(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2部分に直接取り付けられ、前記流路内を流れるガスから不純物を除去するフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のフローコントローラ。
互いに隣接する前記フローコントローラのうちの一方の前記フローコントローラの前記第1部分及び前記第2部分と、他方の前記フローコントローラの前記第1部分とにより囲まれる空間が、前記他方の前記フローコントローラの前記第1部分に取り付けられる部品を収容する収容空間を形成していることを特徴とする請求項8に記載のガスクロマトグラフ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のフローコントローラ101を用いたガスクロマトグラフ1では、流路アッセンブリ104に対する作業スペースが狭く、特に、フローコントローラ101が複数並べて配置される場合には、流路アッセンブリ104に対する作業スペースが一層狭い。そのため、ガスクロマトグラフ100では、予め流路アッセンブリ104から流路側配管105を延ばしている。そして、作業者が、試料気化室103から延びる気化室側配管106に、連結部材107を介して流路側配管105を連結することで、流路アッセンブリ104から試料気化室103まで延びる配管102が構成される。
【0009】
しかし、流路側配管105及び連結部材107には、各種加工が施されているため、加工油などの不純物が付着している可能性がある。そして、測定の際に、この不純物が揮発してキャリアガスに混入すると、測定データにノイズが生じるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、作業性が高いフローコントローラ、及び、これを備えたガスクロマトグラフを提供することを目的とする。また、本発明は、測定精度を向上できるフローコントローラ、及び、これを備えたガスクロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係るフローコントローラは、ガスクロマトグラフに使用されるガスの流量を制御するためのフローコントローラであって、複数の板が積層されて構成され、内部に流路が形成される流路部材を備える。前記流路部材は、曲げられることにより第1部分と第2部分とに区分けされる。前記第1部分には、ガスが供給されるガス供給口が形成されている。前記第2部分には、前記ガス供給口から供給されて、前記流路を通過したガスが流出するガス流出口が形成されている。
【0012】
このような構成によれば、第2部分は、第1部分から曲がっている。第2部分には、ガスが流出するガス流出口が形成されている。
そのため、ガス流出口に対する作業スペースを十分に確保でき、フローコントローラに対する作業性が高い。
【0013】
また、他の部品から延びる配管とガス流出口とを連通させる場合には、その配管を第2部分に直接接続させれば、フローコントローラと他の部品との間で、複数の配管同士を連結する必要がなく、フローコントローラから延びる配管、及び、当該配管を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
そのため、ガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。また、接続部分が減ることにより、ガスが漏れる可能性を低減することができる。さらに、部品点数が減ることにより、製造コストを低減することができる。
【0014】
(2)また、前記第2部分には、外部からのガスが流入するガス流入口が形成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ガス流入口に対する作業スペースを十分に確保でき、フローコントローラに対する作業性が一層高い。
また、他の部品から延びる配管とガス流入口とを連通させる場合には、その配管を第2部分に直接接続させれば、フローコントローラと他の部品との間で、複数の配管同士を連結する必要がなく、フローコントローラから延びる配管、及び、当該配管を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
【0016】
(3)また、前記フローコントローラは、前記第2部分に直接取り付けられ、前記流路内を流れるガスから不純物を除去するフィルタをさらに備えてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第1部分から曲がった第2部分に、フィルタが直接取り付けられる。
