特許第6394865号(P6394865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394865
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】電動機駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   H02P27/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-149331(P2014-149331)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-25779(P2016-25779A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】林 崇
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−047030(JP,A)
【文献】 特開平07−194145(JP,A)
【文献】 特開2005−184902(JP,A)
【文献】 特開昭52−010542(JP,A)
【文献】 特開2002−010667(JP,A)
【文献】 特開2012−110183(JP,A)
【文献】 特開2006−121779(JP,A)
【文献】 特開2009−055715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続された整流器と、前記整流器の出力側の直流中間回路に接続された直流中間コンデンサと、前記直流中間回路の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、を備え、前記インバータにより交流電動機を駆動する電動機駆動装置であって、前記整流器の出力側と前記直流中間コンデンサの一端との間に、限流抵抗と開閉手段との並列接続回路からなる突入電流抑制回路を備えた電動機駆動装置において、
前記直流中間回路の直流電圧瞬時値を検出する手段と、前記直流電圧瞬時値の平均値を演算する平均値演算手段と、を備え、
前記交流電源が健全である通常運転時には、前記開閉手段を閉じて前記限流抵抗を短絡状態とし、
前記交流電源の停電時には、前記直流電圧瞬時値と前記平均値との偏差が所定の基準値を下回った時点で前記開閉手段を閉じたまま前記交流電動機への電力供給を停止し、
前記交流電動機を直ちに再起動可能な状態で前記交流電源が復電した場合に前記交流電動機を再起動すると共に、前記交流電動機の再起動が不可能である場合には、復電後の再起動を無効にしたままで、前記開閉手段を開いて前記限流抵抗により突入電流を抑制することを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項2】
交流電源に接続された整流器と、前記整流器の出力側の直流中間回路に接続された直流中間コンデンサと、前記直流中間回路の直流電圧を用いて直流電動機を駆動する電動機駆動装置であって、前記整流器の出力側と前記直流中間コンデンサの一端との間に、限流抵抗と開閉手段との並列接続回路からなる突入電流抑制回路を備えた電動機駆動装置において、
前記直流中間回路の直流電圧瞬時値を検出する手段と、前記直流電圧瞬時値の平均値を演算する平均値演算手段と、を備え、
前記交流電源が健全である通常運転時には、前記開閉手段を閉じて前記限流抵抗を短絡状態とし、
前記交流電源の停電時には、前記直流電圧瞬時値と前記平均値との偏差が所定の基準値を下回った時点で前記開閉手段を閉じたまま前記直流電動機への電力供給を停止し、
前記直流電動機を直ちに再起動可能な状態で前記交流電源が復電した場合に前記直流電動機を再起動すると共に、前記直流電動機の再起動が不可能である場合には、復電後の再起動を無効にしたままで、前記開閉手段を開いて前記限流抵抗により突入電流を抑制することを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載した電動機駆動装置において、
前記直流電圧瞬時値の平均値は、交流電源の停電時間が、前記交流電動機への電力供給を停止する必要がない時間、または、復電後に前記交流電動機の再起動可能な条件を維持可能な時間である場合に、前記交流電源の停電中に低下する前記直流電圧瞬時値に追随しない程度の時定数を有することを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項4】
請求項に記載した電動機駆動装置において、
