(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395180
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】商品陳列用棚板部材及び商品陳列什器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20180913BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
A47F5/00 B
A47B96/02 A
A47B96/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-95746(P2014-95746)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-211802(P2015-211802A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】100071663
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 保夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100125324
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 健
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 充嗣
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−130102(JP,A)
【文献】
実開昭50−113391(JP,U)
【文献】
米国特許第05709158(US,A)
【文献】
特開平11−221129(JP,A)
【文献】
特開2005−144118(JP,A)
【文献】
特開2001−169839(JP,A)
【文献】
特開2003−144281(JP,A)
【文献】
実開昭58−026372(JP,U)
【文献】
特開平11−221128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47B 96/02
E04F 19/08
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の素材からなり、
天板部と上方側板部からなる蓋状の上方部材と、
底板部と下方側板部を備える箱状の下方部材と、を有し、
該上方部材の開口側と該下方部材の開口側を対峙させ、該上方部材の内側に該下方部材を嵌め込み、両者を係合又は接着により一体化したものであり、
前記天板部及び前記上方側板部は、薄板状であり、前記下方部材の内側は、補強リブ構造であることを特徴とする商品陳列用棚板部材。
【請求項2】
前記補強リブ構造は、縦横の補強リブ板及び補強金属部材で形成されていることを特徴とする請求項1記載の商品陳列用棚板部材。
【請求項3】
前記補強金属部材は、一対の補強リブ板間に形成される溝内に付設されたものであることを特徴とする請求項2記載の商品陳列用棚板部材。
【請求項4】
前記補強金属部材は、断面が逆U字形状であることを特徴とする請求項3記載の商品陳列用棚板部材。
【請求項5】
平面視が矩形状であり、所定の厚みを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の商品陳列用棚板部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の商品陳列用棚板部材を備える商品陳列什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーや量販店等の店舗で使用する陳列面にヒケがでない棚板部材及びこれを備える商品陳列什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3153601号には、木材、集合材または合成樹脂などの素材を用いた商品陳列用の棚板本体を備える商品陳列用棚板が開示されている。近年、スーパーや量販店等の店舗で使用する商品陳列用棚としては、平面視が矩形状であり、所定の厚みを有する所謂板状の合成樹脂製の棚板部材が知られている。このような棚板部材は例えば、2つの支柱間に差し渡しで多段で設置されるものであり、この棚板部材の上面に衣料品などの商品が並べられる。合成樹脂製の棚板部材の製造法としては、溶解したプラスチックを押し出して製品を形作る押出し成型法が知られている。
