(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395188
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】型締装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/56 20060101AFI20180913BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20180913BHJP
B29C 49/78 20060101ALI20180913BHJP
B29C 45/80 20060101ALI20180913BHJP
B29C 49/20 20060101ALI20180913BHJP
B29L 24/00 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
B29C49/56
B29C49/48
B29C49/78
B29C45/80
B29C49/20
B29L24:00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-7808(P2016-7808)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-128007(P2017-128007A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 応之介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一成
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 俊光
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−323020(JP,A)
【文献】
特開平06−071737(JP,A)
【文献】
特開2008−284748(JP,A)
【文献】
特開2004−255386(JP,A)
【文献】
特開2006−256178(JP,A)
【文献】
特開2000−334820(JP,A)
【文献】
特開2008−221588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(1)上にタイバー(8)を介して設けられた第1、第2、第3プラテン(5,6,7)のうちの少なくとも前記第2プラテン(6)をアクチュエータ(12)で移動させ、前記第2、第3プラテン(6,7)に設けられた第1、第2金型(11,11A)の型締及び型開を行うようにした型締装置において、少なくとも、前記各金型(11,11A)の一方、又は両方に設けられた金型用サーボモータ(45,46)と、
前記基台(1)上に設けられ前記第2プラテン(6)の型位置を検出するデジタル型開閉位置検出手段(100)を有し、
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)のデジタル型開閉位置信号(100a)と同期させて前記第1、第2金型用サーボモータ(45,46)の一方又は両方を同期駆動するように構成したことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記第1、第3プラテン(5,7)は、前記第2プラテン(6)に連動して移動する構成からなることを特徴とする請求項1記載の型締装置。
【請求項3】
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)は、エンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組合わせからなることを特徴とする請求項1または、2記載の型締装置。
【請求項4】
請求項1、2、3の何れか1項に記載の型締装置は、中空成形機に組合わせられることを特徴とする型締装置。
【請求項5】
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)は、回転検出器付サーボモータ(42)とボールネジ(43)とからなることを特徴とする請求項1、2、4の何れか1項記載の型締装置。
【請求項6】
基台(1)上にタイバー(8)を介して設けられた第1、第2、第3プラテン(5,6,7)のうちの少なくとも前記第2プラテン(6)をアクチュエータ(12)で移動させ、前記第2、第3プラテン(6,7)に設けられた第1、第2金型(11,11A)の型締及び型開を行うようにした型締方法において、少なくとも、前記各金型(11,11A)の一方、又は両方に設けられた金型用サーボモータ(45,46)と、
前記基台(1)上に設けられ前記第2プラテン(6)の型位置を検出するデジタル型開閉位置検出手段(100)と、を用い、
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)からのデジタル型開閉位置信号(100a)と同期させて前記第1、第2金型用サーボモータ(45,46)の一方又は両方を同期駆動することを特徴とする型締方法。
