特許第6395169号(P6395169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395169
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】集積回路、及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A61B5/01 350
【請求項の数】5
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-514054(P2017-514054)
(86)(22)【出願日】2016年4月5日
(86)【国際出願番号】JP2016061160
(87)【国際公開番号】WO2016170973
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-86027(P2015-86027)
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】増田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】河西 秀典
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−135993(JP,A)
【文献】 特許第5640265(JP,B1)
【文献】 特開2016−103786(JP,A)
【文献】 特開2013−056011(JP,A)
【文献】 特開2005−249723(JP,A)
【文献】 特表2013−543133(JP,A)
【文献】 特開平09−220203(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118608(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0083823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物から反射する赤外光に基づいて、前記対象物の温度を検出し、基板上に設けられる第1の検出素子と、
前記対象物から反射する可視光に基づいて、前記対象物の画像を検出し、前記基板上に設けられ、前記第1の検出素子からの距離が等しくなるように、前記第1の検出素子の周辺に配置された複数の第2の検出素子と
前記複数の第2の検出素子が検出した画像に基づいて、前記第1の検出素子の測定位置における補正画像を生成し、生成した前記補正画像を前記対象物の画像として出力する補正部と、
を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項2】
前記第1の検出素子は、前記赤外光と、前記複数の第2の検出素子が検出した前記画像に基づいて生成された前記対象物の反射率とに基づいて、前記対象物の温度を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記対象物の反射率は、前記複数の第2の検出素子が検出した前記画像に基づく前記対象物の色彩及び明るさに基づいて生成される
ことを特徴とする請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の集積回路と、
所定の検出範囲が複数の分割領域に分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光の光路を変更して、前記第1の検出素子及び前記複数の第2の検出素子に向けて出射可能な光路変更部と、
前記光路変更部に対して、前記所定の検出範囲が前記分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光を、前記分割領域を変更して前記集積回路に出射させて、前記集積回路に、前記分割領域ごとの温度及び画像を検出させる測定制御部と
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項5】
前記集積回路が検出した前記それぞれの分割領域における前記対象物の画像及び前記対象物の温度に基づいて、前記所定の検出範囲の画像を生成し、当該所定の検出範囲の画像と、前記それぞれの分割領域における前記対象物の温度とを対応付けて出力する出力処理部を備える
ことを特徴とする請求項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路、及び測定装置に関する。
本願は、2015年4月20日に、日本に出願された特願2015−086027号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビッグデータに代表される、大量のデータを蓄積し、ある事象の検知、予測、把握等に役立てようとする動きが活発化している。データベースの大規模化や大量のデータを処理できる検索システムなどの技術的な発展に伴い、今後の管理や新たなビジネスとしてビッグデータを利用できる可能性が示されている。
ここで、ビッグデータとは、市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物を表す用語である。例えば、疾病予防に関しては、近年のグローバル化、ボーダレス化に伴い短期間での全地球規模での疾病の拡大が懸念されている。このような背景から、例えば、インフルエンザ等の疾病の感染拡大を防ぐために、人が多く集まる公の場所、公共機関、企業等で、被監視者の体温を瞬時に計測し監視する機器のニーズが高まっている。
例えば、特許文献1では、空間領域に存在する複数人を撮影する赤外線カメラからの熱画像に基づいて体温分析を行い、体温異常の情報の通知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような技術では、熱画像であるため、発熱者の特徴を分析する事が困難であった。すなわち、特許文献1に記載されているような技術では、対象物(被測定物)の温度とともに対象物の特徴を分析することが困難であった。
【0005】
本発明の一態様は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、対象物の温度とともに対象物の特徴を分析することが可能になる集積回路、及び測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、対象物から反射する赤外光に基づいて、前記対象物の温度を検出する第1の検出素子と、前記対象物から反射する可視光に基づいて、前記対象物の画像を検出する第2の検出素子とを同一基板上に備えることを特徴とする集積回路である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の集積回路において、前記第1の検出素子は、前記赤外光と、前記第2の検出素子が検出した前記画像に基づいて生成された前記対象物の反射率とに基づいて、前記対象物の温度を検出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の集積回路において、前記対象物の反射率は、前記第2の検出素子が検出した前記画像に基づく前記対象物の色彩及び明るさに基づいて生成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の集積回路において、前記第1の検出素子からの距離が等しくなるように、前記第1の検出素子の周辺に配置された複数の前記第2の検出素子と、前記複数の第2の検出素子が検出した画像に基づいて、前記第1の検出素子の測定位置における補正画像を生成し、生成した前記補正画像を前記対象物の画像として出力する補正部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の集積回路と、所定の検出範囲が複数の分割領域に分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光の光路を変更して、前記第1の検出素子及び前記第2の検出素子に向けて出射可能な光路変更部と、前記光路変更部に対して、前記所定の検出範囲が前記分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光を、前記分割領域を変更して前記集積回路に出射させて、前記集積回路に、前記分割領域ごとの温度及び画像を検出させる測定制御部とを備えることを特徴とする測定装置である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の測定装置において、前記集積回路が検出した前記それぞれの分割領域における前記対象物の画像及び前記対象物の温度に基づいて、前記所定の検出範囲の画像を生成し、当該所定の検出範囲の画像と、前記それぞれの分割領域における前記対象物の温度とを対応付けて出力する出力処理部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、対象物の温度とともに対象物の特徴を分析することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態による測定装置の構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態によるセンサー部の光の入射面の構成例を示す図である。
