(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような電気化学セルモジュールにおいて、回路基板には、ワイヤ状のリード線とタブ状の各端子をそれぞれハンダ付けするスペースが必要になるため、回路基板が大型化する。これにより、電気化学セル自体が小さくなってもリード線を付けた電気化学セルモジュールは大型化する傾向にある。そのため、端子と回路基板とをリード線で接続し、端子とリード線を直接ハンダによって接続することが考えられるが、端子に使われるアルミニウムはハンダに対する濡れ性が悪いため、ハンダ付けが実用上困難である。そこで、ハンダ接続部における信頼性を向上させるために、ハンダを大量に用いるか、タブ状のアルミニウムの端子先端に、ハンダ接続の実用強度を向上させる副材としてニッケル等の部材を用いることがある。しかしながら、これらの対策によりリード線と端子との接続部の厚みが増加し、電気化学セルが大型化する傾向にある。したがって、従来技術の電気化学セルおよび電気化学セルモジュールにあっては、小型化するという点で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、小型化が可能な電気化学セル、電気化学セルモジュール、携帯機器、および電気化学セルモジュールの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電気化学セルは、正極および負極を有する電極体と、金属材料および樹脂材料を含むラミネートフィルムにより形成され、前記電極体を収容する外装体と、前記正極および前記負極にそれぞれ接続し前記外装体の外部へ導出された一対の電極端子と、前記外装体の外部において、前記一対の電極端子と接続する一対のリード線と、
前記電極端子と前記リード線の芯線とが拡散接合された接合部と、を有
することを特徴とする。
本発明によれば、電極端子とリード線の芯線とを接合して接合部を形成するため、接合部においてハンダを用いることなく、電極端子とリード線の芯線とを機械的および電気的に接続することができる。このため、従来はハンダを用いて形成していた接合部における厚さが、ハンダやその副材を省略したことで薄くなる。したがって、小型化が可能な電気化学セルが得られる。
【0009】
上記の電気化学セルにおいて、前記外装体と前記接合部とを被覆する絶縁テープを有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁テープにより電極体との導通部分の露出を防止できるため、電極間の短絡を防止できる。また、接合部の微小な凹凸を有するバリやタブ状の電極端子の端部のエッジ等によって、外装体に切り傷が生じることを防止できる。したがって、電気化学セルの信頼性を向上させることができる。
【0013】
上記の電気化学セルにおいて、前記芯線は、撚線である、ことを特徴とする。
本発明によれば、撚線により形成された芯線は、単線により形成された芯線と比較して芯線の表面積が大きくなるため、接合部におけるリード線の芯線と電極端子との金属拡散層の生成面積が大きくなる。これにより、接合部においては、単に接合面積を大きく確保できるだけでなく、金属が拡散してできる拡散層の体積を大きくできる。したがって、リード線と電極端子との接続の機械的強度を向上させることができる。
【0015】
上記の電気化学セルにおいて、前記一対のリード線は、前記接合部において接続する前記電極端子の延出方向に沿って配置されるとともに、前記接合部を挟んで前記電極体の反対側に配置されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、リード線が外装体から離間するように配置されるため、リード線に接続させる保護回路基板等の他部品を、最小限の長さのリード線により、外装体からより遠方に配置することができる。したがって、搭載先の機器内におけるレイアウトの自由度を確保できる電気化学セルを、低コストで得ることができる。
【0016】
上記の電気化学セルにおいて、前記一対のリード線は、前記接合部において接続する前記電極端子の延出方向に沿って配置されるとともに、前記接合部に対して前記外装体と同じ側に配置されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、リード線が外装体に近接して配置されるため、外装体からリード線の先端部までの距離を短くできる。したがって、小型化が可能な電気化学セルが得られる。
【0017】
上記の電気化学セルにおいて、前記電極端子は、タブ状であって、前記リード線は、前記電極端子の厚さ方向から見て、前記電極端子と前記電極体との間で折り曲げられている、ことを特徴とする。
本発明によれば、搭載先の機器における配置レイアウトに合わせて、電極端子と電極体との間の空間にリード線を収容することができる。したがって、より小型化が可能な電気化学セルが得られる。
【0018】
本発明の電気化学セルモジュールは、上記の電気化学セルと、前記一対のリード線に接続され、前記電気化学セルを保護する保護回路基板と、を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、保護回路基板と電極端子とを接続するリード線を有しているので、タブ状の電極端子を保護回路基板に直接接続していた従来技術と比較して、電極体と保護回路基板との間のリード線を所望に湾曲させることができる。これにより、電気化学セルモジュールは、従来技術と比較して、保護回路基板の搭載先の機器内におけるレイアウトの自由度を確保できるとともに、電極体と保護回路基板との間を省スペース化できる。したがって、小型化が可能な電気化学セルモジュールが得られる。
【0019】
