(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記第1のトリガスイッチおよび前記第2のトリガスイッチのいずれか一方が押圧操作されることで、前記読取手段を他方のトリガスイッチの押圧操作に応じて読み取りが直ちに開始可能なスタンバイ状態に制御し、前記第1のトリガスイッチおよび前記第2のトリガスイッチの双方が押圧操作されていない状態では、前記読取手段を前記スタンバイ状態のときよりも電力消費を抑えた省電力状態に制御することを特徴とする請求項2に記載のRFID読取装置。
前記一方の把持面には、前記把持部を把持した手の人差し指にて操作可能な位置に、前記読取手段による読み取りを開始する際に操作されるトリガスイッチが配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載のRFID読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように携帯型と据え置き型とを共用する構成では、携帯型として使用する場合に、RFIDリーダライタの上面に表示部および入力部が配置されるとともに読取方向が下方となるので、表示部および入力部を避けるようにRFIDリーダライタを下方から把持すると、把持した手がアンテナ部を覆うこととなり、読取性能が低下するという問題がある。また、据え置き型のRFID読取装置を把持して携帯型として使用すると、グリップ等の持ち手がないために把持しにくいだけでなく、アンテナ部を手で覆ってしまうと読取性能が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、据え置き型および携帯型の双方に対応可能であって読取性能の低下を抑制しかつ安定した読取方向を保持し得るRFID読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、電磁波を送受信するアンテナ(16)と、前記アンテナにて送受信される前記電磁波を媒介としてRFIDタグ(T)に記憶される情報を読み取る読取手段(13)と、前記アンテナおよび前記読取手段が収容される筐体(20)と、を備えるRFID読取装置(10)であって、前記筐体は、対向する一方の面(30)および他方の面(40)とこれら両面に連なる複数の側面(21〜24)とにより外郭が構成され、前記一方の面には、読取面(31)と一方の把持面(32)とが形成され、前記読取面の内方には、当該読取面を介して前記電磁波を送受信するように前記アンテナが配置され、前記他方の面には、前記一方の把持面と対向する部位が他方の把持面(42)として形成され、前記他方の把持面と前記一方の把持面とにより、当該装置を親指と他の指とにより挟んで把持するための把持部(50)が形成され
、前記一方の把持面には、前記把持部を右手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置と、前記把持部を左手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置との双方に、前記読取手段による読み取りを開始する際に操作されるトリガスイッチがそれぞれ配置されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、アンテナおよび読取手段が収容される筐体は、対向する一方の面および他方の面とこれら両面に連なる複数の側面とにより外郭が構成されている。そして、一方の面には、読取面と一方の把持面とが形成され、読取面の内方には、当該読取面を介して電磁波を送受信するようにアンテナが配置され、他方の面には、一方の把持面と対向する部位が他方の把持面として形成されている。そして、他方の把持面と一方の把持面とにより、当該装置を親指と他の指とにより挟んで把持するための把持部が形成される。
【0009】
これにより、RFID読取装置を携帯型として使用する場合には、親指と他の指とにより他方の把持面と一方の把持面とを挟むようにRFID読取装置が把持されるため、把持した手が一方の面に形成される読取面、すなわち、アンテナを覆うこともないので、把持した手に起因する読取性能の低下を抑制することができる。一方、RFID読取装置を据え置き型として使用する場合には、他方の面を下方とするようにテーブル等に載置することで、読取面が上面側に位置するので、読取方向を安定して上方とするようにRFID読取装置を載置することができる。したがって、据え置き型および携帯型の双方に対応可能であって読取性能の低下を抑制しかつ安定した読取方向を保持することができる。
特に、一方の把持面には、把持部を右手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置と、把持部を左手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置との双方に、トリガスイッチがそれぞれ配置される。
これにより、右手で把持して読取作業をする場合だけでなく左手で把持して読取作業をする場合でも、トリガスイッチを人差し指にて操作するように把持部が把持されるので、読取面を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0010】
