(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394426
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/66 20060101AFI20180913BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20180913BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G01N30/66
G01N30/86 D
G01N30/32 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-20472(P2015-20472)
(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-142688(P2016-142688A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085464
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 繁雄
(72)【発明者】
【氏名】中間 勇二
(72)【発明者】
【氏名】芝本 繁明
(72)【発明者】
【氏名】樫原 稔
【審査官】
高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭53−046091(JP,A)
【文献】
米国特許第04254654(US,A)
【文献】
特開平08−304372(JP,A)
【文献】
特開2002−228647(JP,A)
【文献】
特開2009−121970(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0236751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を分離するカラムと、
前記カラムによって分離された試料成分を含むキャリアガスとキャリアガスのみとをキャリアガスの流入箇所を変えることによって交互に検出部に導入して信号を取得する検出器と、
分析情報を入力するための分析情報入力部と、
予め求められたカラム流量とキャリアガス流量の関係を示すデータを保持したデータ保持部と、
前記分析情報入力部から入力された前記分析情報に基づいてカラム流量を算出し、算出されたカラム流量と前記データ保持部が保持している前記データを用いて前記算出されたカラム流量に応じたキャリアガス流量を算出する算出部と、を備えたガスクロマトグラフ。
【請求項2】
前記分析情報は、前記カラムの内径、前記カラムの長さ、温度、及び、前記カラムに印加する圧力の少なくとも1つである、請求項1に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項3】
前記算出されたキャリアガス流量を表示部に表示させる、請求項1又は2に記載のガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィー(GC)に用いられるガスクロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィーに用いられる検出器として熱伝導度検出器(TCD:Thermal Conductivity Detector)が知られている。熱伝導度検出器は発熱体(フィラメント)と発熱体周囲を流れる流体(ガス)との熱の受け渡しを利用する。ガスは、発熱体が収容された空間に導入された後、その空間から排出される。
【0003】
通常、熱伝導度検出器にはフィラメント素子が配置される少なくとも2つのセル空間が設けられる。各セル空間にはそれぞれフィラメント素子が配置される。
【0004】
一方のセル空間には基準ガスが流される。他方のセル空間にはキャリアガスが流されて被分析対象の試料ガスが導入される。そして、二つのフィラメント素子の電気出力は検出回路に入る。検出回路では、試料ガスの導入によって生じた熱伝導度の差に応じて補正電流が流れる。熱伝導度検出器では、この補正電流を検出することにより、試料の検出が行われる。
【0005】
また、キャリアガスの流入箇所を変えることによって生じる圧力差により、カラムにより分離された試料ガスが検出部に導入されるのか、キャリアガスのみが検出部に導入されるのかを制御して信号を取得する検出器を備えたガスクロマトグラフが知られている(例えば特許文献1を参照。)。
【0006】
図4は、従来のガスクロマトグラフ全体を示したブロック図である。
ストレージタンク102にはキャリアガスが貯蔵されている。流量調節器104はカラム106とストレージタンク102との間に接続されている。カラム106の一端には試料導入部108が接続されている。ここでカラム106は試料各成分を経時的に分離する機能を有する。
【0007】
カラム106から送り出されたガスは、連結部110を介してパイプ112又は114のいずれか一方向へ送られる。即ち、パイプ112に流入したガスは、コイル状パイプ116を介して排気口118へ送られ、そこで大気中に棄てられる。
【0008】
一方、パイプ114に流入したガスは、コイル状パイプ120を介して検出器122へ送られる。カラム106から排出されたガスを切り替えてどちらのパイプ(112又は114)へ流入させるかは、次に説明する方法によって行われる。
【0009】
