特許第6395250号(P6395250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395250
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】アッパーキャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/04 20060101AFI20180913BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20180913BHJP
   A47B 95/02 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A47B77/04 A
   A47B55/00
   A47B95/02 501C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-102039(P2014-102039)
(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公開番号】特開2015-217062(P2015-217062A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】511053078
【氏名又は名称】関東産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【弁理士】
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】新井 智大
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−061218(JP,U)
【文献】 特開2008−253325(JP,A)
【文献】 実開昭55−043454(JP,U)
【文献】 特開2013−085921(JP,A)
【文献】 米国特許第03227502(US,A)
【文献】 実開昭58−191840(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 51/00、55/00、67/02
A47B 77/00、77/04、77/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置されるアッパーキャビネットであって、
前記アッパーキャビネットは、前面が開放するように箱状に形成され、内部を収納部とするキャビネット本体部と、前記キャビネット本体部の前面側に取り付けられ、前記キャビネット本体部の側板または天板のいずれかに沿った軸を中心として回動するように開閉する前面扉と、前記キャビネット本体部の底板の下方に設置され前面が開放されている収納棚と、を備え、
前記底板は、側板の前端まで延び、キャビネット本体部の下方への開口を閉じるように設けられており、
前記収納棚は、下面が前記前面扉の下端と同一高さに揃えられ、かつ前面端の少なくとも幅方向の一部が前記キャビネット本体部の底板の前面端よりも後退した位置に設けられることにより、前記前面扉を開閉するための手掛かり部が形成されており、
前記収納棚の前面にはパッキンが貼り付けられておらず、前記キャビネット本体部の天板、底板および左右の側板の前面端にはパッキンが貼り付けられており、天板、底板および左右の側板は、パッキンを介して前面扉に接触してなることを特徴とするアッパーキャビネット。
【請求項2】
前記キャビネット本体部には、複数段の収納用棚板が固定されており、
前記収納用棚板で区画された複数の収納スペースの高さ寸法よりも前記収納棚と前記キャビネット本体部の底板との間の収納スペースの高さ寸法が小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のアッパーキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンの上方等の壁面に設置されるアッパーキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、アッパーキャビネットは前面扉に取手が設けられていたが、現在は、前面扉に取手が設けられていない取手レスのアッパーキャビネットも一般的に使用されている。
【0003】
取手レスのアッパーキャビネットとしては、図4(a)、(b)に示す従来例1のアッパーキャビネット31のように、底板32を側板33より前後方向の寸法について短くし前面扉36との間に隙間37を設けて、前面扉36の下端部内面に手を掛けて前面扉36を開くことができるようにするとともに、底板32の前端部の上面に防虫パッキン38を固定して隙間37からの虫の侵入を防止する構成が知られている。
