特許第6394330号(P6394330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394330
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20180913BHJP
   H02K 27/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B25F5/00 B
   B25F5/00 G
   H02K27/00
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-240796(P2014-240796)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-101618(P2016-101618A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一
(72)【発明者】
【氏名】冨山 健
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−050957(JP,A)
【文献】 特開2013−176819(JP,A)
【文献】 米国特許第05089729(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02209885(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H02K 27/00
H02K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータのロータの回転と停止とを切り替え可能な電動作業機であって、
作業者により操作されて前記ロータの回転と停止とを切り替えるトリガと、
前記ロータを収容したハウジングと、
前記ロータの軸線を中心として前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、かつ、前記トリガを操作しても前記ロータが回転しない第1位置と、前記トリガを操作すると前記ロータが回転する第2位置と、に切り替えられる切替部材と、
を有し、
前記切替部材は、前記軸線を中心として円周方向に配置された第1ガイド部を備え、
前記ハウジングは、前記軸線を中心として円周方向に配置され、かつ、前記第1ガイド部と協働して前記軸線を中心とする径方向に前記切替部材を位置決めする第2ガイド部を備え、
前記第2ガイド部は、前記軸線を中心とする径方向で前記第1ガイド部よりも内側に配置され、
前記軸線を中心とする径方向で、前記第1ガイド部の内面と前記第2ガイド部の外面との間に隙間が形成され、
前記切替部材が前記第1位置にある場合の隙間量よりも、前記切替部材が前記第2位置にある場合の隙間量の方が小さい、電動作業機。
【請求項2】
前記ロータは、通電されて回転磁界を形成するアーマチュアを備え、
前記切替部材は、前記アーマチュアに接触する2個の通電用ブラシを支持し、かつ、前記ハウジングに対して回転されると、前記2個の通電用ブラシに対する電流の向きを変更する、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記内面は、前記軸線を中心とする径方向の寸法が異なる第1部分及び第2部分を有し、前記第2部分は前記第1部分よりも前記寸法が小さく構成され、
前記外面は、前記軸線を中心とする径方向の寸法が互いに異なる第3部分及び第4部分を有し、
前記第4部分は、前記第3部分よりも前記寸法が小さい、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記第2部分及び前記第3部分は、前記切替部材が前記第2位置にあると、前記軸線を中心とする円周方向における配置範囲の少なくとも一部が重なる、請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記切替部材が前記第1位置にある場合の前記隙間量よりも、前記切替部材が前記第2位置にある場合の前記隙間量を小さくする隙間量調整機構が設けられ、
前記隙間量調整機構は、
前記第1ガイド部の内面に前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第1平坦面及び第1円弧面と、
前記第2ガイド部の外面に前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第2平坦面及び第2円弧面と、
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記切替部材が前記第2位置にある場合は、前記径方向で前記第1平坦面の内側に前記第2円弧面が位置し、かつ、前記第1円弧面の内側に前記第2平坦面が位置し、
前記切替部材が前記第1位置にある場合は、前記径方向で前記第1平坦面の内側に前記第2平坦面が位置し、かつ、前記第1円弧面の内側に前記第2円弧面が位置し、
前記切替部材が前記第2位置にある場合に、前記第1平坦面と前記第2円弧面との間に形成される前記隙間量は、前記切替部材が前記第1位置にある場合に、前記第1円弧面と前記第2円弧面との間に形成される前記隙間量よりも小さい、請求項5に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記第1ガイド部は、前記軸線を中心とする円周方向で点対称となる2箇所に配置され、
前記第2ガイド部は、前記軸線を中心とする円周方向で点対称となる2箇所に配置され、
