【文献】
TOTO株式会社,平成20〜22年度成果報告書 固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発/基礎的共通的課題のための研究,日本,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構,2011年12月13日,p.78-80,URL:http://www.nedo.go.jp/library/seika/shosai_201112/20110000000886.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本発明による燃料電池セルとは、空気極が後記する要件を満たすものであること以外は、燃料極と、固体電解質と、空気極とを少なくとも備えてなる、当業界において通常固体酸化物形燃料電池セルと分類または理解されるものと同一のものを意味する。また、本発明による燃料電池セルはこれを用いて当業界において燃料電池システムと理解され、また今後理解されるであろうシステムに用いることができる。また、本発明による燃料電池セルは、その形状も限定されず、例えば円筒状、板状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。また、内側電極は支持体の表面に形成されていても良い。
【0014】
また、本発明において、「発電開始前」とは、燃料電池セルの焼成後、実運転を行うまでを意味する。また、試運転後、出荷前試験後、あるいはそれらに準ずる運転後であっても、それらが、実運転開始前であれば、同様に、発電開始前とみなされる。
【0015】
また、本発明において、「運転停止」とは、通常停止とシャットダウン停止が含まれる。通常停止は、燃料電池セルになるべく悪影響を与えないように通常計画的に行われる。シャットダウン停止は、システム異常時に直ちに運転を停止する必要があり燃料および空気の供給を直ちに停止する。
【0016】
空気極
本発明において、空気極は、ペロブスカイト型酸化物と、硫黄元素とを含有した成形体を焼成してなるものであり、焼成直後または発電開始前の前記空気極における硫黄元素の含有量が50ppm以上3,000ppm以下のものである。硫黄元素の含有量は、その下限は好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上であり、その上限は好ましくは3000ppm以下である。硫黄元素の含有量が上記範囲にあることで、高い発電性能を維持しながら、運転停止時、とりわけシャットダウン時の空気極の剥離を有効に防止することが可能となる。硫黄元素の含有量が上記範囲にあることにより、運転停止時、とりわけシャットダウン時の空気極の剥離を有効に防止する理由は定かではないが、以下のように考えられる。本発明による固体酸化物形燃料電池セルにおける空気極は、硫黄元素を含有した成形体を焼成して得られるものである。よって、本発明の空気極に含まれる硫黄元素の存在形態は、少なくとも発電運転によって空気中から取り込まれた硫黄の存在とは異なっているように思われる。さらに、本発明者らの得た知見によれば、空気極の剥離は空気極が運転停止時に還元雰囲気に曝されることが一つの原因であると考えられる。すなわち、運転時は、燃料極には燃料ガスが供給され、空気極には空気が供給されるので、燃料極は還元雰囲気に、空気極は酸化雰囲気に曝される。その一方、運転停止時において、燃料ガスや空気の供給を止めると、燃料ガス流路の出口であるセル開口部から、燃料配管、改質器、燃料マニホールドに残存した燃料ガスが、空気極に噴出して空気極が還元雰囲気に曝されてしまう場合がある。空気極が還元雰囲気に曝されることにより、空気極の剥離が引き起こされている可能性がある。
【0017】
本発明において、空気極は、ペロブスカイト型酸化物と、硫黄元素とを含有した成形体を焼成してなるものである。そして、硫黄元素は焼成前に成形体に存在していれば、ペロブスカイト型酸化物とは別に配合された硫黄化合物に由来するものであっても、ペロブスカイト型酸化物の調製原料に含まれる硫黄化合物に由来するものであってもよい。
【0018】
本発明において、空気極を構成するペロブスカイト型酸化物としては、La
1−xSr
xCoO
3(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo
1−xNi
xO
3(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO
3系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンコバルトフェライト系酸化物(La
1−mSr
mCo
1−nFe
nO
3(但し、0.05<m<0.50、0≦n≦1))、サマリウム及びコバルトを含むサマリウムコバルト系酸化物(Sm
0.5Sr
0.5CoO
3)などが挙げられる。好ましくは、ランタンストロンチウムコバルタイトフェライト(LSCF)である。
【0019】
本発明において硫黄化合物は、有機硫黄化合物、無機硫黄化合物のいずれであってもよい。有機硫黄化合物の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン、ドデシルベンゼンスルフォン酸、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、アルカンスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン、ラウリル硫酸ナトリウム、アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の界面活性剤として知られている化合物、ジメチルスルフィド、硫化アリル等が挙げられる。また、システイン、メチオニン、ホモシステイン、タウリン等のアミノ酸、グルタチオン等の低分子ペプチドも本発明において利用可能である。
【0020】
無機硫黄化合物の具体例としては、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化鉄、二硫化鉄、二硫化モリブデン、黄鉄鉱、輝水鉛鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、辰砂、二硫化ナトリウム、五硫化カルシウム、硫化カルシウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄、六フッ化硫黄、二塩化硫黄、二硫化炭素、硫化水素、硫酸バリウム、チオ硫酸ナトリウムが挙げられ、更に、硫黄のオキソ酸である亜硫酸、硫酸、ペルオキソ一硫酸、チオ硫酸、亜ジチオン酸、二亜硫酸、ジチオン酸、二硫酸、ペルオキソ二硫酸、ポリチオン酸が挙げられる。