図3】反射率の変換テーブルの一例を示す図である。
図4】第1の実施形態によるセンサー部の断面構造の一例を示す断面図である。
図5】第1の実施形態による測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態による測定装置の構成例を示す図である。
図7】第2の実施形態によるセンサー部の光の入射面の構成例を示す図である。
図8】第3の実施形態による監視システムの一例を示す機能ブロック図である。
図9】第3の実施形態による監視システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図10】第3の実施形態による監視システムの分析結果の一例を示す第1の図である。
図11】第3の実施形態による監視システムの分析結果の一例を示す第2の図である。
図12A】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第1の図である。
図12B】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第2の図である。
図12C】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第3の図である。
図13A】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第4の図である。
図13B】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第5の図である。
図13C】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第6の図である。
図14A】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第7の図である。
図14B】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第8の図である。
図14C】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第9の図である。
図15A】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第10の図である。
図15B】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第11の図である。
図15C】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第12の図である。
図16A】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第13の図である。
図16B】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第14の図である。
図16C】第3の実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す第15の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による測定装置、及び監視システムについて図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による測定装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、測定装置1は、センサー部10と、光学系20と、制御部30とを備えている。
【0016】
センサー部10(集積回路の一例)は、例えば、非接触により対象物(被測定物)の温度を検出する半導体装置である。センサー部10は、対象物から反射する赤外光に基づいて、対象物の温度を検出するとともに、対象物から反射する可視光に基づいて、対象物の画像を検出する。センサー部10は、例えば、図2に示すように、サーモパイル部11と、フォトダイオード部12とを備えている。
【0017】
図2は、本実施形態によるセンサー部10の光の入射面の構成例を示す図である。ここで、この図は、センサー部10を入射面(センサー面)側から見た図である。
図2に示すように、センサー部10は、サーモパイル部11と、フォトダイオード部12とを同一の半導体基板WF上に備えている。すなわち、センサー部10において、サーモパイル部11と、フォトダイオード部12とが、半導体基板WF上に形成されている。
【0018】
サーモパイル部11(第1の検出素子の一例)は、対象物から反射する赤外光に基づいて、対象物の温度を検出する。サーモパイル部11は、後述するサーモパイル111(図4を参照)を利用して、赤外光に基づいて温度を検出する。
フォトダイオード部12(第2の検出素子の一例)は、対象物から反射する可視光に基づいて、対象物の画像(色情報)を検出する。フォトダイオード部12は、赤色フォトダイオード部12Rと、緑色フォトダイオード部12Gと、青色フォトダイオード部12Bとを備え、赤色、緑色、及び青色の3原色の光の強度を検出し、画像(RGBの色情報)を出力する。
【0019】
ここで、赤色フォトダイオード部12Rは、赤色フィルタ(不図示)を備え、可視光のうちの赤色光の強度を検出する。また、緑色フォトダイオード部12Gは、緑色フィルタ(不図示)を備え、可視光のうちの緑色光の強度を検出する。また、青色フォトダイオード部12Bは、青色フィルタ(不図示)を備え、可視光のうちの青色光の強度を検出する。
なお、センサー部10の構成の詳細については、図4を参照して後述する。
【0020】
図1の説明に戻り、光学系20は、対象物からの赤外光及び可視光を含む反射光を、センサー部10の入射面(センサー面)に導く。光学系20は、温度を検出する対象の範囲(所定の検出範囲)を複数の分割領域(例えば、画素領域)に分割されたそれぞれの分割領域から入射する反射光の光路を変更して、センサー部10の入射面(センサー面)に向けて出射可能な光路変更部を備えている。光学系20は、例えば、レンズ(21、23)と、デジタルミラーデバイス22とを備えている。なお、本実施形態では、光学系20が、光路変更部の一例として、デジタルミラーデバイス22を備える例について説明する。
【0021】
レンズ21は、対象物からの赤外光及び可視光を含む反射光をデジタルミラーデバイス22に集光する集光レンズである。レンズ21は、対象物とデジタルミラーデバイス22との間に配置され、入射された反射光をデジタルミラーデバイス22に出射する。
【0022】
デジタルミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)22(光路変更部の一例)は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーであり、レンズ21から入射された反射光の光路を変更して、センサー部10の入射面(センサー面)に向けて出射する。デジタルミラーデバイス22は、例えば、温度を検出する対象の範囲が複数の分割領域(例えば、画素領域)に分割されたそれぞれの分割領域(例えば、画素領域)から入射する赤外光及び可視光の光路を変更する。デジタルミラーデバイス22は、光路を変更した赤外光及び可視光を上述したセンサー部10の入射面(センサー面)に向けて出射する。
【0023】
デジタルミラーデバイス22は、制御部30(後述する測定制御部31)により制御され、温度を検出する対象の範囲内の各分割領域からの反射光を順番に光路変更し、センサー部10の入射面(センサー面)に向けて出射することで、センサー部10に対象の範囲の画像及び温度を検出させる。なお、図1に示す例では、デジタルミラーデバイス22は、制御部30(後述する測定制御部31)の制御に基づいて、経路R1に従って、順番に検出する分割領域を変更し、現在の検出領域として分割領域SA1における反射光をセンサー部10の入射面(センサー面)に向けて出射している状態を示している。