前記2個の通電用ブラシは、前記軸線を中心とする円周方向で前記第2ガイド部同士の間に1個ずつ配置されている、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記ロータは、正回転と逆回転とを切り替え可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記切替部材は、前記ロータを正回転する場合と、前記ロータを逆回転する場合とで、前記ハウジングに対する回転方向が異なる、請求項8に記載の電動作業機。
【請求項10】
電動モータのロータの回転と停止とを切り替え可能な電動作業機であって、
前記ロータを支持するハウジングと、
前記ハウジングに対して前記ロータの軸線を中心として回転可能に設けられ、かつ、前記ロータの回転と停止とを切り替える切替部材と、
前記切替部材に前記軸線を中心として円周方向に配置された第1ガイド部と、
前記ハウジングに前記軸線を中心として円周方向に配置され、かつ、前記第1ガイド部よりも内側に配置された第2ガイド部と、
前記第1ガイド部の内面に設けられ、かつ、前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第1平坦面及び第1円弧面と、
前記第2ガイド部の外面に設けられ、かつ、前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第2平坦面及び第2円弧面と、
を備え、
前記軸線を中心とする前記第2円弧面の第1半径と、
前記軸線を中心とする前記第1円弧面の第2半径と、
前記軸線から前記第2平坦面に至る最短の第1距離と、
前記軸線から前記第1平坦面に至る最短の第2距離と、
の大小関係は、
第2距離≦第1半径<第2半径、
かつ、
第1距離<第2距離、
である、電動作業機。
【請求項11】
前記第1ガイド部は、前記軸線を中心とする円周方向で点対称となる2箇所に配置され、
前記第2ガイド部は、前記軸線を中心とする円周方向で点対称となる2箇所に配置され、
前記ロータは、通電されて回転磁界を形成するアーマチュアを備え、
前記切替部材は、前記アーマチュアに接触する2個の通電用ブラシを支持し、かつ、前記ハウジングに対して回転されると、前記2個の通電用ブラシに対する電流の向きを変更し、
前記2個の通電用ブラシは、前記軸線を中心とする円周方向で、前記第1ガイド部同士の間に1個ずつ配置されている、請求項10に記載の電動作業機。
【請求項12】
前記ロータは、正回転と逆回転とを切り替え可能である、請求項10または11に記載の電動作業機。
【請求項13】
前記切替部材は、前記ロータを正回転する場合と、前記ロータを逆回転する場合とで、前記ハウジングに対する回転方向が異なる、請求項12に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータのロータを回転と停止とに切り替え可能な電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動作業機としてのドリルは、作業工具にトルクを伝達するロータの回転方向を切り替えることができる。このような電動作業機が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された電動作業機は、ハウジングと、ハウジング内に設けた電動モータと、を有する。電動モータはステータ及びロータを備え、ステータは、電流が流れるコイルを有し、ロータに整流子が設けられている。また、ステータはハウジングに取り付けられており、ステータの外周面に切替部材が設けられている。切替部材は筒形状であり、切り替部材は、ステータに対してロータの軸線回りで回動可能である。
【0003】
切替部材に、コイルに接続された接点が設けられている。また、切替部材はブラシを保持しており、ブラシは整流子に接触する。特許文献1に記載された電動作業機は、作業者が切替部材をハウジングに対して回転させて、コイルに流れる電流の向き、コイルに接続された電気回路の接続または遮断を切り替える。その結果、ロータの停止と回転とが切り替えられ、また、ロータが回転する場合の正回転と逆回転とが切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−16052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された電動作業機は、ロータを回転させる場合に、切替部材がハウジングに対して軸線を中心とする径方向に動く問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ロータを回転させる場合に、切替部材がハウジングに対して軸線を中心とする径方向に動くことを抑制できる、電動作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の電動作業機は、電動モータのロータの回転と停止とを切り替え可能な電動作業機であって、作業者により操作されて前記ロータの回転と停止とを切り替えるトリガと、前記ロータを収容したハウジングと、前記ロータの軸線を中心として前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、かつ、前記トリガを操作しても前記ロータが回転しない第1位置と、前記トリガを操作すると前記ロータが回転する第2位置と、に切り替えられる切替部材と、有し、前記切替部材は、前記軸線を中心として円周方向に配置された第1ガイド部を備え、前記ハウジングは、前記軸線を中心として円周方向に配置され、かつ、前記第1ガイド部と協働して前記軸線を中心とする径方向に前記切替部材を位置決めする第2ガイド部を備え、前記第2ガイド部は、前記軸線を中心とする径方向で前記第1ガイド部よりも内側に配置され、前記軸線を中心とする径方向で、前記第1ガイド部の内面と前記第2ガイド部の外面との間に隙間が形成され、前記切替部材が前記第1位置にある場合の隙間量よりも、前記切替部材が前記第2位置にある場合の隙間量の方が小さい。