そのため、フィルタを着脱するための作業スペースを十分に確保でき、フローコントローラに対する作業性が一層高い。
また、フィルタによってガスへの不純物の混入を一層抑制でき、測定精度を一層向上できる。
【0018】
(4)本発明に係るガスクロマトグラフは、前記フローコントローラと、試料が導入されるカラムと、前記カラムに導入する試料を気化するための試料気化室が形成された試料導入部と、前記カラムを通過する過程で分離された試料成分を検出する検出器とを備える。
【0019】
このような構成によれば、フローコントローラのガス流出口に対する作業スペースを十分に確保でき、フローコントローラに対する作業性が高い。
【0020】
(5)また、前記ガスクロマトグラフは、前記フローコントローラから前記試料導入部に向けてキャリアガスを送るための第1配管をさらに備えてもよい。前記第1配管は、前記ガス流出口に連通するように前記第2部分に直接接続されている。
【0021】
このような構成によれば、フローコントローラと試料導入部との間で、第1配管を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第1配管を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
そのため、ガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。また、接続部分が減ることにより、ガスが漏れる可能性を低減することができる。さらに、部品点数が減ることにより、製造コストを低減することができる。
【0022】
(6)また、前記第2部分には、外部からのガスが流入するガス流入口が形成されていてもよい。前記ガスクロマトグラフは、前記試料導入部から前記フローコントローラに向けてスプリットガス又はパージガスを送るための第2配管をさらに備えてもよい。前記第2配管は、前記ガス流入口に連通するように前記第2部分に直接接続されている。
【0023】
このような構成によれば、ガス流入口に対する作業スペースを十分に確保でき、フローコントローラに対する作業性が一層高い。
また、試料導入部とフローコントローラとの間で、第2配管を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第2配管を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
【0024】
(7)また、前記ガスクロマトグラフは、前記フローコントローラから前記検出器に向けて検出用ガスを送るための第3配管をさらに備えてもよい。前記第3配管は、前記ガス流出口に連通するように前記第2部分に直接接続されている。
【0025】
このような構成によれば、フローコントローラと検出器との間で、第3配管を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第3配管を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
そのため、ガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。また、接続部分が減ることにより、ガスが漏れる可能性を低減することができる。さらに、部品点数が減ることにより、製造コストを低減することができる。
【0026】
(8)また、前記ガスクロマトグラフは、前記フローコントローラを複数備えてもよい。前記ガスクロマトグラフは、前記複数のフローコントローラのそれぞれの前記第1部分が互いに平行に配置されるように、前記複数のフローコントローラを保持する保持部をさらに備えてもよい。
【0027】
このような構成によれば、複数のフローコントローラが保持部に保持された状態において、あるフローコントローラの第1部分と、そのフローコントローラに隣接するフローコントローラの第1部分との間の寸法が小さくても、これらのフローコントローラの第1部分から曲がった第2部分に対する作業スペースは十分に確保できる。
その結果、フローコントローラに対する作業性が一層高い。
【0028】
(9)また、互いに隣接する前記フローコントローラのうちの一方の前記フローコントローラの前記第1部分及び前記第2部分と、他方の前記フローコントローラの前記第1部分とにより囲まれる空間が、前記他方の前記フローコントローラの前記第1部分に取り付けられる部品を収容する収容空間を形成していてもよい。
