特許第6394976号(P6394976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394976
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】担体投入型汚水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/08 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   C02F3/08 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-60749(P2015-60749)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-179437(P2016-179437A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 智典
(72)【発明者】
【氏名】馬場 圭
(72)【発明者】
【氏名】青木 順
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−215694(JP,A)
【文献】 特開2005−279386(JP,A)
【文献】 特開2001−269685(JP,A)
【文献】 特開2004−209452(JP,A)
【文献】 特開2006−007033(JP,A)
【文献】 特開平02−214597(JP,A)
【文献】 特開2010−155184(JP,A)
【文献】 特開2011−147868(JP,A)
【文献】 特開平10−128361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00− 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体を用いて生物処理を行う生物反応槽と、前記生物反応槽に汚水を供給する汚水供給手段と、前記生物反応槽から処理水を排出する処理水排出手段とを備えた担体投入型汚水処理装置であって、
前記汚水供給手段は汚水を複数の分割流に分割する汚水分配機構を備えており、
前記生物反応槽は仕切壁によって長さ方向に複数個の生物反応槽に分割されており、
各生物反応槽のそれぞれには担体分離スクリーンが設けられており、
担体分離スクリーンと生物反応槽の下流側仕切壁又は下流側槽壁との間には処理水空間が設けられており、
第1番目の分割流は第1番目の生物反応槽に供給されるようになっており、
第1生物反応槽を除く各生物反応槽と前記汚水分配機構とは汚水供給ダクトによって連通するとともに、下流側端の生物反応槽を除く各生物反応槽の処理水空間と下流側端の生物反応槽の処理水空間とは処理水排出ダクトによって連通しており、
第n番目(n=1を除く)の分割流を導く汚水供給ダクトは第1番目の仕切壁から第n−1番目の仕切壁までを貫通してn番目の生物反応槽の上流側に開口しており、
第n番目の生物反応槽からの処理水を排出する処理水排出ダクトは第n番目の生物反応槽の処理水空間に開口すると共に、第n番目の仕切壁から最後の仕切壁までを貫通して最後の生物反応槽の処理水空間に開口している
ことを特徴とする担体投入型汚水処理装置。
【請求項2】
担体を用いて生物処理を行う生物反応槽と、前記生物反応槽に汚水を供給する汚水供給手段と、前記生物反応槽から処理水を排出する処理水排出手段とを備えた担体投入型汚水処理装置であって、
前記汚水供給手段は汚水を2つの分割流に分割する汚水分配機構を備えており、
前記生物反応槽は仕切壁によって長さ方向に第1生物反応槽と第2生物反応槽とに分割されており、
第1生物反応槽及び第2生物反応槽にはそれぞれ第1担体分離スクリーン及び第2担体分離スクリーンが設けられており、
第1担体分離スクリーンと仕切壁との間には第1処理水空間が設けられ、
第2担体分離スクリーンと第2生物反応槽の下流側槽壁との間には第2処理水空間が設けられ、
第1の分割流は第1生物反応槽に供給されるようになっており、
第2の分割流を導く汚水供給ダクトが、その上流側端部が前記汚水分配機構に連通すると共に、その下流側端部が第2生物反応槽の上流側に開口するように仕切壁を貫通して設けられ、
