(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395181
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】連続手摺
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-140703(P2014-140703)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-17318(P2016-17318A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】永谷 有弘
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−077516(JP,A)
【文献】
特開2009−275501(JP,A)
【文献】
米国特許第03930638(US,A)
【文献】
登録実用新案第3143530(JP,U)
【文献】
特開2008−019582(JP,A)
【文献】
実開昭54−028211(JP,U)
【文献】
実開昭55−096223(JP,U)
【文献】
特開昭58−037254(JP,A)
【文献】
米国特許第06533251(US,B1)
【文献】
中国実用新案第2649684(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される取付部と、該取付部から上方に向かって突出するアーム部と、該アーム部の上部に膨隆する手摺部と、を一体に形成した合成樹脂製の長手方向の両端部が開口する空間部を有する手摺本体と、隣接する上記手摺本体を接続する合成樹脂製の接続部材と、を具備する連続手摺であって、
上記手摺本体は、使用者の拇指を除く4指が挿入可能な上方に凹状の指掛け凹部と、上記アーム部の上向き傾斜状の外面上端に上記拇指が掛止可能な円弧部を介して上方に延在する平坦部と、該平坦部の上端と上記指掛け凹部に跨がって円弧状に隆起する掌支持部とを有し、
上記接続部材は、隣接する上記両手摺本体の上記アーム部及び上記手摺部の外周面と略同形状に形成されると共に、手摺本体の長手方向端部と嵌合する嵌合部を有する、
ことを特徴とする連続手摺。
【請求項2】
請求項1記載の連続手摺において、
直線状に隣接する上記両手摺本体を接続する直状接続部材は、上記手摺本体より軟質の合成樹脂製部材にて形成され、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する板状基部と、該板状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、を一体に形成してなり、
上記板状基部は、該板状基部の中央に仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部及び下部嵌合部を突出し、
上記仕切壁における上記手摺本体の長手方向端部が当接可能な部位に、上記手摺本体が線膨張により伸張して当接した際に弾性変形可能な複数の突起を突設してなる、
ことを特徴とする連続手摺。
【請求項3】
請求項1記載の連続手摺において、
出隅部において隣接する上記両手摺本体を接続する出隅用接続部材は、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する円弧状に湾曲するエルボ状基部と、該エルボ状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、上記手摺部の上記平坦部の下部と上記アーム部の上部及び上記円弧部の内面に当接する補助嵌合部と、を一体に形成してなり、
上記エルボ状基部は、該エルボ状基部の湾曲部中央に仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部、下部嵌合部及び補助嵌合部を突出してなる、
ことを特徴とする連続手摺。
【請求項4】
請求項3記載の連続手摺において、
上記エルボ状基部の掌支持部における湾曲部を含む内側を、上記指掛け凹部を残して断面平坦状に形成してなる、ことを特徴とする連続手摺。
【請求項5】
請求項3記載の連続手摺において、
上記エルボ状基部の掌支持部における湾曲部を含む内側を、上記掌支持部の上部円弧部と上記指掛け凹部を残して断面平坦状に形成してなる、ことを特徴とする連続手摺。
【請求項6】
請求項3記載の連続手摺において、
上記エルボ状基部は、該エルボ状基部の湾曲部の内側面に上記仕切壁に連なる一対の傾斜内壁にて形成される拡開凹部を有し、上記拡開凹部には、該拡開凹部の開口部を塞ぐと共に、上記湾曲部の内側面と同一面の蓋部を有する仕上げ材が被着される、ことを特徴とする連続手摺。
【請求項7】
請求項1記載の連続手摺において、
入隅部において隣接する上記両手摺本体を接続する入隅用接続部材は、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する帯状基部と、該帯状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、を一体に形成してなり、