このような構成によれば、ガスクロマトグラフ内の空間を有効活用でき、ガスクロマトグラフの小型化を図れる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ガス流出口又はガス流入口に対する作業スペースを十分に確保できるため、フローコントローラに対する作業性が高い。また、本発明によれば、フローコントローラから延びる配管、及び、当該配管を他の配管に連結するための部材を省くことができるため、ガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.ガスクロマトグラフの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るガスクロマトグラフ1の構成例を示した概略図である。
ガスクロマトグラフ1は、カラム2と、カラムオーブン3と、試料導入部4と、検出器5と、フロー調整部6とを備えている。
【0032】
カラム2は、例えば、キャピラリカラムからなる。カラム2は、ヒータ及びファンなど(いずれも図示せず)とともにカラムオーブン3内に収容されている。カラム2は、その上流端が試料導入部4に接続されるとともに、その下流端が検出器5に接続されている。カラム2には、フロー調整部6を介してキャリアガスが供給される。
【0033】
カラムオーブン3は、カラム2を加熱するためのものであり、分析時にはヒータ及びファンを適宜駆動させることにより、カラムオーブン3内の温度を一定に維持しながら分析を行う恒温分析、又は、カラムオーブン3内の温度を徐々に上昇させながら分析を行う昇温分析などが実行可能である。
【0034】
試料導入部4には、試料気化室7が形成されている。分析時には、試料気化室7にキャリアガスが供給され、試料気化室7内で気化された試料が、キャリアガスとともにカラム2内に導入される。
【0035】
検出器5は、例えば、水素炎イオン化型検出器又は炎光光度検出器などにより構成される。検出器5は、カラム2から導入されるキャリアガスに含まれる各試料成分を順次検出する。
【0036】
フロー調整部6は、複数(例えば、6個)のフローコントローラの一例としてのAFC(Advanced Flow Controller)8と、保持部9とを備えている。
【0037】
複数のAFC8には、キャリアガスの流量を制御するキャリアガスコントローラ81と、検出用ガスの一例としてのH
2ガスの流量を制御するH
2ガスコントローラ82とが含まれる。
キャリアガスコントローラ81は、流路部材811と、バルブ812と、流量センサ813と、圧力センサ814とを備えている。
【0038】
流路部材811は、後述するように、複数の金属板から構成されており、内部にキャリアガスの流路が形成されている。
【0039】
バルブ812は、流路部材811に取り付けられている。バルブ812は、例えば、電磁弁であって、流路部材811内のキャリアガスの流路に接続されている。
【0040】
流量センサ813は、流路部材811に取り付けられている。流量センサ813は、流路部材811内の流路に接続されている。流量センサ813は、キャリアガスの流通方向において、バルブ812の下流側に配置されている。
【0041】
圧力センサ814は、流路部材811に取り付けられている。圧力センサ814は、流路部材811内の流路に接続されている。圧力センサ814は、キャリアガスの流通方向において、流量センサ813の下流側に接続されている。
なお、キャリアガスとしては、例えばHeガス又はN
2ガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0042】
H
2ガスコントローラ82は、流路部材821と、バルブ822と、流量センサ823と、圧力センサ824とを備えている。H
2ガスコントローラ82は、流量を制御する対象となるガスがH
2ガスである点以外は、キャリアガスコントローラ81とほぼ同様の構成である。すなわち、H
2ガスコントローラ82の流路部材821、バルブ822、流量センサ823及び圧力センサ824のそれぞれは、キャリアガスコントローラ81の流路部材811、バルブ812、流量センサ813及び圧力センサ814のそれぞれに対応している。
保持部9は、複数のAFC8を位置固定するように保持している。
【0043】
ガスクロマトグラフ1において試料を測定する際は、キャリアガスコントローラ81において、バルブ812が開放されるとともに、H
