(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自己の少なくとも一部に温度調整用出力を行い、入力される入力信号を前記温度調整用出力に変換する過程において、前記入力信号或いは前記入力信号を処理した信号のうちの少なくとも一の信号に対し低域は通過する高域遮断処理を行う、温度制御手段、に送るための、前記温度制御手段以外の自己と通信を行う他の装置に前記温度制御信号を識別させるための識別情報を付加した、温度制御信号、の生成を行う温度制御信号生成手段と、
前記他の装置に送るための通信用データ信号の生成を行うデータ信号生成手段と、
前記温度制御信号と前記データ信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する送信用信号生成手段と、
前記送信用信号を前記温度制御手段及び前記他の装置に送付する送付手段と
を備える、処理装置。
前記温度制御手段が、前記温度調整用出力を行う温度調整手段と、前記温度調整手段を駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段は前記温度調整手段に対し駆動電圧を印加する、請求項1に記載された処理装置。
前記高域遮断処理が、前記温度制御手段が、前記温度制御手段に入力される通信用データ信号の信号平滑化を行う信号平滑化処理を含む、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載された処理装置。
前記高域遮断処理が、前記温度制御手段が、前記温度調整手段において、前記駆動電圧を前記温度調整用出力に変換する際に行われる前記温度調整用出力の平滑化処理を含む、請求項2乃至請求項4のうちのいずれか一に記載された処理装置。
前記高域遮断処理が、自己が備える、前記通信用データ信号のマーク率を略半分にするマーク率均等化処理を含む、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[用語の説明]
[発明を実施するための形態]において用いる主要な用語を以下に説明する。
【0017】
「処理装置」は、自己以外の他の装置との間で通信を行うことができ、温度調整装置に対して温度調整用信号を送ることにより、その温度調整装置に自己の少なくとも一部の温度調整を行わせることのできる装置をいう。
【0018】
「処理システム」は、処理装置と、当該処理装置が温度調節用信号を送る温度調整装置と、を備えるシステムをいう。
<第一実施形態>
本実施形態は、通信用データ信号を送信するための端子と、温度調整のための端子とを共通にした処理装置、を備える処理システムについての実施形態である。
[構成と動作]
図2は、本実施形態の処理システム191の構成を表す概念図である。
【0019】
処理システム191は、処理装置101と、駆動装置104と、温度制御装置109とを備える。
【0020】
温度制御装置109は、処理装置101の少なくとも一部の温度を制御するための温度制御手段であり、信号平滑化装置106と、駆動装置104と、温度調整装置105と、を備える。
【0021】
処理装置101は、演算装置102と、温度制御信号生成部195と、データ信号生成部196と、送信用信号生成部197と、端子112と、端子113とを備える。
【0022】
温度制御信号生成部195は、温度制御装置109を制御するための温度制御信号を生成する。生成した温度制御信号は、送信用信号生成部197に送られる。
【0023】
データ信号生成部196は、演算装置003に送るための通信用データ信号を生成する。生成した通信用データ信号は送信用信号生成部197に送られる。
【0024】
送信用信号生成部197は、温度制御信号生成部195から送られた温度制御信号と、データ信号生成部196から送られた通信用データ信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する。
【0025】
送信用信号生成部197により生成された送信用信号は、端子112を介し、配線122a、122c及び122zを通じて、端子015を介して、演算装置003に送られる。処理装置101は、また、演算装置003が送る通信用データ信号を、端子014を介し、配線123z、123aを通じ、端子113を介して受信することができる。処理装置101は、上記により、演算装置003と通信を行うことができる。
【0026】
なお、配線122cと配線122zとの間、及び配線123zと配線123aとの間は、通信用データ信号を送ることができるように接続されていればよく、その接続方法は任意である。すなわち、その接続方法は、有線はもちろん、無線や光等によるものであっても構わない。
【0027】
送信用信号生成部197により生成された送信用信号は、さらに、端子112を介して、配線122a、122bを通じ、温度制御装置109の信号平滑化装置106に送られる。
【0028】
信号平滑化装置106は、処理装置101から送られた送信用信号に対し、平滑化処理を行う。平滑化処理後の信号は、駆動装置104に送られる。
【0029】
信号平滑化装置106は、処理装置101と通信を行う機能を保有する必要は必ずしもない。信号平滑化装置106としては、例えば、抵抗とコンデンサを利用したローパスフィルタを用いることができる。
【0030】
駆動装置104は、信号平滑化装置106から送られた信号と、予め定めておいた基準電圧値とを比較し、平滑化処理後の電圧値が基準電圧値を上回った場合に、温度調整装置105に対し駆動電圧を印加する。
【0031】
温度調整装置105は、駆動装置104から送られる駆動電圧により駆動され、処理装置101が備え温度調整装置105の近傍に設置されている演算装置102に対し、温度調整用出力を行うことにより、その温度調整を行う。ここで、処理装置101の演算装置102は、温度調整装置105に隣接され、あるいは温度調整装置105に包囲されていても構わない。
【0032】
処理装置101又は演算装置102は、例えば、CPUやマイクロプロセッサである。
【0033】
駆動装置104は、例えば、アンプ、差動アンプ又はコンパレータである。
【0034】
温度調整装置105は、例えば、冷却ファンや、ペルチェ素子等の熱電変換素子である。温度調整装置105が冷却ファンの場合の前記温度調整用出力は演算装置102に送る風であり、温度調整装置105が熱電変換素子の場合の前記温度調整用出力は熱電変換素子が演算装置102に対して影響を及ぼす温度である。
