(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方向に延びる本体に形成され該一方向に対する垂直方向の断面が円弧状に湾曲する凸状面に、該一方向に沿った線状の接着剤が該凸状面の頂部側から麓部側へ間隔をあけて複数配置されるように接着剤を塗布する工程であって、該接着剤は、太さが該頂部よりも該麓部で細くかつ該間隔が該頂部よりも該麓部で狭い該工程と、
該接着剤が塗布された凸状面にコイルを加圧する工程と、
を有する加熱部材の製造方法。
一方向に延びる本体に形成され該一方向に対する垂直方向の断面が円弧状に湾曲する凸状面に、該一方向に沿った線状の接着剤が該凸状面の頂部から麓部へ間隔をあけて複数配置されるように接着剤を塗布する塗布装置であって、該接着剤は、太さが頂部よりも麓部で細く、かつ、該間隔が該頂部よりも該麓部で狭い塗布装置と、
該接着剤が塗布された凸状面に該コイルを加圧する加圧装置と、
を有する加熱部材の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。以下では、まず、誘導加熱装置(加熱部材の一例)が適用された定着装置について説明する。次いで、誘導加熱装置の製造装置、及び誘導加熱装置の製造方法について説明する。なお、下記の説明で用いるX方向、−X方向、Y方向、−Y方向は、図中に示す矢印方向である。
【0020】
(定着装置200)
図1に示す定着装置200は、例えば、電子写真式の画像形成装置に用いられる。この定着装置200は、
図1に示されるように、発熱層(図示省略)を有する無端状の定着ベルト202と、加圧ロール204と、誘導加熱装置100と、を有している。定着装置200では、誘導加熱装置100が定着ベルト202の発熱層を加熱する。そして、定着装置200では、誘導加熱装置100によって加熱された定着ベルト202の熱と、加圧ロール204による加圧とによって、記録媒体Pに転写されたトナー画像Tを当該記録媒体Pに定着する。具体的には、定着装置200は、以下のように構成されている。
【0021】
定着ベルト202の内側には、非磁性体であるアルミニウムで構成された角柱状の支柱214が配置されている。支柱214は、定着ベルト202の幅方向(
図1における紙面の前後方向)に長さを有している。支柱214の長さ方向両端部が、定着装置200の装置本体201(フレーム)に固定されている。支柱214の下部には、下面が定着ベルト202の内周面と接触するパッド216が固定されている。
【0022】
なお、定着ベルト202の内側における支柱214の上方には、後述する略半円筒状の発熱体118が設けられている。発熱体118は、支柱214に固定された一対の支持部材222によって支持されている。
【0023】
定着ベルト202は、その内側に配置された支柱214、パッド216、一対の支持部材222及び発熱体118によって、矢印D方向に回転可能に支持されている。
【0024】
加圧ロール204は、定着ベルト202をパッド216側へ加圧しており、記録媒体Pを挟み込むニップ部Nを定着ベルト202との間に形成している。そして、加圧ロール204は、図示しないモータにより矢印E方向に回転する。定着ベルト202は、加圧ロール204の回転に従動して、矢印D方向に回転する。
【0025】
<誘導加熱装置100>
誘導加熱装置100(加熱部材の一例)は、ボビン120(本体の一例)と、誘導加熱コイル110(コイルの一例)と、磁路形成部材112と、を有している。
【0026】
ボビン120は、定着ベルト202の外周面に対向する位置で、定着ベルト202の外周面に沿って配置されている。このボビン120は、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂材料)で構成されている。
【0027】
また、ボビン120は、定着ベルト202の幅方向(一方向の一例)に延びており、定着ベルト202の幅方向に長さを有している。このボビン120は、定着ベルト202の外周面に倣った略円弧状に形成されており、ボビン120の長さ方向(
図1における紙面の前後方向)に対する垂直方向の断面が円弧状に湾曲する凸状面122を有している。
【0028】
凸状面122の頂部122Aでは、定着ベルト202とは反対側(
図1における上側)に向けて凸部125が突出している。なお、凸部125は、平面視にて(
図1における上方側から見て)、定着ベルト202の幅方向を長辺とする長方形状をしている。凸状面122の麓部122Bのそれぞれには、定着ベルト202とは反対側(