【請求項7】
前記第1、第3プラテン(5,7)は、前記第2プラテン(6)に連動して移動することを特徴とする請求項6記載の型締方法。
【請求項8】
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)は、エンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組合わせからなることを特徴とする請求項6又は7記載の型締方法。
【請求項9】
請求項6、7、8の何れか1項に記載の型締方法は、中空成形機に組合わせられることを特徴とする型締方法。
【請求項10】
前記デジタル型開閉位置検出手段(100)は、回転検出器付サーボモータ(42)とボールネジ(43)とからなることを特徴とする請求項6、7、9の何れか1項記載の型締方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置及び方法に関し、特に、デジタル型開閉位置検出手段からのデジタル型開閉位置検出信号を用いることにより、金型等に設けられたサーボモータをデジタル型開閉位置信号と同期して作動できるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の型締装置及び方法としては、中空成形機において、シップイン成形をする装置としては、例えば、特許文献1に示されるように、成形品の中に入れる部品を支持棒で固定したところにパリソンを被せ、その外側から型締めをしていた。
【0003】
前述の型締めの際に、金型の動きと、キャビティ内に入れる部材を支えるモータの動きを同期させていた。しかしながら、特許文献1のような金型の加圧力をコントロールすることで、膜厚を均一にするものはあったが、位置の同期をさせるものではなかった。
【0004】
ここで、前述の特許文献1の装置を図示と共にその概略を説明する。
すなわち、
図11において、11、11Aは直方体形状のキャビティを形成する一対の金型で、この金型11、11Aの内面中央には、押圧部31がシリンダ等による駆動手段32により金型に対してスライド自在に設けられている。
【0005】
符号33はタンク本体の素材となる熱可塑性樹脂のパリソンで、押出成型機から所定温度に加熱されて押出される。35は前記タンク本体34に内蔵される樹脂製長方形状のバッフルプレートで、このバッフルプレート35はブローピン機能を有しない(即ち円筒形状ではない)支持棒36の先端に水平状態で支持され、その両端部がそれぞれ両金型11、11Aの押圧部31に対向するように配在されている。
【0006】
図12における符号37は一方の金型11、11Aに貫通状態で配在されたブローピンで、このブローピン37はシリンダの吹込手段38によりエアを吹込むタイプのものであり、その直径はタンク本体(図示せず)の上面に形成するエアブリーザ用の穴(図示せず)と同一外径のものである。
【0007】
そこで、
図12に示すように、前記パリソン33を解放状態にある金型11、11A間にドローダウンしてバッフルプレート35に被嵌した後、先ず駆動手段32により押圧部31を前進させてパリソン33の対向側壁を押圧し、前記バッフルプレート35の端部をパリソン33の内面に溶着固定する。この際押圧部31の押圧力は前記駆動手段32により任意に調整することができる。そして、前記溶着が完了後に支持棒36を金型11、11Aより抜き去る。
【0008】
ついで、
図13に示すように、両金型11、11Aを型締めしてパリソン33の上下端を密封するが、この際ブローピン37の先端部はパリソン33の側壁を貫通して内部に突入する。そして、パリソン33の内部にブローピン37の先端から圧縮エアを吹込んで金型11、11Aの内面に密着するよう膨張させ、中空体を成型することができる。
【0009】
前述のように金型の型締めを行う場合には、一般に、中空成形機の型締機としては、電動式型締機と油圧式型締機がある。
中空成形機の電動式型締機において、型駆動のメインモータでの型開閉位置の制御と、金型内やその他部位のサブモータのサーボモータの動作を制御することで、型開閉動作と金型内やその他部位のサーボモータ動作を同期させることができる機構を特徴とする開閉位置検出機構及び同期装置がある。
前述の特許文献1の構成のような型の加圧力をコントロールすることで、膜厚を均一にするものはあったが、位置の同期をさせるものはなかった。
【0010】
前述の従来の油圧式型締装置について述べると、
図7及び
図9は、各プラテン5〜7が全て連動して可動する構成であり、
図7は型開状態を示し、
図8は型締状態を示している。
すなわち、
図7において符号1で示されるものは、基台であり、前記基台1上には、レール等からなり互いに離間しかつ独立して第1、第2、第3直動ガイド2、3、4が設けられている。
【0011】
前記第1、第2、第3直動ガイド2、3、4上には、第1、第2、第3プラテン5、6、7が直動自在に設けられている。
前記第1、第3プラテン5、7間は、複数のタイバー8(実際には4本)によって締結され、各ナット9によって固定されている。
