【実施例】
【0042】
ここで本発明の実施に際し、材料に関するさらに具体的な説明をする。
針1または2は釣り針等で使われる焼き入れされる鋼や、焼き入れされるステンレス鋼等を使用し、それらを所定の場所に配置し、溶接等で強固に固定可能な針基板3も焼き入れされる鋼や、焼き入れされる鋼やステンレス鋼が望ましい。
また、30に使われる屈曲可能な板4や10、11に使われる3や、90に使われる3aは、針1または2を直接溶接出来る、ステンレス鋼が望ましい。
【0043】
また、針のタイヤへの刺さる角度は、タイヤの回転軸方向と同じ方が該針とその取り付け基部に負担が少ないが、通行を阻止しようとする車両のタイヤ径によってその角度は変わる。
従ってタイヤ0に刺さる事が可能な針1または2の取り付け角度は、設置時の鉛直方向に限らず、針取り付け基板3の面から設置時の鉛直を中心に45°の範囲で該針取り付け基板3に取り付けられる。
【0044】
31の形態を成す複数の針基板3を帯状に連結させる部材はステンレスワイヤーロープ、チェーン、グラスファイバー、ポリアリレートファイバー、ポリイミドファイバー、超高分子量ポリエチレンファイバー、PBOファイバー、アラミドファイバー、カーボンファイバー等が望ましく、31全体で屈曲可能なものであれば、前記材料、構造をいずれか1つ以上を含んで組み合わせた複合材料や、複合構造でも良く、針基板3同士をヒンジやチェーンで連結しても良い。
【0045】
膠着摩擦部40を構成する部材は例えば、強靱で軽量であるカーボンファイバーを使ったCFRP等の複合材料に加えて、両端が刃物状になっている部分45は焼き入れされた刃物同様の鋼材またはステンレス等を使用すべきであり、例えば鋼を芯材としたCFRP等で構成しても良い。
【0046】
また、40と、30または31が屈曲可能に連結する部材44は、やはりステンレスワイヤーロープ、チェーン、グラスファイバー、ポリアリレートファイバー、ポリイミドファイバー、超高分子量ポリエチレンファイバー、PBOファイバー、アラミドファイバー、カーボンファイバー等やそれらを1つ以上組み合わせた複合材を使った高強度部材が望ましく、31を構成する3同士の連結部分や、30や31と40との該連結部分には1つ以上のヒンジやチェーンが設けられても良い。
【0047】
該タイヤ巻き付きベルト部30または31と、膠着摩擦板40を連結する屈曲可能な接続部材44と、
膠着摩擦板40に配置される接続部分43は、
図3〜10の例にある様に、必ずしも膠着摩擦部40の端部で有る必要は無い。
【0048】
30または31に配置される針1は、例えば人が踏んでも安全な様に、該タイヤ0による圧迫で針1または2が該タイヤトレッド面に刺さる時以外は、その鋭い先端が他の硬い物に触れて、該針自体や該他の硬いものを破損する事が無い様、直接露出しないようにガードされるべきである。
【0049】
そこで、
図13〜
15の様に、個々の針1または2の間に、該針1または2の設置時の鉛直方向の寸法より高い板状部材を配置する。
前記板状部材は、設置時の鉛直方向と交わる方項に厚みを持ち、板の広がる方向は例えば34、35の様にV字形やC字形の様に2方向以上に拡がる面で構成される板状部材であり、例えば、
図14の矢印GFの様に設置時の鉛直方向からの1平方センチあたり5kgまでの力に耐えるが、30または31に進入して来る際のタイヤが進入してくる方向から(例えば
図14の矢印TF)が1KN以上の力が加わると、針1または2を残して屈曲するか倒れるか、破断または破壊する特性を持つ樹脂等の部材を配置する事で安全に設置出来る。
【0050】
針1または2に替えて、30または31に配置される粘着剤格納容器
(図示せず)の場合も、同様に該タイヤによる容器破壊以外の圧力から守られなければならないので、車両通行阻止器設置時の該粘着剤格納容器の鉛直方向の高さ寸法より大きい寸法の板状部材を該各粘着剤格納容器の間に配置する。
【0051】
該粘着剤格納容器の高さより大きい寸法の部材は、例えば、車両通行阻止器設置時の該粘着剤格納容器の鉛直方向からの1平方センチあたり5kgまでの力に耐え、30または31に進入して来る際のタイヤが進入してくる方向からの力、つまり、タイヤ巻き付きベルト部の長さ方向からの力が1KN以上の力で屈曲するか倒れるか、破断または破壊する特性を持つ部材を配置する事で安全に設置出来る。(図示せず)
【0052】
図9の9−Dの様に膠着摩擦部が曲げの特性を殆ど持たない部材40aを使った場合においては、
まずタイヤ巻き付きベルト部31を進入車両のタイヤ0が踏むと、多数の針1または2が該タイヤ0のトレッド面に刺さり、31が該タイヤ0に巻き付き、該タイヤ0の回転とほぼ同じ力で40aが引っ張られ、9−Dの該タイヤ0に40aが刺さる。