請求項
6の発明では、一方の把持面には、把持部を把持した手の人差し指にて操作可能な位置に、読取手段による読み取りを開始する際に操作されるトリガスイッチが配置される。
【0011】
これにより、読取作業をする場合には、トリガスイッチを人差し指にて操作するように把持部が把持されるので、読取面を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0014】
請求項
2の発明では、一方の把持面には、把持部を把持した手の人差し指にて操作可能な位置に第1のトリガスイッチが配置されるとともに、当該把持部を把持した手の中指、薬指および小指にて操作可能な位置に第2のトリガスイッチが配置されている。そして、第1のトリガスイッチが押圧操作されるとともに第2のトリガスイッチが押圧操作されると、制御手段により制御されて読取手段による読み取りが開始される。
【0015】
これにより、読取手段による読み取りを開始するためには第1のトリガスイッチおよび第2のトリガスイッチを共に押圧操作する必要があり、その際、把持部の一方の把持面と他方の把持面とが人差し指、中指、薬指、小指の四指と親指とにより挟んで把持されることとなる。このように、読み取りの際には把持部が五指の全てを用いて挟んで把持されるので、単に人差し指にてトリガスイッチを操作して把持する場合と比較して、中指、薬指、小指を利用して握りを意識的に強くできる結果、把持部を把持する力を強めることができる。これにより、読み取りの際の把持力が弱いために装置が手からすり抜けて落下するようなことを抑制することができる。
【0016】
請求項
3の発明では、制御手段により、第1のトリガスイッチおよび第2のトリガスイッチのいずれか一方が押圧操作されることで、読取手段が他方のトリガスイッチの押圧操作に応じて読み取りが直ちに開始可能なスタンバイ状態に制御され、第1のトリガスイッチおよび第2のトリガスイッチの双方が押圧操作されていない状態では、読取手段がスタンバイ状態のときよりも電力消費を抑えた省電力状態に制御される。
【0017】
このため、使用者に意識させることなく、トリガスイッチが押圧操作されない未使用時には省電力状態として電力消費が抑えられ、いずれか一方のトリガスイッチが押圧操作されたスタンバイ状態時には他方のトリガスイッチの押圧操作に応じて直ちに読み取りが開始される。これにより、省電力化および読み取りの応答性向上の両立を図ることができる。
【0018】
請求項
7の発明では、一方の把持面には、把持部を把持した手の親指を除く指用の指掛け部が設けられるため、親指を除く指を指掛け部に掛けるように把持部が把持されることで、読取面を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0019】
請求項
4の発明では、他方の把持面には、把持部を把持した手の親指の腹部が掛かる段部が設けられるので、他方の把持面に接触する親指の位置が安定することから他方の把持面と一方の把持面とを挟み込みやすくなり、RFID読取装置を容易に把持することができる。
【0020】
請求項
5の発明では、他方の把持面には、把持部を右手で把持した状態での親指の腹部が掛かる第1の段部と、把持部を左手で把持した状態での親指の腹部が掛かる第2の段部とが、それぞれ設けられる。
【0021】
これにより、右手で把持する場合だけでなく左手で把持する場合でも、把持部を把持した手の親指の腹部が第1の段部および第2の段部のいずれかに掛かるので、他方の把持面に接触する親指の位置が安定することから他方の把持面と一方の把持面とを挟み込みやすくなり、RFID読取装置を容易に把持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明のRFID読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1は、第1実施形態に係るRFID読取装置10を示す斜視図である。
図2(A)は、RFID読取装置10の電気的構成を概略的に例示するブロック図であり、
図2(B)は、
図2(A)の無線タグ処理部13を概略的に例示するブロック図である。
【0024】
本実施形態に係るRFID読取装置10は、据え置き型および携帯型の双方に対応可能であって、RFIDタグ(無線タグ)Tに記憶される情報を読み書きする情報端末として構成されている。
【0025】
図1に示すように、RFID読取装置10は、略直方体状の筐体20により外郭が構成されており、この筐体20内には、各種部品(各種電気部品等)が収容されている。なお、筐体20の詳細形状については後述する。
【0026】
図2(A)に示すように、筐体20内には、RFID読取装置10全体を制御する制御部11が設けられている。この制御部11は、マイコンを主体として構成され、メモリ12と共に情報処理装置として機能するものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有している。
【0027】
