特許第6394310号(P6394310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394310
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20180913BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01R12/79
   H01R13/639 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-233643(P2014-233643)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2016-100076(P2016-100076A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138092
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(72)【発明者】
【氏名】川村 翔一
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−069412(JP,A)
【文献】 特開2013−222600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77 , 12/79
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の配線基板を回路基板に電気的に接続する電気コネクタであって、
前記配線基板の端部が挿入されるハウジングと、
前記ハウジングから延びる一対の可撓部材を有し、前記配線基板の幅方向両縁に設けられた切欠きと係止するためのロック爪が前記各可撓部材の先端に設けられたロック部材と、を備え、
前記一対の可撓部材は、
前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除するために複数の異なる方向に撓む、
電気コネクタ。
【請求項2】
前記ロック爪には、
前記ハウジングに挿入された前記配線基板に向かって近接する方向に前記各可撓部材の先端が変位した際、前記ロック爪を前記配線基板に摺動させながら、前記配線基板の一方の幅広面に前記各可撓部材を移動させるための第1の傾斜面が設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記一対の可撓部材の先端が前記回路基板側に押し下げる方向に変位して前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ロック爪が前記配線基板から離間する方向に前記一対の可撓部材が変形して前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ロック爪には、
前記配線基板を前記ハウジングに挿入する際に、当接した前記配線基板と摺動して前記一対の可撓部材を変形させることで、前記ロック爪と前記配線基板との干渉を避けるための第2の傾斜面が設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電気機器又は電子機器(パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット)の内部には、回路基板間等で信号を伝送するために、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)等に代表される、可撓性のある平板状の配線基板が用いられている。配線基板と回路基板との接続には、電気コネクタが広く用いられている。
【0003】
電気コネクタには、ZIF(Zero Insertion Force)タイプとNON−ZIFタイプのものがある。ZIFタイプの電気コネクタは、低い挿入力で配線基板を挿入可能で、アクチュエータにて配線基板のコンタクトを比較的強固に挟持あるいは押圧できる。これに対し、NON−ZIFタイプの電気コネクタは、不用意にFPCまたはFFCが抜去されることを防ぐために強固な保持力が必要であるため、高い挿入力が必要となる一方で、アクチュエータが不要であるため、小型化や低背化が可能となる。
【0004】
狭ピッチ・低背化が実現されたNON−ZIFタイプの電気コネクタでは、配線基板に対する保持力を何らかの方法で強くする必要がある。使用される配線基板の薄型化が進み、電気コネクタから抜けやすくなってきているため、この保持力の強化がますます求められている。
【0005】
配線基板の保持力を向上させるために、配線基板の係止部と係止するロック構造を有する電気コネクタが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2参照の電気コネクタは、コネクタ側に係止爪を備え、その係止爪が配線基板の係止部(例えば切欠き)に引っ掛かることで、配線基板がコネクタから抜けないようにロックしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−028296号公報