【0021】
本発明の一つの態様において、界面活性剤としての機能を有する硫黄化合物の利用が好ましい。硫黄化合物が界面活性剤の機能を有することで、空気極の材料中に硫黄元素が均一に分散する。これにより良好な空気極を調製でき、剥離が有効に防止できると考えられる。
【0022】
本発明において、空気極は、単層であっても、複層であっても良い。複層の空気極である場合の例としては、例えば固体電解質の上に、空気極触媒層としてLa
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3を設け、燃料電池セルの最表層に空気極としてLa
0.6Sr
0.4Co
0.8Fe
0.2O
3を設けた構成が挙げられる。
【0023】
燃料極
本発明において、燃料極は、上記の空気極とともに燃料電池セルを構成可能なものであれば特に限定されないが、例えば、NiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物などが挙げられる。ここで、NiO/ジルコニウム含有酸化物とは、NiOとジルコニウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。また、NiO/セリウム含有酸化物とは、NiOとセリウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。NiO/ジルコニウム含有酸化物のジルコニウム含有酸化物としては、例えばCaO、Y
2O
3、Sc
2O
3のうちの1種以上をドープしたジルコニウム含有酸化物などが挙げられる。また、NiO/セリウム含有酸化物のセリウム含有酸化物としては、一般式Ce1-yLnyO2(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yのいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)などが挙げられる。なお、NiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなるため、上述の混合物はそれぞれNi/ジルコニウム含有酸化物又はNi/セリウム含有酸化物となる。
【0024】
本発明において燃料極は、単層であっても、複層であっても良い。複層の燃料極である場合の例としては、例えば支持体と向かい合う側にNi/YSZ(イットリア安定化ジルコニア)層を有する燃料極、または固体電解質と向かい合う側にNi/GDC(Gd
2O
3−CeO
2)(燃料極触媒層として機能する)層を有した燃料極、さらにはこれら両方の層を有した燃料極が挙げられる。
【0025】
固体電解質
本発明において、固体電解質は、上記の空気極とともに燃料電池セルを構成可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、Scのいずれか1種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。固体電解質は、好適にはSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La
1−aSr
aGa
1−b−cMg
bCo
cO
3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。本発明の一つの好ましい態様によれば、固体電解質と燃料極の間に、反応抑制層として、セリアにLaを固溶させたセリウム系酸化物(Ce
1−xLa
xO
2(但し、0.3<x<0.5))を設けてもよい。反応抑制層は、好ましくはCe
0.6La
0.4O
2である。
【0026】
本発明において固体電解質は、単層であっても、複層であっても良い。固体電解質が複層である場合の例としては、例えば燃料極とLSGMからなる固体電解質の間にCe0.6La0.4O2などの反応抑制層を設けた構成が挙げられる。
【0027】
燃料電池セル
図1は本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図であり、内側電極を燃料極としたタイプについて示した。本発明における固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば多孔質支持体201と、(第一/第二)燃料極202、(第一/第二)固体電解質203と、(第一/第二)空気極204と、集電層205から構成される。ここで、(第一/第二)とは、「単層又は二以上の層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有する」ことを意味する。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、多孔質支持体が0.5〜2mm、燃料極が10〜200μm、燃料極触媒層が0〜30μm、反応抑制層が0〜20μm、固体電解質が5〜60μm、空気極触媒層が0〜50μm、空気極が10〜200μmである。
【0028】
図2は、本発明による燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えてなる。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の多孔質支持体91上に内側電極層90と、外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある固体電解質94とを備えてなる。
【0029】
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、固体電解質94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備える。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0030】
セルの製造方法
本発明による固体酸化物形燃料電池セルは、空気極に硫黄元素を含有させる以外は、公知の方法に準じて従って、適宜製造することができる。好ましい製造方法を示せば下記のとおりである。
【0031】
まず、本発明において空気極は、原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それを固体電解質またはその前駆体にコーティングし、乾燥した後、焼成(好ましくは、1000℃以上1200℃未満)することによって得ることができる。ここで、「固体電解質またはその前駆体にコーティングする」とは、スラリーを固体電解質またはその前駆体に直接コーティングするのみならず、例えば触媒層のような中間的な層を介して固体電解質またはその前駆体にコーティングする態様も含まれるものとする。また、前駆体とは、後記するように、固体電解質と空気極とを同時に共焼成する態様にあって、焼成により固体電解質となる焼成前の物質または成形体を意味する。