前記各タイバー8は、前記第2、第3プラテン6、7の貫通孔6a、7aを作動自在な状態で貫通しており、前記第2、第3プラテン6、7は互いに接離自在となるように構成されている。
【0012】
前記第1プラテン5の内面5aには、油圧ユニット10によって突出子12Aが出入り自在に構成された油圧シリンダ12が設けられている。
前記第2、第3プラテン6、7の内面6A、7Aには、第1金型11及び第2金型11Aが設けられており、前記第2、第3プラテン6、7の下部には、L字型をなす第1、第2レバー13、14とギア15の組合せによる周知のラック・アンド・ピニオンによる連動機構15Aが設けられている。
前記基台1には、前記第2プラテン6の直動を検出するための周知のリニアスケール又はポテンショメータからなるアナログ型直動検出器16が設けられている。
尚、前述の各金型11、11Aの構造は、図示していないが、例えば、
図11〜
図12の従来例に示されるように構成されている。
【0013】
前述の構成において、
図7の型開状態で、油圧ユニット10を介して油圧シリンダ12を作動させると、突出子12Aが第2プラテン6を、図上で右側へ押すと、連動機構15Aを介して第3可動プラテン7が第2プラテン6側へ引き寄せられ、各金型11、11Aは互いに圧接することにより、型締めが達成される。
前述における第2プラテン6の直動状態は、前記アナログ型直動検出器16によってアナログ値として検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−143396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の型締装置及び方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
例えば、
図9で示される従来の電動式型締装置においては、制御盤20によってサーボモータ21、エンコーダ22、ボールネジ23を介してプラテン5、6(
図7に示す)の開閉を制御し、前記エンコーダ22からの回転検出信号22aに基づいてプラテン位置情報20aを例えば金型11、11A(
図7)内のサーボモータ24と同期させることはできるが、型締動作自体が電動であるため、サーボモータ同志の同期は可能であるが、小型モータが多くて型締力が足りないため、模様等の多い大形の成形品の成形には好適ではなかった。
【0016】
また、
図10で示される従来の油圧式型締装置においては、ここでは、
図9と同一部分には同一符号を付して説明している。
すなわち、油圧ユニット10からの油10aを油圧シリンダ12に供給し、前記プラテン5、6の開閉を行うように構成され、リニアスケール又はポテンショメータ16(
図7)で型開閉位置検出25を行い、型開閉位置信号15Aaが制御盤20に入力される。
前記制御盤20から出力されたプラテン位置情報20aは金型11、11A内のサーボモータ24に入力され、同期駆動することが望まれる。
【0017】
しかしながら、油圧式型締装置における油圧式の型開閉動作は、リニアスケール又はポテンショメータを使用し、第2プラテンの位置の検出を行い、油圧シリンダを用いて型開閉制御を行っている。従来、リニアスケール又はポテンショメータで計測したプラテンの位置情報を用いて速度に変換して、型開閉の際の金型内のサーボモータの位置と速度を同期させようとした場合、リニアスケール又はポテンショメータとサーボモータの位置情報検出速度の差から、
図10のアナログ型式の型開閉位置信号25aとプラテン位置情報20aとでは、通信速度に差があり、互いに同期することはできず、リニアスケール又はポテンショメータと金型内のサーボモータと型開閉動作の同期にズレが生じていた。
このように、同期にズレが生じるため、中空成形機の油圧式型締装置において、型開閉位置の制御と、金型内やその他部位のサーボモータ動作を制御することで、型開閉と金型内やその他部位のサーボモータ動作を高精度に同期させることができる開閉位置検出機構及び同期装置はなかった。そのため、従来の構成において大型で複雑な凹凸等を有する成形品の仕上げ精度を向上させることは極めて困難であった。
【0018】
また、電動式の開閉動作は、サーボモータを使用しているので、開閉動作は高精度に制御することはできるが、油圧シリンダを使用した油圧式型締機に比べて型締力が劣っており、大型の成形品を高精度に成形することができなかった。
そのため、油圧式型締機よりも型締力の劣る電動式型締装置を伴う中空成形機では、シップイン成形などの繊細な動きを必要とする成形をすることができたが、電動式型締装置よりも型締力の勝る油圧式型締装置を伴う中空成形機においては、金型の細かい動きを高精度に制御することができないため、シップイン成形などの繊細な動きを必要とする成形をすることが困難であった。
