(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記K個のトランジスタのうちの第j及び第kのトランジスタ(j,kは、1〜Kのうちの互いに異なる任意の整数)の前記第2の電極パッドは、前記第2の導線によって直接接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
前記第mのトランジスタの前記第5の電極パッドと前記追加ダイオードの前記アノード電極パッドとは、前記第2の導線によって直接接続されており、かつ、前記第nのトランジスタの前記第5の電極パッドと、前記追加ダイオードの前記アノード電極パッドとは、前記第2の導線によって直接接続されている、
請求項9に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る半導体装置は、主面に配線パターンが形成された基板と、基板の主面に設けられ、配線パターンを介して並列に接続されたK個のトランジスタ(Kは、2以上の整数)であって、各トランジスタは、第1の電極パッド、第2の電極パッド、及び第1の電極パッドと第2の電極パッドとの間の導通を制御する制御電圧を受けるための第3の電極パッドを有する、K個のトランジスタと、を備え、K個のトランジスタの各々の第2の電極パッドは、第1の導線を介して配線パターンに電気的に接続されており、K個のトランジスタの第2の電極パッドどうしは、第2の導線を介して電気的に接続されており、第2の導線は、第1の導線の断面積よりも小さい断面積を有する。
【0012】
半導体装置では、基板の主面に設けられるK個のトランジスタが、配線パターンを介して並列接続されていることから、半導体装置により大きな電流を流すことができる。各トランジスタは、第3の電極に上記制御電圧を印加することで、第1及び第2の電極間の導通が制御されるので、スイッチング素子として機能する。この制御電圧は、通常、第2の電極パッドの電位を基準電位として設定される。上記半導体装置によれば、K個のトランジスタの第2の電極パッドは、第2の導線を介して電気的に接続されている。第2の導線は、各トランジスタにおける基準電位の変動を抑制するための導線として機能し、各トランジスタの基準電位が均一となる。このため、例えば上記半導体装置をパワーモジュールに用いた場合に負荷が短絡して各トランジスタに大きな短絡電流が流れても、第3の電極パッドに生じ得る発振の拡大を抑制することができる。
【0013】
ここで、上記半導体装置では、第2の導線は、第1の導線の断面積よりも小さい断面積を有する。断面積の小さい第2の導線によって第2の電極パッドどうしを電気的に接続することによって、断面積の大きい第1の導線によって第2の電極パッドどうしを電気的に接続するよりも、その導線の接続時のトランジスタへのダメージを与える可能性を低減することができる。よって、K個のトランジスタにおける基準電位の変動を抑制するための第2の導線が接続される際のトランジスタへのダメージを低減することが可能になる。
【0014】
半導体装置は、K個のトランジスタのうちの第j及び第kのトランジスタ(j,kは、1〜Kのうちの互いに異なる任意の整数)に対して設けられるダイオードを更に備え、ダイオードは、カソード電極パッドとアノード電極パッドとを有し、カソード電極パッドは、第jのトランジスタの第1の電極パッドに電気的に接続されており、アノード電極パッドは、第kのトランジスタの第2の電極パッドに電気的に接続されており、第j及び第kのトランジスタの第2の電極パッドは、第2の導線及びダイオードを介して電気的に接続されていてもよい。上記接続関係では、ダイオードは、並列接続されたK個のトランジスタに対する還流ダイオードとして機能するので、各トランジスタを保護することができる。上記構成では、還流ダイオードとしてのダイオードを利用してK個のトランジスタの第2の電極パッドどうしを電気的に接続している。
【0015】
第jのトランジスタの第2の電極パッドと、配線パターンとは、第1の導線によって直接接続されており、第jのトランジスタの第2の電極パッドとダイオードのアノード電極パッドとは、第2の導線によって直接接続されており、第kのトランジスタの第2の電極パッドと、ダイオードのアノード電極パッドとは、第2の導線によって直接接続されていてもよい。このようにしても、トランジスタの各々の第2の電極パッドを電気的に接続することができる。
【0016】
第jのトランジスタの第2の電極パッドと、ダイオードのアノード電極パッドとは、第1の導線によって直接接続されており、第kのトランジスタの第2の電極パッドと、ダイオードのアノード電極パッドとは、第2の導線によって直接接続されていてもよい。このようにしても、トランジスタの各々の第2の電極パッドを電気的に接続することができる。
【0017】
K個のトランジスタの各々は、基板の主面において、配線パターンの第1の領域周りに同心円状に配置され、K個のトランジスタの各々の第2の電極パッドと、第1の領域とが、第1の導線によって直接接続されていてもよい。これにより、各トランジスタと、第1の領域とを接続している第1の導線の長さをほぼ均一にすることができる。この場合、第1の導線のインピーダンス(インダクタンス)の影響がK個のトランジスタで互いにほぼ等しくなるので、第2の電極パッドの電位が均一になりやすい。その結果、各トランジスタの基準電位の変動を抑制することができる。
【0018】
第j及び第kのトランジスタの第2の電極パッドは、第2の導線によって直接接続されていてもよい。このようにしても、トランジスタの各々の第2の電極パッドを電気的に接続することができる。
【0019】
半導体装置は、基板の主面に設けられ、配線パターンを介して並列に接続されるM個の追加トランジスタ(Mは、2以上の整数)であって、各追加トランジスタは、第4の電極パッド、第5の電極パッド、及び第4の電極パッドと第5の電極パッドとの間の導通を制御する制御電圧を受けるための第6の電極パッド、を有する、M個の追加トランジスタ、を更に備え、並列接続された複数の第4の電極パッドが、並列接続された複数の第2の電極パッドに電気的に接続されることによって、並列接続されたK個のトランジスタは、並列接続されたM個の追加トランジスタに直列接続されており、M個のトランジスタの各々の第5の電極パッドと、配線パターンとは、第1の導線によって、電気的に接続されており、M個のトランジスタの第5の電極パッドどうしは、第2の導線によって電気的に接続されていてもよい。
【0020】
各追加トランジスタも、第6の電極に上記制御電圧を印加することで、第4及び第5の電極間の導通が制御されるので、スイッチング素子として機能する。従って、K個のトランジスタ及びM個の追加トランジスタのそれぞれは、スイッチング素子として機能することになる。そして、並列接続されたトランジスタは一つのトランジスタと見なせるため、上記のように、並列接続されたK個のトランジスタと、並列接続されたM個のトランジスタとが直列接続されている場合、K個のトランジスタで表される一つのトランジスタと、M個の追加トランジスタで表される一つの追加トランジスタが直列接続されていることになる。このような構成では、K個のトランジスタで表される一つのトランジスタと、M個の追加トランジスタで表される一つの追加トランジスタとのON/OFFをそれぞれ制御することで、例えば、半導体装置を、一相の電力変換回路(例えば、インバータ回路)として機能させることができる。