本発明の携帯機器は、上記の電気化学セルモジュールを備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、上述した電気化学セルモジュールを内部に備えるため、小型で使用者の肌に直接接することを想定したウエアラブルな携帯機器が得られる。
【0020】
本発明の電気化学セルモジュールの製造方法は、正極および負極を有する電極体と前記電極体を収容する外装体と前記正極および前記負極にそれぞれ接続し前記外装体の外部へ導出された一対の電極端子とを備える電気化学セルと、前記電気化学セルを保護するための保護回路基板と、前記外装体の外部において、前記保護回路基板と前記一対の電極端子とを接続する一対のリード線と、を有する電気化学セルモジュールの製造方法であって、前記リード線の芯線と前記電極端子とを
拡散接合して接合部を形成する工程を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、電極端子とリード線の芯線とを接合(金属拡散接合)して接合部を形成するため、加熱溶融するハンダやその副材を用いることなくリード線と電極端子とを機械的および電気的に直接接続できる。したがって、小型化が可能な電気化学セルモジュールを製造できる。
上記の電気化学セルモジュールの製造方法において、前記芯線は、撚線であり、前記接合部を形成する工程の前に、前記芯線に予備ハンダを施す、ことを特徴とする。
本発明によれば、撚線である芯線に対して予備ハンダを施すことで、撚線がばらけることを防止できる。これにより、ばらけた芯線が、近接する他の導電性の部材に接触して短絡することを抑制できる。また、ハンダは融点が低いため、拡散接合の初期の摩擦によって生じる発熱をより少なくすることができる。したがって、電気化学セルの信頼性をより向上させることができる。
【0021】
上記の電気化学セルモジュールの製造方法において、前記リード線は、前記芯線を被覆する絶縁部を有し、前記接合部を形成する工程の後に、前記外装体と前記接合部と前記絶縁部とを被覆する絶縁テープを貼り付ける工程と、前記絶縁部と前記絶縁テープとを超音波溶着加工する工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁部と絶縁テープとを超音波溶着加工するため、リード線と絶縁テープとを、より強固に固定することができる。したがって、絶縁テープが接着されたリード線と外装体との接続の機械的強度が向上した電気化学セルモジュールを製造することができる。
上記の電気化学セルモジュールの製造方法において、前記リード線は、前記芯線を被覆する絶縁部を有し、前記接合部を形成する工程の後に、前記外装体と前記接合部と前記絶縁部とを被覆する絶縁テープを貼り付ける工程と、前記絶縁部と前記絶縁テープとを接着剤により固定する工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁部と絶縁テープとが接着剤により固定されていることで、リード線と絶縁テープとの固定がより強固となる。したがって、絶縁テープが接着されたリード線と外装体との接続の機械的強度を向上させることができる。
上記の電気化学セルモジュールの製造方法において、前記リード線は、前記芯線を被覆する絶縁部を有し、前記接合部を形成する工程の後に、前記外装体と前記接合部と前記絶縁部とを被覆する絶縁テープを貼り付ける工程と、前記絶縁部と前記絶縁テープとを熱溶着する工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁部と絶縁テープとが熱溶着されていることで、リード線と絶縁テープとの固定がより強固となる。したがって、絶縁テープが接着されたリード線と外装体との接続の機械的強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電気化学セルによれば、電極端子とリード線の芯線とを接合して接合部を形成するため、接合部においてハンダを用いることなく、電極端子とリード線の芯線とを機械的および電気的に接続することができる。このため、従来はハンダを用いて形成していた接合部における厚さが、ハンダやその副材を省略したことで薄くなる。したがって、小型化が可能な電気化学セルが得られる。
【0023】
本発明の電気化学セルモジュールの製造方法によれば、電極端子とリード線の芯線とを接合(金属拡散接合)して接合部を形成するため、加熱溶融するハンダやその副材を用いることなくリード線と電極端子とを機械的および電気的に直接接続できる。したがって、小型化が可能な電気化学セルモジュールを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、電気化学セルモジュールとして、非水電解質二次電池(請求項における「電気化学セル」に相当。)により構成された電池パックを例に挙げて説明する。
【0026】
(第1実施形態、電気化学セルおよび電気化学セルモジュール)
最初に、第1実施形態の電気化学セルおよび電気化学セルモジュールについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る電気化学セルモジュールの斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る電気化学セルモジュールの側面図である。
図1に示すように、電池パック1は、非水電解質二次電池10(以下、単に「電池」という。)と、保護回路基板30と、を有する。
【0027】
(電池)
電池10は、電極体11と、外装体15と、一対の電極端子20と、一対のリード線40と、絶縁テープ50と、を備えている。なお、以下の説明で用いる図面では、わかりやすくするために、便宜上絶縁テープ50を仮想線で示している。
【0028】
(電極体)
