特許第6394864号(P6394864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394864
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】植物栽培装置及び植物栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20180913BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20180913BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A01G31/00 612
   A01G31/00 601B
   A01G31/06
   A01G7/00 604Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-147014(P2014-147014)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-21897(P2016-21897A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下山 真人
(72)【発明者】
【氏名】上田 博嗣
(72)【発明者】
【氏名】末田 香恵
(72)【発明者】
【氏名】溝田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−022750(JP,A)
【文献】 特開2011−120557(JP,A)
【文献】 特開2005−295955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 7/00
A01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を供給する流路が設けられ、鉛直面から前記液体を植物に供給する孔を備えた栽培床と、
前記栽培床に取り付けられ、植物を植える培地を保持する筒体と、
前記栽培床に対して前記筒体を、水平方向に延在する中心軸又は水平方向から斜めに傾けた中心軸の回りに、回転させる回転機構部と、
育成段階に応じた回転制御パターンを記憶した記憶部と、
前記植物を撮影するカメラと、
前記カメラで前記植物を撮影した撮影画像を用いて前記植物の育成段階を特定し、特定した育成段階に応じた回転制御パターンを前記記憶部から抽出し、前記回転制御パターンを用いて前記回転機構部の回転制御を行なう制御部とを備えたことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記筒体は、この回転軸が水平方向に延在するように設けられており、
前記回転機構部は、前記筒体を水平軸回りに回転可能とすることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記栽培床には、複数の筒体が鉛直方向に並べて取り付けられており、
前記回転機構部は、前記鉛直方向に並んだ複数の筒体を、同じタイミングで同じ回転速度で回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記植物に光を照射するための照明を駆動するための照明機構部を更に備え、
前記照明機構部の駆動に応じて前記植物に対する日長時間を制御し、この日長時間の制御に応じて前記回転機構部を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
栽培床の鉛直面に取り付けられた複数の筒体に、植物を植える培地を保持させ、
前記筒体を介して、前記栽培床から、前記培地に液体を供給するとともに、
カメラで前記植物を撮影した撮影画像を用いて前記植物の育成段階を特定し、特定した育成段階に応じた回転制御パターンを用いて、前記培地を保持させた筒体を、水平方向に延在する中心軸又は水平方向から斜めに傾けた中心軸の回りに回転させながら、前記植物を育成することを特徴とする植物栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培床の鉛直面において、植物を栽培するための植物栽培装置及び植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内において人工光を用いて、野菜等の植物を育成することが行われている。この場合、植物を植え付けた栽培床を地面と水平に配置し、複数階層の棚状に重ねて設置することが多い。ここで、生育のばらつきを抑制するために、栽培床毎に、上部に照明を取り付けた場合、階層毎の照明の配置空間が必要となり、空間の利用効率が悪い。従って、この栽培方式では、土地面積に対する収穫効率の低下を招く。
【0003】
そこで、収穫効率を向上させるために、鉛直に配置された栽培パネルを用いる技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の技術においては、パネル面に対して約20〜50度の角度で設置したポット受孔を設けた育成パネルを垂直に多段に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO00/44220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された垂直式栽培技術を用いることにより、側面に照明を配置し、植生密度を上げることができる。しかしながら、この文献においては、育成ポットがパネル面に対して20度以下の場合には、生長した野菜の形状下垂が目立ってくることが指摘されている。一般に、植物を斜めに配置した場合、重力の影響を受けて、葉の形状が偏る。また、日射条件も斜めに配置した影響を受ける。このため、収穫時に形状が偏った葉をトリミング(除去)する必要があり、手間が掛かる。従って、植物の育成の偏りにより、高い収穫効率を期待できない。