第1生物反応槽からの処理水を排出する処理水排出ダクトが、その上流側端部が前記第1処理空間に開口すると共に、その下流側端部が前記第2処理水空間に開口するように仕切壁を貫通して設けられている
ことを特徴とする担体投入型汚水処理装置。
【請求項3】
前記汚水分配機構は、溢流堰と分配壁とを含み前記分配壁は溢流堰を越えた汚水を複数の分割流に分割する位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の担体投入型汚水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を付着させた担体によって汚水を処理する担体投入型汚水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の活性汚泥処理法を適用した汚水処理装置として、微生物を付着させた担体を生物反応槽内に投入して汚水処理を行う担体投入型汚水処理装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、雨天時等に設計値以上の水量が処理場に流入した場合に、担体と生物反応槽混合液を分離する担体分離板の閉塞を回避することができるようにした担体投入型生物反応装置が記載されている。
特許文献2に記載の装置を図4に示す。この装置は、微生物を付着させた担体Sを用いて流入水の生物処理を行う生物反応槽31と、この生物反応槽31内に配設され、生物反応槽31内の混合液から前記担体Sを捕捉分離する担体分離装置(担体分離板)32と、生物反応槽31の流下方向に沿って設置され、流入水を移送する移送管33とを備えている。この移送管33には、上流側から流入口35、流入調整具36、下流側流入口34が設けられている。
【0004】
この装置においては、通常時は流入水が移送管33上流側の流入口35から生物反応槽31内に流入する。また、過剰流入水が流入したときは、その過剰流入水が流入調整具36のゲートを超えて下流側流入口34から担体分離装置32の下流側に分配流入される。このため、担体分離板32に生物反応槽31の流入水量(設計水量)以上の水量負荷がかからず、担体Sが担体分離板32付近の上流側に集中するようなことがなく、担体Sによる担体分離板32の閉塞を回避することができる。
【0005】
しかしながら、図4に示した装置では、生物反応槽31の末端に担体分離板を設置しているため、槽内断面流速が大きくなると、担体が担体分離装置側に偏り、ある一定の槽内断面流速に達すると担体分離装置が閉塞する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−67395号公報
【特許文献2】特開2010−155184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は生物反応槽内において担体が担体分離装置側に偏って担体分離装置が閉塞することのない担体投入型汚水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、生物反応層を仕切壁で複数槽に仕切り、それぞれの槽に担体分離装置を設け、流入水を分割して各槽に供給するとともに、担体分離装置を通過した処理水を各槽から排出することにより、上記課題を解決することができることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明の構成は以下に記載する通りの担体投入型汚水処理装置に係るものである。
【0009】
(1)担体を用いて生物処理を行う生物反応槽と、前記生物反応槽に汚水を供給する汚水供給手段と、前記生物反応槽から処理水を排出する処理水排出手段とを備えた担体投入型汚水処理装置であって、
前記汚水供給手段は汚水を複数の分割流に分割する汚水分配機構を備えており、
前記生物反応槽は仕切壁によって長さ方向に複数個の生物反応槽に分割されており、
各生物反応槽のそれぞれには担体分離スクリーンが設けられており、
担体分離スクリーンと生物反応槽の下流側仕切壁又は下流側槽壁との間には処理水空間が設けられており、
第1番目の分割流は第1番目の生物反応槽に供給されるようになっており、
第1生物反応槽を除く各生物反応槽と前記汚水分配機構とは汚水供給ダクトによって連通するとともに、下流側端の生物反応槽を除く各生物反応槽の処理水空間と下流側端の生物反応槽の処理水空間とは処理水排出ダクトによって連通しており、
