(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流入台数取得部は、前記リンクの入口をセンシングするセンサの検知出力を処理して、前記リンクに流入した車両の台数を取得する、請求項1、または2に記載の滞留台数計測装置。
前記流入台数取得部は、前記リンクの入口を撮像した撮像画像を処理して、前記リンクに流入した車両の台数を取得する、請求項1、または2に記載の滞留台数計測装置。
前記流出台数取得部は、前記リンクの出口をセンシングするセンサの検知出力を処理して、前記リンクから流出した車両の台数を取得する、請求項1〜4のいずれかに記載の滞留台数計測装置。
前記流出台数取得部は、前記リンクの出口を撮像した撮像画像を処理して、前記リンクから流出した車両の台数を取得する、請求項1〜4のいずれかに記載の滞留台数計測装置。
前記速度取得部は、前記リンクの入口をセンシングするセンサの検知出力を処理して、前記リンクに流入した車両の速度の代表値を取得する、請求項1〜9のいずれかに記載の滞留台数計測装置。
前記速度取得部は、前記リンクの入口を撮像した撮像画像を処理して、前記リンクに流入した車両の速度の代表値を取得する、請求項1〜9のいずれかに記載の滞留台数計測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、流入リンクの入口と出口との間に、この流入リンクに車両が流入する流入路や、この流入リンクから車両が流出する流出路が接続されている場合、流入リンクに滞留している車両の台数を精度よく推定することができない。すなわち、特許文献1に記載されている技術により計測される車両の台数は、流入路から流入リンクに流入した車両の台数と、流入リンクから流出路に流出した車両の台数と、の差分を誤差として含む。
【0007】
以下の、説明では、流入路、および流出路を総称して分岐路と言う場合がある。分岐路には、流入路、または流出路の一方として機能する道路だけでなく、流入路および流出路として機能する道路も含まれる。また、分岐路は、信号灯器が設置された交差点であってもよいし、信号灯器が設置されていない交差点であってもよい。
【0008】
また、各分岐路に車両検知器を設置し、各分岐路において流入リンクに流入した車両の台数、および流入リンクから流出した車両の台数を検知する構成にすれば、流入リンクに滞留している車両の台数を精度よく計測することはできる。しかし、各分岐路に車両検知器を設置する場合、敷設するケーブルの増加や、通信回線の増設等が必要になり、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストが大幅に増大する。
【0009】
なお、流入リンクに滞留している車両の台数の推定が精度よく行えないと、特許文献2に記載されている技術を利用しても、適正な信号制御が行えない。
【0010】
この発明の目的は、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑え、流入リンクに滞留している車両の台数の推定が精度よく行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の滞留台数計測装置は、上記目的を達するために、以下のように構成している。
【0012】
この滞留台数計測装置は、入口と出口との間に、車両が流入する流入路、または車両が流出する流出路の少なくとも一方が接続されたリンクに滞留している車両の台数を推定する。流入台数取得部は、リンクの入口において、このリンクに流入した車両の台数(流入台数Q1)を取得する。また、流出台数取得部は、リンクの出口において、このリンクから流出した車両の台数(流出台数Q2)を取得する。流入台数取得部は、例えば、リンクの入口を撮像した撮像画像を処理して、このリンクに流入した車両の流入台数Q1を取得する構成であってもよい。また、流入台数取得部は、リンクの入口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの入口に設けた超音波式の車両検知センサ等で車両を検知することにより、このリンクに流入した車両の流入台数Q1を取得する構成であってもよい。また、流出台数取得部は、例えば、リンクの出口を撮像した撮像画像を処理して、このリンクから流出した車両の流出台数Q2を取得する構成であってもよい。また、流出台数取得部は、リンクの出口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの出口に設けた超音波式の車両検知センサ等で車両を検知することにより、このリンクから流出した車両の流出台数Q2を取得する構成であってもよい。
【0013】
リンクに車両が流入する流入路、およびリンクから車両が流出する流出路が、リンクの入口と出口との間に接続されていなければ、リンクに滞留している車両の台数(滞留台数Q)は、
Q=(Q1−Q2)+前回の滞留台数
である。一方、リンクに車両が流入する流入路、またはリンクから車両が流出する流出路の少なくとも一方が、リンクの入口と出口との間に接続されていると、リンクに滞留している車両の滞留台数Qは、
Q=(Q1−Q2)+(Q3−Q4)+前回の滞留台数
である。
ただし、Q3は、流入路からリンクに流入した車両の台数であり、Q4は、リンクから流出路に流出した車両の台数である。
【0014】
入口側飽和度取得部は、リンクの入口の飽和度(DS:Degree ofSaturation)を取得する。一般に、リンクの入口の飽和度DSは、リンクに滞留している車両の台数が多くなるにつれて大きくなる。飽和度DSは、例えば、リンクの入口における車両の流入台数Q1と、これらの車両の速度の代表値Vとを用いて取得する手法や、リンクの入口における車両の流入台数Q1と、リンクの入口に車両が位置していない車間時間Tとを用いて取得する手法がある。
【0015】