【0006】
本発明は、植物の形状の偏りを抑制して育成するための植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する植物栽培装置は、液体を供給する流路が設けられ、鉛直面から前記液体を植物に供給する孔を備えた栽培床と、前記栽培床に取り付けられ、植物を植える培地を保持する筒体と、前記栽培床に対して前記筒体を回転させる回転機構部とを備える。この構成により、植物を植える培地を回転させながら植物を育成するので、照明光の照射を均質化するとともに、植物に加わる重力方向を変更しながら植物を育成することができる。従って、重力や日射等の影響を軽減して、植物の形状の偏りを抑制して、収穫効率を向上させることができる。
【0008】
上記植物栽培装置において、前記筒体は、この回転軸が水平方向に延在するように設けられており、前記回転機構部は、前記筒体を水平軸回りに回転可能とすることが好ましい。この構成により、植物に加わる重力方向を変更して、植物の形状の偏りを抑制することができる。
【0009】
上記植物栽培装置において、前記栽培床には、複数の筒体が鉛直方向に並べて取り付けられており、前記回転機構部は、前記鉛直方向に並んだ複数の筒体を、同じタイミングで同じ回転速度で回転させることが好ましい。この構成により、複数の培地に植えた植物の形状の偏りを、効率的に抑制することができる。
【0010】
上記植物栽培装置において、前記植物に光を照射するための照明を駆動するための照明機構部を更に備え、前記照明機構部の駆動に応じて前記植物に対する日長時間を制御し、この日長時間の制御に応じて前記回転機構部を制御することが好ましい。この構成により、照明光の照射方向や、日長時間による植物の生育を考慮して、植物の形状の偏りを抑制することができる。
【0011】
上記課題を解決する植物栽培方法は、栽培床の鉛直面に取り付けられた複数の筒体に、植物を植える培地を保持させ、前記筒体を介して、前記栽培床から、前記培地に液体を供給するとともに、前記培地を保持させた筒体を、前記栽培床に対して回転させながら、前記植物を育成する。この構成により、植物を植える培地を回転させながら植物を育成するので、照明光の照射を均質化するとともに、植物に加わる重力方向を変更しながら植物を育成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、植物の形状の偏りを抑制して育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示における植物栽培装置の構成を説明するブロック図であり、(a)は斜視図、(b)は要部の断面側面図。
図2】本開示における統合制御ユニットの構成を説明するブロック図。
図3】本開示における植物栽培装置の動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図3に従って、植物栽培装置の一実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態では、植物20を育成するための植物栽培装置としての植物栽培システム10を用いる。この植物栽培システム10は、植物の栽培面を鉛直方向に立設可能な栽培床11を備えている。この植物栽培システム10は、温室構造の栽培室内に設置される。本実施形態においては、植物20として、食べられる植物(例えばレタスや青梗菜等の葉物等)を育成する。
【0015】
図1(b)に示すように、栽培床11の内部には、培養液(液体)を流すための流路12が形成されている。この流路12は、栽培床11の外部に設けられた培養液タンク(図示せず)に接続されている。培養液タンクには、植物20を栽培するための肥料成分等を調合した培養液が収容される。この培養液タンクから栽培床11の内部の流路12に培養液が供給される。この培養液が、流路12の上方から下方に流される。そして、流路12の下方から排出された培養液は、循環パイプ(図示せず)を通じて、培養液タンクに供給される。
【0016】
栽培床11の一方の面には、流路12に連通する複数の孔が、縦横に並べられて形成されている。各孔には、栽培床11の表面に突出させた円筒形状の取付部13が設けられている。
【0017】
各取付部13には、円筒体形状の筒体16が挿入されている。この筒体16には、後述する培地15が保持される。取付部13と筒体16とは、中心軸C1が一致している。本実施形態では、この中心軸C1を、立設された栽培床11に対して直交するように(地面と平行な水平方向に)延在させて、筒体16を設ける。筒体16は、中心軸C1を中心として回転可能に、取付部13に取り付けられている。
【0018】
そして、取付部13の内側面と筒体16の外側面との間には、シール部材(図示せず)が設けられている。このシール部材により、取付部13の内側面と筒体16の外側面との間からの培養液の漏水を防止している。
【0019】
