【文献】
松岡昌志、若松加寿江、橋本光史,地形・地番分類250mメッシュマップに基づく液状化危険度の推定手法,日本地震工学会論文集 第11巻、第2号、2011,日本,2012年 1月24日,第11巻、第2号、2011,20-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発報手段は、発生率が閾値を超えていると前記液状化判定手段によって判定されると、前記設備の保守を担当する保守員の携帯端末又は利用機器に、警報を発報する請求項1に記載の監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における監視システムの構成例を示す図である。監視センタ1は、遠隔の多数の設備を監視する。例えば、監視センタ1は、エレベータ装置及びエスカレータ装置を監視する。監視センタ1は、例えばエレベータ装置及びエスカレータ装置の保守を行う保守会社に設置される。監視センタ1は、監視対象となる設備と通信が可能である。
【0012】
監視センタ1の監視対象となる設備は、エレベータ装置及びエスカレータ装置に限定されない。監視センタ1は、エレベータ装置のみを遠隔監視しても良い。監視センタ1は、エスカレータ装置のみを遠隔監視しても良い。監視センタ1は、エレベータ装置及びエスカレータ装置以外の設備を遠隔監視しても良い。
【0013】
エレベータ装置は、例えばかご2及びつり合いおもり3を備える。報知装置4は、エレベータの利用者に情報を報知するための装置である。報知装置4の例として、表示器及びスピーカ等が挙げられる。報知装置4は、例えばかご2に設けられる。かご2が停止する乗場に報知装置4を設けても良い。例えば、報知装置4は1階の乗場に設けられる。
【0014】
かご2及びつり合いおもり3は、主ロープ5によって昇降路に吊り下げられる。エレベータの巻上機は、例えば駆動綱車6及び電動機7を備える。主ロープ5は、駆動綱車6に巻き掛けられる。駆動綱車6は、電動機7によって駆動される。電動機7は、制御盤8によって制御される。制御盤8に通信装置9が接続される。通信装置9は、外部との通信を行う。各エレベータ装置は、通信装置9によって監視センタ1と通信する。
【0015】
エスカレータ装置は、例えば踏み板10及び移動手摺11を備える。報知装置12は、エスカレータの利用者に情報を報知するための装置である。報知装置12の例として、表示器及びスピーカ等が挙げられる。報知装置12は、例えば乗降口に設けられる。例えば、報知装置12は1階の乗降口に設けられる。
【0016】
踏み板10及び移動手摺11は、駆動装置13によって駆動される。駆動装置13は、制御盤14によって制御される。制御盤14に通信装置15が接続される。通信装置15は、外部との通信を行う。各エスカレータ装置は、通信装置15によって監視センタ1と通信する。
【0017】
携帯端末16は、保守員が所持する装置である。保守員は、監視センタ1の監視対象となる設備の保守を担当する。本実施の形態に示す例では、保守員は、エレベータ装置の保守を行う専門の技術者及びエスカレータ装置の保守を行う専門の技術者である。携帯端末16は、保守員に情報を報知する機能を備える。例えば、携帯端末16は、表示器或いはスピーカを備える。携帯端末16は、表示器及びスピーカの双方を備えても良い。また、携帯端末16は、現在位置を検出する機能を備える。携帯端末16は、検出した位置情報を監視センタ1に送信する。監視センタ1では、携帯端末16から受信する位置情報に基づいて、各携帯端末16の現在位置、即ち各保守員の現在位置を特定する。
【0018】
車両17は、保守員が保守を行う際に利用する機器の例である。保守員は、監視センタ1の監視対象となる設備の保守を行う際に車両17を利用する。車両17は、保守員に情報を報知する機能を備える。例えば、車両17は、表示器或いはスピーカを備える。車両17は、表示器及びスピーカの双方を備えても良い。
【0019】
監視センタ1は、液状化現象の発生を予測し、液状化現象の発生の可能性があるエリアに存在する設備に適切な情報を送信する。監視センタ1は、液状化現象の発生を予測するために必要な情報を外部の気象情報センタ18等から取得する。気象情報センタ18は、例えば気象庁及び気象庁の業務支援センタである。
【0020】
上記機能を実現するため、監視センタ1は、例えば記憶部19、情報受信部20、震度特定部21、発生率計算部22、液状化判定部23及び発報部24を備える。以下に、
図2も参照し、監視センタ1の機能について具体的に説明する。
図2は、この発明の実施の形態1における監視システムの動作例を示すフローチャートである。
【0021】
