特許第6395232号(P6395232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395232
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】画像表示装置及び光源調光方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20180913BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20180913BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 641P
   G09G3/34 J
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-530789(P2016-530789)
(86)(22)【出願日】2014年7月4日
(86)【国際出願番号】JP2014067938
(87)【国際公開番号】WO2016002075
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】森本 健
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−36063(JP,A)
【文献】 特開2009−109900(JP,A)
【文献】 特開2011−118195(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010357(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0147853(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0001997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
入力映像信号に基づいて前記光源からの光を空間的に変調して画像を形成する表示部と、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数よりも少ない明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得するヒストグラム取得部と、
記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行うか否かを判断し、前記調光制御を行う場合には前記第1のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行う制御部と、を有する、画像表示装置。
【請求項2】
前記入力映像信号は、赤色画像を示す赤色信号、緑色画像を示す緑色信号及び青色画像を示す青色信号を含み、
前記ヒストグラム取得部は、前記赤色画像、緑色画像及び青色画像のそれぞれ対応する画素値を所定の割合で加算した輝度信号についての前記第1及び第2のヒストグラムである第1及び第2の輝度ヒストグラムを取得するとともに、前記赤色信号、緑色信号及び青色信号の少なくとも1つの色信号についての前記第2のヒストグラムである色ヒストグラムを取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記ヒストグラム取得部は、前記青色信号についての前記色ヒストグラムである第1の色ヒストグラムを取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1の色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記ヒストグラム取得部は、前記赤色信号についての前記色ヒストグラムである第2の色ヒストグラムをさらに取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1及び第2の色ヒストグラムのそれぞれについて、各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記ヒストグラム取得部は、前記緑色信号についての前記色ヒストグラムである第3の色ヒストグラムをさらに取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1乃至第3の色ヒストグラムのそれぞれについて、各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1の輝度ヒストグラムの明るさの段階をHistY[0]〜HistY[m]とし(mは1以上の自然数)、
前記制御部は、HistY[0]〜HistY[m]それぞれの度数を前記表示部の画素数で割った値をHist[0]〜Hist[m]として調光度合を、
【数1】
により求め(n<m)、
前記調光度合と予め与えられた最大調光ゲインとを用いて調光率を
調光率=1.0−(調光度合×最大調光ゲイン)
により求め、該調光率に応じて前記光源の輝度を調整する、請求項からのいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、乗算率を前記調光率の逆数として求め、
該乗算率を前記赤色信号、緑色信号及び青色信号それぞれに乗算し、該赤色信号、緑色信号及び青色信号を含む映像信号を前記表示部に供給する、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記ヒストグラム取得部は、前記第1のヒストグラムを所定の段階数毎に纏めて前記第2のヒストグラムを作成する、請求項1からのいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第2のヒストグラムの各明るさの段階のうち、低い側の段階の明るさの範囲が他の段階の明るさの範囲よりも広い、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
入力映像信号に基づいて光源からの光を表示素子で空間的に変調して画像を表示する画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数よりも少ない明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得し、
記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行うか否かを判断し、
前記調光制御を行う場合には前記第1のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行う、
光源調光方法。
【請求項11】
前記入力映像信号は、赤色画像を示す赤色信号、緑色画像を示す緑色信号及び青色画像を示す青色信号を含み、
前記赤色画像、緑色画像及び青色画像のそれぞれ対応する画素値を所定の割合で加算した輝度信号についての前記第1及び第2のヒストグラムである第1及び第2の輝度ヒストグラムを取得するとともに、前記赤色信号、緑色信号及び青色信号の少なくとも1つの色信号についての前記第2のヒストグラムである色ヒストグラムを取得し、
前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合にのみ、前記調光制御を行う、請求項10に記載の光源調光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の調光制御が行われる画像表示装置及びその光源調光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の光源調光方法として、特許文献1には、一定期間中に取得した映像信号から輝度平均値を算出し、該輝度平均値に基づいてバックライトの輝度を制御する方法が記載されている。この制御方法では、輝度平均値が閾値を上回ると、バックライトの輝度を低減させ、輝度平均値が閾値を下回ると、バックライトの輝度を増加させる。これにより、画面の明るさを、映像の輝度レベルに応じた最適な明るさに調整することができる。