更に、この筒体16の一端部の外周には、歯車(図示せず)が形成されている。この歯車は、回転機構部17に接続され、筒体16を回転させるために用いられる。具体的には、筒体16の歯車は、回転機構部17の動力伝達部17a(例えば、平板状の棒に歯切りをしたラック)と噛合する。動力伝達部17aは、鉛直方向に延びており、縦方向に配置された複数の筒体16の歯車と噛合する。この動力伝達部17aは、動力伝達クランク(図示せず)に接続されており、この動力伝達クランクは、モータM1に接続されている。モータM1は、後述する統合制御ユニット30に接続されている。なお、本実施形態では、回転機構部17を、筒体16、動力伝達部17a、動力伝達クランク及びモータM1を用いて構成したが、筒体16を回転させることができればよく、回転機構部17の構成はこれに限定されるものではない。
【0020】
更に、栽培床11の表面と対向するように、複数の照明部25が立設される。照明部25は、蛍光灯型LED(発光ダイオード)から構成されており、光量子量(光合成光量子束密度)を調整可能となっている。
【0021】
また、本実施形態では、筒体16は、植物を植えるための培地15を保持できる構造を有する。培地15は、略正方形状をした表面部15aと、この表面部15aの中心から一方に突出した円柱形状の突出部とが一体で形成されている。表面部15aには、植物20が植えられている。培地15の突出部が、筒体16に内嵌される。このため、培地15の中心軸は筒体16の中心軸C1と一致し、培地15は、水平方向に保持される。
【0022】
次に、図2を用いて、統合制御ユニット30の構成について説明する。
図2に示すように、統合制御ユニット30は、制御部31、日照制御データ記憶部32、回転制御データ記憶部33を備えている。この統合制御ユニット30は、バッテリ(図示せず)によって駆動される。
【0023】
更に、統合制御ユニット30は、入力部及び表示部(図示せず)と、照明機構部35及びモータM1に接続されている。入力部は、後述する日照制御パターンや回転制御パターンの選択、制御開始時刻の入力のために用いられる。表示部は、入力されたパターンや制御開始時刻を表示する。
【0024】
照明機構部35は、制御部31からの指令信号に応じて、照明部25の光量子量の可変制御やスイッチのオンオフ制御を行なう。モータM1は、制御部31からの指令信号に応じて、回転速度の決定、駆動の開始及び停止を行なう。
【0025】
制御部31は、CPU、RAM及びROM等のメモリ等を備えた制御手段であって、日長時間、光量子量、培地15の回転角度、制御時間間隔等を制御する。具体的には、制御部31は、日照制御データ記憶部32に記憶された日照制御データを用いて、日照時間及び光量子量を制御する。また、制御部31は、回転制御データ記憶部33に記憶された回転制御パターンデータを用いて、培地15の回転角度の制御を実行する。
【0026】
一方、日照制御データ記憶部32には、植物に照射する照明部25の制御を行なう日照制御データが記憶されている。この日照制御データには、パターン周期時間(1パターンを行なう時間)、パターン周期時間における光量子量に関する日照制御パターンが記録されている。例えば、日照制御パターンには、パターン周期時間を24時間として、日中の太陽光の日射パターンと同様に光量子量を調整するパターンが設定されている。
【0027】
また、回転制御データ記憶部33には、培地15の回転角度の制御を実行するための回転制御データが記録されている。この回転制御データには、回転を行なう時間帯(回転運動時間)、回転角速度等に関する回転制御パターンが記録されている。回転制御パターンには、例えば、1日(24時間)で1回転(360度回転)させるパターンや、1日おきに180度ずつ回転させるパターン等が記憶されている。
【0028】
次に、上述した栽培床11(植物栽培装置)の作用について説明する。
植物栽培システム10を利用する場合、植物栽培システム10の栽培床11を立設し、栽培床11の植物の栽培面を鉛直面として用いる。そして、栽培床11の各筒体16に、植物(例えば植物の苗や種等)を植えた培地15を挿入する。
【0029】
そして、ユーザは、入力部を介して、日照制御データ記憶部32に記録された日照制御パターン及び回転制御パターンの選択及び制御開始時刻を指定する。この場合、統合制御ユニット30の制御部31は、指示された日照制御パターン及び回転制御パターンを日照制御データ記憶部32及び回転制御データ記憶部33から取得する。
【0030】
制御部31は、制御開始時刻、取得した日照制御パターン及び回転制御パターンをメモリに記憶する。
そして、制御部31は、メモリに記憶した制御開始時刻を検知した場合、日照制御パターンを用いて、照明機構部35に対してオンオフや光量子の可変制御の指示を行なう。照明機構部35は、この指示に応じて、照明部25のオンオフや光量子量の変更を行なう。
【0031】
更に、制御部31は、メモリに記憶した回転制御パターンを用いて、モータM1に対して回転制御の指示を行なう。モータM1は、回転機構部17の動力伝達クランク、動力伝達部17aを介して筒体16を回転させることにより、培地15を回転させる。
【0032】
この場合、図3に示すように、培地15は、回転制御パターンに応じて回転する。本実施形態では、動力伝達部17aに接続され、縦列に配置された複数の培地15が、同じタイミングで同じ回転速度(同じ角度)で回転する。