車両の速度の代表値Vや車間時間Tは、リンクの入口を撮像した撮像画像を処理することで取得できる。また、車間時間Tは、リンクの入口に埋設したループコイル式の車両検知センサによる車両の検知信号を処理することでも取得できる。
【0016】
車両台数推定部は、流入台数取得部が取得したリンクに流入した車両の流入台数Q1と、流出台数取得部が取得したリンクから流出した車両の流出台数Q2と、
入口側飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSと、を用いて、リンクに滞留している車両の滞留台数Qを推定する。
【0017】
上述したように、リンクの入口の飽和度DSは、リンクに滞留している車両の滞留台数Qが多くなるにつれて大きくなる。車両台数推定部は、リンクに滞留している車両の滞留台数Qの推定に、リンクの入口の飽和度DSを用いるので、流入路において、リンクに流入した車両の台数(Q3)や、リンクから流出路に流出した車両の台数(Q4)を取得することなく、リンクに滞留している車両の滞留台数Qを精度よく推定できる。すなわち、この構成によれば、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑え、リンクに滞留している車両の台数の推定が精度よく行える。
【0018】
車両台数推定部は、飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSを、流入台数取得部が取得したリンクに流入した車両の流入台数Q1を補正するパラメータとして使用し、リンクに滞留している車両の滞留台数Qを、
Q=(Q1×f(DS)−Q2)+前回算出した滞留台数
により算出してもよい。但しf(DS)は、飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSを変数とする関数であり、DSが大きくなるにつれて、その値が大きくなる関数である。
【0019】
また、車両台数推定部は、飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSを、流出台数取得部が取得したリンクから流出した車両の流出台数Q2を補正するパラメータとして使用し、リンクに滞留している車両の滞留台数Qを、
Q=Q1−Q2×g(DS)+前回算出した滞留台数
により算出してもよい。但しg(DS)は、飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSを変数とする関数であり、DSが大きくなるにつれて、その値が小さくなる関数である。
【0020】
さらに、車両台数推定部は、流入台数取得部が取得したリンクに流入した車両の流入台数Q1と流出台数取得部が取得したリンクから流出した車両の流出台数Q2との差(Q1−Q2)を補正するパラメータとして使用し、リンクに滞留している車両の滞留台数Qを、
Q=(Q1−Q2)×q(DS)+前回算出した滞留台数
により算出してもよい。但しq(DS)は、飽和度取得部が取得したリンクの入口の飽和度DSを変数とする関数であり、DSが大きくなるにつれて、その値が大きくなる関数である。
【0021】
上述した関数f(DS)、g(DS)、およびq(DS)は、リンクにおける交通環境に応じて定めればよい。また、関数f(DS)、g(DS)、およびq(DS)は、一次関数であってもよいし、二次関数であってもよいし、3次以上の関数であってもよい。
【0022】
また、リンクの出口から流出する車両の走行を制限する信号灯器の現示表示を制御する信号制御パラメータを、車両台数推定部が推定したリンクに滞留している車両の台数を用いて生成する
ので、リンクにおける渋滞の発生の抑制や、リンクにおいて発生した渋滞の迅速な解消が適正に行える。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑え、流入リンクに滞留している車両の台数の推定が精度よく行える。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態にかかる信号制御システムについて説明する。この信号制御システムは、この発明の実施形態にかかる滞留台数計測装置を有している。
【0026】
図1は、この例にかかる信号制御システムを示す概略図である。ここでは、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数を推定し、その推定結果に応じて交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータ(信号制御装置3aの信号制御パラメータ)を
生成する場合を例にして説明する。
【0027】
ここで言う交差点Aの流入リンクは、
図1に示す交差点Aと、交差点Bとの間に位置し、車両が交差点B側から交差点A側に走行する道路である。交差点Aの流入リンクは、交差点B側が上流であり、交差点A側が下流である。
【0028】
なお、実際には、交差点Aに接続されている流入リンクは、交差点Aと交差点Bとの間に位置するリンクだけではない。
【0029】
交差点Aの流入リンクには、
図1に示すように、車両がこの流入リンクに流入したり、車両がこの流入リンクから流出したりする分岐路が接続されている。交差点Aの流入リンクに接続されている分岐路は、
図1に示した2つに限らず、いくつであってもよい。また、交差点Aの流入リンクに接続されている分岐路は、車両が交差点Aの流入リンクに流入のみできる(流出できない)分岐路(流入路)であってもよいし、車両が交差点Aの流入リンクから流出のみできる(流入できない)分岐路(流出路)であってもよい。
【0030】
交差点Aには、車両の進入方向別に、信号灯器5aが設置されている。また、交差点Bには、車両の進入方向別に、信号灯器5bが設置されている。信号制御装置3aは、後述するように、交通管制センタ1から通知された信号制御パラメータに基づき、交差点Aに設置されている複数の信号灯器5aの現示表示を制御するとともに、流出側画像センサ2aに交差点Aの現示をリアルタイムに通知する。信号制御装置3bは、交通管制センタ1から通知された信号制御パラメータに基づき、交差点Bに設置されている複数の信号灯器5bの現示表示を制御するとともに、流入側画像センサ2bに交差点Bの現示をリアルタイムに通知する。
