特許第6394845号(P6394845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6394845
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】エスカレーターのステップ脱落検出装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   B66B29/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-533267(P2018-533267)
(86)(22)【出願日】2018年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2018005563
【審査請求日】2018年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/102031(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3071945(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ軸から脱落するステップをエスカレーターの機械室の床の上方で受け止める捕獲部と、
前記捕獲部が前記ステップを受け止めた場合に、前記エスカレーターの運転を制御する制御盤に前記エスカレーターを停止させる信号を送信する検出部と、
前記機械室の上部から前記捕獲部を下方に支持する支持部と、
下部が前記捕獲部に接続される弾性部材と、
を備え、
前記支持部は、前記弾性部材の上部に接続されることで前記捕獲部を支持するエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記機械室の上部に着脱可能に設けられる請求項に記載のエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【請求項3】
前記捕獲部は、湾曲部を有する1つ以上の線状部材によって前記ステップを受け止める請求項1または請求項2に記載のエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【請求項4】
前記湾曲部は、前記ステップ軸が循環移動する軌道に接する鉛直面に対して前記軌道の反対側に、且つ、前記鉛直面が前記軌道に接する接点を通る水平面より下方に配置される請求項に記載のエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【請求項5】
ステップ軸から脱落するステップをエスカレーターの機械室の床の上方で受け止める捕獲部と、
前記捕獲部が前記ステップを受け止めた場合に、前記エスカレーターの運転を制御する制御盤に前記エスカレーターを停止させる信号を送信する検出部と、
を備え、
前記捕獲部は、湾曲部を有する1つ以上の線状部材によって前記ステップを受け止め
前記湾曲部は、前記ステップ軸が循環移動する軌道に接する鉛直面に対して前記軌道の反対側に、且つ、前記鉛直面が前記軌道に接する接点を通る水平面より下方に配置されるエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【請求項6】
前記湾曲部は、前記ステップの前後方向を含む鉛直平面内で前記ステップの一部に沿う形状である請求項4または請求項5に記載のエスカレーターのステップ脱落検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターのステップ脱落検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にエスカレーターのステップ脱落検出装置の例が記載されている。ステップ脱落検出装置は、機械室の床に脱落検出腕とスイッチとを備える。ステップ軸からステップが脱落する場合に、脱落検出腕は、ステップに当たることでスイッチを押す。スイッチは、エスカレーターの制御盤にエスカレーターを停止するための信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開平7−257866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のステップ脱落検出装置においては、ステップ軸からステップが脱落した場合に、ステップが機械室の内部の装置に衝突する可能性がある。このため、脱落したステップの衝突により機械室の内部の機器が損傷する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、ステップ軸からステップが脱落した場合に、機械室の内部の機器が損傷することを防ぐステップ脱落検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエスカレーターのステップ脱落検出装置は、ステップ軸から脱落するステップをエスカレーターの機械室の床の上方で受け止める捕獲部と、捕獲部がステップを受け止めた場合に、エスカレーターの運転を制御する制御盤にエスカレーターを停止させる信号を送信する検出部と、機械室の上部から捕獲部を下方に支持する支持部と、下部が捕獲部に接続される弾性部材と、を備え、支持部は、弾性部材の上部に接続されることで捕獲部を支持する。
