特許第6394911号(P6394911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6394911画像形成装置及び画像形成装置ネットワークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394911
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20180913BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20180913BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 C
   H04N1/00 127Z
   G06F3/12 303
   G06F3/12 329
   G06F3/12 331
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-171120(P2015-171120)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-47568(P2017-47568A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】廣田 政人
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−138783(JP,A)
【文献】 特開2013−143658(JP,A)
【文献】 特開2010−260207(JP,A)
【文献】 特開2003−300361(JP,A)
【文献】 特開2005−031982(JP,A)
【文献】 特開2012−004709(JP,A)
【文献】 特開平10−290258(JP,A)
【文献】 特開2006−231752(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0246988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置を含むネットワークに配される画像形成装置であって、
記憶部と制御部とを備え、
前記記憶部は、
前記複数の画像形成装置に共有される設定値を最新更新日時と関連付けた設定値情報を含む設定値データと、
前記設定値データが前記ネットワーク内の画像形成装置に保有されるもののうちで最新であるか否かを表すマスターフラグと
を保持し、
前記制御部は、
前記設定値の変更が行われた場合に前記マスターフラグをオンにし、
他の画像形成装置との間で前記設定値情報を送受信する設定値送受信部と、
受信した前記設定値情報の最新更新日時が前記設定値データの設定値情報の最新更新日時よりも新しい場合に受信した前記設定値情報を前記設定値データに保持する設定値更新部と
を含み、
前記設定値送受信部は、前記マスターフラグがオンであるときにのみ、最新更新日時、前回更新日時及び設置値を含む設定値情報を他の画像形成装置に送信する
ことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記マスターフラグをオンにする時以外の特定時に、前記マスターフラグをオフにする、マスターフラグ管理部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特定時は、電源がオフからオンとなったとき、前記ネットワークへの接続が不能であるとき、サービスコールが発生したとき、及び前記設定値データが最新ではない可能性が発生したときの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定値送受信部は、
前記設定値データの設定値情報が更新されたときに更新された設定値情報を他の画像形成装置に送信し、
前記マスターフラグがオフであるときに設定値情報を他の画像形成装置から受信する
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置をネットワークにより接続したことを特徴とする、画像形成装置ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び複数の画像形成装置を接続した画像形成装置ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイル等の内容の印刷、印刷物のコピー等を実行する画像形成装置が広く利用されている。大規模なオフィスにおいては、複数の画像形成装置をネットワークで接続し、機能分担、負荷分散等を実行することが多い。このためには、全ての画像形成装置を統括するサーバーが設けられていた。しかし、サーバーを設けると、サーバーのコストの問題や、サーバー機能が停止してしまうと全ての画像形成装置が影響を受けてしまうという問題があった。
【0003】
