(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アミノ基を有するポリマーが、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、または、アリルアミンもしくはジアリルアミンを含む共重合体である、請求項1又は2に記載の貫通電極の形成方法。
前記孔の底における金属合金膜の膜厚(S)と、前記孔の入り口における金属合金膜の膜厚(C)との比(ステップカバレッジ(S/C)×100%)が30〜300%である、請求項1から4のいずれかに記載の貫通電極の形成方法。
【背景技術】
【0002】
Si貫通電極(through-silicon via、TSV)とは、電子部品である半導体の実装技術の1つであり、シリコン製半導体チップの内部を垂直に貫通する電極のことである。
実装面積の省スペース化、処理速度の改善、消費電力の低減といった課題に対応すべく、シリコン、ガラス、セラミック等に貫通電極を形成し、半導体チップを積層する方法が提案されており、中でも基材にシリコンを使用したシリコン貫通ビア(TSV)を中心とした研究が盛んである。TSVは、シリコン基板に貫通孔を開けた後、貫通孔側壁にシリコン酸化膜やポリイミド等の絶縁層を形成し、貫通孔内に導電体である銅を充填することで形成される。
図1にTSV形成工程の一例を示す。まず、配線層が形成されたウェーハにDRIEなどでビアを形成し(
図1a)、絶縁用酸化膜、バリアメタル層、更に導通用シードを成膜した後(
図1b)、電気めっきによってビア内部に銅を充填する(
図1c)。ウェーハ表層に析出した余剰の銅をCMPで取り除くとともに平坦化し(
図1d)、その後ウェーハ裏面を削り込んで薄層化し、裏面まで貫通するTSVを形成する(
図1e)。これをはんだなどの接合層を介して積み上げることで一つのパッケージとなる(
図1f)。
【0003】
導電体である銅は通常電気銅めっきにより充填されることから、電気銅めっきを開始するための銅シード層の形成、および、銅がシリコン内に拡散することを防ぐために、絶縁層と銅シード層の間にタンタル(Ta)やチタン(Ti)合金等の拡散防止層を形成する必要がある。拡散防止層は、通常、物理蒸着(PVD)や化学蒸着(CVD)により成膜されるが、貫通孔の上部に金属が堆積しやすく、膜のステップカバレッジ(貫通孔底部の膜厚と孔上部の膜厚との比)が低いことが課題となっており、十分なステップカバレッジが必要と言われている。
また、PVDやCVDに代わる方法として、無電解めっき法による貫通孔側壁に対する拡散防止層、銅シード層の成膜手法が提案されているが(特許文献1)、無電解めっき法においても貫通孔上部において金属が堆積しやすいことに変わりはなく、ステップカバレッジの改善が必要である。
【0004】
貫通孔側壁の膜厚を均一にし、ステップカバレッジを改善するために、通常ボトムアップ剤が使用される。特許文献2にボトムアップ剤として、ビス−(3−スルホプロピル)ジスルファィドのような硫黄系有機化合物が使用されている。また、特許文献3は、無電解ニッケルめっき液にポリエチレンイミンを添加する方法を提案している。
【0005】
無電解めっき法による拡散防止層は、特許文献4に硫黄系ボトムアップ剤の添加量を調整しながら処理を行なうことにより、貫通孔側壁に均一な膜厚の層を形成可能であるとしている。しかし、拡散防止層形成時に硫黄系ボトムアップ剤を使用した後、次工程である銅シード層を積層する際、拡散防止層上への銅の無電解堆積反応が抑制され、銅に比べて卑な金属であるコバルト合金またはニッケル合金が、銅による酸化によって溶解し、拡散防止層と銅シード層の積層不良の原因となっている。このことから、拡散防止層を消失させず、かつ銅シード層を積層するための手法が切望されていた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される拡散防止層形成用の無電解めっき液は、金属塩、錯化剤、還元剤及びpH調整剤を含む水溶液であり、それぞれを任意の割合で混合して用いられる。金属塩は、コバルト化合物またはニッケル化合物が挙げられ、また、金属膜を合金化するためにタングステンおよび/またはモリブデンが含まれる場合もある。錯化剤は金属イオンが水酸化物として沈殿しないように金属イオンを錯体化して無電解めっき液中での安定性を向上させるためのものである。還元剤は、金属イオンを還元するためのものであり、pH調整剤はめっき液のpHを調整するものである。
【0012】
本発明に使用されるコバルトイオンの供給源としてのコバルト化合物としては、水溶性のコバルト塩を用いることができる。例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、硝酸コバルト等のコバルト塩が好ましく用いられ、これらだけに限定されるものではなく、コバルトイオンを放出する化合物の全てを含む。
