特許第6394891号(P6394891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394891
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】情報監視装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20180913BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20180913BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H04N7/15
   G06Q10/00
   H04M11/00 301
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-249738(P2014-249738)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-111644(P2016-111644A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 重雄
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−022375(JP,A)
【文献】 特開2014−048752(JP,A)
【文献】 特開2001−186402(JP,A)
【文献】 特開2012−210754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04N 5/222− 5/257
H04N 5/91 − 5/956
H04N 7/14 − 7/173
H04N 7/18
H04M 11/00 − 11/10
G06Q 10/00 − 10/10
G09G 5/00 − 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閲覧中の情報を監視する情報監視装置であって、
閲覧対象の情報を任意に指定する指定手段と、
監視エリア内で閲覧中の情報を特定する特定手段と、
前記指定手段によって指定された閲覧対象の情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行する処理手段と、
を備えることを特徴とする情報監視装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記指定手段によって閲覧対象として指定された情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とが異なる場合に、その閲覧対象の情報を報知する案内情報を出力する処理を前記対応処理として実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報監視装置。
【請求項3】
前記特定手段によって前記監視エリア内で閲覧中の情報が特定された場合に、その情報の閲覧位置を検出する位置検出手段を更に備え、
前記処理手段は、前記閲覧対象の情報を報知する案内情報を出力する処理を行う際に、前記位置検出手段によって検出された閲覧位置からその近傍位置を決定し、この決定した近傍位置で案内情報を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報監視装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記指定手段によって閲覧対象として指定された情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とが異なる場合には第1の案内情報を出力し、同一の場合には第2の案内情報を出力する処理を前記対応処理として実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報監視装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記特定手段によって監視エリア内で閲覧中の情報を特定することができなくなった場合に、前記対応処理を終了させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報監視装置。
【請求項6】
閲覧中の情報を監視する情報監視装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
閲覧対象の情報を任意に指定する指定手段と、
監視エリア内で閲覧中の情報を特定する特定手段と、
