(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による粒子計測装置1の構成の一例を示すブロック図である。粒子計測装置1は、第1供給部10と、第2供給部20と、攪拌部25と、光源30と、光検知部40と、ポンプ50と、第1バルブ60と、第2バルブ70と、制御部80と、ユーザインタフェース83と、記憶部85と、表示部87と、フィルタ90、95とを備えている。
【0011】
粒子計測装置1は、測定の対象となる環境100から気体を得て、その気体中に存在する粒子(パーティクル)の個数や濃度を測定する。即ち、粒子計測装置1は、所謂、パーティクルカウンタでよい。測定の対象となる環境100は、例えば、半導体製造プロセスに用いられるクリーンルーム内の環境、あるいは、半導体製造装置のチャンバ内の環境等でよい。
【0012】
第1供給部10は、環境100と粒子計測装置1との間を接続する配管であり、環境100内の被計測用の気体(第1気体:以下、被計測気体ともいう)を粒子計測装置1へ導入する。環境100内の気体は、ポンプ50によって吸引されることによって環境100から第1供給部10内へ導入される。第1供給部10は、導入された気体を攪拌部25へ送る。被計測気体は、例えば、空気、あるいは、半導体製造プロセスに用いられるプロセスガスでよい。
【0013】
第2供給部20は、その一端が攪拌部25に接続され、他端が粒子計測装置1の外部にある配管であり、粒子計測装置1の外部の気体を、フィルタ90を介して導入する。外部の気体は、フィルタ90によって濾過されてから攪拌部25へ導入される。これにより、第2供給部20は、外部の気体から不純物としての粒子を取り除いた清浄な気体(第2気体:以下、清浄気体ともいう)を攪拌部25へ供給することができる。あるいは、第2供給部20は、既に粒子を取り除いた清浄気体をボンベ等から導入してもよい。この場合、フィルタ90は必ずしも設ける必要は無い。清浄気体は、ポンプ50によって吸引されることによって第2供給部10内へ導入され、攪拌部25へ供給される。清浄気体は、粒子が非常に少ない、あるいは、粒子がほとんど無い気体である。また、清浄気体は、被計測気体と同一種類の気体であってもよく、あるいは、被計測気体とは異なる種類の気体であってもよい。例えば、被計測用の気体が危険な活性ガスである場合、清浄気体は、被計測気体とは異なる安全な不活性ガスであってもよい。
【0014】
攪拌部25は、第1供給部10と第2供給部20との間の接続部に設けられており、第1供給部10からの被計測気体と第2供給部20からの清浄気体とを攪拌し混合する。これにより、被計測気体と清浄気体とから混合気体が生成される。混合気体は、被計測気体を清浄気体で希釈した気体と言ってもよい。
【0015】
光源30は、攪拌部25の下流に設けられており、レーザ光を混合気体に照射する。レーザ光は、混合気体中に存在する粒子に照射されると、粒子において散乱(反射)される。この散乱光(反射光)の一部が光検知部40に入射する。
【0016】
光検知部40は、粒子からの反射光を受けるように設置されている。光検知部40は、混合気体からの反射光を検知し、混合気体に含まれる粒子数をカウントする。混合気体は、後述するように予め設定されたポンプ50の吸引流量に従って流れている。従って、制御部80は、単位時間に計測された粒子数と単位時間に流れた混合気体の量(体積)に基づいて、混合気体中に含まれている粒子濃度(粒子密度)を算出することができる。
【0017】
ポンプ50は、第1供給部10、第2供給部20および攪拌部25から気体を吸引する。ポンプ50が気体を吸引することによって、第1および第2供給部10、20のそれぞれから被計測気体および清浄気体が導入される。気体中の粒子数を正確に計測するためには、或る程度の気体の流量が必要となる。従って、ポンプ50は、粒子数の計測に必要な規定流量以上の流量の気体を吸引するように設定されている。即ち、ポンプ50の吸引流量は、上記規定流量以上の所定の吸引流量に予め設定されている。尚、ポンプ50の吸引流量は、記憶部85に予め格納されている。
【0018】
第1バルブ60は、第1供給部10に設けられており、第1供給部10の開口度(開口面積)を調節する。これにより、第1バルブ60は、第1供給部10から供給される被計測気体の流量を調節する。被計測気体の流量は、環境100の状態(例えば、圧力、気体濃度、温度等)を変更しない程度の流量(第1流量)に設定される。尚、被計測気体の流量は、粒子の計測処理前に記憶部85に予め登録される。