【0032】
本発明による製造方法の第一の態様によれば、ペロブスカイト型酸化物と硫黄化合物を混合して原料粉末を調製する。この原料粉末を用いてスラリーを調製する。また、本発明の別の態様によれば、ペロブスカイト型酸化物の調製原料に硫黄化合物を混合し混合物を得る。この混合物を焼成(好ましくは、1100℃以上1250℃未満)して、硫黄元素を含有したペロブスカイト型酸化物を得る。これを粉砕して原料粉末を調製する。この原料粉末を用いてスラリーを調製する。ここで、ペロブスカイト型酸化物の調製原料とは、所望のペロブスカイト型酸化物を調製するための原料を混合させたものである。いずれの態様にあっても、硫黄化合物としては上記した有機硫黄化合物または無機硫黄化合物を用いることができる。
【0033】
コーティングは、スラリー液をコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などにより好ましく行うことができる。また印刷手法も利用可能であり、スクリーン印刷法やインクジェット法などを用いることができる。
【0034】
固体電解質、燃料極は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。コーティングは、スラリー液をコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などにより好ましく行うことができる。また印刷手法も利用可能であり、スクリーン印刷法やインクジェット法などを用いることができる。
【0035】
焼成は、各電極及び固体電解質を形成する都度行ってもよいが、複数の層を一度に焼成する「共焼成」を行うことも可能である。また、固体電解質がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気と酸素との混合ガスを用い、酸素濃度20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。
【0036】
本発明の好ましい態様によれば、内側電極に燃料極を、外側電極に空気極を用いる場合、燃料極と固体電解質とを共焼成した後、空気極を成形し、共焼成よりも低い温度で焼成する。
【0037】
固体酸化物形燃料電池セルおよびそれを用いた燃料電池システム
本発明によれば、本発明による固体酸化物形燃料電池セルを備えた固体酸化物形燃料電池システムが提供される。
図3は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池システムを示す構成図である。この
図3に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えてなる。
【0038】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(
図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(
図2参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
【0039】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
【0040】
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0041】
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0042】
次に、
図4及び
図6により、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。
図4は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、
図6は、
図4のIII−III線に沿った断面図である。
図4及び
図6に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密封空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
【0043】
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bが形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。
【0044】
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
【0045】
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
【0046】
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、
図6に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
【0047】
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
【0048】
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、
図6に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、
図3に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図4に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
【0049】
次に
図5により燃料電池セルスタック14について説明する。
図5は、固体酸化物型燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
【0050】
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
【0051】
さらに、燃料電池セルスタック14の端(
図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
【0052】
