(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カルボニル化合物が、アミノ基を有するカルボニル化合物及びアルコキシ基を有するカルボニル化合物より選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1に記載の変性共役ジエン重合体。
前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変性共役ジエン重合体。
前記共役ジエン重合体が、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5以上、3未満であるシス−1,4−ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変性共役ジエン重合体。
前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の触媒系の(A)成分であるイットリウム化合物は、以下の一般式(1)で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物である。
【0027】
【化3】
但し、R
1,R
2,R
3は水素、または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。
【0028】
R
1,R
2,R
3の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−プロペニル基、アリル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、フェネチル基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。
【0029】
本発明の触媒系の(A)成分であるイットリウム化合物としては、イットリウムの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、トリス(アセチルアセトナト)イットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(メチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(トリメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ペンタメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ヘキサメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウムなどのイットリウム化合物などが挙げられる。
【0030】
本発明の触媒系の(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物において、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
【0031】
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0032】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0033】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
【0034】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
【0035】
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合せたものを好ましく用いることができる。
【0036】
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
また、(B)成分として、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R’)O−)nで示される鎖状アルモキサン、あるいは環状アルモキサンが挙げられる。(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R’としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルモキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0038】
それらの中でも、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0039】
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオールなどが挙げられる。
【0040】
本発明の触媒系の(C)成分である周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物としては、例えば、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム等が用いられる。これらの化合物の中で好ましいのは、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムクロライド、アルキルマグネシウムブロマイド、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等である。
【0041】
具体的な化合物としては、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ヘキシルマグネシウムアイオダイドなどのアルキルマグネシウムハライドが挙げられる。
【0042】
さらに、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、エチルヘキシルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウムが挙げられる。
【0043】
さらに、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジオクチル亜鉛、ジデシル亜鉛などのジアルキル亜鉛が挙げられる。
【0044】
さらに、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが挙げられる。
【0045】
さらに、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0046】
これらの周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物は、単独で用いることもできるが、2種類以上併用することも可能である。
【0047】
上述した触媒を用いて共役ジエン化合物の重合を行うことができるが、得られる共役ジエン重合体の分子量調節剤としては、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物を用いることができる。
【0048】
本発明における分子量調節剤の(2)水素化金属化合物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ガリウム、シラン、ゲルマン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウムなどが挙げられる。
【0049】
また、本発明における分子量調節剤の(3)水素化有機金属化合物としては、メチルボラン、エチルボラン、プロピルボラン、ブチルボラン、フェニルボランなどのアルキルボラン;ジメチルボラン、ジエチルボラン、ジプロピルボラン、ジブチルボラン、ジフェニルボランなどのジアルキルボラン;メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、ブチルアルミニウムジハイドライド、フェニルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムジハイドライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシランなどのシラン類;メチルゲルマン、エチルゲルマン、プロピルゲルマン、ブチルゲルマン、フェニルゲルマン、ジメチルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジプロピルゲルマン、ジブチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、トリメチルゲルマン、トリエチルゲルマン、トリプロピルゲルマン、トリブチルゲルマン、トリフェニルゲルマンなどのゲルマン類などが挙げられる。
【0050】
これらの中でも、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライドが好ましく、ジエチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0051】
触媒成分の添加順序は、特に制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
【0052】
(1)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0053】