図13に示すように、押出し成型法で製造された棚板100は、天板101と、天板101と底板102間に形成された薄板状の補強リブ板103とが一体となっている。補強リブ板103は、棚板100に軽量化と高強度化を付与する。なお、符号104は左右端の蓋部材であり、内部の補強リブ構造を隠し、意匠性を高めるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3153601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂成型法において、冷えて取り出された棚板は溶けた樹脂の状態と較べて多かれ少なかれ収縮する。このため、出来上がった棚板は押し出されたそのままの形状とはならず、へこんだりする部分が存在する。この収縮による不良がヒケである。この収縮は当然ながら押し出された樹脂材料の量に比例するため、棚板に厚みの有る部分でヒケを生じやすい。例えば、棚板表面105は平面でも裏面にリブ板が存在するものは凹凸状となり、裏面が凸の部分が収縮し、表面側のリブ板に相当する位置にヒケ106が生じる。このため、意匠性が悪くなり、陳列する商品の印象にも悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、ヒケが生じない棚板部材及びこれを備える商品陳列什器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決したものであって、合成樹脂の素材からなり、天板部と上方側板部からなる蓋状の上方部材と、底板部と下方側板部を備える箱状の下方部材と、を有し、該上方部材の開口側と該下方部材の開口側を対峙させ、該上方部材の内側に該下方部材を嵌め込むか、あるいは該下方部材の内側に該上方部材を嵌め込み、両者を係合又は接着により一体化したことを特徴とする商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記下方部材の内側は、補強リブ構造である前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。また、本発明は、前記補強リブ構造は、縦横の補強リブ板又は補強金属部材で形成されている前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記天板部は、薄板状であることを特徴とする前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記上方側板部は、薄板状であることを特徴とする前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記補強金属部材は、一対の補強リブ板間に形成される溝内に付設されたものであることを特徴とする前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記補強金属部材は、断面が逆U字形状であることを特徴とする前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、平面視が矩形状であり、所定の厚みを有することを特徴とする前記商品陳列用棚板部材を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記商品陳列用棚板部材を備える商品陳列什器を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓋状の上方部材と箱状の下方部材の嵌め込みにより得られたものであるため、上方部材の天板は、内部のリブ板を形成する必要はなく、一様な薄板状とすることができる。このため、棚板部材表面にヒケが生じない。このため、意匠性を損なうことはなく、陳列の演出を高めることができる。なお、棚板部材の強度を高めるため、下方部材の内側を補強リブ構造としてもよいが、下方部材の底板の裏面にヒケは生じても、この部分は顧客からは見えない部分であり、意匠性に影響しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態における商品陳列用棚板部材の斜視図である。
【
図2】
図1の商品陳列用棚板部材の分解斜視図である。
【
図3】
図1の商品陳列用棚板部材の下方部材の内部構造の一部の拡大斜視図である。
【
図4】
図3において、金属補強部材を取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図7】上方部材と下方部材の係止の一例を示す係止前の状態図である。
【
図8】上方部材と下方部材の係止後の状態図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態における商品陳列用棚板部材の斜視図である。
【
図10】
図9の商品陳列用棚板部材の分解斜視図である。
【
図11】
図1の商品陳列用棚板部材の支柱への取付けを説明する図である。
