【実施例】
【0011】
図1〜
図3は、この発明の実施例を示すものである。
図1に示すように、車両には、駆動力を発生するエンジン1と、電力を蓄えるバッテリ2と、充電制御装置3とが搭載される。
エンジン1には、連結機構4を介して発電手段(オルタネータ)5が連結される。発電手段5は、エンジン1の駆動力により発電を行ってバッテリ2に充電電力を供給する。発電手段5には、電気線6及び通信線7を介してレギュレータ制御部(レギュレータIC)8が接続される。レギュレータ制御部8は、レギュレータとコントローラとが組み合わって構成される。
バッテリ2は、正極端子(+)2Aと負極端子(−)2Bとを備える。
バッテリ2の正極端子(+)2Aには、第1ハーネス9の一端が接続される。第1ハーネス9の他端には、正極側グラウンド10が接続される。第1ハーネス9の途中には、電源側端子11Aを経て電気負荷11が設けられる。
バッテリ2の負極端子(−)2Bには、第2ハーネス12の一端が接続される。第2ハーネス12の他端には、負極側グラウンド13が接続される。第2ハーネス12の途中には、ホール型の電流センサ14が設けられる。電流センサ14は、バッテリ2の負極端子(−)2B側の電流を検出する。
【0012】
バッテリ2の正極端子(+)2Aと電気負荷11の電源側端子11Aとの間の第1ハーネス9には、第3ハーネス15の一端が接続される。第3ハーネス15の他端は、レギュレータ制御部8の正極側出力端子8Aに接続される。
また、負極側グラウンド13と電流センサ14との間の第2ハーネス12には、第4ハーネス16の一端が接続される。第4ハーネス16の他端は、レギュレータ制御部8の負極側出力端子8Bに接続される。
発電手段5とバッテリ2の正極端子(+)2Aと電流センサ14とは、レギュレータ制御部8に接続される。また、バッテリ2の正極端子(+)2Aとレギュレータ制御部8の正極側出力端子8Aと電気負荷11の電源側端子11Aとは、共通電位となっており、グラウンド10・13を挟んで並列接続となっている。
【0013】
レギュレータ制御部8には、通信線17を介して制御手段(ECU)18が接続される。制御手段18には、電流センサ14と、車両の速度を検出する車速センサ19と、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ20と、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ21とが接続される。
制御手段18は、エンジン1及び発電手段5を含む補機類を制御するものであって、車両が所定条件下の減速状態になると、エンジン1への燃料を停止する燃料カット制御を行う燃料カット制御手段22を備える。
また、制御手段18は、各種の演算及び判定を行う中央処理手段23と、電流センサ14から検出されたバッテリ2の充放電電流より充放電量を算出する充放電量算出手段24と、発電手段5により発電される発電量を制御する発電制御手段25と、各種の演算値を記憶する記憶手段26とを備える。
電流センサ14の出力信号は、バッテリ2の充放電電流を電圧信号に変換したものであり、検出された充放電電流を用いて、充放電量算出手段24は、充放電量を算出するために用いられる。
ブレーキペダルセンサ20は、ブレーキペダルの踏力を制御手段18へ送信し、車速センサ19から送信される車速情報と合わせて、車両が減速状態にあるか否か・燃料カットを行えるか否かの判定に用いられる。
アクセルペダルセンサ21は、アクセルペダルの開度を電圧信号に変えて制御手段18へ送信する。
レギュレータ制御部8は、発電手段5で発電された三相交流電圧を電気負荷11を駆動するための直流電圧に整流する。また、レギュレータ制御部8は、発電手段5に励磁電流を供給し、発電手段5の発電電力を制御する。
レギュレータ制御部8と制御手段18とは、通信線17を介して相互に通信を行う。レギュレータ制御部18は、発電手段5に発生している発電負荷をField Ratio Duty信号として制御手段18へ送信する。制御手段18は、発電電圧、励磁電流制限、発電電流を指示する信号をレギュレータ制御部8へ送信する。
【0014】
制御手段18において、発電制御手段25は、バッテリ2の充放電量が上限放電閾値と等しくなった時に、発電手段5が発電量と放電量とが釣り合うよう発電量を抑制する抑制発電を行うよう制御する。
また、発電制御手段25は、バッテリ2の充放電量が、上限放電閾値と等しくなった後、上限放電閾値以下且つ上限放電閾値よりも小さな下限放電閾値
より大きな場合の減速時には、回生エネルギによる高電圧発電を行うよう制御を行い、加速中又は一定速度走行中には、発電手段5が抑制発電を行うよう制御する。
【0015】
次いで、この実施例に係る充電制御を、
図2のフローチャートに沿って説明する。
図2に示すように、制御手段18のプログラムがスタートすると(ステップA01)、充放電量算出手段24でバッテリ2の負極端子(−)2Bを出入りする充放電電流を電流センサ14より検出されたものから算出し、検出された充放電量を中央処理手段23が積算することで充放電量を算出し、バッテリ2の状態を推定し、そして、その積算値を記憶手段26に記憶する(ステップA02)。