【0004】
また、図4(c)、(d)に示す従来例2のアッパーキャビネット41のように、前面扉42の下端部43がキャビネット本体部46の底板47より下方まで延びるようにすることで、前面扉42の下端部43の内面に手を掛けて前面扉42を開くことができるようにする構成が知られている。
【0005】
さらに、吊戸棚の底部に水平に位置して水切り棚が設けられており、水切り棚の下方は、開放されている構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
底板32を側板36より短くして隙間37を形成するとともに底板32に防虫パッキン38を固定する従来例1の取手レスのアッパーキャビネット31(図3(a)、(b)参照)は、防虫パッキン38を取り付けなくてはならず、部品点数が多くなりコストアップとなるデメリットがあり、防虫パッキン38は防虫、防水、防湿、防塵等の機能はあるが、それ以外には機能しない。
【0008】
ところで、アッパーキャビネット、レンジフード等は、上下方向の丈を例えば700mm等に揃えて見た目の統一が図ることは、当業者の技術常識とされている。しかしながら、従来例2の取手レスのアッパーキャビネット41(図3(c)、(d)参照)は、前面扉42の下端部43がキャビネット本体部46の底板47より下方まで延ばし、前面は隣接するレンジフード等と下端が揃っているが、その奥側のキャビネット本体部46は、丈が短いために、レンジフード等と下端が揃わないので意匠性を損なうという問題がある。
【0009】
そして、特許文献1記載の吊戸棚は、前面扉の下端部に手を掛けて開くことができるが、下方に開放されている構成は、底部に水切り棚を設ける特別の用途のための構成としてはやむ得ないが、通常の吊戸棚では、見た目も悪く、また埃、水、湿気、虫等が下方から入り易いので、必ずしも好ましくはない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決し、前面扉の下端とキャビネット本体部の下端が揃っており、前面扉の下端に手を掛けることができ、埃、水、湿気、虫等が下方から入りにくく、収納の自由度の高い取手を設けないタイプのアッパーキャビネットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するために、壁面に設置されるアッパーキャビネットであって、前記アッパーキャビネットは、前面が開放するように箱状に形成され、内部を収納部とするキャビネット本体部と、前記キャビネット本体部の前面側に取り付けられ、前記キャビネット本体部の側板または天板のいずれかに沿った軸を中心として回動するように開閉する前面扉と、前記キャビネット本体部の底板の下方に設置され前面が開放されている収納棚と、を備え、前記底板は、側板の前端まで延び、キャビネット本体部の下方への開口を閉じるように設けられており、前記収納棚は、下面が前記前面扉の下端と同一高さに揃えられ、かつ前面端の少なくとも幅方向の一部が前記キャビネット本体部の底板の前面端よりも後退した位置に設けられることにより、前記前面扉を開閉するための手掛かり部が形成されており、前記収納棚の前面にはパッキンが貼り付けられておらず、前記キャビネット本体部の天板、底板および左右の側板の前面端にはパッキンが貼り付けられており、天板、底板および左右の側板は、パッキンを介して前面扉に接触してなることを特徴とするアッパーキャビネットを提供する。
【0012】
前記キャビネット本体部には、複数段の収納用棚板が固定されており、前記収納用棚板で区画された複数の収納スペースの高さ寸法よりも前記収納棚と前記キャビネット本体部の底板との間の収納スペースの高さ寸法が小さく設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果が生じる。
(1)前面扉の下端とキャビネット本体部の下端が揃っているので、隣接するレンジフード等と下端を揃えることが可能となり、キッチン全体の意匠性を損なうようなことはない。
【0015】
(2)収納棚の前面端の少なくとも横幅方向の一部がキャビネット本体部の底板の前面端よりも後退した位置となるようにすることで隙間を設けるという簡単な構成によって、前面扉を開閉するための手掛かり部を形成でき、しかも、手掛かり部を形成する隙間を設けたことにより生じる、収納棚と底板との間のデッドスペースを収納スペースとして使用でき、収納の自由度を高める。
【0016】
(3)手掛かり部を形成する隙間を設けても、底板よって遮蔽しているので、下方からキャビネット本体部の収納スペース内に埃、水分、湿気、虫等が入ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るアッパーキャビネットの実施例を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)は(b)の要部拡大図である。