2ガスコントローラ82において、バルブ822が開放される。
また、分析対象となる試料が試料導入部4に注入される。そして、試料は、試料気化室7において気化される。
試料気化室7には、キャリアガスコントローラ81を介してキャリアガスが供給される。
【0044】
すると、試料気化室7内で気化された試料は、キャリアガスとともにカラム2内に導入される。試料に含まれる各試料成分は、カラム2内を通過する過程で分離されて、検出器5に順次導入される。
【0045】
そして、検出器5において、カラム2から導入されるキャリアガスに含まれる各試料成分が順次検出される。また、検出器5における検出結果に基づいて、ガスクロマトグラムが生成される。
【0046】
このとき、キャリアガスコントローラ81では、キャリアガスの流量及び圧力が、流量センサ813及び圧力センサ814によって検出される。そして、検出されたキャリアガスの流量及び圧力に基づいて、キャリアガスの流量が所定量となるようにバルブ812がフィードバック制御される。
【0047】
また、検出器5には、H
2ガスコントローラ82を介して適宜、H
2ガスが導入される。
このとき、H
2ガスコントローラ82では、流量センサ823及び圧力センサ824によって検出されるH
2ガスの流量及び圧力に基づいて、H
2ガスの流量が所定量となるようにバルブ822がフィードバック制御される。
【0048】
また、図示しないが、試料導入部4からは、適宜、キャリアガスコントローラ81に向けてスプリットガス又はパージガスが導入される。スプリット導入法によりカラム2内にキャリアガス及び試料を導入する際には、試料気化室7内のガス(キャリアガス及び試料の混合ガス)の一部が、スプリットガスとして所定のスプリット比で外部に排出され、キャリアガスコントローラ81に導かれる。また、セプタムなどから生じる所望しない成分は、試料気化室7内のガスの一部であるパージガスとともに外部に排出され、キャリアガスコントローラ81に導かれる。
【0049】
2.フロー調整部の具体的構成
(1)キャリアガスコントローラ
図2は、
図1のAFC8を示した斜視図である。
図3は、
図1のフロー調整部6を示した側断面図である。
上記したように、キャリアガスコントローラ81は、流路部材811を備えている。
流路部材811は、側面視略L字形状に形成されており、第1部分21と、第2部分22とを備えている。
【0050】
第1部分21は、略矩形状の板形状に形成されている。
第2部分22は、第1部分21の水平方向一方側の上端部から連続して水平方向に延びている。第2部分22は、略矩形状の板形状に形成されている。第2部分22と第1部分21との間のなす角度であって、第1部分21の下方側に形成される角度は、略90°である。
【0051】
すなわち、流路部材811は、金属からなる板形状の部材が曲げられることにより、第1部分21と第2部分22とに区分けされている。そして、第2部分22は、第1部分21よりも上方に配置されている。
【0052】
また、
図3に示すように、流路部材811は、3枚の金属板が積層されて構成されている。すなわち、流路部材811は、3層構造を有している。流路部材811は、層構成として、1対の外板23と、中板24とを備えている。
【0053】
1対の外板23のそれぞれは、流路部材811の外側(表面側)を構成しており、1枚の金属板により構成されている。なお、1対の外板23のうち、第2部分22が上方側に配置される外板23が第1外板23Aであり、第2部分22が下方側に配置される外板23が第2外板23Bである。1対の外板23のうち、第1外板23Aには、ガス供給口25と、ガス流出口26と、ガス流入口27(
図2参照)とが、それぞれ貫通穴として形成されている。第1外板23Aには、上記のような貫通穴以外にも、1つ又は複数の貫通穴28(
図2参照)が形成されている。また、1対の外板23の間(第1外板23Aと第2外板23Bとの間)には、中板24が介在している。
【0054】
ガス供給口25は、第1外板23Aにおける第1部分21に配置されている。ガス供給口25は、第1外板23Aを厚み方向に貫通している。
ガス流出口26は、第1外板23Aにおける第2部分22に配置されている。ガス流出口26は、第1外板23Aを厚み方向に貫通している。
【0055】
図2に示すように、ガス流入口27は、ガス流出口26と間隔を隔てるようにして、第1外板23A(
図3参照)における第2部分22に配置されている。ガス流入口27は、第1外板23Aを厚み方向に貫通している。