【0053】
そのまま車両が進行する事でタイヤ0が回転を続けると、9−Dの40aはタイヤハウス01の入り口角部分と路面に強く接触して、非常に大きな摩擦抵抗が生じ、該タイヤ0の回転を抑制する。
【0054】
また、車両が後退しようとしても、9−Dの40aが筋交いの様な状態となっており、後退しようとすると、40aの膠着摩擦部が接する路面と該タイヤ部に大きな力が加わり、この状態を維持する事となり、同様に該タイヤ0は回転出来ない。
【0055】
40や40aに設けられた刃物状の突起部の一部に突起方向とは逆方向の「返し」を更に設けて、該タイヤ0や該タイヤハウス01に刺さっても容易に抜けないようにしても良い。(不図示)
【0056】
また、膠着摩擦部40や40aの後に更に1つ以上の膠着摩擦部を屈曲可能な部材またはヒンジ部を持つ部材で連結しても良い。
その際、長さの違う膠着摩擦部を短いものから順に連結する事で、車種によるタイヤハウス部01とタイヤ0との空間の大きさに幅広く対応出来る。
【0057】
例えば、
図10の様に40d、40e、40fと後ろに行くに従い長くなる膠着摩擦板を付けたものを使うと、軽自動車から大型車両まで幅広い車種に、ひとつの阻止器で対応できる。
10−Aの場合は40dがタイヤに刺さり、タイヤハウス入り口と路面に40dが強く接触して膠着して後退も出来なくなる。
10−Bの場合は40d、40eは大きなタイヤハウスに入るが、40fは前記タイヤハウスに入りきれず、前記タイヤと前記タイヤハウス入り口と前記路面で膠着する。更に、場合によっては既に前記タイヤハウスに入っている40eが前記タイヤハウス内部で膠着する可能性もある。
この様に車種によっての大きく違うタイヤ径とタイヤハウス内スペースを、車両進入方向に対して長さの違う膠着摩擦板を複数連結する事で、対応できる。
【0058】
図11、12の47、48の様に膠着摩擦板を想定のタイヤ外周より長くして、タイヤハウス内に巻き込ませても良い。
その際、47、48の様に膠着摩擦板の終端部の厚みを厚くして楔形にする事で、より早くタイヤハウスのスペース内に巻き付いた膠着摩擦板が充満すると、タイヤ外周部とタイヤハウス内のスペースが無くなりタイヤの回転は抑制される。
また、タイヤハウス内に47、48が充満しなくても、47、48自体の板バネの力でタイヤやタイヤハウスを強く押し付ける事で制動効果が期待できる。
【0059】
当然、この状態からタイヤを逆転しようとした場合でも、同様に抑制が掛かるので、車両の前進後退等の走行は困難になる。
また、47、48の面から立ち上がり、展開可能な複数の逆止板50を配置しても良く、47、48がタイヤに巻き込まれる早い段階で後退しようとしても後退の抑制効果が期待できる。
【0060】
なお、本件明細書中では、主に針を使ったタイヤ膠着ベルト部について述べているが、容器中に粘着剤を封入したものを使った、または針と粘着剤を併用したタイヤ膠着ベルトであっても同様である。
【0061】
多数の針のタイヤへの膠着性は、タイヤの表面の濡れや泥、土、砂等の汚れ、温度などに左右されにくく、且つタイヤの外周方向の引っ張り強さも持っている。
【0062】
図16〜19はタイヤ巻き付きベルト部に屈曲可能な接続部材44によって連結される折りたたみ部材の一例である。
基本的に
図16〜19の何れも、折りたたまれた板状部材から楔形または多角錐形の立体に展開可能で、板同士の開いた空隙に、嵌合する部材が入る事で、開いた状態を維持し、該立体に展開した部材が再び閉じないようになっている。
または展開している2つ以上の部材の展開軸以外の場所で、該2つ以上の部材に貫通する固定ピンが入る事で、その形状を維持する。
【0063】
図16について説明する。
タイヤ巻き付きベルト30または31に屈曲可能な連結部材44によって43を介して接続される部材40bはヒンジによって40b0と接続される40b1a、40b1b、40b2a、40b2b、40b2cが配置されており、40b0の厚み方向が鉛直となるように、30または31の下に折りたたんだ状態で設置される。
【0064】
30、または31の上をタイヤが通過すると該30または31の多数の針群が該タイヤに刺さる事と該タイヤが回転を続ける事で、該タイヤに巻き付き、続いて該30または31に接続された44によって40bは引っ張られる。タイヤ巻き取り方向に40bが引っ張られることで、折りたたまれた40bは展開を始める。矢印Aa、Abの様にH40b1a、H40b1bのヒンジに設けられたスプリングによって40b0より跳ね上がるように展開する。