前記指定手段によって指定された閲覧対象の情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行する処理手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閲覧中の情報を監視する情報監視装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会社などでは、大小様々な会議が頻繁に行われているが、各種の資料を参照しながら会議を行う場合に、例えば、会議の出席メンバが所持しているスマートフォンなどの携帯端末装置に対して、管理サーバから会議用の資料データを配信することによりペーパレスで会議を行えるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−182051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術のように、各参加者所持の端末装置を利用してペーパレス会議を実現するには、各参加者が情報共有可能な端末装置を持っていることが前提となるために、現実には紙資料を配布して会議を進める方が準備する上で容易なものとなり、迅速に対応可能となる場合が多い。このように紙資料を参照して説明を行う場合に、その説明者は紙資料の何ページ目の内容を説明するのか、つまり、何ページ目を閲覧すべきかを各参加者に口頭で伝えながら説明するようにしているが、説明中のページと各参加者が実際に開いているページとが異なっていると、説明内容が十分に伝わらなくなってしまう。このことは会議の場合に限らず、例えば、教室内での教科書や各種資料などを参照する場合、又は、インターネット学習(Eラーニング)やネット授業などにおいてPC(パソコン)を利用して一人で講義を受ける場合も同様であり、その講義中に指示された資料のページと、実際に手元で開いている資料のページとが異なっていると、講義内容が十分に伝わらなくなってしまう。
【0005】
本発明の課題は、閲覧対象として指定された情報と閲覧中の情報とを容易に整合できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明は、
閲覧中の情報を監視する情報監視装置であって、
閲覧対象の情報を任意に指定する指定手段と、
監視エリア内で閲覧中の情報を特定する特定手段と、
前記指定手段によって指定された閲覧対象の情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行する処理手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、閲覧対象として指定された情報と閲覧中の情報とを容易に整合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報監視装置として適用したカメラ機能付のプロジェクタ装置の使用例を示した図。
図2】カメラ機能付のプロジェクタ装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
図3】(1)〜(3)は、会議において、閲覧中のページと任意に指定されたページとが異なっている場合にその資料の近傍位置に案内情報を投影表示する場合を説明するための図。
図4】情報管理メモリM3を説明するための図。
図5】資料監視モードに応じて実行開始されるカメラ付のプロジェクタ装置1の動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャート。
図6図5の動作に続くフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、情報監視装置としてカメラ付のプロジェクタ装置に適用した場合を例示したもので、図1は、このカメラ付のプロジェクタ装置の使用例を示した図である。
情報監視装置(カメラ付のプロジェクタ装置)1は、プロジェクタ機能の他に、カメラ機能、通信機能などを備えている。このプロジェクタ装置1は、その通信機能によりリモートコントローラ(図示省略)からの遠隔操作であり、例えば、会議室において机面上に資料を掲示しながら参加者が会議を行っている場合にその机面全体を撮影したり、投影表示させたりするもので、部屋の天井面や壁面などに固定的に配設されている。
【0010】
プロジェクタ装置1は、会議室の机面上における所定の監視エリア(投影可能エリア)2内に監視対象物(例えば、冊子状の紙資料)3が置かれた状態において、その監視エリア2の全体をその上方から撮影したり、表示すべき情報に応じた光を照射して投影表示したりするもので、図示の例では、会議参加者(4人)に対して同一の監視対象物(複数ページから成る紙資料)3が配布されて各参加者の席の机面上に置かれた状態を示している。なお、このプロジェクタ装置1には、投影方向調整機能(図示省略)が備えられており、監視エリア2内において紙資料3が実在する位置に応じてその光学系を駆動することによりその投影方向を自由に調整可能としている。
【0011】
図2は、情報監視装置(カメラ付のプロジェクタ装置)1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
プロジェクタ装置1は、CPU11を中核とするもので、このCPU11は、記憶部12内の各種のプログラムに応じてこのプロジェクタ装置1の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部12は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、図5及び図6に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムを記憶するプログラムメモリM1と、このプロジェクタ装置1で必要とされる各種のデータ(計時時刻、タイマ計測時間、フラグなど)を一時記憶するワークメモリM2と、後述する情報管理メモリM3などを有している。なお、記憶部12は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介して通信網に接続されている状態においては所定のサーバ装置側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0012】
