(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態
に係る液晶表示装置1のブロック図である。液晶表示装置1は、複数の画素12A及び画
素12Bが規則的に配置された画像表示部と、タイミングジェネレータと、垂直シフトレ
ジスタと、データラッチ回路と、水平ドライバと、センスアンプと、画素読み出し用シフ
トレジスタとから構成される。
【0019】
水平ドライバは、水平シフトレジスタと、ラッチ回路と、レベルシフタ/画素ドライバ
とから構成される。また、画素読み出し用シフトレジスタは、1行分の画素数の半分の画
素数に相当する段数を有するシフトレジスタである。
【0020】
画像表示部は、垂直シフトレジスタに一端が接続されて行方向(X方向)に延在するm
本(mは2以上の自然数)の行走査線g1〜gmと、レベルシフタ/画素ドライバに一端
が接続されて列方向(Y方向)に延在するn本(nは2以上の自然数)の列データ線d1
〜dnとが交差する各交差部に設けられ、二次元マトリクス状に配置された、それぞれ(
m×n)/2個ずつの画素12A及び12Bをから構成される(
図1では、画像表示部を
破線で囲んだブロックで示す。)。画素12Aと画素12Bとは、同じ行走査線に接続さ
れた隣接する2つの画素である。画像表示部内の全ての画素12A及び12Bは、一端が
タイミングジェネレータに接続されたトリガパルス用トリガ線trig及びtrigbに
共通接続されている。
【0021】
正転トリガパルス用トリガ線trigが伝送する正転トリガパルスと、反転トリガパル
ス用トリガ線trigbが伝送する反転トリガパルスとは、常に逆論理値の関係(相補的
な関係)にある。
【0022】
タイミングジェネレータは、上位装置から垂直同期信号Vst、水平同期信号Hst、
基本クロックCLKといった外部信号を入力信号として受ける。そしてタイミングジェネ
レータは、これらの外部信号に基づいて、交流化信号FR、VスタートパルスVST、H
スタートパルスHST、クロック信号VCK及びクロック信号HCK、ラッチパルスLT
、トリガパルスtrig/trigb、画素読み出し用シフトレジスタクロック信号TC
K/TCKbなどの各種の内部信号を生成する。
【0023】
上記の内部信号のうち、交流化信号FRは、1サブフレーム毎に極性反転する信号であ
る。交流化信号FRは、画像表示部を構成する画素12A及び画素12B内の液晶表示素
子の共通電極に、後述する共通電極電圧Vcomとして供給される。スタートパルスVS
Tは、後述する各サブフレームの開始のタイミングで出力されるパルス信号である。この
スタートパルスVSTによって、サブフレームの切替わりが制御される。
【0024】
スタートパルスHSTは、水平シフトレジスタに入力する開始タイミングに出力される
パルス信号である。クロック信号VCKは、垂直シフトレジスタにおける1水平走査期間
(1H)を規定するシフトクロックであり、クロック信号VCKのタイミングにあわせて
垂直シフトレジスタがシフト動作を行う。クロック信号HCKは、水平シフトレジスタに
おけるシフトクロックであり、32ビット幅でデータをシフトしていくための信号である
。ラッチパルスLTは、水平シフトレジスタが水平方向の1行の画素数分のデータをシフ
トし終わったタイミングで出力されるパルス信号である。
【0025】
また、タイミングジェネレータは、正転トリガパルスを、正転トリガパルス用トリガ線
trigを通して、また反転トリガパルスを、反転トリガパルス用トリガ線trigbを
通して画像表示部内の全画素12A及び12Bに供給する。正転トリガパルスと反転トリ
ガパルスとは、画像表示部内の各各画素12A及び12Bに設けられた(
図1では図示を
省略した)第1の信号保持手段に対し順次、データの書き込みが完了された直後に出力さ
れる。そして、そのサブフレーム期間内で、画像表示部内の全画素12A及び12Bの第
1の信号保持手段のデータが同じ画素内の(
図1では図示を省略した)第2の信号保持手
段に一度に転送される。なお、第1の信号保持手段及び第2の信号保持手段については、
後に詳述する。
【0026】
垂直シフトレジスタは、それぞれのサブフレームの最初に供給されるVスタートパルス
VSTを、クロック信号VCKに従って転送する。そして垂直シフトレジスタは、行走査
線g1〜gmに対して行走査信号を1H単位で順次排他的に供給する。また垂直シフトレ
ジスタは、1フレーム期間では全ての行走査線g1〜gmに行走査線を供給する。これに
より、1フレーム期間において、画像表示部において最も上にある行走査線g1から最も
下にある行走査線gmまで、行走査線が1本ずつ順次1H単位で選択されていく。
【0027】
データラッチ回路は、図示しない外部回路から供給される1サブフレーム毎に分割され
た32ビット幅のデータを、上位装置からの基本信号CLKに基づいてラッチした後、基
本信号CLKに同期して水平シフトレジスタへ出力する。
【0028】
ここで、映像信号の1フレームが、その映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を
持つ複数のサブフレームに分割されて、それらサブフレームの組み合わせによって階調表
示が行われる本実施の形態では、前述したような画素と周辺回路の外部にある上位構成回
路において、映像信号の画素毎の階調を示す階調データが、上記複数のサブフレーム全体
で各画素の階調を表示するための各サブフレーム単位の1ビットのサブフレームデータに
変換される。そして、これら画素と周辺回路の外部にある上位構成回路において、更に同
じサブフレームにおける32画素分の上記サブフレームデータをまとめて上記32ビット
幅のデータとしてデータラッチ回路に供給している。
【0029】
水平シフトレジスタは、1ビットシリアルデータの処理系でみた場合、タイミングジェ
ネレータから1Hの最初に供給されるHスタートパルスHSTによりシフトを開始し、デ
ータラッチ回路から供給される32ビット幅のデータをクロック信号HCKに同期してシ
フトする。ラッチ回路は、水平シフトレジスタが画像表示部の1行分の画素数nと同じn
ビット分のデータをシフトし終わった時点で、タイミングジェネレータから供給されるラ
ッチパルスLTに従って、水平シフトレジスタから並列に供給されるnビット分のデータ
(すなわち、同じ行のn画素分のサブフレームデータ)をラッチし、レベルシフタ/画素
ドライバのレベルシフタへ出力する。
【0030】
ラッチ回路へのデータ転送が終了すると、タイミングジェネレータからHスタートパル
スが再び出力され、水平シフトレジスタはクロック信号HCKに従ってデータラッチ回路
からの32ビット幅のデータのシフトを再開する。
【0031】
レベルシフタ/画素ドライバに設けられたレベルシフタは、ラッチ回路によりラッチさ
れて供給される1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータの信号レベルを、液晶
駆動電圧までレベルシフトする。レベルシフタ/画素ドライバに設けられた画素ドライバ