図2】上記実施例のアッパーキャビネットにおける手掛かり部を形成する隙間の構成を説明する図であり、(a)は隙間が横幅方向の略全域に形成されている構成を示し、(b)は隙間が横幅方向の一部に形成されている構成の一例を示す。
図3】従来のアッパーキャビネットの構成を示し、(a)は従来例1のアッパーキャビネットの断面図を示し、(b)は(a)の要部拡大図を示し、(c)は従来例2のアッパーキャビネットの断面図を示し、(d)は(c)の要部拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るアッパーキャビネットを実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。本明細書では、アッパーキャビネットを正面視し、左右方向とし、手前奥行き方向を前後方向とする。
【実施例】
【0019】
本発明に係るアッパーキャビネットの実施例を図1、2において説明する。実施例のアッパーキャビネット1は、キッチン等の壁面に設置されて使用される。アッパーキャビネット1は、図1(a)〜(c)に示すように、前面が開放するように箱状に形成されており、内部を収納部とするキャビネット本体部2と、前面扉3と、を備えている。
【0020】
キャビネット本体部2は、図1(a)〜(c)に示すように、左右の側板6と、天板7と、底板8と、底板8より下方に設けられた収納棚9と、を備えている。キャビネット本体部2内には、収納用棚板11が1段または複数段(本実施例では2段)取り付けられている。
【0021】
キャビネット本体部2の後面側には、上下に水平の桟板12が設けられており、桟板12の前面には薄板13が張り付けられている。この薄板13によって、キャビネット本体部2の後面開口を閉じている。
【0022】
前面扉3は、キャビネット本体部2の前面側に開閉可能に取り付けられている。具体的には、前面扉3は、キャビネット本体部2の側板6または天板7のいずれかに沿った軸を中心として回動し、開閉可能に取り付けられている。
【0023】
本実施例では、前面扉3は左右2枚備えており、それぞれ左右の側板6の前端にヒンジ16によって左右に開閉可能(観音開き可能)に設けられている。図示はしないが、前面扉3を天板7に沿った軸を中心として回動可能に取り付ける構成としてもよい。その場合は、天板7の前端にヒンジによって取り付ける構成とすればよい。また、前面扉が1枚で、片開きの構成とすることもできる。
【0024】
底板8は、キャビネット本体部2の下部において側板6の前端まで延び、キャビネット本体部2の下方への開口を閉じるように設けられている。
【0025】
底板8の下方に設けられた収納棚9は、図1(b)、(c)に示すように、その下面が前面扉3の下端及び側板6の下端と同一高さに揃えられ、かつその前面端17の少なくとも横幅方向の一部、換言すると横幅方向の全域または一部が、底板8及び側板6等キャビネット本体部2の他の部分の前面端18よりも後退した位置に設けられている。
【0026】
収納棚9の前面端17が、キャビネット本体部2の他の部分の前面端18よりも後退した位置に設けられていると、前面扉3を閉めた状態では、前面扉3と収納棚9との間には隙間21が残るので、その隙間21から手を入れて前面扉3の下端後面に手を掛けて開閉する手掛かり部が形成される。
【0027】
図2(a)に示す例では、収納棚9の前面端17は、その横幅方向の全域が、底板8及び側板6等、キャビネット本体部2の他の部分の前面端18よりも後退した位置となるように形成されており、前面扉3との間にキャビネット本体部2の横幅方向の全域に手掛かり部を形成する隙間21が設けられる。
【0028】
手掛かり部を形成する隙間21が横幅方向の全域に設けられている構成の場合は、収納棚9は、一律に側板6の前面端から後退した位置となるような奥行き寸法に形成されている。
【0029】
図2(a)に示す例では、収納棚9の前面端17は、その横幅方向の全域が、側板6等、キャビネット本体部2の他の部分の前面端18よりも後退した位置となるように形成されており、前面扉3との間にキャビネット本体部2の横幅方向の全域に手掛かり部を形成する隙間21が設けられる。
【0030】
図2(b)に示す例では、収納棚9の前面端17の横幅方向の一部、即ち左右の前面扉3に対応して2カ所が底板8及び側板6等、キャビネット本体部2の他の部分の前面端18よりも後退した位置となるように構成され、前面扉3との間に手掛かり部を形成する隙間21は、横幅方向の一部、即ち左右の前面扉3に対応して2カ所に設けられている。
【0031】