前記直流電圧瞬時値の平均値は、交流電源の停電時間が、前記直流電動機への電力供給を停止する必要がない時間、または、復電後に前記直流電動機の再起動可能な条件を維持可能な時間である場合に、前記交流電源の停電中に低下する前記直流電圧瞬時値に追随しない程度の時定数を有することを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した電動機駆動装置において、
前記基準値を、前記直流中間コンデンサより前記交流電源側のインダクタンス値と前記直流中間コンデンサの容量値との比に基づいて決定することを特徴とする電動機駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源電圧を整流して得た直流電圧を用いて電動機を駆動する電動機駆動装置に関し、特に、交流電源に停電(瞬時停電や瞬時電圧低下等の、いわゆる「瞬停」を含む)が発生し、その後に復電した際の再突入電流を抑制するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多相交流から簡単に直流電圧を得る手段として、交流電圧をダイオード整流器により整流して直流中間コンデンサに供給することにより、直流電圧を安定化させる手段が広く使われている。この場合、電源投入時において直流中間コンデンサに過大な突入電流が流れるのを防止するため、コンデンサの充電が完了するまで限流抵抗を介して通電し、コンデンサの充電完了後に、開閉手段としてのリレーや半導体スイッチ(以下、これらを充電用リレーという)を閉じることにより、限流抵抗の両端を短絡する突入電流抑制回路が良く用いられている。
【0003】
図5は、上述した突入電流抑制回路を示す従来技術であり、例えば特許文献1に記載されているものである。
図5において、51P,51Nは直流の正側母線,負側母線、54は直流中間コンデンサ、52は限流抵抗、53は充電用リレーである。また、60は充電用リレー53の開閉を制御する制御器であり、母線電圧検出器61、差分電圧設定器62、演算回路63及び比較回路64を備えている。
【0004】
この従来技術では、直流母線電圧が低下したときに充電用リレー53を開放するための電圧(差分電圧)ΔVを差分電圧設定器62に設定しておく。演算回路63は、交流電源が正常時の母線電圧VをV1として記憶し、(V−ΔV)すなわち(V1−ΔV)を演算して比較回路64の反転入力端子に基準電圧として入力している。
【0005】
交流電源の健全時には、比較回路64の非反転入力端子への入力電圧Vが反転入力端子への入力電圧(V1−ΔV)より大きいため、比較回路64の出力は「High」レベルとなる。このため、充電用リレー53は閉状態となり、充電抵抗52は短絡されている。
交流電源の停電時には、比較回路64の非反転入力端子への入力電圧Vが反転入力端子への入力電圧(V1−ΔV)より小さくなり、比較回路64の出力は「Low」レベルとなる。これによって充電用リレー53は開状態となり、交流電源が復電した際には限流抵抗52を介してコンデンサ54が充電されるため、突入電流が流入することはない。
【0006】
この従来技術によれば、差分電圧ΔVの設定値に応じて、充電用リレー53を開放するための直流母線電圧の低下分を調整することができる。このため、例えば差分電圧ΔVを小さい値に設定しておけば、瞬停の発生時にも充電用リレー53を開状態として復電時の突入電流を防止することが可能である。
しかしながら、負荷への給電中に瞬停が発生して充電用リレー53が開放され、その状態で復電すると、負荷電流により限流抵抗52が焼損するおそれがある。
【0007】
上記課題を解決するものとして、特許文献2に記載された従来技術が知られている。
この従来技術は、突入電流抑制回路を有する空気調和機に関するものであり、図6は、突入電流抑制回路の動作を示すフローチャートである。
【0008】
図6において、まず、直流中間電圧を検出し、その時の圧縮機回転数に応じた直流電圧設定値を選択する(ステップS11,S12)。そして、瞬停の発生により、検出した直流電圧が設定値以下であれば(S13Yes)、圧縮機等の負荷が稼働中であるか否かを判断し、稼働中であれば負荷を停止する(S14Yes,S15)。
その後、充電用リレーを開放した状態で直流電圧を検知し(S16,S17)、負荷停止からの経過時間や直流電圧が設定値以上になったときに(S18Yes)、充電用リレーを閉じて充電抵抗を短絡し、負荷を駆動している(S19,S20)。
この従来技術では、瞬停が発生したら負荷を停止し、その後、復電して直流電圧が確立したら充電用リレーを閉じて負荷を再駆動するため、復電と同時に大きな負荷電流が限流抵抗に流れることがなく、限流抵抗の焼損を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−74884号公報(段落[0008],[0009]、図2図3等)
