(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線部材と、前記配線部材の一端部に設けられ、第1電気機器に接続される第1接続部と、前記配線部材の他端部に設けられ、第2電気機器に接続される第2接続部とを含む配線装置と、
前記接続部用電磁シールドカバーが前記第1接続部を電磁シールドする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電磁シールド部材と、
を備える電磁シールド部材付配線装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
{実施形態}
以下、実施形態に係る電磁シールド部材及び電磁シールド部材付配線装置について説明する。
図1は電磁シールド部材付配線装置20が2つの電気機器10、14(第1電気機器10、第2電気機器14)間の配線として用いられた状態を示す説明図である。
【0022】
<全体構成について>
電磁シールド部材付配線装置20は、車両等において、2つの電気機器10、14同士を電気的に接続する配線として用いられる。2つの電気機器10、14の組合わせとしては、電気自動車における走行駆動用のモータと当該モータを駆動するためのインバータとであること、又は、モータ駆動用のインバータと当該インバータに電力を供給するバッテリとであること等が考えられる。ここでは、一方の電気機器10がモータ(3相モータ等)であり、他方の電気機器14がインバータであることを想定して説明する。
【0023】
電気機器10は、諸電気的要素を収容する筐体11を備える(
図3参照)。筐体11には開口11hが形成されている。この電気機器10は、電磁シールド部材付配線装置20の一端部側に設けられる第1接続部30に対して電気的及び機械的に接続される配線部材12を備える。ここで、2つの部材間の機械的な接続とは、2つの部材が接触して離れないように維持することを意味する。以下の説明においても同様である。配線部材12は、金属板等によって形成されている。配線部材12としては、金属板をプレス加工等したもの(バスバと呼ばれるもの)を用いることができる。配線部材12は、筐体11内で電気機器10内の電気的要素(例えば、モータコイルの巻線等)に電気的に接続されている。
【0024】
電気機器14は、諸電気的要素を収容する筐体15を備える。筐体15には開口15hが形成されている。この電気機器14は、電磁シールド部材付配線装置20の他端部側に設けられる第2接続部40に対して電気的及び機械的に接続される配線部材を備える。配線部材は、上記配線部材12と同様に、金属板等によって形成されており、筐体15内で電気機器14内の電気部品に電気的に接続される。
【0025】
電磁シールド部材付配線装置20は、上記電気機器10と電気機器14との間の配線として用いられる。この電磁シールド部材付配線装置20は、配線装置21と、電磁シールド部材50とを備える。
【0026】
配線装置21は、配線部材としての電線22と、第1接続部30と、第2接続部40とを備える。電線22は、電気機器10と電気機器14とを電気的に接続する配線部材であり、第1接続部30は、電線22の一端部に設けられ、一方の電気機器10に接続される部分であり、第2接続部40は、電線22の他端部に設けられ、他方の電気機器14に接続される部分である。
【0027】
電磁シールド部材50は、配線用電磁シールド部52と、接続部用電磁シールドカバー60とを備える。
【0028】
配線用電磁シールド部52は、上記電線22を電磁シールドする部材である。
【0029】
接続部用電磁シールドカバー60は、電線22の端部の第1接続部30を電磁シールドする部材である。ここでは、接続部用電磁シールドカバー60は、電線22の一端部の第1接続部30を電磁シールドする。
【0030】
各部についてより具体的に説明する。
図2は電磁シールド部材付配線装置20の一端部の分解斜視図であり、
図3は電磁シールド部材付配線装置20の一端部の断面図である。
【0031】
<配線装置について>
図1〜
図3に示すように、電線22は、線状導体24を含む。ここでは、電線22は、線状導体24と被覆部26とを含む被覆電線である。ここでは、電気機器10が3相モータであることを想定し、3本の電線22が用いられている。電線は、1本以上あればよく、好ましいとされる配線の本数に応じて適宜決定される。
