(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記更新処理部による前記解析の結果、前記記憶媒体から抽出された前記ファームウェア更新データが前記ファームウェアの更新に必要なデータの全てではないと判定された場合、前記録画制御部は、前記ファームウェアの更新に必要なファームウェア更新データのうち現時点で前記記憶媒体に保存されていないファームウェア更新データを前記テレビ放送から抽出して前記記憶媒体に保存することを特徴とする請求項1に記載の録画装置。
前記録画制御部は、前記受信したテレビ放送に含まれる、前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルおよび時刻を示した告知データを記憶媒体に保存し、かつ、当該告知データに示された時刻に当該告知データに示されたチャンネルで受信されるテレビ放送から前記ファームウェア更新データを抽出して前記記憶媒体に保存することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の録画装置。
前記録画制御部は、前記指定された複数のチャンネルのいずれも前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルに該当しない場合、前記指定された複数のチャンネルのいずれかのチャンネルを、前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルへ一時的に切り替え、当該切り替え後のチャンネルで受信されるテレビ放送から前記ファームウェア更新データを抽出して前記記憶媒体に保存し、前記ファームウェア更新データの保存後は、受信チャンネルを前記切り替え前のチャンネルに戻すことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の録画装置。
前記録画制御部は、前記特定期間に、前記指定された複数のチャンネル以外のチャンネルのテレビ放送を受信し、当該受信するテレビ放送から前記指定された複数のチャンネル以外のチャンネルにかかる前記ロゴ更新データを抽出して前記記憶媒体に保存することを特徴とする請求項6に記載の録画装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態として、前記特定データには、前記録画装置が保持するファームウェアを更新するためのファームウェア更新データが含まれるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記更新処理部による前記解析の結果、前記記憶媒体から抽出された前記ファームウェア更新データが前記ファームウェアの更新に必要なデータの全てではないと判定された場合、前記録画制御部は、前記ファームウェアの更新に必要なファームウェア更新データのうち現時点で前記記憶媒体に保存されていないファームウェア更新データを前記テレビ放送から抽出して前記記憶媒体に保存するとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記録画制御部は、前記受信したテレビ放送に含まれる、前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルおよび時刻を示した告知データを記憶媒体に保存し、前記更新処理部は、前記記憶媒体に保存された前記告知データを参照することにより、前記記憶媒体に保存されたデータの中から前記ファームウェア更新データを抽出するとしてもよい。
【0012】
また、本発明の実施形態として、前記録画制御部は、前記受信したテレビ放送に含まれる、前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルおよび時刻を示した告知データを記憶媒体に保存し、かつ、当該告知データに示された時刻に当該告知データに示されたチャンネルで受信されるテレビ放送から前記ファームウェア更新データを抽出して前記記憶媒体に保存するとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記録画制御部は、前記指定された複数のチャンネルのいずれも前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルに該当しない場合、前記指定された複数のチャンネルのいずれかのチャンネルを、前記ファームウェア更新データの放送が行われるチャンネルへ一時的に切り替え、当該切り替え後のチャンネルで受信されるテレビ放送から前記ファームウェア更新データを抽出して前記記憶媒体に保存し、前記ファームウェア更新データの保存後は、受信チャンネルを前記切り替え前のチャンネルに戻すとしてもよい。