【特許文献2】特開2013−222593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2参照の電気コネクタでは、コネクタと配線基板との係止(ロック)を解除する方法を用意しておく必要がある。このようなロックの解除方法は1つしか用意されていないのが通常である。しかしながら、電気コネクタが実装される基板のレイアウトによっては、他の実装部品が邪魔になり、ロックの解除が困難になる場合もある。このような基板の様々なレイアウトに対応するためには、ロックの解除方法が異なる複数種類の電気コネクタを用意する必要がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基板の設計レイアウトの自由度を向上することができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気コネクタは、
平板状の配線基板を回路基板に電気的に接続する電気コネクタであって、
前記配線基板の端部が挿入されるハウジングと、
前記ハウジングから延びる一対の可撓部材を有し、前記配線基板の幅方向両縁に設けられた切欠きと係止するためのロック爪が前記各可撓部材の先端に設けられたロック部材と、を備え、
前記一対の可撓部材は、
前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除するために複数の異なる方向に撓む。
【0010】
(第1の方向)
前記ロック爪には、
前記ハウジングに挿入された前記配線基板に向かって近接する方向に前記各可撓部材の先端が変位した際、前記ロック爪を前記配線基板に摺動させながら、前記配線基板の一方の幅広面に前記各可撓部材を移動させるための第1の傾斜面が設けられている、
ものでもよい。
【0011】
(第2の方向)
前記一対の可撓部材の先端が前記回路基板側に押し下げる方向に変位して前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除する、
ものでもよい。
【0012】
(第3の方向)
前記ロック爪が前記配線基板から離間する方向に前記一対の可撓部材が変形して前記切欠きと前記ロック爪との係止を解除する、
ものでもよい。
【0013】
前記ロック爪には、
前記配線基板を前記ハウジングに挿入する際に、当接した前記配線基板と摺動して前記一対の可撓部材を変形させることで、前記ロック爪と前記配線基板との干渉を避けるための第2の傾斜面が設けられている、
ものでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可撓部材の撓み方がそれぞれ異なる複数の方法で、ロック部材と配線基板の係止を解除することができる。これにより、ある方法では、基板に実装された部品が邪魔をして、ロック部材と配線基板の係止の解除が困難な場合でも、他の方法を用いて、ロック部材と配線基板の係止を解除することができる。この結果、基板の設計レイアウトの自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)及び図1(B)は、電気コネクタの斜視図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、フレキシブルプリント基板の端部の斜視図である。
図3図3(A)は、ハウジングの斜視図である。図3(B)は、ハウジングの上面図である。図3(C)は、ハウジングの背面図である。図3(D)は、図3(B)のA−A断面図である。
図4図4(A)は、シェルの斜視図である。図4(B)は、シェルの上面図である。図4(C)は、シェルの正面図である。図4(D)は、シェルの底面図である。
図5図5(A)は、ロック爪の斜視図である。図5(B)は、ロック爪の上面図である。図5(C)は、ロック爪の正面図である。図5(D)は、ロック爪とフレキシブルプリント基板とが摺動する様子を示す図である。
図6】配線基板を挿入する際の動作を示す図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、ロック爪が切欠きと係止した状態を示す図である。
図8図8(A)、図8(B)及び図8(C)は、解除方法(その1)において加えられる力を示す図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、解除方法(その1)におけるロック部材の変形前後の様子を示す図である。
図10図10(A)、図10(B)及び図10(C)は解除方法(その2)において加えられる力を示す図である。
図11図11(A)及び図11(B)は、解除方法(その2)におけるロック部材の変形前後の様子を示す図である。
図12】解除方法(その3)を示す図である。
図13】解除方法(その4)を示す図である。
図14】ロック爪が移動する方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(電気コネクタ)
以下、本発明の実施の形態に係る電気コネクタ1Aについて、図面を参照して説明する。なお、各図において、電気コネクタ1Aの長手方向をx軸方向、短手方向をy軸方向、厚さ方向をz軸方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。また、各軸の矢印方向を+(プラス)で示し、その反対方向を−(マイナス)で示す。
【0017】
