(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダイヤフラムは、前記第1バルブ室の圧力が前記第2バルブ室の圧力以下になったとき、前記第2の弁座から離間して前記第3通気孔を開放し、前記第1の弁座に接触する、請求項1に記載のバルブ。
前記ダイヤフラムのヤング率をEとし、前記ダイヤフラムのポアソン比をvとし、前記ダイヤフラムにおいて前記第1バルブ室の圧力を受ける部分の半径をaとし、前記ダイヤフラムの厚みをtとし、前記ダイヤフラムの中心軸から前記第3通気孔の外周のうち最も遠い外周点までの距離をrとし、前記与圧をP3とし、前記ダイヤフラムにおける前記外周点軸上の地点から前記第2の弁座までの距離をyとしたとき、
y<3/16×((1−v2)/(E×t3))×P3×(r2−a2)2の関係を満たす、請求項1又は2に記載のバルブ。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、バルブを備える流体制御装置が開示されている。
【0003】
図17は、特許文献1に係る流体制御装置900の要部の断面図である。流体制御装置900は、圧電ポンプ10とバルブ901とカフ109とを備える。
【0004】
流体制御装置900は、被検者の血圧を測定する装置である。圧電ポンプ10の上面がバルブ901の底面に接合されることにより、バルブ901が圧電ポンプ10に接続される。そして、バルブ901のカフ接続口106Aには、カフ109が接続されている。カフ109は、空気を貯蔵できる可撓性の容器である。圧電ポンプ10の詳細は、後述する。
【0005】
バルブ901は、
図17に示すように、第1弁筐体991と、長方形状の薄膜からなるダイヤフラム920と、第2弁筐体992とを備えている。
【0006】
第1弁筐体991は、圧電ポンプ10の吐出孔56に連通する第1通気孔910と、圧電ポンプ10の吐出孔55に連通する第1通気孔911と、ダイヤフラム920側へ突出した円柱状の弁座938と、を有する。
【0007】
第2弁筐体992は、カフ109に連通する第2通気孔912と、流体制御装置900外部に連通する第3通気孔913と、第3通気孔913の周囲からダイヤフラム920側へ突出した弁座939と、を有する。弁座939は中央部に第3通気孔913を有する円筒形状である。
【0008】
ダイヤフラム920には、弁座938に対向する領域の中心部に円形の開口部921が設けられている。ダイヤフラム920は、ダイヤフラム920の一部が弁座939を与圧して接触し、ダイヤフラム920における開口部921の周囲が弁座938を与圧して接触するよう、第2弁筐体992および第1弁筐体991に挟持(固定)されている。
【0009】
これにより、ダイヤフラム920は、第2弁筐体992及び第1弁筐体991内を分割する。ダイヤフラム920は、第1通気孔911に連通する下バルブ室931と、連通路135を介して第2通気孔912に連通する上バルブ室933とを、第2弁筐体992及び第1弁筐体991とともに構成する。
【0010】
また、ダイヤフラム920は、第1通気孔910に連通する下バルブ室932と、連通路135を介して上バルブ室933に連通する上バルブ室934とを、第2弁筐体992及び第1弁筐体991とともに構成する。
【0011】
次に、血圧測定時における流体制御装置900の動作について説明する。
【0012】
図18は、
図17に示す圧電ポンプ10が駆動している間における流体制御装置900の空気の流れを示す説明図である。
図19は、
図17に示す圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、流体制御装置900の空気の流れを示す説明図である。
図20は、
図17に示すバルブ901に備えられる上バルブ室934の圧力変化と下バルブ室932の圧力変化とを示す図である。
【0013】
流体制御装置900は、血圧の測定を開始するとき、まず圧電ポンプ10を駆動させる。圧電ポンプ10が駆動すると、まず空気が開口部92及び吸引孔52から圧電ポンプ10内のポンプ室45に流入する。次に、空気が吐出孔55、56から吐出され、バルブ901の下バルブ室932、931の両方に流入する。
【0014】
これにより、排気弁170では、下バルブ室932の圧力P2が上バルブ室934の圧力P1より高くなる(
図20参照)。このため、
図18に示すように、ダイヤフラム920が第3通気孔913をシールして第2通気孔912と第3通気孔913との連通を遮断する。
【0015】
また、逆止弁160では、下バルブ室931の圧力P2が上バルブ室933の圧力P1より高くなる(
図20参照)。このため、ダイヤフラム920における開口部921の周囲が弁座938から離間し、第1通気孔911と第2通気孔912とが開口部921を介して連通する。
【0016】
この結果、空気が圧電ポンプ10からバルブ901の第1通気孔911と、開口部921と、第2通気孔912と、を経由してカフ109へ送出され(
図6参照)、カフ109内の圧力(空気圧)が高まる。
【0017】
次に、圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、流体制御装置900の空気の流れを説明する。
【0018】
血圧の測定が終了すると、流体制御装置900は、圧電ポンプ10の駆動を停止する。ここで、圧電ポンプ10の駆動が停止すると、ポンプ室45と下バルブ室931と下バルブ室932の空気は、圧電ポンプ10の吸引孔52および開口部92から流体制御装置900の外部へ速やかに排気される。また、上バルブ室933と上バルブ室934には、カフ109の圧力が第2通気孔912から加わる。
【0019】