【0013】
また、本発明の実施形態として、前記特定データには、チャンネル毎のロゴタイプの表示を更新するためのロゴ更新データが含まれるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記録画制御部は、前記特定期間に、前記指定された複数のチャンネル以外のチャンネルのテレビ放送を受信し、当該受信するテレビ放送から前記指定された複数のチャンネル以外のチャンネルにかかる前記ロゴ更新データを抽出して前記記憶媒体に保存するとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記特定期間は、前記テレビ放送が停止される時間帯内に設定されているとしてもよい。
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に説明する。
(第1実施例)
図1は、実施形態における録画装置10をブロック図により示している。録画装置10は、ループ録画を実行可能な製品であり、録画再生装置、放送受信機、等と呼んでもよい。録画装置10は、複数のチューナ(デジタルチューナ)11を備えている。具体的には、地上デジタル放送用のチューナ(地デジチューナ)11a1〜11a3、BSデジタル放送用のチューナ(BSチューナ11b1,11b2)、CS放送用のチューナ(CSチューナ)11c1,11c2を備えている。
図1の例では、地上デジタル放送であれば同時に3つのテレビ放送を受信でき、BSデジタル放送であれば同時に2つのテレビ放送を受信でき、CS放送であれば同時に2つのテレビ放送を受信できる。各チューナ11で受信して復調されエラー処理まで行われた復調信号はそれぞれ個別にデマルチプレクサ12に入力されている。図示していないがチューナ11は復調器を含むものとする。むろん、チューナ11の数は
図1に示した数より多くてもよい。
【0015】
デマルチプレクサ12は多重信号の分離を行うが、さらにCPU12b、ROM12a、RAM12c、および、その他のメモリー12d等を内蔵して所定のプログラム(ファームウェア等)を実行し、各部を制御してテレビ放送の受信、録画および再生を行なうことが可能である。ファームウェアは、例えば、メモリー12dに格納されており、後述するように更新の対象となる。
【0016】
マルチプレクサ13は、録画時、受信したテレビ放送からテレビコンテンツ(以下、単にコンテンツ)の録画に必要な情報(コンテンツを構成する映像データおよび音声データ)を抽出して再多重し、記憶媒体としてのハードディスクドライブ(HDD)14に保存させる。再生時は、デマルチプレクサ12がHDD14から直にデータを読み出す。HDD14には、デジタル放送のコンテンツに加え、後述する特定データ14Aや告知データ14B等も保存される。
【0017】
チューナ11が受信したテレビ放送のトランスポートストリーム(以下、TS)から抽出された或いはHDD14から読み出されたデータは、デコーダ15に入力され、映像データと音声データとに分離され、デコードされる。デコードされた映像データはドライバ16に入力されてディスプレイパネル17で映像として表示される。また、デコードされた音声データはアンプ18で増幅されてスピーカ19から音声として出力される。
【0018】
録画装置10に対する操作指示は、操作パネル21を介してデマルチプレクサ12が取得し、各制御に反映させる。また、リモートコントローラー(リモコン)22を介する操作指示も同様に取得可能となっている。録画装置10は、例えば、ディスプレイパネル17やスピーカ19を一体的に含む製品であればテレビに該当するし、外部のディスプレイパネル17やスピーカ19と有線あるいは無線で接続する製品であればレコーダに該当する。
【0019】
図2は、録画装置10が備える機能の一部をブロック図により例示している。録画装置10は、その機能の一部として、コンテンツを構成する映像データおよび音声データと、映像データおよび音声データ以外に前記受信したテレビ放送に含まれる特定データとを所定の記憶媒体(HDD14)に保存する録画制御部30と、前記受信および保存が実行される時間帯とは別の特定期間に、前記記憶媒体から特定データを抽出して所定の解析を実行し、特定データを用いた情報の更新処理を実行する更新処理部40と、を少なくとも備える。これら各機能(録画制御部30、更新処理部40)は、例えば、プログラムを実行するCPU12bを主としつつ、その他のROM12a、RAM12c、メモリー12d(デマルチプレクサ12)、マルチプレクサ13およびHDD14といった構成の全てあるいは一部が協働することによって実現される。