上記帯状基部は、該帯状基部の中央に、上記手摺本体の長手方向端部が当接する仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部及び下部嵌合部を突出してなる、
ことを特徴とする連続手摺。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の連続手摺において、
上記手摺本体の長手方向端部に装着される端部キャップ材を更に具備し、
上記端部キャップ材は、上記手摺本体の取付部、アーム部及び手摺部と略同形状に形成される主嵌合部を有する外面縁部が円弧状に形成されるキャップ基部と、該キャップ基部から突出して上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、上記手摺部の上記平坦部の下部と上記アーム部の上部及び上記円弧部の内面に当接する補助嵌合部と、を一体に形成してなる、
ことを特徴とする連続手摺。
【請求項9】
請求項1記載の連続手摺において、
上記手摺本体は、上記取付部の下面外面と上記アーム部の上部外面との間に形成される固定ねじ取付用の段状凹溝と、該段状凹溝の開口部を閉塞すると共に、閉塞状態で上記アーム部の外面と同一面を有するカバー材とを具備し、
上記段状凹溝の開口部の上下縁には、上記アーム部の外面より内方に段部を介して突出する上部及び下部係合凸条が突設され、上部係合凸条の内方側に係合凹条が沿設され、
上記カバー材は、弾性変形可能な合成樹脂製部材にて形成され、上記段部内に挿入されるカバー本体と、該カバー本体の内面側の上下端部に設けられ、上記上部及び下部係合凸条に係合可能な上部及び下部係止爪とからなり、上記上部係止爪が上記上部係合凸条を乗り越えて上記係合凹条に係脱可能に形成されている、
ことを特徴とする連続手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連続手摺に関するもので、更に詳細には、出隅部や入隅部を含む壁面において隣接する手摺本体を隙間なく連続する連続手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の廊下等の壁面に密着して固定される複数の手摺本体を、接続部材によって接続する連続手摺が使用されている。
【0003】
この連続手摺は、壁面に密着して取り付けられ、壁面からの突出量が小さいため、車椅子やストレッチャー等の運搬機器を使用する幅の狭い廊下や通路に設置させるのみではなく、病院等に設置されている。
【0004】
従来のこの種の連続手摺として、壁面に密着して固定される複数の手摺部材と、隣接する手摺部材を接続する架橋部材(接続部材)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の連続手摺において、手摺部材は、支持面を壁面に当接させて壁面に固定されるブラケットと、該ブラケットに取り付けられる手摺本体とを有しており、手摺本体は、壁面から離隔する方向に突出した外形を有する把持部と、該把持部の上縁部に形成された巻回部と、該巻回部に連続する凹状湾曲面とを有している。また、出隅部や入隅部を含む壁面において隣接する手摺本体を接続する接続部材は、上記把持部と卷回部を滑らかに連結している。この接続部材と壁面との間には、把持部と卷回部に溜まった塵埃の掃き出しを可能にするために空間部が設けられている。
【0006】
また、壁面への取付面を有する固定部と、該固定部から外方に延びる手摺棒部(手摺本体)と、を一体に形成する手摺が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2記載の手摺は、コーナー部(入隅部)において、手摺本体の端部を45度に切断して当接して隣接する手摺を連続する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5274319号公報(特許請求の範囲、
図1,
図2,
図4)
【特許文献2】特開2008−19582号公報(
図1,
図3,
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ブラケットと手摺本体の2部材から構成されるため、施工が面倒である。しかも、隣接する手摺本体を接続する接続部材と壁面との間には、空間部が設けられるため、手摺全体を通して同一断面形状の連続手摺は得られなかった。特に、刑務所や精神病棟においては、収容者がこの空間部を利用して自損行為を誘発して尊い命を失う虞があるため、壁面との間に隙間のない連続手摺の設置が望まれている。
【0010】
一方、特許文献2に記載のものは、壁面への取付面を有する固定部と、該固定部から外方に延びる手摺棒部(手摺本体)と、を一体に形成するため、特許文献1に記載のものに比べて構成部材の削減が図れ、施工を容易にすることができる。しかし、特許文献2に記載のものは、コーナー部(入隅部)において、手摺本体の端部を45度に切断して当接して隣接する手摺を連続する構造であるため、手摺を隙間なく接続するには、手摺の寸法精度が要求され、施工が面倒であるという問題がある。特に、手摺の材質が合成樹脂であると、施工時と施工後の温度差による線膨張によって手摺が伸縮するため、伸張の場合は手摺が壁面外方に湾曲状に変形し、逆に収縮する場合は、接続部に隙間が生じる懸念がある。更に、出隅部において入隅部の手摺の接続と同様の手法で手摺を接続した場合にも、上記と同様の問題があるばかりでなく、手摺の外面側に突出量の大きい角部が生じ、使用者の安全性が損なわれる懸念がある。