【0008】
他の実施形態の電動作業機は、前記ロータを支持するハウジングと、前記ハウジングに対して前記ロータの軸線を中心として回転可能に設けられ、かつ、前記ロータの回転と停止とを切り替える切替部材と、前記切替部材に前記軸線を中心として円周方向に配置された第1ガイド部と、前記ハウジングに前記軸線を中心として円周方向に配置され、かつ、前記第1ガイド部よりも内側に配置された第2ガイド部と、前記第1ガイド部の内面に設けられ、かつ、前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第1平坦面及び第1円弧面と、前記第2ガイド部の外面に設けられ、かつ、前記軸線を中心とする円周方向に沿って配置された第2平坦面及び第2円弧面と、を備え、前記軸線を中心とする前記第2円弧面の第1半径と、前記軸線を中心とする前記第1円弧面の第2半径と、前記軸線から前記第2平坦面に至る最短の第1距離と、前記軸線から前記第1平坦面に至る最短の第2距離と、の大小関係は、第2距離≦第1半径<第2半径、かつ、第1距離<第2距離、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、切替部材が、ハウジングに対して径方向に動くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電動作業機の実施形態を示す正面断面図である。
図2】本発明の電動作業機の正面図である。
図3】本発明の電動作業機における電気回路を示す模式図である。
図4】本発明の電動作業機に用いる部品の分解斜視図である。
図5】本発明の電動作業機に用いる部品の分解斜視図である。
図6】本発明の電動作業機に用いる部品を組み立てた斜視図である。
図7】本発明の電動作業機において、ハンドルを取り除いた左側面図である。
図8】本発明の電動作業機において、ハンドルを取り除いた左側面図である。
図9】本発明の電動作業機において、ハンドルを取り除いた左側面図である。
図10】本発明の電動作業機において、ケーシングとブラシサポートとの位置関係を示す右側面図である。
図11】本発明の電動作業機において、ケーシングとブラシサポートとの位置関係を示す右側面図である。
図12】本発明の電動作業機において、ケーシングとブラシサポートとの位置関係を示す右側面図である。
図13】本発明の電動作業機において、ブラシサポートを第1操作位置に停止させた左側面図である。
図14】本発明の電動作業機において、ブラシサポートを第2操作位置に停止させた左側面図である。
図15】本発明の電動作業機において、ブラシサポートを第3操作位置に停止させた左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電動作業機の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る電動作業機10は、対象物に穴や溝等を形成することが可能なドリルである。電動作業機10は、作業者が手で掴むハンドル11と、ハンドル11に固定されたハウジング12と、ハウジング12に固定されるインナカバー13と、インナカバー13に固定されるギヤカバー14と、を備えている。ハンドル11は合成樹脂製であり、ハウジング12は金属製であり、ハウジング12に用いる金属は、例えば、アルミニウム、マグネシウムを含む。また、インナカバー13は、合成樹脂製または金属製である。ギヤカバー14は、合成樹脂製または金属製である。
【0013】
ハンドル11に電力ケーブル15が取り付けられており、電力ケーブル15の端部に設けたプラグ16は交流電源90に接続される。ハウジング12の内部及びインナカバー13の内部に亘って電動モータ17が設けられている。電動モータ17は、交流モータであり、電動モータ17は、ステータ18及びロータ19を備えている。インナカバー13及びギヤカバー14の内部に減速機構が設けられており、ロータ19のトルクが減速機構の入力部材に伝達される。ギヤカバー14の外部にチャック20が設けられており、減速機構の出力部材のトルクがチャック20に伝達される。つまり、チャック20は、ロータ19に対して動力伝達可能に接続されている。チャック20は作業工具としてのドリルビットを保持する。
【0014】
ロータ19の回転中心である軸線A1と、チャック20の回転中心である軸線B1とは、互いに平行である。つまり、電動作業機10は、ロータ19とチャック20とが互いに偏心して配置されている。軸線A1に沿った方向で、ハウジング12は、インナカバー13とハンドル11との間に配置され、インナカバー13は、ギヤカバー14とハウジング12との間に配置されている。ハウジング12とインナカバー13とギヤカバー14とを互いに固定するねじ部材21が設けられている。また、ハウジング12とハンドル11とを互いに固定するねじ部材22Aが設けられている。
【0015】
ステータ18は、円筒形状のステータホルダ24内に固定されている。ステータ18は、鉄心と、鉄心に巻き付けたコイル23A,23Bとを有する。ステータ18は界磁として機能する要素である。ステータホルダ24は、絶縁材料、例えば合成樹脂で一体成形されている。ステータホルダ24は、ハウジング12内に配置されて固定されている。また、コイル23Aを被覆する絶縁体25Aが設けられ、コイル23Bを被覆する絶縁体25Bが設けられている。絶縁体25A,25Bとしては、紙を用いることができる。ステータホルダ24における軸線A1に沿った方向の端部から、軸線A1に沿った方向に延ばされた一対の張り出し部26が設けられており、一対の張り出し部26を接続する接続部35が設けられている。接続部35に軸孔27が設けられている。さらに、ステータホルダ24の外周面に、軸孔41を有するボス部42が設けられている。軸孔41にねじ部材22Bが挿入して締め付けられ、ハンドル11とステータホルダ24とが固定されている。