【0024】
レンズ23は、デジタルミラーデバイス22からの赤外光及び可視光を含む反射光をセンサー部10の入射面(センサー面)に投影する投影レンズである。レンズ23は、デジタルミラーデバイス22とセンサー部10との間に配置され、入射された反射光をセンサー部10に出射する。
【0025】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、測定装置1を統括的に制御する。制御部30は、例えば、センサー部10及びデジタルミラーデバイス22を制御するとともに、センサー部10が検出した温度及び画像(上述した分割領域の温度及び色情報(画素情報))を取得する制御を行う。そして、制御部30は、取得した温度及び画像に基づいて、温度を検出する対象の範囲の温度分布と、当該対象の範囲の画像情報とを生成し、生成した温度分布と画像情報とを対応付けて外部に出力する制御を行う。
また、制御部30は、測定制御部31と、反射率生成部32と、出力処理部33とを備えている。
【0026】
測定制御部31は、デジタルミラーデバイス22を制御して、センサー部10から温度及び画像を取得する。すなわち、測定制御部31は、デジタルミラーデバイス22に対して、所定の検出範囲の分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光を、分割領域を変更してセンサー部10に出射させる。そして、測定制御部31は、センサー部10に、分割領域ごとの温度及び画像(RGBの色情報)を検出させる。測定制御部31は、センサー部10によって検出された分割領域ごとの温度及び画像(RGBの色情報)を取得する。
【0027】
反射率生成部32は、センサー部10から取得された画像(RGBの色情報)に基づいて、対象物の反射率を生成する。ここで、センサー部10のサーモパイル部11は、サーモパイル111を利用して温度を検出するが、この検出には、対象物の反射率を規定する必要である。反射率は、素材により変動し、測定対象を限定しない場合には、対象物の反射率を測定毎に計測して反射率補正を行う必要がある。そこで、反射率生成部32では、群衆内の人の体温を測定する目的に限定することで、対象物の素材を、“人肌”及び“衣服”に限定し、色彩と明るさとに基づいて、反射率を生成する。
【0028】
反射率生成部32は、例えば、測定制御部31がセンサー部10から取得した分割領域における画像(RGBの色情報)に基づいて、当該分割領域の色彩と明るさと生成する。ここで、反射率生成部32は、RGBの色情報に基づいて、“黄”、“ベージュ”などの色彩を判定する。また、反射率生成部32は、RGBの色情報に基づいて、“明るい”、“平均”、及び“暗い”の3段階に明るさを判定する。反射率生成部32は、判定した当該分割領域の色彩と明るさとに基づいて、例えば、図3に示すような変換テーブルを利用して、当該分割領域の反射率を生成する。
【0029】
図3は、反射率の変換テーブルの一例を示す図である。
この図に示す変換テーブルは、色彩と明るさとに基づいて、色彩拡散面の反射率を生成するテーブルである。この変換テーブルは、「色彩」と、「反射率(%)」とが対応付けられており、「反射率(%)」は、“明るい”、“平均”、及び“暗い”の3段階に場合分けされている。
例えば、「色彩」が“黄”であり、明るさが“明るい”である場合には、反射率生成部32は、変換テーブルに基づいて、「反射率(%)」として“70”を生成する。反射率生成部32は、生成した反射率(この場合は、“70”(%))をセンサー部10に出力する。
【0030】
これにより、センサー部10は、反射率生成部32が生成した分割領域ごとの反射率に基づいて、正確に対象物の温度を検出することができる。
このように、サーモパイル部11は、赤外光と、フォトダイオード部12が検出した画像に基づいて生成された対象物の反射率とに基づいて、対象物の温度を検出する。
【0031】
出力処理部33は、センサー部10が検出したそれぞれの分割領域における対象物の画像及び対象物の温度に基づいて、所定の検出範囲の画像を生成し、当該所定の検出範囲の画像と、それぞれの分割領域における対象物の温度とを対応付けて出力する。出力処理部33は、例えば、測定制御部31によって取得された分割領域における画像(RGBの色情報)に基づいて、温度を検出する対象の範囲の画像情報を生成する。また、出力処理部33は、例えば、測定制御部31によって取得された分割領域の対象物における温度に基づいて、温度を検出する対象の範囲の温度分布を生成する。出力処理部33は、生成した画像情報及び温度分布を対応付けて外部に出力する。
【0032】
次に、図4を参照して、センサー部10の構成について説明する。
図4は、本実施形態によるセンサー部10の断面構造の一例を示す断面図である。
図4に示す例では、サーモパイル部11と、フォトダイオード部12とが同一の半導体基板WFに形成されている。
【0033】
サーモパイル部11は、空洞部112を跨ぎ、ヒートシンク部113と接するように、サーモパイル111が形成されている。このサーモパイル111は、空洞部112の上面に形成された熱絶縁薄膜(不図示)と、ヒートシンク部113とに跨るように、2種類の金属(不図示)又は半導体(不図示)を接合させた熱電対を複数直列又は並列に接続されて形成される。ここで、複数の熱電対は、ヒートシンク部113上に冷接点が形成され、熱絶縁薄膜上に、温接点が形成される。サーモパイル111は、局所的な温度差又は温度勾配に比例した電圧を出力する。
【0034】
フォトダイオード部12は、マイクロレンズ121と、カラーフィルタ122と、遮光膜123と、フォトダイオード124と、ポリシリコン125とを備えている。なお、この図の説明では、例えば、赤色フォトダイオード部12Rについて説明するが、カラーフィルタ122の色が異なる点を除いて、緑色フォトダイオード部12G、及び青色フォトダイオード部12Bの構成も同様である。図示を省略するが、フォトダイオード部12は、赤色フォトダイオード部12Rと、緑色フォトダイオード部12Gと、青色フォトダイオード部12Bとの3種類のフォトダイオードを備えている。
【0035】
マイクロレンズ121は、フォトダイオード124に可視光を誘導するレンズであり、カラーフィルタ122(ここでは、赤色フィルタ)を介して赤色光をフォトダイオード124に出射する。
【0036】
遮光膜123は、ポリシリコン125の上部を含む範囲に形成され、フォトダイオード124以外の部分に、光が照射されないように遮光する。
フォトダイオード124は、照射された光を、強度に応じた電圧に変換する。
ポリシリコン125は、フォトダイオード124からの電圧を出力させる、フォトダイオード124の状態を初期化するなどのフォトダイオード124の制御に利用される。
【0037】
また、センサー部10は、同一の半導体基板WF上に、例えば、トランジスタ13を備えている。トランジスタ13は、ソース部131と、ドレイン部132と、ポリシリコンのゲート部133とを備えるMOSトランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor field-effect transistor)である。トランジスタ13は、例えば、サーモパイル部11又はフォトダイオード部12の信号を制御部30に転送する等の制御を行う場合に必要となるスイッチング素子である。
【0038】
次に、図5を参照して、本実施形態による測定装置1の動作について説明する。
図5は、本実施形態による測定装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、測定装置1は、まず、デジタルミラーデバイス22を対象の範囲における分割領域の初期位置に制御する(ステップS101)。すなわち、制御部30の測定制御部31は、温度を検出する対象の範囲のうちの分割領域の初期位置の反射光がセンサー部10に出射するように、デジタルミラーデバイス22を制御する。
【0039】
次に、測定制御部31は、分割領域の画像を検出する(ステップS102)。すなわち、測定制御部31は、分割領域の画像(RGBの色情報)をセンサー部10に検出させて、センサー部10のフォトダイオード部12によって検出された分割領域の画像(RGBの色情報)を取得する。
【0040】