【0019】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解消するためになされたもので、特に、油圧式型締機構には、型開閉動作用のリニアスケール又はポテンショメータの代わりにデジタル型開閉位置検出手段のデジタル型開閉位置信号を使用し位置検出及びその位置情報を基に金型内やその他のサーボモータを動作させることで、型開閉と金型内やその他のサーボモータとの同期動作を可能とさせる型締装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による型締装置は、基台上にタイバーを介して設けられた第1、第2、第3プラテンのうちの少なくとも前記第2プラテンをアクチュエータで移動させ、前記第2、第3プラテンに設けられた第1、第2金型の型締及び型開を行うようにした型締装置において、少なくとも、前記各金型の一方、又は両方に設けられた金型用サーボモータと、前記基台上に設けられ前記第2プラテンの型位置を検出し、デジタル型開閉位置検出手段と、を有し、
前記デジタル型開閉位置検出手段からのデジタル型開閉位置信号と同期させて前記第1、第2金型用サーボモータの一方又は両方を同期駆動するようにした構成であり、また前記第1、第3プラテンは、前記第2プラテンに連動して移動する構成であり、また、請求項1、2、3の何れか1項に記載の型締装置は、中空成形機に組み合わせられる構成であり、また、前記デジタル型開閉位置検出手段は、回転検出器付きサーボモータとボールネジとからなる構成である。
前記デジタル型開閉位置検出手段は、エンコーダ、ゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組み合わせからなる構成であり、また、本発明による型締方法は、基台上にタイバーを介して設けられた第1、第2、第3プラテンのうちの少なくとも前記第2プラテンに設けられた第1、第2金型の型締及び型開を行うようにした型締方法において、少なくとも、前記各金型の一方、又は両方に設けられた金型用サーボ―モータと、
前記基台上に設けられ前記第2プラテンの型位置を検出し、デジタル型開閉位置検出手段と、を用い、前記デジタル型開閉位置検出手段からのデジタル型開閉位置信号と同期させて前記第1、第2金型用サーボ―モータの一方又は両方を同期駆動する方法であり、また、
前記第1、第3プラテンは、前記第2プラテンに連動して移動する方法であり、また、
請求項6、7、8の何れか1項に記載の型締方法は、中空成形機に組合せられる方法であり、また、前記デジタル型開閉位置検出手段は、回転検出器付サーボ―モータとボールネジとからなる方法である。
前記デジタル型開閉位置検出手段は、エンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組合わせからなる方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明による型締装置及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、基台上にタイバーを介して設けられた第1、第2、第3プラテンのうちの少なくとも前記第2プラテンをアクチュエータで移動させ、前記第2、第3プラテンに設けられた第1、第2金型の型締及び型開を行うようにした型締装置において、少なくとも、前記各金型の一方、又は両方に設けられた金型用サーボモータと、
前記基台上に設けられ前記第2プラテンの型位置を検出し、デジタル型開閉位置検出手段と、
前記デジタル型開閉位置検出手段と、を有し、
前記デジタル型開閉位置検出手段からのデジタル型開閉位置信号と同期させて前記第1、第2金型用サーボモータの一方又は、両方を同期駆動するようにしたことにより、従来はサーボモータを動力に使用した中空成形機の電動式型締機では型締めのパワーが足りずに成形できなかった大型な成形品を高精度に成形すること及び、中空成形機の油圧式型締機では同期ができないためにできなかった複雑で繊細な動きにも対応することができるという、油圧式と電動式の利点を兼ね備えたことで、大形かつ複雑で繊細な成形品を得ることができる。
また、新規の中空成形機の型締機を組み立てる場合にこの発明を用いるのみならず、この発明を既に納めている既存の油圧式型締機への追加改造として利用することができる為、既存の油圧式型締機を電動式型締機に買い替えるよりも後からの投資コストを安く抑えることができる。
また、前記第1、第3プラテンは、前記第2プラテンに連動して移動する構成からなることにより、多様な型締装置に適用できる。
前記デジタル型開閉位置検出手段は、回転検出器付サーボモータとボールネジとからなることにより、極めて簡単な構成によるデジタル型開閉位置検出手段を得ることができる。
また、前記デジタル型開閉位置検出手段は、エンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組合わせかたなることにより、必要とするデジタル型開閉位置信号を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による型締装置及び方法を示す概略構成図である。
【
図3】従来の油圧式型締装置を改造した構成のブロック図である。
【
図4】本発明による型締装置を油圧式として構成したブロック図である。
【
図5】本発明による型締装置の他の形態の型閉状態を示す概略構成図である。
【
図7】従来の型締装置の型開状態を示す概略構成図である。
【
図9】従来の電動式型締装置を示すブロック図である。
【
図10】従来の油圧式型締装置を示すブロック図である。
【