【0035】
なお、演算装置102の近傍には、演算装置102と接続された図示しない温度測定装置を設置し、その温度をモニターすることもできる。その場合は、演算装置102は、温度制御信号生成部195に対して、生成する温度制御信号を、モニターした温度が高い場合はより冷却を強めるための信号にする等、モニターした温度により調節を行わせることもできる。
[信号処理]
処理システム191においては、処理装置101が演算装置003に送る送信用信号は、配線122a、122c、122zを通じて演算装置003に送られると同時に、配線122bを通じて、信号平滑化装置106にも送られる。
【0036】
図3は、
図2に表した処理システムの、信号平滑化装置106及び駆動装置104における信号処理を表すイメージ図である。
【0037】
ここでは、
図2に表した信号平滑化装置106に、送信用信号に含まれる通信用データ信号である信号A1と送信用信号に含まれる温度制御信号B1とを、それぞれ入力した場合を想定している。信号A2が信号平滑化装置106に信号A1を入力した場合の、同装置から駆動装置104への出力であり、信号B2が信号平滑化装置106に信号B1を入力した場合の、同装置から駆動装置104への出力である。また、信号A3は、信号A2を駆動装置104に入力した場合の同装置からの出力であり、信号B3は、信号B2を駆動装置104に入力した場合の同装置からの出力である。
【0038】
同図に表したように信号平滑化装置106における信号平滑化処理により、信号A1及び信号B1は、立ち上がり及び立下りが緩やかな、信号A2及び信号B2に変換される。
【0039】
特に通信用データ信号A1は短い時間において電圧の高レベルと低レベルが切り替わるので、信号A2は電圧が最大に到達しない状態が続く。
【0040】
一方、温度制御信号は、同じ電圧レベルが、通信用データ信号に比べて長時間継続するので、同図信号B2に表したように、最大電圧レベル又はそれに近い電圧レベルの状態が長時間継続する。
【0041】
駆動装置104は、前述のように、入力電圧が基準電圧より大きい場合に正の出力を行うように設定されているものとする。その場合は、同図に表したように基準電圧を設定した場合には、信号A3はゼロであり、信号B3は、同図に表したような長時間の出力になる。
【0042】
信号A1が低レベルか高レベルかいずれかの期間が長く継続する場合には、信号A2が最大電圧に到達し、駆動装置104からの出力が不安定になる場合も可能性としてはあり得るが、そのようなケースはまれであり、通常は影響が少ないことが想定される。
【0043】
図2に表した処理システム191は、以上のように、駆動装置104に入力される入力信号である信号A1及びB1に対して低域は通過する高域遮断処理である平滑化処理を行う。これにより、駆動装置104の出力として低域は通過する高域遮断処理がなされた駆動電圧A3及びB3が得られる。これらの低域は通過する高域遮断処理がなされた駆動電圧により温度調整装置105が駆動される場合には、温度調整装置105からの温度調整用出力は低域は通過する高域遮断処理がなされたものになる。
【0044】
処理システム191においては、さらに、送信用信号は、配線122a及び122bを通じて駆動装置104に送られると同時に、配線122c及び122zを通じて演算装置003にも送られる。そのため、演算装置003が、送信用信号に含まれる温度制御信号について、通信用データ信号として受信処理を行うことが起こり得る。
【0045】
この受信処理を防ぐためには、例えば、処理装置101と演算装置003との間で、温度制御信号を特定するためのルールを定めておけばよい。例えば、処理装置101と演算装置003との間で、駆動装置104に送る信号の開始を表す開始信号と、その終了を表す終了信号とを定めておく。演算装置003は、開始信号を受信したことを判定したときは、それに続く終了信号以外の信号は、自己宛の通信用データ信号ではないと判定し、廃棄又は無視する。そして、終了信号を受信したと判定したときは、それに続く信号は自己宛の通信用データ信号であると判定し、受信処理を行う。
【0046】
図4は、処理装置101の端子112から送られる送信用信号の例を表す概念図である。
【0047】
同図に表した例では、時間の経過にともない、通信用データ信号171、開始信号161、温度制御信号181、終了信号162、通信用データ信号172、開始信号161、温度制御信号182、終了信号162の順に信号が送られる。
【0048】
同例においては、通信用データ信号と、開始信号、温度制御信号及び終了信号の組と、が交互で並ぶ場合を表したが、通信用データ信号と、開始信号、温度制御信号及び終了信号の組と、の並び方は任意である。例えば、通信用データ信号の少ないときに開始信号、温度制御信号及び終了信号の組を挿入するような操作を行うこともできる。
【0049】
図4に表した信号の具体的なプロトコルとしては、例えば、非特許文献2に開示された調歩同期式シリアル通信(UART)のものを用いることができる。
[効果]
本実施形態の処理システムは、自己が備える演算装置以外の他の演算装置への通信に用いるための通信用データ信号と、温度制御装置に送るための温度制御信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する。そして、生成した送信用信号を、前記他の演算装置及び温度制御装置に送る。
【0050】
さらに、温度制御装置は、入力される入力信号に対して低域は通過する高域遮断処理を行う。これにより、本実施形態の処理システムは、入力信号が周波数の高いデータ信号である場合には、温度調整用出力におけるそのデータ信号の影響を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態の処理システムは、同処理装置が備える演算装置以外の他の演算装置に送る信号が温度制御信号である場合には、その信号が温度制御信号であることを当該他の装置に認識させる開始信号と終了信号を加える。そのため、温度制御信号の当該他の装置における受信への影響を低減することができる。
【0052】
以上により、本実施形態の処理システムは、同システムが備える処理装置の備える送付部(端子)の数を減少させることができる。当該減少は、同処理装置の、同処理装置が備える演算装置以外の他の演算装置との間の通信、及び、同処理装置の少なくとも一部の温度調整と、両立するものである。