【0031】
流出側画像センサ2aは、交差点Aの流入リンクの出口(交差点A側の端部)から交差点Aに流出する車両の台数(以下、流出台数Q2と言う。)を取得する。また、流出側画像センサ2aは、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度(以下、飽和度DS2と言う。)を取得する。
【0032】
一般に、飽和度DSは、混雑(渋滞)の度合いを示す値である。飽和度DS>1であるとき、渋滞が発生している過飽和状態である。反対に、飽和度DS<1であるとき、渋滞が発生していない非飽和状態である。さらに、流出側画像センサ2aは、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数(以下、滞留台数Qと言う。)を推定する。流出側画像センサ2aの詳細については、後述する。
【0033】
流入側画像センサ2bは、交差点Aの流入リンクの入口(交差点B側の端部)から交差点Aの流入リンクに流入する車両の台数(以下、流入台数Q1と言う。)を取得する。また、流入側画像センサ2bは、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度(以下、飽和度DS1と言う。)を取得する。
【0034】
交通管制センタ1は、流出側画像センサ2aが推定した滞留台数Qに基づいて、交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータを生成する。
【0035】
なお、交通管制センタ1は、交差点A以外の他の交差点(例えば、交差点B)に設置されている信号灯器の現示表示を制御する信号制御パラメータも生成する。交通管制センタ1は、各交差点に設置されている信号灯器の現示表示を制御する信号制御パラメータを、その交差点の流入リンクに滞留している車両の台数に基づいて生成する。
【0036】
交通管制センタ1は、流出側画像センサ2a、流入側画像センサ2b、および信号制御装置3a、3bと有線、または無線で接続されている。また、流出側画像センサ2aと、流入側画像センサ2bとは、有線、または無線で接続されている。また、流出側画像センサ2aと、信号制御装置3aとは有線、または無線で接続されている。さらに、流入側画像センサ2bと、信号制御装置3bとは有線、または無線で接続されている。
【0037】
図2は、交通管制センタの主要部の構成を示すブロック図である。交通管制センタ1は、制御ユニット11と、信号制御パラメータ生成ユニット12と、入出力ユニット13と、を備えている。
【0038】
制御ユニット11は、交通管制センタ1本体各部の動作を制御する。
【0039】
信号制御パラメータ生成ユニット12は、各交差点に設置されている信号灯器の現示表示を制御する信号制御パラメータを生成する。信号制御パラメータ生成ユニット12は、流出側画像センサ2aが推定した交差点Aの流入リンクの滞留台数Qに基づいて、交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータを生成する。
【0040】
入出力ユニット13は、流出側画像センサ2a、流入側画像センサ2b、および信号制御装置3a、3bとの間におけるデータの入出力にかかる通信を行う。
【0041】
図3(A)は、流出側画像センサの主要部の構成を示すブロック図であり、
図3(B)は、流入側画像センサの主要部の構成を示すブロック図である。流出側画像センサ2aは、制御部21aと、画像入力部22aと、画像処理プロセッサ23aと、入出力部24aとを備えている。流入側画像センサ2bは、制御部21bと、画像入力部22bと、画像処理プロセッサ23bと、入出力部24bとを備えている。流出側画像センサ2aと、流入側画像センサ2bとは、
図3に示すようにハードウェアにかかる構成は同じである。流出側画像センサ2a、および流入側画像センサ2bが、この発明で言う滞留台数計測装置に相当する。
【0042】
まず、流出側画像センサ2aの構成について説明する。制御部21aは、流出側画像センサ2a本体の動作を制御する。また、制御部21aは、交差点Aの流入リンクの滞留台数Qを推定する。また、制御部21aは、動作時に発生したデータを一時的に記憶するメモリ等を備えている。
【0043】
画像入力部22aは、ビデオカメラ20aが撮像した動画像が入力される。ビデオカメラ20aの撮像エリアは、
図1に示す交差点Aの流入リンクの出口である。ビデオカメラ20aのフレームレートは、例えば30フレーム/秒である。画像入力部22aは、ビデオカメラ20aから入力された動画像(交差点Aの流入リンクの出口を撮像した動画像)を一時的に記憶する画像メモリ等の記憶部を有する。
【0044】
画像処理プロセッサ23aは、ビデオカメラ20aから入力された動画像を処理し、交差点Aの流入リンクの出口の流出台数Q2と、流出した車両の速度の代表値V2と、を取得するとともに、これらを用いて交差点Aの流入リンクの出口(ビデオカメラ20aの撮像エリア)における飽和度DS2を取得する。飽和度DS2を取得する手法については、後述する。
【0045】
入出力部24aは、交通管制センタ1、流入側画像センサ2b、信号制御装置3a等との間におけるデータの入出力にかかる通信を行う。
【0046】
次に、流入側画像センサ2bの構成について説明する。制御部21bは、流入側画像センサ2b本体の動作を制御する。また、制御部21bは、動作時に発生したデータを一時的に記憶するメモリ等を備えている。
【0047】
画像入力部22bは、ビデオカメラ20bが撮像した動画像が入力される。ビデオカメラ20bの撮像エリアは、