【0019】
第2バルブ70は、第2供給部20に設けられており、第2供給部20の開口度(開口面積)を調節する。これにより、第2バルブ70は、第2供給部20から供給される清浄気体の流量を調節する。清浄気体の流量は、予め設定されたポンプ50の吸引流量から被計測気体の流量(第1流量)を減算した流量(第2流量)である。尚、清浄気体の流量については、後で詳細に説明する。
【0020】
制御部80は、光源30、光検知部40、第1および第2バルブ60、70に電気的に接続されており、これらを制御する。例えば、制御部80は、光源30からレーザ光を所定時間発生させ、光源30の動作と同期して光検知部40で計測された粒子数を得る。これにより、所定時間に流れた混合気体中の粒子数が判明する。所定時間に流れた混合気体の量と該混合気体中の粒子数とに基づいて、混合気体中に含まれている粒子濃度(粒子密度)が算出され得る。
【0021】
また、制御部80は、第1および第2バルブ60、70の開口度を制御し、被計測気体の流量と清浄気体の流量との比率を調節することができる。例えば、記憶部85に登録された被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量よりも少ない場合に、制御部80は、清浄気体を補充することによって混合気体の流量をポンプ50の吸引流量にほぼ等しくすることができる。即ち、制御部80は、混合気体の流量をポンプ50の吸引流量にほぼ等しくしつつ、第1および第2バルブ60、70の開口度を制御することにより、混合気体中の被計測気体と清浄気体との比率を変更することができる。
【0022】
また、第1および第2バルブ60、70の開口度を設定すると、混合気体中に含まれる被計測気体の量と清浄気体の量とが決まるので、制御部80は、混合気体中に含まれる粒子数と混合気体中に含まれる被計測気体の量(体積)とに基づいて、被計測気体中の粒子濃度を算出することができる。このように、制御部80は、被計測気体中の粒子濃度を算出することができる。
【0023】
ユーザインタフェース83は、オペレータが計測条件を設定し、入力するときに用いられる。ユーザインタフェース83は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等のデータ入力装置でよい。オペレータは、ユーザインタフェース83を用いて、例えば、被計測気体の流量を入力する。入力された被計測気体の流量は、記憶部85へ登録される。
【0024】
記憶部85は、予め設定されたポンプ50の吸引流量を記憶する。ポンプ50の吸引流量は、上述の通り予め設定されており、例えば、粒子計測装置1の製造時に記憶部85に登録されている。また、記憶部85は、計測時に入力された被計測気体の流量(第1流量)を記憶する。被計測気体の流量は、環境100の状態を変更しない程度の流量にする必要がある。例えば、半導体製造装置のチャンバから被計測気体を採取する場合、被計測気体の流量は、チャンバ内の気圧、気体濃度、温度等のプロセス条件があまり変化しないように所定流量未満にする必要がある。このような場合、オペレータは、被計測気体の流量を上記所定流量未満の値に設定し、その値をユーザインタフェース83に入力する。
【0025】
表示部87は、記憶部85に格納されている設定条件、制御部80で算出された粒子数または粒子濃度等を表示する。表示部87は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル等でよい。ユーザインタフェース83および表示部87は、同一のタッチパネルとして構成してもよい。
【0026】
フィルタ90は、外部からの気体を通過させて清浄気体を生成するために第2供給部20に設けられている。フィルタ90は、外気を濾過することによって清浄気体を生成することができる。また、第2供給部20は、清浄気体を有するボンベ等に接続され、そのボンベから清浄気体をそのまま攪拌部25へ供給してもよい。この場合、フィルタ90は、必ずしも設ける必要はない。勿論、第2供給部20は、ボンベからの清浄気体を、さらにフィルタ90を介して攪拌部25へ供給してもよい。この場合、フィルタ90は、第2供給部20から供給される清浄気体の清浄度を維持する役目を果たす。
【0027】
排気管99は、ポンプ50に接続されており、ポンプ50を通過した混合気体を粒子計測装置1の外部へ排出する。フィルタ95は、混合気体から粒子を取り除くために設けられている。
【0028】
次に、粒子計測装置1の動作を説明する。
【0029】