電極体11は、平面視矩形状に形成されている。電極体11は、セパレータを介して互いに積層された正極および負極を含み、正極および負極は、電解液などの非水電解質に接している。電極体11の正極は、例えば、金属箔などの集電体に正極活物質を付着させたものである。正極の集電体として用いる金属箔としては、例えば、アルミニウム箔などが用いられる。正極活物質は、例えば、チタン酸リチウムやマンガン酸リチウムなどのように、リチウムと遷移金属とを含む複合酸化物である。
負極は、金属箔などの集電体に負極活物質を付着させたものである。負極の集電体として用いる金属箔としては、電気化学セル10が電池の場合、例えば、銅箔やステンレス箔などが用いられる。負極活物質は、例えば、シリコン酸化物、グラファイト、ハードカーボン、チタン酸リチウム、LiAl等である。セパレータは、リチウムイオンを通す特性を有する。セパレータは、例えば、ポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルム、ガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体の1つ、または2以上の組み合わせを含む。この電極体11は、正極および負極の一方から他方へリチウムイオンが移動することにより、電荷を蓄積(充電)したり電荷を放出(放電)したりすることができる。
【0029】
(外装体)
外装体15は、電極体11を収容する。外装体15は、平面視矩形状に形成されている。外装体15は、矩形状のシートを重ね合わせて形成されている。本実施形態では、外装体15は、矩形状のシートを二つ折りにして、その折り目15aを除く3辺に沿って重ね合わされたシートを熱融着することで形成されている。
シートは、金属箔と、重ね合わせ面に設けられた樹脂層を有するラミネートフィルムである。金属箔は、例えばアルミニウムやステンレスなどの光や水分を遮断する金属材料を用いて形成され、予め防錆処理を施すことができる。重ね合わせ面の樹脂層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン、また、アイオノマー、エチレン‐メタクリレート共重合樹脂などの熱可塑性樹脂を用いて形成される。さらに、本実施形態のシートは、金属箔の内側面に樹脂層が設けられ、外側面に保護層が設けられ、それぞれ金属層との間に接合層を介して、熱融着または接着剤により接合することができる。外側の保護層は、例えば、上述のポリオレフィン製の樹脂以外にも、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、あるいはナイロン樹脂を用いて形成される。外装体15は、樹脂層同士が接触するようにシートを重ね合わせて形成される。
【0030】
上述のように構成された外装体15は、電極体11を包み込むようにカップ状の凹みとして形成された収納部16と、収納部16の周囲においてシートを重ね合わせたU字状の周縁部17と、を有する。収納部16は、平面視矩形状に形成され、シートの折り目15aの延在方向に沿う辺の長さが、例えば10mm以下に設定されている。収納部16は、外装体15の周縁部17においてシートが熱融着されることにより密封されている。なお、以下の説明では、外装体15の厚さ方向のうち、収納部16が形成された側を上側、その反対側を下側という。
【0031】
(電極端子)
一対の電極端子20は、正極および負極にそれぞれ接続され、外装体15の内部から外部へ導出されている。一対の電極端子20は、それぞれタブ状に形成されて略平行に並設され、その並設間隔は、例えば2mm以下に設定されている。一対の電極端子20は、正極側電極端子21と、負極側電極端子22と、を含んでいる。正極側電極端子21は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等により形成され、外装体15の内部にて電極体11の正極と電気的に接続されている。負極側電極端子22は、例えばニッケルやステンレス等により形成され、外装体15の内部にて電極体11の負極と電気的に接続されている。各電極端子21,22の幅は、例えば2mm以下に設定されている。
【0032】
また、一対の電極端子20は、外装体15の周縁部17における熱融着部と交差する位置において、タブフィルム25を有する。タブフィルム25は、外装体15の樹脂層と同様に熱可塑性樹脂により形成されている。タブフィルム25の幅は、例えば4mm以下に設定されている。タブフィルム25は、外装体15のシートとともに熱融着されることで、電極端子20の引き出し位置における外装体15内部の密閉性を高めている。
【0033】
(リード線)
一対のリード線40は、外装体15の外部において、後述する保護回路基板30の一対のランド33と、電池10の一対の電極端子20とを接続する。一対のリード線40は、正極側リード線41と、負極側リード線42と、を含んでいる。正極側リード線41は、例えば銅等の電気抵抗率の低い金属材料からなる芯線41aと、芯線41aを覆う絶縁被覆41b(請求項における「絶縁部」に相当。)と、により構成されている。負極側リード線42は、正極側リード線41と同様に、芯線42aと絶縁被覆42bとにより構成されている。各芯線41a,42aは、撚線が用いられ、線径が例えば約0.24mmとなっている。各絶縁被覆41b,42bには、例えばゴムやポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂製の絶縁材料が用いられ、外径が例えば約0.54mmとなっている。各リード線41,42の両端部は、絶縁被覆41b,42bが剥ぎ取られて、芯線41a,42aが露出している。
【0034】
