特許第6394403号(P6394403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6394403-画像形成装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394403
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   G03G15/02 103
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-4878(P2015-4878)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2016-130785(P2016-130785A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】田崎 モナ
(72)【発明者】
【氏名】古木 学
(72)【発明者】
【氏名】上野 能成
(72)【発明者】
【氏名】内田 正博
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達博
(72)【発明者】
【氏名】八和田 鉄兵
【審査官】 松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−086362(JP,A)
【文献】 特開平11−084829(JP,A)
【文献】 特開平08−220846(JP,A)
【文献】 特開2006−235215(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0274479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電された表面に形成される粉体の画像を保持する像保持体と、
前記画像を形成する形成器と、
前記像保持体から記録媒体上へと前記画像を転写する転写機と、
前記画像が転写された後の前記像保持体の表面に線状に接触して該表面を擦ることで該表面を清掃する清掃部材と、
前記清掃部材で清掃された後の前記像保持体の表面に接触して該表面を、前記記録媒体に対応した第1領域を超えた第2領域まで帯電させる帯電器と、
前記帯電器の、前記第1領域を帯電させる第1部分を清掃し、前記第2領域を帯電させる第2部分については少なくとも一時的には清掃しない部分清掃器と、
前記第2部分の汚染度合いを確認する確認器と、
前記確認器によって確認された汚染度合いが、予め決められた基準を超えた場合に、前記清掃部材で清掃される前の前記像保持体の表面に前記粉体を付与する付与器と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記付与器によって前記粉体が前記像保持体の表面に付与された場合に前記第2部分を一時的に清掃する一時的清掃器を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記部分清掃器が、前記付与器によって前記粉体が前記像保持体の表面に付与された場合に前記第2部分側へと一時的に移動することで前記一時的清掃器としても働くものであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触帯電部材で像担持体の表面を帯電させる画像形成装置が知られており、例えば特許文献1には、接触帯電部材への異物の付着を防止して帯電性能を保つため、トナーの通常の帯電極性とは逆極性に帯電している異物をリフレッシャに静電的に付着させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−341106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の接触帯電器では、リフレッシャを用いても、経時によって帯電器に異物が付着してしまい、帯電性能が低下する場合があった。また、帯電器にクリーニング装置を装着しても、帯電性能が低下する場合があった。本発明は、クリーニング装置を装着した帯電器を汚染度合を検出せずに用いる場合に比較して、帯電器の帯電性能を保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る画像形成装置は、
帯電された表面に形成される粉体の画像を保持する像保持体と、
上記画像を形成する形成器と、
上記像保持体から記録媒体上へと上記画像を転写する転写機と、
上記画像が転写された後の上記像保持体の表面に線状に接触してその表面を擦ることでその表面を清掃する清掃部材と、
上記清掃部材で清掃された後の上記像保持体の表面に接触してその表面を、上記記録媒体に対応した第1領域を超えた第2領域まで帯電させる帯電器と、
上記帯電器の、上記第1領域を帯電させる第1部分を清掃し、上記第2領域を帯電させる第2部分については少なくとも一時的には清掃しない部分清掃器と、
上記第2部分の汚染度合いを確認する確認器と、
上記確認器によって確認された汚染度合いが、予め決められた基準を超えた場合に、上記清掃部材で清掃される前の上記像保持体の表面に上記粉体を付与する付与器と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置は、
上記付与器によって上記粉体が上記像保持体の表面に付与された場合に上記第2部分を一時的に清掃する一時的清掃器を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る画像形成装置は、
上記部分清掃器が、上記付与器によって上記粉体が上記像保持体の表面に付与された場合に上記第2部分側へと一時的に移動することで上記一時的清掃器としても働くものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る画像形成装置によれば、部分清掃器や付与器を有さない場合に較べ、帯電器の帯電性能を保つことができる。