監視センタ1では、外部から地震情報を受信したか否かが定期的に判定される(S101)。地震が発生し、ある設備A(例えば、エレベータ装置)が設置されている地点Bが揺れた場合を考える。地震が発生すると、地点Bの震度の情報を含む地震情報が気象情報センタ18から配信される。気象情報センタ18から配信された地震情報は、情報受信部20によって受信される。地震情報として緊急地震速報を採用しても良い。
【0022】
情報受信部20が地震情報を受信すると、震度特定部21は、地点Bの震度を特定する(S102)。情報受信部20が気象情報センタ18から受信する地震情報には、地点Bの震度が含まれる。震度特定部21は、地震情報に含まれる震度を地点Bの震度と特定しても良い。
【0023】
気象情報センタ18から配信される震度情報では、比較的広い地域に対して同じ震度が設定されることが多い。例えば、気象情報センタ18から配信される震度情報には、各市区町村の震度が含まれる。この場合、同じ市区町村内であれば、震度は同じになる。震度特定部21は、地点Bの震度をより詳細に特定しても良い。例えば、記憶部19に、地点Bの表層地盤増幅率が記憶される。表層地盤増幅率は、表層地盤の地震時の揺れの大きさを数値化したものであり、地震に対する地盤の弱さを示す。記憶部19に、全国の表層地盤増幅率地図を記憶させても良い。震度特定部21は、情報受信部20が受信した地震情報に含まれる地点Bの震度の情報と記憶部19に記憶された地点Bの表層地盤増幅率とに基づいて、地点Bの震度を特定しても良い。例えば、震度特定部21は、地震情報に含まれる地点Bの震度を地点Bの表層地盤増幅率によって増幅させた値を地点Bの震度と特定する。
【0024】
次に、発生率計算部22は、地点Bの液状化現象の発生率を計算する(S103)。発生率計算部22は、震度特定部21によって特定された地点Bの震度に基づいて上記計算を行う。以下に、震度特定部21によって特定された地点Bの震度と地点Bの液状化現象の発生率曲線とに基づいて液状化現象の発生率を計算する例について説明する。
【0025】
各地点の液状化現象の発生率曲線は、各地点の微地形区分に応じて決まる曲線である。即ち、地点Bの発生率曲線は、地点Bの微地形区分に応じて決まる。液状化現象の発生率曲線については、例えば、松岡、他2名「地形・地盤分類250mメッシュマップに基づく液状化危険度の推定手法」日本地震工学会論文集、第11巻、第2号、2011に、次式で表現できることが記載されている。
【0027】
ここで、P
liq(I)は液状化現象の発生率である。本実施の形態における液状化現象の発生率曲線は、P
liq(I)が示す曲線である。Φ(x)は誤差関数である。Iは計測震度である。本実施の形態に示す例では、Iは震度特定部21によって特定された震度である。μ及びρはそれぞれ係数である。係数μ及び係数ρは、微地形区分に応じて、例えば表1のように設定される。なお、微地形区分は、地盤の成因、形態、構成する物質及び形成時代がそれぞれの基準の中において等質となるものをまとめた単位であり、地盤の構成と密接な関係がある。
【0029】
例えば、記憶部19に、地点Bの微地形区分が記憶される。発生率計算部22は、地点Bの微地形区分から特定される係数μ及び係数ρと震度特定部21によって特定された地点Bの震度とを用いて、式1から地点Bの液状化現象の発生率を計算する。記憶部19に、全国の微地形区分地図を記憶させても良い。例えば、記憶部19に、250mメッシュの微地形区分地図を記憶させる。かかる場合、発生率計算部22は、地点Bが含まれるエリアの微地形区分から係数μ及び係数ρを特定する。発生率計算部22は、地点Bが含まれるエリアの周囲のエリアの微地形区分も考慮して、係数μ及び係数ρを特定しても良い。例えば、発生率計算部22は、地点Bが含まれるエリアを中心とする9つのエリアの微地形区分を考慮し、係数μ及び係数ρを特定する。
【0030】
次に、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性が高いか否かを判定する。具体的に、液状化判定部23は、発生率計算部22によって計算された地点Bの液状化現象の発生率が閾値を超えているか否かを判定する(S104)。発生率計算部22によって計算された発生率と比較される上記閾値は予め記憶される。発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていなければ、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性は高くないと判定する。発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていれば、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性が高いと判定する。
【0031】