<第二実施形態>
本実施形態は、温度調整装置に熱電変換素子を、駆動装置にコンパレータを、それぞれ用いた場合の、本発明の処理システムに関する実施形態である。
【0053】
図5は、本実施形態の処理システムの構成を表す概念図である。
【0054】
処理システム291は、処理装置201と、温度制御装置209と、を備える。
【0055】
温度制御装置209は、処理装置201の少なくとも一部の温度を制御するための温度制御手段であり、駆動装置204と、温度調整装置205と、電圧印加装置206と、を備える。
【0056】
処理装置201は、演算装置202と、温度制御信号生成部295と、データ信号生成部296と、送信用信号生成部297と、端子212と、端子213を備える。
【0057】
温度制御信号生成部295は、温度制御装置209を制御するための温度制御信号を生成する。生成した温度制御信号は、送信用信号生成部297に送られる。
【0058】
データ信号生成部296は、演算装置003に送るための通信用データ信号を生成する。生成した通信用データ信号は送信用信号生成部297に送られる。
【0059】
送信用信号生成部297は、温度制御信号生成部295から送られた温度制御信号と、データ信号生成部296から送られた通信用データ信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する。
【0060】
送信用信号生成部297により生成された送信用信号は、端子212を介し、配線222a、222c及び222zを通じて、端子015を介して、演算装置003に送られる。処理装置201は、演算装置003が送る通信用データ信号を、端子014を介し、配線223z、223aを通じ、端子213を介して受信することができる。処理装置201は、上記により、演算装置003と通信を行うことができる。
【0061】
なお、配線222cと配線222zとの間、及び配線223zと配線223aとの間は、通信用データ信号を送ることができるように接続されていればよく、その接続方法は任意である。すなわち、その接続方法は、有線はもちろん、無線や光等によるものであっても構わない。
【0062】
送信用信号生成部297により生成された送信用信号は、さらに、端子212を介して、配線222a、222bを通じ、駆動装置204に送られる。
【0063】
駆動装置204はコンパレータである。処理装置201から送られた信号は駆動装置204の非反転入力端子(同図の+表示の入力端子)に入力される。一方、電圧印加装置206からは基準電圧が駆動装置204の反転入力端子(同図の−表示の入力端子)に入力される。
【0064】
駆動装置204は、非反転入力端子に入力される電圧が、反転入力端子に入力される電圧よりも大きい場合には、その出力端子から所定の正の電圧を、温度調整装置205に対して出力する。
【0065】
温度調整装置205は熱電変換素子である。温度調整装置205は駆動装置204から送られる駆動電圧により駆動され、処理装置201が備え温度調整装置205の近傍に設置される演算装置202の温度調整を行う。その温度調整は、演算装置202における処理速度の高速化の観点から典型的には冷却であるが、演算装置202における処理速度を低く調整するため等のために加熱する場合もあり得る。処理装置201が備える演算装置202は、温度調整装置205に隣接され、あるいは温度調整装置205に包囲されていても構わない。
【0066】
温度調整装置205は駆動装置204から送られる電圧の極性により、温度調整が演算装置202を加熱するか、冷却するかの別を切り替える。
【0067】
処理装置201又は演算装置202は、例えば、CPUやマイクロプロセッサである。
【0068】
電圧印加装置206には、例えば、所定の電圧を発生する電池を用いることができる。
【0069】
なお、演算装置202の近傍には、演算装置202と接続された図示しない温度測定装置を設置し、その温度をモニターすることもできる。その場合は、演算装置202は、温度制御信号生成部295に対して、生成する温度制御信号について、モニターした温度が高い場合はより冷却を強めるための信号にする等、モニターした温度により調節を行わせることもできる。
【0070】
温度調整装置205である熱電変換素子としては、例えばペルチェ素子を用いることができる。
【0071】
図6は、ペルチェ素子の断面の例を表すイメージ図である。
【0072】
同図に例示したペルチェ素子701は、同図に表したように、5個の下側導体711と、4個の上側導体712と、対応する下側導体711と上側導体712とを接続する4個のP型半導体721と、同じく4個のN型半導体731とを備える。P型半導体721とN型半導体731とは、同図に表したように、断面横方向において交互に配置されている。
【0073】
また、ペルチェ素子701の一方の端部751は、図示しない駆動装置に接続されており、他方の端部752はグランド741に接続されている。
【0074】
ペルチェ素子701は、よく知られているように、端部751に印加される電圧の値が負の場合には、下側導体711が冷却され、上側導体712が加熱される。ペルチェ素子701は、また、端部751に印加される電圧の値が正の場合には、下側導体711が加熱され、上側導体712が冷却される。
【0075】
従い、例えば、ペルチェ素子701を処理装置又は演算装置に重ねた場合には、端部751に印加される電圧の正負を切り替えることにより、処理装置又は演算装置を加熱し、あるいは、冷却することができる。
【0076】
図6には、隣り合うN型半導体731とP型半導体721の組が4組の場合を表したが、その組数は任意である。
【0077】
図7は、
図6に表したペルチェ素子を処理装置に重ね合わせた場合の、本実施形態の処理システムの例を表すイメージ図である。同図では、(a)に上面図を、(b)に断面図を、それぞれ表してある。
【0078】
処理システム591は、ペルチェ素子505と、処理装置501と、コンパレータ504と、電圧印加装置506と、を備え、基体551上に形成されている。
【0079】
処理装置501は図示しない演算装置を備える。
【0080】
ペルチェ素子505は、その下面が処理装置501に隣接するように、処理装置501の上部に重ね合わされている。
【0081】
処理装置501は、端子511を介して、配線522cを通じて、前記演算装置とは異なる図示しない他の演算装置に通信用データ信号を含む送信用信号を送ることができる。