しかし、上記制御方法では、画像の特徴に関係なく、映像信号の輝度平均値のみでバックライトの輝度を制御しているため、画像の特徴によっては、最適な明るさにならない場合がある。
例えば、中央の領域が白色とされ、その周辺の領域が黒色とされた第1の画像と、全体がグレー等の中間色とされた第2の画像は、互いの画像の特徴は異なるが、同じ平均輝度値を有する。通常、これら第1及び第2の画像を最適な明るさで表示するためには、第1及び第2の画像に対するバックライトの輝度をそれぞれ適切に制御する必要がある。しかし、上記制御方法では、これら第1及び第2の画像に対するバックライトの輝度は同じであるため、第1及び第2の画像を最適な明るさで表示することは困難である。
【0003】
そこで、平均輝度値に加えて、画像の特徴を示すヒストグラムを用いてバックライトの輝度を調整する液晶表示装置が、特許文献2により提案されている。
特許文献2に記載の液晶表示装置では、入力映像信号に基づいて3段階のヒストグラムを作成する。ここで、3段階のヒストグラムは、明るさの段階を低輝度、中輝度、高輝度の3段階で表し、画像データの各画素値を段階別にグラフ化したものである。
3段階のヒストグラムに基づいて画像の特徴を判定し、3段階のヒストグラムの所定の明るさの段階の度数(例えば、高輝度側の度数)により示される画像の特徴量に基づいてバックライトの光量を調整する。これにより、画像の特徴が互いに異なる上記第1及び第2の画像に対して、それぞれの画像の特徴に応じた光量制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−308792号公報
【特許文献2】特開2008−129251号公報
【発明の概要】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載の制御方法には、特徴が異なる画像を最適な明るさで表示することが困難であるという問題がある。
一方、特許文献2に記載の液晶表示装置には、以下のような問題がある。
3段階のヒストグラムを用いた光量制御では、画像の特徴量を大まかにしか検出することができないため、バックライトの光量を大まかにしか調整することができない。このため、表示画像が不自然な明るさになる場合がある。
なお、3段階のヒストグラムに代えて16段階といった細かなヒストグラムを用いれば、画像の特徴量を細かく検出することができるため、バックライトの光量を細かく調整することができる。しかし、この場合は、明るさの段階を細かくした分、前述した第1及び第2の画像を判別するための、画像の特徴を検出する処理が複雑になる。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決し、調光制御により自然な明るさの画像を提供することができる、画像表示装置及び光源調光方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
光源と、
入力映像信号に基づいて前記光源からの光を空間的に変調して画像を形成する表示部と、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数と異なる明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得するヒストグラム取得部と、
前記第1のヒストグラムおよび前記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行う制御部と、を有する、画像表示装置が提供される。
本発明の別の態様によれば、入力映像信号に基づいて光源からの光を表示素子で空間的に変調して画像を表示する画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数と異なる明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得し、
前記第1のヒストグラムおよび前記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行う光源調光方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、入力映像信号に基づいて光源からの光を表示素子で空間的に変調して画像を表示する画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号から2つ以上の統計データを導出し、
前記2つ以上の統計データに基づいて前記光源の輝度を調整する、光源調光方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態による画像表示装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図2図1に示す画像表示装置の光源調光部の構成を示すブロック図である。
図3】16段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムの一例を示す図である。
図4】入力画像の明るさと調光率の関係を示す特性図である。
図5図1に示す画像表示装置にて行われる調光制御動作の一手順を示すフローチャートである。
図6】8段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムの一例を示す図である。
図7】10段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による画像表示装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、画像表示装置は、光源調光部1、光源駆動部2、表示素子駆動部3、光源4及び表示素子5を有する。光源4は、水銀ランプや、LED(Light Emitting
Diode)等の固体光源である。表示素子5は、光源4からの光を空間的に変調して画像を形成する表示素子であって、例えば、液晶表示デバイス等である。
光源調光部1は、外部映像供給装置からRGB信号S1を受信し、光源4の輝度(または光量)を制御するための調光信号S2を光源駆動部2に供給し、表示素子5に画像を表示させるためのRGB信号S3を表示素子駆動部3に供給する。外部映像供給装置は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置やビデオレコーダ等の映像機器である。
光源駆動部2は、調光信号S2に従って光源4を駆動する。表示素子駆動部3は、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。
【0009】
図2は、光源調光部1の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、光源調光部1は、ヒストグラム取得部102、解析部103、調光レベル算出部104、信号ゲイン乗算率算出部105及び信号ゲイン乗算部106を有する。
RGB信号S1は、光の三原色である赤信号R、緑信号G及び青信号Bを含む。ヒストグラム取得部102は、以下の式1に従ってRGB信号S1から輝度信号Yを算出する。
Y=0.299×R+0.587×G+0.114×B ・・・(式1)