本発明に係るエスカレーターのステップ脱落検出装置は、ステップ軸から脱落するステップをエスカレーターの機械室の床の上方で受け止める捕獲部と、捕獲部がステップを受け止めた場合に、エスカレーターの運転を制御する制御盤にエスカレーターを停止させる信号を送信する検出部と、を備え、捕獲部は、湾曲部を有する1つ以上の線状部材によってステップを受け止め、湾曲部は、ステップ軸が循環移動する軌道に接する鉛直面に対して軌道の反対側に、且つ、鉛直面が軌道に接する接点を通る水平面より下方に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステップ脱落検出装置は、捕獲部と検出部とを備える。捕獲部は、ステップ軸から脱落するステップをエスカレーターの機械室の床の上方で受け止める。検出部は、捕獲部がステップを受け止めた場合に、エスカレーターの運転を制御する制御盤にエスカレーターを停止させる信号を送信する。これにより、ステップ脱落検出装置は、ステップ軸からステップが脱落した場合に機械室の内部の機器が損傷することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターのステップの側面図である。
図3】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの上部機械室の構成図である。
図4】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置をエスカレーターの前後方向のステップの反対側から見た構成図である。
図5】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの下部機械室の構成図である。
図6】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置の湾曲部の側面図である。
図7】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置の湾曲部の側面図である。
図8】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの上部機械室の構成図である。
図9】実施の形態1に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの下部機械室の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの構成図である。図1において、エスカレーター1の左右方向は、紙面に垂直な向きである。図1において、エスカレーター1の前後方向は、紙面の左右方向である。
【0011】
図1において、上部乗降口2aは、エスカレーター1の上部に設けられる。下部乗降口2bは、エスカレーター1の下部に設けられる。
【0012】
上部機械室3aは、エスカレーター1の上部に設けられる。上部機械室3aは、上部乗降口2aの下方に設けられる。下部機械室3bは、エスカレーター1の下部に設けられる。下部機械室3bは、下部乗降口2bの下方に設けられる。上部機械室3aおよび下部機械室3bは、エスカレーター1の機械室である。
【0013】
エスカレーター1は、複数のステップ軸4と、複数のステップ5と、一対の手すり6と、図示されない駆動装置と、複数のステップ脱落検出装置7と、制御盤8と、を備える。
【0014】
複数のステップ軸4は、無端状に連結される。
【0015】
複数のステップ5の各々は、ステップ軸4の各々に固定される。複数のステップ5は、無端状に配置される。
【0016】
一対の手すり6の一方は、複数のステップ5の左に設けられる。一対の手すり6の他方は、複数のステップ5の右に設けられる。一対の手すり6の各々は、無端状に形成される。
【0017】
駆動装置は、上部機械室3aに設けられる。
【0018】
複数のステップ脱落検出装置7の一方は、上部機械室3aに設けられる。複数のステップ脱落検出装置7の他方は、下部機械室3bに設けられる。
【0019】
制御盤8は、上部機械室3aに設けられる。制御盤8は、駆動装置の動作を制御する。駆動装置の動作は、駆動装置の起動および停止を含む。駆動装置は、上側を往路として複数のステップ軸4を循環移動させる。複数のステップ軸4の各々は、上部機械室3aおよび下部機械室3bにおいて折り返す軌道C上を移動する。複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々と同期して循環移動する。往路を後方から前方へ移動する複数のステップ5は、エスカレーター1の一定傾斜部において、階段状に配置される。制御盤8および駆動装置は、上部機械室3aに配置される。一対の手すり6は、複数のステップ5の各々と同期して循環する。
【0020】
エスカレーター1の上り運転時に、利用者は、ステップ5に一対の手すり6の一方を掴んで下部乗降口2bから乗る。利用者は、往路を移動するステップ5に乗って上部乗降口2aに移動する。
【0021】
エスカレーター1の下り運転時に、利用者は、ステップ5に一対の手すり6の一方を掴んで上部乗降口2aから乗る。利用者は、往路を移動するステップ5に乗って下部乗降口2bに移動する。
【0022】
保守点検時の取付け忘れ等によってステップ軸4に固定がされていないステップ5がある場合に、当該ステップ5は、ステップ軸4から脱落しうる。エスカレーター1の上り運転時にステップ5がステップ軸4から脱落する場合に、上部機械室3aに設けられるステップ脱落検出装置7は、ステップ5を上部機械室3aの床Faの上方で受け止める。エスカレーター1の下り運転時にステップ5がステップ軸4から脱落する場合に、下部機械室3bに設けられるステップ脱落検出装置7は、ステップ5を下部機械室3bの床Fbの上方で受け止める。ステップ5を受け止めたステップ脱落検出装置7は、制御盤8にエスカレーター1を停止させる信号を送信する。その後、エスカレーター1は、停止する。