図11】従来の中空成形機の要部を示す概略断面構成図である。
【
図13】
図12の型締完了及びエア注入状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による型締装置及び方法は、型締時にデジタル型開閉位置検出手段からのデジタル型開閉位置信号を用いることにより、金型等に設けられたサーボモータを前記デジタル型開閉位置信号と同期して作動できるようにすることである。
【実施例】
【0024】
以下、図面と共に本発明による型締装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明すると共に、従来例である
図7から
図13と同一部分には同一符号を付し、その説明は重複を避けるために省略してこれを援用し、異なる部分についてのみ説明する。
本発明による
図1及び
図2の型締装置において、前述の従来構成(
図7及び
図8)と異なる構成について説明する。尚、
図1及び
図2の構成は、
図7及び
図8と同様に各プラテン5、6、7が可動型である。
図1における基台1上には、エンコーダ等の回転検出器40とサーボモータ41を一体化してなる回転検出器付サーボモータ42が設けられ、この回転検出器付サーボモータ42に設けられたボールネジ43の先端43aは第2可動プラテン6に当接している。
前記ボールネジ43の先端43aには、軸受(図示せず)が設けられ、先端43aは第2可動プラテン6に対して当接しつつ回転できるように構成されている。
前述の回転検出器付サーボモータ42とボールネジ43によってデジタル型開閉位置検出手段100を構成し、前記デジタル型開閉位置検出手段100からは、
図3で示されるように、デジタル型開閉位置検出信号100aが出力されるように構成されている。
【0025】
前記回転器付サーボモータ42の回転検出器40は、通常エンコーダのパルス状の矩形波を波形整形後にカウンタでカウントしたカウント値を前記デジタル型開閉位置検出信号100aとして用いているため、従来のリニアスケール又はポテンショメータの出力信号よりも通信速度が速い。
また、前記デジタル型開閉位置検出手段100は、前述のボールネジ43との組合せに限ることなく、ボールネジ43を図示しないロッド状のラックに代え、このラックに設けられたピニオン(すなわち、周知のラック・アンド・ピニオン)にエンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかを接続して前述のボールネジ43を用いた構成と同様の作用効果を得ることができる。
【0026】
すなわち、前述のレゾルバは、回転検出器として極めて安定し、悪条件下でも二相の出力を得ることができ、A/D変換器によって通信速度の速いデジタル型開閉位置検出信号100aを得ることができる構成で、例えば、ハイブリッド自転車の回転検出に全て用いられている。
また、磁気エンコーダも、パルス状の矩形波を用いてカウント値として出力でき、例えば、新幹線の速度検出には全て用いられている。
【0027】
前述の第1、第2金型11、11Aの内部には、第1、第2可動子44、44Aを有する第1、第2金型用サーボモータ45,46が設けられ、従来構成の
図11から
図13で説明した各可動子31のように、成形時にパリソン33の形状に凹凸や模様等を形成するために用いられるように構成されている。
図1の構成は、アクチュエータ12の突出子11を突出させて各金型11、11Aの型締途中の状態を示しているが、この状態では、前記各可動子44、44Aが各金型11、11Aから突出していないため、各金型11、11Aで挟持したパリソン(図示せず)は、各金型11、11Aのキャビティの形状で成形される。
【0028】
また、
図2で示される構成においては、各金型用サーボモータ45、46を作動させて各可動子44、44Aを突出させ、これからパリソン(図示せず)の両側を、前述の
図12のように押圧して、成形品(図示せず)の形状に凹部を形成させることができる。
従って、前述の
図1及び
図2の構成のように、油圧ユニット10によってアクチュエータ12の動作を制御する状態は、
図3及び
図4に示されている。
すなわち、
図3の制御構成は、従来の油圧式型締装置を改造し、従来のアナログ型直動検出器16を用いた状態で、かつ、本発明によるボールネジ43、回転検出器40を有する回転検出器付サーボモータ42からなるデジタル型開閉位置検出手段100を追加し、前記回転検出器付サーボモータ42からのデジタル型開閉位置信号100aが前記制御盤20に入力されている。
【0029】
図3の構成の場合、各プラテン5、6、7の開閉に連動して前記ボールネジ43を介して前記回転検出器付サーボモータ42からのデジタル型開閉位置検出信号100aを得ることができ、この内容に同期して各金型用サーボモータ45、46の動作を制御することができる。
すなわち、サーボモータ42のエンコーダ40は油圧式型締機構の型開閉に高速な位置検出器として作用して、型開閉の際にサーボモータ42のエンコーダ40で計測したプラテン6の位置情報を用いて速度に変換して、型開閉の際の金型11、11A内のサーボモータ45、46の位置と速度を同期させ金型内及びその他のサーボモータ45、46を制御盤20内のPLC(Programmable Logic Controller)によって同期動作をさせることができる。