【0009】
請求項2に係る画像形成装置によれば、一時的清掃器を備えない場合に較べ上記粉体付与の制御が安定する。
【0010】
請求項3に係る画像形成装置によれば、上記部分清掃器と上記一時的清掃器を別々に備える場合に較べて部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
図2】帯電器の周辺を詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【0014】
図1に示すプリンタ10はモノクロプリンタであり、プリンタ10外で作成された、画像を表す画像信号が、不図示の信号ケーブル等を介して入力される。プリンタ10には、このプリンタ10内の各構成要素の動きを制御する制御部11が備えられており、画像信号はこの制御部11に入力される。そして、プリンタ10では、この制御部11の制御の下で画像信号に基づく画像の形成が行われる。
【0015】
プリンタ10の下部には用紙トレイ21が備えられていて、用紙トレイ21には、用紙Pが積み重なった状態に収容されている。用紙トレイ21は、用紙Pの補給のために、引出し自在に構成されている。
【0016】
用紙トレイ21内の用紙Pは、ピックアップロール22およびさばきロール23により待機ロール24へと送られる。待機ロール24に到達した用紙Pは、搬送のタイミングが調整されてさらに搬送される。
【0017】
このプリンタ10には、矢印Aで示す向きに回転する円柱状の感光体12が待機ロール24の上方に備えられている。そして、この感光体12の周囲に、帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、および感光体クリーナ17が配備されている。感光体12が本発明に言う像保持体の一例に相当し、帯電器13が本発明に言う帯電器の一例に相当する。露光器14と現像器15とを併せたものが本発明に言う形成器の一例に相当し、転写器16が本発明に言う転写機の一例に相当する。
【0018】
帯電器13は感光体12の表面を帯電させ、露光器14は、制御部11から送られてくる画像信号に従って感光体12の表面を露光して静電潜像を形成する。静電潜像は現像器15により現像されてトナー像が形成される。ここで、露光器14は、レーザ光を光源とするものであってもよく、あるいは、LED等を光源とするものであってもよい。また、現像器15は、トナーとキャリアが混ざったいわゆる2成分現像剤を用いるものであってもよく、あるいはトナーが主成分の現像剤を用いるものであってもよい。
【0019】
ここで、上記の待機ロール24は、感光体12上のトナー像が、転写器16に対面した位置に達するタイミングに合わせてその位置に到達するように用紙Pを送り出す。そして、感光体12上のトナー像は、転写器16の作用を受け、その送り出されてきた用紙P上に転写される。
【0020】
トナー像の転写後に感光体12上に残存するトナー(残留トナー)は、感光体クリーナ17により、感光体12から取り除かれる。感光体クリーナ17にはゴム製のクリーニングブレード170が備えられていて、そのクリーニングブレード170は円柱状の感光体12が延びている方向に沿って延びた長尺の板形状を有している。そして、感光体12に沿って延びた一辺で感光体12に線状に接触している。感光体12に接触したこの一辺のことを便宜上、クリーニングブレード170のエッジと称する場合がある。クリーニングブレード170は固定されているのに対して感光体12は回転しているため、クリーニングブレード170はエッジで感光体12の表面を擦ることになり、それによって感光体12の表面から不要物(残留トナー、トナーに混ざっていた外添材、用紙Pに由来する紙粉など)を掻き取って除去する。このようなクリーニングブレード170は、本発明に言う清掃部材の一例に相当する。
【0021】
トナー像の転写を受けた用紙Pは、さらに矢印B方向に進み、定着器18による加熱
および加圧を受けてその用紙P上にトナー像が定着される。その結果、用紙P上には定着トナー像からなる画像が形成される。
【0022】
定着器18を通過した用紙Pは、排出器19に向かって矢印C方向に進み、さらに、その排出器19によってさらに矢印D方向に送られて排紙台20上に排出される。
【0023】
次に、上述した帯電器13の詳細について説明する。
【0024】
図2は、帯電器13の周辺を詳細に示した図である。
【0025】
図2には、帯電器13と感光体12とクリーニングブレード170を図1の左上方から見下ろした場合に相当する概略配置が示されている。
【0026】
帯電器13には、感光体12表面に接触して連れ回る帯電ロール131と、帯電ロール131の表面を清掃する帯電器クリーナ132が備えられている。帯電器クリーナ132は、回転軸136の周囲に螺旋状のクリーニング部材137が固定された構造となっており、帯電ロール131と連れ回ることで帯電ロール131の表面から不要物を除去する。回転軸136の一端には押しバネ135が配備され、他端にはプッシュ型のソレノイド134が配備されている。
【0027】
感光体12の長さは、プリンタ10で使用が想定されている最大の用紙幅WPを超す長さになっており、感光体12の表面は、用紙Pに対応していてトナー画像が形成される第1の領域121と、用紙Pに対応しない第2の領域122とに分けられる。クリーニングブレード170の長さは感光体12の全長に相応した長さとなっており、第1の領域121と第2の領域122の両方について不要物を除去する。
【0028】