【0056】
貫通穴28は、ガス流出口26及びガス流入口27と間隔を隔てるようにして、第1外板23A(
図3参照)における第2部分22に配置されている。貫通穴28は、第1外板23Aを厚み方向に貫通している。貫通穴28の周囲には、ねじ穴29が形成されている。なお、
図2では、貫通穴28は、1つのみ示されているが、貫通穴28は、第1外板23Aの第2部分22に複数形成されていてもよい。また、
図2及び
図3では示されないが、ガス供給口25、ガス流出口26及びガス流入口27の周囲には、貫通穴28と同様に、ねじ穴が形成されている。
【0057】
図3に示すように、中板24は、流路部材811内側を構成しており、1枚の金属板により構成されている。中板24には、複数の溝が形成されている。
そして、1対の外板23と中板24とが拡散接合されることにより、流路部材811が構成される。
【0058】
これにより、流路部材811において、中板24の複数の溝のうちの1つの溝が、ガス供給口25とガス流出口26とを連通する流路30を構成する。同様に、図示しないが、流路部材811において、中板24の複数の溝のうちの別の溝が、ガス流入口27に連通する流路を構成する。また、流路部材811において、中板24の複数の溝のうちのさらに別の溝が、貫通穴28に連通する流路を構成する。
このように、流路部材811の内部には、中板24に形成された複数の溝によって、複数の流路が形成される。
【0059】
なお、
図3では、説明の便宜上、流路30が簡略的に示されているが、流路部材811内における複数の流路のそれぞれの形状は、例えば、折れ線状や曲線状に形成されている。
【0060】
そして、このようにして構成された流路部材811の第1部分21には、複数の部品31が取り付けられる。複数の部品31のそれぞれには、例えば、上記したバルブ812、流量センサ813及び圧力センサ814などが含まれる。また、複数の部品31のうちの1つの部品31は、ガス供給コネクタであって、ガス供給口25を覆うようにして第1部分21に取り付けられる。
【0061】
(2)H
2ガスコントローラ
上記したように、H
2ガスコントローラ82は、流路部材821を備えている。流路部材821は、キャリアガスコントローラ81の流路部材811とほぼ同様の構成である。
【0062】
すなわち、流路部材821は、第1部分51と、第1部分51の上端部から延びる第2部分52とを備えている。また、流路部材821は、1対の外板53と、中板54とが拡散接合されることにより構成される3層構造を有している。1対の外板53のうちの一方は、第1外板53Aであり、1対の外板53のうちの他方は、第2外板53Bである。
【0063】
流路部材821における第1部分51、第2部分52、1対の外板53、第1外板53A、第2外板53B、及び、中板54のそれぞれは、流路部材811の第1部分21、第2部分22、1対の外板23、第1外板23A、第2外板23B、及び、中板24のそれぞれに対応している。流路部材821における中板54には、複数の溝が形成されているが、これらの溝の形状が流路部材811における中板24に形成された溝とは異なっている。
【0064】
第1外板53Aには、ガス供給口55と、ガス流出口56とが、それぞれ貫通穴として形成されている。また、図示しないが、第1外板53Aには、上記のような貫通穴以外にも、1つ又は複数の貫通穴が形成されていてもよい。
ガス供給口55は、第1外板53Aにおける第1部分51に配置されている。ガス供給口55は、第1外板53Aを厚み方向に貫通している。
ガス流出口56は、第1外板53Aにおける第2部分52に配置されている。ガス流出口56は、第1外板53Aを厚み方向に貫通している。
【0065】
そして、流路部材821において、中板54の複数の溝のうちの1つの溝が、ガス供給口55とガス流出口56とを連通する流路60を構成する。図示しないが、流路部材821の内部には、流路部材811と同様、中板54に形成された複数の溝によって、流路60以外にも複数の流路が形成されている。
【0066】
また、流路部材821の第1部分51には、複数の部品61が取り付けられる。複数の部品61のそれぞれには、例えば、上記したバルブ822、流量センサ823及び圧力センサ824などが含まれる。また、複数の部品61のうちの1つの部品61は、ガス供給コネクタであって、ガス供給口55を覆うようにして第1部分51に取り付けられる。
【0067】
なお、
図3では、説明の便宜上、流路60が簡略的に示されているが、流路部材821内における複数の流路のそれぞれの形状は、例えば、折れ線状や曲線状に形成されている。