【0082】
処理装置501は、また、端子511を介して、配線522aを通じて、コンパレータ504の非反転入力端子である端子514に温度調整信号を含む送信用信号を送ることができる。
【0083】
コンパレータ504の反転入力端子である端子515には、電圧印加装置506から基準電圧が印加される。
【0084】
処理装置501はまた、配線521cを通じて、端子512を介して、前記他の演算装置から送られる通信用データ信号を受信することができる。
【0085】
端子514に信号を受信すると、コンパレータ504はその受信した信号の電圧に応じた電圧を、出力端子である端子513を介して、配線523を通じて、ペルチェ素子505の端部531に対し印加する。ペルチェ素子505の他の端部532はグランド541に接続されている。これらにより、ペルチェ素子505の下面は加熱又は冷却され、それに応じて、処理装置501が加熱又は冷却され、処理装置501の温度調整が行われる。
【0086】
図8は、処理装置の温度を検出するための温度検出装置を備えた処理システム691を表すイメージ図である。
【0087】
処理システム691の構成は、
図7に表した処理システム591の構成とは、温度センサ661が追加されている点のみが異なる。
【0088】
温度センサ661は処理装置601の近傍に位置し、測定した温度情報を含む信号を、図示しない信号経路を通じて、処理装置601に送る。処理装置601は、温度センサ661が測定した温度情報に基づき、コンパレータ604に送る温度調整信号を調節する。処理装置601は、例えば、温度センサ661が検出した温度が、予め設定しておいた基準温度より高い場合には、ペルチェ素子605が処理装置601を冷却する時間を増やすような温度制御信号を、コンパレータ604に対して送る。
【0089】
上記を除いて、処理システム691の各構成についての説明は、
図7に表した処理システム591についての説明と同じである。ただし、同説明において、各構成要素の符号に含まれる数字の百の位が5の場合は、その百の位を6に置き換えて読むこととする。
[信号処理]
以下においては、
図5に表した処理システム291における信号処理を例に、本実施形態の処理システムの信号処理について説明する。処理システム291においては、処理装置201が演算装置203に送る通信用データ信号は、配線222a、222c、222zを通じて演算装置003に送られると同時に、配線222bを通じて駆動装置104にも送られる。
【0090】
この点について、処理システム291の場合は、通信用データ信号における、信号電圧が印加されている時間の、信号電圧が印加されている時間と印加されていない時間との合計に対する割合(以下、マーク率という。)をほぼ半分にする。それにより、通信用データ信号の温度制御装置206が制御する温度への影響を低減することができる。
【0091】
コンパレータである駆動装置は、上述のように、非反転入力端子に入力される信号電圧が、反転入力端子に入力される基準電圧より大きい場合に正の駆動電圧の出力を行う。信号電圧が印加されている間は、非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧より大きいので、駆動装置からの出力は正である。この場合、熱電変換素子は正の電圧の入力を受けて、処理装置又は演算装置に近接している方の導体が冷却(又は加熱)される。
【0092】
一方、非反転入力端子に入力される信号電圧が、反転入力端子に入力される基準電圧より小さい場合に負の電圧の出力を行う。信号電圧が印加されていない間は、非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧より小さいので、駆動装置駆動装置からの出力は負である。この場合、熱電変換素子は負の電圧の入力を受けて、処理装置又は演算装置に近接している方の導体が加熱(又は冷却)される。
【0093】
前述のように通信用データ信号において、マーク率が半分だと、加熱の時間と冷却の時間の比率が等しい、すなわち、平均すると加熱も冷却もされないことになる。
【0094】
単に、信号電圧が印加されている時間と印加されていない時間との比率が等しいだけだと、平均すると加熱も冷却もされなくても、加熱される期間と冷却される期間による加熱及び冷却による温度変化が生じる。しかしながら、上述したように、信号電圧の印加と非印加の切り替えが短時間に生じるので、加熱されたとしてもほとんど温度が上昇しないうちに、冷却され、結果として、温度変化はほとんど生じないことになる。
【0095】
熱電変換素子が、入力される駆動電圧を熱電変換素子の温度調整用出力である温度に変換する際に、温度調整用出力である温度の平滑化処理が行われるためである。
【0096】
マーク率が半分から著しくずれる場合には、比率が著しく異なるようにならないような対策を施す。そのような対策としては、前記マーク率が半分から大きくずれる文字コードの使用を制限することや、通信用データ信号に対してスクランブルなどのプロトコル変換を施すことにより、比率がほぼ等しくなるようにすればよい。通信用データ信号に対するスクランブルについては、例えば、非特許文献1の、
図1.16 フレーム同期スクランブラ(構成例)等に説明がある。
【0097】
このように、
図5に表した処理システム291は、処理装置201が演算装置003に送付する通信用データ信号のマーク率をほぼ半分にし、温度制御装置209が上記動作を行う。
【0098】
上記以外の信号処理についての説明は、実施形態1の信号処理についての説明と同様である。ただし、実施形態1の信号処理についての説明における構成を表す符号において、数字の百の位が1のものは、その百の位を2に置き換えて読むこととする。
[効果]
本実施形態の処理システムは、まず、第一実施形態の処理システムと同様の効果を奏する。
【0099】
それに加えて、本実施形態の処理システムは、駆動装置に基準電圧と入力信号との大小を比較して出力するコンパレータを、温度調整装置に熱電変換素子を、それぞれ用いる。そして、駆動装置に入力される通信用データ信号のマーク率をほぼ半分になるようにする。駆動装置に入力されるマーク率がほぼ半分になることにより、駆動装置から熱電変換素子に入力される駆動電圧のマーク率もほぼ半分になる。熱電変換素子は、入力に対する出力が遅延するその性質により、入力される駆動電圧を温度調整用出力に変換する際に、その平滑化処理を行う。そのため、温度がほとんど上がらないうちにその低下が生じ、また、温度がほとんど下がらないうちにその上昇が、行われることになる。さらに、熱電変換素子に入力される駆動電圧のマーク率がほぼ半分であることから、熱電変換素子の温度調整用出力部分における冷却量と加熱量は等しく、結果として温度調整用出力部分の温度の時間平均すると変化しないことになる。