【0021】
第6の電極パッドに印加される制御電圧は、通常、第5の電極パッドの電位を基準電位として設定される。上記構成では、M個の追加トランジスタの第5の電極パッドどうしは、第1の導線より断面積が小さい第2の導線によって電気的に接続されているので、追加トランジスタにおける基準電位の変動をも抑制しつつ、第2の導線が接続される際の追加トランジスタへのダメージをも低減することが可能になる。
【0022】
K個のトランジスタの各々は、基板の主面において、配線パターンの第1の領域周りに同心円状に配置され、M個の追加トランジスタは、基板の主面において、配線パターンの第2の領域周りに同心円状に配置され、K個のトランジスタの各々の第2の電極パッドと、第1の領域とが、第1の導線によって直接接続され、M個のトランジスタの各々の第5の電極パッドと、第2の領域とが、第2の導線によって直接接続されていてもよい。これにより、各トランジスタの第2の電極パッドと、配線パターンの第1の領域とを直接接続する第1の導線の長さをほぼ均一にできる。これにより、第1の導線のインピーダンス(インダクタンス)の影響がK個のトランジスタで互いにほぼ等しくなるので、第2の電極パッドの電位が均一になりやすい。その結果、各トランジスタの基準電位の変動を抑制することができる。同様に、各追加トランジスタの第5の電極パッドと、配線パターンの第2の領域とを接続する第2の導線の長さをほぼ均一にできる。これにより、第1の導線のインピーダンス(インダクタンス)の影響がM個の追加トランジスタで互いにほぼ等しくなるので、第5の電極パッドの電位が均一になりやすい。その結果、各追加トランジスタの基準電位の変動を抑制することができる。
【0023】
半導体装置は、M個のトランジスタのうちの第m及び第nのトランジスタ(m,nは、1〜Mのうちの互いに異なる任意の整数)に対して設けられる追加ダイオードを更に備え、追加ダイオードは、カソード電極パッドとアノード電極パッドとを有し、追加ダイオードのカソード電極パッドは、第mのトランジスタの第4の電極パッドに電気的に接続されており、追加ダイオードのアノード電極パッドは、第nのトランジスタの第5の電極パッドに電気的に接続されており、第m及び第nのトランジスタの第5の電極パッドは、第2の導線及び追加ダイオードを介して電気的に接続されていてもよい。上記接続関係では、追加ダイオードは、並列接続されたM個の追加トランジスタに対する還流ダイオードとして機能するので、各追加トランジスタを保護することができる。上記構成では、還流ダイオードとしての追加ダイオードを利用してM個のトランジスタの第5の電極パッドどうしを電気的に接続している。
【0024】
第mのトランジスタの第5の電極パッドと追加ダイオードのアノード電極パッドとは、第2の導線によって直接接続されており、かつ、第nのトランジスタの第5の電極パッドと、追加ダイオードのアノード電極パッドとは、第2の導線によって直接接続されていてもよい。このようにしても、追加トランジスタの各々の第2の電極パッドを電気的に接続することができる。
【0025】
第1の導線はワイヤであり、第2の導線は、第1の導線の径の1/2以下の径を有するワイヤであってよい。このように径の小さい(断面積の小さい)導線を用いることによって、半導体装置にダメージを与える可能性を十分に低減することができる。
【0026】
[本願発明の実施形態の詳細]
本願発明の実施形態に係る半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしても一致していない。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る半導体装置10を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、半導体装置10は、基板100と、K個(Kは2以上の整数)のトランジスタ110と、L個(Lは2以上の整数)のダイオード120と、複数の導線W1と、複数の導線W2とを備える。
【0028】
図1では、K及びLが2の場合を例示している。K個のトランジスタ110を区別して説明する場合は、トランジスタ110
i(iは、1〜Kの何れかの整数)と称する場合もある。トランジスタ110の構成要素についても同様に“i”を符号に下付きで付して区別する場合もある。
図1では、一例として2個のトランジスタ110
1,110
2が図示されている。
【0029】
L個のダイオード120を区別して説明する場合は、ダイオード120
h(hは、1〜Lの何れかの整数)と称する場合もある。ダイオード120の構成要素についても同様に、“h”を符号に下付きで付して区別する場合もある。
図1では、一例として2個のダイオード120
1,120
2が図示されている。
【0030】
基板100は、主面100aを有する絶縁性基板である。主面100aには、配線パターン150が形成されている。
図1に示す例では、配線パターン150は、ソース用配線パターン150S、ドレイン用配線パターン150D及びゲート用配線パターン150Gを含む。配線パターン150に含まれる各パターンは、電気的に分離されている。ソース用配線パターン150Sには、ソース用端子TSが設けられている。ドレイン用配線パターン150Dには、ドレイン用端子TDが設けられている。ゲート用配線パターン150Gには、ゲート用端子TGが設けられている。
【0031】
ソース用端子TS、ドレイン用端子TD及びゲート用端子TGは、例えば、ソース用配線パターン150S、ドレイン用配線パターン150D及びゲート用配線パターン150Gと外部回路(不図示)等の半導体装置10外部の要素とを電気的に接続するために用いられる。
【0032】
トランジスタ110は、例えばパワーモジュール等においてスイッチング素子として用いられる半導体素子である。
図1に示す例では、トランジスタ110は、矩形形状を有する半導体チップとして実現される。トランジスタ110の材料の例は、ワイドバンドギャップ半導体及びSiを含み、ワイドバンドギャップ半導体の例は、SiC、GaN及びダイアモンドを含む。本実施形態では、トランジスタ110がMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合について説明するが、トランジスタ110の種類はこれに限定されない。トランジスタ110は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
【0033】
ダイオード120は、トランジスタ110の還流ダイオードとして用いられる半導体素子である。ダイオード120も、トランジスタ110と同様に半導体チップとして実現され得る。ダイオード120の材料の例は、トランジスタ110の材料の例と同様とし得る。
【0034】
図1と共に
図2を参照して、トランジスタ110
i及びダイオード120
iについて説明する。
図2は、
図1における矢印ARの方向に沿って見た半導体装置10を模式的に示す側面図である。そのため、i=1の場合のトランジスタ110
i及びダイオード120
iが図示されている。なお、