次に、制御部30の反射率生成部32は、画像に基づいて反射率を生成する(ステップS103)。反射率生成部32は、例えば、測定制御部31がセンサー部10から取得した分割領域における画像(RGBの色情報)に基づいて、当該分割領域の色彩と明るさと生成する。反射率生成部32は、生成した当該分割領域の色彩と明るさとに基づいて、例えば、図3に示すような変換テーブルを利用して、当該分割領域の反射率を生成する。そして、反射率生成部32は、生成した当該分割領域の反射率をセンサー部10に出力する。
【0041】
次に、測定制御部31は、分割領域の温度を検出する(ステップS104)。すなわち、測定制御部31は、分割領域の温度をセンサー部10に検出させて、センサー部10のサーモパイル部11によって検出された分割領域の温度を取得する。なお、反射率生成部32が生成した反射率は、サーモパイル部11が赤外光に基づいて、対象物の温度を検出する際に用いられる。
【0042】
次に、測定制御部31は、分割領域が終了位置であるか否かを判定する(ステップS105)。測定制御部31は、当該分割領域が温度を検出する対象の範囲のうちの終了位置であるか否かを判定する。測定制御部31は、分割領域が終了位置である場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS107に進める。また、測定制御部31は、分割領域が終了位置でない場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS106に進める。
【0043】
ステップS106において、測定制御部31は、分割領域を変更して、処理をステップS102に戻し、分割領域が終了位置に到達するまで、ステップS102からステップS105の処理を繰り返す。
【0044】
また、ステップS107において、制御部30の出力処理部33は、対象の範囲の画像情報、及び温度分布を生成する。出力処理部33は、センサー部10が検出したそれぞれの分割領域における対象物の画像及び対象物の温度に基づいて、対象の範囲の画像情報、及び温度分布を生成する。
次に、出力処理部33は、対象の範囲の画像情報、及び温度分布を出力する(ステップS108)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によるセンサー部10(集積回路の一例)は、サーモパイル部11(第1の検出素子)と、フォトダイオード部12(第2の検出素子)とを同一基板上(例えば、半導体基板WF上)に備える。サーモパイル部11は、対象物から反射する赤外光に基づいて、対象物の温度を検出する。フォトダイオード部12は、対象物から反射する可視光に基づいて、対象物の画像を検出する。
これにより、本実施形態によるセンサー部10は、対象物の温度とともに、対象物の画像を検出することができるため、対象物の温度とともに対象物の特徴を分析することが可能になる。
【0046】
また、本実施形態では、サーモパイル部11は、赤外光と、フォトダイオード部12が検出した画像に基づいて生成された対象物の反射率とに基づいて、対象物の温度を検出する。
これにより、本実施形態によるセンサー部10は、画像に基づいて生成された適切な反射率により、より正確に温度を検出することができる。
【0047】
また、本実施形態では、対象物の反射率は、フォトダイオード部12が検出した画像に基づく対象物の色彩及び明るさに基づいて生成される。例えば、反射率生成部32は、色彩と明るさとに基づいて、例えば、図3に示すような変換テーブルを利用して、反射率を生成する。
これにより、本実施形態によるセンサー部10は、簡易な手法により生成された反射率により、より正確に温度を検出することができる。また、本実施形態による測定装置1は、簡易な手法により適切な反射率を生成することができ、より正確に温度を検出することができる。
【0048】
また、本実施形態による測定装置1は、上述したセンサー部10と、光路変更部(例えば、デジタルミラーデバイス22)と、測定制御部31とを備えている。デジタルミラーデバイス22は、所定の検出範囲が複数の分割領域に分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光の光路を変更して、サーモパイル部11及びフォトダイオード部12に向けて出射可能な光路変更部である。そして、測定制御部31は、デジタルミラーデバイス22に対して、所定の検出範囲の分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光を、分割領域を変更してセンサー部10に出射させて、センサー部10に、分割領域ごとの温度及び画像を検出させる。
【0049】
センサー部10のサーモパイル部11は、受光部分(サーモパイル111)の面積が広い程、温度の検出精度が向上する。そのため、本実施形態による測定装置1は、光路変更部(例えば、デジタルミラーデバイス22)により光路を変更することにより、例えば、マトリックス状に、サーモパイル部11(サーモパイル111)を複数配置する場合に比べて、受光部分(サーモパイル111)の面積を広くすることができる。よって、本実施形態による測定装置1は、温度を検出する精度を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上述した光路変更部には、デジタルミラーデバイス22が含まれる。
これにより、本実施形態による測定装置1は、デジタルミラーデバイス22を用いるという簡易な手法により、温度を検出する精度を向上させることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による測定装置について説明する。
図6は、第2の実施形態による測定装置1aの構成例を示す図である。また、図7は、第2の実施形態によるセンサー部10aの光の入射面の構成例を示す図である。
なお、図6及び図7において、図1及び図2に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図6に示すように、本実施形態よる測定装置1aは、センサー部10aと、光学系20と、制御部30とを備えている。また、センサー部10aは、画像補正部14を備えている。
【0053】
また、図7に示すように、センサー部10aは、サーモパイル部11と、複数のフォトダイオード部12(12−1、12−2、12−3、12−4)とを同一の半導体基板WF上に備えている。ここで、フォトダイオード部12−1、フォトダイオード部12−2、フォトダイオード部12−3、及びフォトダイオード部12−4は、上述したフォトダイオード部12と同一の構成であり、測定装置1aが備える任意のフォトダイオード部を示す場合、又は特に区別しない場合には、フォトダイオード部12として説明する。
【0054】
本実施形態では、測定装置1aが、複数のフォトダイオード部12と、画像補正部14とを備える点が、上述した第1の実施形態と異なる。
複数のフォトダイオード部12は、図7に示すように、サーモパイル部11からの距離が等しくなるように、サーモパイル部11の周辺に配置されている。
【0055】
また、画像補正部14(補正部の一例)は、複数のフォトダイオード部12が検出した画像に基づいて、サーモパイル部11の測定位置における補正画像を生成し、生成した補正画像を対象物の画像として出力する。画像補正部14は、例えば、複数のフォトダイオード部12が検出したRGBの色情報を、原色ごと(R(赤色)ごと、G(緑色)ごと、B(青色)ごと)に、平均化する処理を実行する。
【0056】
サーモパイル部11の位置と、複数のフォトダイオード部12の位置とが異なるため、温度の測定位置と、画像の測定位置とが異なる。そのため、本実施形態では、画像補正部14が、サーモパイル部11の周辺に配置された複数のフォトダイオード部12が検出したRGBの色情報を平均化することにより、サーモパイル部11の測定位置におけるRGBの色情報を生成する。なお、画像補正部14は、分割領域ごとの画像を平均化して、分割領域ごとの画像を補正する。すなわち、画像補正部14は、複数のフォトダイオード部12が検出した画像に基づいて、サーモパイル部11の測定位置における補正画像を生成し、生成した補正画像を対象物の画像として制御部30に出力する。
【0057】
また、本実施形態による測定装置1aの動作は、画像補正部14による動作が追加される点を除いて、上述した第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によるセンサー部10aは、複数のフォトダイオード部12と、画像補正部14(補正部の一例)とを備えている。複数のフォトダイオード部12(12−1、12−2、12−3、12−4)は、サーモパイル部11からの距離が等しくなるように、サーモパイル部11の周辺に配置されている。そして、画像補正部14は、複数のフォトダイオード部12が検出した画像に基づいて、サーモパイル部11の測定位置における補正画像を生成し、生成した補正画像を対象物の画像として出力する。