図1(A)に示すように、電気コネクタ1Aは、回路基板2の+z側の平面上(zの値が大きい方の平面上)に実装される。回路基板2は、例えば電気機器又は電子機器を制御する半導体チップ等が実装された主回路基板である。
【0018】
電気コネクタ1Aは、図2(A)及び図2(B)に示すFPC(フレキシブルプリント基板)3を、回路基板2に電気的及び物理的に接続する。図2(A)は、FPC3の+y側の端部を+z側の斜め上方から見た斜視図であり、図2(B)は、FPC3の+y側の端部を−z側の斜め上方から見た斜視図である。
【0019】
図2(A)及び図2(B)に示すように、FPC3は、可撓性のある平板状の配線基板である。図2(B)に示すように、FPC3の+y側の端部の−z側には、複数の接点4がx軸方向に等間隔で並設されている。FPC3の+y側端部近傍の幅方向(x軸方向)両端には、切欠き5が設けられている。
【0020】
上述した「電気的に接続」とは、FPC3の各接点4と回路基板2上に形成された回路(図示しない)とを導通させることをいう。また、「物理的に接続」とは、FPC3の端部を回路基板2に固定することをいう。
【0021】
(ハウジング)
図1(A)及び図1(B)に示すように、電気コネクタ1Aは、ハウジング10Aと、一対のロック部材11とを備えたシェル10Bと、を含んで構成されている。ハウジング10Aは−z側に置かれ、シェル10Bは+z側に置かれている。
【0022】
図3(A)、図3(B)、図3(C)及び図3(D)に示すように、ハウジング10Aには、コンタクト21が長手(x軸)方向に等間隔で並んで設けられている。図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)に示すように、一対のロック部材11は、シェル10Bのx軸方向両端で、+y側から−y方向に向かって延びている。
【0023】
ハウジング10Aは、絶縁素材である高分子樹脂から形成されている。ハウジング10Aは、全体としてx軸方向に細長い直方体となっている。本実施の形態では、−x方向を左方向とし、+x方向を右方向とする。また、−y方向を正面方向とし、+y方向を背面方向とする。+z方向を上面方向とし、−z方向を底面方向とする。ハウジング10Aには、FPC3を電気コネクタ1Aから抜き出すときにロック爪22を退避させるための凹部30が設けられている。
【0024】
(シェル)
シェル10Bは、金属の素材で形成されている。図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)に示すように、シェル10Bは、上板26を備えている。上板26は、x軸方向を長手方向とし、y軸方向を短手方向とする長方形状の平板である。上板26の+y端には、側板27が設けられている。側板27のx軸方向両端からロック部材11が−y方向に延びている。
【0025】
電気コネクタ1Aでは、正面(−y面)が、FPC3の挿入口となる。この挿入口は、FPC3を十分に挿入できる大きさを有している。電気コネクタ1Aの内部には、この挿入口を介してFPC3の+y側の端部が挿入され、収容される収容空間が設けられている。この収容空間に、図2(A)及び図2(B)に示すFPC3の+y側の端部が+y方向へ挿入される。シェル10Bには、挿入されるFPC3を−z方向に抑え込む抑え25が設けられている。この抑え25により、FPC3の+z軸方向の移動が規制されている。
【0026】
FPC3が挿入される収容空間では、複数の挿入溝に挿入されたコンタクト21が長手(x軸)方向に等間隔で並んでいる。コンタクト21は、例えば金属等の導通素材から構成されている。コンタクト21は、FPC3の接点4と接触する。コンタクト21の配列間隔は、FPC3の接点4の配列間隔と同じである。FPC3が電気コネクタ1Aに挿入されると、各コンタクト21が、いずれかの接点4と接触するようになる。コンタクト21は、+y側にも張り出し、電気コネクタ1Aが実装される回路基板2の回路(図示しない)とも接続されている。
【0027】
一対のロック部材11が、電気コネクタ1Aに挿入されたFPC3をその幅方向(x軸方向)に互いに挟むように延びている。各ロック部材11では、+y端がシェル10Bに固定された固定端であり、−y端が自由端である。各ロック部材11は、可撓性を有する板バネ部材である。ロック部材11は、異なる複数の方向に湾曲可能となっている。例えば、ロック部材11は、x軸方向(z軸周り)にも、z軸方向(x軸周り)にも撓むことができる。
【0028】
各ロック部材11の−y端には、ロック爪22が設けられている。ロック爪22は、FPC3の切欠き5に一部が入る大きさである。ロック爪22は、電気コネクタ1AにFPC3が挿入されたときに、FPC3の幅方向(x軸方向)両縁に設けられた切欠き5と係止する。各ロック部材11とFPC3の切欠き5とが係止すると、FPC3は電気コネクタ1Aの最奥(+y側)まで入り込んだ状態となる。このとき、FPC3の接点4と電気コネクタ1Aのコンタクト21とが接触する。
【0029】
ロック爪22は、図5(A)に示すように、−y側に向かってテーパ状となっており、第2の傾斜面23を有している。また、ロック爪22は、−x側(FPC3側)に向かってテーパ状となっており、第1の傾斜面24を有している。
【0030】