この結果、逆止弁160では、下バルブ室932の圧力P2が上バルブ室934の圧力P1より低下する。ダイヤフラム920は、弁座938に当接して開口部921をシールする。
【0020】
また、排気弁170では、下バルブ室932の圧力P2が上バルブ室934の圧力P1より低下する。ダイヤフラム920は、弁座939から離間して第3通気孔913を開放する。
【0021】
即ち、バルブ901では、第2通気孔912と第3通気孔913とが連通路135及び上バルブ室934を介して連通する。これにより、カフ109の空気が第2通気孔912、連通路135及び上バルブ室934を経由して第3通気孔913から急速に排気される(
図19参照)。
【0022】
従って、この特許文献1のバルブ901によれば、カフ109に圧縮空気を充填した後、カフ109から空気を急速排気することができる(
図20参照)。これにより、カフ109が急速に萎むため、次回の血圧の測定をすぐに開始できる状態となる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の第1実施形態に係る血圧計装置100について説明する。
【0050】
図1は、本発明の第1実施形態に係る血圧計装置100の要部の断面図である。血圧計装置100は、圧電ポンプ10とバルブ101とカフ109とを備える。血圧計装置100は、被検者の血圧を測定する装置である。圧電ポンプ10の上面がバルブ101の底面に接合されることにより、バルブ101が圧電ポンプ10に接続されている。
【0051】
バルブ101には、カフ109の腕帯ゴム管109Aに連通させるカフ接続口106Aが設けられている。カフ109の腕帯ゴム管109Aがバルブ101のカフ接続口106Aに装着されることにより、血圧計装置100がカフ109に接続される。カフ109は、空気を貯蔵できる可撓性の容器である。
【0052】
なお、カフ109が本発明の「容器」の一例に相当する。
【0053】
ここで、圧電ポンプ10とバルブ101との構造について詳述する。まず、
図1、
図2を用いて圧電ポンプ10の構造について詳述する。
【0054】
図2は、
図1に示す圧電ポンプ10の分解斜視図である。圧電ポンプ10は、基板91、可撓板51、スペーサ53A、補強板43、振動板ユニット60、圧電素子42、スペーサ53B、電極導通用板70、スペーサ53C及び蓋板54を備え、これらが順に積層された構造を有する。
【0055】
なお、基板91、可撓板51、スペーサ53A、振動板ユニット60の一部、スペーサ53B、電極導通用板70、スペーサ53C及び蓋板54は、ポンプ筐体80を構成している。そして、ポンプ筐体80の内部空間がポンプ室45に相当する。
【0056】
振動板ユニット60は、振動板41、枠板61、連結部62及び外部端子63によって構成される。振動板ユニット60は、金属板に対して打ち抜き加工を施すことにより形成されている。
【0057】
振動板41の周囲には枠板61が設けられている。枠板61には電気的に接続するための外部端子63が設けられている。振動板41は枠板61に対して連結部62で連結されている。連結部62は例えば細い円環状に形成されている。連結部62は、小さなバネ定数の弾性を持つ弾性構造を有している。
【0058】
したがって振動板41は二つの連結部62で枠板61に対して2点で柔軟に弾性支持されている。そのため、振動板41の屈曲振動を殆ど妨げない。すなわち、圧電アクチュエータ40の周辺部が(勿論中心部も)実質的に拘束されていない状態となっている。
【0059】
なお、
図2に示した例では、連結部62が二箇所に設けられているが、三箇所以上に設けられていてもよい。連結部62は、圧電アクチュエータ40の振動を妨げるものではないが、圧電アクチュエータ40の振動に多少の影響を与える。そのため、例えば連結部62が三箇所に設けられることにより、より自然な支持が可能となり、圧電素子42の割れを防止することもできる。
【0060】
円板状の振動板41の上面には圧電素子42が設けられている。振動板41の下面には補強板43が設けられている。振動板41と圧電素子42と補強板43とによって円板状の圧電アクチュエータ40が構成される。圧電素子42は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなる。
【0061】
ここで、振動板41を圧電素子42および補強板43よりも線膨張係数の大きな金属板で形成し、接着時に加熱硬化させてもよい。これにより、圧電アクチュエータ40全体が反ることなく、圧電素子42に適切な圧縮応力を残留させることができ、圧電素子42が割れることを防止できる。
【0062】
例えば、振動板41をリン青銅(C5210)やステンレススチールSUS301など線膨張係数の大きな材料とし、補強板43を42ニッケルまたは36ニッケルまたはステンレススチールSUS430などとするのがよい。
【0063】
なお、振動板41、圧電素子42、補強板43については、上から圧電素子42、補強板43、振動板41の順に配置してもよい。この場合も圧電素子42に適切な圧縮応力が残留するように、補強板43、振動板41を構成する材料を設定にすることで線膨張係数が調整されている。
【0064】
枠板61の上面には、スペーサ53Bが設けられている。スペーサ53Bは樹脂からなる。スペーサ53Bの厚みは圧電素子42の厚みと同じか少し厚い。枠板61は、電極導通用板70と振動板ユニット60とを電気的に絶縁する。
【0065】
スペーサ53Bの上面には、電極導通用板70が設けられている。電極導通用板70は金属からなる。電極導通用板70は、ほぼ円形に開口した枠部位71と、この開口内に突出する内部端子73と、外部へ突出する外部端子72とからなる。
【0066】