図2においては、半導体装置10に含まれる要素のうち、基板100、トランジスタ110
1、ダイオード120
1及び配線パターン150のみが図示されている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、トランジスタ110
iは、ドレイン電極パッド111
iと、ソース電極パッド112
iと、ゲート電極パッド113
iとを含む。ドレイン電極パッド111
iは、トランジスタ110
iのソース(不図示)に電気的に接続された第1の電極パッドである。ソース電極パッド112
iは、トランジスタ110
iのドレイン(不図示)に電気的に接続された第2の電極パッドである。ゲート電極パッド113
iは、トランジスタ110
iのゲート(不図示)に接続された第3の電極パッドである。ドレイン電極パッド111
iとソース電極パッド112
iとの間には、パワーモジュール等において扱われる大電流が流れ得る。ゲート電極パッド113
iは、ドレイン電極パッド111
iとソース電極パッド112
iとの間の導通を制御する制御電圧を受けるための電極パッドである。
【0036】
ドレイン電極パッド111
iは、トランジスタ110
iの一端面(
図2において裏面)に設けられている。ドレイン電極パッド111
iは、例えば半田または導電性接着剤によって、ドレイン用配線パターン150Dに接合される。これにより、ドレイン電極パッド111
iと、ドレイン用配線パターン150Dとが、電気的に接続されている。このように、本実施形態において、ドレイン電極パッド111
iは、ドレイン用配線パターン150D側に配置するため、
図1では図示の都合上、波線の引き出し線を使用してドレイン電極パッド111
iを示している。他の図においても同様である。
【0037】
ソース電極パッド112
i及びゲート電極パッド113
iは、互いに電気的に分離されて、トランジスタ110
iの他端面(
図2では、表面)に設けられている。
【0038】
ダイオード120
iは、カソード電極パッド121
iと、アノード電極パッド122
iとを含む。カソード電極パッド121
iは、ダイオード120
iのカソード(不図示)に電気的に接続された電極パッドである。カソード電極パッド121
iは、ダイオード120
iの一端面(
図2において裏面)に設けられている。カソード電極パッド121
iは、例えば半田または導電性接着剤によって、ドレイン用配線パターン150Dに接合される。これにより、カソード電極パッド121
iと、ドレイン用配線パターン150Dとが、電気的に接続されている。また、ドレイン電極パッド111
iと、カソード電極パッド121
iとが、ドレイン用配線パターン150Dを介して電気的に接続されている。
【0039】
アノード電極パッド122
iは、ダイオード120
iのアノード(不図示)に電気的に接続された電極パッドである。アノード電極パッド122は、ダイオード120の他端面(
図2では表面)に設けられている。
【0040】
導線W1は、半導体装置10の各要素を電気的に接続するための第1の導線である。導線W1の材料はとくに限定されないが、例えばアルミや銅等が用いられる。導線W1の断面形状はとくに限定されないが、例えば、略円形の断面形状である。略円形の断面形状を有する導線を、本実施形態では、単にワイヤと称することとする。なお、それ以外の断面形状としては、例えば略長方形の断面形状がある。略長方形の断面形状を有する導線は、リボンとも称される。導線W1を用いた接続関係について説明する。
【0041】
トランジスタ110のソース電極パッド112と、ソース用配線パターン150Sとは、導線W1によって電気的に接続されている。具体的に、導線W1の一端がソース電極パッド112
1にボンディングされ、他端がソース用配線パターン150Sにボンディングされることによって、ソース電極パッド112
1と、ソース用配線パターン150Sとが直接接続されている。
図1に示す例では、ソース電極パッド112
1とソース用配線パターン150Sとが2本の導線W1によって電気的に接続されているが、両者を電気的に接続する導線W1の本数はこれに限定されない。
【0042】
同様にして、ソース電極パッド112
2と、ソース用配線パターン150Sとは、導線W1によって電気的に接続されている。これにより、ソース電極パッド112
1と、ソース電極パッド112
2とは、導線W1及びソース用配線パターン150Sを介して電気的に接続されている。
【0043】
また、ダイオード120のアノード電極パッド122と、ソース用配線パターン150Sとは、導線W1によって電気的に接続されている。具体的に、導線W1の一端がアノード電極パッド122
1にボンディングされ、他端がソース用配線パターン150Sにボンディングされることによって、アノード電極パッド122
1と、ソース用配線パターン150Sとが、直接接続されている。これにより、アノード電極パッド122
1と、ソース電極パッド112
1とが、導線W1及びソース用配線パターン150Sを介して電気的に接続されている。
図1に示す例では、アノード電極パッド122
1とソース用配線パターン150Sとが3本の導線W1によって電気的に接続されているが、両者を電気的に接続する導線W1の本数はこれに限定されない。
【0044】
同様にして、アノード電極パッド122
2と、ソース用配線パターン150Sとが、導線W1によって直接接続されている。これにより、アノード電極パッド122
2と、ソース電極パッド122
2とが、導線W1及びソース用配線パターン150Sを介して電気的に接続されている。
【0045】
更に、トランジスタ110のゲート電極パッド113と、ゲート用配線パターン150Gとが、導線W1によって電気的に接続されている。具体的に、導線W1の一端がゲート電極パッド113
1にボンディングされ、他端がゲート用配線パターン150Gにボンディングされることによって、ゲート電極パッド113
1と、ゲート用配線パターン150Gとが、直接接続されている。これにより、ゲート電極パッド113
1と、ゲート用配線パターン150Gとが、導線W1を介して電気的に接続されている。
図1に示す例では、ゲート電極パッド113
1とゲート用配線パターン150Gとが1本の導線W1によって電気的に接続されているが、両者を接続する導線W1の本数はこれに限定されない。
【0046】
同様にして、ゲート電極パッド113
2と、ゲート用配線パターン150Gとが、導線W1を介して電気的に接続されている。
【0047】
上記配線構造では、K個のトランジスタ110は、電気的に並列に接続されており、L個のダイオード120も電気的に並列に接続されている。
【0048】
導線W2は、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしを電気的に接続するための第2の導線である。導線W2の材料はとくに限定されないが、例えば、導線W1の材料と同様のものであってもよい。
【0049】
導線W2は、少なくとも断面積の大きさにおいて、導線W1とは異なる種類の導線である。具体的に、導線W2は、導線W1の断面積よりも小さい断面積を有する。導線W2の例は、ワイヤ及びリボンを含む。
【0050】
例えば、導線W1及び導線W2がいずれもワイヤである場合、導線W2は、導線W1の径の1/2以下の径を有するワイヤであってもよい。
