(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部(71)の表面(78)とこれに対向する前記冷媒ジャケット(40)の表面(48)は、互いに平行な平面である、請求項2〜6の何れか1項に記載の冷凍装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の半導体素子冷却用ヒートシンクでは、冷却管を冷却板の溝に密着させるので、その後に冷却管を冷却板の溝から取り外すことができない。特許文献2の液冷ヒートシンクでは、一方のベースにおける凹条部と他方のベースにおける凸条部とが圧力によって嵌合されるので、その後にパイプをベースから取り外すことができない。これらの特許文献1,2のように冷却管やパイプを冷却板やベースから取り外すことができない場合には、例えばプリント回路板の交換やメンテナンスなどの作業を行うことが困難になる。
【0008】
特許文献3の取付構造では、押さえ部材は、冷媒配管を冷媒ジャケットの溝に押さえつけて保持する機能を有しているが、金属板を折り曲げることによって形成されており、冷媒配管との間の熱伝導性が低い。このため、特許文献3の取付構造は、発熱量が大きい発熱部品を有する冷凍装置に用いる場合には、その発熱部品を冷却する性能が必ずしも十分とは言えない。
【0009】
本発明の目的は、発熱量が大きい発熱部品を適切に冷却することができ、しかも、冷媒ジャケットから冷媒配管を容易に取り外すことができる冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の冷凍装置は、冷媒回路(4)の冷媒が流れる配管(10A)を配置する第1溝部(G1)を有し、発熱部品(20)を冷却する冷媒ジャケット(40)と、前記配管(10A)を前記第1溝部(G1)側に押す第2溝部(G2)を有し、前記冷媒ジャケット(40)に対する固定と前記固定の解除とが可能な押さえ部材(70)と、を備え、前記第1溝部(G1)の内周面及び前記第2溝部(G2)の内周面は、前記配管(10A)の外周面に沿った凹曲面であり、これらの内周面の曲率半径は、前記配管(10A)の半径よりも大きい。
【0011】
本発明では、第1溝部(G1)の内周面及び第2溝部(G2)の内周面は、共に、配管(10A)の外周面に沿った凹曲面である。したがって、配管(10A)の外周面と、冷媒ジャケット(40)における第1溝部(G1)の内周面との接触面積を確保できるだけでなく、配管(10A)の外周面と、押さえ部材(70)における第2溝部(G2)の内周面との接触面積を、例えば特許文献3の場合に比べて大きくすることができる。これにより、本発明では、第1溝部(G1)を有する冷媒ジャケット(40)と配管(10A)との良好な熱伝導性を確保できるだけでなく、第2溝部(G2)を有する押さえ部材(70)と配管(10A)との良好な熱伝導性も確保することができる。すなわち、特許文献3では、押さえ部材は主として配管を冷媒ジャケット側に押さえる目的で設けられていたが、本発明では、押さえ部材(70)にも伝熱性能を高めるための機能を付与している。具体的に、本発明では、配管(10A)から冷媒ジャケット(40)に至る良好な熱伝導性を有する伝熱経路だけでなく、配管(10A)から押さえ部材(70)を経由して冷媒ジャケット(40)に至る良好な熱伝導性を有する伝熱経路も形成されている。よって、本発明では、配管(10A)、冷媒ジャケット(40)及び押さえ部材(70)の全体としての熱伝導性を特許文献3に比べて高めることができるので、発熱量の大きい発熱部品を有する冷凍装置であっても、その発熱部品を適切に冷却することができる。
【0012】
しかも、本発明では、押さえ部材(70)は冷媒ジャケット(40)に対する固定とその固定の解除とが可能なように構成されているので、例えばプリント回路板の交換やメンテナンスなどの作業を行う際には、冷媒ジャケット(40)に対する押さえ部材(70)の固定を解除して、冷媒ジャケット(40)から配管(10A)を取り外すことができる。このとき、本発明では、冷媒ジャケット(40)の第1溝部(G1)及び押さえ部材(70)の第2溝部(G2)から配管(10A)を容易に取り外すことができる。すなわち、本発明では、第1溝部(G1)の内周面及び第2溝部(G2)の内周面の曲率半径は、配管(10A)の半径よりも大きい。このため、例えば特許文献1のように第1の冷却板の溝及び第2の冷却板の溝の内周面の曲率半径と、冷却管の半径とが同じ場合に比べ、溝部からの取り外しが容易になる。
【0013】
前記冷凍装置において、前記押さえ部材(70)は、固定部材(80)によって前記冷媒ジャケット(40)に対する前記固定及び前記固定の解除がなされる固定部(71)と、前記第2溝部(G2)が形成された部分であって前記配管(10A)を前記第1溝部(G1)側に押す押圧部(72)と、前記固定部(71)と前記押圧部(72)とを連結する連結部(73)とを備え、前記連結部(73)は、前記押圧部(72)よりも厚みの小さい部分を有しているのが好ましい。
【0014】