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得する。換言すると、ヒストグラム取得部102は、2つ以上の統計データを取得する。これらヒストグラムの取得は、1フレーム単位で行われる。
【0010】
以下に、RGB信号S1が8ビットのデジタルデータである場合の16段階のヒストグラムの取得手順を説明する。
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを作成すためのレジスタとして16個のHistY[0]〜HistY[15]を有する。これらHistY[0]〜HistY[15]は、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。以下の表1に示す加算条件に従って、輝度信号Yの入力データに応じてHistY[0]〜HistY[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
【0011】
【表1】
【0012】
ヒストグラム取得部102は、赤信号R用のレジスタである16個のHistR[0]〜HistR[15]、緑信号G用のレジスタである16個のHistG[0]〜HistG[15]及び青信号B用のレジスタである16個のHistB[0]〜HistB[15]を有する。これらHistR[0]〜HistR[15]、HistG[0]〜HistG[15]及びHistB[0]〜HistB[15]も、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。
赤信号Rの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistR[0]〜HistR[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、赤信号Rの入力データに応じてHistR[0]〜HistR[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、赤信号Rに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
緑信号Gの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistG[0]〜HistG[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、緑信号Gの入力データに応じてHistG[0]〜HistG[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、緑信号Gに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
青信号Bの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistB[0]〜HistB[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、青信号Bの入力データに応じてHistB[0]〜HistB[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、青信号Bに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
【0013】
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLY[0]〜HistLY[3]を有する。以下の式2〜5に従って、HistLY[0]〜HistLY[3]にカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLY[0]=HistY[0]+ HistY[1]+ HistY[2]+ HistY[3] ・・・(式2)
HistLY[1]=HistY[4]+ HistY[5]+ HistY[6]+ HistY[7] ・・・(式3)
HistLY[2]=HistY[8]+ HistY[9]+ HistY[10]+ HistY[11] ・・(式4)
HistLY[3]=HistY[12]+ HistY[13]+ HistY[14]+ HistY[15]・・(式5)
【0014】
一例として、図3に、輝度信号Yについて取得した16段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。図3において、上段の分図(a)が16段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。
さらに、ヒストグラム取得部102は、赤信号Rに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLR[0]〜HistLR[3]を有する。以下の式6〜9に従って、HistLR[0]〜HistLR[3]にカウント値が加算される。これにより、赤信号Rについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLR[0]=HistR[0]+ HistR[1]+ HistR[2]+ HistR[3] ・・・(式6)
HistLR[1]=HistR[4]+ HistR[5]+ HistR[6]+ HistR[7] ・・・(式7)
HistLR[2]=HistR[8]+ HistR[9]+ HistR[10]+ HistR[11] ・・(式8)
HistLR[3]=HistR[12]+ HistR[13]+ HistR[14]+ HistR[15]・・(式9)
【0015】
さらに、ヒストグラム取得部102は、緑信号Gに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLG[0]〜HistLG[3]を有する。以下の式10〜13に従って、HistLG[0]〜HistLG[3]にカウント値が加算される。これにより、緑信号Gについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLG[0]=HistG[0]+ HistG[1]+ HistG[2]+ HistG[3] ・・(式10)
HistLG[1]=HistG[4]+ HistG[5]+ HistG[6]+ HistG[7] ・・(式11)
HistLG[2]=HistG[8]+ HistG[9]+ HistG[10]+ HistG[11]・・(式12)
HistLG[3]=HistG[12]+ HistG[13]+ HistG[14]+ HistG[15]・(式13)
【0016】
さらに、ヒストグラム取得部102は、青信号Bに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLB[0]〜HistLB[3]を有する。以下の式14〜17に従って、HistLB[0]〜HistLB[3]にカウント値が加算される。これにより、青信号Bについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLB[0]=HistB[0]+ HistB[1]+ HistB[2]+ HistB[3] ・・(式14)
HistLB[1]=HistB[4]+ HistB[5]+ HistB[6]+ HistB[7] ・・(式15)
HistLB[2]=HistB[8]+ HistB[9]+ HistB[10]+ HistB[11]・・(式16)
HistLB[3]=HistB[12]+ HistB[13]+ HistB[14]+ HistB[15]・(式17)
【0017】