【0032】
線状導体24は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材によって形成された線状材である。線状導体24は、複数の素線の集合によって構成されていてもよいし、単一の素線によって構成されていてもよい。線状導体24の横断面形状(線状導体24の延在方向に対して直交する断面形状)は円形状を描いていてもよいし、方形状を描いていてもよい。
【0033】
被覆部26は、線状導体24の外周囲を覆う絶縁部分である。被覆部26は、線状導体24の周りに樹脂を押出被覆することによって形成することができる。被覆部26は、線状導体を柔軟なエラストマー樹脂等でオーバーモールド、絶縁フィルム等でラミネートすること、熱収縮チューブを熱収縮すること等によって形成されていてもよい。
【0034】
複数の電線22は、並列状態で配設されている。より具体的には、複数の電線22は、並列状態で並ぶように配設されると共に、その中間部において複数の電線22が延在する面の一方主面側に向けて曲げられている。
【0035】
第1接続部30は、第1端子32と、第1ハウジング34と、第1キャップ38とを備える。
【0036】
第1端子32は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板材をプレス加工等することによって形成されている。第1端子32は、電線22の数に応じた数設けられる。ここでは、第1端子32は、3つ設けられている。第1端子32の一端側には機器側接続部32aが設けられ、第1端子32の他端側には電線側接続部32bが設けられている。ここでは、第1端子32は、細長板状の金属板材をその延在方向中間部の2箇所のそれぞれにおいて互いに逆方向にL字状に曲げることによって形成されている。
【0037】
機器側接続部32aは、細長方形状に形成されており、その中間部に孔32ahが形成されている。そして、機器側接続部32aと電気機器10側の配線部材12とを重ね合せた状態で、ネジを機器側接続部32aの孔32ahと配線部材12側の孔とに通してナットと螺合締結することで、機器側接続部32aと配線部材12とが電気的及び機械的に接続される。機器側接続部と配線部材側との電気的及び機械的な接続は、その他、オス端子形状とメス端子形状との嵌合接続構造等によってなされていてもよい。
【0038】
電線側接続部32bは、細長板状に形成されている。そして、電線22の端部に露出した線状導体24が電線側接続部32bに超音波溶接、抵抗溶接、はんだ付け等によって電気的及び機械的に接続される。電線側接続部と電線の端部の線状導体との接続は、その他、圧着接続等によってなされてもよい。
【0039】
第1ハウジング34は、樹脂等によって形成された部材であり、上記第1端子32を一定姿勢で保持した状態で、機器側接続部32aを収容する収容凹部34gを形成する部材である。ここでは、第1ハウジング34は、ハウジング本体部34Bと、電線ガイド部35とを備える。
【0040】
ハウジング本体部34Bは、長円筒形状(より具体的には、互いに平行な一対の直線部分の両端部のそれぞれが弧状部分で繋がる筒形状)に形成されており、その内部に収容凹部34gが形成されている。ハウジング本体部34Bの一方の直線部分の外側に複数の電線ガイド部35が突設されている。
【0041】
そして、複数の第1端子の電線側接続部32bが、ハウジング本体部34Bの一方の直線部分のうち各電線ガイド部35が形成された箇所に埋設状に保持され、もって、互いに間隔をあけて並列状に保持される。
【0042】
この状態で、各第1端子32の機器側接続部32aは、ハウジング本体部34Bの内側の収容凹部34g内に突出配置される。なお、ここでは、機器側接続部32aは、ハウジング本体部34Bの貫通方向に対して直交する方向に延在しているが、必ずしもその必要は無く、ハウジング本体部34Bの貫通方向に沿って延在していてもよい(後述する第1変形例参照)。また、各電線22は、電線ガイド部35内を通って外部に延出している。
【0043】