この構成では、押さえ部材(70)の固定部(71)が固定部材(80)によって冷媒ジャケット(40)に固定されると、配管(10A)は、押圧部(72)に形成された第2溝部(G2)によって第1溝部(G1)側に押されることになる。本構成では、押圧部(72)によって配管(10A)に加えられる押圧力に起因して配管(10A)が変形するのを抑制するために、連結部(73)において前記厚みの小さい部分を設けることにより、配管(10A)に対する押圧力を緩和している。すなわち、連結部(73)における押圧部(72)よりも厚みの小さい部分は、押圧部(72)よりも剛性が低くなるので、押圧部(72)に比べると変形(弾性変形)しやすくなり、その結果、配管(10A)に対して加えられる押圧力を緩和することができる。なお、連結部(73)の弾性変形によって配管(10A)に対する押圧部(72)からの押圧力が緩和されるが、連結部(73)の弾性力によって押圧部(72)は配管(10A)側に付勢されるので、第2溝部(G2)と配管(10A)との接触状態は維持される。したがって、配管(10A)からの押圧部(72)への伝熱を確保することができる。よって、本構成では、押圧部(72)の第2溝部(G2)による配管(10A)に対する押圧力に起因して配管(10A)が変形するのを抑制することができ、しかも、配管(10A)からの押圧部(72)への伝熱を確保することができる。
【0015】
また、上記のように配管(10A)の変形を抑制できるので、配管(10A)の半径は、配管(10A)が第1溝部(G1)及び第2溝部(G2)に配置される前の初期状態における半径から大きく変わることなく維持される。したがって、例えばプリント回路板の交換やメンテナンスなどの作業が終了した後、再組み立てする際に、配管(10A)を、冷媒ジャケット(40)の第1溝部(G1)と押さえ部材(70)の第2溝部(G2)との間に初期状態と同様の状態で保持することができる。これにより、配管(10A)と第1溝部(G1)及び第2溝部(G2)との接触面積の低下を抑制できるので、発熱部品を冷却する性能の低下を抑制できる。
【0016】
前記冷凍装置において、前記連結部(73)は、前記第2溝部(G2)に沿って形成されて前記第2溝部(G2)よりも幅の小さい第3溝部(G3)を有しているのが好ましい。
【0017】
この構成では、連結部(73)に第3溝部(G3)が形成されているので、連結部(73)は、第3溝部(G3)が形成された部分において、第3溝部(G3)を構成する互いに対向する一対の内側面(S1,S2)が近づく方向及び遠ざかる方向に変形(弾性変形)しやすくなる。すなわち、押さえ部材(70)では、第3溝部(G3)が形成された部分において、第3溝部(G3)の長手方向に垂直な方向の剛性が低くなる。しかも、第3溝部(G3)が第2溝部(G2)に沿って形成されているので、第3溝部(G3)が形成された部分において連結部(73)が変形するのに伴って押圧部(72)の全体を第3溝部(G3)に直交する方向に変動させることができる。よって、本構成では、押圧部(72)の第2溝部(G2)から配管(10A)に対して加えられる押圧力を緩和することができ、これにより、配管(10A)に加えられる押圧力に起因して配管(10A)が変形するのを効果的に抑制することができる。また、この構成では、連結部(73)における熱抵抗が大きくなるのを抑制するために、第3溝部(G3)の幅を第2溝部(G2)の幅よりも小さくしている。
【0018】
前記冷凍装置において、前記第3溝部(G3)は、前記冷媒ジャケット(40)側に凹むように形成されており、前記連結部(73)は、前記第3溝部(G3)とは厚み方向の反対側において前記第3溝部(G3)に沿って延びるとともに前記冷媒ジャケット(40)に対向する対向面(79)を有し、前記第3溝部(G3)の底部から前記対向面(79)までの部分が前記厚みの小さい部分であるのが好ましい。
【0019】
この構成では、第3溝部(G3)は冷媒ジャケット(40)側に凹むように形成されており、上述の厚みの小さい部分(押圧部(72)よりも厚みの小さい部分)は、第3溝部(G3)の底部から対向面(79)までの部分である。すなわち、第3溝部(G3)は、冷媒ジャケット(40)側に凹むように例えば略U字形状や略V字形状に形成されていて、その折り返し部分である前記底部から対向面(79)までの部分が変形しやすいように形成されている。これにより、連結部(73)は、第3溝部(G3)の底部から対向面(79)までの部分において、第3溝部(G3)を構成する互いに対向する一対の内側面(S1,S2)が近づく方向及び遠ざかる方向に変形(弾性変形)しやすくなる。
【0020】
前記冷凍装置において、前記対向面(79)とこれに対向する前記冷媒ジャケット(40)の表面(49)は、互いに平行な平面であるのが好ましい。
【0021】
この構成では、配管(10A)、冷媒ジャケット(40)及び押さえ部材(70)の全体としての熱伝導をさらに高めたい場合には、対向面(79)とこれに対向する前記冷媒ジャケット(40)の表面との間においても伝熱の経路を設けることが可能になる。具体的に、例えば、冷媒ジャケット(40)に対して押さえ部材(70)が固定されたときに、対向面(79)とこれに対向する冷媒ジャケット(40)の表面とが面接触するように設計することにより、連結部(73)から冷媒ジャケット(40)に至る新たな伝熱経路を形成することができる。また、対向面(79)とこれに対向する冷媒ジャケット(40)の表面とが接するように設計されていなくても、これらは互いに平行な平面であるので、これらの平面同士の隙間に熱インターフェース(例えば放熱用グリス、放熱用シートなど)を介在させることにより、連結部(73)から冷媒ジャケット(40)に至る新たな伝熱経路を形成することができる。
【0022】
前記冷凍装置において、前記固定部(71)の厚みは、前記連結部(73)における前記厚みの小さい部分の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0023】
この構成では、固定部(71)の厚みが連結部(73)における前記厚みの小さい部分の厚みよりも大きいので、配管(10A)から押さえ部材(70)を経由した冷媒ジャケット(40)への伝熱経路において、固定部(71)が熱伝導の律速になるのを防ぐことができる。
【0024】