は、レベルシフト後の1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータを、n本の列デ
ータ線d1〜dnに並列に出力する。
【0032】
水平ドライバを構成する水平シフトレジスタ、ラッチ回路、及びレベルシフタ/画素ド
ライバは、1H内において今回データを書き込む画素行に対するデータの出力と、次の1
H内でデータを書き込む画素行に関するデータのシフトとを並行して行う。ある水平走査
期間において、ラッチされた1行分のn個のサブフレームデータが、データ信号としてそ
れぞれn本の列データ線d1〜dnに並列に、かつ、一斉に出力される。
【0033】
ここで、列データ線d1〜dnは、画素検査時は隣接する2本の列データ線単位で用い
られる。隣接する2本のデータ線はセンスアンプに接続されており、微弱な電位信号差を
増幅してVDD、GND信号(ここでは、VDDは電源電圧であり、GNDは基準電圧で
ある。)に変換し、変換された各画素検査信号は、TESTをオン制御することによって
1Hの半分の画素数分の画素検査信号が一斉に画素読み出し用シフトレジスタに格納され
る。その後、TESTをオフ制御し、画素読み出し用シフトレジスタに画素検査信号をラ
ッチする。画素読み出し用シフトレジスタクロック信号TCKは、2本の列データ線毎に
配置されたセンスアンプから入力された信号を転送するためのクロックである。画素読み
出し用シフトレジスタクロック信号TCK/TCKbに従って画素検査された信号がシリ
アルに出力端子TOUTから順次読み出される。
【0034】
画像表示部を構成する複数の画素12A及び12Bのうち、垂直シフトレジスタからの
行走査信号により選択された1行のn/2個ずつの画素12A及び画素12Bは、レベル
シフタ/画素ドライバから一斉に出力された1行分のn個のサブフレームデータをn本の
データ線d1〜dnを介してサンプリングし、各画素12A及び画素12B内の(
図1で
は図示を省略した)後述する第1の信号保持手段に書き込む。
【0035】
次に、本発明の液晶表示装置の要部の画素12A及び画素12Bの各実施の形態につい
て詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明が有する多数の側面のうちの一つの側面を、第1の実施の形態として
図2に示し
、以下に説明する。
図2は液晶表示装置1の各画素を、その周辺回路と共に示した図であ
る。
図2において、画素12A(
図2中では破線で示す。)及び画素12B(
図2中では
破線で示す。)は、
図1中の任意の同じ1本の行走査線gに接続された、列方向に隣接す
る2つの画素であり、画素12Aは任意の1本の列データ線d1と1本の行走査線gとの
交差部に設けられ、画素12Bは上記列データ線d1に隣接する列データ線d2と行走査
線gとの交差部に設けられている。また、列データ線d1と列データ線d2はセンスアン
プに接続されている。センスアンプはd1とd2から入力される微弱な電位差を増幅する
回路である。
【0036】
画素12Aは、第1のスイッチング手段であるスイッチSW11、スイッチSW11の
オン/オフに応じて信号(データ)を保持する第1の保持手段SM121、第2のスイッ
チング手段であるスイッチSW12、スイッチSW12のオン/オフに応じて信号を保持
する第2の保持手段である容量C11、画素電極である反射電極PE1と液晶LC1、共
通電極であるCEから構成される。第1の保持手段SM121は、インバータINV11
とインバータINV12とから構成される。スイッチSW11と、第1の保持手段SM1
21は、SRAM(Static Random Access Memory)を構成する(
図2中ではSRAM1
)。スイッチSW12と、容量C11とは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)
を構成する(
図2中ではDM122)。
【0037】
画素12Bは、第1のスイッチング手段であるスイッチSW21、スイッチSW21の
オン/オフに応じて信号(データ)を保持する第1の保持手段SM123、第2のスイッ
チング手段であるスイッチSW22、スイッチSW22のオン/オフに応じて信号を保持
する第2の保持手段である容量C21、画素電極である反射電極PE2と液晶LC2、共
通電極であるCEから構成される。第1の保持手段SM123は、インバータINV21
とインバータINV22とから構成される。スイッチSW21と、第1の保持手段SM1
23は、SRAM(Static Random Access Memory)を構成する(
図2中ではSRAM2
)。スイッチSW22と、容量C21とは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)
を構成する(
図2中ではDM124)。
【0038】
液晶表示素子LMC1及び液晶表示素子LMC2は、離間対向配置された光反射特性を
有する画素電極である反射電極PE1及び反射電極PE2と、光透過性を有する共通電極
CEとの間の空間に、液晶LC1及び液晶LC2が充填封入された構造からなる。
【0039】
スイッチSW11及びスイッチSW21は、ゲートが行走査線gに共通に接続され、ド
レインが列データ線d1及びd2に別々に接続され、ソースがSM121及びSM123
の入力端子に別々に接続されている、各1個のNチャネルMOS型トランジスタ(以下、
NMOSトランジスタという)により構成されている。SM121は、一方の出力端子が
他方の入力端子に接続された2つのインバータINV11及びインバータINV12から
なる自己保持型メモリである。同様にSM123は、一方の出力端子が他方の入力端子に
接続された2つのインバータINV21及びインバータINV22からなる自己保持型メ
モリである。
【0040】
インバータINV11は、その入力端子がインバータINV12の出力端子とスイッチ
SW11を構成するNMOSトランジスタのソースとに接続されている。インバータIN
V12は、その入力端子がスイッチSW12とインバータINV11の出力端子とに接続
されている。同様に、インバータINV21は、その入力端子がインバータINV22の
出力端子とスイッチSW21を構成するNMOSトランジスタのソースとに接続されてい
る。インバータINV22は、その入力端子がスイッチSW22とインバータINV21
の出力端子とに接続されている。
【0041】
インバータINV11、インバータINV12、インバータINV21、及びインバー
タINV22は、いずれも
図3に示すような、互いのゲート同士及びドレイン同士が接続
された、PチャンネルMOS型トランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)PT
r及びNMOSトランジスタNTrとからなるCMOSインバータの構成であるが、それ
ぞれの駆動力が異なるように設計されている。
【0042】
スイッチSW11及びスイッチSW21各々から見てSM121及びSM123を構成
している入力側のインバータINV11及びインバータINV21内のトランジスタは、