【0020】
図3は、録画装置10が第1実施例において実行する処理をフローチャートにより示している。
ステップS100では、録画制御部30は、ループ録画を実行する。つまり、ユーザが予め操作パネル21やリモコン22を介して指定した複数のチャンネルのテレビ放送を複数のチューナ11でそれぞれ受信させ、当該受信させたテレビ放送に含まれるコンテンツ(コンテンツを構成する映像データおよび音声データ)をチャンネル毎に並行してHDD14に保存する。このようなループ録画は、HDD14におけるコンテンツを録画(保存)可能な容量にもよるが、例えば数日間継続して(あるいは録画済みの古いコンテンツを消去しながら常時)実行される。
【0021】
第1実施例におけるループ録画(ステップS100)では、コンテンツ以外の特定データ16Aも併せてHDD14に保存される。ここでは、特定データ16Aは、ファームウェアを更新するためのファームウェア更新データ(FW更新データ)を指す。つまり、テレビ放送にはコンテンツ以外にもFW更新データ等が重畳されており、録画制御部30は、ループ録画の際、チューナ11が受信したテレビ放送のTSから、コンテンツを構成する映像データおよび音声データの各パケットの他、FW更新データに該当するパケットも抽出して、HDD14に保存させる。
【0022】
ステップS110では、更新処理部40は、現在の時刻が予め設定されたメンテナンス時間に該当するか否か判定し、メンテナンス時間に該当すれば(ステップS110において“Yes”)、ステップS120へ進む。一方、メンテナンス時間に該当しなければ(ステップS110において“No”)、ループ録画(ステップS100)が継続される。メンテナンス時間は、前記特定期間の一例であり、ユーザが操作パネル21やリモコン22を介して任意に設定することができる。第1実施例では、メンテナンス時間は、テレビ放送が停止される深夜の所定時間帯に設定されているとする。
【0023】
ステップS120では、更新処理部40は、ステップS100のループ録画によりHDD14に保存されたデータ(以下、ループ録画データ)内に、FW更新データが有るか否か判定する。当該判定は、ループ録画データとしての各パケットのヘッダに格納されたパケットID(PID)に基づいて行う。各パケットには、映像データ、音声データ、FW更新データ等のいずれに該当するパケットであるかを識別するPIDが格納されている。例えば、BSデジタル放送から得られるFW更新データのパケットには“0x07□□”といった既知のPIDが付与されており、地上デジタル放送から得られるFW更新データのパケットには“0x1C□□”や“0x1D□□”といった既知のPIDが付与されている。なお、前記□□には、録画装置10を製造したメーカー等を識別するための識別子が挿入されている。
【0024】
当該ステップS120では、更新処理部40は、ループ録画データである各パケットのPIDを参照した結果、上述したようなFW更新データのパケットに付与されるPIDをヘッダに格納したパケットが有る場合には、FW更新データがループ録画データ内に有ると判定してステップS130へ進む。一方、FW更新データのパケットがループ録画データ内に全く無い場合は、ステップS180へ進む。
【0025】
ステップS130では、更新処理部40は、ループ録画データからFW更新データを抽出する。つまり、ステップS120においてPIDに基づいてFW更新データのパケットであると識別できたパケットを、ループ録画データから抽出する。
【0026】
ステップS140では、更新処理部40は、ループ録画データからファームウェアの更新に必要なFW更新データの全ての抽出に成功したか否か判定する。具体的には、更新処理部40は、ステップS130で抽出したFW更新データの全てのパケットを繋ぎ合せた上でセクション化し、当該セクション化したデータを対象として所定の解析を行う。そして、この解析の結果、ファームウェアの更新に必要なFW更新データが全て揃っていると判定した場合(例えば、各パケットのヘッダを解析した結果、FW更新データを構成する最後のパケットを発見した場合)には、ファームウェアの更新に必要なFW更新データの全ての抽出に成功したとして(ステップS140において“Yes”)、ステップS170へ進む。一方、ループ録画データからファームウェアの更新に必要なFW更新データの全ての抽出に成功していない場合、つまりファームウェアの更新に必要なFW更新データの一部しかステップS130で抽出できていない場合は(ステップS140において“No”)、ステップS150へ進む。