なお、ハウジング本体部34Bの外周部には、筐体11にネジ止等によって固定される固定片36が設けられている。固定片36は、ハウジング本体部34Bと金型一体形成された樹脂部分であってもよいし、ハウジング本体部34Bの外周部に部分的にインサート成形された金属板等であってもよい。固定片36には、ネジ挿通孔36hが形成されている。そして、ハウジング本体部34Bの一端部を筐体11の開口11hに嵌め込んだ状態で、固定片36が筐体11の外面に接触する。この状態で、ネジがネジ挿通孔36hに挿通され、筐体11に形成されたネジ孔に螺合締結される。これにより、第1接続部30が筐体11に固定される。
【0044】
上記のように、ハウジング本体部34Bの一端部が筐体11の開口11hに嵌め込まれた状態では、第1端子32の機器側接続部32aと配線部材12とが重ね合せて配設される。この状態で、ハウジング本体部34Bの外向き開口を利用して、ネジ等を利用した機器側接続部32aと配線部材12との接続作業が実施される。
【0045】
第1キャップ38は、樹脂等により形成されており、ハウジング本体部34Bの収容凹部34gのうち筐体11とは反対側の開口を塞ぐ部材である。より具体的には、第1キャップ38は、収容凹部34g内に嵌め込まれる嵌込部38aと、嵌込部38aの一端部から外周側に突出する鍔部38bとを備える。そして、嵌込部38aが収容凹部34g内に嵌め込まれた状態で、鍔部38bがハウジング本体部34Bの外向きの開口部の周囲の端面に当接する。
【0046】
第2接続部40も上記第1接続部30と同様構成とされている。
【0047】
そして、第1接続部30が一方の電気機器10に電気的及び機械的に接続されると共に、第2接続部40が他方の電気機器14に電気的及び機械的に固定され、これにより、電線22も電気機器10、14間に所定の並列形態で支持される。
【0048】
<電磁シールド部材について>
図4は接続部用電磁シールドカバー60を示す斜視図であり、
図5は接続部用電磁シールドカバー60に配線用電磁シールド部52を挟持固定する工程を示す説明図である。
【0049】
図1〜
図5に示すように、電磁シールド部材50は、配線用電磁シールド部52と、配線用電磁シールド部52の一端部に設けられた接続部用電磁シールドカバー60とを備える。また、ここでは、配線用電磁シールド部52の他端部には、ブラケット70が取付けられている。
【0050】
配線用電磁シールド部52は、第1接続部30と第2接続部40樋の間で電線22を電磁シールドする部材である。ここでは、配線用電磁シールド部52は、複数の電線22の並列形態における一方主面側(つまり、複数の電線22が通る面を想定した場合に、その面の一方側)に配設される。
【0051】
配線用電磁シールド部52は、シート状又は板状に形成されている。ここでは、配線用電磁シールド部52は、金属線を編んだもの、例えば、編組、金属網、又は金属布や或いは金属線と樹脂線を編んだものによって形成されている。配線用電磁シールド部52は、方形状に広がる形状に形成されている。
【0052】
接続部用電磁シールドカバー60は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板をプレス加工等することによって形成された部材であり、カバー本体部62と、固定片68とを備える。
【0053】
カバー本体部62は、上記第1接続部30を覆う形状に形成されている。ここでは、カバー本体部62は、主板部62aと、周壁部62bとを備える。主板部62aは、第1接続部30のうち筐体11とは反対側の部分を覆う板状に形成され、周壁部62bは、第1接続部30のうち電線ガイド部35が延出する部分以外の3方を覆う形状に形成されている。カバー本体部62は、金属板材を絞り加工したものであってもよいし、金属板材を曲げ加工したものであってもよい。
【0054】
また、カバー本体部62の主板部62aの中央部には、貫通孔64hが形成されている。そして、ネジ64が貫通孔64hに挿通されて第1キャップ38のネジ孔38gに螺合される。これにより、シールドカバー60と第1キャップ38とがネジ64等によって固定される(
図3参照)。
【0055】
周壁部62bの縁部は、外側に向けて曲っており、これにより、周壁部62bがなるべく大きい面積で安定して筐体11に接触できる。
【0056】