スイッチSW11及びSW21各々から見てSM121及びSM123を構成している出
力側のインバータINV12及びインバータINV22内のトランジスタに比較して、駆
動力の大きいトランジスタを用いている。さらにスイッチSW11及びSW21を構成し
ているNMOSトランジスタの駆動力は、インバータINV12及びインバータINV2
2を構成しているNMOSトランジスタの駆動力よりも大きいトランジスタで構成されて
いる。
【0043】
これは、スイッチSW11及びスイッチSW21の入力側の電圧が “H”レベルのと
きにインバータINV11及びインバータINV21の入力側のトランジスタが反転する
電圧以上に達するためには、スイッチSW11及びスイッチSW21に流れる電流が、出
力側のインバータINV12及びインバータINV22のトランジスタを構成するNMO
Sトランジスタを流れる電流よりも大きい必要があるためである。
【0044】
従って、スイッチSW11及びスイッチSW21を構成しているNMOSトランジスタ
の駆動力はインバータINV12及びインバータINV22を構成しているNMOSトラ
ンジスタの駆動力よりも大きく構成するため、これを考慮してスイッチSW11及びスイ
ッチSW21を構成しているNMOSトランジスタのトランジスタサイズと、インバータ
INV12及びインバータINV22を構成しているNMOSトランジスタのトランジス
タサイズとを決める必要がある。
【0045】
スイッチSW12及びスイッチSW22は、それぞれ互いのドレイン同士が接続され、
かつ互いのソース同士が接続されたNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとから
なるトランスミッションゲートの構成とされている。NMOSトランジスタのゲートは正
転トリガパルス用トリガ線trigに接続され、PMOSトランジスタのゲートは反転ト
リガパルス用トリガ線trigbに接続されている。
【0046】
また、スイッチSW12及びスイッチSW22は一方の端子がSM121及びSM12
3にそれぞれ接続され、他方の端子が容量C11及び容量C21と液晶表示素子LCM1
及び液晶表示素子LCM2の反射電極PE1及び反射電極PE2とにそれぞれ接続されて
いる。従って、スイッチSW12及びスイッチSW22はトリガ線trigを介して供給
される正転トリガパルスが“H”レベル(このときは、トリガ線trigbを介して供給
される反転トリガパルスは“L”レベル)のときはオン状態とされ、SM121及びSM
123の記憶データを読み出して容量C11及び容量C21及び反射電極PE1及び反射
電極PE2へ転送する。
【0047】
また、スイッチSW12及びスイッチSW22はトリガ線trigを介して供給される
正転トリガパルスが“L”レベル(このときは、トリガ線trigbを介して供給される
反転トリガパルスは“H”レベル)のときはオフ状態とされ、SM121及びSM123
の記憶データの読み出しは行わない。
【0048】
スイッチSW12及びスイッチSW22はトランスミッションゲートの構成とされてい
るため、
図3に示すGNDからVDDまでの範囲の電圧をオン・オフすることができる。
つまり、トランスミッションゲートを構成するNMOSトランジスタとPMOSトランジ
スタの各ゲートに印加される信号がGND側の電位(“L”レベル)のときは、PMOS
トランジスタが導通することができない代わりに、NMOSトランジスタが低抵抗で導通
することができる。一方、ゲート入力信号がVDD側の電位(“H”レベル)のときはN
MOSトランジスタが導通することができない代わりに、PMOSトランジスタが低抵抗
で導通することができる。
【0049】
従って、トリガ線trigを介して供給される正転トリガパルスと、トリガ線trig
bを介して供給される反転トリガパルスとにより、スイッチSW12及びスイッチSW2
2を構成するトランスミッションゲートをオン/オフ制御することによって、GNDから
VDDまでの電圧範囲を低抵抗/高抵抗でスイッチングすることができる。
【0050】
容量C11はスイッチSW12と共にDM122のDRAMを構成しており、容量C2
1はスイッチSW22と共にDM124のDRAMを構成している。ここで、SM121
及びSM123の記憶データと容量C11及び容量C21の保持データとが異なっていた
場合、スイッチSW12及びスイッチSW22がオンとされ、SM121及びSM123
の記憶データが容量C11及び容量C21へ転送されたときには、容量C11及び容量C
21の保持データがSM121及びSM123の記憶データで置き換えられる必要がある
。
【0051】
容量C11及び容量C21の保持データが書き換わる場合、その保持データは充電、ま
たは放電によって変化し、また容量C11の充放電はインバータINV11の出力信号に
よって、容量C21の充放電はインバータINV21の出力信号によってそれぞれ駆動さ
れる。容量C11及び容量C21の保持データを充電によって“L”レベルから“H”レ
ベルに書き換える場合、インバータINV11及びインバータINV21の出力信号は“
H”であり、このときインバータINV11及びインバータINV21を構成するPMO
Sトランジスタ(
図3のPTr)がオン、NMOSトランジスタ(後述する
図3のNTr
)がオフするため、インバータINV11、インバータINV21のPMOSトランジス
タのソースに接続されている電源電圧VDDによって容量C11、容量C21が充電され
る。
【0052】
一方、容量C11、容量C21の保持データを放電によって“H”レベルから“L”レ
ベルに書き換える場合、インバータINV11及びインバータINV21の出力信号は“
L”レベルであり、このときインバータINV11及びインバータINV21を構成する
NMOSトランジスタ(後述する
図3のNTr)がオン、PMOSトランジスタ(
図3の
PTr)がオフするため、容量C11及び容量C21の蓄積電荷がインバータINV11
及びインバータINV21のNMOSトランジスタ(後述する
図3のNTr)を通してG
NDへ放電される。スイッチSW12及びスイッチSW22は、上述したトランスミッシ
ョンゲートを用いたアナログスイッチの構成であるため、上記の容量C11及び容量C2
1の高速な充放電が可能になる。
【0053】
更に、本実施の形態ではインバータINV11及びインバータINV21の駆動力は、
インバータINV12及びインバータINV22の駆動力よりも大きく設定されているた
め、容量C11及び容量C21を高速に充放電駆動することが可能である。また、スイッ
チSW12及びスイッチSW22をオンにすると、容量C11及び容量C21に蓄えられ
た電荷はインバータINV12及びインバータINV22の入力ゲートにも影響を与える
が、インバータINV12及びインバータINV22に対してインバータINV11及び
インバータINV21の駆動力を大きく設定していることにより、インバータINV12
及びインバータINV22のデータ入力反転よりもインバータINV11及びインバータ