また、制御部11には、無線タグ処理部13、2つのトリガスイッチ14a,14b、外部インタフェース15などが接続されている。無線タグ処理部13は、本実施形態における読取手段として構成されるもので、アンテナ16および制御部11と協働してRFIDタグTとの間で電磁波による通信を行い、RFIDタグTに記憶されるデータの読み取り、或いはRFIDタグTへのデータの書き込みを行うように機能する。この無線タグ処理部13は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図2(B)に示すように、送信回路13a、受信回路13b、切替回路13cなどを有している。
【0028】
送信回路13aは、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部11に接続されており、当該制御部11より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、切替回路13cを介してアンテナ16に出力している。このようにしてアンテナ16に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ16より外部に放射される。
【0029】
一方、アンテナ16によって受信された電波信号は、切替回路13cを介して受信回路13bに入力される。この受信回路13bは、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ16を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部11に出力している。
【0030】
両トリガスイッチ14a,14bは、RFIDタグT等の読取対象に対して電磁波を送信することで読取作業を開始する際に押圧操作されるスイッチであって、筐体20から外方に露出するように2つ配置されている(
図1参照)。両トリガスイッチ14a,14bは、その押圧操作に応じた信号が制御部11に入力されるように構成されている。
【0031】
外部インタフェース15は、サーバ等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0032】
さらに、筐体20内には、電源部17が設けられている。この電源部17は、公知の電源回路を備えており、図略のACアダプタ等を介して商用電源から電力供給を受けるか、バッテリ18から電力供給を受けた状態で、制御部11や各種電気部品に対して電力を供給するように機能する。
【0033】
次に、筐体20の詳細形状について、
図3〜
図6を参照して説明する。なお、
図3は、RFID読取装置10の正面図である。
図4は、
図3に示すRFID読取装置10を上面から見た上面図である。
図5は、
図3に示すRFID読取装置10を裏面から見た裏面図である。
図6は、
図3に示すRFID読取装置10を側面から見た側面図である。
【0034】
筐体20は、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体(例えば、上ケースおよび下ケースの2つのケース体)によって構成されており、これらが結合した略直方体の箱状形態をなしている。筐体20は、
図3〜
図6に示すように、対向する前面30および後面40とこれら両面30,40に連なる複数の側面21〜24とにより略直方体の外郭が構成されている。なお、前面30は、「一方の面」の一例に相当し、後面40は、「他方の面」の一例に相当し得る。
【0035】
前面30は、読取面31および前側把持面32を備えている。読取面31は、各側面21〜23に連なる縁面33よりも前方に向けて平板状に突出するように形成されている。この読取面31の内方には、当該読取面31を介して電磁波を送受信するようにアンテナ16が配置されている。
【0036】
前側把持面32は、読取面31と並び、側面24に連なるように形成されている。前側把持面32の読取面31側には、指掛け部として機能する指掛け溝34が側面21から側面23にかけて凹むように形成されている。前側把持面32には、側面24から指掛け溝34にかけて上下対称となるように溝部35が形成されている。そして、2つのトリガスイッチ14a,14bは、溝部35を介して上下対象であって、後述するように把持部を把持した手の人差し指にて操作可能な位置となるようにそれぞれ配置されている。なお、前側把持面32は、「一方の把持面」の一例に相当し得る。
【0037】
図5に示すように、後面40は、載置面41および後側把持面42を備えている。載置面41は、各側面21〜23に連なる縁面43よりも前方に向けて平板状に突出し、据え置き時に載置用の面となるように読取面31と平行であって平面状に形成されている。
【0038】
後側把持面42は、
図4に示すように、前側把持面32に対向する部位であって、載置面41と並び、側面24に連なるように形成されている。後側把持面42の載置面41側には、把持状態での親指が掛かる位置に、親指用溝部44が側面21から側面23にかけて凹むように形成されている。なお、後側把持面42は、「他方の把持面」の一例に相当し得る。
【0039】
そして、上述のように形成される後側把持面42と前側把持面32とにより、RFID読取装置10を親指と他の指とにより挟んで把持するための把持部50が形成される。
【0040】