また、カバー本体部62の両端部には、ネジ固定片63が突設されている。ネジ固定片63には、ネジ挿通孔63hが形成されており、本カバー本体部62が第1接続部30を覆った状態で、カバー本体部62の周壁部62bが第1接続部30の周りで筐体11の外面に接触する。この状態で、ネジをネジ挿通孔63hに挿通させて筐体11に形成されたネジ孔に螺合締結することで、本接続部用電磁シールドカバー60が筐体11に固定される。
【0057】
カバー本体部62の深さ寸法(つまり、主板部62aに対する周壁部62bの突出寸法)は、第1接続部30のうち筐体11から突出する部分の高さ寸法と同じに設定されている。これにより、第1接続部30が筐体11に固定された状態で、接続部用電磁シールドカバー60を筐体11に固定すると、カバー本体部62の主板部62aが第1キャップ38を筐体11側に押え付け、もって、第1キャップ38が第1ハウジング34に嵌め込まれた状態を維持する。
【0058】
固定片68は、カバー本体部62の主板部62aから延出すると共に折返すように曲げ変形されることで、カバー本体部62との間で配線用電磁シールド部52の一端側縁部を挟持固定する。
【0059】
より具体的には、主板部62aのうち周壁部62bが形成されていない縁部62eに近い部分を、当該縁部62eに沿ったライン69aと、当該ライン69aの両端部から縁部62eに向う一対のライン69bで切断し、一対のライン69bの先端部間を結ぶ折曲げライン69cで折返すように曲げることによって形成されている(
図4参照)。上記折曲げライン69cは、カバー本体部62と固定片68との境界に存在するラインである。
【0060】
そして、固定片68を折曲げライン69cで途中まで折曲げる。そして、配線用電磁シールド部52の縁部を折曲げライン69cに沿って配設した後、固定片68をより大きく曲げ変形させる(
図5参照)。すると、配線用電磁シールド部52の縁部がカバー本体部62と固定片68との間に挟持固定、すなわち、かしめ固定される(
図2及び
図3参照)。
【0061】
なお、ここでは、上記折曲げライン69cにおいて、部分的な確認用開口69chが形成されている。このため、当該確認用開口69chを通じて配線用電磁シールド部52の縁部を観察できるか否かを目視等出確認することによって、配線用電磁シールド部52の縁部を固定片68とカバー本体部62との隙間に配設する際及び上記かしめ固定後に、当該縁部が折曲げライン69cに近い奥まで配設されているかを確認することができる。
【0062】
なお、ここでは、固定片68を、カバー本体部62の内向き面側に曲げているが、固定片68をカバー本体部62の外向き面側に曲げてもよい。
【0063】
また、ここでは、固定片68は、上記折曲げライン69cで曲げられることによって、配線用電磁シールド部52が延出する側に折返される。このため、固定片68の縁部と配線用電磁シールド部52とが大きな力でもって接触し難い。
【0064】
なお、固定片68及び主板部62aのうち配線用電磁シールド部52を挟込む部分の縁部は、配線用電磁シールド部52から離れる方向に曲げられていることが好ましい(
図3参照)。
【0065】
また、固定片68は、主板部62aの縁部62eを超えない程度の突出寸法であることが好ましい。固定片が主板部の縁部を超えていると、固定片のかしめ変形時に、固定片が主板部を超えた部分でシールド部材に接触し、その結果、シールド部材自体の変形が大きくなってしまうからである。
【0066】
ブラケット70は、配線用電磁シールド部52に対して、上記接続部用電磁シールドカバー60とは反対側の縁部にかしめ固定されている。
【0067】
ブラケット70は、金属板材をプレス加工等した部材であり、配線用電磁シールド部52の縁部をかしめ固定するかしめ部72と、かしめ部72の両端部に設けられた固定片74とを備える。固定片74には、ネジ挿通孔74hが形成されている。そして、電気機器14の筐体15にネジ止等によって固定される。
【0068】
上記のように、配線用電磁シールド部52の一方側の縁部が接続部用電磁シールドカバー60によって一方の電気機器10に固定されると共に、配線用電磁シールド部52の他方側の縁部がブラケット70によって他方の電気機器14に固定されることで、配線用電磁シールド部52が複数の電線22の配列形態の一方主面側(曲る経路の外側)を覆った状態で支持される。また、配線用電磁シールド部52は、接続部用電磁シールドカバー60及びブラケット70を通じて筐体11、15に接地される。