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて取得した16段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを解析部103に供給する。
解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムに基づいて光源4の調光制御を行うか否かを判断する。
【0018】
以下に、調光制御実行判断を具体的に説明する。
まず、解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムについて、各段階の順位付けを行う。
具体的には、解析部103は、輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムのHistLY[0]〜HistLY[3]について、度数(ヒストグラムカウント数)の多いものから順に1番、2番、3番、4番といった順位付けを行う。
【0019】
図3の分図(b)に示した輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムを例にとると、HistLY[0]〜HistLY[3]は以下のように順位付けされる。
HistLY[0]:1番
HistLY[1]:2番
HistLY[2]:3番
HistLY[3]:4番
【0020】
輝度信号Yの場合と同様に、解析部103は、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムについても、度数(ヒストグラムカウント数)に基づく各段階の順位付けを行う。
次に、解析部103は、以下の条件1〜4を満たすか否かを判断する。
(条件1)HistLY[0]〜HistLY[3]の中で、HistLY[0]の順位が1番である。
(条件2)HistLR[0]〜HistLR[3]の中で、HistLR[3]の順位が1番ではない。
(条件3)HistLG[0]〜HistLG[3]の中で、HistLG[3]の順位が1番ではない。
(条件4)HistLB[0]〜HistLB[3]の中で、HistLB[3]の順位が1番ではない。
上記条件1〜4を全て満たした場合に、解析部103は、調光制御を行うと判断する。上記条件1〜4の1つでも条件を満たさなかった場合は、解析部103は、調光制御を行わないと判断する。
【0021】
解析部103は、調光制御を行うか否かの判断結果を示す調光制御実行判断結果を調光レベル算出部104に供給する。調光制御を行う旨の調光制御実行判断結果を調光レベル算出部104に供給する場合は、解析部103は、ヒストグラム取得部102にて取得した輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムも調光制御実行判断結果と一緒に調光レベル算出部104に供給する。
調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行わない旨の調光制御実行判断結果を受信した場合は、光源4が最大輝度出力となるように、調光率として1.0を出力する。調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行う旨の調光制御実行判断結果及び輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを受信した場合は、その16段階のヒストグラムを用いて調光率を算出する。
【0022】
以下に、調光率の算出手順を具体的に説明する。
まず、調光レベル算出部104は、調光度合を算出する。調光度合とは、光源4の明るさを暗くする度合いを示す指数であり、その値は0から1.0までの範囲内で与えられる。調光度合の値が大きいほど光源4が暗くなり、調光度合の値が小さいほど光源4が明るくなる。
調光レベル算出部104は、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムのHistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]を用いて調光度合を算出する。調光度合の算出に当たり、調光レベル算出部104は、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれについて、全画面中の割合とするための最適化の演算を行う。具体的には、調光レベル算出部104は、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれについて、度数(ヒストグラムカウント数)を全画面の画素数で除算することで最適化する。これにより、Hist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]それぞれが取りうる値の最大値が1となる。調光レベル算出部104は、最適化の値を保持するレジスタとしてHist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]を有する。これらHist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]には、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれの最適化した値が保持される。
【0023】
例えば、表示素子5がVGA(Video Graphics Array)の解像度を有する画面を備え、RGB信号S1として、640×480の画像データが入力された場合は、調光レベル算出部104は、以下の式18〜式21に従って最適化の演算を行う。
Hist[0]=HistY[0]÷(640×480) ・・・(式18)
Hist[1]=HistY[1]÷(640×480) ・・・(式19)
Hist[2]=HistY[2]÷(640×480) ・・・(式20)
Hist[3]=HistY[3]÷(640×480) ・・・(式21)
【0024】
次に、調光レベル算出部104は、Hist[0]〜Hist[3]を用いて調光度合を算出する。具体的には、画面全体に占める暗い画素の割合に比例して調光を行うため、調光レベル算出部104は、以下の式22により調光度合を算出する。
【数1】
【0025】
次に、調光レベル算出部104は、算出した調光度合に基づいて調光率を以下の式23により算出する。
調光率=1.0−(調光度合×最大調光ゲイン)・・・(式23)
調光率が0である場合、光源4は完全に消灯することになる。通常、光源4を完全に消灯させてしまうと、再点灯した際に光源4の輝度が安定するまでに時間を要するなどの不具合を生じる。このため、本実施形態では、光源4が消灯しないように、すなわち、調光率が0にならないように、最大調光ゲインが設定されている。
【0026】
図4に、入力画像の明るさと調光率の関係を示す。横軸は入力画像の明るさを表し、左側に向かうほど暗い画素が多い画像であることを示す。縦軸は調光率を示し、下側に向かうほど調光率が低くなって光源が暗くなることを示し、反対に、上側に向かうほど調光率が高くなって光源が明るくなることを示す。
光源4が消灯しないように、最低調光レベル301が設定されている。調光特性302は、最低調光レベル301から最大調光レベルへ変化する一次関数の直線であり、入力画像に含まれる暗い画素が多いほど調光率が低くなり、明るい画素が多いほど調光率が高くなることを示す。最大調光レベルから最低調光レベル301を差し引いたレベル範囲が最大調光ゲイン303である。上記式23によれば、最大調光ゲイン303の間の調光率を使用するため、光源4は消灯しない。
調光レベル算出部104は、算出した調光率を示す調光信号S2を光源駆動部2及び信号ゲイン乗算率算出部105に供給する。