図1における左右側)に張り出した張出部127が形成されている。なお、ボビン120における凸状面122とは反対側の面は、ボビン120の長さ方向に対する垂直方向の断面が円弧状に湾曲する凹状面124とされている。
【0029】
誘導加熱コイル110は、凸部125周りを複数回巻き回されるように配置された状態で、凸状面122に接着剤により固定されている。この誘導加熱コイル110は、通電によって磁界Hを発生させる機能を有している。
【0030】
磁路形成部材112は、定着ベルト202と反対側(
図1における上側)で誘導加熱コイル110と対向する位置に配置されている。磁路形成部材112は、ボビン120の円弧状に倣って略円弧状に形成されたフェライト等の磁性体で構成されている。この磁路形成部材112は、周方向中央部がボビン120の凸部125上に取り付けられ、周方向両端部のそれぞれがボビン120の張出部127に取り付けられている。
【0031】
磁路形成部材112は、
図2に示されるように、定着ベルト202の幅方向に沿って複数配置されており、定着ベルト202の幅方向に沿って設けられた非磁性体で構成された保持部材113によって保持されている。なお、磁路形成部材112は、保持部材113の長さ方向中央部では等間隔に配置され、長さ方向両端部では、間隔を詰めて、あるいは、接触して配置されている。このように磁路形成部材112を配置することで、定着ベルト202の幅方向の磁界Hの分布を調整している。
【0032】
定着ベルト202の発熱層、及び発熱体118は、前述の磁界Hを打ち消す磁界を生成するように渦電流が流れる電磁誘導作用により発熱する金属材料で構成される。なお、発熱体118は、表面(凸状面)が定着ベルト202の内面と接触するように配置されている。
【0033】
そして、誘導加熱装置100では、誘導加熱コイル110に交流電流が供給されると、誘導加熱コイル110の周囲に磁気回路としての磁界Hが生成消滅を繰り返す。そして、磁界Hが定着ベルト202の発熱層を横切ると、磁界Hの変化を妨げる磁界が生じるように当該発熱層に渦電流が発生する。当該発熱層は、当該発熱層の表皮抵抗、及び当該発熱層を流れる渦電流の大きさに比例して発熱し、これによって定着ベルト202が加熱される。
【0034】
また、同様にして、磁界Hの電磁誘導作用により、発熱体118が発熱し、定着ベルト202が加熱される。このように、誘導加熱装置100では、定着ベルト202の発熱層と発熱体118とを誘導加熱コイル110で発熱させることで、定着ベルト202を加熱する。
【0035】
(製造装置10)
製造装置10は、ボビン120の凸状面122に接着剤を塗布する塗布装置20(
図3参照)と、接着剤が塗布された凸状面122に誘導加熱コイル110を加圧する加圧装置70(
図5参照)と、を有している。
【0036】
<塗布装置20>
塗布装置20は、
図3に示されるように、接着剤を吐出する吐出部としてのディスペンサー22と、ボビン120をディスペンサー22に対して相対移動させる移動機構30と、を有している。
【0037】
ディスペンサー22は、塗布装置20の図示しない装置本体(フレーム)に固定された支持部材24に支持されている。このディスペンサー22は、定位置で、予め定められた凸状面122における吐出位置にノズル22Aから接着剤を線状に吐出する。ディスペンサー22には、ディスペンサー22の駆動を制御する制御部90が接続されている。
【0038】
本実施形態では、制御部90は、ディスペンサー22の駆動及び駆動停止のみを制御する。ディスペンサー22は、制御部90によって駆動されることで、予め定められた一定の吐出量(単位時間当たりの吐出量)で接着剤を吐出する。
【0039】
移動機構30は、ボビン120を支持する支持体40と、支持体40を回転させる回転装置50と、支持体40を直動させる直動装置60と、を有している。
【0040】
支持体40は、X方向に長さを有し上下方向に厚みを有するプレート42と、プレート42上面の長さ方向両端部に設けられボビン120の長さ方向両端部を支持する支持部材44と、を有している。
【0041】
回転装置50は、プレート42における下面の長さ方向両端部に固定された回転部材52、53と、駆動軸56が回転部材52に固定された駆動部54と、回転軸57を介して回転部材53を回転可能に支持する支持部55と、を有している。
【0042】