(2)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、上述した分子量調節剤を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0054】
(3)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在に(A)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(B)成分を添加する。
【0055】
(4)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在に(B)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(A)成分を添加する。
【0056】
(5)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加した後、上述した分子量調節剤を添加する。
【0057】
また、各成分をあらかじめ熟成して用いてもよい。中でも、(A)成分と(C)成分を熟成することが好ましい。
【0058】
熟成条件としては、不活性溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在に(A)成分と(C)成分を混合する。熟成温度は−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃であり、熟成時間は0.01〜24時間、好ましくは0.05〜5時間、特に好ましくは0.1〜1時間である。
【0059】
本発明においては、各触媒成分を無機化合物、又は有機高分子化合物に担持して用いることもできる。
【0060】
共役ジエン化合物モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンを主成分とする共役ジエン化合物モノマーが好ましい。
【0061】
これらのモノマー成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
ここで、重合すべき共役ジエン化合物モノマーとは、モノマーの全量であっても一部であってもよい。モノマーの一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマーあるいは残部のモノマー溶液と混合することができる。共役ジエンの他に、エチレン、プロピレン、アレン、1−ブテン、2−ブテン、1,2−ブタジエン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのオレフィン化合物等を含んでいてもよい。
【0063】
重合方法は、特に制限はなく、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマーそのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
【0064】
中でも、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
【0065】
重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、0〜40℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間がより好ましく、10分〜1時間が特に好ましい。
【0066】
本発明で得られる共役ジエン重合体としては、好ましくはシス−1,4構造を99%以上、さらに好ましくは99.2%以上、特に好ましくは99.5%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンが挙げられる。また、該共役ジエン重合体の固有粘度[η]としては、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1.5〜5に制御することができる。
【0067】
本発明で得られる共役ジエン重合体の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは、10000〜1000000、さらに好ましくは100000〜700000、特に好ましくは150000〜550000が挙げられる。また、該共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)としては、好ましくは1.5〜10、より好ましくは1.5〜7、さらに好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.5〜3未満が挙げられる。Mw/Mnが小さいと加工性が悪化する場合がある。
【0068】
本発明で得られる共役ジエン重合体の示差走査熱量測定(DSC)による融点(Tm)は、−5℃以上であることが好ましい。該融点(Tm)が−5℃より低いと、ポリブタジエンの結晶性は従来品並みであり、耐摩耗性や耐亀裂成長性等の性能が十分に改良できない。また、融解熱量が45J/g以上であることが好ましい。
【0069】
本発明で用いる変性剤は、カルボニル化合物であるが、アミノ基を有するカルボニル化合物及びアルコキシ基を有するカルボニル化合物から選ばれる1以上であることが好ましい。アミノ基は、炭素原子数1〜6のアルキル基と結合したアミノアルキル基であることが好ましく、アルコキシ基は、炭素原子数1〜6のアルキル基と結合したアルコキシ基であることが好ましい。また、カルボニル化合物は、芳香族カルボニル化合物であることが好ましい。
【0070】
アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基と結合したアミノアルキル基)を有するカルボニル化合物(好ましくは芳香族カルボニル化合物)としては、アミノベンゾフェノン化合物がより好ましい。その具体的化合物の例としては、4−ジメチルアミノアセトフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジエチルアミノプロピオフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ジブチルアミノベンゾフェノン、4−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−ジビニルアミノベンズアルデヒド等が挙げられる。これらの化合物の中で、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。これらの変性剤は、単独で使用しても、あるいは2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0071】
また、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基と結合したアルコキシ基)を有するカルボニル化合物(好ましくは芳香族カルボニル化合物)としては、アルコキシベンゾフェノン化合物がより好ましい。その具体的化合物の例としては、4−メトキシアセトフェノン、4−エトキシアセトフェノン、4−メトキシプロピオフェノン、4−エトキシプロピオフェノン、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノン、1,7−ジメトキシ−4−ヘプタノン、4−メトキシベンゾフェノン、4−エトキシベンゾフェノン、4−ブトキシベンゾフェノン、4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4−メトキシベンズアルデヒド、4−フェノキシベンズアルデヒド、4−ビニルオキシベンズアルデヒド、ヘリオトロピン等が挙げられる。これらの化合物の中で、特に4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。これらの変性剤は、単独で使用しても、あるいは2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0072】
変性反応に使用する有機溶媒としては、それ自身がジエン系ゴムと反応しないものであれば、自由に使用できる。その具体例としては、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタンなどの炭素原子数5〜10の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどの脂環族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。また、塩化メチレンやテトラヒドロフランなども使用することができる。通常は、ジエン系ゴムの製造に用いた溶媒と同じものが用いられる。
【0073】
変性反応の反応溶液の温度は、0〜100℃の範囲にあることが好ましく、特に20〜80℃の範囲にあることが好ましい。温度が低すぎると変性反応の進行が遅く、温度が高すぎると重合体がゲル化しやすくなる。変性反応の時間には特に制限はないが、通常は10分〜6時間の範囲にあることが好ましい。変性反応時間が短すぎると反応が充分進行せず、時間が長すぎると重合体がゲル化しやすくなる。
【0074】
変性反応溶液におけるジエン系ゴムの量は、溶媒1リットル当り、通常は5〜500g、好ましくは20〜300g、更に好ましくは30〜200gの範囲にある。
【0075】