【0051】
半導体装置10での導線W2による配線構造について説明すると、L個のダイオード120を備えている形態では、トランジスタ(第jのトランジスタ)110
j(jは、1〜Kのうちの任意の整数)及びトランジスタ(第kのトランジスタ)110
k(kは、1〜Kのうちのjとは異なる任意の整数)のソース電極パッド112
j,112
kどうしが、2つのトランジスタ110
j,110
kに対して設けられるダイオード(以下、第1の所定ダイオードと称す)及び導線W2を介して電気的に接続されている。この場合、2つのトランジスタ110
j、110
kは、導線W2によりバイパス接続されていることになるので、第1の所定ダイオードはバイパス接続用ダイオードとしても機能する。
【0052】
図1には、jが1でありkが2の場合が例示されており、第1の所定ダイオードはダイオード120
1である。この場合、トランジスタ110
1のソース電極パッド112
1と、トランジスタ110
1,110
2に対して設けられたダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とに導線W2がボンディングされることによって、ソース電極パッド112
1と、アノード電極パッド122
1とが直接接続されている。
【0053】
更に、トランジスタ110
2のソース電極パッド112
2と、ダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とに導線W2がボンディングされることによって、ソース電極パッド112
2と、アノード電極パッド122
1とが直接接続されている。これにより、トランジスタ110
1,110
2のソース電極パッド112
1,112
2どうしが、ダイオード120
1のアノード電極パッド122
1及び導線W2を介して電気的に接続されている。
【0054】
また、アノード電極パッド122
1とソース用配線パターン150Sとに導線W2がボンディングされることによって、アノード電極パッド122
1とソース用配線パターン150Sとが直接接続されてもよい。
【0055】
図1に示したように、トランジスタ112
1、ダイオード121
1及びソース用配線パターン150Sのように複数の構成要素間を導線W2で接続する場合、それらは、導線W2によってステッチボンディングされてもよい。トランジスタ112
2、ダイオード121
1及びソース用配線パターン150Sについても同様である。
【0056】
図1には、K=2の場合を具体的に例示しているため、(j,k)が(1,2)の場合を例示し、それらに対応する第1の所定ダイオードとしてダイオード120
1を例示した。例えば、Kが3以上の場合、(j,k)の組の例としては、(1,2),(2,3),(3,4),・・・,(K−2,K−1),(K−1,K)が挙げられ、各組に対して第1の所定ダイオードが設けられていればよい。
【0057】
以上説明した半導体装置10の構成では、半導体装置10は、
図3に示した等価回路で表される。
図3は、半導体装置10の等価回路を示す図である。
図3に示す例では、
図1に例示した半導体装置10との対応関係を示すためにK=L=2の場合を示している。
【0058】
図3に示すように、トランジスタTr1,Tr2は、並列接続されている。具体的に、トランジスタTr1のドレイン、ソース及びゲートと、Tr2のドレイン、ソース及びゲートとが、それぞれ電気的に接続されている。
【0059】
トランジスタTr1,Tr2の各々に対しては、ダイオードD1,D2がそれぞれ接続されている。
【0060】
ダイオードD1のアノードはトランジスタTr1のソースに接続され、ダイオードD1のカソードはトランジスタTr1のドレインに接続される。ダイオードD2のアノードはトランジスタTr2のソースに接続され、ダイオードD2のカソードはトランジスタTr2のドレインに接続される。ダイオードD1は、とくにトランジスタTr1の還流ダイオードとして機能する。ダイオードD2は、とくにトランジスタTr2の還流ダイオードとして機能する。ただし、先に説明したようにトランジスタTr1,Tr2は並列接続されているので、ダイオードD1,D2も並列接続されることとなる。よって、ダイオードD1,D2が全体として、トランジスタTr1,Tr2の還流ダイオードとして機能し得る。
【0061】
端子t1は、トランジスタTr1,Tr2のドレインに接続される。端子t2は、トランジスタTr1,Tr2のソースに接続される。端子t3は、トランジスタTr1,Tr2のゲートに接続される。
【0062】
トランジスタTr1,Tr2は、トランジスタ110
1,110
2(
図1)に対応する。ダイオードD1,D2は、ダイオード120
1,120
2(
図1)に対応する。端子t1,t2,t3は、ドレイン用端子TD、ソース用端子TS、ゲート用端子TG(
図1)に対応する。
【0063】
図3の等価回路を参照しながら半導体装置10の動作について説明する。端子t1に正電圧及び端子t2に負電圧を印加した状態で、端子t3に制御電圧を印加すると、トランジスタTr1,Tr2のドレイン及びソース間が導通する。これにより、端子t1及び端子t2間に電流が流れる。このように、端子t1及び端子t2間に流れる電流を主電流と称す。そのため、端子t3に対する制御電圧を例えばON/OFF制御すれば、半導体装置10が一つのスイッチング素子として機能する。よって、半導体装置10は、例えば、パワーモジュールにおける一相のインバータ回路の上アームの部分又は下アームの部分として用いられ得る。端子t3に印加される制御電圧は、通常、端子t2の電位を基準に設定される。
【0064】
次に、半導体装置10において導線W2を設けていることの作用効果について、導線W2を設けない場合と比較しながら説明する。
【0065】
前述したように、端子t3に印加される制御電圧は、通常、端子t2の電位を基準に設定される。これは、
図1に示した実装状態において、各トランジスタ110のソース電極パッド112の電位が等しいことを想定している。しかしながら、導線W2を考慮していない場合、ソース用端子TSからK個のトランジスタ110の各々のソース電極パッド112への第1の電流経路の長さがそれぞれ異なるため、例えば、導線W1におけるインダクタンスの影響により、各トランジスタ110のソース電極パッド112の電位が異なる。その結果、例えば、
図3の等価回路において、端子t1と端子t2が短絡され、ドレイン・ソース間に大きな電流が流れる場合には、トランジスタTr1,トランジスタTr2のゲートの電位が発振することがある。なお、端子t1と端子t2が短絡する場合は、例えば、半導体装置10がインバータ等に適用され負荷が短絡した場合等である。
【0066】
これを防ぐためには、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしを、主電流の影響受けないように、できるだけ短い導線によって電気的に接続するとよい。これにより、K個のトランジスタ110の間で基準電位が均一となり、上述の発振の拡大が抑制される。
【0067】