【0011】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、壁面からの突出量を小さくすることができ、出隅部や入隅部を含む壁面において隣接する手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続する連続手摺を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明に係る連続手摺は、壁面に固定される取付部と、該取付部から上方に向かって突出するアーム部と、該アーム部の上部に膨隆する手摺部と、を一体に形成した合成樹脂製の長手方向の両端部が開口する空間部を有する手摺本体と、隣接する上記手摺本体を接続する合成樹脂製の接続部材と、を具備する連続手摺であって、上記手摺本体は、使用者の拇指を除く4指が挿入可能な上方に凹状の指掛け凹部と、上記アーム部の
上向き傾斜状の外面上端に上記拇指が掛止可能な円弧部を介して上方に延在する平坦部と、該平坦部の上端と上記指掛け凹部に跨がって円弧状に隆起する掌支持部とを有し、上記接続部材は、隣接する上記両手摺本体の上記アーム部及び上記手摺部の外周面と略同形状に形成されると共に、手摺本体の長手方向端部と嵌合する嵌合部を有する、ことを特徴とする(請求項1)。
【0013】
このように構成することにより、出隅部や入隅部を含む壁面において隣接する手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。また、手摺本体は、使用者の拇指を除く4指が挿入可能な上方に凹状の指掛け凹部と、アーム部の
上向き傾斜状の外面上端に拇指が掛止可能な円弧部を介して上方に延在する平坦部と、該平坦部の上端と指掛け凹部に跨がって円弧状に隆起する掌支持部とを有するので、使用者が手摺本体を握った際に掌の周長をもたせることができ、違和感なく握り易くすることがでる上、壁面からの突出量を小さくすることができると共に、前面を平坦状にしてストレッチャーガードとして機能することができる。
【0014】
この発明において、直線状に隣接する上記両手摺本体を接続する直状接続部材は、上記手摺本体より軟質の合成樹脂製部材にて形成され、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する板状基部と、該板状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、を一体に形成してなり、上記板状基部は、該板状基部の中央に仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部及び下部嵌合部を突出し、上記仕切壁における上記手摺本体の長手方向端部が当接可能な部位に、上記手摺本体が線膨張により伸張して当接した際に弾性変形可能な複数の突起を突設する方が好ましい(請求項2)。
【0015】
このように構成することにより、直線状に隣接する両手摺本体が温度差による線膨張によって伸縮した場合においても、手摺本体の長手方向の端部が嵌合部内に嵌挿されているので、両手摺本体を隙間なく接続することができる。すなわち、手摺本体が収縮した場合は、手摺本体の端面は突起から離れ、手摺本体が伸張した場合は、手摺本体の端面は突起に当接し、突起を弾性変形して押し潰すことで、両手摺本体を隙間なく接続することができる。
【0016】
また、この発明において、出隅部において隣接する上記両手摺本体を接続する出隅用接続部材は、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する円弧状に湾曲するエルボ状基部と、該エルボ状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、上記手摺部の上記平坦部の下部と上記アーム部の上部及び上記円弧部の内面に当接する補助嵌合部と、を一体に形成してなり、上記エルボ状基部は、該エルボ状基部の湾曲部中央に仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部、下部嵌合部及び補助嵌合部を突出してなるのが好ましい(請求項3)。
【0017】
このように構成することにより、出隅用接続部材の軽量化が図れると共に、出隅部において隣接する手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。また、出隅用接続部材と手摺本体の嵌合構造は、エルボ状基部の両端からそれぞれ突出して手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、手摺部の平坦部の下部とアーム部の上部及び円弧部の内面に当接する補助嵌合部とで嵌合される構造であるので、出隅用接続部材と手摺本体とを強固に接続することができる。