【0068】
(3)保持部
図3に示すように、保持部9は、上方が開放された矩形枠形状に形成されている。そして、保持部9は、複数のAFC8を並列配置するようにして保持(収容)している。具体的には、保持部9は、キャリアガスコントローラ81とH
2ガスコントローラ82とを隣接させて保持している。
【0069】
保持部9が複数のAFC8を保持する状態において、キャリアガスコントローラ81の第1部分21と、H
2ガスコントローラ82の第1部分51とは、互いに平行になるように配置されている。また、キャリアガスコントローラ81の第2部分22と、H
2ガスコントローラ82の第2部分52とは、保持部9の上端部よりも上方に配置されている。また、キャリアガスコントローラ81の第1部分21と、H
2ガスコントローラ82の第1部分51及び第2部分52とにより囲まれる空間が、収容空間65を形成している。キャリアガスコントローラ81の複数の部品31は、隣接するH
2ガスコントローラ82との間に形成された収容空間65に収容されている。
【0070】
3.配管の接続、及び、フィルタの取り付け
図4は、ガスクロマトグラフ1におけるフロー調整部6の周辺の構成を示した概念図である。
【0071】
複数のAFC8が保持部9に保持された状態から、
図1に示すように、キャリアガスコントローラ81と試料導入部4とが連結され、また、H
2ガスコントローラ82と検出器5とが連結される。
【0072】
具体的には、
図4に示すように、キャリアガスコントローラ81には、試料導入部4の試料気化室7から延びる第1配管71及び第2配管72が直接接続される。
【0073】
第1配管71の先端には、第1ブロック76が配置されている。第1ブロック76内には、第1配管71と連通する空間が形成されている。そして、
図2に示すように、第1ブロック76が、ガス流出口26を覆うようにして、キャリアガスコントローラ81の第2部分22にねじ止めにより固定される。すなわち、第1配管71は、第1ブロック76を介して、ガス流出口26に連通するように第2部分22に直接接続される。
これにより、
図3に示すように、流路部材811内の流路30と第1配管71とが連通する。
【0074】
図4に示すように、第2配管72の先端には、第2ブロック77が配置されている。第2ブロック77内には、第2配管72と連通する空間が形成されている。そして、
図2に示すように、第2ブロック77が、ガス流入口27を覆うようにして、キャリアガスコントローラ81の第2部分22にねじ止めにより固定される。すなわち、第2配管72は、第2ブロック77を介して、ガス流入口27に連通するように第2部分22に直接接続される。
これにより、流路部材811内の流路(図示せず)と第2配管72とが連通する。
【0075】
また、
図2に示すように、キャリアガスコントローラ81の第2部分22には、フィルタ75が直接取り付けられる。具体的には、フィルタ75は、流路部材811内の流路(図示せず)に介在するように第2部分22に直接取り付けられる。
また、
図2及び
図3に示すように、H
2ガスコントローラ82には、検出器5(
図1参照)から延びる第3配管73が直接接続される。
【0076】
第3配管73の先端には、第3ブロック78が配置されている。第3ブロック78内には、第3配管73と連通する空間が形成されている。そして、
図3に示すように、第3ブロック78が、ガス流出口56を覆うようにして、H
2ガスコントローラ82の第2部分52にねじ止めにより固定される。すなわち、第3配管73は、第3ブロック78を介して、ガス流出口56に連通するように第2部分52に直接接続される。
これにより、
図3に示すように、流路部材821内の流路60と第3配管73とが連通する。
【0077】
そして、ガスクロマトグラフ1において試料を測定する際は、キャリアガスコントローラ81においては、ガス供給口25から内部にキャリアガスが供給される。キャリアガスは、流路30を通過してガス流出口26から流出し、第1配管71を介して試料気化室7に流入する。
【0078】
また、試料気化室7からは、スプリットガス又はパージガスが、第2配管72を通過し、ガス流入口27からキャリアガスコントローラ81の流路部材811内の流路に流入する。
【0079】