前記冷凍装置において、前記固定部(71)の表面(78)とこれに対向する前記冷媒ジャケット(40)の表面(48)は、互いに平行な平面であるのが好ましい。
【0025】
この構成では、固定部(71)の表面(78)と冷媒ジャケット(40)の表面(48)との間の熱伝導性を高めることができる。具体的に、例えば、冷媒ジャケット(40)に対して押さえ部材(70)が固定されたときに、固定部(71)と冷媒ジャケット(40)の互いに対向する表面が面接触するように設計することにより、これらの間における熱伝導性を高めることができる。また、固定部(71)と冷媒ジャケット(40)の互いに対向する表面同士の間に熱インターフェース(例えば放熱用グリス、放熱用シートなど)を介在させてもよい。
【0026】
前記冷凍装置において、前記押圧部(72)の外周面は、前記第2溝部(G2)の内周面に沿った凸曲面であるのが好ましい。
【0027】
この構成では、押圧部(72)における第2溝部(G2)とは厚み方向反対側に位置する外周面は、第2溝部(G2)の内周面(すなわち、凹曲面である内周面)に沿った凸曲面である。したがって、この構成では、押圧部(72)の断面形状を、その周方向において全体的に厚みの揃った略円弧形状とすることができる。熱伝導性の観点では、押圧部(72)において部分的に厚みを大きくしたとしても、厚みの小さな部分が熱伝導の律速となるので、部分的に厚みの大きなところは熱伝導の観点では無駄になる。したがって、本構成のように押圧部(72)の外周面を、凹曲面である内周面に沿った凸曲面とすることにより、熱伝導性を維持しつつ、熱伝導の観点で無駄な部分を設けることなく材料費を抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、発熱量が大きい発熱部品を適切に冷却することができ、しかも、冷媒ジャケットから冷媒配管を容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る冷凍装置について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、冷凍装置が空気調和装置1である場合を例に挙げて説明するが、冷凍装置は、空気調和装置に限られず、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた他の冷凍装置であってもよい。他の冷凍装置の一例としては、例えばヒートポンプ給湯装置などを挙げることができる。
【0031】
<冷凍装置の全体構造>
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置1は、室外に設置される室外ユニット2と、室内に設置される室内ユニット3とを備えている。室外ユニット2と室内ユニット3とは、連絡配管によって互いに接続されている。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路4を備えている。冷媒回路4には、主として、室内熱交換器11、圧縮機12、室外熱交換器14、膨張機構の一例である膨張弁15、四方切換弁17などが設けられており、これらが冷媒配管10によって接続されている。
【0032】
室内熱交換器11は、冷媒を室内空気と熱交換させるための熱交換器であり、室内ユニット3に設けられている。室内熱交換器11としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用することできるが、これに限られない。室内熱交換器11の近傍には、室内空気を室内熱交換器11へ送風するための室内ファン13が設けられている。
【0033】
本実施形態では、圧縮機12、室外熱交換器14、膨張弁15、室外ファン16及び四方切換弁17は、室外ユニット2に設けられているが、これらの一部が室内ユニット3に設けられていてもよい。これらは、何れもケーシング5(
図2参照)内に収容されている。
【0034】
圧縮機12は、吸入ポート、圧縮機構及び吐出ポートを有し、吸入ポートから吸入した冷媒を圧縮機構で圧縮して、吐出ポートから吐出する。圧縮機12としては、例えばスクロール圧縮機を採用することができるが、これに限られない。
【0035】
室外熱交換器14は、冷媒を室外空気と熱交換させるためのものであり、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用できるが、これに限られない。室外熱交換器14の近傍には、室外空気を室外熱交換器14へ送風するための室外ファン16が設けられている。
【0036】
膨張弁15は、冷媒回路4において室外熱交換器14と室内熱交換器11との間に配設され、流入した冷媒を膨張させて、所定の圧力に減圧させる。膨張弁15として、例えば開度可変の電子膨張弁15を採用することができるが、これに限られない。
【0037】
四方切換弁17には、第1〜第4の4つのポートが設けられている。四方切換弁17は、第1ポートと第3ポートとを連通すると同時に第2ポートと第4ポートとを連通する第1状態(
図1において実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとを連通すると同時に第2ポートと第3ポートとを連通する第2状態(
図1において破線で示す状態)とに切換可能である。第1ポートは、圧縮機12の吐出ポートに接続され、また第2ポートは、圧縮機12の吸入ポートに接続され、また第3ポートは、室外熱交換器14に接続され、また第4ポートは、連絡配管を介して室内熱交換器11に接続されている。空気調和装置1が冷房運転を行うときには、四方切換弁17は第1状態に切り換えられ、暖房運転を行うときには、四方切換弁17は第2状態に切り換えられる。
【0038】