INV21による容量C11、容量C21の充放電が優先され、SM121、SM123
の記憶データを書き換えてしまうことはない。
【0054】
図2に示した本実施の形態の画素12A及び画素12Bによれば、上記のように、液晶
表示素子LCM1及びLCM2の印加電圧を高く設定することができ、ダイナミックレン
ジを大きく取ることが可能になるという効果を得られる。
【0055】
さらに、画素の小型化が可能であるという顕著な効果が得られる。この2つの画素12
A及び12Bの小型化は、
図2に示したように計14個のトランジスタと2つの容量C1
1及び容量C21とから構成され、従来の2つの画素よりも少ない数の構成素子により画
素を構成できるからという理由に加えて、以下に説明するように、SM121、SM12
3、DM122、DM124、反射電極PE1、及び反射電極PE2を、素子の高さ方向
に有効に配置することができるという理由による。
【0056】
図4は、本発明の実施形態に係る画素の断面構成図である。
図2に示した容量C11や
容量C21には、配線間で容量を形成するMIM(Metal−Insulator−Metal)容量や、
基板-ポリシリコン間で容量を形成するDiffusion容量、2層ポリシリコン間で容量を形成
するPIP(Poly−Insulator−Poly)容量などを用いることができる。
図4は、このう
ちMIMにより容量C11を構成した場合の液晶表示装置の断面構成図を示す。なお、図
4は画素12Aの一部の構成断面図を示している。
【0057】
図4において、シリコン基板に形成されたNウェル上に、ドレインとなる拡散層を共通
化することでドレイン同士が接続されたインバータINV11のPMOSトランジスタP
Tr11と、スイッチSW12のPMOSトランジスタTr2とが形成されている。また
、シリコン基板に形成されたPウェル上に、ドレインとなる拡散層を共通化することでド
レイン同士が接続されたインバータINV12のNMOSトランジスタNTr12と、ス
イッチSW12のNMOSトランジスタTr1とが形成されている。なお、
図4にはイン
バータINV11を構成するNMOSトランジスタとインバータINV12を構成するP
MOSトランジスタとは図示されていない。
【0058】
また、上記の各トランジスタPTr11、Tr2、Tr1、NTr12の上方には、層
間絶縁膜をメタル間に介在させて第1メタル、第2メタル、第3メタル、電極、第4メタ
ル、及び第5メタルが積層されている。第5メタルは画素毎に形成される反射電極PEを
構成している。スイッチSW12を構成するNMOSトランジスタTr1及びPMOSト
ランジスタTr2の各ソースを構成する各拡散層は、コンタクトにより第1メタルにそれ
ぞれ電気的に接続され、更に、スルーホールを通して第2メタル、第3メタル、第4メタ
ル、及び第5メタルに電気的に接続されている。すなわち、スイッチSW12を構成する
NMOSトランジスタTr1及びPMOSトランジスタTr2の各ソースは、反射電極P
Eに電気的に接続されている。
【0059】
更に、反射電極PE(第5メタル)上には保護膜としてパッシベーション膜(PSV)
が形成され、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されている。それら画素電極P
E1と共通電極CEとの間に液晶LC1が充填封止されて、液晶表示素子LCM1を構成
している。
【0060】
ここで、第3メタル上には層間絶縁膜を介してMIM電極が形成されている。このMI
M電極は、第3メタル及び第3メタルとMIM電極との間の層間絶縁膜と共に容量C11
を構成している。MIMにより容量C11を構成すると、SM121とスイッチSW11
、スイッチSW12はトランジスタと第1メタル及び第2メタルの各層の配線、DM12
2はトランジスタ上部の第3メタルを利用したMIM配線にて形成することが可能になる
。MIM電極は、スルーホールを介して第4メタルに電気的に接続され、更に第4メタル
はスルーホールを介して反射電極PE1に電気的に接続されているため、容量C11は反
射電極PE1に電気的に接続されている。
【0061】
図4中で図示を省略した光源が照射した光は、共通電極CE及び液晶LC1を透過して
反射電極PE1(第5メタル)に入射して反射され、元の入射経路を逆進して共通電極C
Eを通して射出される。
【0062】
本実施の形態によれば、
図4に示すように、5層配線である第5メタルを反射電極PE
1に割り当てることにより、SM121とDM122の容量部、反射電極PE1を高さ方
向に有効に配置することが可能になり、画素小型化が実現できる。これにより、例えば3
μm以下のピッチの画素を電源電圧3.3Vのトランジスタで構成できる。この3μmピ
ッチの画素では対角の長さ0.55インチの横方向4000画素、縦方向2000画素の
液晶表示パネルを実現できる。
【0063】
次に、本実施の形態の画素12A及び画素12Bを用いた
図1の液晶表示装置1のデー
タ書き込み及び読み出し動作について、
図5のタイミングチャートを併せ参照して説明す
る。前述したように、液晶表示装置1において、垂直シフトレジスタからの行走査信号に
より行走査線g1から行走査線gmに向って、行走査線が1本ずつ順次1H単位で選択さ
れていくため、画像表示部を構成する複数の画素12A及び画素12Bは、選択された行
走査線に共通に接続された1行のn個の画素単位でデータの書き込みが行われる。そして
、画像表示部を構成する複数の画素12A及び画素12Bの全てに書き込みが終わった後
、トリガパルスに基づいて全画素一斉に読み出しが行われる。
【0064】
図5(A)に、水平ドライバから列データ線d1〜dnに出力される1ビットのサブフ
レームデータの一画素の書き込み期間及び読み出し期間を模式的に示す。左下がりの斜線
が書き込み期間を示す。なお、
図5(A)において、B0b、B1b、B2bはビットB
O、B1、B2のデータの反転データであることを示す。
【0065】
また、
図5(B)は、タイミングジェネレータから正転トリガパルス用トリガ線tri
gに出力されるトリガパルスを示す。このトリガパルスは1サブフレーム毎に出力される
。なお、反転トリガパルス用トリガ線trigbに出力される反転トリガパルスは正転ト
リガパルスと常に逆論理値であるのでその図示は省略してある。
【0066】
まず、行走査信号により選択された1行の複数の画素12A及び12Bのうち、画素1
2Aは、スイッチSW11がオン状態とされ、その時列データ線d1に出力される
図5(
A)のビットB0の正転サブフレームデータがスイッチSW11によりサンプリングされ
ることでSM121に書き込まれる。また、画素12Bは、スイッチSW21がオン状態
とされ、その時列データ線d2に出力される
図5(A)のビットB0の正転サブフレーム
データがスイッチSW21によりサンプリングされてSM123に書き込まれる。以下、
同様にして、画像表示部を構成する全ての画素のSM121及びSM123にビットB0
のサブフレームデータの書き込みが行われ、その書き込み動作が終了した後の
図5に示す
時間T1で、