内部端子73の先端は圧電素子42の表面にはんだで接合される。はんだで接合される位置を圧電アクチュエータ40の屈曲振動の節に相当する位置とすることにより内部端子73の振動は抑制される。
【0067】
電極導通用板70の上面には、スペーサ53Cが設けられている。スペーサ53Cは樹脂からなる。スペーサ53Cは圧電素子42と同程度の厚さを有する。スペーサ53Cは、圧電アクチュエータ40が振動している時に、内部端子73のはんだ部分が、蓋板54に接触しないようにするためのスペーサである。
【0068】
また、圧電素子42表面が蓋板54に過度に接近して、空気抵抗により振動振幅が低下することを防止する。そのため、スペーサ53Cの厚みは、圧電素子42と同程度の厚みであればよい。
【0069】
スペーサ53Cの上面には、蓋板54が設けられている。蓋板54には吐出孔55、56が設けられている。蓋板54は、圧電アクチュエータ40の上部を覆う。
【0070】
一方、振動板ユニット60の下面には、スペーサ53Aが設けられている。即ち、可撓板51の上面と振動板ユニット60の下面との間に、スペーサ53Aが挿入されている。スペーサ53Aは、補強板43の厚みに数10μm程度加えた厚みを有する。スペーサ53Aは、圧電アクチュエータ40が振動している時に、圧電アクチュエータ40が、可撓板51に接触しないようにするためのスペーサである。
【0071】
スペーサ53Aの下面には、可撓板51が設けられている。可撓板51の中心には吸引孔52が設けられている。
【0072】
可撓板51の下面には、基板91が設けられている。基板91の中央部には円柱形の開口部92が形成されている。可撓板51は、基板91に固定された固定部57と、固定部57より中心側に位置し、開口部92に面する可動部58と、を有する。
【0073】
可動部58は、圧電アクチュエータ40の振動に伴う空気の圧力変動により、圧電アクチュエータ40と実質的に同一周波数で振動することができる。可動部58の固有振動数は、圧電アクチュエータ40の駆動周波数と同一か、やや低い周波数になるように設計している。
【0074】
可撓板51の振動位相が圧電アクチュエータ40の振動位相よりも遅れた(例えば90°遅れの)振動に設計すれば、可撓板51と圧電アクチュエータ40との間の隙間の厚さ変動が実質的に増加する。
【0075】
従って、外部端子63、72に交流の駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ40が同心円状に屈曲振動する。さらに、圧電アクチュエータ40の振動に伴って可撓板51の可動部58も振動する。
【0076】
これにより、圧電ポンプ10は、開口部92及び吸引孔52を介して空気をポンプ室45へ吸引する。さらに、圧電ポンプ10は、ポンプ室45の空気を吐出孔55、56から吐出する。
【0077】
このとき、圧電ポンプ10では、圧電アクチュエータ40の周辺部が実質的に固定されていない。そのため、圧電ポンプ10によれば、圧電アクチュエータ40の振動に伴う損失が少なく、小型・低背でありながら高い吐出圧力と大きな吐出流量が得られる。
【0078】
次に、
図1、
図3、
図4を用いてバルブ101の構造について詳述する。
【0079】
図3、
図4は、
図1に示すバルブ101の分解斜視図である。
図3は、当該バルブ101を、カフ109と接続する上面側から見た分解斜視図であり、
図4は、当該バルブ101を、圧電ポンプ10と接合する底面側から見た分解斜視図である。
【0080】
ここで、
図3には、Z軸方向、Y軸方向、およびX軸方向を記載している。Z軸方向は、バルブ101を構成する部材の積層方向を示している。X軸方向は、逆止弁160、連通路135、及び排気弁170の配設方向を示している。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向に対して垂直な方向を示している。
【0081】
なお、本発明の「第1バルブ室」の一例が下バルブ室131及び下バルブ室132に相当する。また、本発明の「第2バルブ室」の一例が上バルブ室133及び上バルブ室134に相当する。また、本発明の「第1の弁座」の一例が弁座138に相当する。また、本発明の「第2の弁座」の一例が弁座139に相当する。
【0082】
バルブ101は、
図1、
図3、
図4に示すように、第1弁筐体191と、長方形状の薄膜からなる
第1シール材151と、長方形状の薄膜からなるダイヤフラム120と、長方形状の薄膜からなる
第2シール材152と、第2弁筐体192とを備え、それらが順に積層された構造を有している。
【0083】
第2弁筐体192は、
図1、
図3、
図4に示すように、カフ109の内部空間に連通する第2通気孔112と、血圧計装置100外部に連通する第3通気孔113と、第3通気孔113の周囲からダイヤフラム120側へ突出した弁座139と、6つの開口部182と、を有する。第2弁筐体192は、例えば樹脂からなる。弁座139は中央部に第3通気孔113を有する円筒形状である。
【0084】
第2弁筐体192の6つの開口部182は、Z軸方向から平面視して後述する下バルブ室131及び下バルブ室132よりも周縁側に設けられている。6つの開口部182に関して、このうち3つの開口部182が、X軸方向に沿って配設されている。
【0085】
他の3つの開口部182は、下バルブ室131及び下バルブ室132を挟んで先に記述した3つの開口部182と反対側に、先に記述した3つの開口部182と並列になるようにX軸方向に沿って配設されている。
【0086】
第1弁筐体191の底面には、
図1に示すように、圧電ポンプ10の上面が接着されている。第1弁筐体191は、
図1、
図3、