【0023】
続いて、図2を用いて、ステップ5の構成を説明する。
図2は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターのステップの側面図である。
【0024】
ステップ軸4は、ステップ軸4を回転軸として回転可能な軸受9を備える。
【0025】
ステップ5は、踏み板10と、ライザー11と、ブラケット12と、口金13と、を備える。踏み板10は、エスカレーター1の利用者が乗り込む平面を有する。ライザー11は、踏み板10の前後方向の一縁部から垂れ下がる。ブラケット12は、踏み板10とライザー11とを連結する。口金13は、ブラケット12の下部に設けられる。口金13は、踏み板10の前後方向のライザー11の反対側で踏み板10の下方に配置される。口金13は、ステップ軸4の軸受9にボルト14の締め付けによって固定される。
【0026】
続いて、図3から図4を用いて、上部機械室3aに設けられるステップ脱落検出装置7の構成を説明する。
図3は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの上部機械室の構成図である。図4は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置をエスカレーターの前後方向のステップの反対側から見た構成図である。
【0027】
図3に示されるように、上部機械室3aは、開口部を上部に有する。保守作業を行う場合に、保守員は、開口部から上部機械室3aに進入する。上部機械室3aは、上部においてエスカレーター1の左右方向にわたる梁15を有する。梁15は、上部機械室3aの開口部を塞ぐ蓋16を支持する。梁15は、1つ以上の取付け穴を有する。
【0028】
ステップ脱落検出装置7は、支持部17と、バネ18と、捕獲部19と、検出部20と、を備える。
【0029】
支持部17は、上端が梁15の取付け穴に、ボルトおよびナットの締め付けによって着脱可能に取り付けられる。支持部17は、下端にガイド穴21を有する。
【0030】
バネ18は、支持部17のガイド穴21の上方に上部が接続される。バネ18は、弾性部材の例である。バネ18は、例えばコイルばねである。
【0031】
捕獲部19は、バネ18の下部に上端が接続される。捕獲部19は、バネ18によって上方から支持部17に支持される。捕獲部19は、バネ18の弾性力に抗して、ガイド穴21に案内されて鉛直方向に可動に構成される。捕獲部19は、一対の線状部材22を有する。
【0032】
一対の線状部材22は、エスカレーター1の左右方向に並ぶ。一対の線状部材22の各々は、下部に湾曲部23を有する。湾曲部23は、ステップ5の前後方向を含む鉛直面平面内で湾曲して内側がステップ5の側に向くように形成される。湾曲部23は、ステップ軸4が循環移動する軌道Cに接する鉛直面Vaに対して軌道Cの反対側に配置される。湾曲部23は、鉛直面Vaが軌道Cに接する接点を通る水平面Haより下方に配置される。湾曲部23は、上部機械室3aの床Faの上方に配置される。
【0033】
検出部20は、プッシュスイッチ24を備える。プッシュスイッチ24が押された場合にエスカレーター1を停止する信号を送信しうるように、検出部20は、制御盤8に接続される。プッシュスイッチ24は、捕獲部19の上部に、支持部17の下端と鉛直方向で対向するように設けられる。プッシュスイッチ24は、対向する支持部17の下端に捕獲部19の自重によって押されない位置に配置される。
【0034】
図4に示されるように、一対の線状部材22の各々は、ステップ5の中心に対して左右に配置される。一対の線状部材22の各々は、ステップ5の左右方向の端部より中心寄りに配置される。
【0035】
続いて、図5を用いて、下部機械室3bに設けられるステップ脱落検出装置7の構成を説明する。
図5は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの下部機械室の構成図である。
【0036】
下部機械室3bに設けられるステップ脱落検出装置7の説明においては、上部機械室3aに設けられるステップ脱落検出装置7と相違する点について詳しく述べる。下部機械室3bに設けられるステップ脱落検出装置7について説明しない特徴は、上部機械室3aに設けられるステップ脱落検出装置7と同様である。
【0037】
下部機械室3bは、開口部を上部に有する。保守作業を行う場合に、保守員は、開口部から下部機械室3bに進入する。下部機械室3bは、上部においてエスカレーター1の左右方向にわたる梁15を有する。梁15は、開口部を塞ぐ蓋16を支持する。梁15は、1つ以上の取付け穴を有する。
【0038】
湾曲部23は、ステップ軸4が循環移動する軌道Cに接する鉛直面Vbに対して軌道Cの反対側に配置される。湾曲部23は、鉛直面Vbが軌道Cに接する接点を通る水平面Hbより下方に配置される。湾曲部23は、下部機械室3bの床Fbの上方に配置される。
【0039】
続いて、図6および図7を用いて、ステップ脱落検出装置7の湾曲部23の構成を説明する。
図6および図7は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置の湾曲部の側面図である。図6には、上部機械室3aに設けられる湾曲部23の前後方向を含む鉛直面内における構成が示される。図7には、下部機械室3bに設けられる湾曲部23の前後方向を含む鉛直面内における構成が示される。