そして、中央処理手段23は、前回時、発電カット許可が成立中であったかを判断する(ステップA03)。
このステップA03がYESで、発電カット許可が成立していたと判断した場合には、中央処理手段23は、現在の算出された充放電量が上限放電閾値に等しいか否かの判断を行う(ステップA04)。つまり、このステップA04では、充放電量の上限放電閾値と前記算出された充放電量との比較が行われる。
このステップA04がYESの場合には、発電カット許可を不成立にする(ステップA05)。
一方、前記ステップA03がNOで、発電カット許可が不成立であると判断した場合には、現在の算出された充放電量が下限放電閾値以下か否かの判断を行う(ステップA06)。つまり、このステップA06では、充放電量の下限放電閾値と前記算出された充放電量との比較が行われる。
このステップA06がNOの場合、又は前記ステップA04がNOの場合には、前回時の発電カット許可を保持する(ステップA07)。
一方、このステップA06がYESの場合には、発電カット許可を成立にする(ステップA08)。
前記ステップA05の処理後、前記ステップA07の処理後、又は前記ステップA08の処理後は、燃料カットが行われているか否かを判断する(ステップA09)。
このステップA09がYESの場合には、制御手段18は、レギュレータ制御部8に高電圧発電を行う指示の信号を出力し、高電圧発電を行う(ステップA10)。つまり、レギュレータ制御部8は、制御手段18からの指示信号に従い、発電手段5に対する励磁電流の供給を増加させ、発電手段5を高電圧で動作させる。
一方、前記ステップA09がNOの場合には、発電カット許可が成立しているか否かを判断する(ステップA11)。
このステップA11がYESの場合には、発電制御手段25は、発電カットを行う(ステップA12)。このステップA12では、発電カットを行うために、制御手段18からレギュレータ制御部8に励磁電流を零(0)にする指示の信号が出力される。レギュレータ制御部8は、制御手段18からの指示信号に従い、発電手段5への励磁電流の供給を遮断する。
一方、このステップA11がNOの場合には、抑制発電を行う(ステップA13)。このステップA13では、バッテリ2の充放電電流を零(0)にするように、発電手段5の発電電力を調整する。この発電電力の調整の指示は、制御手段18からレギュレータ制御部8に対して行われる。その後、レギュレータ制御部8は、励磁電流により、発電手段5を制御する。
前記ステップA10の処理後、前記ステップA12の処理後、又は前記ステップA13の処理後は、プログラムをエンドとする(ステップA14)。
【0016】
次いで、この実施例に係る発電量制御について、
図3のタイムチャート(充放電を時間軸で表したもの)に沿って説明する。
図3に示すように、発電量制御は、バッテリ2の放電量に2つの閾値として上限放電閾値と下限放電閾値とを設定して充放電を行うことで、走行パターンに影響されない制御となる。具体的には、バッテリ2の放電量が上限放電閾値までは発電カットを許可するが、上限放電閾値では充放電をしない制御にする(
図3の太線のC・Cで示す)と、充電するよりも燃費が改善できる。そして、燃料カット中に、放電量が下限放電閾値まで充電できれば、再度発電カットを許可する。従って、燃料カット以外で強制的に充電するタイミングが無くなることで、燃料消費中の発電手段5の負荷を低減させ、燃費が改善される。
即ち、一度、バッテリ2の放電量が上限放電閾値に到達した場合、抑制発電を行い、蓄電容量の維持を行うために、バッテリ2の過放電を防止することができる。充放電量が上限放電閾値に到達した後に下限放電閾値に至るまで、燃料カット時以外で抑制発電を行うことにより、集中的に燃料カット時に充電(回生充電)が可能となる。燃料カット中のエンジン1のエネルギは、圧縮機としての仕事とともに捨てられるものであり、燃料消費に悪影響を与えない。下限放電閾値まで充電されると、発電カットを行うのに十分な蓄電容量が確保できたとして、発電カットを許可する。
従って、バッテリ2の保護と燃費改善の両立が可能であり、また、燃料カット以外で強制的に充電するタイミングが発生しなくなることで、効率の悪い状況で発電による負荷が発生しにくくなるため、燃費悪化が発生しにくくなる。
【0017】
この結果、この実施例において、発電制御手段25は、バッテリ2の充放電量が上限放電閾値と等しくなった時に、発電手段5が発電量と放電量とが釣り合うよう発電量を抑制する抑制発電を行うよう制御する。
これにより、発電量と放電量とが釣り合うよう発電量を抑制する抑制発電を行うことで、過放電を防止し、且つエンジン1による発電の負荷を抑制することで、燃費の改善が行うことができる。
また、発電制御手段25は、バッテリ2の充放電量が、上限放電閾値と等しくなった後、上限放電閾値以下且つ上限放電閾値よりも小さな下限放電閾値
より大きな場合の減速時には、回生エネルギによる高電圧発電を行うよう制御を行い、加速中又は一定速度走行中には、発電手段5が抑制発電を行うよう制御する。