次に、図に示された燃料電池システムの起動モードについて説明する。先ず、改質用空気を増やすように改質用空気流量調整ユニット44、電磁弁42及び混合部47を制御し、改質器20に空気を供給する。また、発電室10には、発電用空気流量調整ユニット45、電磁弁42を制御し、空気導入管76から発電用の空気が供給される。そしてまた、燃料ガスの供給を増やすように燃料流量調整ユニット38、及び混合部47を制御し、改質器20に被改質ガスを供給し、改質器20へ送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、改質器20、燃料ガス供給管64、ガスマニホールド66を介して、各々の貫通孔69から各燃料電池セルユニット16内に送り込まれる。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の下端に形成されている燃料ガス流路98から燃料ガス流路88を通過し、上端に形成されている燃料ガス流路98から夫々流出する。その後、点火装置83によって、燃料ガス流路98上端から流出した被改質ガスに着火して燃焼運転を実行する。これにより、燃焼室18内で被改質ガスが燃焼され、部分酸化改質反応が発生する。
【0053】
その後、改質器20の温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約250℃を超えたことを条件として、オートサーマル改質反応へと移行させる。この時、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、被改質ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。次いで、改質器20の温度が650℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応へと移行させる。
【0054】
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室10内の温度が徐々に上昇する。発電室10の温度が、燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュール2は発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。
【0055】
次に、本実施形態による固体酸化物形燃料電池システムの運転停止について説明する。燃料電池システムの運転停止は、燃料電池モジュールからの電力の取り出しを停止させた後も燃料の供給を継続しながら、冷却用の空気を大量に送ることにより燃料電池セルスタックを冷却する。次に、セルスタックの温度が燃料電池セルの燃料極の酸化温度未満に低下したときの燃料の供給を停止させ、以降、温度が十分に低下するまでの冷却用の空気のみを供給を続け、燃料電池に完全に停止させることができる。
【0056】
また、緊急時には、電力の取り出し、燃料ガス、空気及び燃料改質用の水の供給をほぼ同時に遮断する、シャットダウン停止により燃料電池システムを停止させることができる。また、電力の取り出しを停止させた後も燃料を少しずつ絞りながら停止したり、N
2ガスなどのパージガスを流すことなく停止することが可能である。
【0057】
シャットダウン停止のほぼ同時に遮断するとは、電流、空気、ガス、水が数10秒以内という非常に短い時間にて全て停止することを示す。より詳細には、電流を止めたのち10数秒後に空気と燃料ガスの供給を止め、さらにその10数秒後に水の供給を止める停止操作となる。
【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例1
空気極用スラリーの作製
空気極用スラリーを、La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3組成の原料粉末と、溶媒と、バインダーと、硫黄化合物としてナトリウムジオクチルスルホサクシネートとを混合粉砕することにより作製した。ここで、焼成直後の空気極中の硫黄含有量が50ppmになるように硫黄化合物の量を調整して添加した。
【0060】
固体酸化物形燃料電池セルの作製
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y
2O
3−90mol%ZrO
2)粉末とを重量比65:35で混合して、押し出し成形機にてせん断を加え1次粒子化させながら円筒状に成形し、900℃で仮焼して燃焼極支持体を作製した。この燃料極支持体上に、燃料極の反応を促進させる燃料極触媒層を形成した。燃料極触媒層は、NiOとGDC10(10mol%Gd
2O
3−90mol%CeO
2)とを、重量比50:50で混合したものをスラリーコート法により燃料極支持体上に製膜し形成した。さらに、燃料極反応触媒層上にLDC40(40mol%La
2O
3−60mol%CeO
2)、La
0.8Sr
0.2Ga
0.8Mg
0.2O
3の組成のLSGMをスラリーコート法により順次積層し、固体電解質層を形成し、成形体を得た。得られた成形体を1300℃にて焼成した。その後、空気極用スラリーをスラリーコート法にて製膜し、1050℃で焼成することで固体酸化物形燃料電池を作製した。
【0061】
空気極中の硫黄含有量は、燃料電池セルの焼成後の空気極を削り取り、炭素硫黄分析装置により、空気極中に残存する硫黄量を測定した。また、空気極の上に集電層を形成した完成後の燃料電池セルから硫黄含有量を測定する場合は、空気極を削り取り、硫黄量を測定することができる。
【0062】
作製した固体酸化物形燃料電池セルは、以下に示される通りであった。燃料極支持体が外径10mm、肉厚1mmであった。燃料極反応触媒層の厚さが20μmであった。LDC層の厚みが5μmであった。LSGM層の厚みが30μmであった。空気極の厚みが25μmであり、かつ、空気極の面積が35cm
2であった。
【0063】
次に、空気極の上にコーティング液を塗布して空気極集電層を形成した。コーティング液の組成は、銀粉末と、パラジウム粉末と、LSCF粉末と、溶媒と、バインダーとを混合させたものとした。このコーティング液を、固体酸化物形燃料電池セルに、スプレーにより塗布した後、乾燥機にて乾燥させ、室温にて冷却後、700℃1時間焼成して、空気極の外側に空気極集電層を形成した。空気極集電層は、銀とパラジウムとLSCFを備える。
【0064】
固体酸化物形燃料電池モジュールの作製
燃料極支持体の両端部に集電体とガスシールを兼ね備えた導電性シール材を取付け、さらに前記燃料極の両端部に導電性シール材を覆うように内側電極端子を設け、燃料電池セルユニットを作製した。内側電極端子は燃料ガス流路となる燃料極支持体の内径より縮径し、前記セルのそれぞれの端部からセルの外方向に伸びる縮径部を有するものとした。前記燃料電池セルユニットを16本一組とし、燃料極と空気極を接続するコネクタで16本を直列につなぎスタック化した。前記スタックを10組搭載し160本を直列に接続し、さらに改質器、空気配管、および燃料配管を取付けた後にハウジングで囲み、固体酸化物形燃料電池モジュールを作製した。この燃料電池モジュールを、固体酸化物形燃料電池システムに組み込んだ。