図5(B)に示すように“H”レベルの正転トリガパルスが画像表示部11
を構成する全ての画素12A及び12Bに同時に供給される。
【0067】
これにより、全ての画素12A及び12BのスイッチSW12及びSW22がオン状態
とされるため、SM121及びSM123に記憶されているビットB0の正転サブフレー
ムデータがスイッチSW12を通して容量C11及びC21に一斉に転送されて保持され
ると共に、反射電極PE1及びPE2に印加される。この容量C11及びC21によるビ
ットB0の正転サブフレームデータの保持期間は、時間T1から
図5(B)に示すように
次の“H”レベルの正転トリガパルスが入力される時間T2までの1サブフレーム期間で
ある。
図5(C)は、反射電極PE1及びPE2に印加されるサブフレームデータのビッ
トを模式的に示す。
【0068】
ここで、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわち“H”レベルのときには反
射電極PE1、反射電極PE2には電源電圧VDD(ここでは例えば3.3V)が印加さ
れ、ビット値が「0」、すなわち“L”レベルのときには反射電極PE1及び反射電極P
E2には0Vが印加される。一方、共通電極CEには、GND及びVDDに制限されるこ
となく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、“H”
レベルの正転トリガパルスが入力される時と同時タイミングで規定の電圧に切り替わるよ
うにされている。ここでは、共通電極電圧Vcomは、正転サブフレームデータが反射電
極PE1及び反射電極PE2に印加されるサブフレーム期間は、
図5(D)に示すように
0Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0069】
図2で示した液晶LC1及び液晶LC2は、反射電極PE1及び反射電極PE2の印加
電圧と共通電極電圧Vcomとの差電圧の絶対値である、液晶LC1及び液晶LC2の印
加電圧に応じた階調表示を行う。従って、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電
極PE1及び反射電極PE2に印加される時刻T1〜T2の1サブフレーム期間では、液
晶LC1及び液晶LC2の印加電圧は、
図5(E)に示すように、サブフレームデータの
ビット値が「1」のときは3.3V+Vtt(=3.3V−(−Vtt))となり、サブフ
レームデータのビット値が「0」のときは+Vtt(=0V−(−Vtt))となる。
【0070】
図6に、液晶の印加電圧(RMS電圧)と液晶のグレースケール値との関係を示す。図
6に示すように、グレースケール値曲線は黒のグレースケール値が液晶の閾値電圧Vtt
のRMS電圧に対応し、白のグレースケール値が液晶の飽和電圧Vsat(=3.3V+
Vtt)のRMS電圧に対応するようにシフトされる。グレースケール値を液晶応答曲線
の有効部分に一致させることが可能である。従って、液晶LCは上記のように液晶LCM
の印加電圧が(3.3V+Vtt)のときは白を表示し、+Vttのときは黒を表示する
。
【0071】
続いて、上記のビットB0の正転サブフレームデータを表示しているサブフレーム期間
内において、
図5(A)にB0bで示すようにビットB0の反転サブフレームデータの画
素12A及び画素12BのSM121及びSM123への書き込みが順番に開始される。
そして、画像表示部11の全画素のSM121及びSM123にビットB0の反転サブフ
レームデータが書き込まれ、その書き込み終了後の時刻T2で
図5(B)に示すように“
H”レベルの正転トリガパルスが画像表示部11を構成する全ての画素に同時に供給され
る。
【0072】
これにより、全ての画素12A及び画素12BのスイッチSW12及びスイッチSW2
2がオンとされるため、SM121及びSM123に記憶されているビットB0の反転サ
ブフレームデータがスイッチSW12及びスイッチSW22を通して容量C11及び容量
C21に転送されて保持されると共に、反射電極PE1、反射電極PE2に印加される。
この容量C11及び容量C21によるビットB0の反転サブフレームデータの保持期間は
、時刻T2から
図5(B)に示すように次の“H”レベルの正転トリガパルスが入力され
る時刻T3までの1サブフレーム期間である。ここで、ビットB0の反転サブフレームデ
ータはビットB0の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にあるため、ビットB
0の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」、ビットB0の正転サブフレームデ
ータが「0」のときは「1」である。
【0073】
一方、共通電極電圧Vcomは、反転サブフレームデータが反射電極PE1及び反射電
極PE2に印加されるサブフレーム期間は、
図5(D)に示すように3.3Vよりも液晶
の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。従って、ビットB0の反転サブフレームデ
ータが反射電極PE1及び反射電極PE2に印加される時刻T2〜T3の1サブフレーム
期間では、液晶LC1及び液晶LC2の印加電圧は、サブフレームデータのビット値が「
1」のときは−Vtt(=3.3V−(3.3V+Vtt))となり、サブフレームデータ
のビット値が「0」のときは−3.3V−Vtt(=0V−(3.3V+Vtt))となる
。
【0074】
従って、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「1」であった時は続いて
入力されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値が「0」であるため、液晶L
C1及び液晶LC2の印加電圧は、−(3.3V+Vtt)となり、液晶LC1及び液晶
LC2に印加される電位の方向はビットB0の正転サブフレームデータの時とは逆となる
が絶対値が同じであるため、画素12A及び12BはビットB0の正転サブフレームデー
タ表示時と同じ白を表示する。同様に、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値
が「0」であった時は続いて入力されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値
が「1」であるため、液晶LC1及び液晶LC2の印加電圧は、−Vttとなり、液晶L
C1及び液晶LC2に印加される電位の方向はビットB0の正転サブフレームデータの時
とは逆となるが絶対値が同じであるため、画素12A及び12Bは黒を表示する。
【0075】
従って、画素12A及び画素12Bは
図5(E)に示すように、時刻T1〜時刻T3ま
での2サブフレーム期間は、ビットB0とビットB0の相補ビットB0bとで同じ階調を
表示すると共に、液晶LC1及び液晶LC2の電位方向がサブフレーム毎に反転する交流
駆動が行われるため、液晶LC1及び液晶LC2の焼き付きを防止することができる。