図4に示すように、圧電ポンプ10の吐出孔56に連通する第1通気孔110と、圧電ポンプ10の吐出孔55に連通する第1通気孔111と、ダイヤフラム120側へ突出した弁座138と、6つの開口部182に対向する6つの第1突出部180と、を有する。
【0087】
第1弁筐体191は、例えば樹脂からなる。弁座138は、円柱形状である。第1弁筐体191の6つの第1突出部180は、Z軸方向から平面視して後述する上バルブ室133及び上バルブ室134よりも周縁側に設けられている。
【0088】
さらに、第1弁筐体191は、Z軸方向から平面視して6つの第1突出部180より周縁側に6つの第2突出部181を有する。
【0089】
6つの第2突出部181は、6つの第1突出部180が6つの開口部182に嵌め合わされた状態で、Z軸方向から平面視して第2シール材152、ダイヤフラム120、及び第1シール材151よりも周縁側に設けられている。
【0090】
ダイヤフラム120には、
図1、
図3、
図4に示すように、弁座138に対向する領域の中心部に円形の開口部121が設けられている。開口部121の直径は、ダイヤフラム120に当接する弁座138の面の直径よりも小さく設けられている。
【0091】
ダイヤフラム120の外周は、第2弁筐体192と第1弁筐体191のそれぞれの外周より小さい。ダイヤフラム120は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やシリコーンなどのゴムからなる。
【0092】
ダイヤフラム120は、6つの第1突出部180が6つの開口部182に嵌め合わさることによって、第2シール材152および第1シール材151を介して第2弁筐体192および第1弁筐体191に挟持されている。
【0093】
すなわち、ダイヤフラム120は、弁座139と離間し、ダイヤフラム120における開口部121の周囲が弁座138を与圧して接触するよう、第2弁筐体192および第1弁筐体191に固定されている。
【0094】
これにより、ダイヤフラム120は、Z軸方向から平面視して第2弁筐体192における6つの開口部182より内側の領域とZ軸方向から平面視して第1弁筐体191における6つの第1突出部180より内側の領域とを覆う。
【0095】
また、ダイヤフラム120は、第2弁筐体192及び第1弁筐体191内を分割する。これにより、ダイヤフラム120は、第1通気孔111に連通する円環状の下バルブ室131と、連通路135を介して第2通気孔112に連通する円柱状の上バルブ室133とを、第2弁筐体192及び第1弁筐体191とともに構成する。
【0096】
また、ダイヤフラム120は、第1通気孔110に連通する円柱状の下バルブ室132と、連通路135を介して上バルブ室133に連通する円環状の上バルブ室134とを、第2弁筐体192及び第1弁筐体191とともに構成する。
【0097】
また、ダイヤフラム120は、逆止弁160を、第2弁筐体192及び第1弁筐体191とともに構成する。また、ダイヤフラム120は、排気弁170を、第2弁筐体192及び第1弁筐体191とともに構成する。
【0098】
なお、逆止弁160と連通路135と排気弁170とは、X軸方向に沿って設けられている。
【0099】
第2シール材152には、上バルブ室133、連通路135及び上バルブ室134に面する領域に第2貫通孔156A〜156Cが設けられている。第2貫通孔156Aは、例えば上バルブ室133と中心軸を略同じとする円形状である。第2貫通孔156Bは、例えば上バルブ室134と中心軸を略同じとする円形状である。
【0100】
第2貫通孔156A、156Bのそれぞれの直径は例えば6.6mmである。即ち、第2シール材152の外周は、第2弁筐体192と第1弁筐体191のそれぞれの外周より小さい。第2シール材152は、例えば両面テープや接着剤からなる。
【0101】
次に、第1シール材151には、下バルブ室131及び下バルブ室132に面する領域に第1貫通孔155A〜155Cが設けられている。第1貫通孔155Aは、例えば下バルブ室131と中心軸を略同じとする円形状である。第1貫通孔155Bは、例えば下バルブ室132と中心軸を略同じとする円形状である。
【0102】
第1貫通孔155A、155Bのそれぞれの直径は例えば6.6mmである。即ち、第1シール材151の外周は、第2弁筐体192と第1弁筐体191のそれぞれの外周より小さい。第1シール材151は、例えば両面テープや接着剤からなる。
【0103】
第1貫通孔155Aの直径は、弁座138の直径よりも大きく、下バルブ室131の直径よりも小さい。すなわち、第1貫通孔155Aの外周は、弁座138の外周よりも大きく、下バルブ室131の外周よりも小さい。
【0104】
同様に、第1貫通孔155Bの直径は、下バルブ室132の直径よりも小さい。すなわち、第1貫通孔155Bの外周は、下バルブ室132の外周よりも小さい。
【0105】
以上より、バルブ101では、上バルブ室133及び上バルブ室134内に第2シール材152の一部が位置する。同様に、下バルブ室131及び下バルブ室132内に第1シール材151の一部が位置する。
【0106】
次に、逆止弁160は、第1通気孔111を備える第1弁筐体191の一部と、第2通気孔112を備える第2弁筐体192の一部と、ダイヤフラム120における開口部121の周囲と、ダイヤフラム120側へ突出する弁座138と、によって構成されている。逆止弁160は、下バルブ室131側から上バルブ室133側への流体の流れを許可し、上バルブ室133側から下バルブ室131側への流体の流れを遮断する。
【0107】
逆止弁160では、ダイヤフラム120における開口部121の周囲が弁座138に接触することによる与圧と下バルブ室131の圧力と上バルブ室133の圧力とによって、ダイヤフラム120における開口部121の周囲が弁座138に対して接触または離間する。
【0108】