駆動部54は、支持体40に支持されたボビン120の凸状面122の一方の麓部122Bから他方の麓部122Bまでを、ディスペンサー22の吐出位置に位置させる範囲で、回転部材52、53を回転させる。
【0043】
駆動部54には、駆動部54の駆動を制御する制御部90が接続されている。本実施形態では、制御部90は、駆動部54の駆動及び駆動停止を制御すると共に、駆動部54による回転部材52、53の駆動量(回転量)、駆動方向(正転又は逆転)及び駆動速度(回転速度)を制御する。
【0044】
直動装置60は、回転装置50が載せられた台62と、台62をX方向に移動可能に支持する支持部64と、台62を直動する駆動部68と、を有している。
【0045】
台62は、X方向に長さを有し上下方向に厚みを有する板状に形成されている。台62の上面の長さ方向一端部に回転装置50の駆動部54が固定され、台62の上面の長さ方向他端部に回転装置50の支持部55が固定されている。
【0046】
支持部64は、X方向に延びるレール(図示省略)によって、台62の底部をX方向及び−X方向に移動可能に支持している。駆動部68は、台62をX方向及び−X方向に直動させる。駆動部68には、駆動部68の駆動を制御する制御部90が接続されている。本実施形態では、制御部90は、駆動部68の駆動及び駆動停止を制御すると共に、駆動部68による台62の駆動量(直動量)及び駆動速度(直動速度)を制御する。
【0047】
塗布装置20では、ディスペンサー22が定位置でボビン120へ接着剤14を吐出すると共に、回転装置50及び直動装置60によって、ボビン120を移動させることで、
図4に示されるように、ボビン120の凸状面122に接着剤14を塗布する。
【0048】
なお、
図4に示す接着剤14の塗布パターンは、ボビン120の凸状面122を平面状に展開した状態での塗布パターンを示す。また、
図4に示すボビン120では、張出部127の図示を省略している。なお、塗布装置20による具体的な接着剤の塗布動作については、誘導加熱装置100の後述する製造方法において説明する。
【0049】
<加圧装置70>
加圧装置70は、
図5に示されるように、誘導加熱コイル110が配置される配置台72と、ボビン120を誘導加熱コイル110へ押す押し部材76と、を有している。
【0050】
配置台72の上面は、誘導加熱コイル110が配置される配置面72Aとされている。この配置面72Aは、円弧状に湾曲する凹状面で構成されている。
【0051】
配置面72Aには、開口71が形成されている。この開口71には、配置面72Aの上方へ突出する突出部73が、配置台72に上下動可能に設けられている。突出部73は、具体的には、配置面72Aの上方へ突出する突出位置と、開口71内に退避する退避位置との間で移動可能に配置台72に取り付けられている。突出部73は、圧縮ばね等の弾性部材75(
図6参照)によって上側へ押されて、無負荷において突出位置に位置している。
【0052】
加圧装置70では、誘導加熱コイル110の中心に形成された空洞部分110A内に突出部73が位置するように、配置面72Aに対して誘導加熱コイル110が配置される。さらに、配置面72Aに配置された誘導加熱コイル110上に、凸部125が突出部73に対向(接触)するように、ボビン120が配置される。
【0053】
押し部材76の下面は、ボビン120の凹状面124に沿った凸状面76Aとされている。押し部材76は、下降機構(図示省略)によって下降して、配置面72Aに配置された誘導加熱コイル110へボビン120を押して、接着剤が塗布された凸状面122へ誘導加熱コイル110を加圧する。
【0054】
(誘導加熱装置100の製造方法)
本製造方法は、ボビン120の凸状面122に接着剤を塗布する塗布工程と、接着剤が塗布された凸状面122に誘導加熱コイル110を加圧する加圧工程と、を有している。
【0055】
<塗布工程>
塗布工程では、塗布装置20が、
図4に示されるように、凸状面122上で凸部125周りに周回するように接着剤14を塗布する。具体的には、塗布工程では、塗布装置20のディスペンサー22、回転装置50及び直動装置60の駆動が、制御部90によって制御され、例えば、以下のように、ディスペンサー22、回転装置50及び直動装置60が動作する。
【0056】
まず、ボビン120の凸状面122における凸部125に対するY方向側の部分で、且つ凸部125に対する−X方向側の部分であって、凸状面122の麓部122Bよりも頂部122Aに近い部分123(