無電解めっき液に含まれるコバルトイオン濃度としては0.005〜0.5mol/Lが好適であり、より好ましくは0.01〜0.4mol/Lであり、特に0.02〜0.3mol/Lが好ましいが、これら濃度に限定されることなく、適宜好適な濃度を決定できる。
【0013】
本発明に使用されるニッケルイオンの供給源としてのニッケル化合物としては、水溶性のニッケル塩を用いることができる。例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル等のニッケル塩が好ましく用いられ、これらだけに限定されるものではなく、ニッケルイオンを放出する化合物の全てを含む。
無電解めっき液に含まれるニッケルイオン濃度としては0.005〜0.5mol/Lが好適であり、より好ましくは0.01〜0.4mol/Lであり、特に0.02〜0.3mol/Lが好ましいが、これら濃度に限定されることなく、適宜好適な濃度を決定できる。
【0014】
本発明に好ましく使用されるタングステン酸イオンの供給源としてのタングステン化合物としては、例えば、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムが用いられ、これらだけに限定されるものではなく、タングステン酸イオンを放出する化合物の全てを含む。
無電解めっき液に含まれるタングステン酸イオン濃度としては0.005〜0.5mol/Lが好適であり、より好ましくは0.01〜0.4mol/Lであり、特に0.05〜0.3mol/Lが好ましいが、これら濃度に限定されることなく、適宜好適な濃度を決定できる。
【0015】
本発明に好ましく使用されるモリブデン酸イオンの供給源としてのモリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウムが用いられ、これらだけに限定されるものではなく、モリブデン酸イオンを放出する化合物の全てを含む。
無電解めっき液に含まれるモリブデン酸イオン濃度としては0.005〜0.5mol/Lが好適であり、より好ましくは0.01〜0.4mol/Lであり、特に0.05〜0.3mol/Lが好ましいが、これら濃度に限定されることなく、適宜好適な濃度を決定できる。
【0016】
本発明で使用される錯化剤としては、コバルトイオンまたはニッケルイオンと錯体を形成するものが用いられる。錯化剤として特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸のようなヒドロキシカルボン酸等を好適に用いることができる。
無電解めっき液に含まれる錯化剤の濃度は、コバルトイオン、ニッケルイオン濃度に対して1倍等量以上の濃度である必要があり、2倍以上が好適である。具体的には、0.01〜1mol/Lが好適であり、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lであり、特に0.1〜0.6mol/Lが好ましい。錯化剤の濃度が0.01〜1mol/Lであるとき、安定的にめっき操作を行うことができる。
【0017】
本発明で使用される還元剤としては、例えば、次亜リン酸、アルキルボラン類などを用いることができる。アルキルボラン類は、例えば、モノアルキルアミンボラン、ジアルキルアミンボラン、トリアルキルアミンボランなどが挙げられる。
無電解めっき液に含まれる還元剤の濃度は、0.001〜0.6mol/Lが好適であり、より好ましくは0.005〜0.5mol/Lであり、特に0.01〜0.4mol/Lが好ましい。還元剤の濃度が0.001〜0.6mol/Lであるとき、めっき膜の形成を安定的に行うことができる。
【0018】
本発明で使用されるpH調整剤としては、アルカリ性の化合物を用いることができる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などが用いられる。
無電解めっき液のpH値としては、7〜13が好適であり、より好ましくは7.5〜12であり、特に8〜11が好ましい。pH値が7〜13であるとき、めっき膜の形成を安定的に行うことができる。
【0019】
さらに本発明で使用される無電解めっき液には、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩等の界面活性剤、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子を添加することができる。
これらの添加剤は、めっき被膜の平滑性を向上させるレベラーとしての役割を果たす。無電解めっき液に含まれる界面活性剤や水溶性高分子の濃度は1ppm〜5000ppmが好適である。
【0020】