図2は、第1の実施形態による粒子計測装置1の動作の一例を示すフロー図である。尚、ポンプ50の吸引流量は予め設定されており、記憶部85に既に格納されている。
【0030】
まず、被計測気体の流量を設定する(S10)。被計測気体の流量は、オペレータが設定し、ユーザインタフェース83において入力する。被計測気体の流量は、記憶部80へ格納される。被計測気体の流量は、上述のように、環境100の状態(例えば、圧力、気体濃度、温度等)を変更しないようにオペレータにより設定される。
【0031】
次に、制御部80は、記憶部85に格納されたポンプ50の吸引流量とステップS10で設定された被計測気体の流量とを比較する(S20)。被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量よりも小さい場合(S20のYES)、制御部80は、ポンプ50の吸引流量から被計測気体の流量を減算し、その減算結果を清浄気体の流量に設定する(S30)。例えば、ポンプ50の吸引流量が30リットル/分に設定されており、被計測気体の流量が1リットル/分に設定されている場合、制御部80は、清浄気体の流量を29リットル/分と決定する。
【0032】
一方、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量以上の場合(S20のNO)、制御部80は、清浄気体を補充すること無く、環境100からの被計測気体をポンプ50の吸引流量にする(S40)。即ち、この場合、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量とほぼ等しくなる。
【0033】
次に、制御部80は、第1バルブ60および第2バルブ70の開口度を設定する(S50)。このとき、制御部80は、ステップS10で設定された被計測気体の流量を第1供給部10から供給するために、第1バルブ60の開口度を制御する。また、制御部80は、ステップS20で算出した清浄気体の流量を第2供給部20から供給するために、第2バルブ70の開口度を制御する。例えば、上記具体例においては、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量よりも小さい場合(S20のYES)、制御部80は、被計測気体の流量が1リットル/分になるように第1バルブ60を制御し、かつ、清浄気体の流量が29リットル/分になるように第2バルブ70を制御する。これにより、第1供給部10からの第1流量(例えば、1リットル/分)の被計測気体および第2供給部20からの第2流量(例えば、29リットル/分)の清浄気体が、ポンプ50の吸引流量(例えば、30リットル/分)にほぼ等しい混合気体となる。尚、計測処理を短縮化するために、第1バルブ60および第2バルブ70はほぼ同時に制御されることが好ましい。
【0034】
このように、制御部80は、混合気体の流量がポンプ50の吸引流量となるように、第1および第2バルブ60、70の開口度を制御する。本実施形態では、被計測気体の流量およびポンプ50の吸引流量は予め設定されている。従って、制御部80は、予め設定された流量(第1流量)の被計測気体を供給するように第1バルブ60を制御し、尚且つ、ポンプ50の吸引流量から被計測気体の流量を減算した流量(第2流量)の清浄気体を供給するように第2バルブ70を制御する。即ち、制御部80は、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量に対して足りない分を補うために、清浄気体を補充する。ここで、被計測気体の流量をF1とし、清浄気体の流量をF2とし、吸引流量をFpとすれと、式1が成り立つ。
F2=Fp−F1 (式1)
このように、本実施形態による粒子計測装置1は、清浄気体を被計測気体に補充することによって流量の少ない被計測気体をポンプ50の吸引流量に等しい混合気体にすることができる。これにより、粒子計測装置1は、被計測気体内に含まれる粒子数を正確に計測することができる。
【0035】
一方、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量以上の場合(S20のNO)、制御部80は、被計測気体の流量が30リットル/分になるように第1バルブ60を制御し、かつ、清浄気体の流量がゼロになるように(清浄気体を供給しないように)第2バルブ70を閉じる。この場合、混合気体はほとんど被計測気体となる。
【0036】