発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていると液状化判定部23によって判定されると、発報部24は、設備Aに対して液状化警戒警報を発報する(S105)。設備Aに対して発報される液状化警戒警報には、例えば休止指令或いは警告報知指令が含まれる。休止指令及び警告報知指令の双方が液状化警戒警報に含まれても良い。
【0032】
設備Aでは、監視センタ1から休止指令を受信すると、設備を休止するために必要な動作が行なわれる。例えば、設備Aがエレベータ装置である場合、かご2が無負荷状態で戸閉待機していれば、監視センタ1から休止指令を受信することによってエレベータ装置はそのまま休止する。また、かご2が利用者を乗せて走行中であれば、制御盤8は、かご2を最寄り階に停止させて戸開動作を行う。制御盤8は、利用者がかご2から降りた後に戸閉動作を行う。エレベータ装置は戸閉完了後に休止する。
【0033】
地震後の自動復旧運転が行われている時に監視センタ1から休止指令を受信すると、制御盤8は、自動復旧運転を強制的に終了させる。エレベータ装置は、自動復旧運転の強制終了後に休止する。自動復旧運転は、地震後にエレベータ装置を自動で通常運転に復帰させるための運転である。自動復旧運転では、予め定められた各種動作が行われる。そして、異常が検出されることなく全ての動作が終了すれば、エレベータ装置は通常運転に復帰される。
【0034】
設備Aがエスカレータ装置である場合、踏み板10及び移動手摺11が停止した状態で待機していれば、監視センタ1から休止指令を受信することによってエスカレータ装置はそのまま休止する。また、踏み板10及び移動手摺11の走行中であれば、制御盤14は、踏み板10及び移動手摺11を徐々に減速させる。エスカレータ装置は、踏み板10及び移動手摺11が完全に停止した後に休止する。
【0035】
地震後の自動復旧運転が行われている時に監視センタ1から休止指令を受信すると、制御盤14は、自動復旧運転を強制的に終了させる。エスカレータ装置は、自動復旧運転の強制終了後に休止する。自動復旧運転は、地震後にエスカレータ装置を自動で通常運転に復帰させるための運転である。自動復旧運転では、予め定められた各種動作が行われる。そして、異常が検出されることなく全ての動作が終了すれば、エスカレータ装置は通常運転に復帰される。
【0036】
設備Aでは、監視センタ1から警告報知指令を受信すると適切な報知が行われる。例えば、設備Aがエレベータ装置である場合、制御盤8は、監視センタ1から休止指令を受信すると報知装置4から報知を行わせる。例えば、制御盤8は、液状化現象が発生する可能性がある旨を表示器に表示させる。制御盤8は「液状化現象が発生する可能性があるため、エレベータ装置を休止しています。」といった内容を表示器に表示させても良い。制御盤8は、同様の内容をスピーカからアナウンスさせても良い。
【0037】
設備Aがエスカレータ装置である場合、制御盤14は、監視センタ1から休止指令を受信すると報知装置12から報知を行わせる。例えば、制御盤14は、液状化現象が発生する可能性がある旨を表示器に表示させる。制御盤14は「液状化現象が発生する可能性があるため、エスカレータ装置を休止しています。」といった内容を表示器に表示させても良い。制御盤14は、同様の内容をスピーカからアナウンスさせても良い。
【0038】
また、発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていると液状化判定部23によって判定されると、発報部24は、設備Aの保守を担当する保守員の携帯端末16に対して液状化警戒警報を発報する(S106)。発報部24は、S106において設備Aの保守を担当する保守員の利用機器に液状化警戒警報を発報しても良い。保守員の携帯端末16或いは利用機器に対して発報される液状化警戒警報には、例えば警告報知指令が含まれる。
【0039】
保守員の携帯端末16及び利用機器では、監視センタ1から警告報知指令を受信すると適切な報知が行われる。例えば、携帯端末16及び利用機器では、「液状化現象が発生する可能性があるため、設備Aが休止されました。」といった内容を表示器に表示させる。同様の内容をスピーカからアナウンスさせても良い。保守員は、表示器を見ること等によって設備Aが休止していることを把握できる。液状化現象が発生した場合、設備Aの復旧は極めて困難になる。保守員は、休止した設備Aの復旧作業を後回しにするといった適切な対応を取ることができる。また、保守員は、液状化現象が発生している地点Bを迂回して移動するといった適切な対応を取ることができる。
【0040】
上記構成を有する監視システムであれば、液状化現象が発生する可能性がある旨を監視対象の設備に配信できる。監視センタ1は、多数の設備を監視する。監視センタ1は、監視対象となる全ての設備に対して