図1に示す交差点Aの流入リンクの入口である。ビデオカメラ20bのフレームレートは、例えば30フレーム/秒である。画像入力部22bは、ビデオカメラ20bから入力された動画像(交差点Aの流入リンクの入口を撮像した動画像)を一時的に記憶する画像メモリ等の記憶部を有する。
【0048】
画像処理プロセッサ23bは、ビデオカメラ20bから入力された動画像を処理し、交差点Aの流入リンクの入口における流入台数Q1と、流入した車両の速度の代表値V1と、を取得するとともに、これらを用いて交差点Aの流入リンクの入口(ビデオカメラ20bの撮像エリア)における飽和度DS1を取得する。飽和度DS1を取得する手法については、後述する。
【0049】
入出力部24bは、交通管制センタ1、流出側画像センサ2a、信号制御装置3b等との間におけるデータの入出力にかかる通信を行う。
【0050】
図4(A)は、流出側画像センサが備える画像処理プロセッサの機能構成を示す図であり、
図4(B)は、流入側画像センサが備える画像処理プロセッサの機能構成を示す図である。
【0051】
画像処理プロセッサ23aは、車両追跡部231aと、通過台数取得部232aと、車両速度取得部233aと、DS取得部234aとを有している。同様に、画像処理プロセッサ23bは、車両追跡部231bと、通過台数取得部232bと、車両速度取得部233bと、DS取得部234bとを有している。
【0052】
まず、画像処理プロセッサ23aの機能構成について説明する。車両追跡部231aは、信号灯器5aのサイクル毎に、現示が交差点Aの流入リンクの車両群であるときに、ビデオカメラ20aが撮像した交差点Aの流入リンクの出口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクの出口から流出した車両を追跡する。上述したように、信号制御装置3aが流出側画像センサ2aに交差点Aの現示をリアルタイムに通知しているので、流出側画像センサ2aは、交差点Aの現示をリアルタイムに判断できる。車両の追跡は、ビデオカメラ20aが撮像したフレーム画像を時系列に処理して撮像されている車両を検出するとともに、その車両のID、検出時刻(フレーム画像の撮像時刻)、位置(交差点上の位置を示す座標)を対応付けたオブジェクトマップを生成することにより行える。ビデオカメラ20aの撮像画像を処理し、撮像されているオブジェクト(ここでは車両)を追跡する技術については、公知であるので、詳細な説明を省略する。
【0053】
なお、車両追跡部231aは、常時、ビデオカメラ20aが撮像した交差点Aの流入リンクの出口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクから流出した車両を追跡する処理を行ってもよい。ただし、現示が交差点Aの流入リンクの車両群でないときに、交差点Aの流入リンクの出口から車両が流出することはない。したがって、車両追跡部231aは、上述したように、現示が交差点Aの流入リンクの車両群であるときに、ビデオカメラ20aが撮像した交差点Aの流入リンクの出口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクの出口から流出した車両を追跡する構成とすることで、処理負荷が無駄に増大するのを抑えられる。
【0054】
通過台数取得部232aは、信号灯器5aのサイクル毎に、交差点Aの流入リンクの出口における流出台数Q2を取得する。通過台数取得部232aは、車両追跡部231aにおいて生成されたオブジェクトマップを用いて、流出台数Q2を取得する。各車両の移動軌跡は、オブジェクトマップから得られる。
【0055】
車両速度取得部233aは、信号灯器5aのサイクル毎に、交差点Aの流入リンクの出口から流出した車両の速度の代表値V2を算出する。この代表値V2は、交差点Aの流入リンクの出口から流出した車両の速度の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。各車両の速度は、その車両の移動距離を、車両追跡部231aがその車両を追跡していた時間で除する(移動距離/追跡時間)ことで得られる。移動距離は、オブジェクトマップから得られる車両の移動軌跡から算出してもよいが、通常、交差点Aの流入リンクの出口で車両が蛇行することはないので、処理負荷を抑える観点から、車両追跡部231aが車両の移動を追跡する車両の走行方向の長さを移動距離として予め定めておくのが好ましい。また、追跡時間は、その車両が最初に検出されたフレーム画像の撮像時刻と、その車両が最後に検出されたフレーム画像の撮像時刻と、の時間差である。
【0056】
DS取得部234aは、信号灯器の1サイクル毎に、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を取得する。DS取得部234aは、通過台数取得部232aが取得した流出台数Q2と、車両速度取得部233aが取得した車両の速度の代表値V2とを用いて、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を算出する流出側DS関数を記憶している。
【0057】
一般的なリンクでは、現示がリンクの車両群であるとき、そのリンクの出口から流出した車両の流出台数と、車両の速度の代表値との間には、
図5に示す関係がある。この関係は、QVプロットと呼ばれるものである。非飽和時(非渋滞時)には、流出台数が少なくなるにつれて、車両の速度の代表値が大きくなる。一方で、過飽和時(渋滞時)には、流出台数が少なくなるにつれて、車両の速度の代表値が小さくなる。
【0058】
図5に示すQVプロットは、道路の構造(上り坂や下り坂等)や周辺環境(見通しの良さ等)によって変化する。すなわち、QVプロットは、リンク毎に異なる。
図5において、リンクのDSがDS=1になる点は、流出台数がピークになる点である。
【0059】
また、車両の速度は、DS<1のとき、DS=1である点における車両の速度よりも速くなり、DS>1のとき、DS=1である点における車両の速度よりも遅くなる。