次に、上述のように構成されるRFID読取装置10を用いて読取作業を行う場合について、
図7〜
図9を参照して説明する。
図7は、右手親指の腹部を後側把持面42の親指用溝部44の段部45にかけた状態を示す説明図である。
図8は、把持部50を把持した右手でタッチパネル61を操作する状態を示す説明図である。
図9は、左手親指の腹部を後側把持面42の親指用溝部44の段部46にかけた状態を示す説明図である。
【0041】
まず、RFID読取装置10を据え置き型として使用する場合について説明する。
RFID読取装置10を据え置き型として使用する場合には、後面40の載置面41を下方とするように、RFID読取装置10をテーブル等上に載置する。これにより、読取面31が上面側に位置するので、読取方向を安定して上方とするようにRFID読取装置10を載置することができる。
【0042】
次に、RFID読取装置10を携帯型として使用する場合について説明する。
右手で把持部50を把持して読取作業を実施する場合、側面21を上面とした状態で、手のひらを後面40の載置面41の後側把持面42側にあてる。そして、親指を後側把持面42の親指用溝部44の側面21側に掛けて、人差し指をトリガスイッチ14aの近傍に位置させ、親指と人差し指を除く他の指を前側把持面32の指掛け溝34に掛ける。このとき、
図7に示すように、右手親指の腹部は、後側把持面42の親指用溝部44の側面21側であって側面24側の縁部を構成する段差状の部位(以下、段部45ともいう)にかかるため、後側把持面42に接触する親指の位置が安定することとなる。なお、段部45は、「第1の段部」の一例に相当し得る。
【0043】
このように前側把持面32および後側把持面42を挟むようにして把持部50を把持した状態で読取面31を読取対象のRFIDタグTに向けた後、人差し指にてトリガスイッチ14aを押圧操作する。この操作に応じて、制御部11により無線タグ処理部13が制御されることで、読取面31を介してアンテナ16にて送受信される電磁波を媒介として、RFIDタグTに記憶される情報が読み書きされる。
【0044】
このとき、親指は後側把持面42の親指用溝部44に掛かり、人差し指はトリガスイッチ14aを押圧し、残りの指は前側把持面32の指掛け溝34に掛かっているので、把持した右手が読取面31を覆うこともなく電磁波の送受信を邪魔することもない。
【0045】
また、
図8に例示するように、把持部50を右手で把持した状態でタブレット60のタッチパネル61を操作する場合には、伸ばした人差し指をタッチパネル61に接触させることで、RFID読取装置10を把持したままタブレット60を操作することができる。このとき、RFID読取装置10は、載置面41が手のひらにあたるように把持されているため、筐体20の一部が指先の方に飛び出すこともないので、筐体20が操作しようとしているタブレット60に接触することもない。すなわち、把持部50を利用した把持により把持状態のRFID読取装置10がタッチパネル61や他の機器の操作を阻害することを防止することができる。
【0046】
一方、左手で把持部50を把持して読取作業を実施する場合には、側面23を上面(側面21を下面)とした状態で、手のひらを後面40の載置面41の後側把持面42側にあてる。そして、親指を後側把持面42の親指用溝部44の側面23側に掛けて、人差し指をトリガスイッチ14bの近傍に位置させ、親指と人差し指を除く他の指を前側把持面32の指掛け溝34に掛ける。このとき、
図9に示すように、左手親指の腹部は、後側把持面42の親指用溝部44の側面23側であって側面24側の縁部を構成する段差状の部位(以下、段部46ともいう)にかかるため、後側把持面42に接触する親指の位置が安定することとなる。なお、段部46は、「第2の段部」の一例に相当し得る。
【0047】
この把持状態で読取面31を読取対象のRFIDタグTに向けた後、人差し指にてトリガスイッチ14bを押圧操作することで、読取面31を介してアンテナ16にて送受信される電磁波を媒介としてRFIDタグTに記憶される情報が読み書きされる。
【0048】
このとき、親指は後側把持面42の親指用溝部44に掛かり、人差し指はトリガスイッチ14bを押圧し、残りの指は前側把持面32の指掛け溝34に掛かっているので、把持した左手が読取面31を覆うこともなく電磁波の送受信を邪魔することもない。
【0049】
また、把持部50を左手で把持した状態でタブレット60のタッチパネル61を操作する場合にも、筐体20の一部が指先の方に飛び出すこともないので、把持部50を利用した把持により把持状態のRFID読取装置10がタッチパネル61や他の機器の操作を阻害することを防止することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るRFID読取装置10では、アンテナ16および無線タグ処理部13が収容される筐体20は、対向する前面30および後面40とこれら両面30,40に連なる複数の側面21〜24とにより外郭が構成されている。そして、前面30には、読取面31と前側把持面32とが形成され、読取面31の内方には、当該読取面31を介して電磁波を送受信するようにアンテナ16が配置され、後面40には、前側把持面32と対向する部位が後側把持面42として形成されている。そして、後側把持面42と前側把持面32とにより、当該装置を親指と他の指とにより挟んで把持するための把持部50が形成される。