第2の傾斜面23は、FPC3がハウジング10Aに挿入されたときに、FPC3の端部が図5(B)に示すように当接するように設けられている。FPC3が電気コネクタ1Aの内部にさらに進入すると、FPC3の作用により、ロック部材11が矢印Bの方向に変形する。この変形により、FPC3は、第2の傾斜面23上を矢印Aの方向に摺動する。FPC3は、ロック爪22がFPC3の切欠き5の位置に達するまで、電気コネクタ1Aの奥側(+y側)に入り込む。これにより、ロック爪22がFPC3の切欠き5に係止される。
【0031】
このように、ロック爪22の第2の傾斜面23は、FPC3を電気コネクタ1Aの奥側まで進入させロック爪22が切欠き5と係止するまで、ロック爪22を矢印Bの方向に変位させるために設けられている。第2の傾斜面23の傾斜角度は、好ましくはy軸に対して45度以内であるのが望ましい。また、第2の傾斜面23は、FPC3が滑らかに摺動するような面粗さとなっているのが望ましい。
【0032】
図5(C)に示すように、第1の傾斜面24は、電気コネクタ1Aに挿入されるFPC3と当接する位置に設けられている。電気コネクタ1Aに挿入されたFPC3に向かって一方のロック部材11の先端を−x方向(第1の方向)に変位させ、他方のロック部材11の先端を+x方向(第1の方向)に変位させると、例えば、図5(D)に示すように、両ロック爪22の第1の傾斜面24がFPC3と当接する。第1の傾斜面24がFPC3と当接した後、さらに両ロック部材11の先端に−x方向、+x方向の力を加えると、ロック爪22がFPC3に対して−z側の幅広面の方向(矢印Cの方向)に摺動して、ロック部材11のさらなる変形を許容するようになっている。
【0033】
次に、電気コネクタ1Aに、FPC3を挿入し、抜き出す場合の動作について説明する。
【0034】
まず、電気コネクタ1AにFPC3を挿入する動作について説明する。図6に示すように、FPC3が−y側から+y方向に向かってハウジング10Aに挿入される。図5(B)に示すように、FPC3は、ロック爪22の第2の傾斜面23に当接して摺動する(矢印Aの方向)。これにより、ロック部材11が、x軸方向の外側(矢印Bの方向)に湾曲して、ロック爪22がFPC3の外側に移動し、FPC3が電気コネクタ1Aのさらに+y側に入り込む。
【0035】
FPC3の切欠き5がロック爪22の位置まで来ると、ロック部材11がFPC3の切欠き5に入り込み、図7(A)及び図7(B)に示される状態となる。すなわち、ロック部材11がFPC3の切欠き5と係止する。これにより、FPC3が電気コネクタ1Aにロックされる。
【0036】
続いて、電気コネクタ1AからFPC3を抜き出す解除方法について説明する。抜き出す解除方法には、例えば以下の2つの方法がある。
【0037】
(解除方法その1)
解除方法その1は、図8(A)、図8(B)及び図8(C)に示すように、一対のロック部材11の先端を矢印Eの方向(第1の方向)、すなわちx軸方向に挟み込む方法である。このようにすれば、各ロック部材11は、FPC3の方向に撓むようになる。図9(A)に示す状態では、ロック爪22は、FPC3の切欠き5と係止している。この状態で、作業者は、一対のロック部材11の先端を矢印Eの方向、すなわちx軸方向に挟みこむ。これにより、図5(D)に示すように、第1の傾斜面24がFPC3に当接し、ロック部材11が−z側に湾曲しながら、第1の傾斜面24がFPC3上を摺動する(矢印C参照)。この結果、図9(B)に示すように、ロック爪22が、FPC3の幅広面(−z側面)側に入り込み、ハウジング10Aの凹部30内に退避する。これにより、ハウジング10Aの凹部30内でロック爪22とFPC3の切欠き5との係止が解除される。この状態であれば、FPC3を電気コネクタ1Aから容易に抜き出すことができる。
【0038】
(解除方法その2)
解除方法その2は、図10(A)、図10(B)及び図10(C)に示すように、一対のロック部材11の先端を矢印Fの方向、−z方向(回路基板2の方向、第2の方向)に押し下げる方法である。このようにすれば、各ロック部材11は、−z方向に撓むようになる。図11(A)に示す状態では、ロック爪22は、FPC3の切欠き5と係止している。この状態で、作業者は、一対のロック部材11の先端を矢印Fの方向、すなわち−z方向に押し下げる。これにより、図11(B)に示すように、ロック爪22が、FPC3の切欠き5の−z側にずれて、ロック爪22とFPC3の切欠き5との係止が解除される。この状態であれば、FPC3を電気コネクタ1Aから容易に抜き出すことができる。
【0039】
次に、本実施の形態に係る電気コネクタ1Aの製造工程について説明する。まず、射出成形によりハウジング10Aを成形し、シェル10Bは、平板状の金属部材に対して、スタンピング等を使って打ち抜き加工や曲げ加工をおこなって形成する。次に、ハウジング10Aの内部にコンタクト21を圧入する。次に、図示しない係合部で、ハウジング10Aとシェル10Bを係合させることで、ハウジング10Aが形成される。