【0069】
以上のように構成された電磁シールド部材付配線装置20及び電磁シールド部材50によると、配線用電磁シールド部52の縁部は、接続部用電磁シールドカバー60のカバー本体部62と固定片68との間で挟持固定される。このため、第1接続部30を電磁シールドする構成と、配線用電磁シールド部52の一方の縁部を固定する構成とを、接続部用電磁シールドカバー60によって共用することができ、なるべく少ない部品点数で、電線22及びその端部の第1接続部を電磁シールドすることができる。
【0070】
また、固定片68は、配線用電磁シールド部52が延出する側に折返されているため、配線用電磁シールド部52を折返すことなく、他方の電気機器14側に向けて延出させて、電線22を電磁シールドすることができる。このため、配線用電磁シールド部52が破損し難い。
【0071】
また、配線用電磁シールド部52は、金属線が編まれたものであるため、曲げ易い。このため、接続部用電磁シールドカバー60とブラケット70との相対的な位置を変更調整しつつ、接続部用電磁シールドカバー60とブラケット70との取付作業を容易に行える。また、両電気機器10、14間の振動が相互に伝わり難いという利点もある。
【0072】
また、接続部用電磁シールドカバー60は、第1接続部30の第1キャップ38を電気機器10側に押え付けているため、第1キャップ38の外れ抑制を図ることもできる。
【0073】
{変形例}
上記実施形態を前提とする変形例について説明する。
【0074】
図6は第1変形例に係る電磁シールド部材付配線装置120が2つの電気機器10、14間の配線として用いられた状態を示す説明図である。
図7は第1変形例に係るブラケット170が第2接続部40を押え付ける状態を示す斜視図であり、
図8は同ブラケット170を示す斜視図である。
【0075】
この第1変形例では、主として、ブラケット170に関する変形例を説明する。
【0076】
配線装置21は、上記実施形態で説明したものと同様である。
図7において、第2接続部40は、より具体的に描かれており、また、第2接続部40が第2電気機器14に設けられた端子台16に接続された様子が描かれている。
【0077】
ここで、端子台16は、第2電気機器14の筐体15に取付けられた端子台ハウジング17と、端子台ハウジング17内に設けられた複数の機器側端子18とを備える。
【0078】
端子台ハウジング17は、樹脂等によって形成された部材であり、細長い円筒状に形成されている。端子台ハウジング17は、筐体15に形成された細長い開口の外側部分を囲うように当該筐体15に取付けられている。
【0079】
機器側端子18は、金属板等によって形成された導電板材であり、ここでは、L字状に形成されている。機器側端子18は、第2電気機器14の電気要素(モータの巻線等)に接続された状態で、筐体15に取付けた保持部材等を介して一定姿勢に保持されている。
【0080】
また、第2接続部40は、第2端子42と、第2ハウジング44と、第2キャップ48とを備える。
【0081】
第2端子42は、上記第1端子32と同様構成であり、電線22の他端部に接続されている(
図6参照)。
【0082】
第2ハウジング44は、幅方向に細長い長円筒形状に形成されており、その内部の収容凹部に第2端子の機器側接続部が配設されている。複数の第2端子42は、本第2ハウジング44によって互いの間に間隔を設けた並列状態で支持されている。この第2ハウジング44は、上記端子台ハウジング17に内嵌め可能に構成されている。そして、第2ハウジング44を端子台ハウジング17に内嵌め接続すると、機器側端子18の端部と第2端子42の機器側接続部とが重なって配設される。この状態で、機器側端子18の端部と第2端子42の機器側接続部との接続部分は、第2ハウジング44の外向き開口を通じて外部に露出しており、当該開口を通じて機器側端子18の端部と第2端子42の機器側接続部とのネジ等による接続作業がなされる。
【0083】
第2キャップ48は、第2ハウジング44の収容凹部を筐体15とは反対側から塞ぐ。ここでは、第2キャップ48は、上記第1キャップ38と同様に、収容凹部に嵌め込まれる部分と、その部分から第2ハウジング44の外側で外周に向けて突出する鍔部とを備える。
【0084】