【0065】
さらに同様に40b2a、40b2b、40b2cの板がヒンジH40b2a、H40b2b、H40b2cを中心にスプリングによって展開して、40b1a、40b1bを挟むようになるので、変形に対して強度を持ち、折りたたむ為の特定の手順を踏まない限り不可逆的に展開したままの状態の機械的強度を保持する。この不可逆的な立体への展開は以下に述べる
図17〜19も、仕組みは違えど同様である。
【0066】
この様な形状に展開したものが、
図20の様にタイヤの順回転で20−Aの様にタイヤハウスへの引き込みによる制動と、20−Bの様にタイヤ逆回転による車止め効果に対する剛性が期待でき、結果的に車両の前進と後退を阻むことが出来る。
【0067】
図18は折りたたまれ、展開する膠着摩擦部の構造違いによるもので、同様に、楔形に展開するが、該楔形の内部に折りたたまれた板状部材40d5はそのヒンジ部の高さの水平な面で切った断面空間より小さい形状をしており、それがスプリングの力で40d5が跳ね上がり、該断面空間を塞ぐ事により該楔形の強度を上げている。
【0068】
図19はヒンジで接続された二枚の板の間を、該板の片方はヒンジで、もう片方はスリットが切られたレールの中をローラーがスライドする継ぎ手で接続されて、スリットの端部40e5、40e6、40e7はスリットの向きが変わっている。
この部分にローラーが入ると、該ローラーは逆方向に移動しにくくなる。
これは即ち、いったん開いた楔形膠着摩擦部はその形状を保ち続ける事を意味する。
【0069】
図20は楔形または多角錘の立体に展開した膠着摩擦部が、タイヤの前進方向と後退方向での挙動を示すものである。
タイヤが前進しながら30または31を踏むと、タイヤの回転により該タイヤに巻き付き、それに続く44によって400が引っ張られ、フラットに折りたたまれていた400は、楔形にまたは多角錘形に展開し、内部で展開逆止部材が展開して楔形にまたは多角錘形の形状を外力から安定して保つ。
400の底面の大きさがタイヤハウス01とタイヤ0の間の隙間より大きい場合、20−Aの様に該楔形にまたは多角錘形はタイヤ面とタイヤハウスとの間に挟まり、タイヤの回転を妨げる。
また、20−Bの様に逆方向にタイヤを回転させても、タイヤ面とタイヤハウスと路面の間に楔形にまたは多角錘形が挟まる形でタイヤの後退を妨げる。
【0070】
図16〜20の楔形または多角錘形の表面に高摩擦体を配置したり多数の突起部を配置しても良く、該楔形または多角錘形の一部に刃物状の突起部を設けても良い。
【0071】
図21はタイヤに刺さる針の角度を該針の基部3aの一部に任意の角度に設定可能な可動のヒンジ部H3aを設ける事で該針の該タイヤに対する入射角度を可変にする説明である。
ヒンジ部H3aは屈曲可能な金属板でも良いし、回転軸を持ったヒンジでも良い。
【0072】
最初にタイヤに刺さった針の角度は、タイヤが回転進行することで、該タイヤによる鉛直方向の加重が該針に対して加わる力の向きはタイヤの進行方向に対して前後に動く。
特にタイヤ径が小さい場合に、この傾向は強くなる(
図15参照)。
これはタイヤの中で針がタイヤをこじる様に動こうとする為、タイヤに針群を膠着させる目的からすれば避けた方が良い。
そこで、21−Aの様に針を固定する基部3aをタイヤの進行方向に交わる方向にヒンジH3aを持つ部材にして、該針を固定する基部をタイヤの進行に応じて可変にする事で21−Bの様に該タイヤに刺さった針の動きを抑えることが出来る。
【0073】
タイヤに刺さる針の入射角度はタイヤとレッド面を円弧とする接線に直角、すなわち該タイヤ回転軸を向いていることが理想である。
しかし、単に設置時に鉛直に向く方向に固定された針では、転がってくるタイヤの回転中心軸に針先が向く事はなく、そのままタイヤの接地圧で針と針基板は、該タイヤの回転中心軸方向に圧迫され、針と針基板に不要な力が加わる。
そこで、該タイヤ進入方向と交わる方向にヒンジを持つ該針基板3aを設ける事で、タイヤに針が刺さった後、タイヤの回転で針の角度のズレによる圧力の歪みを緩和できる。
【0074】
図22は複数の膠着摩擦板同士を接続する形態の一例で、40dと40eの両端には刃物状突起45d、45eが備えてあり、互いに噛み合う様に接近して配置されており、それぞれの膠着摩擦板の端部では無く、中央寄りに、連結のためのヒンジ部43d、43eが設けてある。
この様な形態にすることで、タイヤハウス内に引き込まれやすく、且つ内部で折れ曲がりその刃物状突起と、表面の高摩擦形状(図示せず)によってタイヤハウス内部及び路面との間で膠着しやすくなる(
図10参照)。