【0033】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態において、植物栽培システム10は、鉛直方向に立設される栽培床11を備えている。この栽培床11には、縦横に並んで、植物20が植えられた培地15を保持する筒体16が回転可能に配置されている。各筒体16は、統合制御ユニット30の制御に応じて、回転制御パターンで回転する。これにより、培地15を回転させながら植物20を育成することができるので、植物に加わる重力方向や日射方向を変更しながら植物を育成することができる。従って、重力や日射の影響による植物の形状の偏りを抑制することができ、植物の収穫効率の向上を期待できる。
【0034】
(2)本実施形態において、栽培床11において鉛直方向に配置された各筒体16の歯車は、回転機構部17の動力伝達部17aに接続される。動力伝達部17aは、動力伝達クランク及びモータM1を介して、統合制御ユニット30に接続されている。統合制御ユニット30は、モータM1を駆動させることにより、動力伝達部17aにより筒体16を回転させ、その結果、筒体16に保持された培地15を回転させる。従って、鉛直方向に配置された複数の培地15を同じタイミングで同じ回転速度(角度)で、効率的に回転させることができる。
【0035】
(3)本実施形態において、植物栽培システム10の統合制御ユニット30は、制御部31、日照制御データ記憶部32及び回転制御データ記憶部33を備えている。制御部31は、日照制御データ記憶部32に記憶された日照制御データを用いて照明部25のオンオフ制御及び光量子量の可変制御を実行する。更に、制御部31は、回転制御データ記憶部33に記憶された回転制御データを用いて、培地15を回転させる。従って、統合制御ユニット30は、植物の形状の偏りを抑制するための日照制御及び回転制御を行なうことができる。
【0036】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、栽培床11は、縦横に配置された筒体16を、水平方向に延びる中心軸C1を中心して回転可能とする構成を有した。筒体16は、水平方向に延びる中心軸C1を中心にして回転するだけでなく、例えば、筒体16を、水平方向から斜めに傾け、この筒体16の中心軸回りに回転させてもよい。この場合においても、培地15に植えられた植物20に加わる重力方向を変更しながら植物20を育成することができ、収穫効率を向上させることができる。更に、筒体16は、一方向に回転する場合だけに限らず、両方向に回転させてもよい。
【0037】
・上記実施形態において、統合制御ユニット30の制御部31は、日照制御データ記憶部32に記憶された日照制御データを用いて照明部25のオンオフ制御及び光量子量を制御する。更に、回転制御データ記憶部33に記憶された回転制御データを用いて、培地15の回転を制御する。ここで、日照制御パターンや回転制御パターンは上述したパターンに限定されるものではない。例えば、回転制御パターンと日照制御パターンとを連動させてもよい。例えば、日照条件に合わせて回転させるようにしてもよい。この場合、光量子量に応じて回転速度を変更するようにしてもよい。
【0038】
また、植物20の生育状態に応じて、日照制御パターンや回転制御パターンを変更してもよい。この場合には、培地15の植物20を撮影するカメラを設置する。日照制御データ記憶部32及び回転制御データ記憶部33には、植物20の育成段階(生育状態)に応じた日照制御パターン及び回転制御パターンをそれぞれ記憶させておく。そして、制御部31は、予め定めた時間毎に、カメラを用いて植物20を撮影する。更に、制御部31は、撮影画像の画像解析により、植物20の育成段階を特定する。例えば、画像解析により、葉の大きさや形状により、育成段階を特定する。そして、制御部31は、特定した育成段階に応じた日照制御パターンや回転制御パターンをそれぞれ日照制御データ記憶部32及び回転制御データ記憶部33から抽出し、これらのパターンを用いて日照制御及び回転制御を行なう。
【0039】
・上記実施形態において、統合制御ユニット30は、バッテリによって駆動される。ここで、流路12内の水流により、統合制御ユニット30を駆動させるようにしてもよい。この場合、培養液の流れで駆動する水車及び水車に接続された発電機を設ける。そして、この発電エネルギーにより、統合制御ユニット30や照明部25等を駆動するための電力を補なう。
【0040】
・上記実施形態において、モータM1を駆動させて、培地15に保持された植物20を回転させた。回転機構部17の構成は、これに限定されるものではない。例えば、流路12内に、培養液の水流により回転する水車を設ける。この場合、水車が回転するように、培養液を流す。そして、この水車を、取付部13の中心軸C1に合わせて、筒体16に接続する。これにより、培養液の水流により、筒体16に保持された培地15を回転させることができる。
【0041】
・上記実施形態において、栽培床11は、レタスや青梗菜等の葉物を育成するとして説明した。育成する植物は、これに限定されず、例えば、苺等の植物であってもよい。苺の場合には、葉の陰になって実に光が当たり難いことがあるが、この栽培床11を用いることにより、通常は葉の陰になる部分であっても、光を当てることができる。
【符号の説明】
【0042】
C1…中心軸、M1…モータ、10…植物栽培システム、11…栽培床、12…流路、13…取付部、15…培地、15a…表面部、16…筒体、17…回転機構部、17a…動力伝達部、20…植物、25…照明部、30…統合制御ユニット、31…制御部、32…日照制御データ記憶部、33…回転制御データ記憶部、35…照明機構部。
図1
図2
図3