【0027】
ステップS140で“No”と判定する場合の事例としては、ステップS100のループ録画において、テレビ放送に重畳されたFW更新データもHDD14へ一部分ずつ順次保存している状態で、全てのFW更新データの保存を終える前にメンテナンス時間に入ってしまった場合等が考えられる。ステップS150では、録画制御部30は、ファームウェアの更新に必要なFW更新データのうち、現時点でHDD14に保存されていないFW更新データ(以下、未保存FW更新データ)をテレビ放送からダウンロード(DL)する。
【0028】
ステップS120〜S140の処理および、後述のステップS170〜S190の処理は、メンテナンス時間内に実行する処理であるが、ステップS150(および後述のS160)は、メンテナンス時間外に実行する処理である。つまり、ステップS150(および後述のS160)はループ録画の実行中に行われる。ただし、ステップS150では、ステップS100で行うようにテレビ放送のTSからPIDに基づいて抽出されたFW更新データに該当するパケットであれば何でもHDD14へ保存するのではなく、未保存FW更新データに限って保存を行う。つまり、テレビ放送の受信によって得られたTSからPIDに基づいて抽出したFW更新データのパケットを解析し、ステップS130で抽出済みのFW更新データのパケットとの比較から未保存FW更新データであると判別されるパケットのみを、HDD14へ保存する。従って、ステップS150における“DL”は、テレビ放送を受信しながら実行する、このような抽出、解析、保存といった一連の処理を意味する。
【0029】
ステップS160では、録画制御部30は、全ての未保存FW更新データをステップS150においてDLし終えたか否か判定し、DLし終えていなければステップS150を続行し、DLし終えていればステップS170へ進む。当該ステップS160における判定は、例えば、未保存FW更新データに該当するパケットを順次保存していく中で、FW更新データを構成する最後のパケットを保存し終えたか否かにより分岐する。
【0030】
ステップS170では、更新処理部40は、ファームウェアを更新する。つまり、ステップS170の時点では、現在のファームウェアを更新するために必要なFW更新データのパケットが全てHDD14に保持されている。そのため、それらパケットを適宜、セクション化やデコードして得られるデータ(FW更新データ)により、現在のファームウェアの内容を更新する(アップデートする)。
【0031】
ステップS180では、更新処理部40は、録画装置10のシステムメンテナンスを実行する。システムメンテナンスの概念には上述したファームウェアの更新も含まれるが、ステップS180では、ファームウェアの更新以外の、録画装置10の正常な稼働に必要な所定のメンテナンス処理を実行する。ステップS190では、更新処理部40は、当該所定のメンテナンス処理を完了したか否か判定し、未完了であればステップS180を続行し、完了した場合はステップS100へ戻る。なお、システムメンテナンスの最後に、録画装置10はそれまでに更新したファームウェアや各種データを有効化するために再起動するとしてもよい。
【0032】
このように第1実施例によれば、録画装置10がループ録画を実行する時間帯には、各チャンネルのコンテンツだけでなく、特定データ14AとしてのFW更新データもHDD14に保存される。そして、メンテナンス時間に、HDD14からFW更新データが抽出され(ステップS120,S130)、所定の解析が実行され(ステップS140)、FW更新データを用いたファームウェアの更新が実行される(ステップS170)。つまり、CPUや各種メモリーといったリソースの負担が大きい、このような一連の処理(ステップS120,S130,S140,S170)は、ループ録画中には実行されずにメンテナンス時間中に実行されるため、ループ録画の機能が制限されること(例えば、録画可能なチャンネル数が減る等の不都合)が回避される。また、このような一連の処理は、テレビ放送を受信しながら並行して行われるものではないため、メンテナンス時間中における録画装置10の負担も小さくて済み、ファームウェアの更新やその他のシステムメンテナンスに要する時間も短縮することができる。