冷媒配管10は、冷媒回路4の冷媒が流れる配管であり、例えば銅などの熱伝導性の高い金属を主成分とする材料によって形成されている。
図1に示すように、冷媒配管10の一部を構成する配管10A(冷却配管10A)は、発熱部品20を冷却するために用いられる。冷却配管10Aは、発熱部品20を冷却するための冷媒ジャケット40に取り付けられる。発熱部品20としては、例えば、後述するプリント回路板91のパワーデバイス(パワーモジュール)を挙げることができるが、これに限られない。以下では、発熱部品20がパワーデバイスである場合を例に挙げて説明する。
【0039】
本実施形態では、冷却能力を考慮して、
図1に示すように冷媒配管10のうち、液冷媒が流れる液配管が冷却配管10Aとして用いられている。本実施形態では、冷媒ジャケット40に取り付けられる冷却配管10Aは、冷媒回路4における室外熱交換器14と膨張弁15との間の液配管であるが、これに限られない。冷媒ジャケット40に取り付けられる冷却配管10Aは、例えば、冷媒回路4における膨張弁15と室内熱交換器11との間の液配管であってもよい。
【0040】
図1に示す実施形態では、冷媒ジャケット40に取り付けられる冷却配管10Aには、冷房運転時には、室外熱交換器14で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には、室内熱交換器11で凝縮し、膨張弁15で減圧された冷媒が流れる。
【0041】
<室外ユニットの構造>
図2及び
図3に示すように、室外ユニット2は、ケーシング5を備えている。ケーシング5内には、圧縮機12、室外熱交換器14、室外ファン16、四方切換弁17、電装品モジュール100、冷却器30などが収容されている。冷却器30は、発熱部品20を冷却するためのものであり、冷媒ジャケット40と、後述する押さえ部材70と、冷媒配管10の一部を構成する冷却配管10Aとを含む。冷却器30の詳細については後述する。
【0042】
ケーシング5は、底板6と、この底板6の周縁部に立設された側板7と、側板7の上端部間に架設される天板8と、仕切板9とを有し、全体として略直方体形状の外観を呈している。仕切板9は、ケーシング5の底板6に立設されるように設けられている。この仕切板9は、ケーシング5内の空間を、室外熱交換器14及び室外ファンが収容される熱交換室5Aと、圧縮機12、電装品モジュール100等が収容される機械室5Bとに仕切っている。
【0043】
熱交換室5Aを囲むケーシング5には、外気を熱交換室5A内に吸い込むための吸込口と、熱交換室5Aの空気をケーシング5外に吹き出すための吹出口とが設けられている。室外熱交換器14は、吸込口に沿って配置されている。
【0044】
機械室5Bは、ケーシング5内の空間の側部(ケーシング5を正面から見て右側部)において、前後方向の全体を占めるように形成されている。機械室5Bを覆うケーシング5の一部を取り外すことにより現れる開口側に電装品モジュール100が配置されている。本実施形態では、
図2に示すように、ケーシング5の前面側板の一部を取り外すことによりケーシング5の前面の一部が開口する。そして、機械室5B内における前側に電装品モジュール100が配置されている。
【0045】
電装品モジュール100は、冷媒回路4の動作制御を行うための電装品組立体である。本実施形態では、電装品モジュール100は、その前面がケーシング5の前側の前面側板におよそ平行になる姿勢で、前面側板の近傍に設置されている。したがって、サービス時などにおいてケーシング5の前面側板を取り外すと、
図2に示すように電装品モジュール100の前面が前側に露出する。
【0046】
電装品モジュール100は、例えばケーシング5の側板7や仕切板9などに支持(固定)されている。電装品モジュール100は、プリント回路板91を含む。プリント回路板91は、種々の電子部品と、これらの電子部品を実装するプリント配線板90とを含む。本実施形態では、プリント回路板91のプリント配線板90は、上下方向に平行な姿勢で配置されているが、これに限定されず、上下方向に対して多少傾斜した姿勢で配置されていてもよい。
図3に示すように、プリント回路板91は、例えば部材95によって支持部材93に固定されており、支持部材93は、ケーシング5に支持されている。これにより、電装品モジュール100は、ケーシング5に支持されている。
【0047】
プリント回路板91の電子部品は、発熱部品の一例であるパワーデバイス20(パワーモジュール20)を含む。パワーデバイス20としては、例えば、圧縮機制御用のインバータ、ファンモータ制御用のインバータなどを挙げることができるが、これらに限られない。
【0048】
冷媒ジャケット40は、プリント回路板91のプリント配線板90に対して例えば部材94によって固定されている。なお、冷媒ジャケット40は、プリント配線板90に固定されるのではなく、例えば発熱部品20に固定されていてもよい。
【0049】
<冷却器の構造>
本実施形態では、冷却器30は、プリント回路板91のパワーデバイス20を冷却する。冷却器30は、冷媒ジャケット40と、押さえ部材70(押さえ板70)と、固定部材80と、冷媒配管10の一部を構成する配管である冷却配管10Aとを含む。
【0050】
冷却配管10Aは、冷媒回路4における冷媒配管10のうち、パワーデバイス20を冷却可能な温度の冷媒が流れる冷媒配管10の一部である。本実施形態では、冷媒配管10における液配管の一部は、
図2及び
図4に示すようにU字状に折り曲げられた形状を有している。本実施形態では、U字状の液配管のうち、冷媒ジャケット40の外に位置する屈曲部A3を除く部分が冷却配管10Aとして機能する。ただし、冷却配管10Aの形状は、
図2及び