第n番目(n=1を除く)の分割流を導く汚水供給ダクトは第1番目の仕切壁から第n−1番目の仕切壁までを貫通してn番目の生物反応槽の上流側に開口しており、
第n番目の生物反応槽からの処理水を排出する処理水排出ダクトは第n番目の生物反応槽の処理水空間に開口すると共に、第n番目の仕切壁から最後の仕切壁までを貫通して最後の生物反応槽の処理水空間に開口している
ことを特徴とする担体投入型汚水処理装置。
(2)担体を用いて生物処理を行う生物反応槽と、前記生物反応槽に汚水を供給する汚水供給手段と、前記生物反応槽から処理水を排出する処理水排出手段とを備えた担体投入型汚水処理装置であって、
前記汚水供給手段は汚水を2つの分割流に分割する汚水分配機構を備えており、
前記生物反応槽は仕切壁によって長さ方向に第1生物反応槽と第2生物反応槽とに分割されており、
第1生物反応槽及び第2生物反応槽にはそれぞれ第1担体分離スクリーン及び第2担体分離スクリーンが設けられており、
第1担体分離スクリーンと仕切壁との間には第1処理水空間が設けられ、
第2担体分離スクリーンと第2生物反応槽の下流側槽壁との間には第2処理水空間が設けられ、
第1の分割流は第1生物反応槽に供給されるようになっており、
第2の分割流を導く汚水供給ダクトが、その上流側端部が前記汚水分配機構に連通すると共に、その下流側端部が第2生物反応槽の上流側に開口するように仕切壁を貫通して設けられ、
第1生物反応槽からの処理水を排出する処理水排出ダクトが、その上流側端部が前記第1処理空間に開口すると共に、その下流側端部が前記第2処理水空間に開口するように仕切壁を貫通して設けられている
ことを特徴とする担体投入型汚水処理装置。
(3)前記汚水分配機構は、溢流堰と分配壁とを含み前記分配壁は溢流堰を越えた汚水を複数の分割流に分割する位置に設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の担体投入型汚水処理装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の担体投入型汚水処理装置は、生物反応槽内において担体が担体分離装置側に偏って担体分離装置が閉塞することがないため、安定した生物処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態による担体投入型汚水処理装置を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態による担体投入型汚水処理装置を示す概略的な斜視図である。
図3】本発明の実施の形態による担体投入型汚水処理装置の汚水及び処理水の流れを説明するための模式図である。
図4】従来の担体投入型汚水処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
担体が投入された生物反応槽において、担体分離スクリーン近傍の担体濃度が高くなると、担体がスクリーンに圧着されて通水抵抗が大きくなり、水の通過が阻害される。担体分離スクリーン近傍の担体濃度は生物反応槽の縦横比と断面流速とによって定まる。本発明者は、処理水の速度、生物反応槽の幅と長さとの比を考慮して、生物反応槽を2分割し、分割したそれぞれの生物反応槽に担体分離スクリーンを設けると共に、各生物反応槽に汚水を略均等に分配できる分配機構を設け、縦横比及び断面流速を小さくすることによって担体分離スクリーン近傍の担体濃度を低減させることができることを見出した。
そして、担体分離スクリーン近傍の担体濃度を低減させることにより、担体分離スクリーンの閉塞がなく、安定的に運転ができると共に、担体剥離のための散気空気量も低減することができた。
【0013】
担体投入型汚水処理装置は基本的な構成として、担体を用いて生物処理を行う生物反応槽と、前記生物反応槽に汚水を供給する汚水供給手段と、前記生物反応槽から処理水を排出する処理水排出手段とを備えている。
【0014】
本発明の担体投入型汚水処理装置は生物反応槽を長さ方向に複数の生物反応槽に分割すると共に、汚水を複数の分割流に分割して、それぞれの分割流を各生物反応槽において処理することを特徴としている。
以下では発明の理解を容易にするために生物反応槽を二つに分割した実施形態を例にとって説明する。
本発明の担体投入型汚水処理装置の実施の形態を図1に基づいて説明する。