【0033】
また、ループ録画中にHDD14に保存されたループ録画データ内に、ファームウェアの更新に必要なFW更新データの一部分しか存在しない場合(ステップS140において“No”)、未保存FW更新データのみ、テレビ放送からのDL、つまりテレビ放送の受信と並行して、未保存FW更新データの抽出、解析、保存を行う。このように、FW更新データについてのテレビ放送からのDL量を減らすことで、コンテンツのループ録画以外で録画装置10のリソースを消費する時間を減らすことができる。
【0034】
実施形態は上述の内容に限られるものではなく種々の態様が考えられ、後述するような各実施例を採用可能である。本明細書における実施形態や実施例を適宜組み合わせた構成も、本発明の開示範囲に入る。以下では、既に説明した事項が適宜適用されるものとし、主に、既に説明した事項と異なる点を主に説明する。
【0035】
(第2実施例)
ループ録画(ステップS100)の際には、録画制御部30は、コンテンツに相当するパケットやFW更新データに相当するパケットの他、FW更新データの放送が行われるチャンネルおよび時刻を示した告知データも受信したテレビ放送のTSから抽出してHDD14に保存する(
図1の告知データ14B参照)。告知データ16Bとしては、SDTT(Software Download Trigger Table)が該当する。
【0036】
SDTTには、FW更新データが放送局から放送されるスケジュール(時刻やチャンネル)が記述されている。SDTTのパケットにも既知のPIDが付与されており、例えば、“0x0023”といったPIDをSDTTのパケットは有している。従って、ステップS100では、上述したようなSDTTのパケットに付与されるPIDを格納したパケットをテレビ放送から抽出して、告知データ14BとしてHDD14に保存する。また、ステップS120,S130では、更新処理部40は、HDD14に保存されたSDTTを参照することにより、ループ録画データの中からFW更新データを抽出する。
【0037】
つまり、更新処理部40は、SDTTを参照することで、どのチャンネルでどの時刻にFW更新データがテレビ放送に重畳されて配信されたかを特定できる。そのため、FW更新データを抽出すべくHDD14内を検索する際にも、当該チャンネルと時刻に基づいて検索することで、FW更新データに該当するパケットを短時間で効率的に抽出することができる。従って、ステップS120,S130,S140,S170といった一連の処理に要する時間を短縮し、当該一連の処理に際してのリソースを消費を節約することができる。
【0038】
(第3実施例)
図4は、録画装置10が第3実施例において実行する処理をフローチャートにより示している。
図4に記載した処理は、ループ録画(ステップS100)実行中にテレビ放送からFW更新データを抽出してHDD14へ保存するために行う処理である。
図4においては、このような処理を告知データ14B(SDTT)を利用することにより効率化する。
【0039】
ステップS101では、録画制御部30は、ループ録画を実行する中で、受信したテレビ放送から告知データ14B(SDTT)を抽出してHDD14に保存済みであるか否か判定する。ステップS101のタイミングで保存済みか否かの対象となるSDTTとは、FW更新データが放送される時刻として現在以降の時刻を記述したSDTTである。そのようなSDTTのパケットを保存済みであればステップS103へ進み、一方、そのようなSDTTのパケットを未保存であればステップS102へ進む。
【0040】
ステップS102では、録画制御部30は、ループ録画の対象として指定されている全てのチャンネルのテレビ放送で、FW更新データのパケットの有無を常時監視し、FW更新データのパケットが有ればそれを抽出してHDD14へ特定データ14Aとして保存する。FW更新データのパケットであるか否かは上述したようにPIDに基づいて判別する。ステップS102の実行に際しては、ステップS101の判定も繰り返し行う。
【0041】
一方、ステップS103では、録画制御部30は、ステップS101で保存済みと判定した対象のSDTTを参照して、現在の時刻が当該SDTTが記述するFW更新データの放送時刻となったか否かの判定を繰り返し実行する。そして、FW更新データの放送時刻になれば、ステップS104へ進む。