【0018】
この場合、上記エルボ状基部の掌支持部における湾曲部を含む内側を、上記指掛け凹部を残して断面平坦状に形成するか(請求項4)、あるいは、上記エルボ状基部の掌支持部における湾曲部を含む内側を、上記掌支持部の上部円弧部と上記指掛け凹部を残して断面平坦状に形成することができる(請求項5)。また、上記エルボ状基部は、該エルボ状基部の湾曲部の内側面に上記仕切壁に連なる一対の傾斜内壁にて形成される拡開凹部を有し、上記拡開凹部には、該拡開凹部の開口部を塞ぐと共に、上記湾曲部の内側面と同一面の蓋部を有する仕上げ材が被着される構造とすることができる(請求項6)。
【0019】
このように構成することにより、エルボ状基部の湾曲部の内側すなわち壁面側の肉厚を薄くすることができ、合成樹脂製の出隅用接続部材の成形を容易にすることができる。
【0020】
また、この発明において、入隅部において隣接する上記両手摺本体を接続する入隅用接続部材は、上記手摺部の指掛け凹部、平坦部及び掌支持部と略同形状の断面を有する帯状基部と、該帯状基部の両端からそれぞれ突出して、上記手摺本体の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部と、上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、を一体に形成してなり、上記帯状基部は、該帯状基部の中央に、上記手摺本体の長手方向端部が当接する仕切壁を残して両端に上記主嵌合部、上部嵌合部及び下部嵌合部を突出してなるのが好ましい(請求項7)。
【0021】
このように構成することにより、入隅用接続部材のコンパクト化が図れると共に、入隅部において隣接する手摺本体の寸法精度に誤差があっても、手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。
【0022】
また、この発明において、上記手摺本体の長手方向端部に装着される端部キャップ材を更に具備し、上記端部キャップ材は、上記手摺本体の取付部、アーム部及び手摺部と略同形状に形成される主嵌合部を有する外面縁部が円弧状に形成されるキャップ基部と、該キャップ基部から突出して上記手摺部の掌支持部の空間部内に嵌挿される上部嵌合部と、上記取付部の空間部内に嵌挿される下部嵌合部と、上記手摺部の上記平坦部の下部と上記アーム部の上部及び上記円弧部の内面に当接する補助嵌合部と、を一体に形成してなるのが好ましい(請求項8)。
【0023】
このように構成することにより、手摺本体の長手方向の端部に端部キャップ材を強固に装着することができる。この場合、端部キャップ材の外面縁部が円弧状に形成されているので、使用者が衝突して接触した際の衝撃を和らげることができる。また、端部キャップ材は、手摺本体の取付部、アーム部及び手摺部と略同形状に形成されるので、手摺本体の取付部、アーム部及び手摺部に溜まった塵埃を端部キャップ材から掃き出すことができる。
【0024】
加えて、この発明において、上記手摺本体は、上記取付部の下面外面と上記アーム部の上部外面との間に形成される固定ねじ取付用の段状凹溝と、該段状凹溝の開口部を閉塞すると共に、閉塞状態で上記アーム部の外面と同一面を有するカバー材とを具備し、上記段状凹溝の開口部の上下縁には、上記アーム部の外面より内方に段部を介して突出する上部及び下部係合凸条が突設され、上部係合凸条の内方側に係合凹条が沿設され、上記カバー材は、弾性変形可能な合成樹脂製部材にて形成され、上記段部内に挿入されるカバー本体と、該カバー本体の内面側の上下端部に設けられ、上記上部及び下部係合凸条に係合可能な上部及び下部係止爪とからなり、上記上部係止爪が上記上部係合凸条を乗り越えて上記係合凹条に係脱可能に形成されているのが好ましい(請求項9)。
【0025】
このように構成することにより、手摺本体を壁面に固定する固定ねじを外部から目隠しするカバー材の手摺本体への取り付け、取り外しを容易にすることができる。すなわち、カバー材を手摺本体に取り付ける場合は、カバー材の下部係止爪を固定ねじ取付用の段状凹溝の下部係合凸条に係合させた状態で、カバー材の上部係止爪が固定ねじ取付用の段状凹溝の上部係合凸条を乗り越えて係合凹条に係合させてカバー材を取り付ける。また、カバー材を取り外す場合は、固定ねじ取付用の段状凹溝とカバー材の上端部の隙間に例えばへら状の工具等を差し込んで、カバー材を外側に湾曲変形させて、カバー材の上部係止爪と固定ねじ取付用の段状凹溝の係合凹条との係合を解いてカバー材を取り外すことができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0027】
(1)請求項1記載の発明によれば、出隅部や入隅部を含む壁面において隣接する手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。また、使用者が手摺本体を握った際に掌の周長をもたせることができ、違和感なく握り易くすることがでる上、壁面からの突出量を小さくすることができると共に、前面を平坦状にしてストレッチャーガードとして機能することができる。