本発明で使用される無電解コバルトめっき液または無電解ニッケルめっき液に添加される、アミノ基を有するポリマーとしては、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、または、アリルアミンもしくはジアリルアミンを含む共重合体が好ましく挙げられる。これらのポリマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのポリマーは、公的に知られた市販品を使用することができ、例えば、ニットーボーメディカル株式会社製のポリアリルアミン(PAAシリーズ)、ポリアミン(PASシリーズ)等が好ましく挙げられる。
アミノ基を有するポリマーの平均分子量は、特に制限はないが300〜200000が好適であり、より好ましくは500〜100000である。
無電解めっき液中のアミノ基を有するポリマーの濃度は、0.0001〜0.02質量%が好適であり、より好ましくは0.0002〜0.01質量%であり、特に0.0003〜0.005質量%が好ましい。アミノ基を有するポリマーの濃度が0.0001質量%未満のとき、孔上部での膜成長抑制効果が得られず、均一な膜の成膜が不可能となる。また、アミノ基を有するポリマーの濃度が0.02質量%を超える場合は、ボトムアップ効果が低下するという不具合に加え、めっき液へのポリマーの溶解性が悪化するという問題も生じる。
【0021】
本発明に使用される銅シード層形成用の無電解銅めっき液は、銅塩、錯化剤、還元剤及びpH調整剤を含む水溶液であり、それぞれを任意の割合で混合して用いられる。銅塩は銅化合物であり、銅イオンを供給するものである。錯化剤は銅イオンが水酸化物として沈殿しないように銅イオンを錯体化して無電解銅めっき液中での安定性を向上させるためのものである。還元剤は、銅イオンを還元するためのものであり、pH調整剤はめっき液のpHを調整するものである。
【0022】
本発明に使用される銅イオンの供給源としての銅化合物としては、水溶性の銅塩を用いることができる。例えば、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、硝酸銅等の銅塩が好ましく用いられ、これらだけに限定されるものではなく、銅イオンを放出する化合物の全てを含む。
無電解めっき液に含まれる銅イオン濃度としては0.001〜0.5mol/Lが好適であり、より好ましくは0.005〜0.4mol/Lであり、特に0.01〜0.3mol/Lが好ましいが、これら濃度に限定されることなく、適宜好適な濃度を決定できる。
【0023】
本発明で使用される錯化剤としては、銅イオンと錯体を形成するものが用いられる。錯化剤として特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩のようなエチレンジアミン四酢酸化合物やクエン酸、酒石酸のようなヒドロキシカルボン酸等を好適に用いることができる。
無電解めっき液に含まれる錯化剤の濃度は、銅イオン濃度に対して1倍等量以上の濃度である必要があり、1.5倍以上が好適である。具体的には、0.0015〜1mol/Lが好適であり、より好ましくは0.0075〜0.8mol/Lであり、特に0.015〜0.6mol/Lが好ましい。錯化剤の濃度が0.0015〜1mol/Lであるとき、安定的にめっき操作を行うことができる。
【0024】
本発明で使用される還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、次亜リン酸、アルキルボラン類などを用いることができる。アルキルボラン類は、例えば、モノアルキルアミンボラン、ジアルキルアミンボラン、トリアルキルアミンボランなどが挙げられる。
無電解めっき液に含まれる還元剤の濃度は、0.001〜0.8mol/Lが好適であり、より好ましくは0.005〜0.7mol/Lであり、特に0.01〜0.6mol/Lが好ましい。還元剤の濃度が0.001〜0.8mol/Lであるとき、めっき膜の形成を安定的に行うことができる。
【0025】
本発明で使用されるpH調整剤としては、アルカリ性の化合物を用いることができる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などが用いられる。
無電解めっき液のpH値としては、9〜14が好適であり、より好ましくは10〜13.5であり、特に10.5〜13が好ましい。pH値が9〜14であるとき、めっき膜の形成を安定的に行うことができる。
【0026】
さらに本発明で使用される無電解銅めっき液には、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩等の界面活性剤、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子、2、2‘−ビピリジル、フェナントロリンなどを添加することができる。