次に、排気弁170は、第1通気孔110を備える第1弁筐体191の一部と、第2通気孔112及び第3通気孔113を備える第2弁筐体192の一部と、ダイヤフラム120の一部と、第3通気孔113の周囲からダイヤフラム120側へ突出する弁座139と、によって構成されている。
【0109】
排気弁170では、下バルブ室132と上バルブ室134との圧力差によってダイヤフラム120の一部が弁座139に対して接触または離間する。
【0110】
なお、このバルブ101では、
図3、
図4に示すように、各バルブ室131、132、133、134のそれぞれの外形が円形状であるため、ダイヤフラム120(特に開口部121付近の周囲)に張力が均等にかかる。
【0111】
このため、ダイヤフラム120の開口部121が弁座138、139に対して傾いた状態で接触したり、ダイヤフラム120の開口部121が弁座138、139に対して水平方向にずれたりすることが抑制される。したがって、このバルブ101によれば、それぞれの弁の開閉をより確実に行うことができる。
【0112】
なお、
図1に示すように、ダイヤフラム120のヤング率をEとし、ダイヤフラム120のポアソン比をvとし、ダイヤフラム120において下バルブ室132の圧力を受ける部分の半径をaとし、ダイヤフラム120の厚みをtとし、ダイヤフラム120の中心軸Cから第3通気孔113の外周のうち最も遠い外周点までの距離をrとし、圧力差Pがかかった時のダイヤフラム120における前記外周点軸上の地点Sの膨らみ量をwとしたとき、w=3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P×(r
2−a
2)
2の関係を満たす(参考文献:井上達雄著、『弾性力学の基礎』、日刊工業新聞社、1979年3月発行)。
【0113】
このとき、バルブ101は、与圧をP3とし、ダイヤフラム120における前記外周点軸上の地点Sから弁座139までの距離をyとしたとき、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たす。
【0114】
なお、ダイヤフラム120における地点Sが弁座139に接触することで、第3通気孔113は、ダイヤフラム120によって完全に閉塞される。
【0115】
ここで、バルブ101では、
図1に示すように、弁座138がダイヤフラム120を押し込む長さAが、ダイヤフラム120における前記外周点軸上の地点Sから弁座139までの長さyより
長い。これにより、バルブ101は、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たしている。
【0116】
そのため、バルブ101は、血圧測定時において、
図1、
図5〜
図7に示す空気の流れ及び
図8に示す圧力変化を実現することができる。
【0117】
図5は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動を開始した直後における、血圧計装置100の空気の流れを示す説明図である。
図6は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動している間における血圧計装置100の空気の流れを示す説明図である。
図7は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、血圧計装置100の空気の流れを示す説明図である。
図8は、
図1に示すバルブ101に備えられる上バルブ室134の圧力変化と下バルブ室132の圧力変化とを示す図である。
【0118】
なお、
図8では、血圧の測定を2回行う様子がグラフで示されている。
図8のTaは、圧電ポンプ10が1回目の駆動を開始してから、下バルブ室132の圧力P2が与圧P3以上になるまで(すなわち、逆止弁160が開くまで)の時間を示している。
図8のTbは、圧電ポンプ10が2回目の駆動を開始してから、下バルブ室132の圧力P2が与圧P3以上になるまで(すなわち、逆止弁160が開くまで)の時間を示している。
【0119】
まず、圧電ポンプ10が駆動を開始した直後における、血圧計装置100の空気の流れについて、
図5、
図8を用いて説明する。
【0120】
血圧計装置100は、血圧の測定を開始するとき、圧電ポンプ10を駆動する。圧電ポンプ10が駆動すると、まず空気が開口部92及び吸引孔52から圧電ポンプ10内のポンプ室45に流入する。次に、空気が吐出孔55、56から吐出され、バルブ101の下バルブ室132及び下バルブ室131の両方に流入する。
【0121】
これにより、排気弁170では、下バルブ室132の圧力P2が上バルブ室134の圧力P1より高く与圧P3未満になったとき(詳述すると、下バルブ室132の圧力P2が
図8に示す閉弁圧P4以上与圧P3未満になったとき)、
図5に示すように、ダイヤフラム120が弁座139に接触する。
【0122】
これにより、排気弁170では、ダイヤフラム120が第3通気孔113を塞ぎ、第2通気孔112と第3通気孔113とが連通しなくなる。すなわち、排気弁170が閉じる。
【0123】
次に、圧電ポンプ10が駆動している間における血圧計装置100の空気の流れについて、
図6、
図8を用いて説明する。
【0124】
排気弁170が閉じた後、下バルブ室132の圧力P2が与圧P3以上になったとき(
図8参照)、逆止弁160では、
図6に示すように、ダイヤフラム120における開口部121の周囲が弁座138から離間する。これにより、第1通気孔111と第2通気孔112とが開口部121を介して連通する。すなわち、逆止弁160が開く。
【0125】
この結果、空気が圧電ポンプ10からバルブ101の第1通気孔111と、開口部121と、第2通気孔112と、を経由してカフ109へ送出され(