その場合、半導体装置10において、各トランジスタ110のソース電極パッド112どうしを、主電流を流すための導線W1で接続することが考えられる。つまり、導線W1を、各トランジスタ110の基準電位の変動を抑制するための導線として用いることが考えられる。しかし、導線W1のボンディングは、トランジスタ110にダメージを与える可能性がある。
【0068】
これに対して、半導体装置10では、導線W2によって、トランジスタ110のソース電極パッド112(
図1ではソース電極パッド112
1,112
2)どうしを電気的に接続している。
図1からも理解されるように、導線W2を介してソース電極パッド112
1,112
2どうしが電気的に接続される経路は、導線W1及びソース用配線パターン150Sを介してソース電極パッド112
1,112
2どうしが電気的に接続される経路よりも短い。また、導線W2は、導線W1より断面積が小さいため、主電流は、導線W2にほとんど流れない。
【0069】
このように主電流の影響を受けない導線W2を介して短い距離でK個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしが電気的に接続されることによって、K個のトランジスタ110の間で、ソース電極パッド112の電位(基準電位)が均一となる。このため、例えば半導体装置10をパワーモジュールに用いた場合に負荷が短絡して各トランジスタ110に大きな短絡電流が流れても、トランジスタ110のゲート電極パッド113に生じ得る発振の拡大を抑制することができる。
【0070】
更に、導線W2は、導線W1の断面積よりも小さい断面積を有することから、断面積の大きい導線W1によって各トランジスタ110のソース電極パッド112どうしを電気的に接続する場合よりも、トランジスタ110及びダイオード120(以下、トランジスタ110等と称する場合もある)にダメージを与える可能性を低減することができる。この効果は、例えば、導線W2がステッチボンディングされるような場合にさらに有利な効果となり得る。これは、断面積の小さい導線W2の場合には、ステッチボンディングのためのパワーを小さくすることができるため等の理由による。
【0071】
半導体装置10は、トランジスタ110
j,110
kに対して設けられる第1の所定ダイオードを含むL個のダイオード120を備えており、ダイオード120が還流ダイオードとして機能する。そのため、K個のトランジスタ110を保護することができる。
【0072】
導線W1及び導線W2がいずれもワイヤである場合、導線W2は、導線W1の径の1/2以下の径を有するワイヤであってもよい。このように径の小さい(断面積の小さい)導線W2を用いることによって、トランジスタ110等にダメージを与える可能性を十分に低減することができる。
【0073】
また、導線W2の径が小さいと導線W2の電気抵抗率を大きくすることができる。導線W2の電気抵抗率を大きくすることで、導線W2に流れる得る電流の大きさを抑制し、それによって、主電流の影響を更に受けにくくすることができる。
【0074】
[第1変形例]
図4は、第1変形例に係る半導体装置10Aを模式的に示す平面図である。半導体装置10Aは、先に説明した半導体装置10(
図1)と比較して、導線W2による配線構造が相違する。
【0075】
半導体装置10Aでは、トランジスタ110
j,110
kのソース電極パッド112
j,112
kどうしが、導線W2によって直接接続されている。半導体装置10Aにおけるトランジスタ110
j,110
kは、たとえば互いに近接して配置されたトランジスタであってよい。具体的に、トランジスタ110
1,110
2のソース電極パッド112
1,112
2どうしが、導線W2によって直接接続されている。
【0076】
このような導線W2による配線構造によっても、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしを電気的に接続することができる。
【0077】
また、半導体装置10Aによれば、ソース電極パッド112
j,112
kどうしを、半導体装置10(
図1)よりも少ない本数(1本のみでもよい)の導線W2によって、電気的に接続することができる。その分、トランジスタ110等にダメージを与える可能性を更に低減することができる。更に、半導体装置10Aによれば、ソース電極パッド112
j,112
kどうしが導線W2によって直接接続されるので、例えば、半導体装置10(
図1)のように両者が第1の所定ダイオードのアノード電極パッド(
図1ではダイオード120
1のアノード電極パッド122
1)及び導線W2を介して電気的に接続される場合よりも、短い距離でもって両者を接続することができる。よって、トランジスタ110
j,110
kの間、ひいてはK個のトランジスタ110の間で、ソース電極パッド112の電位(基準電位)をより均一にすることができる。
【0078】
[第2変形例]
図5は、別の変形例に係る半導体装置10Bを模式的に示す平面図である。半導体装置10Bは、先に説明した半導体装置10(
図1)と比較して、導線W1及び導線W2による配線構造が相違する。
【0079】
半導体装置10Bでは、トランジスタ110
jのソース電極パッド112
jと、第1の所定ダイオードのアノード電極パッドとが、導線W1によって直接接続されている。具体的に、トランジスタ110
1のトランジスタ113
1と、ダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とが、導線W1によって直接接続されている。
【0080】
トランジスタ110
kのソース電極パッド112
kと、第1の所定ダイオードのアノード電極とが、導線W2によって直接接続されている。具体的に、トランジスタ110
2のソース電極パッド112
2と、ダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とが、導線W1によって直接接続されている。
【0081】
このような導線W2による配線構造によっても、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしを電気的に接続することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る半導体装置20を模式的に示す平面図である。半導体装置20は、半導体装置10(
図1)と比較して、基板100に代えて基板200を含み、更に、M個(Mは2以上の整数)のトランジスタ(追加トランジスタ)130と、N個(Nは2以上の整数)のダイオード(追加ダイオード)140とを含む点、及び各要素の配置や接続関係において相違する。
【0083】
図6では、K及びMが3でありL及びNが2の場合を例示している。M個のトランジスタ130を区別して説明する場合は、トランジスタ130
f(fは、1〜Mの何れかの整数)と称する場合もある。トランジスタ130の構成要素についても同様に“f”を符号に下付きで付して区別する場合もある。
図6では、一例として3個のトランジスタ110
1,110
2,110
3と3個のトランジスタ130
1,130
2,130
3が図示されている。N個のダイオード140を区別して説明する場合は、ダイオード140
g(gは、1〜Nの何れかの整数)と称する場合もある。ダイオード140の構成要素についても同様に、“g”を符号に下付きで付して区別する場合もある。