この変形例では、配線用電磁シールド部52は、複数の電線22の並列配列形態における一方主面側に配設されている。
【0085】
また、第1接続部30は、複数の電線22の並列配列形態における他方主面(
図6の左側)側で電気機器10に接続されている。このため、接続部用電磁シールドカバー60は、電気機器10とは反対側、すなわち、複数の電線22の並列配列形態における一方主面側から第1接続部30を覆う。このため、配線用電磁シールド部52及び接続部用電磁シールドカバー60は、複数の電線22に対して同じ側に配設される。従って、上記実施形態で説明したように、接続部用電磁シールドカバー60によって、配線用電磁シールド部52の一方の縁部を挟持固定する構成を容易に実現できる。
【0086】
一方、第2接続部40は、複数の電線22の配列形態における一方主面(
図6の下側)側で他方の電気機器14に接続されている。このため、第2接続部40において第2キャップ48を押え付ける箇所と、配線用電磁シールド部52とは、複数の電線22に対して反対側に配設される。従って、上記実施形態で説明したような接続部用電磁シールドカバー60に係る構成をそのまま適用することは困難である。
【0087】
そこで、本変形例では、ブラケット170として次に説明するものを用いている。
【0088】
すなわち、ブラケット170は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板をプレス加工等することによって形成された部材であり、電磁シールド部材固定部172と、キャップ押付部176とを備え、筐体15に固定可能に構成されている。
【0089】
電磁シールド部材固定部172は、細長板状の第1挟込片172aに対して細長板状の第2挟込片172bが折れ曲り部172cを介して重なり合うように曲げられた構成とされている。そして、配線用電磁シールド部52の他方側の縁部が第1挟込片172aと第2挟込片172bとの間で挟持固定される。なお、折れ曲り部172cには、第1挟込片172aと第2挟込片172bとの間の奥まで、配線用電磁シールド部52の縁部が配設されたか否かを確認するための確認用開口172chが形成されている。
【0090】
この電磁シールド部材固定部172は、第2接続部40から延出する電線22と筐体15との間で、当該筐体15の外面に沿って配設される。
【0091】
キャップ押付部176は、電磁シールド部材固定部172から第2接続部40の側方を迂回して第2キャップ48に向けて延在して当該第2キャップ48を押え付け可能に構成されている。
【0092】
より具体的には、キャップ押付部176は、第1挟込片172aの両端部から第2接続部40の両側方に向けて延出する基板部176aと、基板部176aの内側縁部から筐体15の反対側に向けて突出する覆い部177とを備える。覆い部177は、第2接続部40の両側部外面を覆う側板部177aと、当該側板部177aの上端から内向けに延在する天板部177bとを備える。
【0093】
上記基板部176aには、ネジ貫通孔176ahが形成されており、基板部176aを筐体15上に配設した状態で、ネジをネジ貫通孔176ahに挿通させて筐体15側のネジ孔に螺合締結することで、本ブラケット170が筐体15に固定される。
【0094】
基板部176aと天板部177bとの間の距離は、筐体15に対する第2接続部40の突出寸法と同じに設定されている。そして、第2接続部40を筐体15に取付けた状態で、上記したようにブラケット170を筐体15に固定すると、キャップ押付部176の天板部177bが第2キャップ48の外向き面に当接し、当該第2キャップ48を筐体15に向けて押付ける。これにより、第2キャップ48が外れ難くなる。
【0095】
このように、配線用電磁シールド部52の他方の縁部を固定するブラケット170によって、第2キャップ48をも押付けることができ、より少ない部品点数で配線用電磁シールド部52の他方の縁部の固定及び第2キャップ48の脱落抑制を図ることができる。
【0096】
また、上記キャップ押付部176は、第2接続部40の両端部をある程度覆える形状(ここでは側部外方部分及び上部を覆える形状)を呈しているため、第2接続部40に対する電磁シールド及び保護もある程度期待できる。
【0097】
なお、本変形例において、キャップ押付部176が二つあることは必須ではなく、その一方のみ設けられていてもよい。