図6参照)、カフ109内の圧力(空気圧)が高まる。
【0126】
なお、ダイヤフラム120は、ダイヤフラム120の開口部121の周囲が弁座138に接触するよう第2弁筐体192及び第1弁筐体191に固定されている。そして、この弁座138は、ダイヤフラム120における開口部121の周囲を与圧している。
【0127】
これにより、バルブ101の第1通気孔111を経由して開口部121から流出する空気は、圧電ポンプ10の吐出圧力より若干低い圧力となって、開口部121から上バルブ室133及び上バルブ室134に流入する。一方、下バルブ室132には圧電ポンプ10の吐出圧力が加わる。
【0128】
この結果、バルブ101では、
図8に示すように、下バルブ室132の圧力P2が上バルブ室134の圧力P1より若干勝り、ダイヤフラム120が第3通気孔113をシールして開口部121を開放した状態が維持される。
【0129】
次に、圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、血圧計装置100の空気の流れについて、
図7、
図8を用いて説明する。
【0130】
血圧の測定が終了すると、血圧計装置100は、圧電ポンプ10の駆動を停止する。ここで、圧電ポンプ10の駆動が停止すると、ポンプ室45と下バルブ室131と下バルブ室132の空気は、圧電ポンプ10の吸引孔52および開口部92から血圧計装置100の外部へ速やかに排気される。また、上バルブ室133、134には、カフ109の圧力が第2通気孔112から加わる。
【0131】
この結果、逆止弁160では、下バルブ室132の圧力P2が上バルブ室134の圧力P1より低下する。これにより、ダイヤフラム120は、弁座138に当接して開口部121をシールする。
【0132】
また、排気弁170では、下バルブ室132の圧力P2が上バルブ室134の圧力P1より低下する。これにより、ダイヤフラム120は、弁座139から離間して第3通気孔113を開放する。
【0133】
即ち、バルブ101では、第2通気孔112と第3通気孔113とが連通路135及び上バルブ室134を介して連通する。これにより、カフ109の空気が第2通気孔112、連通路135及び上バルブ室134を経由して第3通気孔113から急速に排気される(
図7参照)。これにより、カフ109が急速に萎むため、次回の血圧の測定をすぐに開始できる状態となる。
【0134】
このとき、バルブ101では、ダイヤフラム120は、弁座139から離間するよう第2弁筐体192および第1弁筐体191に固定されているため、第3通気孔113を閉塞しない。すなわち、バルブ101は、第2通気孔112および第3通気孔113が連通した状態を維持する。
【0135】
そのため、バルブ101では、カフ109内の圧力が大気圧になるまでカフ109内の空気が完全に排気される。よって、バルブ101では、特許文献1のバルブ901のように、カフ109内に残る圧力分の誤差が生じない。
【0136】
したがって、バルブ101によれば、カフ109内に圧縮空気を充填でき、カフ109内の圧力が大気圧になるまでカフ109内から空気を排気することができる。
【0137】
また、ダイヤフラム120が弁座139から離れる排気時に、ダイヤフラム120の振動が排気音として生じる。弁座139の開弁圧が高い程(即ちダイヤフラム120の張力が高い程)、ダイヤフラム120の振動が大きくなり、大きな排気音が生じる。
【0138】
この構成のバルブ101では、弁座139の開弁圧がゼロである。そのため、この構成のバルブ101は、排気時の排気音を抑制することができる。
【0139】
また、バルブ101では前述したように、下バルブ室131及び下バルブ室132内に第1シール材151の一部が位置し、上バルブ室133及び上バルブ室134内に第2シール材152の一部が位置する。
【0140】
そのため、第2シール材152及び第1シール材151は、第2弁筐体192、第1弁筐体191及びダイヤフラム120の接着と、各バルブ室131、132、133、134内に存在する異物の捕捉とを行うことができる。
【0141】
したがって、バルブ101によれば、例えばバルブ101内に異物が混入したとしても、異物による誤動作を抑制することができる。特に排気弁170においては、異物による弁座139の第3通気孔113の閉塞を抑制することができる。
【0142】
また、この実施形態のバルブ101を備える血圧計装置100にも同様の効果を奏する。
【0143】
以下、本発明の第1実施形態に係るバルブ101(
図1参照)と特許文献1に係るバルブ901(
図17参照)とを比較する。
【0144】
なお、バルブ101がバルブ901と相違する点は主に、ダイヤフラム120が、弁座139と離間し、ダイヤフラム120における開口部121の周囲が弁座138を与圧して接触するよう、第2弁筐体192および第1弁筐体191に固定されている点である。
【0145】
詳述すると、バルブ101がバルブ901と相違する点は、バルブ101が、前述したように、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たしている点である。
【0146】
図9は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、バルブ101の上バルブ室134の圧力変化と、特許文献1に係るバルブ901の上バルブ室934の圧力変化とを示す図である。
図10は、
図9に示すグラフの一部を拡大した図である。
【0147】
図9、
図10は、容量50ccのカフ109内に圧縮空気を100mmHgまで充填し、圧電ポンプ10の駆動を停止した直後に、バルブ101の上バルブ室134の圧力変化と、特許文献1に係るバルブ901の上バルブ室934の圧力変化とを測定した実験結果を示している。