【
図12】本発明の実施の形態における商品陳列什器の斜視図である。
【
図13】従来の商品陳列用棚板部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態における商品陳列用棚板部材(以下、単に「棚板部材」とも言う。)を
図1〜
図8を参照して説明する。棚板部材10は、天板部11と上方側板部12からなる蓋状の上方部材1と、底板部21と下方側板部22を備える箱状の下方部材2と、を有し、上方部材1の開口側と下方部材2の開口側を対峙させ、上方部材1の内側に下方部材2を入れ込み、両者を係合又は接着により一体化したものである。
【0017】
上方部材1において、天板部11は、本例では、薄板状で平面視が長方形の大きな面積を有する。天板部11の表面は陳列面となるものであり、これにより、衣料品など多数の品を整然と陳列することができる。また、天板部11の裏面には補強リブ板など天板部11と一体となる突起部が形成されていない。このため、ヒケは発生していない。
【0018】
上方部材1において、上方側板部12は、本例では、長手方向に延びる前方側板部12aと、前方側板部12aと平行の延び対峙する位置にある後方側板部12bと、短手方向に延びる右側板部12c、左側板部12dとからなり、4つの側板は連続一体化して帯状をなしている。これらの上方側板部12は、薄板状である。また、上方側板部12の高さ寸法は、略棚板部材10の厚み寸法となる。また、上方側板部12は天板部11の端部から天板部11に直角で下方に垂れるように形成されている。これにより、上部部材1は、板状の棚板部材10を形成した際、底板を除いて、外観面を形成することになる。
【0019】
上方側板部12の高さ寸法は棚板部材10の厚みとなるため、最大で50mm、好ましくは10〜30mm程度である。すなわち、上方部材1は浅底の箱状体である。上方部材1において、薄板状の天板部11の厚みと薄板状の上方側板部12の厚みは同じであることが作製上の観点から好ましい。上方側板部12には、支柱6の突起62に係止する係合凹部13が左右の側板部12c、12dに形成されている(
図7、
図8および
図11参照)。係合凹部13は、本例では円筒状の突起62に係止するため、半円形状の切欠きとなっている。
【0020】
また、上方側板部12は、下方側板部22と嵌合するための上方係止部14が形成されていてもよい。すなわち、上方係止部14は、下方部材2の下方係止部24と係止するものである。これにより、上方部材1と下方部材2が一体化して棚板部材10とすることができる。上方係止部14としては、種々の公知の係止部が使用できるが、本例では、
図7に示すように、上方側板部12の裏面に形成される薄板状の突起である。この薄板状の突起14は、内側面が上方に向けて漸次厚みが大となっている。すなわち、側面視が楔形状の突起である。この突起14の上方角部に下方部材2の板バネである下方係止部24の突起が係止する。
【0021】
上方部材1は、補強リブ板3が形成されていなくとも、下方部材2と一体となることで、好ましくは補強リブ板3で補強された下方部材2と一体となることで、組み立て後の棚板部材10は強度を保持することができる。上方部材1は天板部11及び上方側板部12が一体成型されたものが好ましい。
【0022】
下方部材2は、上方部材1に対応する外形状を有する。すなわち、下方部材2が上方部材1の内側に嵌り込む場合、下方部材2の外寸法が、上方部材1の内寸法と略同じか、又は極僅か小さい。また、上方部材1が下方部材2の内側に嵌り込む場合、上方部材1の外寸法が、下方部材2の内寸法と略同じか、又は極僅か小さい。これにより、上方部材1と下方部材2は隙間なく、嵌合することができ、意匠性に優れた棚板部材10とすることができる。
【0023】
すなわち、下方部材2が上方部材1の内側に嵌り込む場合、下方部材2の底板部21の外寸法は上方部材1の天板部11の内寸法、すなわち、天板部11の外寸法から上方側板部12の厚みの2倍を引いた寸法分、小さい。また、下方部材2の下方側板部22は、底板部21の端から上方に直角に延びるものであり、周方向における外寸法は上方部材1の上方側板部12の周方向における内寸法と略同じか、あるいは極僅か小さい。また、下方側板部22の高さ寸法は上方側板部12の高さの内寸法、すなわち、上方側板部22の高さの外寸法から天板部11の厚みを引いた寸法であることが、棚板部材10を形成した際、内側の下方側板部22が外観から見えず、意匠性に優れたものとなる。
【0024】
下方部材2の内側(内部)は、補強リブ板3又は補強金属部材33で補強された補強構造とすることが好ましい。補強リブ板3は、下方部材2の内部に、縦横または斜めに付設される薄板状であり、軽量化と高強度を達成することができる。補強リブ板3が形成されることで、底面部21の裏面にヒケが発生するが、この部分は顧客からは見えず意匠性に悪影響しない。補強リブ構造は、本例では、