正極側リード線41は、一端部が保護回路基板30の一対のランド33の一方に接続され、他端部が電池10の正極側電極端子21の先端部における上面に接続されている。このとき、正極側リード線41は、正極側電極端子21の延出方向に沿って配置されるとともに、外装体15から離間する側に配置されている。正極側リード線41と正極側電極端子21との接合部43は、正極側電極端子21と正極側リード線41の芯線41aとが超音波接合されて形成されている。これにより、正極側リード線41と正極側電極端子21とは、機械的および電気的に接続されている。なお、ここでいう超音波接合とは、超音波を用いて金属を拡散接合することである。
【0035】
負極側リード線42は、一端部が保護回路基板30の一対のランド33の他方に接続され、他端部が電池10の負極側電極端子22の先端部における上面に接続されている。このとき、負極側リード線42は、負極側電極端子22の延出方向に沿って配置されるとともに、外装体15から離間する側に配置されている。負極側リード線42と負極側電極端子22との接合部44は、正極側リード線41と正極側電極端子21との接合部43と同様に、負極側電極端子22と負極側リード線42の芯線42aとが超音波接合されて形成されている。これにより、負極側リード線42と負極側電極端子22とは、機械的および電気的に接続されている。
【0036】
なお、各リード線41,42の芯線41a,42aには、予め予備ハンダが施されていてもよい。これにより、撚線である芯線41a,42aがばらけることを防止でき、ばらけた芯線41a,42aが、近接する他の導電性の部材に接触して短絡することを抑制できる。また、ハンダは融点が低いため、超音波接合(拡散接合)の初期の摩擦によって生じる発熱をより少なくすることができる。
【0037】
(絶縁テープ)
絶縁テープ50は、貼り付けが簡便な粘着性絶縁テープが好ましい。絶縁テープ50は、電気絶縁性に優れ、かつ高強度を有する点で、例えばポリイミドテープが好適である。
図1および
図2に示すように、絶縁テープ50は、同形状に形成された2枚の絶縁テープ片50a,50bにより構成されている。各絶縁テープ片50a,50bは、矩形状に形成され、電極端子20の延在方向に沿う辺の長さL1が、外装体15における接合部43,44側の端部からリード線40の絶縁被覆41b,42bまでの距離D1よりも大きくなっている。また、各絶縁テープ片50a,50bは、電極端子20の幅方向に沿う辺の長さL2が、外装体15の外周辺のうち電極端子20が引き出されている辺の長さL3と同等となっている。また、外装体15の周縁部17を電極端子20の延在方向に沿って折り曲げた場合には、折り目15aの延在方向に沿う収納部16の辺の長さ以下、かつ折り目15aの延在方向における一対のタブフィルム25の最端部同士の離間距離以上としてもよい。なお、絶縁テープ50は、絶縁シートに接着剤を塗布して貼り付けてもよい。
【0038】
絶縁テープ50は、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17から1対のリード線40の絶縁被覆41b,42bに亘って貼り付けられている。絶縁テープ50は、外装体15のタブフィルム25近傍と、タブフィルム25と、電極端子20と、接合部43,44と、絶縁被覆41b,42bの接合部43,44近傍と、を覆っている。絶縁テープ50の絶縁テープ片50a,50bは、電極端子20を上側および下側から挟み込むように粘着面同士が接着されている。なお、絶縁テープ50は、1枚の絶縁テープ片を電極端子20の周囲を囲むように1周以上貼り付けて形成されてもよい。
また、絶縁テープ50とリード線40の絶縁被覆41b,42bとの接着部45を、超音波接合機により超音波溶着加工し、絶縁テープ50と一対のリード線40とを機械的に接続して固定させると更に好ましい。なお、絶縁テープ50とリード線40の絶縁被覆41b,42bとの固定は、超音波溶着加工に限らず、例えば熱溶着や、接着剤による固定などであってもよい。
【0039】
(保護回路基板)
保護回路が搭載された基板である保護回路基板30は、平面視矩形状に形成され、基板31上に不図示の電子素子が複数個実装されているとともに、配線パターンが形成されている。電子素子は、例えば抵抗器やトランジスタ等のスイッチング回路がパッケージングされたICである。配線パターンは、例えば銅箔等の金属材料を接合し形成される。
保護回路基板30の電子素子および配線パターンは、保護回路を形成している。保護回路は、電池10の充放電を制御することにより過充電や過放電を防止して電池10を保護したり、過電流が発生した際に外部機器から電池10を電気的に遮断したりする。
【0040】
また、保護回路基板30には、一対のランド33が形成されている。一対のランド33には、それぞれ一対のリード線40が、例えば超音波接合や抵抗溶接等により接続されている。ランド33は、配線パターンに対して積層して成膜される。
【0041】
このように、本実施形態の電池10は、一対の電極端子20と一対のリード線40との接合部43,44が、電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとを接合することで形成されている。
この構成によれば、電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとを接合して接合部43,44を形成するため、接合部43,44においてハンダを用いることなく、電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとを機械的および電気的に接続することができる。このため、従来はハンダを用いて形成していた接合部43,44における厚さが、ハンダやその副材で用いるニッケル製の板材を省略したことで薄くなる。したがって、小型化が可能な電池10が得られる。
【0042】