【0100】
これらにより、熱電変換素子は、従い、通信用データの駆動装置への入力の温度調整用出力への影響を低減することができる。
【0101】
そのため、本実施形態の処理システムは、第一実施形態の温度制御装置では設けている駆動装置の前段の信号平滑化装置を省略でき、処理システムを構成する部品点数を削減することができるというメリットを得ることができる。
<第三実施形態>
本実施形態は、処理装置が、自己が備える演算装置以外の演算装置から通信用データ信号を受信する間に温度調整用信号を送る、処理システムに関する実施形態である。
【0102】
図9は、本実施形態の処理システム491の構成を表す概念図である。
【0103】
処理システム491は、処理装置401aと、温度制御装置409と、処理装置401bと、を備える。
【0104】
温度制御装置409は、処理装置401aの少なくとも一部の温度を制御するための温度制御手段であり、駆動装置404と、温度調整装置405と、を備える。
【0105】
処理装置401aは、演算装置402と、温度制御信号生成部495aと、データ信号生成部496aと、送信用信号生成部497aと、端子412と、端子413と、を備える。
【0106】
温度制御信号生成部495aは、温度制御装置409を制御するための第一の温度制御信号を生成する。生成した第一の温度制御信号は、送信用信号生成部497に送られる。
【0107】
データ信号生成部496aは、処理装置401aに送るための第一の通信用データ信号を生成する。生成した第一の通信用データ信号は送信用信号生成部497aに送られる。
【0108】
送信用信号生成部497aは、温度制御信号生成部495aから送られた第一の温度制御信号と、データ信号生成部496aから送られた第一の通信用データ信号とを重ね合わせた第一の送信用信号を生成する。
【0109】
処理装置401bは、演算装置403と、温度制御信号生成部495bと、データ信号生成部496bと、送信用信号生成部497bと、端子414と、端子415と、を備える。
【0110】
温度制御信号生成部495bは、温度制御装置409を制御するための第二の温度制御信号を生成する。生成した第二の温度制御信号は、送信用信号生成部497bに送られる。
【0111】
データ信号生成部496bは、演算装置003に送るための第二の通信用データ信号を生成する。生成した第二の通信用データ信号は送信用信号生成部497bに送られる。
【0112】
送信用信号生成部497bは、温度制御信号生成部495bから送られた第二の温度制御信号と、データ信号生成部496bから送られた第二の通信用データ信号とを重ね合わせた第二の送信用信号を生成する。
【0113】
送信用信号生成部497aにより生成された第一の送信用信号は、端子412を介し、配線422a、422c及び422zを通じて、端子415を介して、演算装置403を備える処理装置401bに送られる。
【0114】
また、処理装置401aは、処理装置401bが送る第二の通信用データ信号を含む第二の送信用信号は、端子414を介し、配線423z、423c及び423aを通じ、端子413を介して受信することができる。処理装置401aは、上記により、処理装置401bと通信を行うことができる。
【0115】
なお、配線422cと配線422zとの間、及び配線423zと配線423cとの間は、通信用データ信号を送ることができるように接続されていればよく、その接続方法は任意である。すなわち、その接続方法は、有線はもちろん、無線、光等によるものであっても構わない。
【0116】
送信用信号生成部497aにより生成された第一の送信用信号は、また、配線422bを通じて、コンパレータである駆動装置404の非反転入力端子(同図において+で表した端子)にも送られる。
【0117】
端子414を介して処理装置401aに送られる第二の送信用信号は、配線423bを通じて、コンパレータである駆動装置404の反転入力端子(同図において−で表した端子)にも送られる。
【0118】
送信用信号生成部497aにより生成された第一の送信用信号は、は、さらに、端子412を介して、配線422a及び422bを通じ、駆動装置404に送られる。
【0119】
送信用信号生成部497bにより生成された第二の送信用信号は、さらに、端子414を介して、配線423z、423c及び423bを通じ、駆動装置404に送られる。
【0120】
駆動装置404は、非反転入力端子に入力される信号が、反転入力端子に入力される信号よりも大きい場合に、正の電圧を出力する。また、駆動装置404は、非反転入力端子に入力される信号が、反転入力端子に入力される信号よりも小さい場合に、負の電圧を出力する。
【0121】
駆動装置404から出力された出力電圧は、温度調整装置405に送られる。
【0122】
温度調整装置405は、駆動装置404から送られる電圧により駆動され、処理装置401aが備え温度調整装置405の近傍に設置される演算装置402の温度調整を行う。ここで、処理装置401aの演算装置402は、温度調整装置405に隣接され、あるいは温度調整装置405に包囲されていても構わない。
【0123】
処理装置401a又は演算装置402は、例えば、CPUやマイクロプロセッサである。
【0124】
処理装置401b又は演算装置403は、例えば、CPUやマイクロプロセッサである。
【0125】
駆動装置404はコンパレータである。
【0126】
温度調整装置405はペルチェ素子等の熱電変換素子である。ペルチェ素子としては、例えば、
図6について説明した構成を用いることができる。
【0127】
なお、演算装置402の近傍には、演算装置402と接続された図示しない温度測定装置を設置し、その温度をモニターすることもできる。その場合は、演算装置402は、温度制御信号生成部495aに対して、生成する第一の温度制御信号についてモニターした温度により調節を行わせることもできる。さらに、演算装置402は、演算装置403と通信を行い、演算装置403に、温度制御信号生成部495bに対して、生成する第二の温度制御信号についてモニターした温度により調節を行わせることもできる。