【0028】
(2)請求項2記載の発明によれば、上記(1)に加えて、更に直線状に隣接する両手摺本体が温度差による線膨張によって伸縮した場合においても、両手摺本体を隙間なく接続することができる。
【0029】
(3)請求項3〜6記載の発明によれば、上記(1)に加えて、更に出隅用接続部材の軽量化が図れると共に、出隅部において隣接する手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。また、出隅用接続部材と手摺本体とを強固に接続することができる。
【0030】
(4)請求項7記載の発明によれば、上記(1)に加えて、更に入隅用接続部材のコンパクト化が図れると共に、入隅部において隣接する手摺本体の寸法精度に誤差があっても、手摺本体を略同一断面形状で隙間なく連続することができる。
【0031】
(5)請求項8記載の発明によれば、上記(1)〜(4)に加えて、更に手摺本体の長手方向の端部に端部キャップ材を強固に装着することができる。また、使用者が衝突して接触した際の衝撃を和らげることができる。更には、手摺本体の取付部、アーム部及び手摺部に溜まった塵埃を端部キャップ材から掃き出すことができる。
【0032】
(6)請求項9記載の発明によれば、上記(1)〜(5)に加えて、更に手摺本体を壁面に固定する固定ねじを外部から目隠しするカバー材の手摺本体への取り付け、取り外しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明に係る連続手摺の使用状態の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図1のI−I線に沿う拡大断面図(a)及び(a)の側面図(b)である。
【
図2A】この発明における手摺本体を示す断面図である。
【
図3】この発明における手摺本体と直状接続部材を示す分解斜視図である。
【
図5】上記直状部材と手摺本体の接続部を示す要部断面図である。
【
図6】この発明における出隅用接続部材と手摺本体の接続部を示す平面図である。
【
図8】上記出隅用接続部材と手摺本体を示す分解斜視図である。
【
図9】上記出隅用接続部材のエルボ状基部と仕上げ材を示す分解斜視図(a)及び組付け状態を示す斜視図(b)である。
【
図14】更に別の出隅用接続部材を示す斜視図である。
【
図16】この発明における入隅用接続部材と手摺本体の接続部を示す平面図である。
【
図18】上記入隅用接続部材と手摺本体を示す分解斜視図である。
【
図19】この発明における端部キャップ材の取付状態を示す側面図である。
【
図21】上記端部キャップ材と手摺本体を示す分解斜視図である。
【
図22】上記手摺本体の段状凹溝にカバー材を取り付ける状態を示す側面図である。
【
図23】上記手摺本体の段状凹溝からカバー材を取り外す状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、この発明に係る連続手摺の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、壁桁材2に設置される壁パネル3によって平面視がクランク状の廊下4が形成されており、壁パネル3の壁面5にこの発明に係る連続手摺1が設置されている。
【0036】
この発明に係る連続手摺1は、壁面5に固定される取付部11と、取付部11から上方に向かって突出するアーム部12と、アーム部12の上部に膨隆する手摺部13と、を一体に形成した合成樹脂製の長手方向の両端部が開口する空間部を有する手摺本体10と、出隅部6及び入隅部7を含む隣接する手摺本体10を接続する合成樹脂製の接続部材すなわち直状接続部材20A,出隅用接続部材20B,入隅用接続部材20Cと、手摺本体10の長手方向の端部に装着される合成樹脂製の端部キャップ材40と、を具備している。
【0037】
上記手摺本体10は、硬質のPVC樹脂(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。壁面5に固定される取付部11は、壁面5に当接する固定片11aの表面側中間部に互いに間隔をおいて一対の補強リブ10aが突設されており、両補強リブ10aの先端を連結する取付片11bによって矩形状空間部11cが形成されている。取付片11b及び矩形状空間部11cを貫通する固定ねじ50を壁パネル3にねじ結合することで、取付部11が壁面に固定される。
【0038】
アーム部12は、取付部11の固定片11aの上端から上方に延在する凹状湾曲片12aと、固定片11aの下端から下端平坦面12bを残して上方に延在する傾斜片12cとからなる。アーム部12の下端に下端平坦面12bを設けたのは、下端平坦面12bに腰壁パネル8の上端を当接して腰壁パネル8の設置を容易にしたためである。傾斜片12cにおける取付部11の下面外面とアーム部12の上部外面との間には、固定ねじ取付用の段状凹溝14が形成されており、段状凹溝14の開口部14aにはカバー材15が着脱可能に被着されている。カバー材15は、閉塞状態でアーム部12の外面と同一面を有する。なお、凹状湾曲片12aと段状凹溝14及び傾斜片12cとの間には補強リブ10b,10cが設けられている。