これにより、本実施形態によるセンサー部10aは、画像の検出位置と温度の検出位置とを一致させて画像及び温度を検出することができる。よって、本実施形態によるセンサー部10a及び測定装置1aは、検出位置が一致しているので、対象物の特徴をより正確に分析することが可能になる。
【0059】
なお、上述した各実施形態では、光路変更部の一例として、デジタルミラーデバイス22を適用する例を説明したが、これに限定されるものではない。光路変更部は、例えば、液晶シャッターとプリズムとを組み合わせて構成してもよい。すなわち、光路変更部には、液晶シャッターが含まれてもよい。この場合、液晶シャッターは、測定する分割領域ごとに反射光を透過させて、他の分割領域の反射光を遮蔽する。
また、光路変更部の他の適用例としては、例えば、ガルバノミラーやポリゴンミラーなどを含む構成としてもよい。
また、上述した第2の実施形態では、センサー部10aが、画像補正部14を備える例を説明したが、制御部30が、画像補正部14を備えるようにしてもよい。
【0060】
また、上述した各実施形態では、センサー部10(10a)が1画素分のサーモパイル部11及びフォトダイオード部12を備える例を説明したが、マトリックス状、又はライン状に複数の画素分のサーモパイル部11及びフォトダイオード部12を備えるようにしてもよい。また、この場合、分割領域は、例えば、複数の画素を含む領域であってもよい。
【0061】
また、上述した各実施形態では、センサー部10(10a)は、サーモパイル部11及びフォトダイオード部12を同一の半導体基板WF上に形成する例を説明したが、マルチチップパッケージのように、複数の集積回路を1つのパッケージに実装するような構成であってもよい。また、センサー部10(10a)は、信号処理部を含む複数の集積回路から構成されるようにしてよい。
【0062】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による監視システムについて説明する。
本実施形態では、上述した測定装置1(1a)を利用して、例えば、空港、駅、公共施設などにおいて発熱者を監視して、発熱者の発生推移を予測する監視システムについて説明する。
【0063】
図8は、本実施形態による監視システム100の一例を示す機能ブロック図である。
図8に示すように、監視システム100は、上述した複数の測定装置1(1a)と、複数の環境検出部40と、監視装置50とを備えている。
【0064】
なお、監視システム100には、上述した第1の実施形態の測定装置1と、第2の実施形態の測定装置1aとのいずれも適用可能であるが、本実施形態では、説明上、測定装置1を適用するものとして以下説明する。測定装置1−1、測定装置1−2、・・・は、上述した測定装置1(1a)と同一の構成であり、監視システム100が備える任意の測定装置を示す場合、又は特に区別しない場合には、測定装置1として説明する。
測定装置1は、赤外光に基づいて、少なくとも所定の範囲(監視対象領域)の温度分布を測定するとともに、可視光に基づいて、所定の範囲(監視対象領域)の画像情報を検出する。
【0065】
また、環境検出部40−1、環境検出部40−2、・・・は、同一の構成であり、監視システム100が備える任意の環境検出部を示す場合、又は特に区別しない場合には、環境検出部40として説明する。
ここで、測定装置1−1及び環境検出部40−1は、監視場所P1に設置され、監視場所P1における被監視者(例えば、通行人など)を監視する。また、測定装置1−2及び環境検出部40−2は、監視場所P2に設置され、監視場所P2における被監視者(例えば、通行人など)を監視する。
なお、監視場所P1及び監視場所P2は、被監視者の体温を監視する監視対象領域を示し、例えば、空港、駅、学校、病院、公共施設、ショッピングモール、オフィス、コンサートホールなどである。
【0066】
環境検出部40は、外部の環境情報を検出する測定装置であり、環境情報を監視装置50に出力する。環境検出部40は、例えば、測定装置1が測定している場所の環境に関する情報を示す環境情報を検出する。ここで、環境情報は、例えば、監視対象領域の温度、湿度、場所の情報、及び混雑度などである。例えば、環境検出部40は、場所の情報として、監視対象領域を識別する識別情報(例えば、名称や識別IDなど)を出力するものとしてもよいし、GPS(Global Positioning System)などを利用して正確な位置座標情報を検出し、位置座標情報を場所の情報としてもよい。また、環境検出部40は、混雑度として、監視カメラなどの画像情報に基づいて、監視対象領域の混雑度を検出するようにしてもよい。
【0067】
監視装置50は、各監視場所に設置された測定装置1(1a)及び環境検出部40から出力される情報(例えば、画像情報、温度分布、環境情報など)に基づいて、発熱者の数の変化を分析し、当該分析結果に基づいて、発熱者の発生推移を予測する。監視装置50は、例えば、発熱情報生成部51と、属性抽出部52と、記憶部53と、制御部54とを備えている。
【0068】
発熱情報生成部51は、可視光に基づいて検出された所定の範囲の画像情報に基づいて、監視対象領域内の被監視者を抽出する。発熱情報生成部51は、測定装置1が出力する画像情報から、例えば、パターン認識などの既存の技術を利用して、被監視者を抽出する。また、発熱情報生成部51は、測定装置1が出力する温度分布に基づいて、被監視者に対応する発熱状態を示す被監視者の発熱情報を生成する。ここで、被監視者に対応する発熱状態とは、例えば、画像情報から抽出された被監視者の体温を示す情報である。このように、発熱情報生成部51は、定期的に測定装置1から画像情報及び温度分布を取得し、取得した画像情報及び温度分布に基づいて、被監視者の発熱情報を生成する。また、発熱情報生成部51は、例えば、生成した被監視者の発熱情報と、被監視者の識別情報と、検出時刻とを対応付けて、制御部54に出力する。
【0069】
なお、被監視者の識別情報とは、例えば、画像情報内の被監視者の位置情報や、被監視者のサンプル番号などである。また、上述した発熱情報において、被監視者の体温は、例えば、37.0℃以上を基準として、37.0℃以上37.5℃未満、37.5℃以上38.0℃未満、38.0℃以上38.5℃未満、38.5℃以上39.0℃未満、39.0℃以上39.5℃未満、39.5℃以上40.0℃未満、40.0℃以上などの複数の温度範囲に分類されたものであってもよい。
【0070】
属性抽出部52は、画像情報に基づいて、被監視者を抽出するとともに、被監視者の属性を示す属性情報を抽出する。属性情報とは、例えば、性別、年齢、身長などの情報である。属性抽出部52は、測定装置1が出力する画像情報から、例えば、パターン認識などの既存の技術を利用して、被監視者を抽出するともに、当該被監視者の属性情報を、例えば、パターン認識などの既存の技術を利用して抽出する。発熱情報生成部51は、例えば、抽出した被監視者の属性情報と、被監視者の識別情報と、検出時刻とを対応付けて、制御部54に出力する。
【0071】
記憶部53は、監視装置50の各種処理に利用する情報を記憶する。記憶部53は、例えば、履歴情報記憶部531と、予測モデル記憶部532とを備えている。
履歴情報記憶部531は、少なくとも被監視者の属性情報と、被監視者の発熱情報と、環境情報とを対応付けた被監視者情報を監視対象領域ごとに記憶する。なお、被監視者情報には、検出時刻情報及び被監視者の識別情報が含まれてもよい。
【0072】
予測モデル記憶部532は、後述する制御部54の分析部542が、発熱者の発生推移を予測する際に利用する規則や判定基準の元になる予測モデルを記憶する。なお、予測モデルは、過去の被監視者の発熱情報に基づいて予め構築されているものとする。
ここで、予測モデルの具体例について、以下説明する。
【0073】
予測モデルの一例として、38℃以上の人数(発熱患者の人数)の変化に基づく増加モデルについて説明する。
増加モデルにおける各モデルは、例えば、以下のように定義されている。
【0074】
(1)定常時モデル:発熱患者の発生数増化が無い時期、もしくは発熱患者数が多数で安定している時期のモデルであり、発熱患者数の経時変化のグラフにおいて、線形近似線と多項式近似線に差がほとんどない状態で、且つ発熱患者数の増加率が5%以内の場合である。