【0040】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、ロック部材11の撓み方がそれぞれ異なる複数の方法で、ロック部材11とFPC3の係止を解除することができる。これにより、ある方法では、回路基板2に実装された部品が邪魔をして、ロック部材11とFPC3の係止の解除が困難な場合でも、他の方法を用いて、ロック部材11とFCP3との係止を解除することができる。この結果、回路基板2の設計レイアウトの自由度を向上することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、図9(A)及び図9(B)に示すように、ロック爪22には、電気コネクタ1Aに挿入されたFPC3に向かって各ロック部材11が変形した際、ロック爪22をFPC3に摺動させながら、FPC3の一方の幅広面(−z側の面)に各ロック部材11を移動させるための第1の傾斜面24が設けられている。このようにすれば、一対のロック部材11をx軸方向に挟み込むことで、ロック爪22をFPC3の−z側の幅広面に滑り込ませて、ロック爪22とFPC3の切欠き5との係止を解除することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ロック爪22をFPC3の−z側の幅広面に滑り込ませたが、これには限られない。第1の傾斜面24の向きを逆にして(+z側を向くようにして)、ロック爪22をFPC3の+z側の幅広面に滑り込ませるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態によれば、ロック部材11を−z側に押し込むことにより、ロック爪22とFPC3の切欠き5との係止を解除することもできるようにした。これにより、電気コネクタ1Aは、2つの異なる解除方法を有することになる。この結果、回路基板2の設計レイアウトの自由度を向上することができる。
【0044】
なお、図12に示すように、ロック部材11の先端を+z側(矢印Gの方向)に撓ませることにより、ロック爪22とFPC3の切欠き5との係止を解除するようにしてもよい。
【0045】
ロック爪22の解除方法は、上述のものには限られない。一対のロック部材11がFPC3の幅方向(x軸方向)と交差する方向に変位してFPC3の切欠き5とロック爪22との係止を解除するようにしてもよい。
【0046】
また、図13に示すように、一対のロック部材11がFPC3と逆方向(FPC3から離れる方向、第3の方向)に変位してFPC3の切欠き5とロック爪22との係止を解除するようにしてもよい。
【0047】
図14には、ロック爪22をFPC3の切欠き5から解除する際に、ロック爪22が移動する方向が模式的に示されている。−x側のロック爪22が移動する方向(ロック部材11の先端が移動する方向)が矢印DLで示され、+x側のロック爪22が移動する方向が矢印DRで示されている。矢印DL、DRは、xz平面内の任意の方向でよく、それぞれ独立に設定することができる。例えば、矢印DLが+zの方向を向き、矢印DRが−zの方向を向くようにしてもよい。要は、ロック爪22がFPC3の切欠き5から離れる方向に一対のロック部材11が変形して切欠き5とロック爪22との係止を解除すればよい。
【0048】
また、本実施の形態によれば、ロック爪22には、FPC3を電気コネクタ1Aに挿入する際に、当接したFPC3と摺動して一対のロック部材11を変形させることで、ロック爪22とFPC3との干渉を避けるための第2の傾斜面23が設けられている。このようにすれば、FPC3をハウジング10Aにワンタッチで挿入することができる。この結果、組立工程を短縮して製造コストを低減することができる。
【0049】
本実施の形態によれば、ロックの解除方法が異なる複数種類のコネクタを揃える必要がなくなる。この結果、基板の製造工程を簡略化することができるうえ、基板の製造コストの低減を実現することができる。
【0050】
上記実施の形態では、ロック部材11が、x軸方向(矢印Eの方向)にFPC3の切欠き5に入り込んでこれと係止したが、これには限られない。ロック部材が、z軸方向からFPC3の切欠き5に入り込んで先端のロック爪と切欠き5とを係止させるものであってもよい。この場合、ロック爪は、x軸方向及びz軸方向に退避できるようになっていればよい。このように、ロック部材とFPC3の係止の向きに特に制限はない。
【0051】
上記実施の形態では、本発明を、FPC3を回路基板2に電気的及び物理的に接続する電気コネクタ1Aに適用する場合について説明したが、本発明は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)を回路基板2に電気的及び物理的に接続する電気コネクタにも適用することができる。その他の平板状の配線部材についても、本発明を適用可能である。
【0052】
上記実施の形態に係る電気コネクタ1Aは、小型化、低背化が可能である。これにより、電気コネクタ1Aが実装される回路基板2の設計の自由度を向上することができる。
【0053】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、各種電気機器、電子機器の回路基板に実装される多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1A 電気コネクタ、2 回路基板、3 FPC、4 接点、5 切欠き、10A ハウジング、10B シェル、11 ロック部材、21 コンタクト、22 ロック爪、23 第2の傾斜面、24 第1の傾斜面、25 抑え、26 上板、27 側板、30 凹部。
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