CPU11には、その入出力デバイスとして、操作部13、外部接続部14、通信部15、カメラ部16、プロジェクタ部17などが接続されており、CPU11は、入出力プログラムにしたがって各入出力デバイスを制御する。操作部13は、図示省略したが、電源ボタン、投影調整ボタン、モード切り替えボタンなどを有している。モード切り替えボタンは、通常の投影モードと特殊な投影モード(後述する資料監視モード)などとの切り替えを行う操作子である。外部接続部14は、パーソナルコンピュータ(PC)、記録メディアなどの外部装置(図示省略)が接続されるコネクタ部である。通信部15は、例えば、無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)通信を介して外部装置(例えば、リモートコントローラなど)に通信接続する通信インターフェイスである。
【0013】
カメラ部16は、上述した撮影機能を構成するもので、図示しない撮影レンズ、ミラーなどのレンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系の他、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを有するもので、自動的に焦点を合わせるオート他ス機能、撮影範囲を制御するズーム機能などが設けられている。また、プロジェクタ部17は、上述したプロジェクタ機能を構成するもので、電源供給によって点灯する投影用ライト17aと、投影対象の画像を映し出す透過型液晶パネル17bと、投影レンズ17cとを有する他、投影用ライト17aを制御してそのオン/オフや輝度などを調整する光源調整部17dと、透過型液晶パネル17bを駆動する駆動部17eと、投影レンズ17cのピント、ズームなどを調整するレンズ調整部17fなどを有している。なお、カメラ部16の撮影レンズの光軸方向は、投影レンズ17cの光軸方向と一致し、上述した投影可能エリア2を撮影可能となっている。
【0014】
図3は、会議において各参加者が紙資料3を開いている閲覧中のページと、説明者から指定されたページとが異なっている場合にその紙資料3の近傍位置に案内情報を投影表示する資料監視モードの動作を説明するための図である。
図3(1)は、会議室の机面上の監視エリア(投影可能エリア)2内に紙資料3が置かれている状態を示している。CPU11は、上述の資料監視モードに切り替えられた場合に、各紙資料3が置かれている位置を参加者の座席位置として決定するが、その際、監視エリア2の全体を撮影したエリア画像を解析することにより各座席位置を決定するようにしている。図示の例は、図中、左上から時計回りに“A席”、“B席”、“C席”、“D席”として決定した場合である。
【0015】
図3(2)は、監視エリア2の全体を撮影したエリア画像から各紙資料3の部分画像(閲覧中のページ画像)を抽出して席順に並べた状態を示している。会議の説明者は、紙資料の何ページ目の内容を説明するのか(何ページ目を閲覧すべきか)を参加者に対して口頭で伝えながら説明を行うが、閲覧すべきページを指定したとしても、参加者全員が指定されたページを開いている(閲覧している)とは限らず、指定ページ以外の他のページを開いている参加者がいる場合がある。
【0016】
図3(3)は、会議の説明者から指定されたページと参加者が開いている(閲覧している)ページ(閲覧中のページ)とが異なっている場合を示している。CPU11は、上述の資料監視モードにおいて、参加者毎に閲覧中のページと指定ページとを比較した結果、指定ページと閲覧中のページとが異なっている参加者がいれば、その参加者の資料(席)を特定してその近傍位置に案内情報を投影表示させるようにしている。図示の例は、指定ページが1ページ目のときにC席の参加者が2ページ目を開いている場合で、C席の紙資料3の近傍位置に案内情報として“1ページ目を開いて下さい”が投影表示された場合を示している。
【0017】
図4は、情報管理メモリM3を説明するための図である。
情報管理メモリM3は、監視対象物(紙資料)3毎にその識別情報を記憶するもので、「資料識別情報」、「ページ識別情報」の各項目を有している。「資料識別情報」は、冊子状の紙資料3自体を識別する情報として、その表紙を撮影した画像であり、例えば、紙資料3の大きさ・形状、タイトル(例えば、世界の株価と為替)などを含む画像である。「ページ識別情報」は、紙資料3を構成するページ毎にその記載内容を撮影したページ画像であり、1ページ目、2ページ目、…、のページ画像を順次記憶する。この情報管理メモリM3の内容は、予め監視対象の紙資料3を撮影した画像をユーザ操作によって登録したもので、その内容は任意に変更することができる。
【0018】
次に、本実施形態における情報監視装置(カメラ付のプロジェクタ装置)1の動作概念を図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他に、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0019】
図5及び図6は、上述の資料監視モードに切り替えられた際に実行開始されるプロジェクタ装置1の動作(実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャートである。