【特許文献2】特開2013−135495号公報(段落[0025]〜[0028]、図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
瞬停により充電用リレーの開閉動作を伴う場合、その動作時間とリレー開放中に復電したときの充電時間とによって、復電してから負荷への電力供給を再開するまでに少なくとも数10ミリ秒から数100ミリ秒の遅れが発生する。しかし、負荷としての電動機の用途によっては、復電後、ただちに電力供給されれば瞬停再起動可能な場合であっても、上記のような時間遅れを伴うことにより再起動が不可能となってしまう場合がある。
【0011】
そこで、本発明の解決課題は、瞬停・復電時に発生し得る突入電流を抑制しつつ、瞬停発生時における運転継続または瞬停再起動性能の確保を可能とした電動機駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、交流電源に接続された整流器と、前記整流器の出力側の直流中間回路に接続された直流中間コンデンサと、前記直流中間回路の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、を備え、前記インバータにより交流電動機を駆動する電動機駆動装置であって、前記整流器の出力側と前記直流中間コンデンサの一端との間に、限流抵抗と開閉手段との並列接続回路からなる突入電流抑制回路を備えた電動機駆動装置において、
前記直流中間回路の直流電圧瞬時値を検出する手段と、前記直流電圧瞬時値の平均値を演算する平均値演算手段と、を備え、
前記交流電源が健全である通常運転時には、前記開閉手段を閉じて前記限流抵抗を短絡状態とし、
前記交流電源の停電時には、前記直流電圧瞬時値と前記平均値との偏差が所定の基準値を下回った時点で前記開閉手段を閉じたまま前記交流電動機への電力供給を停止し、
前記交流電動機を直ちに再起動可能な状態で前記交流電源が復電した場合に前記交流電動機を再起動すると共に、前記交流電動機の再起動が不可能である場合には、復電後の再起動を無効にしたままで、前記開閉手段を開いて前記限流抵抗により突入電流を抑制することを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、交流電源に接続された整流器と、前記整流器の出力側の直流中間回路に接続された直流中間コンデンサと、前記直流中間回路の直流電圧を用いて直流電動機を駆動する電動機駆動装置であって、前記整流器の出力側と前記直流中間コンデンサの一端との間に、限流抵抗と開閉手段との並列接続回路からなる突入電流抑制回路を備えた電動機駆動装置において、
前記直流中間回路の直流電圧瞬時値を検出する手段と、前記直流電圧瞬時値の平均値を演算する平均値演算手段と、を備え、
前記交流電源が健全である通常運転時には、前記開閉手段を閉じて前記限流抵抗を短絡状態とし、
前記交流電源の停電時には、前記直流電圧瞬時値と前記平均値との偏差が所定の基準値を下回った時点で前記開閉手段を閉じたまま前記直流電動機への電力供給を停止し、
前記直流電動機を直ちに再起動可能な状態で前記交流電源が復電した場合に前記直流電動機を再起動すると共に、前記直流電動機の再起動が不可能である場合には、復電後の再起動を無効にしたままで、前記開閉手段を開いて前記限流抵抗により突入電流を抑制することを特徴とする。
【0014】
なお、請求項3に記載するように、請求項1に記載した電動機駆動装置において、前記直流電圧瞬時値の平均値は、交流電源の停電時間が、前記交流電動機への電力供給を停止する必要がない時間、または、復電後に前記交流電動機の再起動可能な条件を維持可能な時間である場合に、前記交流電源の停電中に低下する前記直流電圧瞬時値に追随しない程度の時定数を有することが望ましい。
また、請求項4に記載するように、請求項に記載した電動機駆動装置において、前記直流電圧瞬時値の平均値は、交流電源の停電時間が、前記直流電動機への電力供給を停止する必要がない時間、または、復電後に前記直流電動機の再起動可能な条件を維持可能な時間である場合に、前記交流電源の停電中に低下する前記直流電圧瞬時値に追随しない程度の時定数を有することが望ましい。
更に、請求項5に記載するように、請求項1〜4の何れか1項に記載した電動機駆動装置において、前記基準値を、前記直流中間コンデンサより前記交流電源側のインダクタンス値と前記直流中間コンデンサの容量値との比に基づいて決定することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、瞬停・復電時に発生し得る突入電流を抑制しつつ、瞬停発生時の運転継続または瞬停再起動性能の確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る電動機駆動装置の構成図である。
図2】本発明の第1実施形態における瞬停再起動可能時のタイムチャートである。