図6では、一例として2個のダイオード120
1,120
2及び2個のダイオード140
1,140
2が図示されている。
【0084】
基板200は、主面200aを有する絶縁性基板である。主面200aには、配線パターン155が形成されている。
図6に示す例では、配線パターン155は、ゲート用配線パターン155Gと、補助配線パターン155Rと、ドレイン用配線パターン155Dと、ソース・ドレイン用配線パターン155SDと、ゲート用配線パターン156Gと、補助配線パターン156Rと、ソース用配線パターン156Sとを含む。配線パターン155に含まれる各パターンは、電気的に分離される。
【0085】
ゲート用配線パターン155Gには、ゲート用端子TGが設けられる。補助配線パターン155Rには、補助端子TRが設けられる。ドレイン用配線パターン155Dには、ドレイン用端子TDが設けられる。ソース・ドレイン用配線パターン155SDには、出力用端子TOが設けられる。
図6において、一点鎖線で示した出力用端子TOは、実線で示した出力用端子TOの配置状態に対する変形例を示すものである。ゲート用配線パターン156Gには、ゲート用端子TG2が設けられる。補助配線パターン156Rには、補助端子TR2が設けられる。ソース用配線パターン156Sには、ソース用端子TS2が設けられる。各端子は、各パターンと外部回路(不図示)等の半導体装置20外部の要素と電気的に接続するために用いられる。
【0086】
トランジスタ110
iは、ドレイン電極パッド111
iが、ドレイン用配線パターン155Dに電気的に接続されるように、ドレイン電極パッド111
iがドレイン用配線パターン155Dに接合されることによって、ドレイン用配線パターン155Dに搭載されている。同様に、ダイオード120
hは、カソード電極パッド121
hが、ドレイン用配線パターン155Dに電気的に接続されるように、カソード電極パッド121
hがドレイン用配線パターン155Dに接合されることによって、ドレイン用配線パターン155Dに搭載されている。これにより、トランジスタ110
iのドレイン電極パッド111
iと、ダイオード120
hのカソード電極パッド121
hとは、ドレイン用配線パターン155Dを介して電気的に接続されている。
【0087】
トランジスタ130
fは、ドレイン電極パッド131
f(第4の電極パッド)と、ソース電極パッド132
f(第5の電極パッド)と、ゲート電極パッド133
f(第6の電極パッド)とを含む。各電極パッドの詳細については、トランジスタ110
fの対応する部分と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0088】
ダイオード140
gは、カソード電極パッド141
gと、アノード電極パッド142
gとを含む。各電極パッドの詳細については、ダイオード120
hの対応する部分と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0089】
トランジスタ130
fは、ドレイン電極パッド131
fが、ソース・ドレイン用配線パターン155SDに電気的に接続されるように、ドレイン電極パッド131
fがソース・ドレイン用配線パターン155SDに接合されることによって、ソース・ドレイン用配線パターン155SDに搭載されている。同様に、ダイオード140
gは、カソード電極パッド141
gが、ソース・ドレイン用配線パターン155SDに電気的に接続されるように、カソード電極パッド121
gがソース・ドレイン用配線パターン155SDに接合されることによって、ソース・ドレイン用配線パターン155SDに搭載されている。これにより、トランジスタ130
fのドレイン電極パッド131
fと、ダイオード140
gのカソード電極パッド141
gとは、ソース・ドレイン用配線パターン155SDを介して電気的に接続されている。
【0090】
本実施形態においても、ドレイン電極パッド111
i,131
fは、基板200側に位置するため、
図6では図示の都合上、破線の引出線を使用してドレイン電極パッド111
i,131
fを示している。
【0091】
半導体装置20では、K個のトランジスタ110の各々は、基板200の主面200aにおいて、配線パターン155(より具体的にはソース・ドレイン用配線パターン155SD)の第1の領域A1の周りに同心円状に配置されている。
【0092】
K個のトランジスタ110は、第1の領域A1を中心とする仮想的な一つの円周上に、所定の関係を空けて並んで配置されている。L個のダイオード120の各々は、たとえば、K個のトランジスタ110の間にそれぞれ配置されている。その場合、L=K−1であってよい。
図6に示す例では、ダイオード120
1は、トランジスタ110
1とトランジスタ110
2との間に配置されている。ダイオード120
2は、トランジスタ110
2とトランジスタ110
3との間に配置されている。
【0093】
トランジスタ110
iのソース電極パッド112
iと、ソース・ドレイン用配線パターン155SDとは、導線W1によって直接接続されている。これにより、ソース電極パッド112
iと、ソース・ドレイン用配線パターン155SDとが、電気的に接続されている。
【0094】
トランジスタ110
iのソース電極パッド112
iと、補助配線パターン155Rとは、導線W1によって直接接続されている。これにより、ソース電極パッド112
iと、補助配線パターン155Rとが、電気的に接続されている。
【0095】
半導体装置20においても、先に説明した半導体装置10(
図1)と同様に、K個のトランジスタ110のうちのトランジスタ110
jのソース電極パッド112
jと、トランジスタ110
j及びトランジスタ110
kに対して設けられた第1の所定ダイオードのアノード電極パッドとが、導線W2によって直接接続されている。これにより、トランジスタ110
i,110
kのソース電極パッド112
i,112
kどうしは、導線W2及びダイオード120を介して電気的に接続されている。
【0096】
図6では、Kが3である形態を示しているので、j及びkの組み合わせは、jが1でありkが2である場合と、jが2でありkが3である場合の2組であり、それぞれに対して第1の所定ダイオードが設けられている。すなわち、jが1であり且つkが2である場合の2つのトランジスタ110
1,110
2に対する第1の所定ダイオードはダイオード120
1である。jが2でありkが3である場合の2つのトランジスタ110
2,110
3に対する第1の所定ダイオードはダイオード120
2である。
【0097】
図6に示す例を参照して、配線構造について具体的に説明する。トランジスタ110
1のソース電極パッド112
1と、トランジスタ110
1,110
2に対して設けられたダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とは、導線W2によって直接接続されている。トランジスタ110
2のソース電極パッド112
2と、ダイオード120
1のアノード電極パッド122
1とは、導線W2によって直接接続されている。更に、トランジスタ110
2のソース電極パッド112
2と、トランジスタ110
2,110
3に対して設けられたダイオード120
2のアノード電極パッド122