また、特に外装体15がラミネートフィルムである場合は、ハンダ付けにより電極端子20が長時間加熱されると、その伝熱の影響により、ラミネートフィルムの内面の樹脂層やタブフィルム25が再加熱される。これによりラミネートフィルムの内面の樹脂層同士の界面や、ラミネートフィルムの内面の樹脂層とタブフィルム25との界面、タブフィルム25と電極端子20の界面が再溶融する。このため、外装体15内部の密閉性が低下する恐れがあった。
本実施形態によれば、接合部43,44を、電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとの超音波接合により形成することで、拡散接合の初期の摩擦によって生じる発熱が、電極体11や外装体15等へ伝熱することを軽減できる。これにより、タブ状の電極端子20やタブフィルム25と、ラミネートフィルムにより形成された外装体15との界面が溶融することによって密着性が低下することを防止でき、水蒸気を含む外気が電池10の内部に入ることを抑制できる。したがって、電池10の信頼性を向上させることができる。
【0043】
さらに、ラミネートフィルムを用いた外装体15は、過度の外力が局所的に加わった場合、外装体15の保護層が破れる。ラミネートフィルムの金属箔がアルミニウムにより形成されている場合には、水蒸気を含む外気と接することで、保護層が破れて露出した金属箔が腐食する可能性がある。このため、外装体15に対して、外力が集中するような突起を有する部材を近接させることは好ましくない。
電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとをハンダ付けにより接続すると、ハンダ部には、凸状の突起が形成される恐れがある。本実施形態では、電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとを超音波接合により接合しているため、接合部43,44には、凸状の突起が形成されにくく、外装体15にダメージを与えることを防止できる。したがって、電池10の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、電池10が、外装体15と接合部43,44を被覆する絶縁テープ50を有することで、電極体11との導通部分の露出を防止できるため、電極間の短絡を防止できる。また、接合部43,44の微小な凹凸を有するバリやタブ状の電極端子20の端部のエッジ等によって、外装体15に切り傷が生じることを防止できる。したがって、電池10の信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、絶縁テープ50が、リード線40の絶縁被覆41b,42bを被覆し、絶縁被覆41b,42bと絶縁テープ50とが超音波溶着加工されていることで、リード線40と絶縁テープ50との固定がより強固となる。さらに、絶縁被覆41b,42bが溶着時の熱により変形するため、芯線41a,42aから引き抜けにくくなる。したがって、絶縁テープ50が接着されたリード線40と外装体15との接続の機械的強度を向上させることができる。
【0046】
また、リード線40の芯線41a,42aが撚線であるため、単線により形成された芯線と比較して、芯線41a,42aの表面積は大きくなる。このため、接合部43,44におけるリード線40の芯線41a,42aと電極端子20との金属拡散層の生成面積が大きくなる。これにより、接合部43,44において、単に接合面積を大きく確保できるだけでなく、金属が拡散してできる拡散層の体積を大きくできる。したがって、リード線40と電極端子20との接続の機械的強度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の電池パック1は、電池10と、一対のリード線40に接続され、電池10を保護する保護回路基板30と、を備える。
この構成によれば、保護回路基板30と電極端子20とを接続するリード線40を有しているので、タブ状の電極端子20を保護回路基板30に直接接続していた従来技術と比較して、電極体11と保護回路基板30との間のリード線40を所望に湾曲させることができる。これにより、電池パック1は、従来技術と比較して、保護回路基板30の搭載先の機器内におけるレイアウトの自由度を確保できるとともに、電極体11と保護回路基板30との間を省スペース化できる。したがって、小型化が可能な電池パック1が得られる。
【0048】
図3および
図4は、それぞれ第1実施形態の変形例に係る電気化学セルの側面図である。
なお、
図3に示すように、電池10は、一対のリード線40が外装体15の厚さ方向(電極端子20の厚さ方向)から見て電極端子20と電極体11との間の空間において折り曲げられ、テープ80を巻きつけることにより固定されてもよい。またこのとき、
図1および
図2に示すように、一対のリード線40を折り曲げる際には、予め絶縁テープ50が電極端子20を上側および下側から挟み込むように粘着面同士が接着されていてもよい。これにより、更にリード線40の固定強度を向上させることができる。
このように、リード線40を外装体15の厚さ方向から見て電極端子20と電極体11との間で折り曲げることで、電池10の搭載先の機器における配置レイアウトに合わせて、電極端子20と電極体11との間の空間にリード線40を収容することができる。したがって、より小型化が可能な電池10が得られる。
【0049】
また、
図4に示すように、第1折り曲げ部Pが、タブフィルム25と接合部43,44との間における電極端子20上に形成され、第2折り曲げ部Qが、接合部43,44と接着部45との間におけるリード線40の絶縁被覆41b,42b上に形成されていることが好ましい。この構成によれば、タブフィルム25を避けて折り曲げることで、電極端子20とタブフィルム25との間の密着性を維持し、漏液の発生を防止すると同時に、外気が外装体15の内部に入ることを抑制して電池10の劣化を抑制することが出来る。また、接合部43,44を避けて折り曲げることで、電極端子20とリード線40との接合部43,44において、外力による剥離を抑制できることが出来る。さらに、接着部45を避けて折り曲げることで、絶縁被覆41b,42bと絶縁テープ50との剥離を抑制することが出来る。