図2に示す処理フローを行っても良い。監視センタ1は、監視対象となる一部の設備に対してのみ、
図2に示す処理フローを行っても良い。
【0041】
例えば、エレベータ装置及びエスカレータ装置の地下機械室は空洞部分が多い。液状化現象が発生すると地下機械室の一部が地上に突出する可能性がある。このため、監視センタ1が
図2に示す処理フローを行う対象を、出入口が地上に面しているエレベータ装置及びエスカレータ装置に限定しても良い。このようなエレベータ装置及びエスカレータ装置の例として、駅に設置されたもの、歩道橋に設置されたもの及び建物の1階に設置されたもの等が挙げられる。
【0042】
また、液状化現象が発生しても、出入口が地上に面していないエレベータ装置及びエスカレータ装置には被害がない可能性がある。このような理由から、例えば5階建てのビルの各階にエスカレータ装置が設置されている場合、監視センタ1から休止指令を受信した際に、出入口が地上に面している1階のエスカレータ装置のみを休止させても良い。
【0043】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2における監視システムの構成例を示す図である。実施の形態1では、外部から受信した地震情報に基づいて液状化現象の発生を予測する例について説明した。本実施の形態では、加速度計が検出した3成分の加速度情報に基づいて液状化現象の発生を予測する例について説明する。
【0044】
本実施の形態に示す例では、監視対象となる設備或いはその設備の近傍に加速度計25が設けられる。加速度計25は、直交する3成分の加速度を検出する。本実施の形態で具体的に開示しない監視システムの構成及び機能については、実施の形態1で開示した何れかの構成及び機能と同じである。
【0045】
監視センタ1は、液状化現象の発生を予測し、液状化現象の発生の可能性があるエリアに存在する設備に適切な情報を送信する。監視センタ1は、液状化現象の発生を予測するために必要な情報を外部の加速度計25から取得する。以下に、
図4から
図6も参照し、監視センタ1の機能について具体的に説明する。
図4は、この発明の実施の形態2における監視システムの動作例を示すフローチャートである。
【0046】
監視センタ1では、外部から計測波形を受信したか否かが定期的に判定される(S201)。地震が発生し、ある設備A(例えば、エレベータ装置)が設置されている地点Bが揺れた場合を考える。地震が発生すると、設備Aに設けられた加速度計25或いは設備Aの近傍に設けられた加速度計25から、直交する3成分の加速度の情報を含む計測波形が出力される。この加速度計25から出力された計測波形は、情報受信部20によって受信される。この時、情報受信部20は、複数の加速度計25から計測波形を受信しても良い。
【0047】
情報受信部20が計測波形を受信すると、震度特定部21は、地点Bの震度を一定の周期で特定する(S202)。例えば、震度特定部21は、1秒毎に地点Bの震度を特定する。以下においては、震度特定部21が一定の周期で特定する震度のことを「リアルタイム震度」ともいう。震度特定部21は、情報受信部20が受信した計測波形(3成分の加速度の情報)に基づいて、地点Bのリアルタイム震度を特定する。例えば、特許第4229337号公報に、計測波形から震度を計算する方法の例が開示されている。計測波形から震度を計算する方法は、上記公報に開示された例に限定されない。
【0048】
次に、発生率計算部22は、地点Bの液状化現象の発生率を計算する。発生率計算部22は、震度特定部21によって特定されたリアルタイム震度に基づいて上記計算を行う。以下に、発生率計算部22が発生率を計算する方法について詳しく説明する。
【0049】
液状化現象は、土中の間隙水圧uが拘束圧σと等しくなるとせん断強度τが0となり発生する。
【0051】
また、建築基礎構造設計指針(日本建築学会)に、次式が記載されている。
【0053】
ここで、τ
dは水平面のせん断応力、α
maxは設計用地表水平加速度、gは重力加速度、γ
dは深さ方向の低減係数、γ
nは繰り返し回数の補正係数である。式3を変形すると次式が得られる。
【0055】
式4より、水平面のせん断応力、即ち揺れが大きいほど、また繰り返し回数の補正係数γ
nが大きいほど、有効拘束圧が低下するため液状化現象が発生し易くなることが分かる。
【0056】
そこで、発生率計算部22は、ある規模の地震動とその地震動の継続時間とを考慮した上で、地点Bの液状化現象の発生率を計算する。例えば、発生率計算部22は、先ず、次式によってΔI
sを計算する(S203)。
【0058】
ここで、ΔIはリアルタイム震度である。本実施の形態に示す例では、ΔIは震度特定部21によって特定された震度である。I
sは震度設定値である。震度設定値I
sは予め定められる。ΔI
sは、リアルタイム震度ΔIと震度設定値I