【0076】
続いて、上記の相補ビットB0bの反転サブフレームデータを表示しているサブフレー
ム期間内において、
図5(A)にB1で示すようにビットB1の正転サブフレームデータ
の画素12A及び画素12BのSM121及びSM123への書き込みが順番に開始され
る。そして、画像表示部11の全画素12A及び画素12BのSM121及びSM123
にビットB1の正転サブフレームデータが書き込まれ、その書き込み終了後の時刻T3で
図5(B)に示すように“H”レベルの正転トリガパルスが画像表示部11を構成する全
ての画素に同時に供給される。
【0077】
これにより、全ての画素のスイッチSW12及びSW22がオンとされるため、SM1
21及びSM123に記憶されているビットB1の正転サブフレームデータがスイッチS
W12及びスイッチSW22を通して容量C11、C21に転送されて保持されると共に
、反射電極PE1、PE2に印加される。この容量C11及び容量C21によるビットB
1の正転サブフレームデータの保持期間は、時刻T3から
図5(B)に示すように次の“
H”レベルの正転トリガパルスが入力される時刻T4までの1サブフレーム期間である。
【0078】
一方、共通電極電圧Vcomは、正転サブフレームデータが反射電極PE1及び反射電
極PE2に印加されるサブフレーム期間は、
図5(D)に示すように0Vよりも液晶の閾
値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。従って、ビットB1の正転サブフレームデータ
が反射電極PE1及び反射電極PE2に印加される時刻T3〜T4の1サブフレーム期間
では、液晶LC1、液晶LC2の印加電圧は、
図5(E)に示すように、サブフレームデ
ータのビット値が「1」のときは3.3V+Vtt(=3.3V−(−Vtt))となり、
サブフレームデータのビット値が「0」のときは+Vtt(=0V−(−Vtt))とな
る。
【0079】
続いて、上記のビットB1の正転サブフレームデータを表示しているサブフレーム期間
内において、
図5(A)にB1bで示すようにビットB1の反転サブフレームデータの画
素12A及び画素12BのSM121及びSM123への書き込みが順番に開始される。
そして、画像表示部11の全画素のSM121及びSM123にビットB1の反転サブフ
レームデータが書き込まれ、その書き込み終了後の時刻T4で
図5(B)に示すように“
H”レベルの正転トリガパルスが画像表示部11を構成する全ての画素に同時に供給され
る。
【0080】
これにより、全ての画素12A及び画素12BのスイッチSW12及びスイッチSW2
2がオン状態とされるため、SM121及びSM123に記憶されているビットB1の反
転サブフレームデータがスイッチSW12及びスイッチSW22を通して容量C11及び
C21に転送されて保持されると共に、反射電極PE1及び反射電極PE2に印加される
。この容量C11及び容量C21によるビットB0の反転サブフレームデータの保持期間
は、時刻T4から
図5(B)に示すように次の“H”レベルの正転トリガパルスが入力さ
れる時刻T5までの1サブフレーム期間である。ここで、ビットB1の反転サブフレーム
データはビットB1の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にある。
【0081】
一方、共通電極電圧Vcomは、反転サブフレームデータが反射電極PE1及び反射電
極PE2に印加されるサブフレーム期間は、
図5(D)に示すように3.3Vよりも液晶
の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。従って、ビットB1の反転サブフレームデ
ータが反射電極PE1及び反射電極PE2に印加される時間T4〜時間T5の1サブフレ
ーム期間では、液晶LCの印加電圧は、サブフレームデータのビット値が「1」のときは
−Vtt(=3.3V−(3.3V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が
「0」のときは−3.3V−Vtt(=0V−(3.3V+Vtt))となる。
【0082】
これにより、画素12A及び画素12Bは
図5(E)に示すように、時間T3〜時間T
5までの2サブフレーム期間はビットB1とビットB1の相補ビットB1bとで同じ階調
を表示すると共に、液晶表示素子LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動
が行われるため、液晶LCの焼き付きを防止することができる。
【0083】
以下、上記と同様の動作が繰り返され、本実施の形態の画素12A及び12Bを有する
液晶表示装置によれば、複数のサブフレームの組み合わせによって階調表示を行うことが
できる。
【0084】
なお、ビットB0と相補ビットB0bの各表示期間は同じ第1のサブフレーム期間であ
り、また、ビットB1と相補ビットB1bの各表示期間も同じ第2のサブフレーム期間で
あるが、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間とは同一であるとは限らない
。ここでは、一例として第2のサブフレーム期間は第1のサブフレーム期間の2倍に設定
されている。また、
図5(E)に示すように、ビットB2と相補ビットB2bの各表示期
間である第3のサブフレーム期間は、第2のサブフレーム期間の2倍に設定されている。
他のサブフレーム期間についても同様であり、システムに従って各サブフレーム期間の長
さが所定の長さに決められ、またサブフレーム数も任意の数に決定される。
【0085】
次に、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置1の画素検査の基本動作について、適宜
図2を参照して説明する。まず、画素検査の開始時にある特定の行走査線gに“H”レベ
ルの行走査信号を供給してスイッチSW11及びスイッチSW21をそれぞれオンにする
。また、トリガ線trigとtrigbにそれぞれ“H”レベルのトリガパルス及び“L
”レベルの反転トリガパルスを供給して、スイッチSW12及びスイッチSW22もそれ
ぞれオンにする。
【0086】
次に、列データ線d1に1ビットの検査信号として“L”レベルのデータを供給する。
これにより、画素12AのSM121を構成するインバータINV11の入力端子とイン
バータINV12の出力端子との接続点であるa点に“L”レベルのデータが書き込まれ
、またインバータINV11の出力端子及びインバータINV12の入力端子がスイッチ
SW12を介して容量C11に接続された接続点であるb点に“H”レベルのデータが書
き込まれる。このとき、画素12AのSM121において、インバータINV11を構成
するトランジスタの駆動力が、インバータINV12を構成するトランジスタの駆動力よ
りも大きいため、a点はSM121の入力として、b点はSM121の出力としてそれぞ
れ機能する。ここでスイッチSW12はオン状態となっており、C11も“H”レベルの
データが書き込まれた状態になっている。