ストレージタンク102に貯蔵されたキャリアガスはパイプ124を介して圧力調節器126及び128へ送られる。圧力調節器126から送り出されたガスはバルブ130を介してパイプ112へ送られる。ここでバルブ130とパイプ112との連結部132は、コイル状パイプ116と連結部110との中間に位置されている。
【0010】
また、圧力調節器128から送り出されたガスはバルブ134を介してパイプ114へ送られる。ここで、バルブ134とパイプ114との連結部136は、コイル状パイプ120と連結部110との中間に位置されている。
【0011】
図1に示されるようにバルブ130が開いており且つバルブ134が閉じている時、連結部132におけるキャリアガスの圧力は圧力調節器126によって所定の圧力値に設定されている。ここで所定の圧力値とは、カラム106から排出されたガス(キャリアガスと試料ガスの混合ガス)をコイル状パイプ120を介して検出器122へ送り込むのに十分な圧力をいう。
【0012】
一方、バルブ130が閉じており且つバルブ134が開いているとき、連結部136におけるキャリアガスの圧力は圧力調節器128によって所定の値に設定されている。ここで所定の圧力とは、カラム106から排出されたガスをコイル状パイプ116を介して排気口26へ送り出すのに十分な圧力をいう。したがって、この場合(バルブ130:閉、バルブ134:開)、検出器122にはキャリアガスのみが導入される。
【0013】
以上述べた切り替え手段により、検出器122へキャリアガスのみを導入するか又はカラム106からの試料ガスを導入するかの選択を行うことができる。なお、バルブ130,134の開閉制御はバルブ駆動回路138によって行われる。
【0014】
検出器122にはカラム106からの排出ガス及びキャリアガス単体が交互に導入される。したがって、検出器122のブリッジ出力信号140は交流信号となって表われる。即ちカラム106から排出されたガスによるブリッジ出力信号140とキャリアガス単体によるブリッジ出力信号140とのレベル差は試料の各成分に起因して生じる。したがって試料ガスが含まれていない場合、これら二つの出力信号レベルは等しくなる。
【0015】
なお、ブリッジ出力信号140の出力電圧は徐々にレベル変動を生じるが、これは上述した二つの信号に共通して影響を与える。そこでキャリアガス単体によるブリッジ出力信号レベルを差し引くことにより、検出器122の経時ドリフトを消去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭53−046091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1では、キャリアガスの流入箇所を変えることによって生じる圧力差により、試料ガスが検出部に導入されるのか、キャリアガスのみが検出部に導入されるのかが制御されている。
この方法では、試料ガスを検出部に導入する際にキャリアガスで試料ガスを検出部側へ押すことになるため、試料ガスがキャリアガスによって薄まり、最小検出量が低下する。
【0018】
試料ガスの薄まりは、キャリアガスの流量を増加させる(つまり圧力を高くする)と大きくなり、キャリアガス流量を減少させる(圧力を低くする)と小さくなる。したがって、キャリアガス流量を減らすことが好ましい。
しかし、キャリアガス流量を減らしすぎると試料ガスの切り替えができなくなり、試料を測定できなくなる。このため適切なキャリアガス流量(圧力)を指定することは重要である。
【0019】
しかし、これまでは操作者自身でキャリアガス流量を指定する必要があったため、適切なキャリアガス流量を指定できていなかった。そのためキャリアガスによる試料ガスの薄まりが大きく、最小検出量が低下する問題があった。
【0020】
本発明の目的とするところは、操作者に適切なキャリアガス流量を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の実施形態のガスクロマトグラフは、試料を分離するカラムと、上記カラムによって分離された試料成分を含むキャリアガスとキャリアガスのみとをキャリアガスの流入箇所を変えることによって交互に検出部に導入して信号を取得する検出器と、分析情報を入力するための分析情報入力部と、予め求められたカラム流量とキャリアガス流量の関係を示すデータを保持したデータ保持部と、上記分析情報入力部から入力された上記分析情報に基づいてカラム流量を算出し、算出されたカラム流量と上記データ保持部が保持している上記データを用いて上記算出されたカラム流量に応じたキャリアガス流量を算出する算出部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態のガスクロマトグラフは、適切なキャリアガス流量を算出して操作者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ガスクロマトグラフの一実施形態を説明するための概略的な構成図である。
【
図2】同実施形態の制御部のキャリアガス流量算出機能を説明するための概略的なブロック図である。
【
図3】同実施形態のキャリアガス流量算出動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】従来のガスクロマトグラフ全体を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態のガスクロマトグラフにおいて、上記分析情報は、例えば、上記カラムの内径、上記カラムの長さ、温度、及び、上記カラムに印加する圧力の少なくとも1つである。なお、上記分析情報はここに挙げられた情報に限定されるものではない。