担体投入型汚水処理装置は、生物反応槽(1A、1B)と、汚水Wを生物反応槽(1A、1B)に供給する汚水分配機構2と、処理水を生物反応槽から排出する処理水排出手段7とを備えている。
生物反応槽は仕切壁3によって容積が略等しい第1生物反応槽1Aと第2生物反応槽1Bとに分割されている。
【0015】
第1生物反応槽1Aの処理水の流れ方向の下流側末端付近には第1担体分離装置4Aが設けられており、第1担体分離装置4Aと仕切壁3との間には第1処理水空間5Aが設けられている。
また、第2生物反応槽1Bの処理水の流れ方向の下流側末端付近には第2担体分離装置4Bが設けられており、第2担体分離装置4Bと第2生物反応槽1Bの下流側槽壁6との間には第2処理水空間5Bが設けられている。
【0016】
第1生物反応槽1Aの上流側端部に設けられた汚水分配機構2は、汚水Wを第1生物反応槽1Aに流入する第1汚水WAと、第2生物反応槽に流入する第2汚水WBとに分配する構造を有している。
この汚水分配機構2の具体的な構造例を図2に基づいて説明する。
汚水分配機構2は溢流堰21と、溢流堰21を超えてきた汚水Wを、第1生物反応槽1Aにおいて処理される第1汚水WAと、第2生物反応槽1Bにおいて処理される第2汚水WBとの二つの流れに分配する分配壁22とを備えている。この分配壁22は汚水Wを略等量に二分するような位置に設けられている。
【0017】
分配壁22は、溢流堰21及び区画壁23と共に第2汚水WBを受け入れる区画室20を形成しており、区画室20に流入した第2汚水WBは、区画室20の底板24に開口している流出口25から汚水供給ダクト10A内に流入し、第2生物反応槽1Bに送られて担体Sと接触して処理される。
分配壁22によって分配された第1汚水WAはそのまま第1生物反応槽1A内に流入して担体Sと接触して生物反応処理される。
【0018】
次に汚水供給ダクト10A及び処理水排水ダクト10Bについて説明する。
汚水供給ダクト10Aの上流側端部は汚水分配機構2の区画室20の流出口25に連通している。また、汚水供給ダクト10Aは第1生物反応槽1A内を通って下流側に伸び、その下流側端部は仕切壁3の下方部に設けられた第2開口部12Aを貫通し、その下流側端部開口11Aは第2生物反応槽1Bの上流側で開口している。
【0019】
処理水排水ダクト10Bの上流側端部は仕切壁3の下方部に設けられた第1開口部12Bを貫通し、前記第1処理水空間5Aに開口している。また、処理水排水ダクト10Bは第2生物反応槽1B内を通って下流側に伸び、その下流側端部開口11Bは前記第2処理水空間5Bに開口している。
【0020】
図1及び図2に基づいて、汚水処理フローについて説明する。
第1生物反応槽1A及び第2生物反応槽1Bには担体Sが投入されている。また、汚水槽8、第1生物反応槽1A及び第2生物反応槽1Bには曝気用の散気装置9a、9b、9cが設けられている。
汚水槽8に流入した汚水Wは、散気装置9aで曝気処理され汚水分配機構2に流入する。
汚水分配機構2の溢流堰21を超えた汚水Wは分配壁22によって、第1汚水WAと第2汚水WBとに分配される。
【0021】
第1汚水WAは第1生物反応槽1A内に流入し、散気装置9bで曝気処理を受けながら担体Sによって生物反応処理される。処理水は第1担体分離装置(スクリーン)4Aで担体を分離されたのち、第1処理水空間5A内に流入する。第1処理水空間5A内の処理水は処理水排水ダクト10Bの端部開口から処理水排水ダクト10B内を通って下流側の端部開口11Bから第2処理水空間5B内に流入し、第2処理水空間5B内を上昇して流出堰7から排出される。
【0022】
第2汚水WBは区画室20の底板24の開口から汚水供給ダクト10A内に流入して、該ダクト内を通って、汚水供給ダクト10Aの下流側端部開口11Aから第2生物反応槽内1B内に流入する。第2汚水WBは散気装置9cで曝気処理を受けながら担体Sによって生物反応処理される。処理水は第2担体分離装置(スクリーン)4Bで担体を分離されたのち、第2処理水空間5B内に流入し、第2処理水空間5B内を上昇して流出堰7から排出される。
【0023】
汚水供給ダクト10Aは第1担体分離装置4Aを貫通して設けても良いが、メンテナンス上は好ましくない。第1担体分離装置4Aは、その横幅を第1生物反応槽1Aの幅よりも短くして、第1担体分離装置4Aの横側端部と第1生物反応槽1Aの槽壁との間に躯体壁を設けて、この躯体壁を汚水供給ダクト10Aが貫通するようにすることが好ましい。