【0039】
この場合、段状凹溝14の開口部の上下縁には、アーム部12の外面より内方に凹状の段部14bを介して突出する上部係合凸条14c及び下部係合凸条14dが突設され、上部係合凸条14cの内方側に係合凹条14eが沿設されている。一方、カバー材15は、弾性変形可能な合成樹脂製部材例えばPVC樹脂(ポリ塩化ビニル)にて形成され、段部14b内に挿入されるカバー本体15aと、カバー本体15aの内面側の上下端部に設けられ、上部係合凸条14c及び下部係合凸条14dに係合可能な上部係止爪15b及び下部係止爪15cとからなり、上部係止爪15bが上部係合凸条14cを乗り越えて係合凹条14eに係脱可能に形成されている。
【0040】
このように構成することにより、手摺本体10を壁面5に固定する固定ねじ50を外部から目隠しするカバー材15の手摺本体10への取り付け、取り外しを容易にすることができる。すなわち、
図22に示すように、カバー材15を手摺本体10に取り付ける場合は、カバー材15の下部係止爪15cを段状凹溝14の下部係合凸条14dに係合させた状態で、カバー材15の上部係止爪15bが段状凹溝14の上部係合凸条14cを乗り越えて係合凹条14eに係合させてカバー材15を取り付ける。また、カバー材15を取り外す場合は、
図23に示すように、段状凹溝14とカバー材15の上端部の隙間に、例えばへら状の工具Tを差し込んで、カバー材15を外側に湾曲変形させて、カバー材15の上部係止爪15bと段状凹溝14の係合凹条14eとの係合を解いてカバー材15を取り外すことができる。
【0041】
上記手摺部13は、
図2Aに示すように、使用者の拇指aを除く4指bが挿入可能な上方に凹状の指掛け凹部16と、アーム部12の外面上端に拇指aが掛止可能な円弧部17を介して上方に延在する平坦部18と、平坦部18の上端と指掛け凹部16に跨がって円弧状に隆起する掌支持部19とを有している。なお、指掛け凹部16と平坦部18との間には補強リブ10dが設けられており、掌支持部19に上部空間部13aを形成している。
【0042】
上記のように構成される手摺本体10は、平坦部18と円弧状に隆起する掌支持部19とで掌の周長をもたせることができるので、使用者が手摺本体10を握った際に、違和感なく握り易くすることがでる。また、前面に平坦部18が設けられているので、壁面5からの突出量を小さくすることができると共に、前面の平坦部18がストレッチャーガードとして機能する。
【0043】
直線状に隣接する両手摺本体10を接続する直状接続部材20Aは、手摺本体10より軟質の合成樹脂製部材例えば軟質のPVC樹脂(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。この直状接続部材20Aは、手摺部13の指掛け凹部16、平坦部18及び掌支持部19と略同形状の断面を有する板状基部21と、板状基部21の両端からそれぞれ突出して、手摺本体10の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部22Aと、手摺部13の掌支持部19の上部空間部13a内に嵌挿される上部嵌合部23Aと、取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿される下部嵌合部24Aと、を一体に形成してなる。なお、上部嵌合部23Aの円弧状上面及び左右側面には突出方向に沿う凸条23aが設けられている。また、主嵌合部22Aにおけるアーム部12と手摺部13の内側面の適宜間隔をおいた位置にも、主嵌合部22Aの突出方向に沿う凸条23aが設けられている。
【0044】
また、板状基部21は、該板状基部21の中央に仕切壁25Aが設けられており、該仕切壁25Aを残して両端に主嵌合部22A、上部嵌合部23A及び下部嵌合部24Aを突出してなる。また、仕切壁25Aにおける手摺本体10の長手方向端部が当接可能な部位に、手摺本体10が線膨張により伸張して当接した際に弾性変形可能な複数の突起26が突設されている。この場合、
図4に示すように、突起26は、高さが約1mmの円柱状に形成されており、仕切壁25における手摺本体10のアーム部12が当接する上下2箇所と、手摺部13が当接する3箇所の計5箇所に設けられている。
【0045】
上記のように、仕切壁25Aにおける手摺本体10の長手方向端部が当接可能な部位に、手摺本体10が線膨張により伸張して当接した際に弾性変形可能な複数の突起26を突設することにより、直線状に隣接する両手摺本体10が温度差による線膨張によって伸縮した場合においても、手摺本体10の長手方向の端部が主嵌合部22A内に嵌挿されているので、両手摺本体10を隙間なく接続することができる。すなわち、
図5に示すように、手摺本体10が収縮した場合(矢印A)は、手摺本体10の端面は突起26から離れ、手摺本体10が伸張した場合(矢印B)は、手摺本体10の端面は突起26に当接し、突起26を弾性変形して押し潰すことで、両手摺本体10を隙間なく接続することができる。なお、本実施形態では、手摺本体10は全長が300mmのものが使用されており、例えば60℃の温度差によって手摺本体10は約1mm伸縮する。