【0042】
ステップS104では、録画制御部30は、ループ録画の対象として指定されている全チャンネルのうち、ステップS101で保存済みと判定した対象のSDTTが記述する、FW更新データを放送するチャンネル(該当チャンネル)で受信されるテレビ放送からFW更新データのパケットを抽出してHDD14へ特定データ14Aとして保存する。
【0043】
ステップS105では、録画制御部30は、ステップS101で保存済みと判定した対象のSDTTを参照して、当該SDTTが記述するFW更新データの放送時刻(時間帯)が終了した否か判定する。そして、FW更新データの放送時刻が終了するまではステップS104,S105を繰り返し、一方、FW更新データの放送時刻が終了すれば、FW更新データをテレビ放送から抽出して保存する処理を停止し(ステップS106)、ステップS101へ戻る。
【0044】
このような第3実施例によれば、ループ録画(ステップS100)の最中に併せてFW更新データを抽出、保存する場合に、既に取得したSDTTに記述されているFW更新データの放送チャンネルおよび放送時刻を参照することで、FW更新データの抽出の対象とすべき時刻およびチャンネル数を限定することができる。そのため、テレビ放送からFW更新データを抽出、保存するためのリソースの消費を節約でき、また、HDD14にFW更新データ(パケット)を保存するために予め確保しておく容量を少なくすることができる。
【0045】
(第4実施例)
ループ録画の対象として指定されているチャンネルのいずれもが、FW更新データの放送が行われるチャンネルに該当しないことがある。録画制御部30は、例えば、ループ録画の実行中(ステップS100)に受信したテレビ放送から抽出して保存した告知データ14B(SDTT)を参照したときに、当該SDTTが記述するFW更新データを放送するチャンネルのいずれもが、現在ループ録画の対象として指定されているチャンネルに該当しない場合に、このような判定を行うことができる。そこで、録画制御部30は、ループ録画の対象として指定されているチャンネルのいずれもが、FW更新データの放送が行われるチャンネルに該当しないと判定した場合、ループ録画の対象として指定されているチャンネルのいずれかを、FW更新データの放送が行われるチャンネルへ一時的に切り替える。
【0046】
ここでは、録画制御部30は、ループ録画の対象として指定されている複数のチャンネルのうち所定のチャンネルAの放送を受信する設定となっている1つのチューナ11を、SDTTが記述するFW更新データを放送するチャンネルであるチャンネルBを受信する設定へ一時的に切り替える。ここで言う一時的とは、SDTTが記述するFW更新データがチャンネルBによって放送される時刻を含む限られた時間を指す。この結果、録画制御部30は、ステップS100において、チャンネルBで受信されるテレビ放送からFW更新データを抽出して、HDD14に特定データ14Aとして保存することができる。
【0047】
録画制御部30は、チャンネルBで受信されるテレビ放送からFW更新データを抽出して、HDD14へ保存した後は、チャンネルBの放送を一時的に受信させていたチューナ11の設定を、チャンネルAの放送を受信する設定へ戻す。このような第4実施例によれば、ループ録画の対象として指定されているチャンネルのいずれもがFW更新データの放送が行われるチャンネルに該当しない場合であっても、FW更新データを保存することができる。なお、チャンネルBへ一時的に切り替えられるチャンネルAは、例えば、ユーザがループ録画の対象とする複数のチャンネルを指定する際にその中から予め一つ選択したチャンネルである。あるいは、録画制御部30が、ループ録画の対象として指定されている複数のチャンネルにおける受信状態を監視して、受信が休止中であるチャンネルが在ればそのチャンネルをチャンネルAとして扱い、一時的にチャンネルBへ切り替えるとしてもよい。
【0048】
(第5実施例)
図5は、録画装置10が第5実施例において実行する処理をフローチャートにより示している。
図5のフローチャートは、
図3のフローチャートに関する説明の「FW更新データ」を「ロゴ更新データ」と読み替え、かつ、「ファームウェア」を「ロゴタイプ」と読み替えることで概略的には説明できる。
【0049】