図5に示すように、車両の速度が速くなるにつれて、リンクの出口のDSは小さくなり、車両の速度が遅くなるにつれて、リンクの出口のDSは大きくなる。但し、リンクの出口のDSの値は、
図5の縦軸(速度)方向に均等に変化するわけではない。
【0060】
したがって、流出側DS関数は、リンクの出口のQVプロットと、リンクの出口のDSとの関係に基づいて定めることができる。
【0061】
DS取得部234aは、交差点Aの流入リンクの出口のQVプロットと、交差点Aの流入リンクの出口のDS2との関係に基づいて定めた流出側DS関数を記憶している。
【0062】
次に、画像処理プロセッサ23bの機能構成について説明する。車両追跡部231bは、信号灯器5bのサイクル毎に、現示が交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群であるときに、ビデオカメラ20bが撮像した交差点Aの流入リンクの入口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクの入口から流入した車両を追跡する。上述したように、信号制御装置3bが流入側画像センサ2bに交差点Bの現示をリアルタイムに通知しているので、流入側画像センサ2bは、交差点Bの現示をリアルタイムに判断できる。車両の追跡は、ビデオカメラ20bが撮像したフレーム画像を時系列に処理して撮像されている車両を検出するとともに、その車両のID、検出時刻(フレーム画像の撮像時刻)、位置(交差点上の位置を示す座標)を対応付けたオブジェクトマップを生成することにより行える。
【0063】
なお、車両追跡部231bは、常時、ビデオカメラ20bが撮像した交差点Aの流入リンクの入口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクに流入した車両を追跡する処理を行ってもよい。ただし、現示が交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群でないときに、車両が交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに進入することはない。したがって、車両追跡部231bは、上述したように、現示が交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群であるときに、ビデオカメラ20bが撮像した交差点Aの流入リンクの入口の動画像を処理し、交差点Aの流入リンクに流入した車両を追跡する構成とすることで、処理負荷が無駄に増大するのを抑えられる。また、交差点Bで右折、または左折して交差点Aの流入リンクに流入する車両は存在するが、これらの車両については、分岐路から流入する車両であるとみなせばよい。
【0064】
通過台数取得部232bは、信号灯器5bのサイクル毎に、現示が交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群であるときに、交差点Aの流入リンクの入口における流入台数Q1を取得する。通過台数取得部232bは、車両追跡部231bにおいて生成されたオブジェクトマップを用いて、流入台数Q1を取得する。各車両の移動軌跡は、オブジェクトマップから得られる。
【0065】
車両速度取得部233bは、信号灯器5bのサイクル毎に、交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両の速度の代表値V1を算出する。この代表値V1は、交差点Aの流入リンクの入口における車両の速度の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。各車両の速度は、その車両の移動距離を、車両追跡部231bがその車両を追跡していた時間で除する(移動距離/追跡時間)ことで得られる。移動距離は、オブジェクトマップから得られる車両の移動軌跡から算出してもよいが、通常、交差点Aの流入リンクの入口で車両が蛇行することはないので、処理負荷を抑える観点から、車両追跡部231bが車両の移動を追跡する車両の走行方向の長さを移動距離として予め定めておくのが好ましい。また、追跡時間は、その車両が最初に検出されたフレーム画像の撮像時刻と、その車両が最後に検出されたフレーム画像の撮像時刻と、の時間差である。
【0066】
DS取得部234bは、信号灯器の1サイクル毎に、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を取得する。DS取得部234bは、通過台数取得部232bが取得した流入台数Q1と、車両速度取得部233bが取得した車両の速度の代表値V1とを用いて、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を算出する流入側DS関数を記憶している。
【0067】
この流入側DS関数も、上述した流出側DS関数と同様に、交差点Aの流入リンクの入口のQVプロットと、交差点Aの流入リンクの入口のDSとの関係に基づいて定められた関数である。
【0068】
以下、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数である滞留台数Qを推定する処理について説明する。この処理は、流出側画像センサ2a、および流入側画像センサ2bによって行われる。
【0069】
図6は、流入側画像センサの動作を示すフローチャートである。
図7は、流出側画像センサの動作を示すフローチャートである。
【0070】
まず、