【0087】
一方、列データ線d2に1ビットの検査信号として“H”レベルのデータを供給する。
これにより、画素12BのSM123を構成するインバータINV21の入力端子とイン
バータINV22の出力端子との接続点であるc点に“H”レベルのデータが書き込まれ
、またインバータINV21の出力端子及びインバータINV22の入力端子がスイッチ
SW22を介して容量C21に接続された接続点であるd点に“L”レベルのデータが書
き込まれる。このとき、画素12BのSM123において、インバータINV21を構成
するトランジスタの駆動力がインバータINV22を構成するトランジスタの駆動力より
も大きいため、c点はスイッチSM123の入力として、d点はスイッチSM123の出
力としてそれぞれ機能する。ここでスイッチSW22はオンしているため、C21も“L
”レベルのデータが書き込まれた状態になっている。
【0088】
次に、行走査線gを“L”レベルにすると、画素12Aの反射電極PE1と画素12B
の反射電極PE2はそれぞれ入力データを反転した“H”レベルのデータと“L”レベル
のデータがラッチされた状態になる。
【0089】
データの書込みが終わった後、d1とd2に接続されたセンスアンプの入力をnutを
オンすることにより、中間電圧を供給したmidに接続する。これにより、センスアンプ
の入力のd1とd2は中間電圧の1.65Vにプリチャージされる。その後、nutをオ
フする。d1とd2は信号線の容量があるため、1.65Vの電圧が保持される。
【0090】
次に、行走査線gを“H”レベルにすると、画素12Aと画素12Bに書き込まれたデ
ータが信号線d1と信号線d2にそれぞれ出力される。画素12Aと画素12Bは入力と
出力が予め定められたSRAMであるため、d1とd2の信号線に保持されている1.6
5Vが画素12Aと画素12Bに書き込まれることになるが、画素12Aと画素12Bに
書き込まれたデータも信号線d1と信号線d2にそれぞれ出力されることになり、信号線
d1と信号線d2はそれぞれ画素12Aと画素12Bに書き込まれたデータに影響されて
信号線のレベルが変化する。
【0091】
つまり、信号線d1は画素12Aに書き込まれたデータによりインバータINV12に
よって“L”レベルに駆動され、信号線d2は画素12Bに書き込まれたデータによりイ
ンバータINV22によって“H”レベルに駆動される。インバータINV12とインバ
ータINV22の駆動力は非常に小さく信号線容量は大きいため、信号線をそれぞれ“L
”レベルと“H”レベルに駆動するには時間がかかるが、信号線d1と信号線d2がそれ
ぞれわずかに電位差が発生すれば、信号線d1と信号線d2から入力されたセンスアンプ
が電位差を増幅し、“L”レベルに出力される。
【0092】
このセンスアンプによって取り出された信号は、バッファにて信号波形を整形され、画
素読み出し用シフトレジスタの所定の場所に入力される。この後、タイミングジェネレー
タから送られてくるTCK/TCKbの信号に従って、シリアルに出力端子TOUTから
信号を取り出す。
【0093】
以上の画素検査を2つの画素12A及び12Bに対し、列データ線d1から“L”レベ
ルのデータを入力して、列データ線d2から“H”レベルのデータを入力して、それぞれ
の信号を読み出す第1の検査方法と、列データ線d1から“H”レベルのデータを入力し
て、列データ線d2から“L”レベルのデータを入力して、それぞれの信号を読み出す第
2の検査方法との2種類を、タイミングを変えて2回実行する。
【0094】
これにより、画素12A及び画素12Bにおいて“L”レベルの電圧や“H”レベルの
電圧を読み出すことが可能になるため、メモリとしてロジックの画素機能検査が可能にな
る。このとき、例えばプロセスにより、容量C11や容量C21がGNDやVDDに接続
された配線などにショートしていれば、画素検査において任意のデータを読み出すことが
不可能である。またSM121やSM123がショートしていたり、断線していたりして
いた場合においても本発明に係る画素検査において任意のデータを読み出すことが不可能
である。以上のデータ読み出しが不可能な場合は、不良画素が存在する液晶表示装置であ
ると判断して、ビジネス上適切な対応をとることが可能となる。
【0095】
続いて、センスアンプ回路の構成図を
図7に示す。センスアンプ回路は、+/−の2つ
のゲート入力の差電圧を回路内部で増幅して出力する。電圧源回路はセンスアンプに供給
するアナログ電圧を抵抗分割により形成している。なお、センスアンプ回路は
図7の構成
とは限らない。さらにゲインの高い高性能なセンスアンプを用いる場合もありうる。
【0096】
次に、本実施の形態における前述した動作不良に対応した画素検査の動作について、図
1、
図2、及び
図8のタイミングチャートを併せ参照して更に詳細に説明する。
【0097】
画素検査時において、まず、偶数番目の列データ線dev(d2、d4、d6、・・・
、dn)に接続された画素12BをHデータ書込み側とし、奇数番目の列データ線dod
(d1、d3、d5、・・・、dn−1)に接続された画素12AをLデータ書き込み側
とするものとする。この場合、画素検査時の最初の時間t1において、trigが“H”
レベル、trigbが“L”レベルとし、画素12AのSW12、及び画素12BのSW
22がオンに制御される。
【0098】
次に時間t2から時間t3までの間、LTを“H”レベルに制御し、列データ線d1〜
dnに所定のデータを書き込む。このとき、前述したように、偶数番目の列データ線de
v(d2、d4、d6、・・・、dn)に“H”レベルのデータを書込み、奇数番目の列
データ線dod(d1、d3、d5、・・・、dn−1)に“L”レベルのデータを書込
む。時間t2から時間t4において、画像表示部の或る1本の行走査線g1を“H”レベ
ルに制御し、レベルシフタ/画素ドライバから列データ線d1〜dnに書き込まれたデー
タを1行分の画素12Aと画素12Bに書き込む。
【0099】
次に画素に書き込まれたデータの読み出し動作を行う。時間t4.5においてTlat
を“L”レベルにして、全ての列データ線をオープン状態にする。これにより列データ線
d1〜dnは容量のみで電圧が確定される状態となる。
【0100】
時間t5において、奇数番目の列データ線dodと、偶数番目の列データ線devを制
御信号nutを“H”レベルとすることにより、mid信号(1.65V)にショートさ
せる。これにより、列データ線d1とd2は1.65Vとなる。その後、制御信号nut
を“L”レベルとすることにより、全ての列データ線をオープン状態にする。これにより
列データ線d1〜dnは容量のみで1.65Vの電圧が確定されている状態となる。
【0101】
時間t6で行走査線g1を“H”レベルに制御することによって、画素12Aと画素1
2Bに書き込んだデータを読み出す。T6のタイミングで、画素12AのインバータIN
V12によって列データ線d1が駆動され、画素12BのインバータINV22によって
列データ線d2が駆動される。インバータINV12とインバータINV22の駆動力は