2とが、導線W2によって直接接続されている。トランジスタ110
3のソース電極パッド112
3と、ダイオード120
2のアノード電極パッド122
2とは、導線W2によって直接接続されている。
【0098】
このようにして、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしが、L個のダイオード120のアノード電極パッド122及び導線W2を介して電気的に接続されている。
図6に示した導線W2によるK個のトランジスタ110とL個のダイオード120の配線構造では、それらは、導線W2によってステッチボンディングされてもよい。
【0099】
M個のトランジスタ130は、K個のトランジスタ110に直列接続されている。具体的に、並列接続されたK個のトランジスタ110の
ソース電極パッド112と、並列接続されたM個のトランジスタ130のドレイン電極パッド131とが、ソース・ドレイン用配線パターン155SD及び導線W1を介して電気的に接続されている。
【0100】
M個のトランジスタ130の各々は、基板200の主面200aにおいて、配線パターン155(より具体的にはソース・ドレイン用配線パターン155SD)の第2の領域A2の周りに同心円状に配置されている。
【0101】
M個のトランジスタ130は、第2の領域A2を中心とする仮想的な一つの円周状に、所定の間隔を空けて並んで配置されている。N個のダイオード140の各々は、たとえば、M個のトランジスタ130の間にそれぞれ配置されている。その場合、N=M−1であってよい。
図6に示す例では、ダイオード140
1は、トランジスタ130
1とトランジスタ130
2との間に配置されている。ダイオード140
2は、トランジスタ130
2とトランジスタ130
3との間に配置されている。
【0102】
トランジスタ130
fのソース電極パッド132
fと、ソース用配線パターン156Sとは、導線W1によって直接接続されている。これにより、ソース電極パッド132
fと、ソース用配線パターン156Sとが、電気的に接続されている。
【0103】
トランジスタ130
iのソース電極パッド132
iと、補助配線パターン156Rとは、導線W1によって直接接続されている。これにより、ソース電極パッド132
iと、補助配線パターン156Rとが、電気的に接続されている。
【0104】
M個のトランジスタ130のソース電極パッド132どうしも、K個のトランジスタ110の場合と同様に、導線W2によって電気的に接続されている。
【0105】
すなわち、
図6に示したように、M個のトランジスタ130に対してN個のダイオード140を備えている形態では、M個のトランジスタ130のうちのトランジスタ(第mのトランジスタ)130
m(mは、1〜Mのうちの任意の整数)及びトランジスタ(第nのトランジスタ)130
n(nは、1〜Mのうちのmとは異なる任意の整数)のソース電極パッド132
m,132
nどうしが、2つのトランジスタ130
m,130
nに対して設けられるダイオード(以下、第2の所定ダイオードと称す)及び導線W2を介して電気的に接続されている。この場合、2つのトランジスタ130
m,130
nは、導線W2によりバイパス接続されていることになるので、第2の所定ダイオードもバイパス接続用ダイオードとしても機能する。
【0106】
図6に示した例では、mが1でありnが2であるm及びnの組に対応する2つのトランジスタ130
m,130
nに対する第2の所定ダイオードがダイオード140
1である。mが2でありnが3であるm及びnの組に対応する2つのトランジスタ130
2,130
3に対する第2の所定ダイオードがダイオード140
2である。この場合、
図6に示した様に、M個のトランジスタ130のうちのトランジスタ130
mのソース電極パッド132
mと、第2の所定ダイオードのアノード電極パッドとは、導線W2によって直接接続されている。これにより、トランジスタ130
m,130
nのソース電極パッド112
m,112
nどうしは、導線W2及び第2の所定ダイオードを介して電気的に接続されている。
【0107】
具体的には、トランジスタ130
1のソース電極パッド132
1と、ダイオード140
1のアノード電極パッド142
1とは、導線W2によって接続されている。トランジスタ130
2のソース電極パッド132
2と、ダイオード140
1のアノード電極パッド142
1とは、導線W2によって接続されている。更に、トランジスタ130
2のソース電極パッド132
2と、トランジスタ130
2,130
3に対して設けられたダイオード140
2のアノード電極パッド142
2とが、導線W2によって直接接続されている。トランジスタ130
3のソース電極パッド132
3と、ダイオード140
2のアノード電極パッド142
2とは、導線W2によって直接接続されている。
【0108】
このようにして、M個のトランジスタ130のソース電極パッド132どうしが、N個のダイオード140のアノード電極パッド142
1,142
2及び導線W2を介して電気的に接続されている。
図6に示した導線W2によるM個のトランジスタ130とN個のダイオード140の配線構造では、それらは、導線W2によってステッチボンディングされてもよい。
【0109】
以上説明した半導体装置20の構成では、半導体装置20は、
図7に示した等価回路で表される。
図7は、半導体装置20の等価回路を示す図である。
図7に示す例では、
図6に示した半導体装置20との対応関係を示すために、K=3,L=2,M=3,N=2の場合を示している。
【0110】
図7に示すように、トランジスタTr1〜Tr3が並列接続された並列回路と、トランジスタTr4〜6が並列接続された並列回路とが、直列接続されている。ここでの直列接続とは、
図7に示すように、トランジスタTr1〜Tr3のソースと、トランジスタTr4〜Tr6のドレインとが接続される関係をいう。トランジスタTr1〜Tr3には、ダイオードD1,D2が、還流ダイオードとして接続されている。トランジスタTr4〜Tr6には、ダイオードD3,D4が還流ダイオードとして接続されている。
【0111】
端子t1は、トランジスタTr1〜Tr3のドレインに接続される。端子t2は、トランジスタTr1〜Tr3のソースと、トランジスタTr4〜Tr6のドレインとの接続部分に接続されている。端子t3は、トランジスタTr1〜3のゲートに接続されている。端子t4は、トランジスタTr1〜Tr3のソースに接続されている。端子t3と端子t4との間には、トランジスタTr1〜Tr3のソースとドレインとの間の導通を制御する制御電圧が印加される。
【0112】
端子t5は、トランジスタTr4〜Tr6のソースに接続されている。端子t6は、トランジスタTr4〜Tr6のソースに接続されている。端子t7も、トランジスタTr4〜Tr6のソースに接続されている。なお、端子t5と端子t6との間には、トランジスタTr4〜Tr6のソースとドレインとの間の導通を制御する制御電圧が印加される。
【0113】
トランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5,Tr6は、トランジスタ110
1,110
2,110
3,130
1,130
2,130
3(