図4に示す具体例に限定されるものではない。
【0051】
図2及び
図4に示すように、冷却配管10Aは、互いに平行な姿勢で上下方向に延びる一対の直管部A1,A2(第1冷却部A1と第2冷却部A2)を有する。第1冷却部A1と第2冷却部A2は、屈曲部A3を介して接続されている。
図2に示すように、冷却配管10Aの上流側(第1冷却部A1の上流側)につながる冷媒配管10の上流側部は、ケーシング5内において、プリント回路板91のパワーデバイス20に向かって上方に延びており、冷却配管10Aの下流側(第2冷却部A2の下流側)につながる冷媒配管10の下流側部は、ケーシング5内において、プリント回路板91のパワーデバイス20から下方に延びている。冷却配管10Aは、冷媒ジャケット40に沿って上下方向に延びている。
【0052】
固定部材80は、押さえ部材70を冷媒ジャケット40に固定するためのものである。本実施形態では、固定部材80としてネジ80が用いられている。ただし、固定部材80は、冷媒ジャケット40に対して押さえ部材70を固定することができ、且つ、冷媒ジャケット40に対する押さえ部材70の固定を解除することができる部材であればよく、ネジ80に限られない。
図5に示すように、本実施形態では、固定部材80(ネジ80)は、頭部81と、軸部82とを有する。
【0053】
<冷媒ジャケットの構造>
冷媒ジャケット40は、プリント回路板91と一体化され、かつ冷却配管10Aが取り付けられた状態で冷却配管10Aを流れる冷媒によってパワーデバイス20を冷却する。本実施形態では、冷媒ジャケット40は、冷媒配管10の冷却配管10Aとパワーデバイス20との間に介在している。冷媒ジャケット40は、パワーデバイス20に対して熱的に接触している。本実施形態では、冷媒ジャケット40は、パワーデバイス20に対して直接接触していてもよく、図略の伝熱板などを介して熱的に接触していてもよい。冷媒ジャケット40は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料からなる。
【0054】
冷媒ジャケット40は、例えば押し出し成形により一体成型品として成形することができるが、これに限られない。本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、冷媒ジャケット40は、一方向(
図4では上下方向)に長い形状を有するとともに、厚さの薄い扁平状に形成されているが、冷媒ジャケット40の形状は、
図4及び
図5に示す具体例に限られない。
【0055】
図5に示すように、冷媒ジャケット40は、着脱面45(
図5では上面)と、接触面46(
図5では下面)とを有する。接触面46は、パワーデバイス20に接するとともにプリント回路板91のプリント配線板90に対して隙間をあけて対向している。接触面46とパワーデバイス20との間には、例えば放熱用グリス、放熱用シートなどの熱インターフェースを介在させてもよい。パワーデバイス20の表面が平面である場合には、接触面46も平面であるのが好ましい。
【0056】
着脱面45は、接触面46に対して厚み方向の反対側の面であり、冷却配管10Aを着脱可能に構成されている。
図5及び
図6(A)に示すように、冷媒ジャケット40の着脱面45には、前記一方向(冷媒ジャケット40の長手方向)に延びる一対の第1溝部G1が設けられている。これらの第1溝部G1は、冷媒ジャケット40の幅方向に間隔をあけて設けられ、互いに平行な姿勢で一方向に延びている。一方の第1溝部G1には、冷却配管10Aの第1冷却部A1が配置され、他方の第1溝部G1には、冷却配管10Aの第2冷却部A2が配置される。第1溝部G1と冷却配管10Aとの間には、例えば放熱用グリス、放熱用シートなどの熱インターフェース99が設けられていてもよい。
【0057】
冷媒ジャケット40は、固定部材80が配置される固定部41と、第1溝部G1が形成された部分であって冷却配管10Aが載置される一対の載置部42と、固定部41と載置部42とを連結する一対の連結部43とを備える。固定部41、載置部42及び連結部43は、互いに平行な部位であり、冷媒ジャケット40の長手方向の一端から他端まで延びている。
【0058】
固定部41は、冷媒ジャケット40の幅方向の略中央に設けられている。固定部41の着脱面45側には、押さえ部材70を冷媒ジャケット40に固定するための固定部材80が係合する係合部47が設けられている。本実施形態では、固定部材80がネジ80であるので、係合部47は、ネジ80の軸部82が螺合される孔部47である。孔部47の内周面には、軸部82の雄ネジに係合する雌ネジが形成されている。
【0059】
本実施形態では、着脱面45の一部を構成する固定部41の表面48(
図5では上面)は、押さえ部材70との熱伝導性を高めるために平面状に形成されている。この固定部41の表面48は、後述する押さえ部材70における固定部71の表面78と互いに平行である。これらの表面48,78の間には、例えば放熱用グリス、放熱用シートなどの熱インターフェース99が設けられていてもよい。
【0060】
各連結部43は、固定部41及び載置部42に対して接触面46側(発熱部品20側)に凹む凹形状を有している。冷媒ジャケット40の連結部43は、後述する押さえ部材70の連結部73に対応する位置に設けられている。連結部43が凹形状を有しているので、押さえ部材70が冷媒ジャケット40に固定されたときに、押さえ部材70の連結部73との干渉を避けることができる。
【0061】
<押さえ部材の構造>