[信号処理]
図10は、コンパレータである駆動装置404に入力される信号の例を表すイメージ図である。同図において、信号1は、
図9に表した処理システムにおいて、処理装置401aから、端子412を介して、422a及び422bを通じて、駆動装置404の非反転入力端子(同図において「+」と表示した端子。)へ入力される入力信号である。信号1は、前記非反転入力端子への入力と同期して、配線423c及び423z、並びに、端子414を通じて、処理装置401bにも入力される。
【0128】
信号2は、
図9に表した処理システム491において、処理装置401bから、端子414を介して、423z、423c及び423bを通じて、駆動装置404の反転入力端子(同図において「−」と表示した端子。)に入力される入力信号である。信号2は、前記反転入力端子への入力と同期して、配線423a、端子413を介して、処理装置401aにも入力される。
【0129】
信号1は、同図に表したように、時間の経過とともに、終了信号862、通信用データ信号801、開始信号861、温度制御信号811、終了信号862、通信用データ信号802、開始信号861、温度制御信号812、終了信号862の順に並んでいる。
【0130】
一方、信号2は、時間の経過とともに、開始信号863、温度制御信号813、終了信号864、通信用データ信号803、開始信号863、温度制御信号814、終了信号864、通信用データ信号804の順に並んでいる。
【0131】
信号1と信号2のタイミングは、同図に表したとおりである。すなわち、信号2として開始信号863が送られる直前に信号1として終了信号862が送られ、信号1として通信用データ信号801が送られる間に、信号2として開始信号863、温度制御信号813、終了信号864が送られる。さらに、信号1として開始信号861、温度制御信号811、終了信号862が送られる間に、信号2として通信用データ信号803が送られる。さらに、信号1として通信用データ信号802が送られる間に、信号2として開始信号863、温度制御信号814、終了信号864が送られる。さらに、信号1として開始信号861、温度制御信号812、終了信号862が送られる間に、信号2として通信用データ信号804が送られる。
【0132】
ここで、開始信号は、その後に続く信号が温度制御信号であることを、通信相手先の処理装置に知らせる信号である。開始信号を受信した処理装置は、その後、終了信号を受信するまでは、開始信号に続く信号に関して、通信用データ信号としての受信処理を行わない。
【0133】
終了信号は、温度制御信号の送付が完了したことを、通信相手先に知らせる信号である。終了信号を受信した処理装置は、その終了信号に続く受信信号について、通信用データ信号としての受信処理を行う。
【0134】
なお、終了信号862には、それを受信した
図9に表した処理装置408bが次に駆動装置404に対して送る温度制御信号の内容を指定する情報が含まれている。処理装置408bは指定された内容に従い、駆動装置404に対して、温度制御信号813、814を送る。
【0135】
図10に表した信号1及び信号2の具体的なプロトコルとしては、例えば、非特許文献2に開示された調歩同期式シリアル通信(UART)のものを用いることができる。
【0136】
図9に表した処理システム491は、
図10に表したように、通信相手方の処理装置から送られる通信信号を受信している間に、駆動装置404に対して温度制御信号を送ることができる。そのため、処理システム491は、温度制御を行う時間の割合をより高めることができ、従い、より高精度な温度制御を行うことができる。
【0137】
図11は、信号1が通信用データ信号であり、信号2が直流電圧の温度制御信号である場合の、コンパレータである駆動装置の出力例を表すイメージ図である。
駆動装置は、反転入力端子に入力された通信用データ信号と、非反転入力端子に入力された温度制御信号の電圧レベルを比較し、同図の駆動装置出力に表したような出力を行う。ただし、同図では、コンパレータの入出力応答が十分に早いことを想定している。
【0138】
同図において「不安定な出力」と表記した出力は、正と負の出力が非常に短い周期で切り替わる出力を意味し、その出力の平均値はゼロになることが想定される。同図において「不安定な出力」と表記した時間帯においては、コンパレータに入力される信号の電圧値が等しいので、わずかなオフセット電圧のばらつきにより、その出力の正負が一方には定まらず、短い時間で正負が切り替わるなどの現象が生じる可能性がある。
【0139】
ただし、この出力を入力した熱電変換素子は、加熱と冷却を非常に短い時間で繰り返すことから、加熱による温度上昇が生じる前に冷却が、冷却による温度下降が生じる前に加熱が生じ、温度変化は生じない。
【0140】
コンパレータの出力後段に適当な遮断周波数を有するローパスフィルタを設置すること等により、上記不安定な出力を除去することもできる。その場合は、同図における、「不安定な出力」と表記した時間帯における出力はゼロになる。
【0141】
また、前述のように、温度制御信号の前には開始信号が挿入され、開始信号が駆動装置404に入力される場合には、駆動装置404は開始信号の電圧レベルと通信用データ信号の電圧レベルの大小とを比較して出力を行うことになる。その出力は、必ずしも調整したい方向の温度にはならないこともあり得る。しかしながら、開始信号は温度制御信号の開始を表すためだけのものなので、短い時間の信号にすることができる。これにより、前記出力の温度調整装置405の温度への影響は無視できるものにすることができる。
【0142】
また、温度制御信号の後には終了信号が挿入され、終了信号が駆動装置404に入力される場合には、駆動装置404は終了信号の電圧レベルと通信用データ信号の電圧レベルとの大小を比較して出力を行うことになる。その出力は、必ずしも調整したい方向の温度にはならないこともあり得る。しかしながら、終了信号は温度制御信号の終了を表し、さらに相手方の処理装置が駆動装置404に対して送る温度制御信号を指定するためだけのものなので、短い時間の信号にすることができる。これにより、前記出力の温度調整装置405の温度への影響は無視できるものにすることができる。
【0143】
図9に表した処理システムは、