図6を参照しながら、流入側画像センサ2bの動作について説明する。流入側画像センサ2bには、信号制御装置3bから交差点Bの現示が入力されている。流入側画像センサ2bは、交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群の現示開始タイミング(以下、流入車両検知開始タイミングという。)になると、車両追跡部231bにおいて交差点Aの流入リンクの入口における車両の追跡処理(以下、流入車両追跡処理という。)を開始する(s1、s2)。s2にかかる流入車両追跡処理は、車両追跡部231bが流入車両検知開始タイミング後にビデオカメラ20bで撮像した交差点Aの流入リンクの入口の画像を処理し、交差点Aの流入リンクの入口を通過した車両を追跡する処理である。流入側画像センサ2bは、交差点Bを直進して交差点Aの流入リンクに流入する車両群の現示終了タイミング(以下、流入車両検知終了タイミングという。)になると、s2で開始した流入車両追跡処理を終了する(s3、s4)。
【0071】
車両追跡部231bは、s1〜s4において、流入車両検知開始タイミングから流入車両検知終了タイミングまでの間に、ビデオカメラ20bで撮像した交差点Aの流入リンクの入口の画像を処理し、交差点Aの流入リンクの入口を通過した車両のオブジェクトマップを作成する。
【0072】
流入側画像センサ2bは、通過台数取得部232bにおいて車両追跡部231bで実行した流入車両追跡処理で作成したオブジェクトマップに基づき、交差点Aの流入リンクの入口における流入台数Q1を取得する(s5)。s5では、s1〜s4の間に交差点Aの流入リンクの入口を通過した車両の台数を、流入台数Q1として取得する。
【0073】
また、流入側画像センサ2bは、車両速度取得部233bにおいて車両追跡部231bで実行した流入車両追跡処理で作成したオブジェクトマップに基づき、交差点Aの流入リンクに流入した車両の速度の代表値V1を取得する(s6)。車両の速度の代表値V1は、交差点Aの流入リンクの入口を通過した車両の速度の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。s6では、s1〜s4の間に交差点Aの流入リンクの入口を通過した車両の速度の代表値V1を取得する。
【0074】
流入側画像センサ2bは、DS取得部234bにおいて、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を取得する(s7)。DS取得部234bは、s5で取得した流入台数Q1と、s6で取得した車両の速度の代表値V1を用いて、記憶している流入側DS関数により、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を取得する。
【0075】
流入側画像センサ2bは、s5で取得した流入台数Q1、およびs7で取得した交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を流出側画像センサ2aに送信し(s8)、s1に戻る。
【0076】
次に、
図7を参照しながら、流出側画像センサ2aの動作について説明する。流出側画像センサ2aは、流入側画像センサ2bが上述のs8で送信した、s5で取得した流入台数Q1、およびs7で取得した交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を入出力部24aで受信すると、これを制御部21aが備えるメモリ(不図示)に記憶する。
【0077】
流出側画像センサ2aには、信号制御装置3aから交差点Aの現示が入力されている。流出側画像センサ2aは、交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出する車両群の現示開始タイミング(以下、流出車両検知開始タイミングという。)になると、車両追跡部231aにおいて交差点Aの流入リンクの出口における車両の追跡処理(以下、流出車両追跡処理という。)を開始する(s11、s12)。s12にかかる流出車両追跡処理は、車両追跡部231aが流出車両検知開始タイミング後にビデオカメラ20aで撮像した交差点Aの流入リンクの出口の画像を処理し、交差点Aの流入リンクの出口を通過した車両を追跡する処理である。流出側画像センサ2aは、交差点Aの流入リンクから流出する車両群の現示終了タイミング(以下、流出車両検知終了タイミングという。)になると、s12で開始した流出車両追跡処理を終了する(s13、s14)。
【0078】
車両追跡部231aは、s11〜s14において、流出車両検知開始タイミングから流出車両検知終了タイミングまでの間に、ビデオカメラ20aで撮像した交差点Aの流入リンクの出口の画像を処理し、交差点Aの流入リンクの出口を通過した車両のオブジェクトマップを作成する。
【0079】
流出側画像センサ2aは、通過台数取得部232aにおいて車両追跡部231aで実行した流出車両追跡処理で作成したオブジェクトマップに基づき、交差点Aの流入リンクの出口における流出台数Q2を取得する(s15)。s15では、s11〜s14の間に交差点Aの流入リンクの出口を通過した車両の台数を、流出台数Q2として取得する。
【0080】
また、流出側画像センサ2aは、車両速度取得部233aにおいて車両追跡部231aで実行した流入車両追跡処理で作成したオブジェクトマップに基づき、交差点Aの流入リンクから流出した車両の速度の代表値V2を取得する(s16)。車両の速度の代表値V2は、交差点Aの流入リンクから流出した車両の速度の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。s16では、s11〜s14の間に交差点Aの流入リンクの出口を通過した車両の速度の代表値V2を取得する。
【0081】
流出側画像センサ2aは、DS取得部234aにおいて、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を取得する(s17)。DS取得部234aは、s15で取得した流出台数Q2と、s16で取得した車両の速度の代表値V2を用いて、記憶している流出側DS関数により、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を取得する。