【0148】
実験により、
図10に示すように、バルブ901ではカフ109内の圧力が大気圧より高いまま残るのに対し、バルブ101では、カフ109内の圧力が大気圧になるまでカフ109内の空気が完全に排気されることが明らかとなった。
【0149】
以上の結果になった理由は、バルブ901では、カフ109内の圧力が大気圧と等しくなる前に、ダイヤフラム920が弁座939の第3通気孔913を閉塞してしまうためであると考えられる。
【0150】
これに対して、バルブ101では、ダイヤフラム120が、弁座139から離間するよう第2弁筐体192および第1弁筐体191に固定されているためであると考えられる。すなわち、バルブ101では、ダイヤフラム120が、第3通気孔113を閉塞せず、第2通気孔112および第3通気孔113が連通した状態を維持するためであると考えられる。
【0151】
したがって、本実施形態のバルブ101によれば、カフ109内に圧縮空気を充填でき、カフ109内の圧力が大気圧になるまでカフ109内から空気を排気することができる。
【0152】
以下、本発明の第2実施形態に係る血圧計装置200について説明する。
【0153】
図11は、本発明の第2実施形態に係る血圧計装置200の要部の断面図である。
【0154】
血圧計装置200が血圧計装置100と相違する点は、バルブ201が備える第2弁筐体292および第1弁筐体291である。その他の構成については同じであるため、説明を省略する。
【0155】
バルブ201では、上バルブ室233の径Cより
上バルブ室234の径Dの方が大きく、下バルブ室231の径Cより下バルブ室232の径Dの方が大きい。そのため、バルブ201では、ダイヤフラム120における第3通気孔113の中心軸上の地点は、開口部121の中心より大きく変位する。
【0156】
この構造により、バルブ201は、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たしている。そのため、バルブ201においても、ダイヤフラム120は、下バルブ室231、232の圧力P2が上バルブ室233、234の圧力P1より高く与圧P3未満になったとき、弁座139と接触して第3通気孔113を閉塞し、下バルブ室231、232の圧力P2が与圧P3以上になったとき、弁座138から離間する。
【0157】
そして、圧電ポンプ10が駆動を停止し、下バルブ室231、232の圧力P2が上バルブ室233、234の圧力P1以下となったとき、ダイヤフラム120は、弁座139から離間し、弁座138に接触する
図11に示す状態に戻る。
【0158】
したがって、バルブ201は、バルブ101と同様の効果を奏する。また、バルブ201を備える血圧計装置200も、血圧計装置100と同様の効果を奏する。
【0159】
以下、本発明の第3実施形態に係る血圧計装置300について説明する。
【0160】
図12は、本発明の第3実施形態に係る血圧計装置300の要部の断面図である。
【0161】
血圧計装置300が血圧計装置100と相違する点は、バルブ301が備える第1弁筐体391及び圧電ポンプ310である。
【0162】
バルブ301の第1弁筐体391がバルブ101の第1弁筐体191と相違する点は、下バルブ室132と下バルブ室131とを区切る壁部185及び第1通気孔110(
図1、
図3参照)を有さない点である。そのため、バルブ301では、ダイヤフラム120の中心が最も変位する。
【0163】
また、圧電ポンプ310も、吐出孔56を有さない点で圧電ポンプ10と相違する。
【0164】
以上、その他の構成については同じであるため、説明を省略する。
【0165】
バルブ301では、弁座139が囲む第3通気孔113の中心軸とダイヤフラム120の中心軸との距離Fは、弁座138と接触する開口部121の中心軸とダイヤフラム120の中心軸との距離Eより短い。そのため、バルブ301では、ダイヤフラム120における第3通気孔113の中心軸上の地点は、開口部121の中心より大きく変位する。
【0166】
この構造により、バルブ301は、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たしている。そのため、バルブ301においても、ダイヤフラム120は、下バルブ室331の圧力P2が上バルブ室133、134の圧力P1より高く与圧P3未満になったとき、弁座139と接触して第3通気孔113を閉塞し、下バルブ室331の圧力P2が与圧P3以上になったとき、弁座138から離間する。
【0167】
そして、圧電ポンプ310が駆動を停止し、下バルブ室331の圧力P2が上バルブ室133、134の圧力P1以下となったとき、ダイヤフラム120は、弁座139から離間し、弁座138に接触する
図12に示す状態に戻る。
【0168】
したがって、バルブ301は、バルブ101と同様の効果を奏する。また、バルブ301を備える血圧計装置300も、血圧計装置100と同様の効果を奏する。
【0169】
以下、本発明の第4実施形態に係る血圧計装置400について説明する。
【0170】
図13は、本発明の第4実施形態に係る血圧計装置400に含まれるバルブ401の外観斜視図である。
図14は、
図13に示す第2弁筐体492の正面図である。
図15は、
図14に示すS−S線の断面図である。
図16は、
図14に示すT−T線の断面図である。
図14、
図15の断面においては、バルブ401だけでなく、血圧計装置400全体を示している。
【0171】
血圧計装置400が血圧計装置100と相違する点は主に、バルブ401が備える第1弁筐体491、第2弁筐体492、及びダイヤフラム420である。
【0172】