図4参照)が、ディスペンサー22の吐出位置に位置する状態で、ディスペンサー22からの接着剤14の吐出が開始される。なお、
図4において、接着剤14の塗布開始端部が符号14Aで示されている。
【0057】
ディスペンサー22がボビン120への接着剤14の吐出を開始すると、直動装置60がボビン120を−X方向に移動させる。これにより、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14Bが塗布される。
【0058】
接着剤14Bが予め定められた長さに達すると、直動装置60がボビン120の−X方向への移動を停止し、次いで、回転装置50がボビン120をY方向へ回転(正転)させる。これにより、ボビン120の短手方向(−Y方向)に沿った線状の接着剤14Cが塗布される。
【0059】
さらに、接着剤14Cが予め定められた長さに達すると、回転装置50がボビン120のY方向への回転(正転)を停止し、直動装置60がボビン120をX方向へ移動させる。これにより、ボビン120の長さ方向(−X方向)に沿った線状の接着剤14Dが塗布される。
【0060】
さらに、接着剤14Dが予め定められた長さに達すると、直動装置60がボビン120のX方向への移動を停止し、次いで、回転装置50がボビン120を−Y方向へ回転(逆転)させる。そして、接着剤14Eが予め定められた長さに達すると、回転装置50がボビン120の−Y方向への回転(逆転)を停止する。これにより、ボビン120の短手方向(Y方向)に沿った線状の接着剤14Eが塗布される。このように、線状の接着剤14B、14C、14D、14Eが凸状面122に塗布されることで、凸部125周りに1周目の接着剤14が塗布される。
【0061】
この1周目の接着剤14に続いて、前述のように、塗布装置20を動作させることで、凸部125周りに2周目、3周目、4周目及び5周目の接着剤14を塗布する。このように、接着剤14における内周側の端部14Aが塗布開始端部となるように、うず巻状に周回して、一筆書きで接着剤14を塗布する。
【0062】
このとき、各周回で接着剤14が交わらないように、前の周回(例えば、1周目)の接着剤14に対して、間隔をあけて、その次の周回(例えば、2周目)の接着剤14が塗布される。
【0063】
これにより、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14Hが凸状面122の頂部122A側から麓部122B側へ間隔をあけて複数配置される。
【0064】
また、直動装置60によるボビン120の直動量及び、回転装置50によるボビン120の回転量を制御することで、1周目の接着剤14と2周目の接着剤14との間隔が最も広く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに、徐々に間隔が狭くされる。
【0065】
従って、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14H同士の間隔は、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで狭くなる。
【0066】
さらに、直動装置60によるボビン120の直動速度及び、回転装置50によるボビン120の回転速度は、1周目における接着剤14の塗布動作よりも、2周目における接着剤14の塗布動作で速く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに徐々に速くなる。これにより、接着剤14の太さは、1周目で最も太く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに、徐々に細くなる。なお、本実施形態では、接着剤14の太さは、接着剤14の断面積で比較し、接着剤14の断面積が広い場合を接着剤14の太さが太いとする。
【0067】
従って、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14Hの太さは、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで細くなる。
【0068】
<加圧工程>
そして、加圧工程では、
図5及び
図6(A)(B)に示されるように、誘導加熱コイル110の中心に形成された空洞部分110A内に突出部73が位置するように、誘導加熱コイル110が配置面72Aに配置される。次に、