図3】本発明の第1実施形態における瞬停再起動不可時(充電用リレー開放時)のタイムチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係る電動機駆動装置の構成図である。
図5】特許文献1に記載された従来技術の主要部の構成図である。
図6】特許文献2に記載された従来技術の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。まず、図1は本発明の第1実施形態を示す構成図であり、交流電動機9Aを駆動する電動機駆動装置に関するものである。
図1において、三相交流電源1の交流電圧はダイオードブリッジからなる整流器2により直流電圧に変換され、直流中間コンデンサ7によって平滑化される。この直流中間コンデンサ7の両端には、直流電圧検出手段6が接続されている。
また、直流中間コンデンサ7の両端にはインバータ8が接続されており、このインバータ8により、直流電圧を所定の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して電動機9Aに供給する。
【0018】
整流器2の正側出力端子と直流中間コンデンサ7の一端との間には、突入電流抑制回路としての、限流抵抗3と充電用リレー4との並列接続回路が接続されている。ここで、充電用リレー4は、請求項における開閉手段に相当しており、前述したようにリレーや半導体スイッチによって構成されている。なお、5は直流中間コンデンサ7より電源側の配線に存在するインダクタンスである。
【0019】
一方、電動機9Aには例えば回転速度を検出するセンサ10が設けられ、その出力は再起動可否判定手段11に入力されている。再起動可否判定手段11はセンサ10の出力に基づいて、復電後の電動機9Aの再起動の可否を判定し、再起動不可である場合には充電用リレー4の開放信号を出力する。
【0020】
電動機9Aの再起動可否の判定は、例えば、インバータ8への電力供給停止によって減速中の電動機9Aの回転速度を直接検出し、その速度検出値に基づいて復電後ただちに運転再開可能か否かを判定する。なお、回転速度を直接検出する代わりに、位相検出値や誘起電圧検出値に基づいて回転速度を推定しても良い。
多くの場合、復電時に回転速度が所定値以上であれば再起動すべきであり、回転速度が所定値を下回る場合には復電しても直ちに再起動することは許されなくなる。
【0021】
直流電圧検出手段6により検出された直流電圧瞬時値は平均値演算手段12に入力され、直流電圧平均値が演算される。前記直流電圧瞬時値と直流電圧平均値との偏差ΔVが減算器13により算出され、比較器14の負入力端子(反転入力端子)に入力されている。
比較器14の正入力端子(非反転入力端子)には、電動機9Aへの電力供給停止のトリガとして作用する基準値として、(−ΔVmax)が入力されている。減算器13から出力される偏差ΔVが基準値(−ΔVmax)を下回ると、比較器14から「High」レベルの停止要求信号が出力され、インバータ8の運転を停止させて交流電動機9Aへの電力供給を停止する。
【0022】
平均値演算手段12は、三相交流電源1の瞬停時間が、電動機9Aへの電力供給を停止する必要がない程度の時間、または、復電後に電動機9Aの再起動可能な条件を維持できる程度の時間のように、ごく短い時間である場合を想定し、瞬停中に低下する直流電圧瞬時値に追随しない程度の時定数により平均値を演算する。これにより、直流電圧平均値は瞬停発生前の直流電圧瞬時値を示す値となる。
また、基準値(−ΔVmax)については、以下に述べるごとく、直流中間コンデンサ7より電源側のインダクタンス5のインダクタンス値と直流中間コンデンサ7の容量値との比に基づいて決定する。
【0023】
ここで、上記基準値(−ΔVmax)の決定方法について説明する。
まず、瞬停から復電したときの電源電圧は、瞬停発生前の電源電圧に近い大きさになると想定される。このことは、復電時に、瞬停発生前の直流電圧と復電直後の直流電圧との偏差(=ΔV)だけ、インダクタンス5に電圧が印加されることを意味する。このため、インダクタンス5のインダクタンス値をL、直流中間コンデンサ7の容量値をCとすると、復電時に直流母線に流れる突入電流のピーク値Iは、ΔV√(C/L)と見積もられる。
【0024】
このピーク値Iが装置の損傷を招かないように、突入電流をピーク値I以下に抑制するためには、ΔVが、ΔVmax=I√(L/C)以下にとどまるようにすればよい。言い換えれば、充電用リレー4が閉じられたままの状態で復電後に電動機9Aを再起動する場合、ΔVが(−ΔVmax)を上回ることで比較器14からインバータ8に停止要求信号が出力されないように、基準値(−ΔVmax)を決定することが必要である。
【0025】