バルブ401の第1弁筐体491がバルブ101の第1弁筐体191と相違する点は、
図14〜
図16に示すように、下バルブ室132と下バルブ室131とを区切る壁部185及び第1通気孔110(
図1、
図3参照)を有さない点である。そして、第1弁筐体491は、第1通気孔411を有する。そのため、バルブ401では、ダイヤフラム420の中心が最も変位する。
【0173】
また、バルブ401の第2弁筐体492がバルブ101の第2弁筐体192と相違する点は、
図13、
図14、
図16に示すように、第3通気孔413A、413B及び弁座439A、439Bを有する点である。各弁座439A、439Bは、弁座139と同じ形状である。各第3通気孔413A、413Bは、第3通気孔113と同じ形状である。
【0174】
すなわち、第2弁筐体492は、3つの第3通気孔113、413A、413Bを有する。各第3通気孔113、413A、413Bは、ダイヤフラム420の中心軸から等間隔で設けられている。
図16に示すrは、ダイヤフラム420の中心軸から、各第3通気孔113、413A、413Bの外周のうち最も遠い外周点までの距離を表す。
【0175】
また、ダイヤフラム420がダイヤフラム120と相違する点は形状である。ダイヤフラム420は円板形状を有する。ダイヤフラム420は、第1弁筐体491の環状部495上に載置され、第1弁筐体491及び第2弁筐体492に挟持される。
【0176】
すなわち、ダイヤフラム420は、弁座139、439A、439Bと離間し、ダイヤフラム420における開口部121の周囲が弁座138を与圧して接触するよう、第2弁筐体492および第1弁筐体491に接着剤で固定されている。
【0177】
これにより、ダイヤフラム420は、第1通気孔411に連通する下バルブ室431と、第2通気孔112及び第3通気孔113、413A、413Bに連通する上バルブ室433とを、第2弁筐体492及び第1弁筐体491とともに構成する。
【0178】
また、圧電ポンプ310も、吐出孔56を有さない点で圧電ポンプ10と相違する。
【0179】
以上、その他の構成については同じであるため、説明を省略する。
【0180】
バルブ401では、弁座138がダイヤフラム420を押し込む長さAが、ダイヤフラム420における前記外周点軸上の各地点S1、S2、S3から各弁座139、439A、439Bまでの長さyより
長い。この構造により、バルブ401は、y<3/16×((1−v
2)/(E×t
3))×P3×(r
2−a
2)
2の関係を満たしている。
【0181】
そのため、バルブ401においても、ダイヤフラム420は、下バルブ室431の圧力P2が上バルブ室433の圧力P1より高く与圧P3未満になったとき、弁座139、439A、439Bと接触して第3通気孔113、413A、413Bを閉塞し、下バルブ室431の圧力P2が与圧P3以上になったとき、弁座138から離間する。
【0182】
そして、圧電ポンプ310が駆動を停止し、下バルブ室431の圧力P2が上バルブ室433の圧力P1以下となったとき、ダイヤフラム420は、弁座139、439A、439Bから離間し、弁座138に接触する
図15、
図16に示す状態に戻る。
【0183】
したがって、バルブ401は、バルブ101と同様の効果を奏する。さらに、第2弁筐体492が複数の第3通気孔113、413A、413Bを有するため、バルブ401は、バルブ101より排気時間を短縮できる。
【0184】
また、バルブ401を備える血圧計装置400も、同様の効果を奏する。
【0185】
《その他の実施形態》
なお、前述の実施形態では流体として空気を用いているが、これに限るものではなく、当該流体が、空気以外の気体であっても適用できる。
【0186】
また、前述の実施形態では流体制御装置の一例として血圧計装置を示したが、これに限るものではない。血圧計装置以外の流体制御装置においてカフ以外の容器に気体を充填してもよい。
【0187】
また、前述の実施形態におけるポンプは、ユニモルフ型で屈曲振動するアクチュエータ40を備えるが、振動板の両面に圧電素子を貼着してバイモルフ型で屈曲振動するアクチュエータを備えてもよい。
【0188】
また、前述の実施形態における血圧計装置は、圧電素子42の伸縮によって駆動する圧電ポンプ10を備えているが、これに限るものではない。例えば、電磁誘導により駆動する電磁ポンプを備えてもよい。
【0189】
また、前述の実施形態において、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなるが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などからなってもよい。
【0190】
また、前述の実施形態のバルブ101は、第1貫通孔155Aの外周が下バルブ室131の外周よりも小さく、第1貫通孔155Bの外周が下バルブ室132の外周よりも小さい第1シール材151を有しているが(
図1参照)、これに限るものではない。例えば、第1貫通孔155Aの外周が下バルブ室131の外周と等しく、第1貫通孔155Bの外周が下バルブ室132の外周と等しい第1シール材を有していてもよい。
【0191】
同様に、前述の実施形態のバルブ101は、第2貫通孔156Aの外周が上バルブ室133の外周よりも小さく、第2貫通孔156Bの外周が上バルブ室134の外周よりも小さい第2シール材152を有しているが(
図1参照)、これに限るものではない。例えば、第2貫通孔156Aの外周が上バルブ室133の外周と等しく、第2貫通孔156Bの外周が上バルブ室134の外周と等しい第2シール材を有していてもよい。
【0192】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。