先ず、プロジェクタ装置1のCPU11は、ユーザ操作により監視対象の登録指示を受けたかを調べたり(図5のステップS1)、資料監視の開始指示を受けたかを調べたりする(ステップS4)。いま、監視対象の登録指示を受けたときには(ステップS1でYES)、監視対象の紙資料3を撮影した画像(その表紙画像及び各ページ画像)を取得して(ステップS2)、その表紙画像及び各ページ画像を情報管理メモリM3の「資料識別情報」、「ページ識別情報」に追加登録する処理を行う(ステップS3)。その後、ステップS1に戻る。なお、情報管理メモリM3に複数の紙資料3を登録する場合には、上述のステップS1〜S3を繰り返えせばよい。
【0020】
このようにして会議に使用する紙資料3を監視対象として登録した後、CPU11は、資料監視の開始を指示するユーザ操作が行われると(ステップS4でYES)、監視エリア2の全体を撮影する動作を開始する(ステップS5)。そして、監視エリア2の全体を撮影した撮影画像(エリア画像)を取得して画像解析を行うことにより(ステップS6)、監視エリア2内に所定の紙資料3が置かれたかを調べたり(ステップS7)、監視エリア2から所定の紙資料3が離されたかを調べたりする(図6のステップS18)。
【0021】
すなわち、監視対象物である紙資料3が監視エリア2内に入ってきたか、又は出て行ったかを調べるが、その際、連続する複数の撮影画像を比較しながら紙資料3の出し入れのタイミングを検出する(ステップS7、S18)。ここで、所定の紙資料3とは、情報管理メモリM3の「資料識別情報」に登録されている紙資料3を意味するものであり、CPU11は、撮影画像(エリア画像)から紙資料3の部分の画像を抽出した画像に基づいて情報管理メモリM3の「資料識別情報」を参照し、紙資料3の形状・大きさ、タイトル名が「資料識別情報」のいずれかと一致すれば、登録されている所定の紙資料3であると判断する。
【0022】
いま、監視対象物3の出し入れを検出しなければ(ステップS7及びS18でNO)、図6のステップS21に移り、紙資料3が監視エリア2内に実在しているかを調べ、実在していれば(ステップS21でYES)、後述するステップS12に移るが、実在していなければ(ステップS21でNO)、図5のステップS1に戻る。ここで、所定の紙資料3が監視エリア2内に置かれたことを検出したときには(ステップS7でYES)、監視エリア2を撮影したエリア画像の中から紙資料3毎にその部分を資料画像として抽出取得する(ステップS8)。
【0023】
これによって紙資料3毎に抽出した資料画像に基づいて情報管理メモリM3を参照し、抽出した資料画像は登録されているかを調べる(ステップS9)。この場合、机面上には開いている紙資料3や閉じている紙資料3も実在している場合があるために、情報管理メモリM3の「資料識別情報」、「ページ識別情報」のいずれかに登録されている紙資料3であるかを調べ、机面上に置かれている紙資料3が「資料識別情報」に登録されていれば、閉じられている紙資料3であると判断し、「ページ識別情報」に登録されていれば、開かれている紙資料3であると判断する。
【0024】
ここで、机面上に置かれている紙資料3の中に「資料識別情報」、「ページ識別情報」のいずれにも登録されていない他の資料が含まれていれば(ステップS9でNO)、画像解析によって、その未登録資料の配置位置を検出し(ステップS10)、その未登録資料の配置位置から特定したその近傍位置に、案内情報として“資料を交換して下さい”のメッセージを投影表示させると共に、資料別表示中フラグ(図示省略)をオンする(ステップS11)。なお、資料別表示中フラグとは、どの位置の資料(席)に対して案内情報を投影表示している状態であることを示すフラグである。また、案内情報は、正しい資料のタイトル名を含めたメッセージであってもよい。このような案内表示後、上述のステップS6に戻る。
【0025】
いま、監視エリア2内に置かれた全ての紙資料3が正しければ、つまり、登録資料であれば(ステップS9でYES)、図6のステップS12に移り、会議説明者からのページ指定の有無、つまり、説明者所持の携帯端末装置(図示省略)から無線送信されて来たページ指定情報を受信したか否かに基づいて、説明者からページ指定が有るか否かを調べる。ここで、説明者からのページ指定が無ければ(ステップS12でNO)、上述のステップS18に移るが、ページ指定が有れば(ステップS12でYES)、受信したページ指定情報に基づいて紙資料3内の指定ページを特定する(ステップS13)。
【0026】
そして、情報管理メモリM3の「ページ識別情報」を参照しながら指定ページと参加者毎の閲覧中のページとを比較し(ステップS14)、指定ページと閲覧中のページとが異なるか(不一致ページが有るか)を調べ(ステップS15)、不一致ページが有れば(ステップS15でYES)、画像解析を行って不一致ページ(紙資料3)の配置位置を検出し(ステップS16)、その不一致ページの配置位置から特定したその近傍位置に案内情報を投影表示させると共に、資料別表示中フラグ(図示省略)をオンする(ステップS17)。この場合、案内情報としては、例えば、“1ページ目を開いて下さい”が投影表示されるが、これに限らず、“ページが違っています”などを表示するようにしてもよい。その後、上述のステップS12に戻る。
【0027】