【0046】
上記出隅部6において隣接する両手摺本体10を接続する出隅用接続部材20Bは、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。
図6ないし
図8に示すように、出隅用接続部材20Bは、手摺部13の指掛け凹部16、平坦部18及び掌支持部19と略同形状の断面を有する円弧状に湾曲するエルボ状基部27と、該エルボ状基部27の両端からそれぞれ突出して、手摺本体10の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部22Bと、手摺部13の掌支持部19の上部空間部13a内に嵌挿される上部嵌合部23Bと、取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿される下部嵌合部24Bと、手摺部13の平坦部18の下部とアーム部12の上部及び円弧部17の内面に当接する補助嵌合部28と、を一体に形成してなる。なお、上部嵌合部23Bの円弧状上面及び左右側面には突出方向に沿う凸条23aが設けられている。また、エルボ状基部27は、該エルボ状基部27の湾曲部中央に仕切壁25Bが設けられ、仕切壁25Bを残して両端に主嵌合部22B、上部嵌合部23B、下部嵌合部24B及び補助嵌合部28が突出している。なお、上部嵌合部23B及び下部嵌合部24Bは先端側が開口する筒状に形成されており、出隅用接続部材20Bは仕切壁25Bを残して両端が開口する中空状に形成されている。これにより、出隅用接続部材20Bの材料の削減及び軽量化が図れる。なお、下部嵌合部24Bは取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿された後、段状凹溝14を貫通する止めねじ42によって固定される。
【0047】
この場合、
図9ないし
図11に示すように、エルボ状基部27は、該エルボ状基部27の湾曲部の内側面に仕切壁25Bに連なる一対の傾斜内壁29にて形成される拡開凹部30を有し、拡開凹部30には、該拡開凹部30の開口部を塞ぐと共に、湾曲部の内側面と同一面の蓋部31を有する仕上げ材32が被着されている。
【0048】
このように、エルボ状基部27の湾曲部の内側面に仕切壁25Bに連なる一対の傾斜内壁29にて形成される拡開凹部30を設けることにより、屈曲部の内側の肉厚を薄くすることができるので、エルボ状基部27を有する出隅用接続部材20Bの成形を容易にすることができる。また、拡開凹部30の開口部を塞ぐ仕上げ材32が、エルボ状基部27の湾曲部の内側面と同一面の蓋部31を有するので、使用者は出隅部6においても、手摺本体10の手摺部13を握っているのと同様に連続して手摺を伝って歩行することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、エルボ状基部27の湾曲部の内側に拡開凹部30を設け、拡開凹部30に仕上げ材32を被着しているが、仕上げ材32を用いない構造としてもよい。例えば、
図12及び
図13に示すように、エルボ状基部27の掌支持部19における湾曲部を含む内側を、掌支持部19の上部円弧部19aと指掛け凹部16を残して断面平坦状に形成してもよい。
【0050】
このように形成することにより、屈曲部の内側の肉厚を薄くすることができるので、エルボ状基部27を有する出隅用接続部材20Bの成形を容易にすることができる。また、掌支持部19の上部円弧部19aと指掛け凹部16を残しているので、使用者は出隅部6においても、手摺本体10の手摺部13を握っているのと違和感なく手摺を伝って歩行することができる。
【0051】
また、
図14及び
図15に示すように、エルボ状基部27の掌支持部19における湾曲部を含む内側を、指掛け凹部16を残して断面平坦状に形成してもよい。
【0052】
このように形成することにより、屈曲部の内側の肉厚を薄くすることができるので、エルボ状基部27を有する出隅用接続部材20Bの成形を容易にすることができる。また、掌支持部19の上部に半円弧部19bを残し、指掛け凹部16を残しているので、使用者は出隅部6においても、手摺本体10の手摺部13を握っているのと違和感なく手摺を伝って歩行することができる。
【0053】
上記入隅部7において隣接する両手摺本体10を接続する入隅用接続部材20Cは、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。
図16ないし
図18に示すように、入隅用接続部材20Cは、手摺部13の指掛け凹部16、平坦部18及び掌支持部19と略同形状の断面を有する帯状基部33と、該帯状基部33の両端からそれぞれ突出して、手摺本体10の長手方向の端部を嵌挿する主嵌合部22Cと、手摺部13の掌支持部19の上部空間部13a内に嵌挿される上部嵌合部23Cと、取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿される下部嵌合部24Cと、を一体に形成してなる。なお、上部嵌合部23Cの円弧状上面及び左右側面には突出方向に沿う凸条23aが設けられている。また、帯状基部33は、該帯状基部33の中央に、手摺本体10の長手方向端部が当接する仕切壁25Cが設けられ、仕切壁25Cを残して両端に主嵌合部22C、上部嵌合部23C及び下部嵌合部24Cを突出してなる。なお、上部嵌合部23C及び下部嵌合部24Cは先端側が開口する筒状に形成されており、入隅用接続部材20Cは仕切壁25Cを残して両端が開口する中空状に形成されている。これにより、入隅用接続部材20Cの材料の削減及び軽量コンパクト化が図れる。