次に、ポンプ50を起動させ、被計測気体および清浄気体を攪拌部25に導入する(S60)。攪拌部25は、第1供給部10からの被計測気体および第2供給部20からの清浄気体を攪拌し混合する(S70)。攪拌部25で生成された混合気体は、光源30および光検知部40の測定箇所へ供給される。
【0037】
次に、光源30が混合気体へレーザ光を照射し、光検知部40が混合気体中の粒子で反射した反射光を検知する。光検知部40は、反射光を検知し、混合気体に含まれる粒子数を計測する(S80)。
【0038】
次に、制御部80が光検知部40によって計測された粒子数と混合気体の流量または被計測気体の流量とに基づいて、混合気体または被計測気体に含まれる粒子の濃度を算出する(S90)。混合気体の粒子濃度は、単位時間に計測された粒子数と、その単位時間に流れた混合気体の量(体積)とに基づいて算出され得る。例えば、上記具体例において、単位時間を1分間とし、1分間に混合気体が30リットル流れ、粒子がn個(nは正整数)検出された場合、混合気体の粒子濃度は、n/30 個/リットルとなる。このように、制御部80は、計測された粒子数と混合気体の流量とに基づいて、混合気体中に含まれる粒子濃度を算出することができる。
【0039】
さらに、被計測気体の流量は予め設定されているので、制御部80は、計測された粒子数と被計測気体の流量とに基づいて、被計測気体中の粒子濃度も算出可能である。例えば、上記具体例において、単位時間(1分間)に被計測気体が1リットル流れ、粒子がn個検出された場合、被計測気体の粒子濃度は、n個/リットルとなる。このように、制御部80は、計測された粒子数と被計測気体の流量とに基づいて、被計測気体に含まれる粒子濃度を算出することができる。
【0040】
次に、制御部80は、混合気体の粒子濃度または被計測気体の粒子濃度を表示部87に表示する(S100)。これにより、オペレータは、混合気体の粒子濃度または被計測気体の粒子濃度を知ることができる。
【0041】
その後、計測に用いられた混合気体は、フィルタ95を介して排気管99から粒子計測装置1の外部へ排出される。
【0042】
このように、本実施形態による粒子計測装置1は、被計測気体を供給する第1供給部10だけでなく、濾過された清浄気体を供給する第2供給部20を備えている。これにより、被計測気体の流量がポンプ50の吸引流量よりも小さい場合であっても、第2供給部20が清浄気体を被計測気体に補充することによって、粒子計測装置1は、ポンプ50の吸引流量に等しい流量の混合気体を供給することができる。これにより、粒子計測装置1は、環境100から採取する被計測気体の流量を少なくしつつ、被計測気体に含まれる粒子数を正確に計測することができる。環境100から採取する被計測気体の流量を少なくすることによって、環境100の状態に影響を与えることなく、被計測気体の粒子濃度を正確に計測することができる。例えば、半導体製造装置のチャンバ内のプロセス環境(例えば、気圧、気体濃度、温度等)をほとんど変化させない。これにより、半導体製造装置に粒子計測装置1を取り付けて被計測気体の粒子濃度を計測する場合に、オペレータは、既存のプロセス条件を半導体製造装置に設定すればよく、プロセス条件を設定し直す必要が無い。また、半導体製造装置は、既存のプロセス条件で半導体装置を設計通りに製造することができる。
【0043】
また、被計測気体中の粒子濃度が非常に高い場合に、被計測気体の流量をポンプ50の吸引流量よりも小さく設定すれば、第2供給部20が、清浄気体を被計測気体に補充する。これにより、清浄気体で被計測気体を希釈することができる。清浄気体で被計測気体を希釈することによって、光検知部40が複数の微粒子を1つの微粒子としてカウントすることを抑制することができる。その結果、粒子計測装置1は、被計測気体中の粒子濃度が非常に高い場合であっても、被計測気体の粒子の個数や濃度を正確に計測することができる。
【0044】
また、本実施形態において、第2供給部20は、ポンプ50の吸引流量から被計測気体の流量を減算した流量の清浄気体を供給する。ポンプ50の吸引流量は予め設定されており、被計測気体の流量は計測時に設定される。従って、制御部80は、ポンプ50の吸引流量から被計測気体の流量を減算することによって、清浄気体の流量を自動で決定し、その流量の清浄気体を供給するように第2バルブ70を自動で制御することができる。その結果、粒子計測装置1は、オペレータが被計測気体の流量を各計測ごとに変化させても、被計測気体および清浄気体の混合気体の流量をポンプ50の吸引流量に自動で適合させることができる。
【0045】