流路部材811内の流路を流れるガスに含まれる不純物は、フィルタ75によって除去される。フィルタ75は、ガス流出口26に連通する流路30に接続されることにより、この流路30内を流れるガスから不純物を除去するキャリアガス精製フィルタであってもよいし、ガス流入口27に連通する流路に接続されることにより、この流路内を流れるガスから不純物を除去する排気ガス精製フィルタであってもよい。
【0080】
また、H
2ガスコントローラ82においては、ガス供給口55から内部にH
2ガスが供給される。H
2ガスは、流路60を通過してガス流出口56から流出し、第3配管73を介して検出器5に流入する。
【0081】
図示しないが、H
2ガスコントローラ82の第2部分52にも、フィルタが直接取り付けられていてもよい。この場合、フィルタは、ガス流出口56に連通する流路に接続されることにより、この流路内を流れるガスから不純物を除去する検出用ガス精製フィルタであってもよい。
【0082】
4.作用効果
(1)本実施形態では、
図3に示すように、キャリアガスコントローラ81において、第2部分22は、第1部分21の上端部から水平方向に延びている。第2部分22と第1部分21との間のなす角度であって、第1部分21の下方側に形成される角度は、略90°である。第2部分22には、ガス流出口26が形成されている。
【0083】
同様に、H
2ガスコントローラ82において、第2部分52は、第1部分51の上端部から水平方向に延びている。第2部分52と第1部分51との間のなす角度であって、第1部分51の下方側に形成される角度は、略90°である。第2部分52には、ガス流出口56が形成されている。
【0084】
そのため、キャリアガスコントローラ81の上方に、ガス流出口26に対する作業スペースを十分に確保できる。すなわち、キャリアガスコントローラ81に対する作業性を高く保つことができる。
【0085】
同様に、H
2ガスコントローラ82の上方に、ガス流出口56に対する作業スペースを十分に確保できる。すなわち、H
2ガスコントローラ82に対する作業性を高く保つことができる。
【0086】
キャリアガスコントローラ81では、第1配管71は、第1ブロック76を介して、ガス流出口26に連通するようにキャリアガスコントローラ81の第2部分22に直接接続される。
【0087】
そのため、キャリアガスコントローラ81と試料導入部4との間で、第1配管71を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第1配管71を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
【0088】
その結果、キャリアガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。また、接続部分が減ることにより、キャリアガスが漏れる可能性を低減することができる。さらに、部品点数が減ることにより、製造コストを低減することができる。
【0089】
(2)また、本実施形態では、
図2に示すように、キャリアガスコントローラ81においては、第2部分22にガス流入口27が形成されている。
【0090】
そのため、キャリアガスコントローラ81の上方に、ガス流入口27に対する作業スペースを十分に確保できる。すなわち、キャリアガスコントローラ81に対する作業性を一層高く保つことができる。
【0091】
キャリアガスコントローラ81では、第2配管72は、第2ブロック77を介して、ガス流入口27に連通するようにキャリアガスコントローラ81の第2部分22に直接接続される。
【0092】
そのため、キャリアガスコントローラ81と試料導入部4との間で、第2配管72を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第2配管72を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
【0093】
(3)また、本実施形態では、
図2に示すように、キャリアガスコントローラ81において、フィルタ75は、第2部分22に直接取り付けられる。
【0094】
そのため、キャリアガスコントローラ81の上方に、フィルタ75を着脱するための作業スペースを十分に確保でき、キャリアガスコントローラ81に対する作業性を一層高く保つことができる。
また、フィルタ75によって流路部材811内を流れるガスへの不純物の混入を一層抑制でき、測定精度を一層向上できる。
【0095】
(4)また、
図2に示すように、H
2ガスコントローラ82では、第3配管73は、第3ブロック78を介して、ガス流出口56(
図3参照)に連通するようにH