【0051】
これにより、RFID読取装置10を携帯型として使用する場合には、親指と他の指とにより後側把持面42と前側把持面32とを挟むようにRFID読取装置10が把持されるため、把持した手が前面30に形成される読取面31、すなわち、アンテナ16を覆うこともないので、把持した手に起因する読取性能の低下を抑制することができる。一方、RFID読取装置10を据え置き型として使用する場合には、後面40を下方とするようにテーブル等に載置することで、読取面31が上面側に位置するので、読取方向を安定して上方とするようにRFID読取装置10を載置することができる。したがって、据え置き型および携帯型の双方に対応可能であって読取性能の低下を抑制しかつ安定した読取方向を保持することができる。
【0052】
また、前側把持面32には、把持部50を把持した手の人差し指にて操作可能な位置に、トリガスイッチ14a,14bが配置されている。これにより、読取作業をする場合には、トリガスイッチ14aまたはトリガスイッチ14bを人差し指にて操作するように把持部50が把持されるので、読取面31を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0053】
特に、前側把持面32には、把持部50を右手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14aが配置され、把持部50を左手で把持した状態での人差し指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14bが配置される。
【0054】
これにより、右手で把持して読取作業をする場合だけでなく左手で把持して読取作業をする場合でも、トリガスイッチ14aまたはトリガスイッチ14bを人差し指にて操作するように把持部50が把持されるので、読取面31を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。なお、使用される環境によっては、トリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bの一方を廃止してもよい。
【0055】
図10は、第1実施形態の変形例に係るRFID読取装置10の正面図である。
また、トリガスイッチは、上述したように上下対称に配置されることに限らず、
図10に例示するトリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bのように、左右対象となるように配置されてもよい。この場合、前側把持面32および後側把持面42は、前面30の左右両側および後面40の左右両側にそれぞれ設けられ、両前側把持面32の読取面31側にそれぞれ指掛け溝34を設け、両後側把持面42の載置面41側にそれぞれ親指用溝部44を設けることができる。このようにしても、右手で把持して読取作業をする場合だけでなく左手で把持して読取作業をする場合には、トリガスイッチ14aまたはトリガスイッチ14bを人差し指にて操作するように把持部50が把持されるので、読取面31を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0056】
さらに、前側把持面32には、把持部50を把持した手の親指を除く指用の指掛け溝34が設けられるため、親指を除く指を指掛け溝34に掛けるように把持部50が把持されることで、読取面31を覆わないための把持を意識させることなく実施でき、把持した手に起因する読取性能の低下を確実に抑制することができる。
【0057】
なお、前側把持面32に設けられる指掛け部は、指掛け溝34のように形成されることに限らず、例えば、突起状や指の形に合わせた波型状等、指が掛けやすい形状に形成されることでも、上記効果を奏する。
【0058】
また、後側把持面42には、把持部50を把持した手の親指の腹部が掛かる段部45、46が設けられるので、後側把持面42に接触する親指の位置が安定することから後側把持面42と前側把持面32とを挟み込みやすくなり、RFID読取装置10を容易に把持することができる。
【0059】
特に、後側把持面42には、把持部50を右手で把持した状態での親指の腹部が掛かる段部(第1の段部)45と、把持部50を左手で把持した状態での親指の腹部が掛かる段部(第2の段部)46とが、それぞれ設けられる。
【0060】
これにより、右手で把持する場合だけでなく左手で把持する場合でも、把持部50を把持した手の親指の腹部が段部45および段部46のいずれかに掛かるので、後側把持面42に接触する親指の位置が安定することから後側把持面42と前側把持面32とを挟み込みやすくなり、RFID読取装置10を容易に把持することができる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るRFID読取装置について、
図11〜
図13を参照して説明する。なお、
図11は、第2実施形態に係る制御部11にて行われる読取状態制御処理の流れを例示するフローチャートである。