【0025】
また、本発明の実施形態のガスクロマトグラフにおいて、上記算出されたキャリアガス流量を表示部に表示させる、もしくは上記算出されたキャリアガス流量でキャリアガスを入力させる、又はその両方を行うようにしてもよい。
【0026】
適切なキャリアガス流量(圧力)は、ガス流路の形状と試料ガスの流量によって決まる。あらかじめ適切なキャリアガス流量と試料ガス流量の関係を実験又はシミュレーション等の数値計算により求め、本発明の実施形態のガスクロマトグラフの内部メモリ(データ保持部)に保持しておく。
【0027】
ここで適切なカラム流量とキャリアガス流量の関係とは、カラム流量を変数としたときにカラム流量に対して検出信号がより大きくなるキャリアガス流量を表す、予め求められた関係である。なお、カラム流量に対して検出信号がより大きくなるキャリアガス流量とは、好ましくは検出信号が最大になるキャリアガス流量であるが、これに限定されない。例えば、上記カラム流量とキャリアガス流量の関係におけるキャリアガス流量は、検出信号がある一定以上の大きさになるキャリアガス流量、例えば検出信号の最大値に対して90%以上の検出信号が得られる値であればよい。
【0028】
ガスクロマトグラフを用いた分析では、操作者は分析情報、つまり使用するカラムの情報(内径や長さ)や温度条件、カラムに印加するガスの圧力等を手入力で又は自動入力で必ず入力する。本発明の実施形態のガスクロマトグラフは、これらの値を用いてカラム出口の試料ガス流量(カラム流量)を自動計算し、算出されたカラム流量と内部メモリ(データ保持部)に保持されている値から適切なキャリアガス流量を求める。求められたキャリアガス流量を表示部に自動で表示させることにより、操作者に適切なキャリアガス流量を提供することができる。これにより、キャリアガスによる試料ガスの薄まりを抑制し、最小検出量を向上させることができる。
【0029】
図1は、ガスクロマトグラフの一実施形態を説明するための概略的な構成図である。
このガスクロマトグラフの分析流路はカラム4と検出器16を備えている。カラム4の一端は試料気化室2に接続されている。カラム4は、インジェクタ1から試料気化室2に導入されて気化してキャリアガスにより送られてきた試料を分離する。カラム4は恒温槽3内に配置されている。カラム4の他端は検出器16に接続されている。
【0030】
検出器16はカラム4で分離された試料成分を検出する。検出器16は例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスで作製されたものである。これにより小型熱伝導度検出器が実現できる。ただし、検出器16は、例えば金属ブロックで形成されたものなど、MEMS技術以外の技術によって形成されたものであってもよい。
【0031】
カラム4で分離された試料ガスは、検出器16内の流路12及び流路18を介して、検出部(フィラメント)17が配置されている流路13又は検出部(フィラメント)がない流路14いずれか一方向に送られる。流路13又は流路14に導入されたガスは、流路15を介して検出器16の外部、例えば大気中に放出される。流路18の一端は流路13に接続されている。流路18の他端は流路14に接続されている。流路12は流路13と流路14の間の位置で流路18に接続されている。
【0032】
流路18にはパイプ10が接続される流路とパイプ11が接続される流路も接続されている。パイプ10が接続される流路は流路12と流路14の間の位置で流路18に接続されている。パイプ11が接続される流路は流路12と流路13の間の位置で流路18に接続されている。
【0033】
タンク6に貯蔵されたキャリアガスは、パイプ9及びパイプ19を介して圧力調節器20へ送られる。圧力調節器20から送り出されたキャリアガスは試料気化室2へ送られる。インジェクタ1から試料気化室2に導入された試料が気化した試料ガスは、キャリアガスによってカラム4へ送られて分離される。分離された試料ガスはキャリアガスによって検出器16へ送られる。
【0034】
検出器16において、流路13又は流路14どちらに試料ガスが流入するのかは次の方法によって決定される。
タンク6に貯蔵されたキャリアガスはパイプ9を介して圧力調節器7へも送られる。圧力調節器7から送り出されたキャリアガスは、切り替えバルブ8を介してパイプ10又はパイプ11のどちらかへ送られる。
【0035】
パイプ10へキャリアガスが送られた場合、流路12から流路18に流出した試料ガスはパイプ10から送られてきたキャリアガスに押されて検出部17が配置されている流路13へ流入する。検出部(フィラメント)がない流路14にはキャリアガスのみが流入する。
【0036】
逆に、パイプ11へキャリアガスが送られた場合、試料ガスはパイプ11から送られてきたキャリアガスに押されて検出部(フィラメント)がない流路14へ流入する。検出部17が配置されている流路13にはキャリアガスのみが流入する。
【0037】
以上述べた圧力差を利用したガス切り替え手段により検出部17が配置されている流路13へカラム4からの試料ガスを導入するか、キャリアガスのみを導入するかの選択を行うことができる。例えば100ミリ秒程度の一定の周期で切り替えバルブ8を動作させることにより、検出部17で試料ガスとキャリアガスの信号を取得することができる。そして、各々の信号の差分を取ることによって試料ガスのクロマトグラムを得ることができる。