(2)増加発生時モデル:発熱患者の発生が始まる時点のモデルであり、発熱患者数の経時変化のグラフにおいて、線形近似線と多項式近似線とのいずれにも近似できない場合で、且つ発熱患者数の増加率が5%以上の場合である。
【0075】
(3)増加継続モデル:発熱患者が増加している時点のモデルであり、発熱患者数の経時変化のグラフにおいて、線形近似線より多項式近似線でより良く近似できる場合、もしくは線形近似線と多項式近似線とに差がほとんどない場合であり、且つ発熱患者数の増加率が5%より大きい場合である。
(4)発生者数安定開始モデル:発熱患者数が多数で安定し始める時期のモデルであり、発熱患者数の経時変化のグラフにおいて、線形近似線と多項式近似線とのいずれにも近似できない場合であり、且つ発熱患者数の増加率が5%以下の場合である。
予測モデル記憶部532は、上述した増加モデルのような定義情報を記憶する。
【0076】
なお、発熱患者数が減少していく時点でのモデルである減少モデルも、増加モデルと同様に、定義可能であるが、本実施形態では、増加傾向のモデルについての説明であるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
制御部54は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、監視装置50を統括的に制御する。制御部54は、例えば、情報取得部541と、分析部542とを備えている。
情報取得部541(取得部の一例)は、測定装置1によって測定された温度分布に基づいて得られた被監視者の発熱情報を時系列に取得する。情報取得部541は、例えば、発熱情報生成部51が生成した発熱情報と、属性抽出部52が抽出した属性情報と、環境検出部40が検出した環境情報とを定期的に(所定の時間間隔で)取得する。情報取得部541は、取得した発熱情報と、属性情報と、環境情報とを少なくとも対応付けた被監視者情報を、監視対象領域ごとに履歴情報記憶部531に記憶させる。
【0078】
分析部542は、情報取得部541が時系列に取得した被監視者の発熱情報に基づいて、被監視者のうちの発熱者の数(発熱患者数)の変化を分析し、当該分析結果に基づいて、発熱者の発生推移を予測する。分析部542は、例えば、過去の被監視者の発熱情報に基づいて構築された予測モデルと、発熱者の数の変化とに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。すなわち、分析部542は、履歴情報記憶部531が記憶する被監視者情報に基づいて、発熱患者数の変化を分析して、予測モデル記憶部532が記憶する予測モデルに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。分析部542は、例えば、上述した(1)〜(4)のいずれの増加モデルに一致するかを判定し、発熱者の発生推移を予測する。分析部542は、分析した分析結果、及び発熱者の発生推移を予測である予測情報を外部に出力する。
なお、分析部542が発熱者の発生推移を予測する具体例については、後述する。
【0079】
次に、図9を参照して、本実施形態による監視システム100の動作について説明する。
図9は、本実施形態による監視システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
この図において、まず、監視システム100の監視装置50は、測定装置1に画像情報と温度分布とを測定させる(ステップS201)。各測定装置1は、赤外光に基づいて、監視場所(監視対象領域)の温度分布を測定するとともに、可視光に基づいて監視場所(監視対象領域)の画像情報を測定する。
【0080】
次に、監視装置50の発熱情報生成部51は、発熱情報を生成する(ステップS202)。発熱情報生成部51は、測定装置1から画像情報及び温度分布を取得し、取得した画像情報及び温度分布に基づいて、被監視者の発熱情報を生成する。また、発熱情報生成部51は、例えば、生成した被監視者の発熱情報と、被監視者の識別情報と、検出時刻とを対応付けて、制御部54に出力する。
【0081】
次に、監視装置50の属性抽出部52は、属性情報を抽出する(ステップS203)。属性抽出部52は、測定装置1から取得した画像情報に基づいて、被監視者を抽出するともに、当該被監視者の属性情報を抽出する。発熱情報生成部51は、例えば、抽出した被監視者の属性情報と、被監視者の識別情報と、検出時刻とを対応付けて、制御部54に出力する。
【0082】
次に、制御部54の情報取得部541は、発熱情報、属性情報、及び環境情報を取得する(ステップS204)。情報取得部541は、例えば、発熱情報生成部51が生成した被監視者の発熱情報と、属性抽出部52が抽出した被監視者の属性情報と、環境検出部40が検出した環境情報とを取得する。なお、情報取得部541は、発熱情報生成部51及び属性抽出部52から被監視者の識別情報と、検出時刻とを取得し、当該被監視者の識別情報及び検出時刻とに基づいて、被監視者の発熱情報と、被監視者の属性情報とを対応付ける。情報取得部541は、例えば、発熱情報と、属性情報と、環境情報とを対応付けた被監視者情報と、被監視者の識別情報と、検出時刻とを、監視対象領域ごとに履歴情報記憶部531に記憶させる。
【0083】
次に、制御部54の分析部542は、発熱情報を分析する(ステップS205)。分析部542は、履歴情報記憶部531に記憶されている監視対象領域ごとの時系列な被監視者情報に基づいて、例えば、後述する図10及び図11に示すような集計を行う分析処理を実行する。また、分析部542は、例えば、図11における体温が38℃以上の発熱者の数の変化を、後述する図12A図16Cに示すようなグラフにするとともに、線形近似線及び多項式近似線を生成して発熱者の数の変化の分析を行う。
【0084】
次に、分析部542は、分析結果と予測モデルとに基づいて、発熱者の発生推移を予測する(ステップS206)。分析部542は、例えば、分析結果である後述する図12A図16Cに示すグラフと、予測モデル記憶部532が記憶する予測モデルとに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。分析部542は、例えば、上述した(1)〜(4)のいずれの増加モデルに一致するかを判定し、発熱者の発生推移を予測する。
【0085】
次に、制御部54は、監視装置50の動作を終了するか否かを判定する(ステップS207)。制御部54は、動作を終了する場合(ステップS207:YES)に、動作を終了する。また、制御部54は、動作を終了しない(動作継続である)場合(ステップS207:NO)に、処理をステップS201に戻し、ステップS201からステップS207の処理を繰り返す。
これにより、監視装置50は、分析部542が定期的に分析及び発熱者の発生推移の予測を実行する。
【0086】
なお、分析部542は、発生推移を予測するだけでなく、発熱者の急増などの異常が発生した場合に、異常が発生したことを示す情報を出力(報知)するようにしてもよい。すなわち、分析部542は、例えば、38℃以上の発熱患者数が、予め定められた単位時間内に所定の数を超えた場合に、異常と判定し、例えば、表示部(不図示)に異常が発生している旨を示すメッセージを表示させるようにしてもよいし、音声、やブザーなどで警報を出力するようにしてもよい。
【0087】
次に、図10図16Cを参照して、分析部542の処理の具体例について説明する。
図10及び図11は、本実施形態による監視システム100の分析結果の一例を示す図である。
図10に示す例は、分析部542が、履歴情報記憶部531が記憶する被監視者情報に基づいて、例えば、測定対象領域の被監視者の体温を、ある日の時刻“10:00”から10分毎に集計した結果である。
【0088】
また、図11に示す例は、分析部542が、図10に示す集計結果に基づいて、例えば、被監視者の母数100人において、体温ごとの被監視者の人数と、体温が38℃以上の増加率(%)を集計した分析結果を示している。
図11に示す例では、分析部542は、各時刻において、「体温(℃)」は、「35−36」(35℃以上36℃未満)、「36−37」(36℃以上37℃未満)、「37−38」(37℃以上38℃未満)、及び「38以上」(38℃以上)に分類して、その数を集計する。また、分析部542は、各時刻において、「38以上」(38℃以上)に分類された被監視者の人数の増加率を算出し、「増加率(%)」として集計する。
【0089】
図11に示す例では、時刻“10:30”において、「38以上」(38℃以上)が“43”(43人)であり、「増加率(%)」が“42”(42%)であることを示している。また、時刻“10:40”において、「38以上」(38℃以上)が“62”(62人)であり、「増加率(%)」が“19”(19%)であることを示している。なお、本実施形態において、増加率は、母数100人において、1回前の測定時刻から何人増加したかの割合を示している。