【0082】
流出側画像センサ2aは、制御部21aにおいて、s17で取得した交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2が1以下であれば(非飽和状態であれば)、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qをリセットする(Q=0にする。)(s18、s19)。
【0083】
一方、流出側画像センサ2aは、制御部21aにおいて、s17で取得した交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2が1以下でなければ(過飽和状態であれば)、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qを推定する(s18、s20)。s20では、流入側画像センサ2bから送信されてきた流入台数Q1、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1、s15で取得した流出台数Q2、および前回のサイクルで推定した滞留台数Qを用いて、
滞留台数Q=(Q1×f(DS)−Q2)+前回のサイクルで推定した滞留台数Q
により算出する。但し、f(DS)は、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を変数とする関数であり、DS1が大きくなるにつれて、その値が大きくなる関数である。また、このf(DS)は、流入台数Q1を補正する関数である。
【0084】
一般に、リンクの入口の飽和度は、リンクに滞留している車両の台数が多くなるにつれて大きくなる。したがって、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qは、この交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を用いて推定することにより、この交差点Aの流入リンクに接続されている分岐路において、流入した車両の台数、および流出した車両の台数を考慮した推定が行える。すなわち、各分岐路において、流入した車両の台数、および流出した車両の台数を検知することなく、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qを精度よく推定できる。また、各分岐路において、流入した車両の台数、および流出した車両の台数を検知する構成を設ける必要がないので、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑えることができる。
【0085】
また、s20は、流出台数Q2を補正する関数g(DS)を用いて、滞留台数Qを推定する処理としてもよい。具体的には、滞留台数Qを、
滞留台数Q=(Q1−Q2×g(DS))+前回のサイクルで推定した滞留台数Q
により算出する。但しg(DS)は、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を変数とする関数であり、DS1が大きくなるにつれて、その値が小さくなる関数である。
【0086】
さらに、s20は、流入台数Q1と流出台数Q2との差を補正する関数q(DS)を用いて、滞留台数Qを推定する処理としてもよい。具体的には、滞留台数Qを、
滞留台数Q=(Q1−Q2)×q(DS)+前回のサイクルで推定した滞留台数Q
により算出する。但しq(DS)は、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を変数とする関数であり、DS1が大きくなるにつれて、その値が小さくなる関数である。
【0087】
なお、上述した関数f(DS)、g(DS)、およびq(DS)は、交差点Aの流入リンクにおける交通環境に応じて定められる。また、関数f(DS)、g(DS)、およびq(DS)は、一次関数であってもよいし、二次関数であってもよいし、3次以上の関数であってもよい。
【0088】
流出側画像センサ2aは、s17で取得した交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2、およびs18、またはs20で推定した交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qを交通管制センタ1に送信し(s21)、s11に戻る。
【0089】
このように、この例では、リンクに接続されている分岐路において、流入した車両の台数、および流出した車両の台数を検知することなく、リンクに滞留している車両の滞留台数を精度よく推定できるので、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加が抑えられる。
【0090】
交通管制センタ1は、流出側画像センサ2aから送信されてきた、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2、および交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qを用いて交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータ(信号制御装置3aの信号制御パラメータ)を生成する。例えば、交通管制センタ1は、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数で区分したパターン毎に、予め信号制御パラメータを記憶している。交通管制センタ1は、記憶している信号制御パラメータの中から、流出側画像センサ2aから送信されてきた、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数Qに該当する信号制御パラメータを、この交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータとして選択する。交通管制センタ1は、選択した信号制御パラメータを信号制御装置3aに送信する。