図12は、他方のトリガスイッチ14bが押圧操作された状態を示す説明図である。
図13は、両トリガスイッチ14a,14bが押圧操作された状態を示す説明図である。
【0062】
本第2実施形態に係るRFID読取装置10は、2つのトリガスイッチの押圧操作に応じて読み取りに関する処理を制御する点が、上記第1実施形態に係るRFID読取装置と異なる。したがって、第1実施形態のRFID読取装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
上記第1実施形態では、トリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bのいずれか一方を押圧操作することで、RFIDタグTとの間で電磁波による通信がなされて当該RFIDタグTに記憶されるデータの読み取り、或いはRFIDタグTへのデータの書き込みを行うための読取処理が開始される。また、前側把持面32には、把持部50を把持した手の人差し指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14aが配置されるとともに、把持部50を把持した手の中指、薬指および小指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14bが配置される。この構成では、把持部50を把持した手の人差し指または他の指でいずれか一方のトリガスイッチを押圧操作するため、握りの状態によっては押圧操作の際の把持力が弱くなる場合があり、この把持力が弱すぎるとRFID読取装置10が手からすり抜けて落下する虞がある。なお、トリガスイッチ14aは、「第1のトリガスイッチ」の一例に相当し、トリガスイッチ14bは、「第2のトリガスイッチ」の一例に相当し得る。
【0064】
また、RFIDモジュールとして機能する無線タグ処理部13は使用時の消費電力が大きくなりやすいため、RFID読取装置10の省電力化のためには可能な限り無線タグ処理部13等に対する供給電力を少なくする必要がある。一方で、トリガスイッチが押圧操作されるまで単に無線タグ処理部13等に対する電力供給を停止していると、トリガスイッチの押圧操作から上記読取処理が開始されるまでの時間が長くなり、読み取りの応答性が悪化するという問題がある。
【0065】
そこで、本実施形態では、押圧操作の際のRFID読取装置10の落下を防止するとともにRFID読取装置10の省電力化および読み取りの応答性向上の両立を図るため、前側把持面32に配置される2つのトリガスイッチ14a,14bを利用して制御部11にて実施される読取状態制御処理により無線タグ処理部13の読取状態を制御する。なお、制御部11は、「制御手段」の一例に相当し得る。
【0066】
以下、本実施形態において制御部11にて実施される読取状態制御処理について、
図11に示すフローチャートを参照して説明する。
図略のスイッチ等の操作に応じて制御部11により読取状態制御処理が開始されると、まず、ステップS101に示す判定処理にて、両トリガスイッチ14a,14bが未操作であるか否かについて判定される。ここで、単に読取状態制御処理を開始するための操作がなされただけであり、両トリガスイッチ14a,14bがともに押圧操作されていない場合には(S101でYes)、省電力状態(スリープ状態)に移行(更新)する(S103)。
【0067】
この省電力状態では、電力消費を抑えるために無線タグ処理部13等に対する電力供給が停止された状態となり、トリガスイッチを押圧操作しても直ちに読取処理が開始されない状態となる。そして、終了操作がなされるまでステップS105にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。これにより、両トリガスイッチ14a,14bのいずれか一方のみが押圧操作されるまで、省電力状態(スリープ状態)が維持されることとなる。
【0068】
そして、所望のRFIDタグTを読み取る前準備として使用者により両トリガスイッチ14a,14bのいずれか一方のみが押圧操作されると(S101でNo、S107でYes)、スタンバイ状態に移行(更新)する(S109)。例えば、
図12に例示するように、トリガスイッチ14aを押圧操作していない状態で、把持部50を把持した手の中指、薬指および小指にてトリガスイッチ14bを押圧操作することで、スタンバイ状態に移行する。なお、トリガスイッチ14bを押圧操作していない状態で、把持部50を把持した手の人差し指等にてトリガスイッチ14aを押圧操作することでも、スタンバイ状態に移行する。
【0069】
このスタンバイ状態では、無線タグ処理部13等に対して電力供給が開始され、他のトリガスイッチの押圧操作に応じて直ちに読取処理が開始可能な状態となる。そして、終了操作がなされるまでステップS105にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。これにより、さらに他のトリガスイッチが押圧操作されるまで(
図12の例ではトリガスイッチ14aが押圧操作されるまで)、スタンバイ状態が維持されることとなる。なお、