【0016】
一方、ロータ19は、出力軸28と、出力軸28に取り付けられたアーマチュア29と、を有する。アーマチュア29は、鉄心にコイルを巻いたものである。また、出力軸28に取り付けられ、かつ、アーマチュア29に電流を供給する整流子30が設けられている。整流子30は、ステータホルダ24の外に配置され、かつ、張り出し部26同士の間に配置されている。
【0017】
ハウジング12は、筒部31と、筒部31から軸線A1に沿った方向に延ばされた一対のガイドレール32A,32Bと、ガイドレール32A,32Bを接続する保持部33と、を備えている。ガイドレール32A,32Bは、軸線A1を中心とする径方向で、一対の張り出し部26の外側に配置されている。ガイドレール32A,32Bは、軸線A1を中心とする円周方向で、点対称となる所定角度の範囲内に、それぞれ円弧状に設けられている。
【0018】
ガイドレール32Aとガイドレール32Bとは、軸線A1を中心とする円周方向で正反対の範囲に設けられている。保持部33は、円筒形状であり、保持部33内に軸受34が設けられている。軸受34は、出力軸28を回転可能に支持している。出力軸28の一部は軸孔27に配置されている。張り出し部26及びガイドレール32A,32B及び軸受34は、ハンドル11内に配置されている。
【0019】
筒部31の軸線A1に沿った方向で、ガイドレール32A,32Bが設けられている端部に切り欠き部36A,36Bが設けられている。切り欠き部36A,36Bは、軸線A1を中心とする所定角度の範囲内で円弧状に設けられている。切り欠き部36A,36Bは、軸線A1を中心とする円周方向で、ガイドレール32A,32Bが配置されている範囲とは異なる範囲に配置されている。さらに、筒部31の軸線A1に沿った方向で、ガイドレール32A,32Bが設けられている端部に規制部38が設けられている。規制部38は、軸線A1を中心とする筒部31の円周方向で、切り欠き部36A,36Bとは異なる2箇所に配置されている。軸線A1を中心とする筒部31の円周方向で、2つの規制部38が配置されている範囲は、ガイドレール32A,32Bが設けられている範囲と同じである。
【0020】
ガイドレール32Aの外面に、2つの円弧面100A,100Bと、平坦面100Cと、が設けられている。ガイドレール32Aの外面において、軸線A1に沿った方向で、保持部33と規制部38との中間位置よりも、規制部38に近い位置に、2つの円弧面100A,100B及び平坦面100Cが設けられている。2つの円弧面100A,100B及び平坦面100Cは、軸線A1方向で所定の幅を有する。また、平坦面100Cは、軸線A1を中心とする円周方向で円弧面100Aと円弧面100Bとの間に配置されている。軸線A1に対して垂直な平面視で、円弧面100A,100Bは、軸線A1を中心とする曲率で半径L1に設定されている。また、軸線A1と平坦面100Cとの間に最短の距離L2が設定されている。距離L2は、軸線A1から平坦面100Cに至り、かつ、平坦面100Cに対して直角な直線の長さである。
【0021】
ガイドレール32Bの外面に、2つの円弧面101A,101Bと、平坦面101Cと、が設けられている。ガイドレール32Bの外面において、軸線A1に沿った方向で、保持部33と規制部38との中間位置よりも、規制部38に近い位置に、2つの円弧面101A,101B及び平坦面101Cが設けられている。2つの円弧面101A,101B及び平坦面101Cは、軸線A1方向で所定の幅を有する。また、平坦面101Cは、軸線A1を中心とする円周方向で円弧面101Aと円弧面101Bとの間に配置されている。軸線A1に対して垂直な平面視で、円弧面101A,101Bは、軸線A1を中心とする曲率で半径L1に設定されている。また、軸線A1と平坦面101Cとの間に最短の距離L2が設定されている。距離L2は、軸線A1から平坦面101Cに至り、かつ、平坦面101Cに対して直角な直線の長さである。
【0022】
さらに、筒部31の外周面に、軸孔39を有するボス部40が設けられている。ねじ部材22Aは軸孔39に挿入されて締め付けられる。さらに、ボス部42は、切り欠き部36Bに配置されている。
【0023】
ハンドル11にトリガ62が設けられている。トリガ62は作業者により操作される。トリガ62に突起部87が設けられており、突起部87はストッパ88を有する。ガイドレール32A,32Bの外面にブラシサポート43が取り付けられている。ブラシサポート43は、絶縁材料、例えば、合成樹脂製である。ブラシサポート43は環状であり、ブラシサポート43は、一対の円弧部44A,44Bと、一対の円弧部44A,44Bの第1端部同士を接続する第1プレート部45と、一対の円弧部44A,44Bの第2端部同士を接続する第2プレート部46と、を備えている。第1プレート部45と第2プレート部46とは、ブラシサポート43の円周方向で異なる位置に配置されている。
【0024】
ガイドレール32A,32Bは、軸線A1を中心とする径方向で、一対の円弧部44A,44Bの内側に位置する。軸線A1を中心とする円周方向で、第1プレート部45は、切り欠き部36Aに対応する箇所に配置され、第2プレート部46は、切り欠き部36Bに対応する箇所に配置されている。一対の円弧部44A,44Bの外周面から、それぞれ外側に向けて張り出したつまみ部47が設けられている。
【0025】