【0091】
信号制御装置3aは、交通管制センタ1から送信されてきた信号制御パラメータに基づき、次サイクルにおける信号灯器5aの現示表示を制御する。
【0092】
これにより、交差点Aの流入リンクで渋滞が発生している場合、その渋滞を速やかに解消することができる。
【0093】
また、交通管制センタ1は、特許文献2に記載された手法で、交差点Aに設置されている信号灯器5aの現示表示を制御する信号制御パラメータを生成する構成としてもよい。
【0094】
また、交差点Aの流入リンクの入口における流入台数Q1、飽和度DS1、および交差点Aの流入リンクの出口における流出台数Q2、飽和度DS2を上述の画像処理ではなく、交差点Aの流入リンクの入口、および出口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの入口、および出口に設けた超音波式の車両検知センサ等によって取得するようにしてもよい。流入台数Q1は、交差点Aの流入リンクの入口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの入口に設けた超音波式の車両検知センサ等が検知した車両の台数である。流出台数Q2は、交差点Aの流入リンクの出口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの出口に設けた超音波式の車両検知センサ等が検知した車両の台数である。交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1は、交差点Aの流入リンクの入口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの入口に設けた超音波式の車両検知センサ等が現示期間中(上述した、流入車両検知開始タイミングから流入車両検知終了タイミングまでの期間)に車両を検知していた合計時間T1、流入台数Q1を用いることで、以下の式から算出できる。
DS1=(g−(T1−t1×Q1))/g
ただし、t1は、飽和流時における1台あたりの車間時間(飽和交通流率)であり、道路状況等を考慮して予め設定されている値である。
【0095】
同様に、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2は、交差点Aの流入リンクの出口に埋設したループコイル式の車両検知センサや、リンクの出口に設けた超音波式の車両検知センサ等が現示期間中(上述した、流出車両検知開始タイミングから流出車両検知終了タイミングまでの期間)に車両を検知していた合計時間T2、流出台数Q2を用いることで、以下の式から算出できる。
DS2=(g−(T2−t2×Q2))/g
ただし、t2は、飽和流時における1台あたりの車間時間(飽和交通流率)であり、道路状況等を考慮して予め設定されている値である。
【0096】
この場合、上述した画像処理にかかる構成については不要になる。
【0097】
また、流出側画像センサ2a、および流入側画像センサ2bにおいて、上述の合計時間T1、T2を画像処理によって検出する構成とし、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1を、合計時間T1を用いて上記式から算出し、交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を、合計時間T2を用いて上記式から算出するようにしてもよい。この場合には、上述した、s6にかかる交差点Aの流入リンクに流入した車両の速度の代表値V1を取得する処理や、s16にかかる交差点Aの流入リンクから流出した車両の速度の代表値V2を取得する処理が不要になる。
【0098】
また、交差点Aの流入リンクの入口の飽和度DS1、および交差点Aの流入リンクの出口の飽和度DS2を取得する構成は、上記以外の構成であってもよい。
【0099】
また、流出側画像センサ2a、および流入側画像センサ2bを、
図8に示すように、1つの画像センサ2として構成してもよい。この画像センサ2は、制御部21、画像入力部22、画像処理プロセッサ23、および入出力部24を備えている。制御部21は、上述した制御部21a、21bの機能を有する。画像入力部22は、上述した画像入力部22a、22bの機能を有する。画像処理プロセッサ23は、上述した画像処理プロセッサ23a、23bの機能を有する。入出力部24は、交通管制センタ1、信号制御装置3a、3b等との間におけるデータの入出力にかかる通信を行う。
【0100】
また、この画像センサ2は、交通管制センタ1に設けてもよい。
【0101】
また、
図9に示すように、ビデオカメラ20aの撮像エリアを交差点Aの流入リンクの出口、および交差点Bの流入リンクの入口を含む大きさとし、ビデオカメラ20bの撮像エリアを交差点Aの流入リンクの入口、および交差点Bの流入リンクの出口を含む大きさとしてもよい。この場合、流出側画像センサ2aが、
図7に示した処理に加えて交差点Bの流入リンクに対して、
図6に示した処理を実行し、流入側画像センサ2bが、
図6に示した処理に加えて交差点Bの流入リンクに対して、
図7に示した処理を実行するようにしてもよい、このようにすれば、
図9に示す、交差点Aの流入リンク、および交差点Bの流入リンクについて、滞留している車両の滞留台数を推定することができる。
【0102】
なお、
図9では、交差点Bの流入リンクに接続されている分岐路を図示していないだけである。
【0103】
また、
図6、および
図7に示した処理を実行する時間帯を予め設定できるようにしてもよい。例えば、
図6、および
図7に示した処理を、渋滞が発生しやすい通勤時間帯等に実行する設定が行えるようにしてもよい。また、
図6、および
図7に示した処理を、渋滞が発生しにくい深夜の時間帯等に実行しない設定が行えるようにしてもよい。