【0038】
カラム流量やキャリアガス流量を制御するために制御部5が設けられている。制御部5は、例えばガスクロマトグラフ本体に設けられたガスクロマトグラフ専用のCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)などを含むマイクロコンピュータを中心に構成されている。制御部5は、ガスクロマトグラフ専用のCPU等以外の、例えばこのガスクロマトグラフの外部のワークステーションやパーソナルコンピュータにより実現することもできる。また、制御部5は、複数のCPU、複数のワークステーション、複数のパーソナルコンピュータ、又はこれらの組み合わせなどにより構成されていてもよい。
【0039】
制御部5に分析情報などを入力するための分析情報入力部23が設けられている。例えば分析情報や制御部5によって計算されたキャリアガス流量などを表示する表示部24が設けられている。
【0040】
制御部5は、例えばインジェクタ1、恒温槽3、圧力調節器7、切り替えバルブ8、検出器16、圧力調節器20の動作を制御する。
【0041】
図2は、この実施形態の制御部のキャリアガス流量算出機能を説明するための概略的なブロック図である。
制御部5の構成は、例えばマイクロコンピュータに搭載されたプログラムにより実行される機能とEPROMに保持されたデータである。EPROMに替えて電気的に消去可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリ、などを使用することもできる。
【0042】
制御部5は、データ保持部21と算出部22を含んでいる。
データ保持部21は、適切なカラム流量とキャリアガス流量の関係を示すデータを保持している。データ保持部21は、例えばEPROMからなるメモリ5aの一部分によって構成されている。なお、データ保持部21はマイクロコンピュータ外部の記憶媒体に記憶されていてもよい。この記憶媒体は、適切なカラム流量とキャリアガス流量の関係を示すデータを保持できるものであればよく、例えば、HDD(Hard disk drive)、SSD(solid state drive)、フレキシブルディスク(FD)、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−RAM、不揮発性メモリカードなどである。
【0043】
算出部22は、分析情報入力部23から入力された分析情報に基づいてカラム流量を算出する。また、算出部22は、算出されたカラム流量とデータ保持部21に保持された値から上記算出されたカラム流量に応じた適切なキャリアガス流量を算出する。
【0044】
分析情報入力部23は、カラム4の内径、長さ及び温度、並びにカラム4に印加する圧力を含む分析情報などを入力するためのものである。例えば、分析情報入力部23から入力された分析情報は算出部22によって表示部24に表示される。なお、分析情報入力部23は、上記分析情報以外の情報、例えばキャリアガス流量を入力することも可能である。
【0045】
データ保持部21に保持されている適切なカラム流量とキャリアガス流量の関係は、実験により予め求めた値であってもよいし、理論計算やシミュレーション等の数値計算によって予め求めた値でもよい。
また、算出部22で適切なキャリアガス流量を算出する際、データ保持部21に保持されている1つの値のみを用いてもよいし、複数の値を用いても構わない。
【0046】
算出部22によるカラム流量と適切なキャリアガス流量の算出は、例えばCPUのプログラムにより実現される。データ保持部21はCPUに接続されたメモリ5aに記憶されたデータである。分析情報入力部23は例えばCPUに接続されたキーボードやタッチパネルなどの入力機器である。表示部24は例えばCPUに接続されたモニタやデジタル表示器などの表示機器である。
【0047】
図3は、この実施形態のキャリアガス流量算出動作を説明するためのフローチャートである。
キーボードなどの分析情報入力部23にそのガスクロマトグラフで使用する分析情報が入力されると(ステップS1)、算出部22によってカラム流量が算出される(ステップS2)。
【0048】
算出部22によってデータ保持部21に保持されている適切なカラム流量とキャリアガス流量を示すデータが参照される(ステップS3)。算出部22によって、算出されたカラム流量とデータ保持部21に保持されている値から適切なキャリアガス流量が算出される(ステップS4)。
【0049】
算出された適切なキャリアガス流量は表示部24に表示される、もしくはスピーカーから音声で操作者に提供される、又はその両方で操作者に提供される(ステップS5)。また、算出された適切なキャリアガス流量は、キャリアガス流量を入力する箇所に自動で入力されるようにしてもよい。
【0050】
制御部5は、表示部24に表示されているキャリアガス流量の値に基づいて圧力調節器7を制御する。
【0051】
このように、この実施形態のクロマトグラフは、適切なキャリアガス流量を自動で算出して操作者に提供する。これにより、キャリアガスによる試料ガスの薄まりを抑制し、最小検出量を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における構成、配置、数値、材料等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
4 カラム
16 検出器
21 データ保持部
22 算出部
23 分析情報入力部
24 表示部