以下、説明者からページが指定される毎に、上述の動作を繰り返す(ステップS12〜S17)。ここで、案内情報を確認した参加者が正しいページを開いたものとすると、その時点で不一致ページが無くなるため(ステップS15でNO)、ステップS19に移り、いずれかの資料別表示中フラグがオンされているかを調べる。いま、資料別表示中フラグがオンされているので(ステップS19でYES)、その紙資料3に対応する案内情報を消去するためにその投影表示を終了させる(ステップS20)。その後、上述のステップS21に移る。
【0028】
このステップS18は、監視エリア2から所定の紙資料3が離されたかを調べるもので、紙資料3が離れたことを検出したときには(ステップS18でYES)、その離れた紙資料3の資料別表示中フラグがオンされているかを調べる(ステップS19)。ここで、表示中フラグがオフされていれば(ステップSでNO)、上述のステップS21に移るが、表示中フラグがオンされていれば(ステップS19でYES)、その紙資料3に対応する案内情報を消去するためにその投影表示を終了させる(ステップS20)。その後、上述のステップS21に移るが、この場合、監視エリア2内に他の紙資料3が残っていれば(ステップS21でYES)、上述のステップS12に戻るが、監視エリア2内に他の紙資料3が残っていなければ(ステップS21でNO)、図5のステップS1に戻り、以下、上述の動作を繰り返す。
【0029】
以上のように、本実施形態における情報監視装置(プロジェクタ装置)1は、外部の監視エリア(投影可能エリア)2内において監視対象物(例えば、冊子状の紙資料)3が置かれた場合に、その紙資料3の情報を閲覧中の情報として特定すると、閲覧対象として任意に指定された情報と特定した閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行するようにしたので、閲覧対象として指定された情報と閲覧中の情報とを容易に整合させることが可能となる。
【0030】
プロジェクタ装置1のCPU11は、閲覧対象として指定された情報と閲覧中の情報とが異なる場合に、その閲覧対象の情報を報知する案内情報を出力するようにしたので、例えば、会議室において机面上に資料を掲示しながら各参加者が会議している場合に、説明者が指示した資料とは異なる資料、又はページを閲覧している参加者に対してその旨を報知することができ、会議に役立たせることが可能となる。
【0031】
CPU11は、監視エリア内で閲覧中の情報が特定された場合に、その情報の閲覧位置を検出し、この閲覧位置からその近傍位置を決定し、この決定した近傍位置で案内情報を出力するようにしたので、説明者が指示した資料とは異なる資料、又はページを閲覧している参加者に対して案内することができ、間違えを正すことが可能となる。
【0032】
CPU11は、監視エリア内で閲覧中の情報を特定することができなくなった場合に、対応処理を終了させる制御を行うようにしたので、監視エリア内から紙資料3が離れたタイミングで案内情報の表示を終了させることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態においては、指定ページと閲覧中のページとが異なっている場合に、その旨を示す案内情報(メッセージ)を表示するようにしたが、指定ページと閲覧中のページとが異なっている場合に限らず、同一の場合であってもその旨を示す案内情報(メッセージ)を表示するようにしてもよい。これによって参加者全員が指定ページと閲覧中のページとの異同を即座に知ることが可能となる。
【0034】
また、上述した実施形態においては、案内情報としてメッセージを投影表示するようにしたが、メッセージに限らず、例えば、参加者毎にその紙資料3をターゲットとして照明用のスポット光を照射する際に、指定ページと閲覧中のページとが異なる場合と同一の場合に分けて、そのスポット光の表示色を一時的に変えたり、点滅表示、点灯表示に切り替えたりするようにしてもよい。
【0035】
上述した実施形態においては、案内情報を紙資料3の近傍位置に投影表示するようにしたが、紙資料3の記載内容の上に案内情報を重ねて投影表示するようにしてもよい。
【0036】
上述した実施形態においては、机面上の投影可能エリアを監視エリア2としたが、これに限らず、例えば、机面上に敷かれたタッチスクリーンや液晶パネルなどのシート状を成す表示デバイス(図示省略)の全体を監視エリアとしてもよい。この場合、情報監視装置は、その表示デバイスに対して案内情報を送信することによりその表示デバイス上に置かれた紙資料3の近傍位置に案内情報を表示するようにしてもよい。
【0037】
上述した実施形態においては、冊子状の紙資料3を監視対象物としたが、パンフレット、チラシなどであってもよく、更に、監視対象物としては電子ペーパ、タブレットなどの携帯端末装置であってもよく、監視対象物が携帯端末装置の場合に情報監視装置は、その携帯端末装置と無線通信を行ってその端末識別情報(ID)を受信し、監視対象物を特定するようにしてもよい。
【0038】
上述した実施形態においては、紙資料3上の情報を閲覧中の情報としたが、机面上に敷かれた表示デバイス(図示省略)上に参加者毎に表示されている情報を閲覧中の情報としてもよい。この場合、情報監視装置は、案内情報を表示デバイスに送信し、その表示デバイス上で閲覧中の情報の近傍位置にその案内情報を表示するようにしてもよい。
【0039】