変性反応における変性剤の使用量は、ジエン系ゴム100gに対して、通常は0.01〜150ミリモル、好ましくは0.1〜100ミリモル、更に好ましくは0.2〜50ミリモルの範囲にある。使用量が少な過ぎると、変性ジエン系ゴム中に導入される変性基の量が少なくなり、変性効果が少ない。使用量が多過ぎると、変性ジエン系ゴム中に未反応変性剤が残存し、その除去に手間がかかることになるので好ましくない。
【0076】
変性反応の実施に際しては、重合反応に引き続いて変性剤を添加したのち、重合停止剤を添加し、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去する方法、あるいは、重合停止剤を添加したのち、変性剤を添加する方法、重合体乾燥物を溶媒に再度溶解させたのち、変性剤と触媒を添加する方法などが挙げられる。重合停止剤の種類によっては、重合体が変性剤と反応する部位の活性を低下させることがあるため、重合停止前に変性剤を添加する方法が好ましい。
【0077】
本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンの変性度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を用いる手法により算出する。これについて、
図1及び
図2に基づいて詳細に説明する。
【0078】
図1において縦軸は、GPC測定によって得られたポリマーの274nmにおけるUV吸光度から得られるピーク面積値UVと、示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値RIとの比、UV/RIの値を示す。
【0079】
横軸は(1/Mn)×10
4の値を示し、Mnは数平均分子量である。
図1において、Li−BR(未変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって1,3−ブタジエンを重合したポリマーそのもののUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたもので、直線として近似することができる。また、Li−BR(変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって重合した後、重合末端と4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを反応させて変性したポリマーのUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたもので、直線として近似することができる。
【0080】
リビングアニオン重合の場合は、ポリマー1分子と変性剤1分子が定量的に反応することから、ある数平均分子量(Mn1)におけるLi−BR(変性)のUV/RI値とLi−BR(未変性)のUV/RI値の差をAとする。これはその数平均分子量(Mn1)である1分子鎖に変性剤が1分子反応した場合のUV/RI値の変化量を示すため、この値を基準に変性度を算出することができる。
【0081】
また、
図2において縦軸は、GPC測定によって得られたポリマーの238nmにおけるUV吸光度から得られるピーク面積値UVと、示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値RIとの比、UV/RIの値を示す。
【0082】
横軸は(1/Mn)×10
4の値を示し、Mnは数平均分子量である。
図2において、Li−BR(未変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって1,3−ブタジエンを重合したポリマーそのもののUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたもので、直線として近似することができる。また、Li−BR(変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって重合した後、重合末端と4,4’−ジメトキシベンゾフェノンを反応させて変性したポリマーのUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたものである。
【0083】
リビングアニオン重合の場合は、ポリマー1分子と変性剤1分子が定量的に反応することから、ある数平均分子量(Mn1)におけるLi−BR(変性)のUV/RI値とLi−BR(未変性)のUV/RI値の差をAとする。これはその数平均分子量(Mn1)である1分子鎖に変性剤が1分子反応した場合のUV/RI値の変化量を示すため、この値を基準に変性度を算出することができる。
【0084】
図1の場合にも
図2の場合にも、Li−BRと同様にして、ある数平均分子量(Mn1)である本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンと、変性に用いたものと同じ方法で得られた未変性のシス−1,4−ポリブタジエンについて、それぞれUV/RI値を算出してその差をBとすると、本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンの変性度は以下の式で表すことができる。
【0086】
本発明のシス−1,4−ポリブタジエンの変性度は、特に限定されるものではないが、0.1を超えることが好ましく、0.5を超えることがより好ましい。また、変性度は20を超えないことが好ましく、15を超えないことがより好ましく、10を超えないことがさらに好ましい。変性度が0.1以下では変性による効果が十分でない場合があり、変性度が20以上では本来のシス−1,4−ポリブタジエンが有する特性を損なう場合がある。好ましい変性度においては、変性剤の極性基(アミノ基等)とフィラー(充填剤)の極性基との相互作用により、ゴム中でのフィラーの分散性を高めることが出来る。
【0087】
本発明の変性共役ジエン重合体は、単独で、または他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックやシリカなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、ゴム組成物とすることで、タイヤ、ホース、ベルト、その他の各種工業用品等の機械的特性及び耐摩耗性が要求されるゴム用途に好適に使用される。
【0088】
ゴム組成物に含まれる他の合成ゴムとしては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的には、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらの中でもSBRが好ましい。さらにSBRの中でも溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S−SBR)が特に好ましい。これらのゴムは単独でも、2種以上を組合せて用いても良い。
【0089】
また、本発明の変性共役ジエン重合体は、プラスチック、例えば、耐衝撃性ポリスチレンの改質剤として使用する、すなわち、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物を製造することもできる。
【0090】
上記のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造方法としては、ゴム状ポリマーの存在下にスチレン系モノマーの重合を行う方法が採用され、塊状重合法や塊状懸濁重合法が経済的に有利な方法である。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレン、クロルスチレンのようなハロゲン置換スチレンなど、従来ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物製造用として知られているスチレン系モノマーの1種又は2種以上の混合物が用いられる。これらの中で好ましいのはスチレンである。
【0091】
製造時に必要に応じて上記ゴム状ポリマーの他に、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン、エチレン−酢酸ビニル、アクリル系ゴムなどを上記ゴム状ポリマーに対して50重量%以内で併用することができる。又、これらの方法によって製造された樹脂をブレンドしてよい。更に、これらの方法によって製造されたゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を含まないポリスチレン系樹脂を混合して製造してもよい。上記の塊状重合法として一例を挙げて説明すると、スチレンモノマー(99〜75重量%)にゴム状ポリマー(1〜25重量%)を溶解させ、場合によっては溶剤、分子量調節剤、重合開始剤などを添加して、10〜40%のスチレンモノマー転化率までゴム状ポリマーを分散した粒子に転化させる。このゴム粒子が生成するまではゴム相が連続相を形成している。更に重合を継続してゴム粒子として分散相になる相の転換(粒子化工程)を経て50〜99%の転化率まで重合してゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が製造される。
【0092】
ゴム状ポリマーの分散粒子(ゴム粒子)は、樹脂中に分散された粒子で、ゴム状ポリマーとポリスチレン系樹脂よりなり、ポリスチレン系樹脂はゴム状ポリマーにグラフト結合したり、或いはグラフト結合せずに吸蔵されている。この発明でいうゴム状ポリマーの分散粒子の径として0.5〜7.0μmの範囲、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲のものが好適に製造できる。