図6)に対応する。ダイオードD1,D2,D3,D4は、ダイオード120
1,120
2,140
1,140
2(
図6)に対応する。端子t1,t2,t3,t4は、ドレイン用端子TD、出力用端子TO、ゲート用端子TG、補助端子TR(
図6)に対応する。端子t5、t6,t7は、ソース用端子TS2、ゲート用端子TG2、補助端子TR2(
図6)に対応する。
【0114】
図7の等価回路を参照しながら半導体装置20の動作について説明する。端子t1に性電圧及び端子t5に負電圧を印加した状態で、端子t3と端子t4との間に制御電圧を印加するとトランジスタTr1,Tr2,Tr3のドレイン及びソース間が導通し、また、端子t6と端子t7との間に制御電圧を印加するとトランジスタTr4,Tr5,Tr6のドレイン及びソース間が導通する。これにより、端子t1及び端子t2の間、または端子t2及び端子t5の間に電流(主電流)が流れる。そのため、端子t3及び端子t4の間に印加される制御電圧と、端子t6及び端子t7間に印加される制御電圧を例えばON/OFF制御すれば、半導体装置20が、2つの直列接続されたスイッチング素子として機能する。よって、半導体装置20は、例えば、パワーモジュールにおける一相のインバータ回路(上アーム及び下アームを含む)として用いられ得る。
【0115】
次に、半導体装置20の作用効果について説明する。まず、半導体装置20でも、先に説明した半導体装置10と同様に、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしが導線W2によって電気的に接続されている。また、半導体装置20では、M個のトランジスタ130のソース電極パッド132どうしも導線W2によって電気的に接続されている。よって、半導体装置20は、先に説明した半導体装置10と同様の効果を有する。すなわち、K個のトランジスタ110のゲート電極パッド113、及びM個のトランジスタ130のゲート電極パッド133に生じ得る発振の拡大を抑制することができる。
【0116】
更に、半導体装置20では、K個のトランジスタ110の各々は、基板200の主面200aにおいて、ソース・ドレイン用配線パターン155SDの第1の領域A1の周りに同心円状に配置される。そして、トランジスタ110
iのソース電極パッド112
iと、第1の領域A1とが、導線W1によって直接接続されている。
【0117】
そのため、ソース電極パッド112
iと、第1の領域A1とを接続する各導線W1の長さをほぼ均一にできる。その結果、ソース用端子TSから各トランジスタ110のソース電極パッド112への第1の電流経路の長さもほぼ均一になる。これにより、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112の電位が一定になりやすくなる。この効果は、例えば、出力用端子TOが第1の領域A1、あるいはその近くに設けられる場合にさらに有利な効果となり得る。
【0118】
ただし、
図6の一点鎖線で示した出力用端子TOのように、第1の領域A1から離れた位置に出力用端子TOを配置した場合においても上記構成では第1の電流経路の長さはほぼ均一になる。これは、第1の領域A1から出力用端子TOが十分離れていることで、ソース用端子TSから各ソース電極パッド112への第1の電流経路において、第1の領域Aからソース用端子TSまでの経路の長さの違いをほぼ無視できる一方、第1の領域A1から各ソース電極パッド112までの電流経路の長さである導線W1の長さを均一にできているからである。
【0119】
同様に、M個のトランジスタ130の各々は、ソース・ドレイン用配線パターン155SDの第2の領域A2の周りに同心円状に配置される。そして、各トランジスタ130のソース電極パッド132と、第2の領域A2とが、導線W1によって直接接続されている。そのため、ソース電極パッド132
fと、第2の領域A2とを接続する各導線W1の長さをほぼ均一にできる。その結果、ソース用端子TS2から各トランジスタ130のソース電極パッド132への第2の電流経路の長さもほぼ均一になる。そのため、M個のトランジスタ130のソース電極パッド132の電位が一定になりやすくなる。
【0120】
このように、半導体装置20では、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112及びM個のトランジスタ130のソース電極パッド132の電位が一定となりやすくなるので、ゲート電極パッド113,133に生じ得る発振の拡大を更に抑制することができる。
【0121】
以上、種々の実施形態について説明したが、本発明は、これまで説明した種々の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0122】
例えば、第1実施形態においても、第2の実施形態で説明したように、K個のトランジスタ110は、配線パターン150の所定の領域周りに、同心円状に配置されており且つ各トランジスタ110のソース電極パッド112と上記所定の領域とがほぼ同じ長さの導線W1で直接接続されていてもよい。この場合、第2の実施形態で説明したように、導線W1の影響が各トランジスタ110で均一になりやすく、ソース電極パッド112の電位が揃いやすい。
【0123】
また、第2実施形態において、K個のトランジスタ110のソース電極パッド112どうしの導線W2による配線構造及びM個のトランジスタ130のソース電極パッド132どうしの導線W2による配線構造は、第1の実施形態で種々例示した形態を採用してもよい。
【0124】
第1実施形態において、トランジスタ110のゲート電極パッド113と配線パターン150、具体的には、例えばゲート用配線パターン150Gとは導線W1を利用して接続しているが、ゲート電極パッド113と、配線パターン150との接続は、導線W1に限定されない。例えば、導線W2を採用可能である。これは、ゲート電極パッド113にはソース電極パッド112に比べて大きな電流が流れないからである。第2の実施形態におけるトランジスタ130のゲート電極パッド133についても同様である。
【0125】
第1及び第2実施形態では、ダイオード120,140を半導体装置が備える形態を例示して説明したが、ダイオード120,140は設けられていなくても良い。例えば、トランジスタ110,130がMOSFETである形態において、トランジスタ110,130内の構造上、ダイオードが内蔵されている場合は、ダイオード120,140は、トランジスタ110,130と別に設けられていなくてもよい。
【0126】
これまでの説明では、トランジスタ110,130がMOSFETである形態を主に説明したが、前述したように、トランジスタ110,130は、IGBTであってもよい。トランジスタ110,130がIGBTである形態では、MOSFETでの説明において、「ドレイン」を「コレクタ」と読み替え、「ソース」を「エミッタ」と読み替えればよい。例えば、MOSFETにおけるドレイン電極パッドは、IGBTにおけるコレクタ電極パッドに対応し、ソース電極パッドは、IGBTにおけるエミッタ電極パッドに対応する。同様に、ドレイン用配線パターン及びソース用配線パターンは、トランジスタ110,130がIGBTである形態では、コレクタ配線用パターン及びエミッタ用配線パターンに対応する。