押さえ部材70は、冷媒ジャケット40との間で冷媒配管10の冷却配管10Aを挟み込むためのものである。押さえ部材70は、冷媒ジャケット40における着脱面45側に取り付けられる。押さえ部材70は、冷媒ジャケット40と押さえ部材70との間に冷媒配管10の冷却配管10Aを挟んだ状態で冷却配管10Aを着脱面45側に押さえる固定状態と、冷却配管10Aを冷媒ジャケット40の着脱面45から取り外し可能な非固定状態とを取り得る。
【0062】
押さえ部材70は、例えば押し出し成形により一体成型品として成形することができるが、これに限られない。本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、押さえ部材70は、冷媒ジャケット40と同方向(
図4では上下方向)に長い形状を有するとともに、厚さの薄い扁平状に形成されているが、押さえ部材70の形状は、
図4及び
図5に示す具体例に限られない。
【0063】
図5に示すように、押さえ部材70は、内面75(
図5では下面)と、外面76(
図5では上面)とを有する。押さえ部材70の内面75は、冷媒ジャケット40及び冷却配管10Aに対向する面であり、外面76は、内面75に対して厚み方向の反対側の面である。
図5及び
図6(B)に示すように、押さえ部材70の内面75には、前記一方向(押さえ部材70の長手方向)に延びる一対の第2溝部G2が設けられている。これらの第2溝部G2は、押さえ部材70の幅方向に間隔をあけて設けられ、互いに平行な姿勢で一方向に延びている。一方の第2溝部G2は、冷却配管10Aの第1冷却部A1を冷媒ジャケット40とは反対側から覆い、他方の第2溝部G2は、冷却配管10Aの第2冷却部A2を冷媒ジャケット40とは反対側から覆う。第2溝部G2と冷却配管10Aとの間には、例えば放熱用グリス、放熱用シートなどの熱インターフェース99が設けられていてもよい。
【0064】
押さえ部材70は、固定部材80が配置される固定部71と、第2溝部G2が形成された部分であって冷却配管10Aを第1溝部G1側に押す一対の押圧部72と、固定部71と押圧部72とを連結する一対の連結部73とを備える。固定部71、押圧部72及び連結部73は、互いに平行な部位であり、押さえ部材70の長手方向の一端から他端まで延びている。
【0065】
固定部71は、押さえ部材70の幅方向の略中央に設けられている。固定部71には、固定部材80が係合する係合部77が設けられている。本実施形態では、固定部材80がネジ80であるので、係合部77は、ネジ80の軸部82が挿通される孔部77である。
【0066】
本実施形態では、上述したように、内面75の一部を構成する固定部71の表面78(
図5では下面)は、冷媒ジャケット40との熱伝導性を高めるために平面状に形成されている。
【0067】
図7に示すように、押さえ部材70の外面76の一部を構成する押圧部72の外周面76Aは、第2溝部G2の内周面に沿った凸曲面である。したがって、押圧部72の断面形状は、その周方向において全体的に厚みの揃った略円弧形状となっている。本実施形態では、押圧部72は周方向においておおよそ一定の厚みを有している。
【0068】
押さえ部材70の一対の連結部73は、冷媒ジャケット40の一対の連結部43に対応する位置に設けられている。各連結部73は、固定部71と押圧部72との間に形成されている。各連結部73は、冷媒ジャケット40側に向かって凸となる形状を有する。このような凸形状を有することから、押さえ部材70の剛性を高めるリブ状の補強部位として機能するので、押さえ部材70の長手方向における剛性を高めることができる。したがって、本実施形態では、これにより、押圧部72は、冷却配管10Aの長手方向に対して反り変形などの変形が生じにくくなるので、押圧部72の第2溝部G2と冷却配管10Aとの面接触状態が長期間維持されやすくなる。
【0069】
また、各連結部73には、第2溝部G2に沿って形成されて第2溝部G2よりも幅の小さい第3溝部G3が形成されている。したがって、連結部73は、第3溝部G3が形成された部分において、第3溝部G3を構成する互いに対向する一対の内側面S1,S2(
図7参照)が近づく方向及び遠ざかる方向に弾性変形しやすくなる。すなわち、押さえ部材70では、第3溝部G3が形成された部分において、第3溝部G3の長手方向に垂直な方向の剛性が低くなる。
【0070】
また、本実施形態では、第3溝部G3は、冷媒ジャケット40側に凹むように形成されており、連結部73は、第3溝部G3とは厚み方向の反対側において冷媒ジャケット40に対向する対向面79を有する。対向面79は、第3溝部G3に沿って延びている。そして、本実施形態では、
図7に示すように、連結部73において第3溝部G3の底部Bから対向面79までの部分の厚みL3は、押圧部72の厚みL2及び固定部71の厚みL1よりも小さい。
【0071】
このように第3溝部G3は、冷媒ジャケット40側に凹むように例えば略U字形状や略V字形状に形成されていて、その折り返し部分である底部Bから対向面79までの部分が変形しやすいように形成されている。これにより、連結部73は、第3溝部G3の底部Bから対向面79までの部分において、第3溝部G3を構成する互いに対向する一対の内側面S1,S2が近づく方向及び遠ざかる方向に弾性変形しやすくなる。よって、各連結部73は、固定部71が固定部材80により冷媒ジャケット40に向けて押し付けられた際に、押圧部72が冷却配管10Aからの反力を受けることによって冷媒ジャケット40から離れる方向に変位することを許容するように弾性変形する。
【0072】
また、本実施形態では、各連結部73の対向面79が平面であり、これに対向する冷媒ジャケット40の連結部43の表面49も平面であって、これらの平面が互いに平行な平面である。これらの平面49,79の間の隙間には、例えば放熱用グリス、放熱用シートなどの熱インターフェースを介在させてもよい。