これらの添加剤は、めっき被膜の平滑性を向上させるレベラーとしての役割を果たす。無電解銅めっき液に含まれる界面活性剤や水溶性高分子の濃度は1ppm〜5000ppmが好適である。
【0027】
本発明におけるめっき処理方法は、被めっき箇所にめっき液が接触される手法であれば特に限定されることはなく、一度に複数枚処理するバッチ式、1枚ずつ処理する枚葉式のいずれでも構わない。
無電解めっき処理温度としては、40℃〜90℃が好ましく、より好ましくは45℃〜80℃であり、特に50℃〜70℃が好ましい。
【0028】
本発明の方法によれば、孔の底における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚と孔の入り口における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚の比であるステップカバレッジ((S/C)×100%)は30%〜300%が好ましく、さらに好ましくは40%〜250%であり、特に50%〜200%が好ましい。
金属合金膜の膜厚を測定する方法としては、金属合金膜形成後の評価基材を孔に対し垂直方向に割断し、合金膜断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、測長することで膜厚を求めることができる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明の実施例と比較例により、その実施形態と効果について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1〜11
評価基板
評価用の基材として、シリコンウェハにドライエッチング技術を用いて形成した直径10μm、深さ100μmの孔(L/D=10)の側壁に、絶縁層としてシリコン酸化膜を成膜した。続いて、シリコン酸化膜上にカップリング剤により吸着層を形成した後、パラジウム(Pd)コロイド溶液に浸漬させることで、反応開始触媒であるPdを付着させたウェハを形成した。
無電解コバルトめっき液
硫酸コバルト2質量%(0.13mol/L)、錯化剤としてクエン酸6質量%(0.32mol/L)、タングステン酸5質量%(0.2mol/L)、還元剤としてジメチルアミンボラン0.4質量%(0.07mol/L)を含有し、pH調整剤として水酸化テトラメチルアンモニウムでpH値を9.5にした水溶液を調製した。
無電解銅めっき液
硫酸銅0.5質量%(0.03mol/L)、エチレンジアミン四酢酸4質量%(0.14mol/L)、グリオキシル酸1質量%(0.14mol/L)、2,2’ビピリジル0.005質量%(50ppm)、ポリエチレングリコール0.05質量%(500ppm)を含有し、水酸化テトラメチルアンモニウムでpH値を12.5にした水溶液を調製した。
【0031】
拡散防止層(コバルト合金膜)形成処理
図2に拡散防止層及び銅シード層を積層する際の断面模式図を示す。孔を有する評価基材1を無電解コバルトめっき液(
図2Aの2)に60℃で10分間浸漬(1段目処理)し、孔側壁の入り口から中央部にかけてコバルト合金膜(拡散防止層)3を形成した。
次いで、無電解コバルトめっき液2に添加剤4(下記表1に記載のアミノ基を有するポリマー)を添加し、1段目処理した上記基材を60℃で30分間浸漬(2段目処理、
図2B)し、孔の側壁の中央部から底にかけてコバルト合金膜(拡散防止層)3を形成した。なお、本実施例で用いたアミノ基を有するポリマーは、すべてニットーボーメディカル株式会社製の市販品である。
銅シード層積層処理
2段目処理した上記基材を無電解銅めっき液5に45℃で15分間浸漬し、コバルト合金膜3上に銅シード層6を形成した(
図2Cの6)。
コバルト合金膜の膜厚測定
コバルト合金膜形成後の評価基材を孔に対し垂直方向に割断し、コバルト合金膜断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、測長することで膜厚を求めた。また、孔の底における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚と孔の入り口における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚との比であるステップカバレッジ((S/C)×100%)は下記(1)式に従い求めた。
ステップカバレッジは30%〜300%を合格と判定した。
【0032】
(数1)
ステップカバレッジ(%)={孔の底における膜厚(nm)}/{孔の入り口における膜厚(nm)}×100 ・・・(1)
銅シード層成膜確認
拡散防止層(コバルト合金膜)上に銅シード層を積層した後のウェハを孔に対し垂直方向に割断し、走査型電子顕微鏡を用いて、銅の成膜状態およびコバルト合金膜の残存状態を観察した。
【0033】