【0040】
図6に示されるように、湾曲部23は、ステップ5の前後方向を含む鉛直平面内でステップ5の口金13が設けられる側を含む一部に沿うように形成される。
【0041】
図7に示されるように、湾曲部23は、ステップ5の前後方向を含む鉛直平面内でステップ5のライザー11が設けられる側を含む一部に沿うように形成される。
【0042】
続いて、図8および図9を用いて、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置の動作を説明する。
図8は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの上部機械室の構成図である。図9は、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置を備えるエスカレーターの下部機械室の構成図である。図8は、エスカレーター1の上り運転時にステップ5が脱落した状態を示す。図9は、エスカレーター1の下り運転時にステップ5が脱落した状態を示す。
【0043】
図8に示されるように、エスカレーター1の上り運転時において、複数のステップ5の各々は、往路を後方から前方に移動した後に上部機械室3aに入りこむ。複数のステップ軸4の各々は、上部機械室3aにおいて折り返して循環移動する。複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々と同期して、上部機械室3aにおいて折り返して循環移動する。
【0044】
保守点検時の取付け忘れ等によって口金13の固定がされていないステップ5がある場合に、ステップ5は、上部機械室3aにおいて折り返す際に慣性および重力によってステップ軸4から脱落する。脱落したステップ5は、ステップ脱落検出装置7の湾曲部23に上部機械室3aの床Faの上方で例えば口金13を下にして受け止められる。
【0045】
捕獲部19は、受け止めたステップ5の重量によって鉛直下方向に移動する。プッシュスイッチ24は、捕獲部19とともに鉛直下方向に移動する。プッシュスイッチ24は、対向する支持部17の下端に当たることで押される。検出部20は、プッシュスイッチ24が押されたことによって、エスカレーター1を停止する信号を制御盤8に送信する。
【0046】
制御盤8は、受信した信号に基づいて、駆動装置を停止させる。
【0047】
次に、図9に示されるように、エスカレーター1の下り運転時において、複数のステップ5の各々は、往路を後方から前方に移動した後に下部機械室3bに入りこむ。複数のステップ軸4の各々は、下部機械室3bにおいて折り返して循環移動する。複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々と同期して、下部機械室3bにおいて折り返して循環移動する。
【0048】
保守点検時の取付け忘れ等によって口金13の固定がされていないステップ5がある場合に、ステップ5は、下部機械室3bにおいて折り返す際に慣性および重力によってステップ軸4から脱落する。脱落したステップ5は、ステップ脱落検出装置7の湾曲部23に下部機械室3bの床Fbの上方で例えばライザー11を下にして受け止められる。
【0049】
捕獲部19は、受け止めたステップ5の重量によって鉛直下方向に移動する。プッシュスイッチ24は、捕獲部19とともに鉛直下方向に移動する。プッシュスイッチ24は、対向する支持部17の下端に当たることで押される。検出部20は、プッシュスイッチ24が押されたことによって、エスカレーター1を停止する信号を制御盤8に送信する。
【0050】
制御盤8は、受信した信号に基づいて、駆動装置を停止させる。
【0051】
以上に説明したように、本実施の形態に係るステップ脱落検出装置7は、捕獲部19と、検出部20とを備える。捕獲部19は、ステップ軸4から脱落するステップ5をエスカレーター1の機械室の床の上方で受け止める。検出部20は、捕獲部19がステップ5を受け止めた場合に、エスカレーター1の運転を制御する制御盤8にエスカレーター1を停止させる信号を送信する。脱落したステップ5は機械室の床の上方で受け止められるので、ステップ脱落検出装置7は、ステップ5が機械室の内部の機器に衝突することを防ぐことができる。これにより、ステップ脱落検出装置7は、ステップ軸4からステップ5が脱落した場合に機械室の内部の機器が損傷することを防ぐことができる。
【0052】
ステップ脱落検出装置7が脱落したステップ5を受け止めた場合に、エスカレーター1は脱落したステップ5が機械室の内部にある状態で停止する。これにより、ステップ脱落検出装置7は、ステップ5が脱落した部分に利用者が乗込むこと等による利用者災害を防止できる。ステップ脱落検出装置7は、循環移動するステップ軸4が脱落したステップ5を巻き込んで周辺の機器を損傷させることを防止できる。
【0053】
また、ステップ脱落検出装置7は、機械室の上部から捕獲部19を下方に支持する支持部17を備える。ステップ5を受け止める捕獲部19が機械室に固定される支持部17より下方にあるので、ステップ脱落検出装置7は、ステップ5を受け止めた場合においても重心が支持部17の下方にある。このため、ステップ脱落検出装置7は、脱落したステップ5を受け止める際にも安定して姿勢を保ちやすい。ステップ脱落検出装置7は、脱落したステップ5を受け止めた際に転倒して周辺の機器を損傷させることを防止できる。
【0054】
ステップ脱落検出装置7は、機械室の床の一部を占有しないので、保守作業の際に邪魔になりにくい。