【0065】
固体酸化物型燃料電池セルの発電試験
得られた固体酸化物型燃料電池セル(電極有効面積:35.0cm
2 )を用いて発電試験を行った。燃料極の集電は、内側電極端子にAg線を外周に巻きつけ行った。空気極の集電も、空気極集電層にAg線を外周に巻きつけ行った。発電条件は、以下の通りとした。すなわち、燃料ガスは燃料(H
2+3%H
2O)とN
2の混合ガスとし、燃料利用率は75%とした。また、酸化剤ガスは空気とした。測定温度は700℃ とし、電流密度0.2A/cm
2での発電電位を測定した。セルの初期性能は表1に初期電位として示されるとおりであった。
【0066】
シャットダウン試験
作製した燃料電池システムを以下のように運転した後、シャットダウン停止した。そして、モジュール内の固体酸化物形燃料電池セルの外観を目視にて確認した。
【0067】
燃料電池システム発電
燃料ガスを都市ガス13Aとし、燃料利用率は75%とした。また、酸化剤は空気とし、空気利用率は40%とした。S/C=2.25とした。発電定常温度は700℃とし、電流密度0.2A/cm
2で運転した。
【0068】
燃料電池システム停止
定常温度で2時間運転したのち、燃料電池システムの電流、燃料ガス、空気、水の供給をほぼ同時に遮断する、シャットダウン停止により燃料電池システムを停止させた。その後、システム内のモジュールを取り出し、内部の固体酸化物形燃料電池セルの外観を目視にて確認した。外観を以下の基準で評価した。
評価◎:100回以上のシャットダウン停止後も発電に支障がなく、空気極の剥離、セルの破損がない。
評価○100回未満のシャットダウン停止後も発電に支障がなく、空気極の剥離、セルの破損は見られなかったが、100回以上のシャットダウン停止で、空気極の剥離までは至らないものの、空気極の浮き(しわ)を確認した。
評価△:5回未満のシャットダウン停止後も発電に支障がなく、空気極の剥離、セルの破損は見られなかったが、5回以上のシャットダウン停止で、空気極の剥離までは至らないものの、空気極の浮き(しわ)を確認した。
評価×:5回未満のシャットダウン停止で空気極の剥離を確認した。
【0069】
以上の結果は、後記する表1に記載の通りであった。
【0070】
実施例2
焼成後の空気極中の硫黄含有量が100ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0071】
実施例3
焼成後の空気極中の硫黄含有量が200ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0072】
実施例4
焼成後の空気極中の硫黄含有量が500ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示される通りであった。
【0073】
実施例5
焼成後の空気極中の硫黄含有量が1,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0074】
実施例6
焼成後の空気極中の硫黄含有量が3,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0075】
比較例1
空気極の材料として、La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3組成の粉末と、溶媒と、バインダーとを混合粉砕することにより空気極用のスラリーを調製した。得られたスラリーを用いて実施例1と同様の方法により固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。得られたセルの空気極中の硫黄含有量は、10ppmであった。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0076】
比較例2
焼成後の空気極中の硫黄含有量が5,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表1に示されるとおりであった。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例8
La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3の組成比となるように、原料となる酸化ランタン(La2O3)、炭酸ストロンチウム(SrCO
3)炭酸コバルト(CoCO
3)、及び酸化鉄(Fe
2O
3)の粉末と、硫黄化合物としてナトリウムジオクチルスルホサクシネートとを秤量し、溶液中で混合した。その後に溶媒を除去して得られた粉末を、1200℃で焼成し、粉砕することにより硫黄を含有する空気極原料粉末を作製した。ここで、燃料電池セルの焼成後の空気極中の硫黄含有量が50ppmとなるように、空気極原料粉末に含有する有機硫黄化合物を調整した。得られた原料粉末と、溶媒と、バインダーとを混合粉砕することにより空気極用スラリーを調製した。この空気極用スラリーを用いて、実施例1と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0079】
実施例9
焼成後の空気極中の硫黄含有量が100ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0080】
実施例10
焼成後の空気極中の硫黄含有量が200ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0081】
実施例11
焼成後の空気極中の硫黄含有量が500ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0082】
実施例12
焼成後の空気極中の硫黄含有量が1,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0083】
実施例13
焼成後の空気極中の硫黄含有量が3,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0084】
比較例3
焼成後の空気極中の硫黄含有量が5,000ppmとなるように硫黄化合物の量を調整して添加した以外は、実施例8と同様にして固体酸化物型燃料電池セルおよび燃料電池システムを作製した。そして、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記する表2に示されるとおりであった。
【0085】
【表2】