このような構成とするために、収納棚9には、左右の隙間21が形成される一部について前面端17から後方に向けて、左右の隙間21の横幅及び縦幅に相当する左右の切り欠き24が形成されており、収納棚9の前面端17の他の部分は、底板8及び側板6等、キャビネット本体部2の他の部分の前面端18と同じ位置となるようにに形成されている。
【0032】
このように、収納棚9は、その前面端17の横幅方向の少なくとも一部、換言すると横幅方向の全域または一部が、キャビネット本体部2の他の部分の前面端よりも後退した位置となるように構成され、手掛かり部を形成する隙間21は、横幅方向の少なくとも一部、換言すると横幅方向の全域または一部に設けられている。
【0033】
複数段の収納用棚板11は、キャビネット本体部2内を区画して複数の収納スペース22を形成している。これら複数の収納スペース22の高さ寸法よりも、収納棚9とキャビネット本体部2の底板8との間の収納スペース25の高さ寸法は、小さく設定されている。
【0034】
例えば、底板8は収納棚9の上方50〜60mm程度の位置に設けることで、収納棚9とキャビネット本体部2の底板8との間の収納スペース25の高さ寸法は、50〜60mm程度である。このような収納スペース25は、例えば、お盆や書籍等のように比較的に平坦で厚みのない物品を収納する場合に適している。
【0035】
前面扉3における下端から底板8の下面までの下端部内面26が、前面扉3を開く際に手を掛けることのできる部分となる。従って、上記のとおり、底板8は収納棚9の上方50〜60mm程度の位置に設けた構成とすれば、前面扉3の下端部内面26についても、十分に手を掛けることができる程度の寸法が確保できる。
【0036】
前面扉3を閉めた状態において、キャビネット内に埃、水、湿気、虫等が入りにくくなるように、左右の側板6の前面端、底板8の前面端、天板7の前面端、及び左右の前面扉3の互いの合わせ面の一方等には、パッキン23が貼り付けられている。しかし、収納棚9の前面には、横幅方向の一部または全域に手掛かり部を形成する隙間21が設けられているので、パッキンを貼り付ける必要はない。
【0037】
なお、前面扉3と収納棚9の前面端17の間には、横幅方向の一部または全域に手掛かり部を形成する隙間21が設けられているが、その上方において、底板8でキャビネット本体部2は閉止されているので、隙間21を通して埃、水、湿気、虫等が入っても、キャビネット本体部2の収納スペース22内には入り込むことはない。
【0038】
(作用)
以上の構成からなるアッパーキャビネット1の作用をその使用態様を通して、以下に説明する。アッパーキャビネット1が、図1(a)〜(c)に示すように閉じた状態から前面扉3を開く場合は、手掛かり部を形成する隙間21に手を入れて、前面扉3の下端部内面26に手を掛けて前方に引けばよい。
【0039】
そして、収納棚9に物品を載置すれば、収納棚9と底板8の間に形成された収納スペース25に収納することができ、また容易に取り出すことができる。
【0040】
本発明のアッパーキャビネット1では、収納棚9の前面端17の少なくとも横幅方向の一部を、キャビネット本体部2の底板8及び側板6等の前面端18よりも後退した位置に設けることで、隙間21を残すという簡単な構成で、前面扉3を開閉するための手掛かり部を形成するとともに、隙間21を設けたことにより生じる、収納棚9と底板8との間のデッドスペースを収納スペースとして使用できる。
【0041】
手掛かり部を形成する隙間21を設けても、底板8よって遮蔽しているので、下方からキャビネット本体部2の収納スペース22内に埃、水分、湿気、虫等が入ることはない。
【0042】
以上、本発明に係るアッパーキャビネットを実施するための実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るアッパーキャビネットは上記のような構成であるから、キッチンにおけるもアッパーキャビネットだけでなく、他の場所に取り付けるアッパーキャビネットにも適用適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 アッパーキャビネット
2 キャビネット本体部
3 前面扉
6 左右の側板
7 天板
8 底板
9 収納棚
11 収納用棚板
12 桟板
13 薄板
16 ヒンジ
17 収納棚の前面端
18 本体部の前面端
21 前面扉と収納棚の間の隙間
22 収納用棚板で区画された収納スペース
23 パッキン
24 収納棚の前面端に形成された切り欠き
25 底板と収納棚の間の収納スペース
26 前面扉の下端部内面
31 従来例1のアッパーキャビネット
32 底板
33 前面扉
36 側板
37 隙間
38 防虫パッキン
41 従来例2のアッパーキャビネット
42 前面扉
43 下端部
46 キャビネット本体部
47 底板
図1
図2
図3