【0098】
図9は第2変形例に係る電磁シールド部材250を示す斜視図であり、
図10は第2変形例に係る配線用電磁シールド部252を示す斜視図である。
【0099】
第2変形例では、配線用電磁シールド部252として、金属板材を蛇腹状に折った部材を用いた例を説明する。
【0100】
すなわち、配線用電磁シールド部252は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板をプレス加工等することによって、蛇腹状に形成された部分252Bを含む。ここでは、配線用電磁シールド部252のうち、一方側縁部(接続部用電磁シールドカバー60が取付られる縁部)と、他方側縁部(ブラケット70が取付られる縁部)との間の一部(特に、L字状に曲げられる部分)のみに、蛇腹状に形成された部分252Bが形成されている。もっとも、配線用電磁シールド部の全体が蛇腹状に形成されていてもよい。
【0101】
図10に示す例では、部分252Bは、配線用電磁シールド部252の一方主面から見て、当該配線用電磁シールド部252の幅方向全体において三角凸状に突出する凸部253と、配線用電磁シールド部252の幅方向全体において三角凹状に凹む凹部254とが、配線用電磁シールド部252の一端側から他端側に向けて交互に形成された構成である。
【0102】
この例によると、配線用電磁シールド部252は、凸部253の頂点の曲げ部分及び凹部254の底側の曲げ部分とで容易に曲ることができる。このため、配線用電磁シールド部252の厚み方向P1及び伸縮方向P2に容易に変位することができる。また、配線用電磁シールド部252の幅方向において、凸部253及び凹部254の伸縮量を異ならせれば(例えば、配線用電磁シールド部252の幅方向一方側で凸部253及び凹部254を伸長させ、他方で凸部253及び凹部254を収縮させれば)、配線用電磁シールド部252の幅方向P3においても変位させることができる。これにより、接続部用電磁シールドカバー60とブラケット70との相対的な位置を変更調整しつつ、接続部用電磁シールドカバー60とブラケット70との取付作業を容易に行える。また、両電気機器10、14間の振動が相互に伝わり難いという利点もある。
【0103】
なお、
図11に示す第3変形例のように、配線用電磁シールド部352は、配線用電磁シールド部352の一方主面から見て、当該配線用電磁シールド部352の幅方向全体において方形凸状に突出する凸部353と、配線用電磁シールド部252の幅方向全体において方形凹状に凹む凹部354とが、配線用電磁シールド部352の一端側から他端側に向けて交互に形成された蛇腹状の部分352Bを含む構成であってもよい。
【0104】
この場合でも、上記配線用電磁シールド部252と同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
また、
図12に示す第4変形例に係る接続部用電磁シールドカバー460では、カバー本体部62に対応するカバー本体部462のうち電線22が延在する側の縁部から外方に抜けて固定片468が延出している。そして、固定片468が、カバー本体部462との境界にある折曲げライン469cに沿って、カバー本体部462のいずれか一方の主面(ここでは外向きの主面)に重ね合されるように折返されている。また、配線用電磁シールド部152に対応する配線用電磁シールド部452の縁部が上記カバー本体部462と固定片468との間に挟持固定されている。配線用電磁シールド部452は、固定片468とカバー本体部462との間から延出する部分で折返され、第2接続部に向けて引出されている。
【0106】
この例によると、カバー本体部462が第1接続部30をなるべく全体的に覆うことができるため、電磁シールド性能に優れるという利点がある。
【0107】
なお、配線用電磁シールド部は、上記実施形態で説明したように、金属線を編んだもの等であってもよい。また、固定片は、カバー本体部の内向きの主面側に折返されていてもよい。
【0108】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0109】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。