【0073】
図7に示すように、連結部73は、押さえ部材70の内面75の一部を構成する複数の表面を有している。具体的に、これらの複数の表面は、上述した対向面79と、この対向面79における幅方向の内側(固定部71側)の縁から冷媒ジャケット40とは反対側に起立する側面83と、対向面79における幅方向の外側(押圧部72側)の縁から冷媒ジャケット40とは反対側に起立する側面84と、この側面84における起立方向の端縁(
図7では上縁)から幅方向の外側(押圧部72側)に延出する延出面85とを含む。本実施形態では、一対の側面83,84及び延出面85は、対向面79と同じ方向(押さえ部材70の長手方向)に延びる面である。
【0074】
本実施形態では、一対の側面83,84は、対向面79に向かうにつれて互いの距離が小さくなるように対向面79に対して傾斜する傾斜面である。すなわち、連結部73において一対の側面83,84と対向面79とによって形成される凸部は、冷媒ジャケット40側に向かって先細りする形状を有している。これにより、押さえ部材70の連結部73と、冷媒ジャケット40の連結部43との干渉を抑制しつつ、押さえ部材70を冷媒ジャケット40に近づけてこれらの隙間を小さくすることができる。
【0075】
具体的に、冷媒ジャケット40の着脱面45において、連結部43は、上述した表面49と、この表面49における幅方向の内側(固定部41側)の縁から押さえ部材70側に起立する側面88と、表面49における幅方向の外側(載置部42側)の縁から押さえ部材70側に起立する側面89とを有する。これらの表面49と一対の側面88,89とは凹状の第4溝部G4を形成している。本実施形態では、この第4溝部G4内に上述の凸部の一部が配置されている。そして、連結部73の凸部は、第4溝部G4を構成する表面49に向かって先細りする形状を有しているので、連結部73の側面83,84と、連結部43の側面88,89との干渉を抑制しつつ、押さえ部材70を冷媒ジャケット40に近づけてこれらの隙間を小さくすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、連結部73は、押さえ部材70の外面76の一部を構成する複数の表面を有している。具体的に、これらの複数の表面は、上述した第3溝部G3を構成する互いに対向する一対の内側面S1,S2と、一方の内側面S1の端縁(
図7では上縁)から固定部71側に延出する延出面86と、他方の内側面S2の端縁(
図7では上縁)から押圧部72側に延出する延出面87とを含む。本実施形態では、延出面86,87は、第3溝部G3を構成する内側面S1,S2と同じ方向(押さえ部材70の長手方向)に延びる面である。
【0077】
本実施形態では、一対の内側面S1,S2は、冷媒ジャケット40側に向かうにつれて互いの距離が小さくなるように傾斜する傾斜面である。すなわち、第3溝部G3は、冷媒ジャケット40側に向かうにつれて幅が小さくなっている。本実施形態では、一対の内側面S1,S2のなす角度は、一対の側面83,84のなす角度よりも小さい。これにより、第3溝部G3の幅を小さくできる。
【0078】
押圧部72の外周面76Aは、延出面87の外側端縁から幅方向外側に延出するように凸状に形成されている。また、押圧部72の第2溝部G2の内周面は、延出面85の外側端縁から幅方向外側に延出するように凹状に形成されている。
【0079】
<第1溝部及び第2溝部の構造>
次に、第1溝部G1と第2溝部G2のさらに具体的な構造について説明する。
図7に示すように、冷媒ジャケット40における第1溝部G1の内周面及び押さえ部材70における第2溝部G2の内周面は、冷却配管10Aの外周面に沿った凹曲面である。これらの内周面の曲率半径は、冷却配管10Aの半径よりも大きい。
【0080】
したがって、冷却配管10Aの外周面と、第1溝部G1の内周面との接触面積を確保できるだけでなく、冷却配管10Aの外周面と、第2溝部G2の内周面との接触面積を確保することができる。これにより、本実施形態では、第1溝部G1を有する冷媒ジャケット40と冷却配管10Aとの良好な熱伝導性を確保できるだけでなく、第2溝部G2を有する押さえ部材70と冷却配管10Aとの良好な熱伝導性も確保することができる。
【0081】
これにより、実施形態では、冷却配管10Aから冷媒ジャケット40に至る良好な熱伝導性を有する伝熱経路だけでなく、冷却配管10Aから押さえ部材70を経由して冷媒ジャケット40に至る良好な熱伝導性を有する伝熱経路も形成されている。よって、本実施形態では、冷却配管10A、冷媒ジャケット40及び押さえ部材70の全体としての熱伝導性を高めることができるので、発熱量の大きい発熱部品20を有する冷凍装置であっても、その発熱部品20を適切に冷却することができる。
【0082】
また、本実施形態では、押さえ部材70は固定部材80によって冷媒ジャケット40に対して固定されるとともにその固定部材80による固定を解除可能に構成されているので、例えばプリント回路板91の交換やメンテナンスなどの作業を行う際には、冷媒ジャケット40に対する押さえ部材70の固定を解除して(すなわち、ネジ80を取り外して)、冷媒ジャケット40から冷媒配管10を取り外すことができる。
【0083】
しかも、本実施形態では、上述のように、第1溝部G1の内周面及び第2溝部G2の内周面の曲率半径が冷却配管10Aの半径よりも大きいので、これらが同じ場合と比べて、冷媒ジャケット40の第1溝部G1及び押さえ部材70の第2溝部G2から冷却配管10Aを容易に取り外すことができる。
【0084】
