(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395142
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】冷凍冷蔵車
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20180913BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20180913BHJP
B60P 3/20 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D23/06 302A
B60P3/20 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-231540(P2013-231540)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81763(P2015-81763A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大川 貴英
(72)【発明者】
【氏名】新町 拓正
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−050324(JP,A)
【文献】
特開2004−327223(JP,A)
【文献】
特表平08−501655(JP,A)
【文献】
実開昭62−111170(JP,U)
【文献】
特開2006−017413(JP,A)
【文献】
特開2001−324253(JP,A)
【文献】
特開2011−081981(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0033825(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/018360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B60P 3/20
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室と、商用電源または二次電池のいずれかを電源とした電動冷凍機と、制御装置と、前記電動冷凍機に供給する電力を蓄える二次電池と、
を有し、
前記二次電池充電用発電機を搭載していない冷凍冷蔵車において、
前記二次電池を収納する二次電池収納室を断熱パネルで構成し、
前記二次電池収納室と荷室とを、面材と断熱材を備えた積層構造の断熱パネルで隔てるとともに、
前記二次電池収納室をキャビンと荷室との間のシャーシより上方でキャビン天井より低い位置に配置した
ことを特徴とする冷凍冷蔵車。
【請求項2】
前記荷室と前記二次電池収納室を隔てる前記断熱パネルと、
外部と前記二次電池収納室を隔てる断熱パネルは、
断熱パネルの厚さが異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵車。
【請求項3】
前記二次電池収納室の上方に、前記制御装置を配置した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍冷蔵車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵車に係り、特に、二次電池で電動冷凍機を駆動する冷凍冷蔵車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍食品、チルド食品等を輸送する冷凍冷蔵車は、走行用エンジンで冷凍機を駆動して冷凍装置の冷媒を循環させているが、走行用エンジンが停止中で商用電源が利用できない場合に、二次電池で電動冷凍機を駆動して荷室内を冷却する冷凍冷蔵車として、特許文献1(特開2001−324253号公報)に開示された冷凍冷蔵車が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−324253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の冷凍冷蔵車では、二次電池を荷室内に設置しているので、二次電池は常時冷却されて内部抵抗が上昇し、放電電圧が低下するおそれがある。
また、二次電池を荷室壁面に設置しているので、積載可能な空間が制限されると共に、積荷が衝突して破損するおそれがある
。【0005】
そこで、本発明の課題は、二次電池の周囲温度の変化を抑制するとともに、荷室の内容積を有効に活用できる冷凍冷蔵車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による冷凍冷蔵車は、荷室と、