図12に例示するような把持状態では、トリガスイッチ14bは、把持部50を把持した手の中指、薬指および小指にて押圧操作されることに限らず、例えば、中指、薬指および小指のいずれか1つにて押圧操作されてもよいし、中指および薬指にて押圧操作されてもよいし、薬指および小指にて押圧操作されてもよい。
【0070】
そして、読取面31が所望のRFIDタグTに向けられた状態で両トリガスイッチ14a,14bがともに押圧操作されると(S101でNo、S107でNo)、読取処理が開始される(S111)。例えば、
図13に例示するように、把持部50を把持した手の中指、薬指および小指にてトリガスイッチ14bを押圧操作した状態で、把持部50を把持した手の人差し指にてトリガスイッチ14aをさらに押圧操作することで、把持部50の前側把持面32と後側把持面42とが人差し指、中指、薬指、小指の四指と親指とにより挟持された把持状態にて、読取処理が開始される。この読取処理では、読取対象のRFIDタグTとの間で電磁波による通信がなされて当該RFIDタグTに記憶されるデータの読み取り、或いはRFIDタグTへのデータの書き込みが行われる。
【0071】
そして、上記ステップS101からの繰り返し処理中に、読み取りを終えたことで両トリガスイッチ14a,14bのいずれか一方のみが解放されると上述したスタンバイ状態に移行し(S109)、両トリガスイッチ14a,14bがともに解放されると上述した省電力状態に移行する(S103)。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るRFID読取装置10では、前側把持面32には、把持部50を把持した右手の人差し指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14aが配置されるとともに、当該把持部50を把持した右手の中指、薬指および小指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14bが配置されている。そして、トリガスイッチ14aが押圧操作されるとともにトリガスイッチ14bが押圧操作されると、制御部11により制御されて無線タグ処理部13による読み取りが開始される。
【0073】
これにより、無線タグ処理部13による読み取りを開始するためにはトリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bを共に押圧操作する必要があり、その際、把持部50の前側把持面32と後側把持面42とが人差し指、中指、薬指、小指の四指と親指とにより挟んで把持されることとなる。このように、読み取りの際には把持部50が五指の全てを用いて挟んで把持されるので、単に人差し指にてトリガスイッチを操作して把持する場合と比較して、中指、薬指、小指を利用して握りを意識的に強くできる結果、把持部50を把持する力を強めることができる。これにより、読み取りの際の把持力が弱いためにRFID読取装置10が手からすり抜けて落下するようなことを抑制することができる。
【0074】
特に、制御部11による読取状態制御処理により、トリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bのいずれか一方が押圧操作されることで、無線タグ処理部13が他方のトリガスイッチの押圧操作に応じて読み取りが直ちに開始可能なスタンバイ状態に制御され、トリガスイッチ14aおよびトリガスイッチ14bの双方が押圧操作されていない状態では、無線タグ処理部13がスタンバイ状態のときよりも電力消費を抑えた省電力状態に制御される。
【0075】
このため、使用者に意識させることなく、トリガスイッチが押圧操作されない未使用時には省電力状態として電力消費が抑えられ、いずれか一方のトリガスイッチが押圧操作されたスタンバイ状態時には他方のトリガスイッチの押圧操作に応じて直ちに読み取りが開始される。これにより、省電力化および読み取りの応答性向上の両立を図ることができる。
【0076】
なお、本実施形態に係るRFID読取装置10では、前側把持面32には、把持部50を把持した左手の人差し指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14bが配置されるとともに、当該把持部50を把持した左手の中指、薬指および小指にて操作可能な位置にトリガスイッチ14aが配置されることとなる。このように左手で把持部50を把持する場合でも、読み取りの際には把持部50が五指の全てを用いて挟んで把持されるので、中指、薬指、小指を利用して握りを意識的に強くできる結果、把持部50を把持する力を強めることができる。この場合、なお、トリガスイッチ14bは、「第1のトリガスイッチ」の一例に相当し、トリガスイッチ14aは、「第2のトリガスイッチ」の一例に相当し得る。
【0077】
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る筐体20は、その外郭が、略直方体状に形成されることに限らず、前面30および後面40とこれら両面30,40に連なる複数の側面とにより多面体状に形成されてもよい。
【0078】
(2)本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取機能等の他の機能を兼備するRFID読取装置に適用することができる。