表1に2段目処理時の無電解コバルトめっき液添加剤として各種アミノ基を有するポリマーを添加した際の、コバルト合金膜厚およびステップカバレッジ、銅シード層の成長の有無、銅シード層成膜時のコバルト合金膜の消失の有無を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例1〜11では、ステップカバレッジ30%以上、300%以下の均一なコバルト合金膜が形成されていた。また、コバルト合金膜が消失することなく、銅シード層が形成されていた。
【0036】
実施例12、13
無電解コバルトめっき液の代わりに下記の無電解ニッケルめっき液を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
無電解ニッケルめっき液
硫酸ニッケル2質量%(0.13mol/L)、錯化剤としてクエン酸4質量%(0.21mol/L)、還元剤としてジメチルアミンボラン0.3質量%(0.05mol/L)を含有し、pH調整剤として水酸化テトラメチルアンモニウムでpH値を8.5の水溶液を調製した。
ニッケル合金膜の膜厚測定
ニッケル合金膜形成後の評価基材を孔に対し垂直方向に割断し、ニッケル合金膜断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、測長することで膜厚を求めた。
また、孔の底における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚と孔の入り口における金属合金膜(拡散防止層)の膜厚との比であるステップカバレッジ((S/C)×100%)を上記(1)式に従い求めた。
ステップカバレッジは30%〜300%を合格と判定した。
銅シード層成膜確認
拡散防止層(ニッケル合金膜)上に銅シード層を積層した後のウェハを孔に対し垂直方向に割断し、走査型電子顕微鏡を用いて、銅の成膜状態およびニッケル合金膜の残存状態を観察した。
【0037】
実施例12、13の無電解めっき処理結果を表2に示す。ニッケル合金膜厚およびステップカバレッジ、銅シード層の成長の有無、銅シード層成膜時のニッケル合金膜の消失の有無を示す。
【0038】
【表2】
【0039】
実施例12及び13では、ステップカバレッジ30%以上の均一なニッケル合金膜が成膜可能であった。また、ニッケル合金膜を消失させずに、銅シード層の成膜が可能であった。
【0040】
比較例1
無電解コバルトめっき液を用いた2段目処理時に添加剤(アミノ基を有するポリマー)を添加しない以外は、実施例1と同様に行った。表3に無電解めっき処理結果を示す。
【0041】
【表3】
比較例1では、成膜の結果、孔の入り口の膜厚成長を抑制できず、ステップカバレッジ30%未満の不均一なコバルト合金膜が成膜された。
【0042】
比較例2〜7
無電解コバルトめっき液を用いた2段目処理時の添加剤に、アミノ基を有するポリマー以外のアミン化合物を添加した以外は、実施例1と同様に行った。表4に無電解コバルトめっき液添加剤に各種アミン化合物を添加した際の、コバルト合金膜厚およびステップカバレッジ、銅シード層の成長の有無、銅シード層成膜時のコバルト合金膜の消失の有無を示す。
【0043】
【表4】
【0044】
比較例2〜7では、成膜の結果、孔の入り口の膜厚成長を抑制できず、ステップカバレッジ30%未満の不均一なコバルト合金膜が成膜され不合格であった。
【0045】
比較例8〜10
無電解コバルトめっき液を用いた2段目処理時の添加剤に硫黄系化合物を添加した以外は、実施例1と同様に行った。表5に無電解コバルトめっき液添加剤として硫黄系化合物を添加した際の、コバルト合金膜厚およびステップカバレッジ、銅シード層の成長の有無、銅シード層成膜時のコバルト合金膜の消失の有無を示す。
【0046】
【表5】
【0047】
比較例8〜10では、無電解銅めっき処理を行なった結果、銅めっき膜は成長したが、コバルト合金膜の消失が認められた。
【0048】
比較例11
実施例1の拡散防止層形成において、無電解コバルトめっき処理の1段目処理のみ実施した。使用した評価用基材、コバルトめっき液は実施例1と同様のものを使用した。成膜後の膜厚測定結果を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】
比較例11では、孔の側壁底部において膜が成長せず、ステップカバレッジ30%未満の不均一なコバルト合金膜が成膜された。
【0051】
比較例12,13
実施例1の拡散防止層の形成において、無電解コバルトめっき処理の2段目処理のみ実施した。使用した評価用基材、コバルトめっき液は実施例1と同様のものを使用し、表7記載のアミノ基を有するポリマーを添加した。成膜後の膜厚測定結果を表7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】
比較例12及び13では、貫通孔入り口において膜の成長が認められず、孔の側壁入り口に膜の形成ができなかった。