【0054】
上記のように形成される入隅用接続部材20Cを用いて隣接する手摺本体10を接続する場合は、両手摺本体10の長手方向の端部を45度に切断し、入隅用接続部材20Cの主嵌合部22Cに手摺本体10の長手方向の端部を嵌挿すると共に、上部嵌合部23Cを手摺部13の上部空間部13a内に嵌挿し、下部嵌合部24Cを取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿して、手摺本体10の45度に切断された端面を仕切壁25Cに当接して、両手摺本体10を接続する。
【0055】
この場合、手摺本体10の切断端部は入隅用接続部材20Cの主嵌合部22C内に嵌挿されているので、手摺本体10の寸法精度に誤差があっても、入隅部7で隣接する両手摺本体10を隙間なく接続することができる。
【0056】
上記のように構成することにより、使用者は入隅部7においても、手摺本体10の手摺部13を握っているのと同様に連続して手摺を伝って歩行することができる。また、入隅部7における手摺本体10の接続部には帯状基部33のみが露出するので、接続部を目立たないコンパクト設計とすることができる。
【0057】
上記手摺本体10の長手方向端部に装着される端部キャップ材40は、ASA樹脂(acrylate-styrene-acrylonitrile-copolymer)にて形成されている。
図19ないし
図21に示すように、端部キャップ材40は、手摺本体10の取付部11、アーム部12及び手摺部13と略同形状に形成される主嵌合部22Dを有する外面縁部が円弧状に形成されるキャップ基部41と、該キャップ基部41から突出して手摺部13の掌支持部19の上部空間部13a内に嵌挿される上部嵌合部23Dと、取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿される下部嵌合部24Dと、手摺部13の平坦部18の下部とアーム部12の上部及び円弧部17の内面に当接する補助嵌合部28Dと、を一体に形成してなる。なお、上部嵌合部23Dの円弧状上面及び左右側面には突出方向に沿う凸条23aが設けられている。また、上部嵌合部23D及び下部嵌合部24Dは、これら嵌合部23D,24Dの突出側が開口する筒状に形成されている。なお、下部嵌合部24Dは取付部11の矩形状空間部11c内に嵌挿された後、段状凹溝14を貫通する止めねじ42によって固定される。
【0058】
上記のように構成することにより、連続手摺1を構成する手摺本体10の最端部に端部キャップ材40を強固に装着することができる。また、キャップ基部41の外面縁部が円弧状に形成されているので、使用者やストレッチャー等が衝突した際の衝撃を緩和することができる。また、端部キャップ材40は、手摺本体10の取付部11、アーム部12及び手摺部13と略同形状に形成されるので、手摺本体10の取付部11、アーム部12及び手摺部13に溜まった塵埃を端部キャップ材40から掃き出すことができる。
【0059】
本実施形態の連続手摺1において、直状接続部材20A,出隅用接続部材20B,入隅用接続部材20C及び端部キャップ材40は、いずれも手摺本体10の指掛け凹部16,円弧部17,平坦部18及び掌支持部19の外周面と略同形状に形成される主嵌合部22A,22B,22C,22Dを有している。したがって、手摺本体10に設けられた段状凹溝14に被着されるカバー材15は手摺本体10のアーム部12の外面と同一面を有するので、カバー材15の長手方向の端部も、直状接続部材20A,出隅用接続部材20B,入隅用接続部材20C及び端部キャップ材40の主嵌合部22A,22B,22C,22D内に嵌挿される。
【符号の説明】
【0060】
5 壁面
10 手摺本体
11 取付部
11c 矩形状空間部
12 アーム部
13 手摺部
13a 上部空間部
14 段状凹溝
14a 開口部
14b 凹状段部
14c 上部係合凸条
14d 下部係合凸条
14e 係合凹条
15 カバー材
15a カバー本体
15b 上部係止爪
15c 下部係止爪
16 指掛け凹部
17 円弧部
18 平坦部
19 掌支持部
20A 直状接続部材
20B 出隅用接続部材
20C 入隅用接続部材
21 板状基部
22A,22B,22C,22D 主嵌合部
23A,23B,23C,23D 上部嵌合部
24A,24B,24C,24D 下部嵌合部
25A,25B,25C 仕切壁
26 突起
27 エルボ状基部
28,28D 補助嵌合部
29 傾斜内壁
30 拡開凹部
31 蓋部
32 仕上げ材
33 帯状基部
40 端部キャップ材
41 キャップ基部
50 固定ねじ