商用電源または二次電池のいずれかを電源とした電動冷凍機と、制御装置と、電動冷凍機に供給する電力を蓄える二次電池とを備え、
二次電池充電用発電機を搭載せず、前記二次電池を収納する二次電池収納室を断熱パネルで構成し、前記二次電池収納室と荷室とを面材と断熱材を備えた積層構造の断熱パネルで隔てるとともに、二次電池収納室をキャビンと荷室との間
のシャーシより上方でキャビン天井より低い位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、二次電池は、断熱パネルで構成された二次電池収納室に収納され、更に、荷室と前記二次電池収納室は面材と断熱材を備えた積層構造の断熱パネルで隔てるとともに、前記二次電池収納室をキャビンと荷室との間
のシャーシより上方でキャビン天井より低い位置に配置したので、二次電池収納室の温度は、外気温度以下且つ荷室内温度以上となるとともに、二次電池の温度が変化する速度は、外気温度あるいは室内温度が変化する速度よりも遅くなり、温度変化に起因する二次電池の容量低下や抵抗上昇による放電電圧の低下などを抑制することができる。
【0008】
また、荷室と二次電池収納室を
面材と断熱材を備えた積層構造の断熱パネルで隔てたので、荷室内に突起物がなく、荷室内の空間を有効に活用する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷凍冷蔵車1の概略図。
【
図2】冷凍冷蔵車1に用いられる電気回路および冷凍サイクルの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
(1)実施形態
本発明の実施形態に係わる冷凍冷蔵車1は、
図1に示すように、キャビン2、荷室3、二次電池収納室4、二次電池5、電動冷凍機6、凝縮器7、蒸発器8、制御装置9を有している。
【0012】
荷室3は、後部に開閉扉を有し、断熱パネルで構成され、前方上部に、電動冷凍機6、凝縮器7、蒸発器8、がそれぞれ取り付けられている。
【0013】
冷凍冷蔵車1に用いられる冷凍サイクルRは、
図2に示すように、商用電源50または二次電池5のいずれかの電源を変換した電力により駆動される電動冷凍機6、電動冷凍機6から吐出された高圧ガス冷媒を放熱とともに液化させる凝縮器7、凝縮器7からの液冷媒を減圧膨張させる減圧手段10、減圧手段10からの冷媒を蒸発させて、荷室3の内部を冷却する蒸発器8より構成され、荷室3の内部温度が、温度コントローラ11であらかじめ設定された温度となるように、制御装置9は、冷凍サイクルRを制御する。
【0014】
二次電池収納室4は、すべての面が断熱パネルで構成され、内部に二次電池5を収納し、シャーシ12の上方、且つ、キャビン2と荷室3の間に配置され、断熱パネル41により、荷室3と隔てられている。
【0015】
また、二次電池収納室4を構成する断熱パネル41、42は、
図3に示すように、冷凍冷蔵車1における荷室3の設定温度範囲と外気温度条件をもとに断熱パネルの厚さをそれぞれ最適化して、二次電池収納室4を含む車両前後方向の断熱パネル部の厚さdを決定する。
【0016】
二次電池5は、例えば複数個のリチウムイオン二次電池モジュールから構成され、荷室3の床面から、例えば10mmから50mm高い位置で、荷室の左右壁から等しい距離になるように、車両の左右方向へ1列に並べられ、例えば200〜250Vの直流電圧となるように電気的に端子間を直列接続して、制御装置9へ電力を供給する。
【0017】
電動冷凍機6は、商用電源50または二次電池5のいずれかを電源とし、制御装置9により、電圧および周波数が変換された電力で駆動する。
【0018】
更に、二次電池5は、冷凍冷蔵車1をスーパーマーケットやコンビニエンスストアへの配送に適するように、1回の充電で、配送中は荷室内の冷却を維持できる電池容量があり、二次電池5を充電するための発電機を搭載していない。
【0019】
制御装置9は、走行用の電池(図示せず)、商用電源50または二次電池5のいずれかを電源として動作し、インバータ回路51およびコンバータ回路52を含み、温度コントローラ11の指示により、電動冷凍機6、凝縮器7の送風ファン、蒸発器8の送風ファンを運転制御する。また、商用電源50または二次電池5から入力した電力の電圧と周波数を変換し、電動冷凍機6へ供給して電動冷凍機6の回転数を制御するとともに、二次電池5を充電する。
【0020】
また、制御装置9は、二次電池収納室4の上方に配置し、断熱パネルで外気と隔てられ、断熱パネルの一部に換気口13が取り付けられている。
【0021】
(2)作用効果
(2−1)二次電池収納室4は、全ての面が断熱パネルで構成され、荷室3と二次電池収納室4は、面材と断熱材を備えた積層構造の断熱パネル41によって隔てるとともに、前記二次電池収納室をキャビンと荷室との間