さらに、被計測気体に補充される清浄気体は、粒子(不純物)をほとんど含まないので、混合気体に含まれる粒子数は、被計測気体に含まれる粒子数とほぼ等しいと考えてよい。従って、制御部80は、混合気体に含まれる粒子数と被計測気体の流量とに基づいて、被計測気体に含まれる粒子濃度を算出することができる。即ち、本実施形態による粒子計測装置1は、混合気体中の粒子数を計測しているが、被計測気体中の粒子濃度を計測することと等価である。これにより、粒子計測装置1は、混合気体中の粒子濃度だけでなく、被計測気体中の粒子濃度を算出することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態によるによる粒子計測装置2の構成の一例を示すブロック図である。粒子計測装置2は、入力部89をさらに備えている。入力部89は、計測の対象となる環境100におけるパラメータの測定値を受け取る。環境100におけるパラメータは、例えば、半導体製造装置のチャンバ内の気圧、気体濃度、温度等でよい。入力部89は、例えば、半導体製造装置に設けられた圧力センサ(図示せず)と接続されており、その圧力センサからチャンバ内の気圧の測定値を受け取る。あるいは、入力部89は、例えば、半導体製造装置に設けられた濃度センサ(図示せず)と接続されており、その濃度センサからチャンバ内の気体濃度の測定値を受け取る。あるいは、入力部89は、例えば、半導体製造装置に設けられた温度計(図示せず)と接続されており、その温度計からチャンバ内の温度の測定値を受け取る。尚、第2実施形態では、入力部89は、オンラインで計測対象の装置と接続されている。しかし、環境100のパラメータの測定値は、オペレータが測定し、オペレータがマニュアルで入力部89あるいはユーザインタフェース83から入力してもよい。
【0047】
記憶部85は、入力部89で受け取ったパラメータの測定値を格納する。また、記憶部85は、パラメータの設定条件を格納する。パラメータの設定条件は、例えば、プロセス条件におけるチャンバ内の気圧の許容範囲、気体濃度の許容範囲、温度の許容範囲等である。第2の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0048】
パラメータの測定値がこのようなパラメータの設定条件に適合している場合には、粒子計測装置1は、環境100の状態の変化を抑制しつつ、被計測気体の粒子濃度を計測することができる。しかし、パラメータの測定値がパラメータの設定条件から外れた場合、粒子計測装置1は、環境100の状態を大きく変化させるおそれがあるため、被計測気体の粒子濃度を計測することは好ましくない。
【0049】
そこで、第2の実施形態において、制御部80は、パラメータの測定値を該パラメータの設定条件に適合させながら、被計測気体の流量をほぼ最大にするように第1バルブ60を制御する。即ち、第2の実施形態では、第1バルブ60の開口度は、オペレータによって設定されるのではなく、制御部80によって自動で設定される。例えば、
図4は、第2の実施形態による粒子計測装置2の動作の一例を示すフロー図である。
図4を参照して、被計測気体の流量の設定方法をより詳細に説明する。尚、ポンプ50の吸引流量は予め設定されており、記憶部85に既に格納されている。
【0050】
まず、パラメータの設定条件および被計測気体の流量を設定する(S11)。パラメータの設定条件は、上述の通り、例えば、プロセス条件におけるチャンバ内の気圧の許容範囲、気体濃度の許容範囲、温度の許容範囲等である。パラメータの設定条件は、オペレータが設定し、ユーザインタフェース83において入力すればよい。被計測気体の流量も、オペレータが設定し、ユーザインタフェース83において入力する。このとき、オペレータは、パラメータの設定条件に確実に適合するように、被計測気体の流量を或る程度小さい値に設定することが好ましい。被計測気体の流量は、記憶部80へ格納される。
【0051】
次に、制御部80は、被計測気体の流量に第1バルブ60の開口度を設定する(S21)。このとき、制御部80は、ステップS11で設定された被計測気体の流量を第1供給部10から供給するために、第1バルブ60の開口度を制御する。
【0052】
次に、ポンプ50を起動させ、被計測気体を導入する(S31)。このとき、第2バルブ70は閉じていてよい。
【0053】