円弧部44A,44Bは、ガイドレール32A,32Bと協働して、ブラシサポート43を、ハウジング12に対して径方向に位置決めする。円弧部44Aの内面に、円周方向で異なる位置に3つの平坦面102A,102B,102Cが設けられている。また、円弧部44Aの内面に、平坦面102Aと平坦面102Bとの間に円弧面103Aが設けられ、平坦面102Bと平坦面102Cとの間に円弧面103Bが設けられている。さらに、軸線A1から、平坦面102A,102B,102Cまでの間にそれぞれ最短の距離L3が設定されている。距離L3は、軸線A1から平坦面102A,102B,102Cのそれぞれに至り、かつ、平坦面102A,102B,102Cのそれぞれに対して直角な直線の長さである。円弧面103A,103Bは、軸線A1を中心とする曲率で半径L4に設定されている。
【0026】
円弧部44Bの内面に、円周方向で異なる位置に3つの平坦面104A,104B,104Cが設けられている。また、円弧部44Bの内面における平坦面104Aと平坦面104Bとの間に円弧面105Aが設けられ、平坦面104Bと平坦面104Cとの間に円弧面105Bが設けられている。さらに、軸線A1から、平坦面104A,104B,104Cまでの間にそれぞれ最短の距離L3が設定されている。距離L3は、軸線A1から平坦面104A,104B,104Cのそれぞれに至り、かつ、平坦面104A,104B,104Cのそれぞれに対して直角な直線の長さである。円弧面105A,105Bは、軸線A1を中心とする曲率で半径L4に設定されている。
【0027】
上記した半径L1,L4、及び距離L2,L3の大小関係は、
距離L3≦半径L1<半径L4
かつ、
距離L2<距離L3
である。
【0028】
ブラシサポート43が、ガイドレール32A,32Bの外面に取り付けられた状態で、軸線A1に沿った方向で、円弧面100A,100B,101A,101B、及び平坦面100C,101Cの配置範囲は、平坦面102A,102B,102C、円弧面103A,103B、平坦面104A,104B,104C、円弧面105A,105Bの配置範囲と、少なくとも一部が重なる。
【0029】
ブラシサポート43の第1プレート部45に、ブラシホルダ50を介してブラシ51が取り付けられ、第2プレート部46に、ブラシホルダ52を介してブラシ53が取り付けられている。ブラシサポート43は、2個のブラシ51,53を支持している。ブラシ51,53は、共にカーボン製であり、かつ、軸線A1を中心とする径方向で、ブラシサポート43の内側に設けられている。2個のブラシ51,53は、軸線A1を中心とする円周方向で、180度の間隔で配置されている。ブラシ51,53は、整流子30に対する通電用である。ブラシ51,53は、弾性体84により径方向で内側に向けて押されており、ブラシ51,53は整流子30に接触する。
【0030】
第2プレート部46の外周に、2つのスリット54,55が設けられている。スリット54,55は、軸線A1を中心とする円周方向で間隔をおいて配置されている。また、第2プレート部46は、軸線A1を中心とする円周方向でスリット54とスリット55との間に配置されたブロック部56を備えている。軸線A1を中心とする径方向で、スリット54,55及びブロック部56の配置位置は、ストッパ88の配置位置と一部が重なる。軸線A1を中心とする径方向において、突起部87の配置範囲は、スリット54,55及びブロック部56の配置位置を含み、かつ、スリット54,55及びブロック部56の配置位置よりも外側を含む。さらに、第2プレート部46は、凸部57,58を備えている。スリット54,55及びブロック部56は、軸線A1を中心とする円周方向で、凸部57と凸部58との間に配置されている。
【0031】
さらに、軸線A1を中心とする径方向で、ブラシサポート43の内側であり、かつ、ガイドレール32の外側に、支持部材59が設けられている。支持部材59は、絶縁材料、例えば、合成樹脂で成形されており、支持部材59は、ブラシホルダ50を覆うカバー60と、ブラシホルダ52を覆うカバー61とを備えている。支持部材59は環状であり、ブラシサポート43と支持部材59とが、軸線A1を中心とする円周方向に位置決め固定されている。そして、ブラシサポート43の内面が、ガイドレール32の外面に接触した状態で、支持部材59及びブラシサポート43が、軸線A1を中心として円周方向に動作可能である。
【0032】
ハウジング12の縁部と、ハンドル11の縁部48との間に開口部49が設けられている。開口部49は、軸線A1を中心とする円周方向に180度の間隔で2箇所に配置されている。そして、2つのつまみ部47が開口部49に別々に配置されている。ブラシサポート43は、一対の円弧面44が縁部48及び規制部38に接触することで、軸線A1に沿った方向に位置決めされている。
【0033】
次に、電動モータ17の電気回路を、図1及び図3を参照して説明する。メインスイッチ63は、ケーシング89内に収容され、ケーシング89は、ハンドル11内に配置されている。ハンドル11は、ハウジング12から、軸線A1に対して交差する向きで延ばされている。ケーシング89は、絶縁材料、例えば、合成樹脂製である。メインスイッチ63は、電力ケーブル15に接続された接点64,65を備えている。また、メインスイッチ63は、コイル23Aに接続された接点66と、コイル23Bに接続された接点67とを備えている。メインスイッチ63は、接続片68,69を備えており、作業者がトリガ62に操作力を加えると、接続片68が接点64と接点66とを接続し、かつ、接続片69が接点65と接点67とを接続する。つまり、メインスイッチ63は、交流電源90と正逆切り替えスイッチ70との間の経路を接続する。これに対して、作業者がトリガ62に加えた操作力を解除すると、接点64と接点66とが離され、かつ、接点65と接点67とが離される。つまり、メインスイッチ63は、交流電源90と正逆切り替えスイッチ70との間の経路を遮断する。