信号ゲイン乗算率算出部105は、調光信号S2により示された調光率に基づいて、以下の式24により乗算率を算出する。
乗算率=1.0÷調光率 ・・・(式24)
【0027】
信号ゲイン乗算率算出部105は、上記式24により算出した乗算率を示す乗算率信号を信号ゲイン乗算回路106に供給する。信号ゲイン乗算回路106には、外部映像供給装置からRGB信号S1が供給されている。
信号ゲイン乗算回路106は、信号ゲイン乗算率算出部105からの乗算率信号により示された乗算率に従って、RGB信号S1の振幅を増幅する。具体的には、信号ゲイン乗算回路106は、以下の式25〜27に従って、RGB信号S1として入力された赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに乗算率信号により示された乗算率を乗算する。そして、信号ゲイン乗算回路106は、乗算率が乗算された赤信号R、緑信号G及び青信号Bを含むRGB信号S3を出力する。
R出力=R入力×乗算率 ・・・(式25)
G出力=G入力×乗算率 ・・・(式26)
B出力=B入力×乗算率 ・・・(式27)
【0028】
表示素子駆動部3は、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。RGB信号S3の赤信号R、緑信号G及び青信号Bはそれぞれ乗算率に応じて振幅が増減するため、表示素子5により表示される画像の明るさは、乗算率に応じて変化する。
一方、光源駆動部2は、調光信号S2により示された調光率に応じて光源4に供給する駆動電力(駆動電流又は駆動電圧)を増減する。調光率が1.0のときに、駆動電力が最大となり、光源4は最大輝度出力状態となる。調光率が低下すると、駆動電力が低下して光源4の輝度が低下する。調光率に応じて光源4の輝度が変化すると、それに伴って表示素子5により表示される画像の明るさも変化する。
調光率に応じて光源4が暗くなる分だけ画像の明るさが暗くなるが、上記式24で示したように乗算率は調光率の逆数であるので、乗算率に応じてRGB信号S3の振幅を増幅することで、画像の明るさを見かけ上、元に戻すことができる。これにより、良好な黒色の再現と中間調の明るさの確保とを両立させることができる。
【0029】
次に、本実施形態の画像表示装置の調光制御動作について説明する。
図5に、調光制御動作の一手順を示す。
まず、ヒストグラム取得部102が、RGB信号S1から輝度信号Yを算出し、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、16段階のヒストグラムを取得する(ステップS10)。
次に、ヒストグラム取得部102が、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、4段階のヒストグラムを取得する(ステップS11)。この時点で2つ以上の統計データを取得することになる。
次に、解析部103が、ステップS11で取得した4段階のヒストグラムに基づいて調光を行うか否かを判定する(ステップS12)。この判定は、前述の条件1〜4に基づいて行う。
解析部103が調光を行わないと判定した場合は、調光レベル算出部104が、調光率が1.0であることを示す調光信号S2を光源駆動部2に供給する(ステップS13)。この場合、光源4は最大輝度出力状態となる。
【0030】
解析部103が調光を行うと判定した場合は、調光レベル算出部104が、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを用いて調光率を算出する(ステップS14)。この調光率算出において、調光レベル算出部104は、前述の式22に基づいて調光度合を算出し、その調光度合に基づいて前述の式23により調光率を算出する。そして、調光レベル算出部104は、算出した調光率を示す調光信号S2を光源駆動部2及び信号ゲイン乗算率算出部105に供給する。
次に、信号ゲイン乗算率算出部105が、前述の式23により、調光信号S2により示された調光率に基づいて乗算率を算出し、その算出した乗算率を示す乗算率信号を信号ゲイン乗算部106に供給する(ステップS15)。
最後に、光源駆動部2が、調光信号S2により示された調光率に応じた駆動電力を光源4に供給するとともに、信号ゲイン乗算部106が、乗算率信号により示された乗算率に応じて振幅を増幅したRGB信号S3を表示素子駆動部3に供給する(ステップS16)。そして、表示素子駆動部3が、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。
【0031】
本実施形態の画像表示装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
16段階といった段階数の多いヒストグラム(細かいヒストグラム)を用いて調光率を決定しているため、光源4の輝度調整を細かく行うことができる。これにより、違和感のない自然な明るさの画像を安定して提供することができる。
また、4段階といった段階数の少ないヒストグラム(粗いヒストグラム)を用いて画像の特徴を検出し、その特徴に基づいて調光制御を行うか否かを判定するため、判定処理が複雑化することはない。
また、これまで、液晶ディスプレイや液晶プロジェクタなどの表示装置において、黒表示を行った場合に、液晶デバイスからの漏れ光によって良好な黒を再現することができなかった。本実施形態の画像表示装置によれば、光源の明るさレベルを調整することにより良好な黒再現を実現することができる。加えて、乗算率に応じてRGB信号S3の振幅を増幅することで、光源4を暗くしたことによる中間調の明るさの低下を抑制することができる。このように、良好な黒色の再現と中間調の明るさの維持を両立させることができる。
【0032】
また、前述の条件1〜4に基づいて調光制御を行うか否かを判定することで、以下のような作用効果をさらに得ることができる。
前述の式1によれば、赤色画像、緑色画像及び青色画像はいずれも、輝度換算により、元の明るさよりも暗くなる。このため、条件1のみで調光制御を行うか否かの判定を行うと、明るい単色画像に対して、調光制御が行われてしまい、暗い画像になってしまう。例えば、真っ青な空の画像、夕焼けや真っ赤なバラの画像、緑の山の画像などは、調光制御を行うと、暗い画像になってしまい、本来の明るい画像を提供することができない。本実施形態では、条件1に加えて、条件2〜4を用いることで、明るい単色画像に対して調光制御が行われないようになっている。
なお、前述の式1では、青色画像、赤色画像、緑色画像それぞれの輝度換算率は、0.114、0.299、0.587とされており、青色画像の輝度換算率が最も低い。このため、上記の明るい単色画像に対する調光の問題は、青色画像に対して最も顕著である。このことから、調光制御を行うか否かの判定を条件1と条件4に基づいて行うようにしてもよい。
また、赤色画像の輝度換算率が青色画像の次に低いことを考慮すると、調光制御を行うか否かの判定を条件1、条件2並びに条件4に基づいて行うようにしてもよい。
なお、上記の単色画像に対する調光の問題を考慮しない場合は、調光制御を行うか否かの判定を条件1のみで行ってもよい。この判定は、白黒画像を表示する場合に有効である。
さらに、調光制御を行うか否かの判定を簡便に行う場合は、条件1を用いないで、条件2若しくは条件3又は条件4のいずれか1つの条件に基づいて行うようにしてもよい。
【0033】
本実施形態では、輝度信号Y、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bそれぞれについて、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得しているが、これに限定されない。輝度信号Yについてのみ、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得し、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bについては、画像データから直接に4段階のヒストグラムを取得してもよい。