このように、タブフィルム25、接合部43,44、および接着部45を避けて電極端子20およびリード線40を折り曲げることで、優れた電池特性を保持したまま、上述の作用効果が得られる。
【0050】
(第1実施形態、電気化学セルモジュールの製造方法)
次に、第1実施形態の電気化学セルモジュールの製造方法について説明する。
図5は、第1実施形態における電気化学セルモジュールの製造工程を説明するフローチャートである。なお、
図5における電気化学セルモジュールの製造工程の説明において、各構成部品の符号については、
図1および
図2を参照されたい。
【0051】
図5に示すように、本実施形態の電池パック1の製造方法は、リード線40の芯線41a,42aと一対の電極端子20とを接合して接合部43,44を形成する接合部形成工程S1と、外装体15と接合部43,44と絶縁被覆41b,42bとを被覆する絶縁テープ50を貼り付けるテープ貼付工程S2と、絶縁被覆41b,42bと絶縁テープ50とを溶着するテープ溶着加工工程S3と、を有する。
【0052】
(接合部形成工程)
まず、接合部形成工程S1について説明する。接合部形成工程S1では、リード線40の芯線41a,42aと一対の電極端子20とを接合(金属拡散接合)して接合部43,44を形成する。
具体的には、電池10の負極側電極端子22を絶縁性の粘着テープ等で覆うなどにより絶縁した状態で、電池10を超音波接合機のアンビルに載置する。このとき、電池10は、正極側電極端子21の先端部が所定の位置に置かれるようにアンビルに載置される。次いで、正極側リード線41の一端部の芯線41aが、正極側電極端子21の先端部に重なるように、正極側リード線41をアンビルに載置し、固定する。次いで、正極側リード線41と正極側電極端子21との重ね合わせ部を超音波接合機のホーンとアンビルとで挟み込みつつ加圧することで、正極側リード線41と正極側電極端子21とを接合する。これにより、正極側リード線41と正極側電極端子21とが機械的および電気的に接続されて、接合部43が形成される。
【0053】
次いで、正極側リード線41と正極側電極端子21との接合部43と同様に、接合部44を形成する。接合部44の形成方法については、詳細な説明を省略する。なお、接合部43,44に接着剤を塗布して、接合を補強してもよい。
【0054】
(テープ貼付工程)
次に、テープ貼付工程S2について説明する。テープ貼付工程S2では、外装体15と、接合部43,44と、絶縁被覆41b,42bと、を被覆する絶縁テープ50を貼り付ける。
具体的には、タブ状の一対の電極端子20の下面を被覆するように、絶縁テープ片50aを貼り付ける。このとき、絶縁テープ片50aは、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17の下面と、一対のリード線40の絶縁被覆41b,42bの接合部43,44近傍と、を被覆するように貼り付けられる。次いで、一対の電極端子20の上面を被覆するように、かつ平面視において絶縁テープ片50aと重なるように絶縁テープ片50bを貼り付ける。このとき、絶縁テープ片50bは、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17の上面と、接合部43,44と、一対のリード線40の絶縁被覆41b,42bの接合部43,44近傍と、を被覆するように貼り付けられる。
【0055】
(テープ溶着加工工程)
次に、テープ溶着加工工程S3について説明する。テープ溶着加工工程S3では、絶縁被覆41b,42bと絶縁テープ50とを溶着する。
具体的には、テープ貼付工程S2において形成された、絶縁テープ50とリード線40の絶縁被覆41b,42bとの接着部45を、超音波接合機により超音波溶着加工し、絶縁テープ50と一対のリード線40との機械的な接続強度を高める。
以上の工程を経ることにより、電池10が得られる。
【0056】
なお、絶縁テープ50と絶縁被覆41b,42bとの溶着は、超音波溶着加工に限定されない。例えば加熱ゴテを用いた熱溶着により、絶縁テープ50と絶縁被覆41b,42bとを一体化、または一体的に変形させることができる。これら絶縁テープ50と絶縁被覆41b,42bとの溶着により、リード線40の引き抜けに対する耐性を持たせることができる。
また、絶縁テープ50と絶縁被覆41b,42bとを、接着剤により固定させても同様の効果を得ることができる。
【0057】
最後に、正極側リード線41および負極側リード線42の他端部における芯線41a,42aを、保護回路基板30の一対のランド33に、例えば超音波接合や抵抗溶接等により接続させることで、電池パック1が得られる。
【0058】
なお、接合部形成工程S1を完了後、電極端子20およびリード線40のうち少なくとも一方を折り曲げる折り曲げ工程を実施してもよい。
具体的には、折り曲げ工程では、電極端子20をタブフィルム25と接合部43,44との間で、少なくとも1回折り曲げる。さらに、リード線40を絶縁被覆41b,42b上における接合部43,44と接着部45との間で、少なくとも1回折り曲げる。この際、リード線40の折り曲げ部の少なくとも1つは、外装体15の周縁部17のうち電極端子20と交差する領域と、収納部16とにより制限された空間に配置する。
このように、タブフィルム25を避けて電極端子20を折り曲げることで、外装体15の封止性が低下することを防止できる。また、接合部43,44を避けて電極端子20およびリード線40を折り曲げることで、電極端子20とリード線40との接合が剥離することを防止できる。さらに、接着部45を避けてリード線40を折り曲げることで、リード線40と絶縁テープ50との溶着が剥離することを防止できる。したがって、信頼性の高い小型な電池10を製造できる。