図11に表したような信号1及び信号2を駆動装置に入力した場合には、信号1である通信用データ信号が低レベルの間のみ駆動装置404からの出力(「不安定な出力」を除く)がある。上記は、同図に表したように信号2を連続的に入力させたとしても生ずる。そのため、駆動装置404により長時間の出力(「不安定な出力」を除く)をさせたいという要望があった場合には、その要望に対応することができない。
【0144】
図12は上記課題を解決しうる本実施形態の処理システム991の構成を表す概念図である。
【0145】
処理システム991は、処理装置901aと、温度制御装置909と、処理装置901bと、を備える。
【0146】
温度制御装置909は、処理装置901aの少なくとも一部の温度を制御するための温度制御手段であり、駆動装置904と、温度調整装置905と、信号平滑化装置971と、信号平滑化装置972と、を備える。
【0147】
処理システム991は、
図9に表した処理システム491とは、配線922bと駆動装置904の非反転入力端子との間に信号平滑化装置971を挿入した点が異なる。処理システム991は、また、
図9に表した処理システム491とは、配線923bと駆動装置904の反転入力端子との間に信号平滑化装置972を挿入した点が異なる。処理システム991と、
図9に表した処理システム491との構成上の相違点は上記2点のみである。
【0148】
処理システム991の各構成についての説明は、下記を除いて、
図9に表した処理システム491の説明と同じである。ただし、その説明は、各構成を表す符号の百の位が4の場合は、その百の位を9に置き換えたものになる。
【0149】
処理装置901aから処理装置901bに送られる第一の送信用信号は、配線422bを通じて、信号平滑化装置971にも送られる。信号平滑化装置971は送られた第一の送信用信号に対し信号平滑化を行い、コンパレータである駆動装置904の非反転入力端子に送る。信号平滑化装置971及び972において行われる信号平滑化は、一般によく行われている、信号の立ち上がりや立下りを緩やかにする処理を、入力信号に対して行うことにより実現することができる。信号平滑化装置971及び972は、処理装置901a及び901bと通信を行う機能を保有する必要は必ずしもない。信号平滑化装置971及び972としては、例えば、抵抗とコンデンサを利用したローパスフィルタを用いることができる。
【0150】
処理装置901bから処理装置901aに送られる前記第二の送信用信号は、配線923bを通じて、信号平滑化装置972にも送られる。信号平滑化装置972は送られた第二の送信用信号に対し信号平滑化を行い、コンパレータである駆動装置904の反転入力端子に送る。
[信号処理]
図13は、
図12に表した処理システムの信号平滑化装置及び駆動装置904における信号処理を表すイメージ図である。
【0151】
ここでは、
図12に表した信号平滑化装置971に通信用データ信号である信号1aを、同図信号平滑化装置972に温度制御信号である信号2aを、それぞれ入力した場合を想定している。
図13に表した、信号1bが信号平滑化装置971から駆動装置904の非反転入力への出力、信号2bが信号平滑化装置972から駆動装置904の反転入力への出力である。また、駆動装置出力は、駆動装置904から出力される駆動電圧である。
【0152】
同図に表したように信号平滑化装置971及び972における信号平滑化処理により、信号1a及び信号2aは、立ち上がり及び立下りが緩やかな、信号1b及び信号2bに変換される。
【0153】
特に通信用データ信号1aは短い時間において電圧の高レベルと低レベルが切り替わるので、信号1bは電圧が最大に到達しない状態が続く。
【0154】
一方、温度制御信号は、同じ電圧レベルが、通信用データ信号に比べて長時間継続するので、同図信号2bに表したように、最大電圧レベル又はそれに近い電圧レベルの状態が長時間継続する。
【0155】
コンパレータである駆動装置904は、信号2bが信号1aより大きい場合に正の電圧を出力するので、同図の駆動装置出力に表したように、長時間の出力を行うことになる。
【0156】
信号1aが低レベルか高レベルかいずれかの期間が長く継続する場合には、信号1bが最大電圧になり、駆動装置904からの出力が不安定になる場合も可能性としてはあり得るが、そのようなケースはまれであり、影響が少ないことが想定される。
【0157】
上記により、
図12に表した処理システム991は、
図9に表した処理システム491ではできない、駆動装置による継続的な長時間の出力を行うことができる。
[効果]
本実施形態の処理システムは、まず、第一実施形態の処理システムと同様な効果を奏する。
【0158】
本実施形態の処理システムは、処理装置が駆動装置に対し温度制御信号を送らない時に、その処理装置の通信相手先の処理装置が、駆動装置への温度制御信号の送付を行う。
【0159】
そのため、温度制御を行う時間の割合をより高めることができ、それによりその処理装置のより高い精度の温度制御を行うことができる。
【0160】
なお、本発明の最小構成の処理装置1の構成を表わす概念図を
図14に表す。
【0161】
処理装置1は、温度制御信号生成部12と、データ信号生成部13と、送信用信号生成部14と、送付部15とを備える。
【0162】
温度制御信号生成部12は、前記温度制御手段以外の自己と通信を行う他の装置に前記温度制御信号を識別させるための識別情報を付加した、温度制御手段に送るための温度制御信号、の生成を行う。
【0163】
ここで、温度制御手段は、自己の少なくとも一部に温度調整用出力を行う手段である。温度制御手段は、また、温度制御手段に入力される入力信号を前記温度調整用出力に変換する過程において、前記入力信号或いは前記入力信号を処理した信号のうちの少なくとも一の信号に対し低域は通過する高域遮断処理を行う。
【0164】
データ信号生成部13は、前記他の装置に送るための通信用データ信号の生成を行う。
【0165】
送信用信号生成部14は、前記温度制御信号と前記データ信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する。
【0166】
送付部15は、前記送信用信号を前記温度制御手段及び前記他の装置に送付する。
【0167】
本発明の最小構成の情報処理方法は、上記構成により、[発明の効果]に記載した効果を奏する。
【0168】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
【0169】