ステップS200では、録画制御部30は、ループ録画を実行する。第5実施例におけるループ録画では、コンテンツ以外の特定データ14Aも併せてHDD14に保存される。ここでは、特定データ14Aは、チャンネル毎のロゴタイプの表示を更新するためのロゴ更新データを指す。ロゴタイプとは、チャンネル毎の放送局が使用する絵柄、マーク、意匠文字等であり、ロゴマークとも呼ばれる。ロゴタイプは、例えば、電子番組表(EPG)とともに表示されたりする。テレビ放送にはコンテンツ以外にもロゴ更新データ等が重畳されており、録画制御部30は、ループ録画の際、チューナ11が受信したテレビ放送のTSから、コンテンツを構成する映像データおよび音声データの各パケットの他、ロゴ更新データに該当するパケットも抽出して、HDD14に保存させる。ロゴ更新データのパケットの抽出も、ロゴ更新データのパケットに付与された既知のPIDに基づいた識別により実行する。
【0050】
ステップS210は、ステップS110と同じである。
ステップS220では、更新処理部40は、ステップS200のループ録画によりHDD14に保存されたループ録画データ内に、ロゴ更新データが有るか否か判定する。当該判定も、ステップS120と同様に、ループ録画データとしての各パケットのヘッダに格納されたPIDに基づいて行う。ロゴ更新データのパケットがループ録画データ内に有ると判定した場合はステップS230へ進み、ロゴ更新データのパケットがループ録画データ内に一切無いと判定した場合は、ステップS250へ進む。
【0051】
ステップS230では、更新処理部40は、ループ録画データからロゴ更新データを抽出する。つまり、ステップS220においてPIDに基づいてロゴ更新データのパケットであると識別できたパケットを、ループ録画データから抽出する。なおステップS230では、更新処理部40は、ループ録画データからロゴタイプの更新に必要なロゴ更新データの全ての抽出に成功したか否かを判定している。具体的には、更新処理部40は、ステップS230で抽出したロゴ更新データの全てのパケットを繋ぎ合せた上でセクション化し、当該セクション化したデータを対象として所定の解析を行う。そして、この解析の結果、ロゴタイプの更新に必要なロゴ更新データが全て揃っていると判定した場合(例えば、各パケットのヘッダを解析した結果、ロゴ更新データを構成する最後のパケットを発見した場合)には、ロゴタイプの更新に必要なロゴ更新データの全ての抽出に成功したと判定する。
【0052】
ステップS240では、更新処理部40は、ロゴタイプを更新する。つまり、ステップS230で抽出および解析したロゴ更新データのパケットを適宜、セクション化やデコードして得られるデータ(ロゴ更新データ)により、現在のロゴタイプを表現するデータとしてHDD14等に保存されている画像データ(ロゴタイプ画像データ)を更新(上書)する。
【0053】
ステップS250では、更新処理部40は、録画装置10のシステムメンテナンスを実行する。システムメンテナンスの概念には上述したロゴタイプの更新も含まれるが、当該ステップS250では、ロゴタイプの更新以外の、録画装置10の正常な稼働に必要な所定のメンテナンス処理を実行する。ステップS260では、更新処理部40は、当該所定のメンテナンス処理を完了したか否か判定し、未完了であればステップS250を続行し、完了した場合はステップS200へ戻る。なお、システムメンテナンスの最後に、録画装置10はそれまでに更新したロゴタイプや各種データを有効化するために再起動するとしてもよい。
【0054】
このように第5実施例によれば、録画装置10がループ録画を実行する時間帯には、各チャンネルのコンテンツだけでなく、特定データ14Aとしてのロゴ更新データもHDD14に保存される。そして、メンテナンス時間に、HDD14からロゴ更新データが抽出され、所定の解析が実行され、ロゴ更新データを用いたロゴタイプの更新が実行される。つまり、CPUや各種メモリーといったリソースの負担が大きい、このような一連の処理(ステップS220,S230,S240)は、ループ録画中には実行されずにメンテナンス時間中に実行されるため、ループ録画の機能が制限されること(例えば、録画可能なチャンネル数が減る等の不都合)が回避される。また、このような一連の処理は、テレビ放送を受信しながら並行して行われるものではないため、メンテナンス時間中における録画装置10の負担も小さくて済み、ロゴタイプの更新やその他のシステムメンテナンスに要する時間も短縮することができる。
【0055】