図2に示すように、縦横に延びる板状体3と円筒状のリブ突起35である。円筒状のリブ突起35は、縦横に延びる板状体の交差部の一部に形成されている。これにより、更に強度が高まる。また、下方部材2の長手方向の両端近傍は、補強リブ板3が密となっている。また、補強リブ板3及び円筒状のリブ突起35の上端は下方側板部22の上端と高さが一致するようにすることが好ましい。すなわち、補強リブ板3やリブ突起35の高さが、下方側板部22の内高さより高いと補強リブ板3の上端が上方部材1と下方部材2の嵌めこみの際、障害となるからである。補強リブ板3やリブ突起35の上端を下方側板部22の上端と高さを一致させておけば、棚板部材10を形成した際、上方部材1の天板部11が補強リブ板3の上端と当接する位置で平らになり、商品が載せられても、凹んだりすることがない。下方部材2において、補強リブ板3は棚板部材10が薄く、小さい場合、不要とすることもできる。
【0025】
補強金属部材33は、主に、補強リブ板3と共に、下方部材2の内部に付設されて下方部材2を補強するものであり、板状体、U字断面体、棒材などが使用できる。また、補強金属部材33は、本例では、補強リブ板3である一対の板状体311a、311b間に形成された溝312内に設置されている(
図3及び
図4)。これにより、補強金属部材33の取り付けが容易となり、且つ固定が安定する点で好ましい。補強金属部材33は、断面がU字形状で長尺状のものが、軽量化と高強度が図れて好ましい。本例では、補強金属部材33を溝312内にU字が逆さとなるように設置する。溝幅は補強金属部材33の幅寸法と同じか、それより僅かに大とする。これにより隙間なく設置できる。また、溝312内には段差付き突起34が長手方向の所定のピッチで複数形成されている。すなわち、突起34は下方の突起部の径が大であり、上方の突起部の径がそれより小であり、段差(肩部)341bを形成している。この段差341bに、補強金属部材33の切欠き部334が嵌るため、長手方向の移動が規制されて設置が安定する。突起34は補強金属部材33のU字形状の内側に入る大きさのものであり、補強金属部材33の内側への変形を防止する。また、突起34の形状は円筒突起34bに限定されず、板状突起34aであってもよい。補強金属部材33は溝312内に設置後、螺子止めすることが好ましい。螺子4は、補強金属部材33の天板312の螺子開口313から通され、円筒突起34bの中央に切られた螺子孔に螺合する(
図3〜
図6)。
【0026】
また、下方側板部22には、上方側板部12と嵌合するための下方係止部24が形成されていてもよい。すなわち、下方係止部24は、上方部材1の上方係止部14と係止す。これにより、上方部材1と下方部材2が一体化して棚板部材10となる。下方係止部24としては、種々の公知の係止部が使用できるが、本例では、下方側板部22に形成される薄板バネ状の突起である。この薄板バネ状の突起24は、板状の突起本体241の上部外側面が下方に向けて漸次厚みが大の突起であり、側面視が上方係止部14の突起141とは逆向きの楔形状である。この突起24は、上方部材1の上方係止部14に当たると内側に撓み、次いで、押し込まれることで、復元し、上方係止部14の角状の突起141に下方係止部14の突起141が係止する。
【0027】
下方側板部22の左右の側板部22c、22dには、上方側板部12の係合凹部13と対応する位置に、下方係合凹部23が形成されている。下方係合凹部23は、係合凹部13と同様に、半円形状の切欠きとなっている。これにより、棚板部材10においては、係合凹部13と共に、半円形状となって、支柱6の突起62に係止することができる(
図9参照)。
【0028】
棚板部材10は上方部材1と下方部材2を嵌め込み係止又は接着により一体化して作製される。本例の棚板部材10は、上方部材1の開口側と下方部材2の開口側を対峙させ、上方部材1の内側に下方部材2を嵌め込み、係止又は接着により一体化して作製される。係止の場合、上記の上方係止部14と下方係止部24による係止が挙げられる。すなわち、上方部材1と下方部材2を嵌め込む際、下方係止部24の微小突起242が、上方係止部14の微小突起141に当たり、下方係止部24は内側に撓み、微小突起242は微小突起141を乗り越えて、下方係止部24は元の形状に復元して上方係止部14と係止する。上方部材1と下方部材2の接着は、接着剤による接着接合である。この場合、接着面は、上方部材1の上方側板部12の内側面と下方部材2の下方側板部22の外側面である。また、この側板部の接着面は全部または一部である。
【0029】