次に、この第1実施形態の動作を、図2図3を参照しつつ説明する。なお、図2は瞬停後の復電時に交流電動機9Aの再起動が可能な場合、図3は再起動が不可能な場合の動作を示すタイムチャートである。
【0026】
始めに、図2に基づいて、復電後に交流電動機9Aの再起動が可能な場合について説明する。
まず、三相交流電源1の健全時には、充電用リレー4が閉じられており、インバータ8は直流−交流変換動作により交流電動機9Aに交流電力を供給している。
図2の時刻tにおいて、瞬停により電源電圧が低下すると、直流電圧瞬時値は次第に低下していく。そして、前述したように直流電圧瞬時値と直流電圧平均値との偏差ΔVが基準値(−ΔVmax)を下回ると、比較器14から停止要求信号が出力され、時刻tにおいてインバータ8は運転を停止する。この時点から再起動可否判定手段11は復電後の再起動可否判定動作を開始する。また、インバータ8の停止後も充電用リレー4は閉じたままとする。
【0027】
ここで、図2には示されていないが、偏差ΔVがΔV<ΔVmaxを満たしている期間に復電した場合、再突入電流はピーク値I以下にとどまり、装置を損傷することなく運転を継続することができる。
また、図2における時刻tのように、瞬停中に直流中間コンデンサ7からの電力供給によって偏差ΔVがΔVmaxに達するまで直流電圧瞬時値が低下した場合、直後の時刻tで電動機9Aへの電力供給を停止することにより、直流電圧の低下率は激減する。 よって、その後の時刻tで復電したとしても、再突入電流がやはりピーク値I以下にとどまる上、充電用リレー4は閉じられたままであるから、時刻tにおいて再起動可否判定手段11が再起動条件を満たしていると判定したら、ただちに電動機9Aを再起動することができる。なお、再起動可能な場合には、再起動可否判定手段11から開放信号が出力されることはなく、充電用リレー4は閉じられた状態を引き続き維持する。
【0028】
次に、図3に基づいて、復電後に交流電動機9Aの再起動が不可能な場合について説明する。
図3において、時刻tまでの動作は図2と同様である。時刻tから復電する時刻tまでの間、すなわち、インバータ8が停止していて電動機9Aへの電力供給が停止している期間に、時刻t31において再起動条件を満たさなくなった場合、再起動可否判定手段11は、復電時の再起動を不可能と判定して時刻t32に開放信号を出力し、充電用リレー4を開放する。これにより、整流器2の出力側と直流中間コンデンサ7との間には限流抵抗3が挿入されるため、その後、更に時間が経過して直流電圧が大幅に低下してから復電した場合でも、直流中間コンデンサ7に対する突入電流を抑制することができる。
上記のように、第1実施形態によれば、復電時に発生し得る突入電流を抑制しつつ、瞬停発生時の運転継続または瞬停再起動性能を確保することができる。
【0029】
次いで、本発明の第2実施形態を、図4を参照しつつ説明する。この第2実施形態は、直流電動機9Dを駆動する電動機駆動装置に関するものである。
図4において、図1のインバータ8がチョッパ15に置き換わっていること、交流電動機9Aが直流電動機9Dに置き換わっていること以外は、第1実施形態と同一の構成である。なお、直流電動機9Dへの印加電圧が整流器2により得た直流電圧のままで良く、その大きさを制御する必要がなければ、チョッパ部分は単純なスイッチだけであってもよい。
【0030】
この第2実施形態においても、直流電圧瞬時値と直流電圧平均値との偏差を求め、その偏差ΔVが基準値(−ΔVmax)を下回ると、充電用リレー4を閉じたままチョッパ15の運転を停止(スイッチを用いる場合にはスイッチを開放)して直流電動機9Dへの電力供給を停止する。
直流電動機9Dへの電力供給を停止してからは、図2図3と同様に、復電時の再起動の可否を判定し、可能である場合には、図2に従って復電後ただちに再起動動作を行い、不可能である場合には、図3に従って復電後の再起動動作を無効にした上で充電用リレー4を開放する。
この場合も、復電時に発生し得る突入電流を抑制しつつ、瞬停発生時の運転継続または瞬停再起動性能を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、突入電流抑制回路及び瞬停再起動機能を有するあらゆる種類の電動機制御装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1:三相交流電源
2:整流器
3:限流抵抗
4:充電用リレー
5:リアクトル
6:直流電圧検出手段
7:直流中間コンデンサ
8:インバータ
9A:交流電動機
9D:直流電動機
10:センサ
11:再起動可否判定手段
12:平均値演算手段
13:減算器
14:比較器
15:チョッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6