図6(C)に示されるように、配置面72Aに配置された誘導加熱コイル110上に、凸部125が突出部73に対向(接触)するように、ボビン120が配置される。
【0069】
次に、
図6(D)に示されるように、ボビン120の凹状面124が押し部材76によって、誘導加熱コイル110へ押される。これにより、突出部73が凸部125で押されて、開口71内の退避位置へ退避すると共に、接着剤14が塗布された凸状面122に誘導加熱コイル110が加圧される。なお、
図6(C)(D)においては、ボビン120の張出部127の図示を省略している。
【0070】
このように、接着剤14が塗布された凸状面122に誘導加熱コイル110が加圧されることで、誘導加熱コイル110がボビン120の凸状面122に接着される。
【0071】
そして、磁路形成部材112をボビン120に取り付けることで(
図1参照)、誘導加熱装置100が製造される。
【0072】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態では、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14Hの太さは、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで細い。このため、誘導加熱コイル110がボビン120の凸状面122に加圧されて、接着剤14B、14G、14D、14Hが押し広げられた際に、接着剤14B、14G、14D、14Hは、頂部122Aよりも麓部122Bで広がりにくい。
【0073】
したがって、本実施形態では、接着剤14B、14G、14D、14Hの太さが、凸状面122の頂部122Aと麓部122Bとで同じである場合に比べ、凸状面122に塗布された接着剤14が麓部122Bで、張出部127へはみ出しにくい。
【0074】
このように、張出部127への接着剤14のはみ出しが抑制されるので、張出部127へはみ出して固化した接着剤14によって、磁路形成部材112がボビン120に対して位置ずれした状態で張出部127に取り付けられることが抑制される。また、磁路形成部材112が位置ずれした状態で張出部127に取り付けることを防止するために、磁路形成部材112をボビン120に取り付ける前に行うはみ出した接着剤14のボビン120からの除去作業も不要となる。
【0075】
また、本実施形態では、接着剤14B、14G、14D、14H同士の間隔は、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで狭い。このため、接着剤14が塗布されていない部分の面積が、頂部122Aよりも麓部122Bで小さい。したがって、接着剤14の太さが麓部122Bで細く、接着剤14が加圧された際に広がりにくくても、接着剤14の凸状面122の麓部122Bでの抜け(接着剤が塗布されていない部分が形成されること)が抑制される。
【0076】
すなわち、本実施形態では、接着剤14B、14G、14D、14H同士の間隔が、凸状面122の頂部122Aと麓部122Bとで同じである場合に比べ、凸状面122に塗布された接着剤14の麓部122Bでの抜けが抑制される。このように、凸状面122に塗布された接着剤14の麓部122Bでの抜けが抑制されるので、誘導加熱コイル110の凸状面122への接着不良が抑制される。
【0077】
また、本実施形態では、ボビン120の凸部125周りに接着剤14を周回させて、凸状面122に、一筆書きで接着剤14を塗布する。
【0078】
このため、塗布装置20における1回の塗布動作で接着剤14が塗布される。すなわち、塗布装置20におけるディスペンサー22の駆動及び駆動停止の制御が1回で済む。
【0079】
(第1変形例)
接着剤14は、
図7に示されるように塗布してもよい。
図7に示す塗布パターンでは、接着剤14が、各周回ごとに枠状に塗布されている。
図7に示す塗布パターンにおいても、直動装置60によるボビン120の直動量及び、回転装置50によるボビン120の回転量を制御することで、1周目の接着剤14と2周目の接着剤14との間隔が最も広く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに、徐々に間隔が狭くされる。
【0080】
従って、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14H同士の間隔は、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで狭くなっている。