のシャーシより上方でキャビン天井より低い位置に配置しているため、二次電池収納室4に収納された二次電池5の温度は、外気温度以下で荷室内温度以上となる。更に、二次電池5の温度が変化する速度は、外気または荷室内空気の温度が変化する速度よりも遅くなり、二次電池の容量低下や抵抗上昇による放電電圧の低下などの性能劣化を抑制することができる。
【0022】
荷室3と二次電池収納室4は、断熱パネル41で隔てられ、断熱パネル41の表面に積荷の障害となる突起物がないので、荷室3の内容積を有効に活用して、断熱パネル41に接触する位置に、荷物を積載することができる。
【0023】
二次電池5と積荷は、断熱パネル41で隔てられているので、積荷が二次電池5に衝突して破損するおそれがない。
【0024】
二次電池5は、例えば、複数個のリチウムイオン二次電池モジュールから構成され、電気的に端子間を直列接続して、制御装置9へ電力を供給する。
【0025】
冷凍冷蔵車1をスーパーマーケットやコンビニエンスストアへの配送に使用する場合、1回の充電で、配送中は荷室内の冷却を維持できる容量の二次電池を搭載しているので、アイドリングストップや配送先での荷物の積み下ろしなど、走行用エンジンが停止中でも冷凍サイクルRを運転することができる。更に、二次電池5の充電用発電機を搭載していないので、電動冷凍機6を駆動する負荷がエンジンへかからない。
【0026】
また、二次電池5は、車両の左右方向に、荷室3の床面とほぼ同じ高さで1列に配置し、荷室3の左右壁から等しい距離になるように、車両の左右方向へ1列に並べられるので、車両の左右方向の重量バランスが等しくなり、走行安定性が更に高まる。
【0027】
制御装置9は、断熱パネル42で外気と隔てられているので、外気温度が低い地域や、外気温度の変化が激しい地域での使用に好適で、更に、雨水や粉じんに対する耐久性が低い制御装置を搭載することができる。
【0028】
(2−2)断熱パネル41、42は、冷凍冷蔵車1の荷室温度仕様と外気温度条件をもとに断熱パネルの厚さを最適化するので、断熱パネル41、42は、それぞれ異なる厚さとなり、二次電池収納室4を含む車両前後方向の断熱パネル部の厚さdは、断熱パネル41、42を同じ厚さとする場合よりも薄くなるので、車両前後方向の荷室内寸法を長くすることができる。
【0029】
(2−3)二次電池5をシャーシ12に近い上方へ配置し、二次電池5より軽量な制御装置9を二次電池収納室4の上部に配置したので、二次電池5を制御装置9の上方に配置する場合よりも、車両の重心が低くなり、走行安定性が高まる。
【0030】
更に、二次電池5、制御装置9、冷凍サイクルRをキャビン2の後方で荷室3の前方に配置したので、電気配線の長さを短くすることができ、取付作業性が向上する。
【0031】
制御装置9は、二次電池収納室4の上方で、断熱パネル41、42により形成された空間へ設置されるので、車両前後方向の厚さは、断熱パネル部の厚さdと等しくなり、車両前後方向の荷室内寸法を最大化できる。また、制御装置9と積荷は、断熱パネル41で隔てられているので、積荷が制御装置9に衝突して破損するおそれがない。
【0032】
キャビン2が車両前方へ傾斜可能なチルト式キャビンでは、キャビン2を車両前方へ傾斜させることで、制御装置9のメンテナンスが容易に行える。
【0033】
(3)変形例1
変形例1の制御装置9Aは、
図4に示すように、断熱パネルで外気と隔てられていないので、冷凍冷蔵車1Aの走行により生じる空気流で冷却することができるとともに、メンテナンスが容易に行える。
【0034】
(4)変形例2
変形例2の冷凍冷蔵車1Bは、
図5に示すように、荷室3Bの室内を、前後方向に移動可能な仕切り壁14Bにより前後二室に分割して、冷凍サイクルを構成する蒸発器81B、82Bを、荷室31Bの前方上部と、荷室32Bの後方上部にそれぞれ配置したので、荷室31B、32Bは、一方を冷凍室、他方を冷蔵室とするなど、異なる温度で使用できる。また、仕切り壁14Bは前後方向に移動可能なので、荷室31B、32Bの容積を変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
1,1A,1B 冷凍冷蔵車
2 キャビン
3,3B,31B,32B 荷室
4 二次電池収納室
5,5C 二次電池
6 電動冷凍機
7 凝縮器
8,81B,82B 蒸発器
9,9A 制御装置
10 減圧手段
11 温度コントローラ
12 シャーシ
13 換気口
14B 仕切り壁
41,42 断熱パネル
50 商用電源
51 インバータ回路
52 コンバータ回路
53 双方向コンバータ回路
54 充放電回路
55 制御回路
60C エンジン
61C 発電機
d 断熱パネル部の厚さ
R 冷凍サイクル