【0093】
グラフト率として、150〜350の範囲のものが好適に製造できる。バッチ式でも連続的製造方法でもよく特に限定されない。
【0094】
上記のスチレン系モノマーとゴム状ポリマーとを主体とする原料溶液は、完全混合型反応器において重合されるが、完全混合型反応器としては、原料溶液が反応器において均一な混合状態を維持するものであればよく、好ましいものとしては、ヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、アンカーなどの型の攪拌翼が挙げられる。ヘリカルリボンタイプの攪拌翼にはドラフトチューブを取り付けて、反応器内の上下循環を一層強化することが好ましい。
【0095】
ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物には、製造時や製造後に適宜必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、各種充填剤及び各種の可塑剤、高級脂肪酸、有機ポリシロキサン、シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤や発泡剤などの公知添加剤を添加してもよい。
【0096】
本願発明によって得られるゴム組成物は、タイヤ、防振ゴム、ベルト、ホース、免震ゴムなどの工業用品や紳士靴、婦人靴、スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用される。その場合、ゴム成分中に少なくとも本発明の変性共役ジエン重合体を10重量%含有するように配合することが好ましい。また、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることはできるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野、包装材料、住宅関連材料、OA機器用材料、工具、日用品等に好適である。例えばテレビ、パソコン、エアコンなどの筐体、複写機やプリンターなど事務機器の外装材、冷凍食品、乳酸飲料、アイスクリームなどの食品容器といった広範な用途に用いることができる。
【実施例】
【0097】
以下に本発明に基づく実施例について具体的に記載するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。まず、実施例において用いた各種測定方法を以下に示す。
【0098】
ミクロ構造:赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm
−1、トランス967cm
−1、ビニル910cm
−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0099】
ムーニー粘度(ML
1+4、100℃):JIS−K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML
1+4、100℃)として表示した。
【0100】
数平均分子量(Mn)並びに重量平均分子量(Mw):ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、GPC(株式会社島津製作所製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、数平均分子量並びに重量平均分子量を求めた。
【0101】
固有粘度[η]:トルエン溶液を用いて30℃で測定した。
【0102】
融点、融解熱量:セイコーインスツル(株)製DSC装置を使用して、示差走査熱量測定(DSC)を行い、窒素雰囲気下で−150〜100℃の温度範囲を10℃/minの昇温速度で測定した。
【0103】
加工性(スウェル):加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec
−1のせん断速度で押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定し、比較例6を100として指数表示した(指数は小さいほど良好)。
【0104】
引裂強度:JIS−K6252に準拠して測定した。比較例6を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0105】
反発弾性:BS903に従い、ダンロップ・トリプソメーターを使用して室温で反発弾性を測定し、比較例6を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0106】
耐摩耗性:ランボーン摩擦性は、JIS−K6264に規定されている測定法に従って、スリップ率20%で測定し、比較例6を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0107】
耐亀裂成長性:定伸張疲労試験機(上島製作所製)を用いて、ダンベル状3号形(JIS−K6251)試験片の中央に0.5mmの傷を入れ、初期歪50%、300回/分の条件で試験片が破断した回数を測定した。比較例6を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0108】
発熱量・永久歪:JIS−K6265に規定されている測定方法に準じて測定し、比較例6を100として指数表示した(指数は小さいほど良好)。
【0109】
発熱性(tanδ):粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、RPA2000)を用い、温度50℃、周波数1Hz、動歪み3%、10%で測定し、比較例6を100として指数で示した(指数は小さいほど低ロス性が良好)。
【0110】
(実施例1)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.5kg/cm
2を導入し、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)3.3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)2mlを添加して30℃で30分間攪拌し、10℃まで冷却してからトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2mlを添加して重合を開始した。10℃で30分重合後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(0.5mol/L)0.8mlを添加して10℃から40℃まで昇温させつつ10分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液4mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、4.1gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−5.1℃であり、融解熱量は46.5J/gであった。その他の素ゴム物性を表1に示した。
【0111】
(実施例2)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例1と同様に重合および変性を行い7.3gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−4.8℃であり、融解熱量は47.1J/gであった。その他の素ゴム物性を表1に示した。
【0112】
(実施例3)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)の添加量を4.7mlとしたほかは、実施例1と同様に重合および変性を行い10.3gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示した。
【0113】
(実施例4)
トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2mlを添加して重合を開始する温度を15℃に変え、15℃で30分重合を行ったほかは、実施例3と同様に重合および変性を行い、27.3gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−4.6℃であり、融解熱量は46.4J/gであった。その他の素ゴム物性を表1に示した。
【0114】
(実施例5)
トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2mlを添加して重合を開始する温度を20℃に変え、重合温度を20℃としたほかは、実施例3と同様に重合および変性を行い、44.0gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示した。
【0115】
(実施例6)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン280ml及びブタジエン120mlからなる溶液を仕込んだほかは、実施例4と同様に重合および変性を行い、23.6gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示した。
【0116】