また、フレーム毎にヒストグラムを取得しているが、これに限定されない。ヒストグラムは、数フレーム置きに取得してもよい。例えば、5フレーム置きに、ヒストグラムを取得してもよい。ただし、ヒストグラムは、1フレーム分の画像データに基づいて取得する。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による画像表示装置も、図1及び図2に示した構成を有するが、8段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを用いて調光制御を行う点が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態と異なる構成を中心に説明し、同じ構成についてはその説明を省略する。
ヒストグラム取得部102は、前述の式1に従ってRGB信号S1から輝度信号Yを算出し、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、8段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得する。これらヒストグラムの取得は、1フレーム単位で行われる。
【0035】
以下に、RGB信号S1が8ビットのデジタルデータである場合の8段階のヒストグラムの取得手順を説明する。
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを作成すための8個のレジスタHistY[0]〜HistY[7]を有する。これらのレジスタHistY[0]〜HistY[7]は、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。以下の表2に示す加算条件に従って、輝度信号Yの入力データに応じてレジスタHistY[0]〜HistY[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
【0036】
【表2】
【0037】
ヒストグラム取得部102は、赤信号R用のレジスタHistR[0]〜HistR[7]、緑信号G用のレジスタHistG[0]〜HistG[7]及び青信号B用のレジスタHistB[0]〜HistB[7]を有する。これらレジスタHistR[0]〜HistR[7]、レジスタHistG[0]〜HistG[7]及びレジスタHistB[0]〜HistB[7]も、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。
赤信号Rの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistR[0]〜HistR[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、赤信号Rの入力データに応じてレジスタHistR[0]〜HistR[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、赤信号Rに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
緑信号Gの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistG[0]〜HistG[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、緑信号Gの入力データに応じてレジスタHistG[0]〜HistG[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、緑信号Gに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
青信号Bの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistB[0]〜HistB[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、青信号Bの入力データに応じてレジスタHistB[0]〜HistB[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、青信号Bに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
【0038】
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のレジスタHistLY[0]〜HistLY[3]を有する。以下の式28〜31に従って、レジスタHistLY[0]〜HistLY[3]にカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLY[0]=HistY[0]+ HistY[1] ・・・(式28)
HistLY[1]=HistY[2]+ HistY[3] ・・・(式29)
HistLY[2]=HistY[4]+ HistY[5] ・・・(式30)
HistLY[3]=HistY[6]+ HistY[7] ・・・(式31)
一例として、図6に、輝度信号Yについて取得した8段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。図6において、上段の分図(a)が8段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。
【0039】
さらに、ヒストグラム取得部102は、赤信号Rに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLR[0]〜HistLR[3]を有する。以下の式32〜35に従って、HistLR[0]〜HistLR[3]にカウント値が加算される。これにより、赤信号Rについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLR[0]=HistR[0]+ HistR[1] ・・・(式32)
HistLR[1]=HistR[2]+ HistR[3] ・・・(式33)
HistLR[2]=HistR[4]+ HistR[5] ・・・(式34)
HistLR[3]=HistR[6]+ HistR[7] ・・・(式35)
【0040】
さらに、ヒストグラム取得部102は、緑信号Gに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLG[0]〜HistLG[3]を有する。以下の式36〜39に従って、HistLG[0]〜HistLG[3]にカウント値が加算される。これにより、緑信号Gについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLG[0]=HistG[0]+ HistG[1] ・・・(式36)
HistLG[1]=HistG[2]+ HistG[3] ・・・(式37)
HistLG[2]=HistG[4]+ HistG[5] ・・・(式38)
HistLG[3]=HistG[6]+ HistG[7] ・・・(式39)
【0041】