【0034】
ハンドル11の内部にケーシング83が設けられている。ケーシング83は、絶縁材料、例えば合成樹脂で成形されている。正逆切り替えスイッチ70は、ケーシング83内に設けられている。また、正逆切り替えスイッチ70は、ブラシ51にリード線71を介して接続された接点72と、ブラシ53にリード線73を介して接続された接点74と、を備えている。さらに、正逆切り替えスイッチ70は、接点72に接続された接続片75と、接点74に接続された接続片76と、を備えている。
【0035】
さらに、コイル23Aにリード線85を介して接続され、かつ、互いに並列に配置された接点77,78が設けられている。コイル23Bにリード線86を介して接続され、かつ、互いに並列に配置された接点79,80が設けられている。また、接続片75,76を動作させる動作部材81が設けられており、動作部材81に突起部82が設けられている。動作部材81は、ケーシング83内に配置され、突起部82はケーシング83の外に露出している。接続片75,76は、動作部材81が動作することにより、複数の状態、つまり、第1状態〜第3状態に切り替えられる。
【0036】
接続片75の第1状態では、接続片75は接点77及び接点80から離間し、接続片76の第1状態では、接続片76が、接点78及び接点79から離間する。接続片75の第2状態では、接続片75が、接点77に接続され、かつ、接点80から離間する。接続片76の第2状態では、接続片76が、接点79に接続され、かつ、接点78から離間する。接続片75の第3状態では、接続片75が、接点80に接続され、かつ、接点77から離間する。接続片76の第3状態では、接続片76が、接点78に接続され、かつ、接点79から離間する。動作部材81は、正逆切り替えスイッチ70の要素である。
【0037】
次に、電動作業機10の使用例を説明する。作業者はハンドル11を手で掴む。図7及び図10のように、ブラシサポート43が第1操作位置にあると、ブラシ51,53は、整流子30に対して軸線C1を中心として接触する。また、作業者がトリガ62に操作力を加えても、ストッパ88がブロック部56に接触するため、トリガ62は動作しない。つまり、接点64と接点66とが離れ、かつ、接点65と接点67とが離れている。また、凸部57,58は両方とも突起部82から離れており、接続片76は接点78,79から離れ、接続片75は接点77,80から離れている。したがって、交流電源90の電圧は、ブラシ51,53に印加されず、ロータ19は停止している。
【0038】
これに対して、ロータ19を正回転させる場合は、作業者がブラシサポート43を手で掴み、図7の第1操作位置から、反時計方向に所定角度回転させ、ブラシサポート43を、図8に示す第2操作位置で停止する。ブラシサポート43が図7において反時計回りに回転すると、凸部57が突起部82に押し付けられ、動作部材81が動作する。動作部材81は、ブラシサポート43の操作に連動して動作する。動作部材81の動作により、接続片75は、接点77に接続され、かつ、接点80から離れる。また、動作部材81の動作により、接続片76は、接点79に接続され、かつ、接点78から離れる。したがって、コイル23Aはリード線71,85を介してブラシ51に接続され、コイル23Bは、リード線86,73を介してブラシ53に接続される。
【0039】
作業者が、ブラシサポート43を図7において反時計回りに回転させると、図10ではブラシサポート43が時計回りに所定角度回転し、図11のように所定位置で停止する。つまり、軸線A1を中心とする円周方向で、ストッパ88とスリット55とが同じ位置にある。このため、作業者がトリガ62に操作力を加えると、ストッパ88がスリット55に進入し、トリガ62が動作する。
【0040】
トリガ62が動作すると、メインスイッチ63がオンされる。つまり、接続片68が接点64に接続され、かつ、接続片69が接点65に接続され、交流電源90の電圧がブラシ51,53に印加され、ステータ18とアーマチュア29との相互作用により回転磁界が形成され、ロータ19が回転する。ロータ19の回転方向は、図8において時計回りであり、その回転方向を正回転と呼ぶ。ロータ19のトルクは、減速機構を介してチャック20に伝達され作業工具が所定方向に回転する。
【0041】
また、ブラシサポート43が図8の第2操作位置で停止すると、ブラシ51,53は、整流子30に対して軸線C2を中心として接触する。つまり、ブラシサポート43が図8の第2操作位置で停止すると整流子30に対するブラシ51,53の接触位置は、図7のように、ブラシサポート43が第1操作位置で停止している場合に比べて、ロータ19の回転方向とは逆向きに、角度θ1分、円周方向に移動する。
【0042】
なお、ブラシサポート43が第2位置に停止され、かつ、トリガ62に操作力を加えて作業工具にトルクを伝達している状態から、トリガ62に加える操作力を低下すると、メインスイッチ63がオフされる。つまり、ブラシ51,53に電圧が印加されなくなり、ロータ19は停止する。すなわち、トリガ62は電動モータ17の回転と停止とを切り替える。
【0043】
一方、ロータ19を逆回転させる場合は、作業者がブラシサポート43を手で掴み、図7の第1操作位置から、時計方向に所定角度回転させ、ブラシサポート43を、図9に示す第3操作位置で停止する。ブラシサポート43が図7において時計回りに回転すると、凸部58が突起部82に押し付けられ、動作部材81が動作する。動作部材81の動作により、接続片75は、接点80に接続され、かつ、接点77から離れる。また、動作部材81の動作により、接続片76は、接点78に接続され、かつ、接点79から離れる。したがって、コイル23Aはリード線73,85を介してブラシ53に接続され、コイル23Bは、リード線86,71を介してブラシ51に接続される。