sとの差を時刻t
0から時刻t
aについて積分した値である。時刻t
0と時刻t
aとは任意に設定される。
図5は、計算値ΔI
sの概念を示す図である。
図5に示す例では、震度設定値I
sを4.5に設定している。ΔI
sは、リアルタイム震度ΔIが震度設定値I
sより大きい時の領域Cの面積に相当する。
【0059】
次に、発生率計算部22は、計算値ΔI
sから地点Bの液状化現象の発生率を導き出す(S204)。例えば、発生率計算部22は、地点Bにおける計算値ΔI
sと地点Bの液状化現象の発生率曲線とに基づいて地点Bの液状化現象の発生率を計算する。
図6は、ΔI
sと液状化現象の発生率との関係を示す図である。本実施の形態における液状化現象の発生率曲線は、ΔI
sを変数とする
図6に示す曲線である。
【0060】
図6に示す発生率曲線は、各地点の微地形区分に応じて決まる曲線である。即ち、地点Bの発生率曲線は、地点Bの微地形区分に応じて決まる。
図6は、一例として、3つの地点の発生率曲線D、E及びFを示す。例えば、記憶部19に、地点Bの微地形区分が記憶される。記憶部19に、全国の微地形区分地図を記憶させても良い。例えば、記憶部19に、250mメッシュの微地形区分地図が記憶される。地点Bにおける計算値ΔI
sと地点Bの液状化現象の発生率曲線とが分かれば、地点Bの液状化現象の発生率を計算することができる。
【0061】
次に、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性が高いか否かを判定する。具体的に、液状化判定部23は、発生率計算部22によって計算された地点Bの液状化現象の発生率が閾値を超えているか否かを判定する(S205)。発生率計算部22によって計算された発生率と比較される上記閾値は予め記憶される。発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていなければ、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性は高くないと判定する。発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていれば、液状化判定部23は、地点Bに液状化現象が発生する可能性が高いと判定する。
【0062】
発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていると液状化判定部23によって判定されると、発報部24は、設備Aに対して液状化警戒警報を発報する(S206)。設備Aに対して発報される液状化警戒警報には、例えば休止指令或いは警告報知指令が含まれる。休止指令及び警告報知指令の双方が液状化警戒警報に含まれても良い。
【0063】
設備Aでは、監視センタ1から休止指令を受信すると、設備を休止するために必要な動作が行なわれる。また、設備Aでは、監視センタ1から警告報知指令を受信すると適切な報知が行われる。設備Aで行われる動作及び報知は実施の形態1のS105で開示した何れかの動作及び報知と同じである。このため、具体的な説明は省略する。
【0064】
また、発生率計算部22によって計算された地点Bの発生率が閾値を超えていると液状化判定部23によって判定されると、発報部24は、設備Aの保守を担当する保守員の携帯端末16に対して液状化警戒警報を発報する(S207)。発報部24は、S207において設備Aの保守を担当する保守員の利用機器に液状化警戒警報を発報しても良い。保守員の携帯端末16或いは利用機器に対して発報される液状化警戒警報には、例えば警告報知指令が含まれる。保守員の携帯端末16或いは利用機器で行われる報知は実施の形態1のS106で開示した何れかの報知と同じである。このため、具体的な説明は省略する。
【0065】
上記構成を有する監視システムであれば、液状化現象が発生する可能性がある旨を監視対象の設備に配信できる。監視センタ1は、多数の設備を監視する。監視センタ1は、監視対象となる全ての設備に対して
図4に示す処理フローを行っても良い。監視センタ1は、監視対象となる一部の設備に対してのみ、
図4に示す処理フローを行っても良い。
【0066】
符号19〜24に示す各部は、監視センタ1が有する機能を示す。
図7は、監視センタ1のハードウェア構成を示す図である。監視センタ1は、ハードウェア資源として、例えば入出力インターフェース26とプロセッサ27とメモリ28とを含む回路を備える。記憶部19が有する機能はメモリ28によって実現される。また、監視センタ1は、メモリ28に記憶されたプログラムをプロセッサ27によって実行することにより、各部20〜24が有する各機能を実現する。各部20〜24が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。