(付記A1)
自己の少なくとも一部に温度調整用出力を行い、入力される入力信号を前記温度調整用出力に変換する過程において、前記入力信号或いは前記入力信号を処理した信号のうちの少なくとも一の信号に対し低域は通過する高域遮断処理を行う、温度制御手段、に送るための、前記温度制御手段以外の自己と通信を行う他の装置に前記温度制御信号を識別させるための識別情報を付加した、温度制御信号、の生成を行う温度制御信号生成部と、
前記他の装置に送るための通信用データ信号の生成を行うデータ信号生成部と、
前記温度制御信号と前記データ信号とを重ね合わせた送信用信号を生成する送信用信号生成部と、
前記送信用信号を前記温度制御手段及び前記他の装置に送付する送付部と
を備える、処理装置。
【0170】
(付記A2)
前記温度制御手段が、前記温度調整用出力を行う温度調整手段と、前記温度調整手段を駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段は前記温度調整手段に対し駆動電圧を印加する、付記A1に記載された処理装置。
【0171】
(付記A3)
前記温度調整手段がファンであり、前記温度調整用出力が前記少なくとも一部に送られる風である、付記A2に記載された処理装置。
【0172】
(付記A4)
前記温度調整手段が熱電変換素子であり、前記温度調整用出力が前記少なくとも一部に影響を及ぼす温度である、付記A2に記載された処理装置。
【0173】
(付記A5)
前記温度調整手段がペルチェ素子であり、前記温度調整用出力が前記少なくとも一部に影響を及ぼす温度である、付記A2又は付記A4に記載された処理装置。
【0174】
(付記A6)
前記高域遮断処理が、前記温度制御手段が、前記温度制御手段に入力される通信用データ信号の信号平滑化を行う信号平滑化処理を含む、付記A1乃至付記A5のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0175】
(付記A7)
前記高域遮断処理が、前記温度制御手段が、前記駆動手段又は前記駆動手段への入力前段において、前記温度制御手段に入力された通信用データ信号の信号平滑化を行う信号平滑化処理を含む、付記A2乃至付記A6のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0176】
(付記A8)
前記高域遮断処理が、前記温度制御手段が、前記温度調整手段において、前記駆動電圧を前記温度調整用出力に変換する際に行われる前記温度調整用出力の平滑化処理を含む、付記A2乃至付記A7のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0177】
(付記A9)
前記高域遮断処理が、自己が備える、前記通信用データ信号のマーク率を略半分にするマーク率均等化処理を含む、付記A1乃至付記A8のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0178】
(付記A10)
前記マーク率均等化処理が、前記通信用データ信号にマーク率が半分から大きくずれた信号になる文字又は記号が含まれること、を制限する処理を含む、付記A9に記載された処理装置。
【0179】
(付記A11)
前記マーク率均等化処理が、前記通信用データ信号の元信号に対してスクランブル処理を行い、前記スクランブル処理後の信号を前記通信用データ信号にする処理を含む、付記9又は付記10に記載された処理装置。
【0180】
(付記A12)
前記識別情報が、前記温度制御信号の前に設けられる、前記温度制御信号の開始を通知する開始情報を含む、付記A1乃至付記A11のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0181】
(付記A13)
前記識別情報が、前記温度制御信号の終了を通知する終了情報を含む、付記A12に記載された制御装置。
【0182】
(付記A14)
自己が演算処理を行う機能を備える、付記A1乃至付記A13のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0183】
(付記A15)
前記他の装置が演算処理を行う機能を備える、付記A1乃至付記A14のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0184】
(付記A16)
前記駆動部が、前記温度制御信号の電圧と、基準電圧と、を入力信号とするコンパレータを備える、付記A1乃至付記A15のうちのいずれか一(付記A2を引用するものに限る。)に記載された処理装置。
【0185】
(付記A17)
前記駆動部が、前記温度制御信号を含む信号の電圧と、基準電圧と、を入力信号とするコンパレータを備える、付記A1乃至付記A15のうちのいずれか一(付記A2を引用するものに限る。)に記載された処理装置。
【0186】
(付記A18)
前記駆動部が、前記温度制御信号を含む信号の電圧と、前記他の装置から送られる信号と、を入力信号とするコンパレータを備える、付記A1乃至付記A15のうちのいずれか一(付記A2を引用するものに限る。)に記載された処理装置。
【0187】
(付記A19)
前記他の装置が、前記駆動部に対し第二の温度制御信号の送付を行う、付記A1乃至付記18に記載された処理装置。
【0188】
(付記A20)
前記送付が、自己が前記他の装置に対し通信用データを送付する際に行われる、付記A19に記載された処理装置。
【0189】
(付記A21)
前記他の装置に対し、前記駆動部に対し第二の温度制御信号の送付を行わせる、付記A19又は付記A20に記載された処理装置。
【0190】
(付記A22)
前記他の装置に対し、前記第二の温度制御信号の内容の少なくとも一部を指定する、付記A19乃至付記A21のうちのいずれか一に記載された処理装置。
【0191】
(付記B1)
付記A1乃至付記A22のうちのいずれか一に記載された処理装置と、前記温度制御手段とを備える、処理システム。
【0192】
(付記B2)
前記他の装置をさらに備える、付記B1に記載された処理システム。
【0193】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0194】
この出願は、2015年8月25日に出願された日本出願特願2015−165918を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。