【0044】
作業者が、ブラシサポート43を図7において時計回りに回転させると、図10ではブラシサポート43が反時計回りに所定角度回転し、図12のように所定位置で停止する。つまり、軸線A1を中心とする円周方向で、ストッパ88とスリット54とが同じ位置にある。このため、作業者がトリガ62に操作力を加えると、ストッパ88がスリット54に進入し、トリガ62が動作する。
【0045】
トリガ62が動作すると、メインスイッチ63がオンされる。つまり、接続片68が接点64に接続され、かつ、接続片69が接点65に接続され、交流電源90の電圧がブラシ51,53に印加され、ステータ18とアーマチュア29との相互作用により回転磁界が形成され、ロータ19及び出力軸28が一体回転する。ロータ19の回転方向は、図9において反時計回りであり、その回転方向を逆回転と呼ぶ。ロータ19のトルクは、減速機構を介してチャック20に伝達され、作業工具が図8の場合とは逆方向に回転する。
【0046】
また、ブラシサポート43が図9の第3操作位置で停止すると、ブラシ51,53は、整流子30に対して軸線C3を中心として接触する。つまり、ブラシサポート43が図9の第3操作位置で停止すると、整流子30に対するブラシ51,53の接触位置は、図7のように、ブラシサポート43が第1操作位置で停止している場合に比べて、ロータ19の回転方向とは逆向きに、角度θ2分、円周方向に移動する。
【0047】
なお、ブラシサポート43が第3操作位置で停止され、かつ、トリガ62に操作力が加えられて作業工具にトルクを伝達している状態から、トリガ62に加える操作力を低下すると、メインスイッチ63がオフされる。つまり、ブラシ51,53に電圧が印加されなくなり、ロータ19は停止する。
【0048】
上記のように、ブラシサポート43が図8の第2操作位置で停止した場合と、ブラシサポート43が図9の第3操作位置で停止した場合とを比べると、図7の第1操作位置に対するブラシサポート43の回転の向きは逆であるが、角度θ1と角度θ2とは等しい。本実施形態の電動作業機10は、ロータ19の回転方向を正回転と逆回転に切り替える操作を行うと、整流子30に対するブラシ51,53の接触位置が、ロータ19の円周方向に移動する。
【0049】
次に、ブラシサポート43の円弧部44A,44Bの内面と、ガイドレール32A,32Bの外面との間に形成される隙間の量を、図13図15を参照して説明する。より具体的には、平坦面102A,102B,102Cと、ガイドレール32Aの外面との間に形成される径方向の隙間量であり、平坦面104A,104B,104Cと、ガイドレール32Bの外面との間に形成される径方向の隙間量である。
【0050】
ブラシサポート43が、図13のように第1操作位置で停止すると、軸線A1を中心とする径方向で、円弧面103Aの内側に円弧面100Aが位置し、平坦面102Bの内側に平坦面100Cが位置し、円弧面103Bの内側に円弧面100Bが位置する。また、軸線A1を中心とする径方向で、円弧面105Aの内側に円弧面101Aが位置し、平坦面104Bの内側に平坦面101Cが位置し、円弧面105Bの内側に円弧面101Bが位置する。そして、円弧面103Aと円弧面100Aとの間に隙間量G1があり、かつ、円弧面103Bと円弧面100Bとの間に隙間量G1がある。また、円弧面105Aと円弧面101Aとの間に隙間量G1があり、かつ、円弧面105Bと円弧面101Bとの間に隙間量G1がある。隙間量G1は、ガイドレール32A,32Bの外面と、円弧部44A,44Bの内面との間に形成される隙間量の最小値である。また、隙間量G1は、半径L4から半径L1を除算した値である。
【0051】
ブラシサポート43が、図14のように第2操作位置で停止すると、軸線A1を中心とする径方向で、平坦面102Aの内側に円弧面100Aが位置し、円弧面103Aの内側に平坦面100Cが位置し、平坦面102Bの内側に円弧面100Bが位置する。また、平坦面104Bの内側に円弧面101Aが位置し、円弧面105Bの内側に平坦面101Cが位置し、平坦面104Cの内側に円弧面101Bが位置する。そして、平坦面102Bと円弧面100Bとの間に隙間量G2があり、平坦面102Aと円弧面100Aとの間に隙間量G2がある。また、平坦面104Bと円弧面101Aとの間に隙間量G2があり、平坦面104Cと円弧面101Bとの間に隙間量G2がある。隙間量G2は、ガイドレール32A,32Bの外面と、円弧部44A,44Bの内面との間に形成される隙間量の最小値である。隙間量G2は、距離L3から半径L1を除算した値である。
【0052】
ブラシサポート43が、図15のように第3操作位置で停止すると、軸線A1を中心とする径方向で、平坦面102Bの内側に円弧面100Aが位置し、円弧面103Bの内側に平坦面100Cが位置し、平坦面102Cの内側に円弧面100Bが位置する。また、平坦面104Bの内側に円弧面101Bが位置し、円弧面105Aの内側に平坦面101Cが位置し、平坦面104Aの内側に円弧面101Aが位置する。
【0053】
そして、平坦面102Bと円弧面100Aとの間に隙間量G2があり、平坦面102Cと円弧面100Bとの間に隙間量G2がある。また、平坦面104Aと円弧面101Aとの間に隙間量G2があり、平坦面104Bと円弧面101Bとの間に隙間量G2がある。隙間量G2は、ガイドレール32A,32Bの外面と、円弧部44A,44Bの内面との間に形成される隙間量の最小値である。隙間量G2は、距離L3から半径L1を除算した値である。
【0054】
本実施形態では、
距離L3≦半径L1<半径L4
かつ、
距離L2<距離L3
である。
【0055】