この点について、特許文献1にはサーバーを設けずに、各々の画像形成装置においてハードウエア等の設定値が変更されると他の画像形成装置に送信するシステムが開示されている。ネットワークを介して画像形成装置間で設定値を同期し、サーバーを不要とするものである。しかし、全ての画像形成装置がネットワークに常時接続されていることは保証されず、一部の画像装置について設定値が同期されない可能性があった。
【0004】
特許文献2には、適切な画像形成装置にマスター権限を与えるシステムが開示されている。マスター機とスレーブ機とを分け、同期を図るものである。しかし、スレーブ機へのアクセスが不能となる(電源オフ、ネットワーク非接続、機器不調)と、アクセスが回復してもスレーブ機を同期させる仕組がない。
【0005】
この点について、特許文献3には、スレーブ機へのアクセスが不能の場合にマスター機がメールでデータを送信するシステムが開示されている。スレーブ機は、アクセスが回復した際にメールを受信して同期することができる。しかし、メールサーバーを設ける必要があり、また、稀ではあるが、スレーブ機のアクセス回復時にメールメールサーバーへのアクセスが不能となると同期ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−300361号公報
【特許文献2】特開2005−031982号公報
【特許文献3】特開2012−004709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3に開示された画像形成装置及びシステムは、サーバーを必要とせず、かつ、正常動作(電源オン、ネットワーク接続、機器不調でない)している全ての画像形成装置の間で設定値の同期が保証されているものではない。
【0008】
本発明は、サーバーを必要とせず、かつ、正常動作している全ての画像形成装置の間で設定値の同期が保証される画像形成装置ネットワークシステム、及びその画像形成装置ネットワークシステムを形成する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、
複数の画像形成装置を含むネットワークに配される画像形成装置であって、
記憶部と制御部とを備え、
前記記憶部は、
前記複数の画像形成装置に共有される設定値を最新更新日時と関連付けた設定値情報を含む設定値データと、
前記設定値データが前記ネットワーク内の画像形成装置に保有されるもののうちで最新であるか否かを表すマスターフラグと
を保持し、
前記制御部は、
他の画像形成装置との間で前記設定値情報を送受信する設定値送受信部と、
受信した前記設定値情報の最新更新日時が前記設定値データの設定値情報の最新更新日時よりも新しい場合に受信した前記設定値情報を前記設定値データに保持する設定値更新部と
を含む、
ことを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、画像形成装置は、自らの設定値情報がユーザーに更新された場合には他の画像形成装置に送信し、他の画像形成装置の設定値情報がユーザーに更新された場合には他の画像形成装置から受信して、設定値情報を最新に保つ(同期する)ことができるという特許文献1に示されたメリットを保ちつつ、最新更新日時を活用して正確な処理をすることができる。また、マスターフラグを活用して、非同期の可能性を検出し、必要な同期のために設定値の送受信を行うことができる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、
前記制御部は、
特定時に、前記マスターフラグをオフにする、マスターフラグ管理部を含む
ことを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、マスターフラグをオフにすべき時を特定時として管理することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、
前記特定時は、電源がオフからオンとなったとき、前記ネットワークへの接続が不能であるとき、サービスコールが発生したとき、及び前記設定値データが最新ではない可能性が発生したときの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、非同期の可能性があるときにマスターフラグをオフにすることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、
前記設定値送受信部は、
前記設定値データの設定値情報が更新されたときに更新された設定値情報を他の画像形成装置に送信し、
前記マスターフラグがオフであるときに設定値情報を他の画像形成装置から受信する
ことを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、画像形成装置は、自らの設定値情報が他の画像形成装置のものよりも新しくなったときに送信し、自らの設定値情報が他の画像形成装置のものよりも旧い可能性があるときに受信する。設定値情報が最新の情報で同期される。アクセス不能時(電源オフ、ネットワーク非接続又は機器不調のとき)には同期されないが、アクセス回復の直後に同期されるので、ユーザーによる使用時には同期を保つことができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、