また、帯電ロール131の長さも感光体12の全長に相応した長さとなっており、帯電ロール131は、第1の領域121を帯電させる第1部分131aと、第2の領域122を帯電させる第2部分131bとに分けられる。一方、帯電器クリーナ132のクリーニング部材137は、帯電ロール131の第1部分131aに相応した長さを有しており、通常はソレノイド134がオフなので第1部分131aのみを清掃する。そして、帯電器13には、帯電ロール131の第2部分131bの表面から距離を置いて光学センサ133が配備されている。この光学センサ133は、帯電ロール131の第2部分131bの表面に光を照射して反射光量を測定するものであり、反射光量の測定によって第2部分131bの汚染度合いが確認される。汚染度合いを表した測定信号は図1に示す制御部11へと送られる。帯電器クリーナ132が、本発明にいう部分清掃器の一例に相当し、光学センサ133が、本発明にいう確認器の一例に相当する。
【0029】
ところで、クリーニングブレード170により感光体12表面から不要物が掻き取られる際には、掻き取られた不要物の一部がクリーニングブレード170のエッジに沿って滞留して、トナーダムや外添材ダム等と称される滞留体を形成する。この滞留体の存在によって不要物が確実に掻き取られることになり、クリーニングブレード170による清掃能力の維持には滞留体の維持が重要となっている。
【0030】
滞留体が維持されている場合には、不要物がクリーニングブレード170をすり抜けることも少なく、帯電器13に向かった不要物は帯電器クリーナ132で除去されるので帯電器13の汚れは低く維持されて帯電性能も維持される。しかし、例えば低濃度の画像が連続して形成された場合などは滞留体が縮小してクリーニングブレード170の清掃能力が低下してしまう。そのような清掃能力の低下が続くと、帯電器13に向かう不要物が増加して帯電器クリーナ132による清掃能力を超えてしまい帯電能力の低下を招く。その結果、すじ状の画像欠陥を生じる場合がある。
【0031】
感光体12上の不要物は主に第1領域121に付着しており、クリーニングブレード170をすり抜けた不要物は、多くが帯電ロール131の第1部分131aへと向かい、僅かな一部が第2部分131bに向かうことになる。このように第2部分131bに向かう不要物の量は、第1部分131aへと向かう不要物の量に対応しているが、第2部分131bは帯電器クリーナ132で清掃されないので、第2部分131bの汚染度合いは、クリーニングブレード170をすり抜けた不要物の量を敏感に反映することになる。そして、滞留体の縮小などでクリーニングブレード170の清掃能力が低下した場合には、初期の段階でも第2部分131bの汚染度合いが大幅に増加し、帯電器クリーナ132の清掃能力に充分な余力が残っているうちに光学センサ133によって確実に検知される。つまり、第2部分131bの汚染度合いの確認によってクリーニングブレード170における滞留体の維持状況が間接的に確認されることになる。
【0032】
光学センサ133による測定値が第2部分131bの汚染度合いの大幅な上昇を表している場合には、用紙Pに転写する画像の形成の合間に、図1に示す制御部11から露光器14に帯状の画像を表した画像信号が送られ、現像器15による現像によって感光体12上にトナーバンドが形成される。このトナーバンドは、制御部11による転写器16の電位制御によって転写器16をそのまま通過して感光体クリーナ17へと向かい、クリーニングブレード170のエッジに到達して滞留体を形成する。これによりクリーニングブレード170の清掃能力は、帯電器クリーナ132の清掃能力に充分な余力が残っているうちに回復し、帯電器13の汚れは低く保たれ、帯電性能も維持されることとなる。露光器14と現像器15とを併せたものは、本発明にいう付与器の一例にも相当する。
【0033】
トナーバンドが形成されるとその後、制御部11による制御でソレノイド134がオンになって帯電器クリーナ132の回転軸136を押す。その結果、帯電器クリーナ132は帯電ロール131の第2部分131b側へとシフトして第2部分131bの表面から不要物が除去される。これにより、クリーニングブレード170の清掃能力が低下した場合に生じる第2部分131bでの汚染度合いの上昇を感知する感度が維持されることとなり、トナーバンドを発生させるべきタイミングの制御が安定する。また、第2部分131bの清掃のために別の清掃手段を設けるのではなく、通常は第1部分131aのみを清掃している帯電器クリーナ132をシフトさせる構造が採用されているので部品点数が少なくて構造が簡素となっている。
【0034】
なお、上記実施形態では、画像形成装置の一例としてモノクロプリンタを示して説明したが、本発明の画像形成装置は、カラープリンタであっても良く、あるいは、ファクシミリやコピー機や複合機であってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、本発明にいう転写機の一例として、感光体上に形成されたトナー像を記録媒体上に直接転写するタイプの転写器を示して説明したが、本発明にいう転写機は、感光体上から中間転写体などを介して間接的に記録媒体上にトナー像を転写する間接転写式のものであってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、本発明にいう付与器の一例として、露光器14および現像器15を併せたものを示して説明したが、本発明にいう付与器は、露光器14および現像器15とは別に設けられたものであってもよい。例えば、画像の転写後、クリーニング前の部分で像保持体上に粉体を付与するものが考えられる。
【符号の説明】
【0037】
10 プリンタ
11 制御部
12 感光体
13 帯電器
131 帯電ロール
132 帯電器クリーナ
133 光学センサ
14 露光器
15 現像器
16 転写器
17 感光体クリーナ
170 クリーニングブレード
18 定着器
図1
図2