【0059】
このように、本実施形態の製造方法では、一対の電極端子20とリード線40の芯線41a,42aとを接合(金属拡散接合)して接合部43,44を形成する。これにより、加熱溶融するハンダやその副材を用いることなくリード線40の芯線41a,42aと一対の電極端子20とを機械的および電気的に直接接続できる。したがって、小型化が可能な電池パック1を製造できる。
【0060】
また、本実施形態の製造方法では、絶縁被覆41b,42bと絶縁テープ50とを超音波溶着加工する。これにより、リード線40と絶縁テープ50とを、より強固に固定することができる。したがって、絶縁テープ50が接着されたリード線40と外装体15との接続の機械的強度が向上した電池パック1を製造することができる。
【0061】
(第2実施形態、電気化学セルおよび電気化学セルモジュール)
次に、第2実施形態の電気化学セルおよび電気化学セルモジュールについて説明する。
図6は第2実施形態に係る電気化学セルの側面図である。
図1および
図2に示す第1実施形態では、電池10は、電極端子20とリード線40とをそれぞれ略直線状に伸ばしたとき、接合部43,44が電極端子20の上面に形成され、リード線40が接合部43,44を挟んで外装体15の反対側に配置されている。一方で、
図6に示す第2実施形態では、電池10は、電極端子20とリード線40とをそれぞれ略直線状に伸ばしたとき、接合部143,144が電極端子20の下面に形成され、リード線40が接合部43,44に対して外装体15と同じ側に配置されている点で、第1実施形態と異なっている。なお、
図1および
図2に示す第1実施形態と同様の構成となる部分については、詳細な説明を省略する。
【0062】
図6に示すように、電池110は、一対のリード線40が電極端子20の延出方向に沿って配置されるとともに、接合部143,144に対して外装体15と同じ側に配置されている。すなわち、正極側電極端子21(
図1参照)は、正極側電極端子21の下方において、正極側電極端子21の延出方向に沿って配置した正極側リード線41の一端部における芯線41aと接合され、接合部143が形成されている。これにより、正極側電極端子21は、正極側リード線41に対して、機械的および電気的に接続される。負極側電極端子22は、正極側電極端子21と同様に、負極側電極端子22の下方において、負極側電極端子22の延出方向に沿って配置した負極側リード線42の一端部における芯線42aと接合され、接合部144が形成されている。これにより、負極側電極端子22は、負極側リード線42に対して、機械的および電気的に接続している。リード線40と電極端子20との接合は、第1実施形態と同様に、超音波接合が好適である。
【0063】
絶縁テープ150は、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17の上面から電極端子20の上面に亘って貼り付けられた後、電極端子20の先端において下方に向かって折り返される。さらに、折り返された絶縁テープ150は、電極端子20の下方において一対のリード線40を被覆するように貼り付けられる。なお、絶縁テープ150は、2枚の矩形状の絶縁テープ片を上側および下側から挟み込むように貼り付けて形成してもよい。
なお、第1実施形態における電池10と同様に、上述の電池110に対して、保護回路基板30を接続させることで、電池パックが得られる。
【0064】
このように、本実施形態の電池110は、一対のリード線40が電極端子20の延出方向に沿って配置されるとともに、接合部143,144に対して外装体15と同じ側に配置されている。
この構成によれば、電池110は、リード線40が外装体15に近接して配置されるため、外装体15からリード線40の先端部までの距離を小さくでき、上下方向から見た面積を小さくすることができる。したがって、小型化が可能な電池110が得られる。
特に本実施形態では、外装体15の上部が収納部16により凸状に形成されているのに対し、外装体15の下部は平坦に形成されている。このため、リード線40を外装体15の下方に配置することで、リード線40を外装体15により近接させることができ、電池110をより効率的に小型化することができる。
【0065】
図7は、第2実施形態の変形例に係る電気化学セルの側面図である。
図7に示すように、電池110は、電極端子20上におけるタブフィルム25の端部と接合部143,144との間に第1折り曲げ部Pを有し、リード線40および電極端子20の一部が外装体15の周縁部17の上方の空間に折り曲げられてもよい。またこのとき、絶縁テープ151を張り付けていてもよい。例えば、電極端子20の折り曲げ前に、
図6に示す状態と同様に、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17から1対のリード線40の絶縁被覆41b,42bに亘って側面視U字状に絶縁テープ150を貼り付ける。そして、電極端子20の折り曲げ後に、タブフィルム25の近傍における外装体15の周縁部17の下面から、電極端子20の下面を介して、1対のリード線40の絶縁被覆41b,42bに亘って絶縁テープ151を貼り付ける。なお、絶縁テープ151は、電極端子20の折り曲げ後に1枚の絶縁テープ片を電極端子20の周囲を囲むように1周以上貼り付けて形成されてもよい。このように構成することで、外装体15から延出した電極端子20を収納部16と周縁部17により制限された空間に配置できるため、電池110をより容易に小型化することができる。
【0066】
(第3実施形態、電気化学セルモジュール)
