う際に、消費電力を抑えることができる。