前記設定値送受信部は、
前記マスターフラグがオンであるときにのみ設定値情報を他の画像形成装置に送信する
ことを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、同期されていない設定値情報の送受信が行われない。同期された設定値情報を確実に共有することができる。
【0019】
本発明の画像形成装置ネットワークシステムは、
複数の上述の画像形成装置をネットワークにより接続したことを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、相互に同期を保つことのできる画像形成装置を複数接続して、同期を保った画像形成装置ネットワークシステムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置によれば、サーバーを必要とせず、かつ、正常動作(電源オン、ネットワーク接続)している全ての画像形成装置の間で設定値の同期が保証された画像形成装置ネットワークシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、画像形成装置の機能構成を示す図である。
図2図2は、設定値データ及びマスターフラグを示す図である。
図3図3は、画像形成装置ネットワークシステムを示す図である。
図4図4は、設定値の変更が行われた場合の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。
図6図6は、設定値変更を受信した場合の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。
図8図8は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。
図9図9は、設定値強制同期の処理を示すフローチャートである。
図10図10は、送信機の処理を示すフローチャートである。
図11図11は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の機能構成を示す図である。画像形成装置1は、制御部2及び記憶部3を備えている。
【0024】
制御部2は、設定値送受信部21、設定値更新部22及びマスターフラグ管理部23を含む。
【0025】
なお、制御部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより設定値送受信部21、設定値更新部22及びマスターフラグ管理部23として動作する。
【0026】
設定値送受信部21は、ネットワーク4に接続され、他の画像形成装置との間で設定値の送受信を行う。詳細については後述する。
【0027】
設定値更新部22は、他の画像形成装置(マスター機)から受信した設定値に基づいて、設定値データ31を更新する。
【0028】
マスターフラグ管理部23は、電源がオフからオンとなったとき、ネットワーク4への接続が不能であるとき、機器不調によるサービスコールが発生したとき、その他設定値データ31が最新ではない(又は最新ではなくなる)可能性が発生したときにマスターフラグ32をオフにする。
【0029】
記憶部3は、設定値データ31及びマスターフラグ32を記憶している。
【0030】
設定値データ31は、設定値を最新更新日時と関連付けた設定値情報を含むデータである。
【0031】
マスターフラグ32は、設定値データ31の設定値情報が最新のものであることが保障される場合にオン、保証されない場合(事実関係として最新である場合も含む)にオフとなるフラグである。
【0032】
図において、各部の間のデータの入出力を矢印で示す。
【0033】
図2は、設定値データ及びマスターフラグを示す図である。設定値データ31は、設定値情報として、最新更新日時311、前回更新日時312、設定項目毎の設定値313を保持している。図2において、項目aの設定値313は「111」であり、項目bの設定値313は「222」である。前回更新日時312は最新更新日時311の更新の1回前の更新の日時である。必ずしも必要とされる情報ではないが、本実施例では処理の簡素化のために保持している。前回更新日時312の利用については後述する。
【0034】
マスターフラグ32は、設定値データ31と合わせて記憶されている。図1において設定値データ31とマスターフラグ32とを分離して表したが、図2のように一括して(1ファイルとして)保持しても同等である。
【0035】
図3は、画像形成装置ネットワークシステムを示す図である。画像形成装置ネットワークシステム5は、ネットワーク4を介して、複数(本実施例では4)の画像形成装置1a、1b、1c、1dが接続されたものである。
【0036】
図3において、各々の画像形成装置の設定値情報及びマスターフラグを、図2と同様の形式で画像形成装置1a、1b、1c、1dの近傍に描いた(図5図7図8図11において同じ)。画像形成装置1a、1b、1c、1dはネットワーク4を介して接続され、設定値が同期されている。すなわち、画像形成装置1a、1b、1c、1dの全てにおいて同一の設定値データ31が保持され、最新であるのでマスターフラグ32がオンである。