【0055】
また、ステップ脱落検出装置7は、バネ18を備える。バネ18は、下部が捕獲部19に接続される。支持部17は、バネ18の上部に接続されることで捕獲部19を支持する。バネ18は、捕獲部19が脱落したステップ5を受け止める際の衝撃を緩和する。これにより、バネ18は、支持部17および支持部17が取り付けられる梁15等の破損または変形を抑制できる。
【0056】
また、支持部17は、機械室の上部に着脱可能に設けられる。保守点検の際に取り外すことで、ステップ脱落検出装置7は、保守点検の邪魔にならない。ステップ脱落検出装置7は機械室の上部に設けられているので、保守員は、開口部から容易に取り外すことができる。
【0057】
また、捕獲部19は、湾曲部23を有する1つ以上の線状部材22によってステップ5を受け止める。捕獲部19は線状部材22により構成されるので、保守員はステップ脱落検出装置7を機械室に設置または撤去する際に開口部から出し入れしやすい。ステップ脱落検出装置7を取り外さない場合にも、保守点検の作業に干渉しにくい。
【0058】
捕獲部19が複数の線状部材22を有する場合に、線状部材22の1つあたりにかかる荷重が分散して低減される。ステップ5を複数の線状部材22で支持するので、ステップ脱落検出装置7は受け止めたステップ5の水平面内の回転を抑制できる。ステップ5の動きが規制されるので、ステップ脱落検出装置7はステップ5が周辺の機器に衝突することで損傷させることを抑制できる。
【0059】
また、湾曲部23は、ステップ軸4が循環移動する軌道Cに接する鉛直面に対して軌道Cの反対側に、且つ、鉛直面が軌道Cに接する接点を通る水平面より下方に配置される。ステップ軸4に固定されていないステップ5は、慣性および重力により脱落しうる。慣性によりステップ5は軌道Cの外側に向かって脱落する。重力によりステップ5は軌道Cの下方に向かって脱落する。湾曲部23はステップ5が脱落する方向に位置するため、確実にステップ5を受け止めることができる。
【0060】
また、湾曲部23は、ステップ5の前後方向を含む鉛直平面内でステップ5の一部に沿う形状である。受け止められたステップ5と湾曲部23との隙間が小さくなるので、ステップ5は、受け止められた後に安定して保持される。ステップ脱落検出装置7は、ステップ5を受け止めた後に取り落とすことを抑制する。
【0061】
上部機械室3aに設けられるステップ脱落検出装置7の湾曲部23は、ステップ5の口金13が設けられる側を含む一部に沿うように形成される。上部機械室3aにおいて脱落するステップ5は、慣性および重力により口金13を下にして落下しやすい。このため、脱落したステップ5を確実に受け止められる。
【0062】
下部機械室3bに設けられるステップ脱落検出装置7の湾曲部23は、ステップ5のライザー11が設けられる側を含む一部に沿うように形成される。下部機械室3bにおいて脱落するステップ5は、慣性および重力によりライザー11を下にして落下しやすい。このため、脱落したステップ5を確実に受け止められる。
【0063】
なお、捕獲部19は湾曲部を有する板状部材でステップ5を受け止めてもよい。捕獲部19は網でステップ5を受け止めてもよい。捕獲部19は線状部材22を3つ以上有してもよい。捕獲部19は線状部材22を1つのみ有してもよい。
【0064】
支持部17は、上端が梁15の取付け穴に、吊り下げフックにより取り付けられてもよい。保守員は、ステップ脱落検出装置7を容易に着脱できる。
【0065】
ステップ脱落検出装置7は、上部機械室3aまたは下部機械室3bのいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0066】
ステップ脱落検出装置7が上部機械室3aおよび下部機械室3bの両方に設けられる場合に、上部機械室3aおよび下部機械室3bにおいて湾曲部23の形状が同じステップ脱落検出装置7が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係るステップ脱落検出装置は、ステップ軸にステップを取り付けるエスカレーターシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 エスカレーター、 2a 上部乗降口、 2b 下部乗降口、 3a 上部機械室、 3b 下部機械室、 4 ステップ軸、 5 ステップ、 6 手すり、 7 ステップ脱落検出装置、 8 制御盤、 9 軸受、 10 踏み板、 11 ライザー、 12 ブラケット、 13 口金、 14 ボルト、 15 梁、 16 蓋、 17 支持部、 18 バネ、 19 捕獲部、 20 検出部、 21 ガイド穴、 22 線状部材、 23 湾曲部、 24 プッシュスイッチ
【要約】
この発明は、ステップ軸(4)からステップ(5)が脱落した場合に、機械室の内部の機器が損傷することを防ぐステップ脱落検出装置(7)を提供することを目的とする。ステップ脱落検出装置(7)は、捕獲部(19)と検出部(20)とを備える。捕獲部(19)は、ステップ軸(4)から脱落するステップ(5)をエスカレーター(1)の機械室の床の上方で受け止める。検出部(20)は、捕獲部(19)がステップ(5)を受け止めた場合に、エスカレーター(1)の運転を制御する制御盤(8)にエスカレーター(1)を停止させる信号を送信する。
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図2
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図8
図9