次に、第3実施形態の電気化学セルモジュールについて説明する。
図8は、第3実施形態に係る電気化学セルモジュールの側面図である。
【0067】
図1および
図2に示す第1実施形態では、電池パック1は、1個の電池10を有している。一方で、
図8に示す第3実施形態では、電池パック201は、2個の電池10を有している点で異なっている。なお、
図1および
図2に示す第1実施形態と同様の構成となる部分については、詳細な説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、電池パック201は、外装体15の厚さ方向に積層された複数個(本実施形態では2個)の電池10と、正極側リード線41(
図1参照)および負極側リード線42と、保護回路が搭載された保護回路基板30と、を有している。各電池10が有する正極側電極端子21(
図1参照)は、正極側リード線41の一端部における芯線41aを挟み込んだ状態で接合されている。これにより、各正極側電極端子21は、正極側リード線41に対して、機械的および電気的に接続される。同様に、各電池10が有する負極側電極端子22は、負極側リード線42の一端部における芯線42aを挟み込んだ状態で接合されている。これにより、各負極側電極端子22は、負極側リード線42に対して、機械的および電気的に接続している。リード線40と電極端子20との接合は、第1実施形態と同様に、超音波接合が好適である。
【0069】
このように、本実施形態では、電池パック201は、複数個の電池10を備え、各電池10の電極端子20は、リード線40の一端部とともに接合されて接続されている。これにより、電池パック201は、電池10が並列接続された構成であっても、一対のリード線40を介して各電池10と保護回路基板30との接続を行うことができる。したがって、各電池10と保護回路基板30との接続構造が複雑化して大型化するのを抑制できる。
【0070】
(携帯機器)
次に、本発明に係る携帯機器の一実施形態について、
図9を参照して説明する。
図9は、携帯機器の一実施形態を示す構成図である。なお、携帯機器として、上述した電池パック1を有する腕時計型の情報表示装置300を例にして説明する。
【0071】
図9に示すように、情報表示装置300は、装置本体部310と、ベルト320と、を有する。情報表示装置300は、使用者の手首(腕)に対してベルト320によって装着される。装置本体部310は、筐体311の表面に配置された表示部313と、筐体311の内部に配置された回路基板315と、筐体311の内部に配置された電池パック1と、を有する。回路基板315には、制御回路や電源回路等が実装されており、不図示の配線を介して表示部313の各部と電気的に接続されている。電池パック1は、回路基板315に接続され、充電および回路基板315への給電可能に構成されている。
【0072】
このように、本実施形態の情報表示装置300は、筐体311の内部に電池パック1を備えるため、小型な情報表示装置300が得られる。
なお、本実施形態の情報表示装置300において、回路基板315に予め電池の保護回路が搭載されている場合には、上述した電池10を直接接続することで、同様の効果が得られる。
また、電池パック1は、ベルト320内に配置してもよい。この場合、保護回路基板30を筐体311の内部に配置することで、より小型化することができる。
【0073】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、電気化学セルの一例として、非水電解質二次電池を例に挙げて説明したが、この場合に限定されず、電気二重層キャパシタや一次電池等に上述した構成を適用することができる。
電気二重層キャパシタの場合には、活物質として活性炭を用い、分極性の非水電解液を用いることができる。また、正極および負極の集電体として、アルミニウム箔を用いることができる。
【0074】
また、上記実施形態においては、携帯機器の一例として、腕時計型の情報表示装置300を例に挙げて説明したが、この場合に限定されない。例えば、微小な電力の電波を発信し、生体の情報を発信する機器、いわゆるテレメーターに類する機器や、人間の五感を補助する機能を有するウエアラブル機器である、いわゆるヘッドマウントディスプレイや補聴器等に上述した構成を適用することができる。
【0075】
また、上記実施形態においては、リード線40の芯線41a,42aは、撚線であったが、これに限定されず、例えばリード線40の芯線41a,42aは、単線であってもよい
。
【0076】
また、上記実施形態においては、電池の保護回路は、保護回路基板30に形成されていたが、この場合に限定されるものではない。電池の保護回路は、保護回路基板30の代わりに、電池の搭載先の機器における多積層の基材を用いて高密度実装された回路基板内に形成されてもよい。これにより、従来の保護回路基板30の片面は、電池との接続に用いられていたが、この接続を行う必要がなくなるため、実装の効率が向上するとともに、機器全体のエネルギー密度の向上を図ることができる。
【0077】
また、上記実施形態においては、絶縁テープ50として、ポリイミドテープを例に説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、絶縁テープ50を形成する材質としては、全芳香族ポリアミド(PA)や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンプラ、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン系ゴム、さらに、上述の樹脂を複合したガラスクロスやアセテートクロス、等を適用することができる。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。