また、本実施形態では、連結部73が上述のように弾性変形しやすい構造を有し、しかも、第1溝部G1の内周面及び第2溝部G2の内周面の曲率半径が冷却配管10Aの半径よりも大きいので、冷却配管10Aは、冷媒ジャケット40の第1溝部G1と押さえ部材70の第2溝部G2との間に保持されているときに変形しにくい。本実施形態では、このように冷却配管10Aの変形を抑制できるので、冷却配管10Aの半径は、冷却配管10Aが第1溝部G1及び第2溝部G2に配置される前の初期状態における半径から大きく変わることなく維持される。
【0085】
したがって、例えばプリント回路板91の交換やメンテナンスなどの作業が終了した後、再び、冷却配管10Aを、冷媒ジャケット40の第1溝部G1と押さえ部材70の第2溝部G2との間に初期状態と同様の状態で保持することができる。これにより、冷却配管10Aと第1溝部G1及び第2溝部G2との接触面積の低下を抑制できるので、発熱部品20を冷却する性能の低下を抑制できる。
【0086】
以上のように本実施形態では、冷媒ジャケット40に対して押さえ部材70を取り付け、取り外しが容易な構造とし、しかも、押さえ部材70からも吸熱させることで、冷却配管10Aのほぼ全面から吸熱できるようにしている。すなわち、冷却配管10Aから押さえ部材70、押さえ部材70から冷媒ジャケット40への伝熱経路を持ち、それぞれの伝熱経路の接触熱抵抗をできるだけ小さくするようにしている。それぞれの接触面積をできるだけ大きく取るために、押さえ部材70は冷却配管10Aの嵌る形状に溝型とし、押さえ部材70の中央部(固定部71)は、ネジ80で締め付けた時に接触しやすいように平面としている。また、冷媒ジャケット40と押さえ部材70との間のそれぞれの接触部分には、熱インターフェース99を設けている。押さえ部材70は、例えば2〜3mm程度の厚みを有するアルミニウムの板金又は押出し材とするのが好ましい。
【0087】
冷却配管10Aの取り外しが可能なようにネジによる締結構造としている。また、冷却配管10Aが第1溝部G1及び第2溝部G2にはまりこんで抜けなくなることを避けるため、第1溝部G1及び第2溝部G2の曲率半径を冷却配管10Aの半径よりもやや大きくしている。
【0088】
具体的には、例えば、第1溝部G1及び第2溝部G2の曲率半径は、冷却配管10Aの半径の1.04〜1.2倍程度の範囲に設定することができるが、この範囲に限られない。
【0089】
押さえ部材70を冷媒ジャケット40に固定するときにネジ80を締め付けた際に、冷却配管10Aが変形すると、再組み付け(次回の組み付け)のときに、冷却配管10Aと第1溝部G1及び第2溝部G2との接触状態が悪くなる可能性がある(冷却配管10Aと第1溝部G1及び第2溝部G2との間に隙間が生じる可能性がある)。このため、冷却配管10Aが変形しないように、押さえ部材70の長手方向の剛性を高く、それと直角方向の剛性を低くしている。具体的には、押さえ部材70にスリット(第3溝部G3)を設けて、冷却配管10Aに対する圧縮力(押圧力)を緩和している。また、スリット(第3溝部G3)は熱抵抗をできるだけ小さくするために、幅を狭くしている。
【0090】
<他の実施形態>
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0091】
前記実施形態では、押さえ部材70が固定部71と、押圧部72と、連結部73とを備え、連結部73は、押圧部72よりも厚みの小さい部分を有していたが、これに限られず、連結部73の厚みは、押圧部72の厚みと同じ又は大きくてもよい。
【0092】
前記実施形態では、連結部73が第2溝部G2に沿って形成されて第2溝部G2よりも幅の小さい第3溝部G3を有していたが、これに限られず、第3溝部G3を省略することもできる。
【0093】
前記実施形態では、第3溝部G3の底部Bから対向面79までの部分が押圧部72よりも厚みの小さい部分であったが、これに限られず、連結部73における他の部位が押圧部72よりも厚みの小さい部分であってもよい。
【0094】
前記実施形態では、対向面79とこれに対向する冷媒ジャケット40の表面49が互いに平行な平面であったが、これに限られず、これらの表面49,79は平行でなくてもよく、また、これらの表面49,79の一方又は両方は曲面を含んでいてもよい。
【0095】
前記実施形態では、固定部71の厚みが連結部73における前記厚みの小さい部分の厚みよりも大きい場合を例示したが、これに限られない。
【0096】
前記実施形態では、押さえ部材70の固定部71の表面78とこれに対向する冷媒ジャケット40の固定部41の表面48が平行な平面であったが、これに限られず、これらの表面48,78は平行でなくてもよく、また、これらの表面48,78の一方又は両方は曲面を含んでいてもよい。
【0097】
前記実施形態では、押圧部72の外周面76Aは、第2溝部G2の内周面に沿った凸曲面であったが、これに限られず、例えば平面などであってもよい。
【0098】
前記実施形態では、冷媒ジャケット40及び押さえ部材70が押し出し成形によって作製される場合を例示したが、これに限定されず、他の成形手段を用いてもよい。
【0099】
前記実施形態では、押さえ部材70を冷媒ジャケット40に固定する固定部材80がネジ80であったが、これに限られない。
【0100】
前記実施形態では、押さえ部材70は、固定部材80によって冷媒ジャケット40に対して着脱可能に構成されていたが、これに限られない。押さえ部材70は、例えば長手方向に延びる一対の縁部の一方がヒンジなどの取付部材によって冷媒ジャケット40に対して開閉可能に取り付けられていてもよい。この場合、押さえ部材70は、固定部材80によって冷媒ジャケット40に固定されていると、開閉動作が不可能な状態となり、冷媒ジャケット40に対して固定部材80による固定が解除されると、開閉動作が可能な状態となる。