【0081】
また、直動装置60によるボビン120の直動速度及び、回転装置50によるボビン120の回転速度は、1周目における接着剤14の塗布動作よりも、2周目における接着剤14の塗布動作で速く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに徐々に速くなる。これにより、接着剤14の太さは、1周目で最も太く、2周目、3周目、4周目及び5周目と周回するごとに、徐々に細くなる。従って、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14B、14G、14D、14Hの太さは、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで細くなる。
【0082】
このように、第1変形例では、ボビン120の凸部125周りに接着剤14を周回させて、凸状面122に接着剤14を塗布する。このため、一方向に沿った線状の接着剤でのみ塗布される場合に比べ、塗布装置20における1回の塗布動作で塗布される範囲が広くなる。したがって、一方向に沿った線状の接着剤でのみ塗布される場合に比べ、塗布装置20におけるディスペンサー22の駆動及び駆動停止の制御する回数が少なくされる。
【0083】
(第2変形例)
接着剤14は、
図8に示されるように塗布してもよい。
図8に示す塗布パターンでは、ボビン120の長さ方向(X方向)に沿った線状の接着剤14のみで形成されている。
【0084】
図8に示す塗布パターンにおいても、回転装置50によるボビン120の回転量を制御することで、線状の接着剤14同士の間隔は、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで狭くされる。
【0085】
また、直動装置60によるボビン120の直動速度を制御することで、線状の接着剤14の太さが、凸状面122の頂部122Aよりも麓部122Bで細くなっている。
【0086】
(他の変形例)
本実施形態では、定着装置200に適用された誘導加熱装置100について説明したが、これに限られず、誘導加熱装置100としては、他の装置に適用してもよい。
【0087】
本実施形態では、ディスペンサー22が定位置でボビン120へ接着剤14を吐出すると共に、回転装置50及び直動装置60によって、ボビン120を移動させることで、ボビン120の凸状面122に接着剤14を塗布していたが、これに限られない。例えば、ボビン120を移動させることに替えて、又は、加えて、ディスペンサー22を移動させて凸状面122に接着剤14を塗布する構成であってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、直動装置60によるボビン120の直動速度及び、回転装置50によるボビン120の回転速度を制御することで、接着剤14の太さを変化させていたが、これに限られない。例えば、ボビン120の直動速度及び回転速度の制御に替えて、又は、加えて、ディスペンサー22からの吐出量を変えることで、接着剤の太さを変化させる構成であってもよい。
【0089】
また、接着剤14の塗布パターンとしては、前述の本実施形態の塗布パターン(
図4に示すパターン)、第1変形例の塗布パターン(
図7に示すパターン)及び第2変形例の塗布パターン(
図8に示すパターン)に限られない。接着剤14の塗布パターンとしては、例えば、つづら折り状に接着剤14を塗布する塗布パターンであってもよい。つづら折り状の塗布パターンの場合でも、一筆書きで接着剤14を塗布することが可能である。
【0090】
また、本実施形態では、接着剤14を内周側から外周側へ向かうようにうず巻状に周回させて塗布したが、これに限られず、接着剤14を外周側から内周側へ向かうようにうず巻状に周回させて塗布してもよい。
【0091】
本実施形態では、凸部125に対する−X方向側及びX方向側に複数配置されたY方向に沿った線状の接着剤14(接着剤14C、14Eを含む)においても、接着剤14同士の間隔が、外周側へ周回するごとに徐々に狭くなっているが、この構成に限られない。凸部125に対する−X方向側及びX方向側に複数配置されたY方向に沿った線状の接着剤14については、接着剤14同士の間隔が同じであってもよいし、外周側へ周回するごとに徐々に広くなってもよい。
【0092】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。