さらに、ヒストグラム取得部102は、青信号Bに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLB[0]〜HistLB[3]を有する。以下の式40〜43に従って、HistLB[0]〜HistLB[3]にカウント値が加算される。これにより、青信号Bについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLB[0]=HistB[0]+ HistB[1] ・・・(式40)
HistLB[1]=HistB[2]+ HistB[3] ・・・(式41)
HistLB[2]=HistB[4]+ HistB[5] ・・・(式42)
HistLB[3]=HistB[6]+ HistB[7] ・・・(式43)
【0042】
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて取得した8段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを解析部103に供給する。
解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムの各段階について、度数(ヒストグラムカウント数)に基づく順位付けを行う。
図6の分図(b)に示した輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムを例にとると、HistLY[0]〜HistLY[3]は以下のように順位付けされる。
HistLY[0]:1番
HistLY[1]:2番
HistLY[2]:3番
HistLY[3]:4番
【0043】
解析部103は、前述の条件1〜4に基づいて光源4の調光制御を行うか否かを判断する。第1の実施形態と同様、条件1〜4を全て満たした場合に、解析部103は、調光制御を行うと判断する。条件1〜4のうちの1つでも条件を満たさなかった場合は、解析部103は、調光制御を行わないと判断する。
解析部103は、調光制御を行うか否かの判断結果を示す調光制御実行判断結果を調光レベル算出部104に供給する。調光制御を行う旨の調光制御実行判断結果を調光レベル算出部104に供給する場合は、解析部103は、ヒストグラム取得部102にて取得した輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムも調光制御実行判断結果と一緒に調光レベル算出部104に供給する。
調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行わない旨の調光制御実行判断結果を受信した場合は、光源4が最大輝度出力となるように、調光率として1.0を出力する。調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行う旨の調光制御実行判断結果及び輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを受信した場合は、その8段階のヒストグラムを用いて調光率を算出する。
【0044】
調光率を算出するにあたり、調光レベル算出部104は、まず、8段階のヒストグラムのHistY[0]及びHistY[1]を用いて調光度合を算出する。調光レベル算出部104は、レジスタHist[0]及びHist[1]を有する。これらレジスタHist[0]及びHist[1]には、HistY[0]及びHistY[1]それぞれの最適化した値が格納される。例えば、表示素子5がVGA(Video
Graphics Array)の解像度を有する画面を備え、RGB信号S1として、640×480の画像データが入力された場合は、調光レベル算出部104は、以下の式44〜式45に従って最適化の演算を行う。
Hist[0]=HistY[0]÷(640×480) ・・・(式44)
Hist[1]=HistY[1]÷(640×480) ・・・(式45)
【0045】
最適化の演算の後、調光レベル算出部104は、Hist[0]及びHist[2]を用いて以下の式46により調光度合を算出する。
【数2】
【0046】
次に、調光レベル算出部104は、前述の式23により、算出した調光度合に基づいて調光率を算出する。そして、調光レベル算出部104は、算出した調光率を示す調光信号S2を光源駆動部2及び信号ゲイン乗算率算出部105に供給する。
信号ゲイン乗算率算出部105及び信号ゲイン乗算回路106の動作は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態の画像処理装置も、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の変形が可能である。
【0047】
本発明は、第1又は第2の実施形態で説明した構成及び動作に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成及び動作を適宜に変更することができる。
例えば、ヒストグラムの段階数は16、8、4に限定されない。16段階や8段階のヒストグラムに代えて、16や8以外の段階数の細かなヒストグラムを用い、4段階のヒストグラムに代えて、4以外の段階数の粗いヒストグラムを用いてもよい。ただし、段階数を変更した場合は、ヒストグラムを作成するためのレジスタの構成、表1、2の加算条件、調光度合の算出式などを、段階数に応じて適宜に変更する。
例えば、輝度信号Yに関する細かなヒストグラムの明るさの段階をHistY[0]〜HistY[m]とし(mは1以上の自然数)、HistY[0]〜HistY[m]それぞれの度数を表示素子5の画素数で割った値をHist[0]〜Hist[m]とする。この場合、調光度合を、以下の式47により求めてもよい(n<m)。
【数3】
【0048】
細かなヒストグラムの明るさの低い側から所定数毎に明るさの段階を纏めて粗いヒストグラムを作成してもよい。細かなヒストグラムの段階数が粗いヒストグラムの段階数で割り切れない場合は、細かなヒストグラムにおける、明るさの低い側の纏める段階の数を他の部分の纏める段階の数よりも多くしてもよい。これにより、調光度合の算出精度を向上することができる。
一例として、図7に、輝度信号Yについて取得した10段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。図7において、上段の分図(a)が10段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。10段階のヒストグラムはHistY[0]〜HistY[9]からなり、4段階のヒストグラムはHistLY[0]〜HistLY[3]からなる。HistLY[0]は、3個のHistY[0]〜HistY[2]の加算値である。HistLY[1]は、2個のHistY[3]及びHistY[4]の加算値である。HistLY[2]は、2個のHistY[5]及びHistY[6]の加算値である。HistLY[3]は、3個のHistY[7]〜HistY[9]の加算値である。
【0049】
なお、本発明は、液晶ディスプレイ等に代表される画像表示装置やプロジェクタに適用することができる。本発明をプロジェクタに適用した場合は、表示素子5として、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や液晶表示素子などを用いる。表示素子5上に形成された画像が投射レンズによりスクリーン上に投射される。光源4として、水銀灯やLED等の固体光源の他、蛍光体を用いたものを適用することができる。
【0050】
また、本発明は、以下の付記1〜16のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
[付記1]
光源と、
入力映像信号に基づいて前記光源からの光を空間的に変調して画像を形成する表示部と、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数と異なる明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得するヒストグラム取得部と、