このため、ブラシサポート43の操作位置が、ロータ19を正回転または逆回転する第2操作位置または第3操作位置である場合の隙間量G2は、ブラシサポート43の操作位置が、ロータ19を停止する第1操作位置である場合の隙間量G1よりも小さい。つまり、ロータ19が回転している場合、円弧部44Aの内面はガイドレール32Aの外周面に接触し、円弧部44Bの内面はガイドレール32Bの外周面に接触する。この場合には、
距離L3=半径L1
の関係となる。このため、ブラシサポート43は、ハウジング12に対して同軸度が維持される。
【0056】
したがって、ロータ19が回転する場合に、ブラシサポート43がハウジング12に対して径方向に動くことを抑制できる。このため、ブラシ51,53の摩耗、整流子30の摩耗を抑制できる。したがって、ブラシ51,53の寿命が長くなり、整流子30の寿命が長くなる。また、整流子30に対するブラシ51,53の接触圧力が変化することを抑制でき、整流子30の整流作用が安定する。
【0057】
本実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明する。電動モータ17が、本発明の電動モータに相当し、ロータ19が、本発明のロータに相当し、電動作業機10が、本発明の電動作業機に相当し、ハウジング12が、本発明のハウジングに相当し、軸線A1が、本発明の軸線に相当し、ブラシサポート43が、本発明の切替部材に相当し、隙間量G1,G2が、本発明における隙間の量に相当し、平坦面100C,101C,102A,102B,102C,104A,104B,104C、円弧面100A,100B,101A,101B,103A,103B,105A,105Bが、本発明の隙間量調整機構に相当する。
【0058】
また、アーマチュア29が、本発明のアーマチュアに相当し、ブラシ51,53が、本発明のブラシに相当し、円弧部44A,44Bが、本発明の第1ガイド部に相当し、ガイドレール32A,32Bが、本発明の第2ガイド部に相当する。さらに、平坦面102A,102B,102C,104A,104B,104Cが、本発明の第1平坦面または第2部分に相当し、円弧面103A,103B,105A,105Bが、本発明の第1円弧面または第1部分に相当する。さらに、平坦面100C,101Cが、本発明の第2平坦面または第4部分に相当し、円弧面100A,100B,101A,101Bが、本発明の第2円弧面または第3部分に相当する。
【0059】
さらに、ブラシサポート43の第1操作位置が、本発明の「ロータを停止する位置」または「第1位置」に相当し、ブラシサポート43の第2操作位置及び第3操作位置が、本発明の「ロータを回転する位置」または「第2位置」に相当する。さらに、半径L1が、本発明の第1半径であり、半径L4が、本発明の第2半径であり、距離L2が、本発明の第1距離であり、距離L3が、本発明の第2距離である。また、ブラシサポート43において半径L4を有する部分が、本発明の第1部分であり、ブラシサポート43において、軸線A1との間に径方向の距離L3がある平坦面102A,102B,102Cに相当する部分が、本発明の第2部分である。ハウジング12に設けたガイドレール32A,32Bの半径L1に相当する部分が、本発明の第3部分であり、距離L2に相当する部分が、本発明の第4部分である。距離L2,L3及び半径L1,L4が、本発明における径方向の寸法に相当する。また、ブラシ51,53が、本発明の通電用ブラシに相当する。
【0060】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明におけるロータを収容したハウジングとは、ロータの長さ方向における少なくとも一部が収容されていることを意味する。また、本発明の電動作業機は、ドライバ、ドリルを含む。電動作業機がドリルであると、作業工具の回転により対象物を切削して、対象物に穴、溝を形成することができる。電動作業機がドライバであると、作業工具の正回転または逆回転により、ねじ部材やボルトを締め付けたり緩めたりすることができる。電動作業機がサンダ、グラインダであると、作業工具としての砥石、ブラシ、ダイヤモンドカッタを正回転または逆回転させると、作業工具は、対象物を研削または研磨する。さらに、本発明は、ロータと保持部材とが偏心して配置されている電動作業機と、ロータと保持部材とが同心状に配置されている電動作業機と、を含む。
【0061】
また、電動作業機をハンドル側から見た左側面図である図7図9において、便宜上、時計回りをロータの正回転とし、反時計回りをロータの逆回転としている。これに対して、電動作業機をハンドル側から見た左側面図である図7図9において、反時計回りをロータの正回転とし、時計回りをロータの逆回転として把握することも可能である。本発明の電動モータに電圧を印加する電源は、交流電源または直流電源のいずれでもよい。直流電源は、ハウジングに着脱される電池パックを含む。電池パックは、電池セルをケース内に収容したものである。さらに、切替部材の回転により、アーマチュアに流れる電流の向きを切り替える接点は、ブラシサポート及びハウジングに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…電動作業機、12…ハウジング、17…電動モータ、19…ロータ、29…アーマチュア、32A,32B…ガイドレール、43…ブラシサポート、44A,44B…円弧部、51,53…ブラシ、62…トリガ、100A,100B,101A,101B,103A,103B,105A,105B…円弧面、100C,101C,102A,102B,102C,104A,104B,104C…平坦面、A1…軸線、G1,G2…隙間量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15