このように組み立てられた棚板部材10は、平面視が矩形状であり、所定の厚みを有し、外観を形成する天板及び4つの側板は、上方部材1の天板部11及び上方側板部12であり、底板が下方部材2の底板部21である。従って、外観からは2つの嵌め込みであるとは判断されず、一体ものと判断できる。また、下方部材2は補強リブ板3及び補強金属部材33で補強されており、軽量化と高強度化を達成している。補強リブ板3の上端は、天板部11と当接しつつも、接着などで一体にはなっていない。また、ヒケは天板及び側板に現れず、意匠性が高く、陳列商品に悪影響を及ぼすことはない。
【0030】
次に、棚板部材10の他の実施の形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9及び
図10において、
図1〜
図8と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し異なる点について主に説明する。すなわち、
図9及び
図10の棚板部材10aは、前面に2つの開口部7a、7bを形成した点、下方部材2の内側中央部の補強リブ板3を省略した点にある。開口部7aには、2つの差し込み口8a、8bが形成されている。すなわち、棚板部材10aを構成する上方部材1の前方側板12aには、2つの開口部7a、7bが形成され、下方部材2には、2つの開口部7a、7bに対応する位置に2つの差し込み口8a、8bが形成されている。下方部材2における差し込み口8aは天板と手前の側板を除く、4面で囲まれた四角形の差し込み口であり、棚板部材10を形成する際、開口側を除いて5面で囲まれた差し込み口となる。また、後面にはマグネットが付設されている。これにより、後面に鉄板が付設された表示具を挿入すれば、強い磁力による固定で設置が安定する。不図示の表示具は、例えば前面に価格や商品名が記載されたものである。
【0031】
棚板部材1aの下方部材2の内側の補強リブ構造は、長手方向の両端近傍に形成される補強リブ板3a、短手方向の両端近傍に形成される一対の補強リブ板311a、311b及び一対の補強リブ板311a、311b間の溝に収容される補強金属部材33からなる。下方部材2の内側がこのような補強リブ構造であっても強度は十分である。
【0032】
次に、本発明の実施の形態における商品陳列什器20について説明する。商品陳列什器20は、棚板部材10を備えるものである。本例では対峙する2本の支柱6間に差し渡しで設置される。すなわち、4本の支柱は長手方向の内寸法が棚板部材10の外寸法となるように、短手寸法の外寸法が棚板部材10の外寸法となるように設置される。支柱6は下方で基台8に、上方で横(左右)棒部材7と縦(前後)棒部材9で固定される。支柱6の内側面には上下多段に丸穴61が形成されており、丸穴61に円柱状の突起(ボス)を挿入し支柱面から一部を突出させている。この突出部62に棚板部材10の半円形状の係止凹部13(23)が係止する。このような棚板部材10は支柱6に対して多段に設置される。商品陳列什器20で使用される棚板部材10は、樹脂製であっても、陳列面にヒケは生じない。このため、意匠性が悪くなることはなく、陳列の演出を高めることができる。なお、棚板部材10の底板の裏面にヒケは生じても、この部分は顧客からは見えない部分であり、意匠性に影響しない。
【0033】
本発明は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。例えば、上方部材1と下方部材2の嵌め込み方法は、上記方法に限定されず、下方部材2の内側に上方部材1を嵌め込み、両者を係合又は接着により一体化してもよい。この場合、下方部材2の内側が補強リブ構造である場合、上方部材1が嵌る溝を下方側板部22の内側で補強リブ構造の外側に形成しておくことが好ましい。
【0034】
また、棚板部材10の平面視形状は、上記長方形に限定されず、円形、楕円形、四角形以外の多角形、不定形などであってもよい。この場合、支柱構造及び支柱配置は、棚板部材の形状に対応したものとすればよい。棚板部材10の支柱への係止構造は、上記半円形状の係止凹部13(23)に限定されず、種々の係止構造を採ることができる。また、棚板部材10の係止凹部13(23)は、省略することができる。この場合、棚板部材10は基台上へ単に載置するか、又は枠状の基台に嵌め込むことになる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、樹脂製棚板部材の陳列面におけるヒケ現象の問題を簡単な方法且つ低コストで解決でき、陳列商品の印象に悪影響することはない。このため、製造メーカ及び店舗にとって都合がよい。
【符号の説明】
【0036】
1 上方部材
2 下方部材
3 補強リブ板
4 螺子
10、10a 棚板部材
11 天板部
12 上方側板部
13 係合凹部
14 上方係止部
20 商品陳列什器
21 底板部
22 下方側板部
23 下方係合凹部
24 下方係止部
33 補強金属部材