【0090】
次に、図12A図16Cを参照して、分析部542による発熱者の発生推移の予測について説明する。
図12A図16Cは、本実施形態における増加モデルによる状態判定の一例を示す図である。
【0091】
図12A図16Cの各図は、分析部542は、図11に示す分析結果に基づいて、時刻“10:20”〜時刻“11:00”までを10分毎にグラフ化した結果(発熱患者数の経時変化のグラフ)である。また、図12A図13A図14A図15A、及び図16Aの各図は、過去2回の38℃以上の発熱者の人数と対象時刻の38℃以上の発熱者の人数とをグラフ化した変化(以下、対象時刻における発熱患者数の経時変化という)を示している。また、図12B図13B図14B図15B、及び図16Bの各図は、対象時刻における発熱患者数の経時変化と、線形近似線との比較を示し、図12C図13C図14C図15C、及び図16Cの各図は、対象時刻における発熱患者数の経時変化と、多項式近似線との比較を示している。
なお、図12A図16Cの各図のグラフにおいて、縦軸は、発熱患者数を示し、横軸は、時刻を示している。
【0092】
図12A図12B、及び図12Cに示す例は、時刻“10:20”におけるグラフを示しており、波形W10は、時刻“10:20”における発熱患者数の経時変化を示し、波形W11は、線形近似線を示し、波形W12は、多項式近似線を示している。図12A図12B、及び図12Cに示す例では、発熱患者数の経時変化のグラフにおいて、線形近似線と多項式近似線に差がほとんどない状態で、且つ発熱患者数の増加率が5%以内であるため、分析部542は、“定常時モデル”の状態であると判定する。
【0093】
また、図13A図13B、及び図13Cに示す例は、時刻“10:30”におけるグラフを示しており、波形W20は、時刻“10:30”における発熱患者数の経時変化を示し、波形W21は、線形近似線を示し、波形W22は、多項式近似線を示している。図13A図13B、及び図13Cに示す例では、線形近似線と多項式近似線とのいずれにも近似できない場合で、且つ発熱患者数の増加率が5%以上であるため、分析部542は、“増加発生時モデル”の状態であると判定する。
【0094】
また、図14A図14B、及び図14Cに示す例は、時刻“10:40”におけるグラフを示しており、波形W30は、時刻“10:40”における発熱患者数の経時変化を示し、波形W31は、線形近似線を示し、波形W32は、多項式近似線を示している。図14A図14B、及び図14Cに示す例では、線形近似線より多項式近似線でより良く近似できる場合であり、且つ発熱患者数の増加率が5%より大きいため、分析部542は、“増加継続モデル”の状態であると判定する。
【0095】
また、図15A図15B、及び図15Cに示す例は、時刻“10:50”におけるグラフを示しており、波形W40は、時刻“10:50”における発熱患者数の経時変化を示し、波形W41は、線形近似線を示し、波形W42は、多項式近似線を示している。図15A図15B、及び図15Cに示す例では、線形近似線より多項式近似線でより良く近似できる場合であり、且つ発熱患者数の増加率が5%より大きいため、分析部542は、“増加継続モデル”の状態であると判定する。
【0096】
また、図16A図16B、及び図16Cに示す例は、時刻“11:00”におけるグラフを示しており、波形W50は、時刻“11:00”における発熱患者数の経時変化を示し、波形W51は、線形近似線を示し、波形W52は、多項式近似線を示している。図16A図16B、及び図16Cに示す例では、線形近似線と多項式近似線とのいずれにも近似できない場合であり、且つ発熱患者数の増加率が5%以下であるため、分析部542は、“発生者数安定開始モデル”の状態であると判定する。
【0097】
このように、監視装置50は、分析部542が、分析結果である発熱患者数の経時変化のグラフと、各予測モデルとを比較することにより、発熱患者の発生がどのような状態であるかを判定することができる。
なお、上述した例では、分析部542が、発熱情報のみを利用する例を説明しているが、属性情報又は環境情報を加える事により、発生の状態の判定に対して、変更を加えることができる。例えば、分析部542は、属性情報に基づいて、発熱状況が若年層に多く分布していると分析した場合、発生の初期であると推定(予測)するようにしてもよい。また、例えば、分析部542は、一部の監視場所において発熱が多くても、比較的若い年齢が集まっている監視場所での発熱が少ない場合には、増加傾向ではないと推定(予測)するようにしてもよい。
【0098】
また、例えば、分析部542は、環境情報である温度及び湿度からウイルス(例えば、インフルエンザなど)の活性状況を判定して、感染の増加スピードを推定(予測)するようにしてもよい。例えば、季節や、温度と湿度ともに低い状態である場合など、疾病罹患リスクが高まる条件を予め設定しておけば、より良い予測モデルの作成に活用することができる。
【0099】
一般的にインフルエンザの場合、気温が10℃以下、且つ室温で相対湿度が50%以下(例えば、15%〜40%)の場合に、ウイルスの不活化率が低く、平均相対湿度が50%以下の日数が多い程、流行が発生する傾向がある。また、平均相対湿度が60%以上の日数が多い程、流行が小さく経過するとされており、分析部542は、環境情報を盛り込むことで、より高精度に予測モデルを作成することができる。
このように、過去の発生状況から経験的に得られた規則を予測モデルに追加していくことにより、監視装置50は、発熱者の発生推移の予測における正確性を増加することができる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態による監視システム100は、赤外光に基づいて、少なくとも所定の範囲(例えば、監視対象領域)の温度分布を測定する測定装置1と、監視装置50とを備えるシステムである。監視装置50は、情報取得部541(取得部の一例)と、分析部542とを備えている。情報取得部541は、可視光に基づいて検出された所定の範囲の画像情報に基づいて抽出された被監視者に対応する発熱状態を示す被監視者の発熱情報であって、測定装置1によって測定された温度分布に基づいて得られた被監視者の発熱情報を時系列に取得する。分析部542は、情報取得部541が時系列に取得した被監視者の発熱情報に基づいて、被監視者のうちの発熱者の数の変化を分析し、当該分析結果に基づいて、発熱者の発生推移を予測する。
これにより、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、発熱者の数の変化を分析し、発熱者の発生推移を予測するので、監視者が効率良く発熱者の状況を把握し、対策を行うことができる。
【0101】
また、例えば、公共施設、空港、駅、学校、病院、ショッピングモール、オフィス、コンサートホールなどに監視装置50が設置された場合を考える。この場合、各監視装置50を、例えば、高速ネットワークに接続されたビッグデータを構築し、発熱患者の発生状況をデータベース化することで、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、リアルタイムな発熱患者の把握が可能になる。また、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、パンデミックの発生状況のモニタリングや注意喚起などを、監視者が効率良く状況を把握し対策を行うことが可能となる。
【0102】
また、本実施形態では、監視システム100は、画像情報に基づいて、被監視者を抽出するとともに、被監視者の属性を示す属性情報を抽出する属性抽出部52を備える。分析部542は、被監視者の発熱情報と、属性抽出部52が抽出した属性情報とに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。
これにより、本実施形態による監視システム100は、属性情報を加味することで、より精度の良い予測モデルを作成することが可能である。そのため、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、発熱者の発生推移の予測における正確性を増加することができる。
【0103】
また、本実施形態では、監視システム100は、測定装置1が測定している場所の環境に関する情報を示す環境情報を検出する環境検出部40を備える。分析部542は、被監視者の発熱情報と、環境検出部40が検出した環境情報とに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。