前記第1のヒストグラムおよび前記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行う制御部と、を有する、画像表示装置。
[付記2]
前記第2のヒストグラムの明るさの段階数は、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数よりも少ない、付記1に記載の画像表示装置。
[付記3]
前記制御部は、前記第2のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行うか否かを判断し、前記調光制御を行う場合には前記第1のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行う、付記2に記載の画像表示装置。
[付記4]
前記入力映像信号は、赤色画像を示す赤色信号、緑色画像を示す緑色信号及び青色画像を示す青色信号を含み、
前記ヒストグラム取得部は、前記赤色画像、緑色画像及び青色画像のそれぞれ対応する画素値を所定の割合で加算した輝度信号についての前記第1及び第2のヒストグラムである第1及び第2の輝度ヒストグラムを取得するとともに、前記赤色信号、緑色信号及び青色信号の少なくとも1つの色信号についての前記第2のヒストグラムである色ヒストグラムを取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、付記3に記載の画像表示装置。
[付記5]
前記ヒストグラム取得部は、前記青色信号についての前記色ヒストグラムである第1の色ヒストグラムを取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1の色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、付記4に記載の画像表示装置。
[付記6]
前記ヒストグラム取得部は、前記赤色信号についての前記色ヒストグラムである第2の色ヒストグラムをさらに取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1及び第2の色ヒストグラムのそれぞれについて、各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、付記5に記載の画像表示装置。
[付記7]
前記ヒストグラム取得部は、前記緑色信号についての前記色ヒストグラムである第3の色ヒストグラムをさらに取得し、
前記制御部は、前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記第1乃至第3の色ヒストグラムのそれぞれについて、各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合に、前記調光制御を行う、付記6に記載の画像表示装置。
[付記8]
前記第1の輝度ヒストグラムの明るさの段階をHistY[0]〜HistY[m]とし(mは1以上の自然数)、
前記制御部は、HistY[0]〜HistY[m]それぞれの度数を前記表示部の画素数で割った値をHist[0]〜Hist[m]として調光度合を、
【数4】

により求め(n<m)、
前記調光度合と予め与えられた最大調光ゲインとを用いて調光率を
調光率=1.0−(調光度合×最大調光ゲイン)
により求め、該調光率に応じて前記光源の輝度を調整する、付記4から7のいずれか1つに記載の画像表示装置。
[付記9]
前記制御部は、乗算率を前記調光率の逆数として求め、
該乗算率を前記赤色信号、緑色信号及び青色信号それぞれに乗算し、該赤色信号、緑色信号及び青色信号を含む映像信号を前記表示部に供給する、付記8に記載の画像表示装置。
[付記10]
前記ヒストグラム取得部は、前記第1のヒストグラムを所定の段階数毎に纏めて前記第2のヒストグラムを作成する、付記1から9のいずれか1つに記載の画像表示装置。
[付記11]
前記第2のヒストグラムの各明るさの段階のうち、低い側の段階の明るさの範囲が他の段階の明るさの範囲よりも広い、付記10に記載の画像表示装置。
[付記12]
入力映像信号に基づいて光源からの光を表示素子で空間的に変調して画像を表示する画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号から2つ以上の統計データを導出し、
前記2つ以上の統計データに基づいて前記光源の輝度を調整する、光源調光方法。
[付記13]
入力映像信号に基づいて光源からの光を表示素子で空間的に変調して画像を表示する画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号に基づいて画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数と異なる明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得し、
前記第1のヒストグラムおよび前記第2のヒストグラムに基づいて前記光源の輝度を調整する調光制御を行う光源調光方法。
[付記14]
前記第2のヒストグラムの明るさの段階数は、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数よりも少ない、付記13に記載の光源調光方法。
[付記15]
前記制御部は、前記第2のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行うか否かを判断し、前記調光制御を行う場合には前記第1のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行う、付記14に記載の光源調光方法。
[付記16]
前記入力映像信号は、赤色画像を示す赤色信号、緑色画像を示す緑色信号及び青色画像を示す青色信号を含み、
前記赤色画像、緑色画像及び青色画像のそれぞれ対応する画素値を所定の割合で加算した輝度信号についての前記第1及び第2のヒストグラムである第1及び第2の輝度ヒストグラムを取得するとともに、前記赤色信号、緑色信号及び青色信号の少なくとも1つの色信号についての前記第2のヒストグラムである色ヒストグラムを取得し、
前記第2の輝度ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も低い段階の度数が他の段階のいずれの度数よりも大きく、かつ、前記色ヒストグラムの各明るさの段階のうち、最も高い段階の度数が他の段階のいずれかの度数よりも小さい場合にのみ、前記調光制御を行う、付記15に記載の光源調光方法。
【0051】
上記の付記1〜11の画像表示装置において、光源は、図1に示した光源駆動部2及び光源4により構成することができる。表示部は、図1に示した表示素子駆動3及び表示素子5により構成することができる。ヒストグラム取得部は、図2に示したヒストグラム取得部102により構成することができる。制御部は、図2に示した解析部103及び調光レベル算出部104により構成することができる。この場合、制御部は、図2に示した信号ゲイン乗算率算出部105及び信号ゲイン乗算部106を有していてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 光源調光部
2 光源駆動部
3 表示素子駆動部
4 光源
5 表示素子
102 ヒストグラム取得部
103 解析部
104 調光レベル算出部
105 信号ゲイン乗算率算出部
106 信号ゲイン乗算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7