(実施例7)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン300ml及びブタジエン100mlからなる溶液を仕込み、次いで水素ガス0.3kg/cm
2を導入したほかは、実施例4と同様に重合および変性を行い、21.2gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示した。
【0117】
(実施例8)
重合時間を45分としたほかは、実施例6と同様に重合を行い36.7gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−4.3℃であり、融解熱量は45.9J/gであった。その他の素ゴム物性を表1に示した。
【0118】
(実施例9)
重合時間を60分としたほかは、実施例6と同様に重合を行い38.5gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示した。
【0119】
(比較例1)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液を添加しないほかは、実施例8と同様に重合を行い、37.0gの未変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表1に示す。
【0120】
(実施例10)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン320ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.0mol/L)1.25mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)0.4mlを添加して30℃で30分間攪拌し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(4mmol/L)4mlを添加して重合を開始した。60℃で20分重合後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)2.5mlを添加して60℃で30分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液4mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、17.0gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0121】
(実施例11)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.0mol/L)の添加量を2.5mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い17.9gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0122】
(実施例12)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.0mol/L)の添加量を3.1mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い15.2gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0123】
(実施例13)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.0mol/L)の添加量を3.75mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い13.9gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0124】
(実施例14)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.5mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い19.4gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0125】
(実施例15)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.2mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い21.1gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0126】
(実施例16)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.1mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い23.0gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0127】
(実施例17)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.05mlとしたほかは、実施例10と同様に重合を行い24.7gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0128】
(比較例2)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)を添加しなかったほかは、実施例10と同様に重合を行い、17.3gの未変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表2に示した。
【0129】
(実施例18)
重合温度を80℃、重合時間を10分としたほかは、実施例10と同様に重合を行い、17.1gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表3に示した。
【0130】
(実施例19)
重合温度を80℃、重合時間を10分としたほかは、実施例11と同様に重合を行い、24.5gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表3に示した。
【0131】
(実施例20)
重合温度を80℃、重合時間を10分としたほかは、実施例12と同様に重合を行い、31.2gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表3に示した。
【0132】
(実施例21)
重合温度を80℃、重合時間を10分としたほかは、実施例13と同様に重合を行い、22.6gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表3に示した。
【0133】
(比較例3)
変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(1mol/L)を添加しなかったほかは、実施例18と同様に重合を行い、22.6gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表3に示した。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
(実施例22)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン280ml及びブタジエン120mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.4kg/cm
2を導入し、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)4.7mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)2mlを添加して30℃で30分間攪拌し、15℃まで冷却してからトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2mlを添加して重合を開始した。15℃で45分重合後、変性剤の4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのトルエン溶液(0.2mol/L)2mlを添加して15℃から40℃まで昇温させつつ10分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液4mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、35.9gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−4.5℃であり、融解熱量は45.4J/gであった。その他の素ゴム物性を表4に示した。
【0138】
(実施例23)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン560ml及びブタジエン240mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.37kg/cm