尚、
図3の構成においては、既存の油圧式型締装置を改造したものであるため、内蔵のアナログ型直動検出器16の型開閉位置検出信号25は、通信速度が遅いため用いられることはない。
【0030】
図4の構成は、
図3の改造型とは異なり、全く新しい新型として、前記アナログ型直動検出器16を用いることなく、本発明によるボールネジ43と回転検出器40付サーボモータ42からなるデジタル型開閉位置検出手段100のみを第2プラテン6の位置検出に用い、第2プラテン6と各金型用サーボモータ45,46を同期制御できる構成である。
【0031】
次に、
図5及びず6は、
図1及び
図2で示した本発明による型締装置の他の形態を示すもので、
図1及び
図2の構成のように、全てのプラテン5、6、7が左右に移動する構成ではなく、第1、第3プラテン5、7は基台上に固定され、第2プラテン6のみが左右、すなわち、前記アクチュエータ12の突出子12Aによって前後に摺動するようにした型締装置にも適用することができる。
尚、
図5及び
図6の構成においては、前述の
図1及び
図2の構成と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明した。
また、
図1及び
図2の構成と、
図5及び
図6の構成とは、構成が若干異なるが、その作用効果は同一である。
また、前述の状態では、油圧式として開示しているが、油圧式に相当するトルクの大型モータを採用すれば、電動式にも適用できるものである。
【0032】
次に、前述の本発明による型締装置及び方法の要旨とするところは、以下の通りである。
すなわち、基台の上にタイバー8を介して、設けられた第1、第2、第3プラテンのうちの少なくとも前記第2プラテン5、6、7に設けられた第1、第2金型11、11Aの型締及び型開を行うようにした型締装置において、少なくとも前記各金型の一方、又は両方に設けられた金型サーボモータと、
前記基台上に設けられ前記第2プラテン6の型位置を検出するデジタル型開閉位置検出手段100と、を有し、
前記デジタル型開閉位置検出手段100からのデジタル開閉位置信号100aと同期させて前記第1、第2金型用サーボモータの一方又は両方を同期駆動するようにした構成であり、また、第1、第3プラテン5、7は前記第2プラテン6
に連動して移動する構成であり、また、
前記デジタル型開閉位置検出手段100は、エンコーダ、レゾルバ、磁気エンコーダの何れかとラック・アンド・ピニオンの組合わせからなる構成であり、また、請求項1、2、3の何れか1項に記載の型締装置は、中空成形機に組合わせられる構成であり、また、
前記デジタル型開閉位置検出手段100は、回転検出器付サーボモータ42とボールネジ43とからなる構成である。
また、本発明による型締方法は、基台上にタイバー8を介して設けられた第1、第2、第3プラテンのうちの少なくとも前記第2プラテン6をアクチュエータ12で移動させ、前記第2、第3プラテン5、7に設けられた第1、第2金型11、11Aの型締及び型開を行うようにした型締方法において、少なくとも、前記各金型の一方、又は両方に設けられた金型用サーボモータと、
前記基台上に設けられ前記第2プラテン6の型位置を検出するデジタル型開閉位置検出手段100と、を用い、
前記デジタル型開閉検出手段100からの型開閉位置信号100aと同期させて前記第1、第2金型用サーボモータの一方又は両方を同期駆動することを特徴とする型締方法。
前記第1、第3プラテン5、7は、前記プラテン6に連動して移動する方法であり、また、請求項7、8、9の何れか1項に記載の型締方法は、中空成形機に組合わせられる方法であり、また、
前記デジタル型開閉位置検出手段100は、回転検出器付サーボモータ42とボールネジ43とからなる方法である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明による型締装置及び方法は、型締め時のプラテンの位置をデジタル型開閉位置検出手段のデジタル型開閉位置検出信号を用いて各金型の各金型用サーボモータを同期駆動し、型開閉と各金型の動きを同期させることにより、大型で複雑な形状等の成形も容易にできる。
また、既存の型締装置に対して後付けすることもでき、新品と交換する費用よりも安く型締装置の性能向上を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 基台
2,3,4 第1、第2、第3直動用ガイド
5,6,7 第1、第2、第3プラテン
8 タイバー
9 ナット
10 油圧ユニット
11,11A 第1、第2金型
12 アクチュエータ(油圧シリンダ等)
13 第1レバー
14 第2レバー
15 ギア
15A 連動機構
16 アナログ型直動検出器
20 制御盤
40 回転検出器(エンコーダ等)
41 サーボモータ
42 回転検出器付サーボモータ
43 ボールネジ
44,44A 第1、第2可動子
45,46 第1、第2金型用サーボモータ
100 デジタル型開閉位置検出手段
100a デジタル型開閉位置検出信号