上述した実施形態においては、撮影画像を解析することによって紙資料3の配置位置を検出するようにしたが、表示デバイス(タッチスクリーン)上に置かれた監視対象物の接触状態に基づいてその形状及び大きさかを検出して監視対象物を特定したり、その実在位置を検出したりするようにしてもよい。その際に、情報監視装置は、表示デバイス(タッチスクリーン)からその検出された位置情報を受信取得するようにしてもよい。又は、机の所定位置に複数(例えば、3個又は4個)の近距離通信部(例えば、Bluetooth(登録商標)通信部、RFタグ通信部)を配置し、監視対象物から発信された電波が各通信部で受信されると、情報監視装置は、各通信部からその受信信号を取得して、その電波強度と三角測量法の計算から監視対象物の実在位置を検出するようにしてもよい。
【0040】
上述した実施形態においては、情報監視装置としてプロジェクタ装置に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、ノート型PC、PDA(個人向け携帯型情報通信機器)、タブレット端末装置、スマートフォンなどの携帯電話機、電子ゲームなどであってもよい。
【0041】
上述した実施形態においては、会議の場面を例示したが、教室内での教科書や各種資料などを参照する場合、又は、インターネット学習(Eラーニング)やネット授業などの場面にも適用可能であり、その講義中に指示された資料のページと、実際に手元で開いている資料のページとが異なっている場合に、その旨を案内表示するようにすればよい。この場合、資料は紙資料(アナログ資料)に限らず、電子資料(デジタル資料)であってもよい。この場合、Eラーニングやネット授業などでは、生徒側のPCに表示されている閲覧中の情報(デジタルデータ)を、インターネットを介して教師側のPCに送信すると、教師側のPCは、指定した情報と閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に応じた案内情報(メッセージ)を生徒側のPCに送信するようにすればよい。なお、紙資料(アナログ資料)の場合には、生徒側に設けられたカメラで撮影された資料画像を教師側のPCに送信すればよい。
【0042】
また、上述した実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0043】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
閲覧中の情報を監視する情報監視装置であって、
閲覧対象の情報を任意に指定する指定手段と、
監視エリア内で閲覧中の情報を特定する特定手段と、
前記指定手段によって指定された閲覧対象の情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行する処理手段と、
を備えることを特徴とする。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報監視装置において、
前記処理手段は、前記指定手段によって閲覧対象として指定された情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とが異なる場合に、その閲覧対象の情報を報知する案内情報を出力する処理を前記対応処理として実行する、
ことを特徴とする。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報監視装置において、
前記特定手段によって前記監視エリア内で閲覧中の情報が特定された場合に、その情報の閲覧位置を検出する位置検出手段を更に備え、
前記処理手段は、前記閲覧対象の情報を報知する案内情報を出力する処理を行う際に、前記位置検出手段によって検出された閲覧位置からその近傍位置を決定し、この決定した近傍位置で案内情報を出力する、
ことを特徴とする。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報監視装置において、
前記処理手段は、前記指定手段によって閲覧対象として指定された情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とが異なる場合には第1の案内情報を出力し、同一の場合には第2の案内情報を出力する処理を前記対応処理として実行する、
ことを特徴とする。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報監視装置において、
前記処理手段は、前記特定手段によって監視エリア内で閲覧中の情報を特定することができなくなった場合に、前記対応処理を終了させる制御を行う、
ことを特徴とする。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、
閲覧中の情報を監視する情報監視装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
閲覧対象の情報を任意に指定する指定手段と、
監視エリア内で閲覧中の情報を特定する特定手段と、
前記指定手段によって指定された閲覧対象の情報と前記特定手段によって特定された閲覧中の情報とを比較し、その比較結果に基づいた対応処理を実行する処理手段と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0044】
1 情報監視装置(プロジェクタ装置)
2 監視エリア(投影可能エリア)
3 監視対象物(紙資料)
11 CPU
12 記憶部
16 カメラ部
17 プロジェクタ部
M1 プログラムメモリ
M3 情報管理メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6