2を導入し、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)9.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して30℃で30分間攪拌し、15℃まで冷却してからトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。15℃で45分重合後、変性剤の4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのトルエン溶液(0.2mol/L)4mlを添加して15℃から40℃まで昇温させつつ10分間変性反応を行った。エタノール10mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液6mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、67.4gの変性ポリブタジエンを得た。DSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−4.1℃であり、融解熱量は47.4J/gであった。
その他の素ゴム物性を表4に示した。
【0139】
(比較例4)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン560ml及びブタジエン240mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.43kg/cm
2を導入し、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)9.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して30℃で30分間攪拌し、15℃まで冷却してからトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。15℃で45分重合後、エタノール10mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液6mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、74.0gの未変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表4に示した。
【0140】
(実施例24)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン320ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)3.75mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1.25mlを添加して30℃で30分間攪拌し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(4mmol/L)13.3mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、変性剤の4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのトルエン溶液(0.2mol/L)4.2mlを添加して40℃で30分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液4mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、12.8gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表4に示した。
【0141】
(実施例25)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン320ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.23mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)0.4mlを添加して30℃で30分間攪拌し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(4mmol/L)4mlを添加して重合を開始した。60℃で20分重合後、変性剤の4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのトルエン溶液(0.2mol/L)1.0mlを添加して60℃で30分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液4mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、22.2gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表4に示した。
【0142】
(実施例26)
変性剤の4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのトルエン溶液(0.2mol/L)の添加量を4.0mlとしたほかは、実施例25と同様に重合および変性を行い、21.7gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表4に示した。
【0143】
(実施例27)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を3.75mlとしたほかは、実施例26と同様に重合および変性を行い、14.0gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表4に示した。
【0144】
【表4】
【0145】
(比較例5)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン560ml及びブタジエン240mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.43kg/cm
2を導入し、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2.85mol/L)9.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して30℃で30分間攪拌し、15℃まで冷却してからトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.38mlを添加して重合を開始した。15℃で45分間重合後、エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液8mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、74.0gの未変性ポリブタジエンを得た。
素ゴム物性を表5に示した。
【0146】
(実施例28)
比較例5と同様に15℃で45分間重合を行った後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのトルエン溶液(0.5mol/L)1.6mlを添加して10℃から40℃まで昇温させつつ10分間変性反応を行った。エタノール5mlを添加して3分間攪拌して反応を停止させ、さらに老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液8mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入しポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で3時間真空乾燥して、74.6gの変性ポリブタジエンを得た。素ゴム物性を表5に示した。
【0147】
(比較例6)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された重合体)を用い、表6に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、サンタイトを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施し、配合ゴムを作製した。この配合ゴムを用い、ダイ・スウェルを測定した。
更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫し加硫物を得た後、物性測定を行った。各種配合物の物性の測定結果を表7に示した。
【0148】
(比較例7)
比較例5に従って合成した未変性ポリブタジエンを用いて、比較例6と同様に表6に示す配合処方に従ってブタジエン重合体組成物を調製した。各種配合物の物性の測定結果を表7に示した。
【0149】
(実施例29)
実施例28に従って合成した変性ポリブタジエンを用いて、比較例6と同様に表6に示す配合処方に従ってブタジエン重合体組成物を調製した。各種配合物の物性の測定結果を表7に示した。
【0150】
【表5】
【0151】
配合処方を表6に示す。
【0152】
【表6】
【0153】
得られた配合物の評価結果を表7に示す。
【0154】
【表7】
【0155】
表7に示すとおり、実施例28で得られる変性ブタジエン重合体を用いた実施例29の組成物は、加工性、反発弾性に優れ、さらに、耐摩耗性と耐亀裂成長性が著しく向上している。また、低発熱性に優れ、エネルギーロスが少ないことが明らかである。