2ガスコントローラ82の第2部分52に直接接続される。
【0096】
そのため、H
2ガスコントローラ82と検出器5との間で、第3配管73を他の配管に連結する必要がなく、他の配管、及び、第3配管73を他の配管に連結するための部材を省くことができる。
【0097】
その結果、H
2ガスへの不純物の混入を抑制でき、測定精度を向上できる。また、接続部分が減ることにより、H
2ガスが漏れる可能性を低減することができる。さらに、部品点数が減ることにより、製造コストを低減することができる。
【0098】
(5)また、本実施形態では、
図3に示すように、保持部9が複数のAFC8を保持する状態において、キャリアガスコントローラ81の第1部分21と、H
2ガスコントローラ82の第1部分51とは、互いに平行になるように配置される。また、キャリアガスコントローラ81の第2部分22と、H
2ガスコントローラ82の第2部分52とは、保持部9の上端部よりも上方に配置されている。
【0099】
そのため、キャリアガスコントローラ81の第1部分21と、H
2ガスコントローラ82の第1部分51との間の寸法が小さくても、キャリアガスコントローラ81の第2部分22と、H
2ガスコントローラ82の第2部分52に対する作業スペースは十分に確保できる。
その結果、キャリアガスコントローラ81及びH
2ガスコントローラ82に対する作業性を一層高く保つことができる。
【0100】
(6)また、本実施形態では、
図3に示すように、キャリアガスコントローラ81の第1部分21と、H
2ガスコントローラ82の第1部分51及び第2部分52とにより囲まれる空間が、収容空間65を形成している。キャリアガスコントローラ81の複数の部品31は、収容空間65に収容されている。
そのため、ガスクロマトグラフ1内の空間を有効活用でき、ガスクロマトグラフ1の小型化を図れる。
【0101】
5.変形例
以上の実施形態では、フロー調整部6の複数のAFC8には、キャリアガスコントローラ81と、H
2ガスコントローラ82が含まれるとして説明したが、フロー調整部6の複数のAFC8の全てがキャリアガスコントローラ81であってもよい。この場合、検出器5は、フロー調整部6からガスが供給されるものに限らず、例えば熱伝導度型検出器、電子捕獲型検出器又は質量分析計などの他の検出器であってもよい。
【0102】
互いに隣接するキャリアガスコントローラ81は、第1部分21同士が互いに平行になるように配置されてもよい。また、互いに隣接するキャリアガスコントローラ81のうちの一方のキャリアガスコントローラ81の第1部分21及び第2部分22と、他方のキャリアガスコントローラ81の第1部分21とにより囲まれる空間が、収容空間65を形成していてもよい。H
2ガスコントローラ82同士が隣接する場合には、互いに隣接するH
2ガスコントローラ82のうちの一方のH
2ガスコントローラ82の第1部分51及び第2部分52と、他方のH
2ガスコントローラ82の第1部分51とにより囲まれる空間が、収容空間65を形成していてもよい。
【0103】
また、以上の実施形態では、キャリアガスコントローラ81の第2部分22には、ガス流出口26及びガス流入口27が形成されるとして説明したが、第2部分22にガス流出口26のみが形成される構成であってもよい。
【0104】
また、以上の実施形態では、キャリアガスコントローラ81の流路部材811、及び、H
2ガスコントローラ82の流路部材821は、3枚の金属板により構成されるとして説明したが、これらは複数の金属板が積層されて構成されればよく、例えば、2枚、又は、4枚以上の金属板により構成されてもよい。
【0105】
また、以上の実施形態では、フローコントローラがキャリアガスコントローラ81及びH
2ガスコントローラ82であるとして説明したが、フローコントローラは、キャリアガス用や検出器用に限られるものではない。また、フローコントローラに供給されるガスも、キャリアガスやH
2ガスに限られるものではない。フローコントローラのガス流出口から流出するガスは、試料気化室7又は検出器5に限らず、他の部材に導かれてもよい。また、フローコントローラのガス流入口には、試料気化室7ではなく、外部の他の部品からのガスが流入してもよい。
【0106】
キャリアガスコントローラ81の第1部分21と第2部分22とがなす角度、及び、H
2ガスコントローラ82の第1部分51と第2部分52とがなす角度は、略90°に限られるものではなく、本発明の効果を奏することができる範囲で上記角度を任意に設定することが可能である。