これにより、本実施形態による監視システム100は、環境情報を加味することで、より精度の良い予測モデルを作成することが可能である。そのため、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、発熱者の発生推移の予測における正確性を増加することができる。
【0104】
また、本実施形態では、測定装置1は、対象物から反射する赤外光に基づいて、対象物の温度を検出するサーモパイル部11と、対象物から反射する可視光に基づいて、対象物の画像を検出するフォトダイオード部12とを同一基板上に備えるセンサー部10を有し、温度分布を測定するとともに、画像情報を測定する。
これにより、測定装置1が、対象物の温度とともに、対象物の画像を検出することができるため、本実施形態による監視システム100は、被監視対象者の体温とともに被監視対象者の特徴を正確に分析することが可能になる。よって、本実施形態による監視システム100は、監視者がさらに効率良く発熱者の状況を把握し、対策を行うことができる。
【0105】
また、本実施形態では、分析部542は、過去の被監視者の発熱情報に基づいて構築された予測モデルと、発熱者の数の変化とに基づいて、発熱者の発生推移を予測する。
これにより、本実施形態による監視システム100及び監視装置50は、予測モデルを利用した簡易な手法により、正確に発熱者の発生推移を予測することができる。
【0106】
また、本実施形態による監視方法は、測定ステップと、取得ステップと、分析ステップとを含んでいる。測定ステップにおいて、測定装置1が、赤外光に基づいて、少なくとも所定の範囲の温度分布を測定する。取得ステップにおいて、監視装置50が、可視光に基づいて検出された所定の範囲の画像情報に基づいて抽出された被監視者に対応する発熱状態を示す被監視者の発熱情報であって、測定ステップによって測定された温度分布に基づいて得られた被監視者の発熱情報を時系列に取得する。分析ステップにおいて、監視装置50が、取得ステップによって時系列に取得された被監視者の発熱情報に基づいて、被監視者のうちの発熱者の数の変化を分析し、当該分析結果に基づいて、発熱者の発生推移を予測する。
これにより、本実施形態による監視方法は、発熱者の数の変化を分析し、発熱者の発生推移を予測するので、監視者が効率良く発熱者の状況を把握し、対策を行うことができる。
【0107】
なお、上述した実施形態において、監視装置50が、発熱情報生成部51と、属性抽出部52とを備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、発熱情報生成部51と、属性抽出部52とのいずれか一方又は両方を測定装置1が、備えるようにしてもよい。また、制御部54が、発熱情報生成部51と、属性抽出部52とのいずれか一方又は両方を備えるようにしてもよい。
【0108】
また、上述した実施形態では、監視システム100は、環境検出部40を備える例を説明したが、環境検出部40を備えない構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、測定装置1及び環境検出部40が監視装置50に直接接続される例を説明したが、ネットワークを介して接続されてもよい。また、測定装置1及び環境検出部40は、ネットワーク上のサーバ装置に測定情報を記憶させ、監視装置50が、サーバ装置から測定情報を取得するようにしてもよい。
【0109】
また、上述した実施形態では、予測モデルが予め構築されている例を説明したが、分析部542が、過去の測定情報に基づいて構築するようにしてもよい。また、この場合、分析部542は、定期的に、予測モデルを構築し直す(更新する)ようにしてもよい。定期的に構築し直す(更新する)ことで、監視システム100は、予測精度を高めることができる。
【0110】
また、上記の実施形態では、監視システム100は、一例として、第1の実施形態による測定装置1により測定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の実施形態による測定装置1aであってもよいし、温度分布と画像情報とを異なる装置が測定するような構成としてもよい。
【0111】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0112】
なお、上述した監視システム100は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した監視システム100が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した監視システム100が備える各構成における処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、監視システム100に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0113】
なお、本発明は次の態様でも実施することができる。
(1)対象物から反射する赤外光に基づいて、前記対象物の温度を検出する第1の検出素子と、前記対象物から反射する可視光に基づいて、前記対象物の画像を検出する第2の検出素子とを同一基板上に備えることを特徴とする集積回路。
【0114】
(2)前記第1の検出素子は、前記赤外光と、前記第2の検出素子が検出した前記画像に基づいて生成された前記対象物の反射率とに基づいて、前記対象物の温度を検出することを特徴とする(1)の集積回路。
【0115】
(3)前記対象物の反射率は、前記第2の検出素子が検出した前記画像に基づく前記対象物の色彩及び明るさに基づいて生成されることを特徴とする(2)の集積回路。
【0116】
(4)前記第1の検出素子からの距離が等しくなるように、前記第1の検出素子の周辺に配置された複数の前記第2の検出素子と、前記複数の第2の検出素子が検出した画像に基づいて、前記第1の検出素子の測定位置における補正画像を生成し、生成した前記補正画像を前記対象物の画像として出力する補正部とを備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかの集積回路。
【0117】
(5)(1)から(4)のいずれかの集積回路と、所定の検出範囲が複数の分割領域に分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光の光路を変更して、前記第1の検出素子及び前記第2の検出素子に向けて出射可能な光路変更部と、前記光路変更部に対して、前記所定の検出範囲が前記分割されたそれぞれの分割領域から入射する赤外光及び可視光を、前記分割領域を変更して前記集積回路に出射させて、前記集積回路に、前記分割領域ごとの温度及び画像を検出させる測定制御部とを備えることを特徴とする測定装置。
【0118】
(6)前記集積回路が検出した前記それぞれの分割領域における前記対象物の画像及び前記対象物の温度に基づいて、前記所定の検出範囲の画像を生成し、当該所定の検出範囲の画像と、前記それぞれの分割領域における前記対象物の温度とを対応付けて出力する出力処理部を備えることを特徴とする(5)の測定装置。
【符号の説明】
【0119】
1,1a,1−1,1−2…測定装置、10,10a…センサー部、11…サーモパイル部、12,12−1,12−2,12−3,12−4…フォトダイオード部、12R…赤色フォトダイオード部、12G…緑色フォトダイオード部、12B…青色フォトダイオード部、13…トランジスタ、14…画像補正部、20…光学系、21,23…レンズ、22…デジタルミラーデバイス、30,54…制御部、31…測定制御部、32…反射率生成部、33…出力処理部、40,40−1,40−2…環境検出部、50…監視装置、51…発熱情報生成部、52…属性抽出部、53…記憶部、100…監視システム、111…サーモパイル、112…空洞部、113…ヒートシンク部、121…マイクロレンズ、122…カラーフィルタ、123…遮光膜、124…フォトダイオード、125…ポリシリコン、131…ソース部、132…ドレイン部、133…ゲート部、531…履歴情報記憶部、532…予測モデル記憶部、541…情報取得部、542…分析部、P1,P2…監視場所、WF…半導体基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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