また、テレビ放送からロゴ更新データをHDD14へ保存する処理はメンテナンス時間外に実行されており、メンテナンス時間に各チャンネルを選局して各チャンネルの放送からロゴ更新データを取得する必要が無いため、ロゴタイプの更新以外のシステムメンテナンスを行うための時間やリソースの余力をメンテナンス時間において的確に確保できる。また、メンテナンス時間内にロゴ更新データをテレビ放送から抽出して保存しようとすると、メンテナンス時間はテレビ放送が停止している深夜の時間帯に設定されることが多いためそもそもロゴ更新データをテレビ放送から取得できなかったり、仮にロゴ更新データをテレビ放送から取得できてもメンテナンス時間は限られた時間帯であるため、時間内に必要なロゴ更新データの全てを取得しきれない、といった各不都合が考えられるが、第5実施例によればこのような不都合は生じない。
【0056】
なお、
図5では、
図3のステップS150,S160に対応する処理を記載していないが、第5実施例においても、同様の処理をステップS230とステップS240との間に設けても良い。つまり、ステップS230でループ録画データからロゴタイプの更新に必要なロゴ更新データの全ての抽出ができなかったと判定した場合は、ロゴタイプの更新に必要なロゴ更新データのうち、現時点でHDD14に保存されていないロゴ更新データをテレビ放送からDLするとしてもよい。
【0057】
(第6実施例)
第5実施例に更なる変更を加えた第6実施例を説明する。第5実施例によれば、ループ録画の対象として指定された各チャンネルのロゴタイプを更新することは可能であるが、これら各チャンネル以外(以下、ループ録画対象外チャンネル)のロゴタイプを更新することはできない。そこで、第6実施例では、録画制御部30は、メンテナンス時間内に、各チューナ11にループ録画対象外チャンネルのテレビ放送を受信させ、当該受信させたテレビ放送からループ録画対象外チャンネルにかかるロゴ更新データ(パケット)を抽出してHDD14に保存するとしてもよい。ただし第6実施例では、メンテナンス時間は、テレビ放送が停止される深夜の時間帯には設定されず、テレビ放送を受信可能な所定の時間帯に設定される。第6実施例によれば、ループ録画の対象として指定された各チャンネルに加え、ループ録画対象外チャンネルについてもロゴ更新データをテレビ放送から取得することで、結果的に、全てのチャンネル(録画装置10がチューナ11に受信させることが可能な全てのチャンネル)についてロゴタイプをロゴ更新データにより更新することができる。
【0058】
(その他の実施例)
これまでは、ファームウェアを更新する実施例と、ロゴタイプを更新する実施例とを分けて説明したが、実態としてこれら2種類の更新を並行して行うことも可能である。つまり、ループ録画の実行中にFW更新データおよびロゴ更新データをテレビ放送から取得し、メンテナンス時間に、FW更新データによるファームウェアの更新およびロゴ更新データによるロゴタイプの更新を行うとしてもよい。
【0059】
また、FW更新データによって更新されるファームウェアは、録画装置10が実行するファームウェアに限定されない。録画装置10が、ローカルネットワーク(例えば、家庭やオフィスに構築されたLAN)を介して、DLNA(Digital Living Network Alliance)等の所定の規格に従って他の電子機器(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンディショナ等の電化製品)と相互に通信可能な環境が構築されている場合、録画装置10は、これら他の電子機器のファームウェアを更新するためのFW更新データを、これら他の電子機器の代わりにテレビ放送を通じて取得し、一旦保存する。そして、当該一旦保存したFW更新データを、前記ローカルネットワークを介して前記他の電子機器へ送信し、前記他の電子機器に当該FW更新データによりファームウェアを更新させるとしてもよい。
【0060】
さらに本実施形態が想定する特定データ14Aには、EPGのデータ、字幕データ、チャプター設定に必要なデータなど、テレビコンテンツの視聴、録画等に際して必要となる様々なデータを更新するためのデータが含まれ得る。
【0061】
さらに、
・上記各実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記各実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記各実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
は本発明の一実施例として開示されるものである。