このことは、第2担体分離槽4Bについても同様であり、第2担体分離装置4Bの横側端部と第2生物反応槽1Bの槽壁との間に躯体壁を設けて、この躯体壁を処理水排出ダクト10Bが貫通するようにすることが好ましい。
【0024】
上記実施形態は、汚水Wを二つの分割流に分割して、長さ方向に2分割した生物反応槽で処理するものである。これを二つの生物反応槽を並列に設置した場合と対比すると次の通りである。
槽幅を同じとした場合、後者では槽長さは半分となるが、横長の敷地利用となり幅広く敷地を確保する必要がある。
また、槽長さを同じとした場合、前者は槽幅が半分となり、より幅:長さ比が増大する。
上記のことから、本発明の実施形態のように、生物反応槽を2分割して直列配置して利用した方が敷地利用の点から有利であり、また、槽幅:長さ比が抑えられる配置とすることができる。
また、前記したとおり、担体分離スクリーン近傍の担体濃度は生物反応槽の縦横比と断面流速とによって定まるので、各生物反応槽の縦横比は処理水の速度を勘案して適宜の値に決定することができる。
【0025】
次に、汚水Wを3以上の分割流に分割して、長さ方向に3以上に分割した生物反応槽で処理する場合を図3に基づいて説明する。
図3における(1)、(2)、(3)、(n)の流れは第1分割流、第2分割流、第3分割流、・・・第n分割流のそれぞれがどのように生物反応槽内を通過するかを模式的に示したものであり、生物反応槽が幅方向に分割されていることを意味するものではない。
【0026】
まず、汚水Wが生物反応処理されて担体分離装置で単体を分離されるまでの流れを説明する。
汚水分配機構によって汚水Wは複数の分割流(第1分割流、第2分割流、・・・第n分割流、・・・)に分割される。
第1分割流は第1生物反応槽に供給されて生物反応処理を受けて第1生物反応槽の処理水空間に流入する。
第2分割流は第1仕切壁を貫通する汚水供給ダクトに導かれて第2生物反応槽に供給されて生物反応処理を受けて第2生物反応槽の処理水空間に流入する。
第3分割流は第1仕切壁及び第2仕切壁を貫通する汚水供給ダクトに導かれて第3生物反応槽に供給されて生物反応処理を受けて第3生物反応槽の処理水空間に流入する。
第n分割流は第1仕切壁から第n−1仕切壁までの仕切壁を貫通する汚水供給ダクトに導かれて第n生物反応槽に供給されて生物反応処理を受けて第n生物反応槽の処理水空間に流入する。
最後の分割流は第1仕切壁から最後の仕切壁までの仕切壁を貫通する汚水供給ダクトに導かれて最後の生物反応槽に供給されて生物反応処理を受けて最後の生物反応槽の処理水空間に流入する。
【0027】
第1生物反応槽の処理水空間に流入した処理水は、第1仕切壁から最後の仕切壁までの仕切壁を貫通する処理水排出ダクトを通って最後の生物反応槽の処理水空間に流入する。
第2生物反応槽の処理水空間に流入した処理水は、第2仕切壁から最後の仕切壁までの仕切壁を貫通する処理水排出ダクトを通って最後の生物反応槽の処理水空間に流入する。
第3生物反応槽の処理水空間に流入した処理水は、第3仕切壁から最後の仕切壁までの仕切壁を貫通する処理水排出ダクトを通って最後の生物反応槽の処理水空間に流入する。
第n生物反応槽の処理水空間に流入した処理水は、第n仕切壁から最後の仕切壁までの仕切壁を貫通する処理水排出ダクトを通って最後の生物反応槽の処理水空間に流入する。
最後の生物処理槽の処理水は、処理水排出ダクトを通って最後の生物反応槽の処理水空間に流入した処理水と合流して流出堰を超えて排出される。
【符号の説明】
【0028】
1 生物反応槽
1A 第1生物反応槽
1B 第2生物反応槽
2 汚水分配機構
3 仕切壁
4 担体分離装置
4A 第1担体分離装置
4B 第2担体分離装置
5A 第1処理水空間
5B 第2処理水空間
6 第1生物反応槽の下流側槽壁
7 流出堰
8 汚水槽
9a、9b、9c 散気装置
10A 汚水供給ダクト
10B 処理水排出ダクト
11A 汚水供給ダクトの下流側端部開口
11B 処理水排出ダクトの下流側端部開口
12A 開口部
12B 開口部
21 溢流堰
22 分配壁
23 区画壁
20 区画室
24 底板
25 流出口
31 生物反応槽
32 担体分離板
33 移送管
34 下流側流入口
35 流入口
36 流入調整具
S 担体
W 汚水
WA 第1汚水
WB 第2汚水
図1
図2
図3
図4