【0037】
以下、設定値が更新され、同期される処理を説明する。
【0038】
ユーザーが、画像形成装置1aにおいて、設定値を変更したとする。設定値には項目aと項目bとを含むが、項目aのみが更新され、項目bは更新されなかったものとする。なお、本実施例においては2の項目とするが、多数の項目であっても、更新された項目全てを本実施例の項目aと同様に扱い、更新されなかった項目全てを本実施例の項目bと同様に扱えばよい。
【0039】
図4は、設定値の変更が行われた場合の処理を示すフローチャートである。画像形成装置1aの制御部2において、図4に示す処理が実行される。
【0040】
制御部2は、設定値313を変更し(20a)、前回更新日時312を最新更新日時311の値とし(20b)、最新更新日時311を現在時刻(20c)とする。(図及び以下の説明において、簡略のため、送信機における最新更新日時311をT、前回更新日時312をTで示す。)
【0041】
制御部2は、マスターフラグをオンにする(20d)。(図及び以下の説明において、簡略のため、マスターフラグをMFで示す。)MFは処理前からONであるので、20dの処理は必ずしも必要ではないが、MF=ONを確実にする。
【0042】
制御部2は、設定値送受信部21を起動し、更新された設定値情報を他の画像形成装置(1b、1c及び1d)に送信する(21a)。
【0043】
図5は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。図4における設定値情報を送信(21a)の実行直前の状態を示す。制御部2の処理(ステップ20a〜20d)により、画像形成装置1aにおける設定値情報及びマスターフラグが正しく更新されている。
【0044】
設定値情報を送信(21a)の実行時に、画像形成装置1bの電源がオフであったものとする。画像形成装置1aの送信した設定値情報は、画像形成装置1c及び1dによって受信されるが、画像形成装置1bよっては受信されない。
【0045】
以下、画像形成装置1c及び1dにおける受信処理を説明する。
【0046】
図6は、設定値変更を受信した場合の処理を示すフローチャートである。画像形成装置1c及び1dの制御部2において、受信したことによって図6に示す処理が起動され、実行される。
【0047】
設定値送受信部21が起動され、T及びTが受信される(21b)(送信機(画像形成装置1a)は、設定値313の送信に先立ってT及びTのみを送信する)。
【0048】
設定値送受信部21は、T及びTを自身の最新更新日時311及び前回更新日時312と比較する。(図及び以下の説明において、簡略のため、受信機における最新更新日時311をt、前回更新日時312をtで示す。)T=tかつT=tである場合には、既に更新されているので、何もせずに終了する(21c)。
【0049】
=tかつT=tではない場合、設定値送受信部21は、T=tであるか否かを判断する(21d)。
【0050】
=tである場合には、受信機(画像形成装置1c又は1d)には送信機(画像形成装置1a)の前回更新日時における更新後の設定値313が保持されている。設定値送受信部21は、更新された設定値のみを送信するよう送信機に伝え、更新された設定値(項目a)を受信する(21e)。本実施例においては、ステップ21eが実行される(ステップ21fは実行されない)。
【0051】
=tでもない場合には、設定値送受信部21は、全ての設定値を送信するよう送信機に伝え、全ての設定値(項目a及び項目b)を受信する(21f)。
【0052】
受信した設定値情報は、設定値更新部22によって、設定値データ31に書き込まれる。最新更新日時311、前回更新日時312及び設定値313について、受信した値が書き込まれる(22a、22b、22c)。その後、MF=ONとされる。
【0053】
図7は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。図6に示す処理が終了した状態を示す。画像形成装置1c及び1dにおける設定値情報が画像形成装置1aと同期されている。
【0054】
以上の処理により、以下の効果を得ることができる。通常、設定値は多数あり、更新される設定値(項目a)は少数である。項目aのデータ量は項目bのデータ量に比して小さい。ステップ21eにおいて項目aのみを受信することにより、ネットワーク4の負荷が軽減される。
【0055】
画像形成装置間で設定値情報が同期され、1の画像形成装置において設定値が更新される限り、ステップ21eが実行されステップ21fは実行されない。本実施例においては、画像形成装置間の同期を保っているので、ステップ21fが実行されることはまれである。前回更新日時312を設定値情報に含めることで、ステップ21eによってネットワーク4の負荷を軽減し、同期を確実にしている。
【0056】
以下、画像形成装置1bにおける処理を説明する。
【0057】