次に、入力部89が環境100におけるパラメータの測定値を入力する(S41)。例えば、入力部89は、半導体製造装置に設けられた圧力センサからチャンバ内の気圧の測定値を受け取る。あるいは、入力部89は、半導体製造装置に設けられた濃度センサからチャンバ内の気体濃度の測定値を受け取る。あるいは、入力部89は、半導体製造装置に設けられた温度計からチャンバ内の温度の測定値を受け取る。入力部89は、半導体製造装置からパラメータの測定値を直接受け取ってもよい。あるいは、オペレータが、入力部89にパラメータの測定値を入力してもよい。
【0054】
次に、制御部80は、ステップS41で入力したパラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合しているか否かを判定する(S51)。被計測気体の流量は、当初、比較的小さい値に設定されているので、パラメータの測定値は該パラメータの設定条件に適合しているものと考えられる。
【0055】
最初のパラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合している場合(S51のYES)、制御部80は、被計測気体の流量を所定流量だけ増大させる(S61)。さらに、上記ステップS21〜S41を再度実行する。さらに制御部80は、パラメータの測定値と該パラメータの設定条件との比較を実行する(S71)。パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合している場合(S71のYES)、ステップS61、S21〜S41およびS71を繰り返す。
【0056】
ここで、ステップS61、S21〜S41およびS71を繰り返すことによって、被計測気体の流量が次第に増大する。これにより、パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合しなくなった場合(S71のNO)、その直前の被計測気体の流量においては、パラメータの測定値は該パラメータの設定条件に適合しているはずである。従って、被計測気体の流量を所定流量ずつ次第に増大させた後に、パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合しなくなった場合(S71のNO)、制御部80は、被計測気体の流量を所定流量だけ低減させて、直前の流量に戻し、被計測気体の流量をその流量に固定する(S81)。
【0057】
一方、最初のパラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合しない場合(S51のNO)、制御部80は、被計測気体の流量を所定流量だけ低減させる(S91)。さらに、上記ステップS21〜S41を再度実行する。さらに制御部80は、パラメータの測定値と該パラメータの設定条件との比較を実行する(S101)。パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合しない場合(S101のNO)、ステップS91、S21〜S41およびS101を繰り返す。
【0058】
ここで、ステップS91、S21〜S41およびS101を繰り返すことによって、被計測気体の流量が次第に低減する。これにより、パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合した場合(S101のYES)、そのときの被計測気体の流量において、パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合することになる。従って、被計測気体の流量を所定流量ずつ次第に低減させた後、パラメータの測定値が該パラメータの設定条件に適合した場合(S101のYES)、制御部80は、被計測気体の流量をそのときの流量に固定する(S111)。
【0059】
その後、
図2のステップS20〜S100を実行することによって、粒子計測装置1は、被計測気体の粒子濃度を計測することができる。
【0060】
このように、第2の実施形態によれば、粒子計測装置1は、パラメータの測定値を該パラメータの設定条件に適合させつつ、被計測気体の流量をほぼ最大値にすることができる。パラメータの測定値を該パラメータの設定条件に適合させつつ(環境100の状態の変化を抑制させつつ)、被計測気体の流量をほぼ最大値に自動で設定することができる。また、第2の実施形態によれば、粒子計測装置1は、環境100の状態に応じて被計測気体の流量および清浄気体の流量を自動で設定することができる。これにより、粒子濃度の計測時間が短縮され得る。さらに、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。