非常に小さいものであるため、最初はわずかに列データ線の電位が変動するが、時間をか
けてそれぞれ“L”レベル、“H”レベルのデータとなる。これにより、列データ線d1
は“L”レベル方向に駆動され、列データ線d2は“H”レベル方向に駆動される。
【0102】
このわずかなd1とd2の電圧差をセンスアンプが増幅し、センスアンプの出力に接続
されたバッファに入力される。バッファによってVDD(電源電圧),GND(基準電圧
)レベルにデータが整形される。時間t6でTESTを“H”レベルに制御することによ
って、センスアンプの出力に接続されたバッファの出力e1からenを一斉に画素読み出
し用シフトレジスタにラッチする。時間t7でTESTを“L”レベルにして画素読み出
し用シフトレジスタのラッチを完了する。
【0103】
時間t7から、画素読み出し用シフトレジスタに供給される、互いに逆位相の
図8に示
すクロック信号TCKb及びクロック信号TCKを交互にオン、オフを繰り返す。これに
より、画素読み出し用シフトレジスタに格納された読出し信号のうち、列センスアンプバ
ッファ出力enからの読出し信号から列センスアンプバッファ出力e1からの読出し信号
に向かって順番に出力端子TOUTへ出力される。クロック信号TCKb及びクロック信
号TCKは、1行分の画素数の半分の数のオン/オフを繰り返すことによって、全データ
を読み出して1行分の検査を終了する。この1行分の画素の読み出し信号と入力検査信号
とを比較し、両者が同じであるか否かにより画素検査ができる。
【0104】
以上の動作終了後、今度は垂直シフトレジスタを制御することによって、次の画素行の
各画素12A及び画素12Bの組を選択し、上記と同様にして画素検査を行う。これらを
繰り返し、垂直方向の画素数分の検査を実行し、画像表示部を構成する全ての画素におい
て、検査を実施する。なお、入力する検査信号は上記のように列データ線d1に“L”レ
ベル、列データ線d2に“H”レベルにする必要は無く、反対のデータを書き込んで検査
してもよい。
【0105】
このようにして、本実施の形態によれば、画素検査を正確に実施することができる。本
実施の形態によれば、画素検査のために画素12A及び画素12Bに検査用のトランジス
タを増加させること無く検査が行えるため、画素内に2つのSRAMを用いた従来の液晶
表示装置に比べて画素の小型化を可能にでき、しかも画素検査が正確にできる。
【0106】
以上はDRAMをオンに制御したときの画素検査であったが、本発明はDRAMをオフ
にした場合の画素検査も行える。このとき、
図9において、trigを“L”レベル、t
irgbを“H”レベルに制御することによってDRAMをオフにした検査も行える。そ
の他のタイミングチャートは上記と同様であるため省略する。
【0107】
この場合、DRAMをオンにした場合とオフにした場合の2種類の画素検査を行い、検
査結果を比較することでDRAMのオープン検査を行うことが出来る。
【0108】
DRAMがある場合とない場合の模式図を
図9に、
図9(A)および
図9(B)として
それぞれ示す。DRAMがある場合は
図2のスイッチSW12及びスイッチSW22がオ
ンの場合、DRAMがない場合はb点及びd点において、プロセスの不具合にて配線が切
断され、C11とC21が接続されていない場合を示している。換言すると、
図9では、
画素回路内のインバータINV12とインバータINV22にそれぞれ容量C11と容量
C21が接続されているかいないかが、(A)と(B)の相違点である。
【0109】
このとき、インバータINV12に容量C11が接続されインバータINV22に容量
C21が接続されている場合(A)には、インバータの駆動力が強く、インバータINV
12に容量C11が接続されずインバータINV22に容量C21が接続されていない場
合(B)にはインバータの駆動力が弱い。これはインバータINV12を構成するゲート
電圧は液晶LC1と容量C11の容量で決定されるのだが、
図9に図示しない(
図2に図
示)インバータINV11の出力電圧で充電されて決定される。インバータINV11の
出力電圧は、インバータINV11の入力電圧レベルによって決定されるが、インバータ
INV11の入力電圧は1.65Vに書き込まれたd1電圧によって、1.65V程度に
決定される。
【0110】
つまり
図2のb点に“L”レベルの電圧が書き込まれていた場合、読み出すときはイン
バータINV11によってb点の電圧を1.65Vに書き換えようとする。しかしながら
、b点における液晶LC1と容量C11の容量が大きい場合1.65Vに書き換えるのに
時間がかかり、その結果としてわずかに“H”レベルの反転電圧がa点に出力される。こ
のわずかにa点が“H”レベルになることによって、インバータINV11はわずかに“
L”レベルを出力しようとする。これらを繰り返すことによって、少しずつ列データ線d
1は“H”レベルになっていく。
【0111】
これは画素12Aの場合であるが、画素12Bには画素12Aの反転電圧を書き込むた
め、c点の電圧はわずかに“L”レベルの電圧が出力され、徐々に列データ線d2は“L
”レベルになっていく。この結果、センスアンプが判定できる電位差がd1とd2に出力
され、センスアンプの出力には“H”レベル(VDD)電圧が出力されて画素検査が行え
ることになる。
【0112】
このとき、DRAMが断線されており接続されていない場合には、b点には液晶LC1
の容量しかなく、この容量をインバータINV11で1.65Vに書き換えようとする。
b点の容量が小さい場合、1.65Vに短時間で書き換えてしまうため、インバータIN
V12の入力電圧は1.65Vになってしまい、a点の電圧は1.65Vになってしまう。
画素12Bにおいてもc点の電圧も1.65Vとなり、接続されているd1とd2の電位
差がほとんどなく、センスアンプが不感となり、正規判定の電圧を出力することが出来な
い。
【0113】
このため、
図8において時間t6からd1とd2が所定の電圧に変動していく時間が(
A)と比較して(B)の方が長くなる。センスアンプが正常に動作しだす電位差が決まっ
ているため、時間t6から時間t7までの時間をある時間(X)に調整することで、(A
)では正常に検査可能だが、(B)では正常に検査できないようにすることができる。
【0114】
このX時間においてDRAMを接続して検査する(A)を採用することにより、画素内
のDRAM部がオープン(切断されている)であると正常に検査できないことになる。こ
れにより、DRAMのオープン検査を実施することができるようになる。通常、オープン
検査は画素電極をシリーズにスルーホールを経由して検査する必要があるが、この本発明
に係る方法によれば、画素構成を変更することが無いため、画素ピッチを拡大することが
なくDRAMのオープン検査を実施することが出来る。
【0115】
なお、前述した各実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための
例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。