画像形成装置1bの電源がオンになったものとする。マスターフラグ管理部23によって画像形成装置1bはMF=OFFとなる。図8は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。画像形成装置1bがネットワーク4に接続され、画像形成装置1bはMF=OFFとなっている。
【0058】
電源オン時のマスターフラグ管理部23の処理は、電源オンのときに実行されるスタートアップ機能として実現できる。
【0059】
MF=OFFとすべき状況としては、ネットワーク切断、機器不調によるサービスコール等が考えられる。マスターフラグ管理部23は、ネットワーク切断については例えばping機能でネットワーク接続を監視することで、サービスコールについては例えばサービス実施者の手入力で、MF=OFFにすることができる。
【0060】
以上のように、マスターフラグ管理部23は、設定値の最新の更新を受信できなかった可能性のある時間帯が存在するときに、MF=OFFにする。MF=OFFであることは、早急に他の画像形成装置と設定値の同期を行うべきことを意味する。制御部2は、マスターフラグ32を監視し、MF=OFFであり、ネットワーク4に接続されているときに、設定値強制同期の処理を行う。
【0061】
設定値強制同期の処理は、電源オン、ネットワークアクセスの回復、サービスによる復旧等の直後に行うことができる。すなわち、画像形成装置による印刷等ジョブの実行前に行うことができる。設定値情報が同期されないままに印刷等ジョブが開始することはない。
【0062】
図9は、設定値強制同期の処理を示すフローチャートである。電源オンとなった画像形成装置1bの設定値送受信部21は、ネットワーク4上の他の画像形成装置にマスター問合せを送信する(21h)。
【0063】
設定値送受信部21は、マスター応答を受信するのを待つ(21i)。他の画像形成装置は、自身がMF=ONの場合にのみ応答する。MF=OFFである他の画像形成装置との間で設定値情報が同期されることはない。本実施例では、画像形成装置1a、1c、1dがマスター応答することができる。以後、画像形成装置1cが最初に応答したものとする。
【0064】
設定値送受信部21は、画像形成装置1cに、T問合せを送信する。画像形成装置1a及び1dは、マスター応答しても画像形成装置1bからのT問合せを受信しないので、以後の処理に関与しない。
【0065】
設定値送受信部21は、画像形成装置1cからT及びTを受信し、設定値を受信、更新する(20e)。設定値を受信、更新する処理は、図6に示したものと同一である。
【0066】
図10は、送信機の処理を示すフローチャートである。受信機が図6に示した処理又は図9に示した処理を行う場合における、送信機の処理である。受信機の処理が図6に示したものの場合と図9に示したものの場合とを同一のフローチャートに基づいて処理可能である。
【0067】
送信機は、受信機からの要求に対応して、マスター応答、T及びT、更新された設定値、全ての設定値のいずれかを、受信機に送信する。受信機の処理が図6に示したものの場合には、分岐21k及び21lが常にNOとなる。
【0068】
図11は、設定値データ及びマスターフラグの変遷を示す図である。以上の処理の結果、全ての画像処理装置1の設定値が、更新後のものに同期されている。
【0069】
以上詳細に説明したように、本実施例の画像形成装置1によれば、サーバーを必要とせず、全ての画像形成装置の間で設定値の同期がなされる。正常動作している画像形成装置1については設定値の更新が即座に同期され、正常動作していない画像形成装置1については正常動作回復の直後に設定値の更新が同期される。同期されないままに印刷等ジョブが開始することはない。
【0070】
なお、本実施例において、画像形成装置1aにおいて設定値が更新され、画像形成装置1bの電源がオフとなるものとしたが、いずれの画像形成装置であっても同様に動作する。ユーザーは、任意の正常動作している画像形成装置において設定値を更新することができる。いずれの画像形成装置が正常動作を停止(電源オフ、ネットワーク非接続、機器不調)する場合にも、正常動作の回復の直後に設定値が同期される。
【0071】
ネットワーク4に接続された画像形成装置が多数ある場合、そのうち1台以上がMF=ONで正常動作していれば、他の画像形成装置の設定値を同期することができる。安全な運用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
サーバーを必要とせず、かつ、正常動作している全ての画像形成装置の間で設定値の同期が保証される画像形成装置ネットワークシステム、及びその画像形成装置ネットワークシステムを形成する画像形成装置である。多くの企業における利用が考えられる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
2 制御部
21 設定値送受信部
22 設定値更新部
23 マスターフラグ管理部
3 記憶部
31 設定値データ
32 マスターフラグ
4 ネットワーク
5 画像形成装置ネットワークシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11