【文献】
荻野 長生,ネットワーク仮想化におけるリソース共用を最大化するフロー割当,電子情報通信学会2014年総合大会講演論文集 通信2,日本,一般社団法人電子情報通信学会 ,2014年 3月 4日,p.168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仮想ネットワーク割当手段は、再割当効果のより高い再割当対象仮想ネットワークの再割当対象仮想リンクから順に再割当を行うことを特徴とする請求項1に記載の仮想ネットワーク割当装置。
前記再割当対象仮想ネットワークを選択する手段は、他の仮想ネットワークと物理リンク帯域の共用が行われていない物理リンクをより多く含む既存仮想ネットワークを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の仮想ネットワーク割当装置。
前記物理ノードを選択する手段は、既に他の仮想ノードが割当てられている物理ノードは除外し、当該仮想ノードが既に物理ノードに割当てられている場合は当該物理ノードに限定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の仮想ネットワーク割当装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは初めに、SDNにおけるスライス間での物理リソースの共用によるスケジューリングコストの削減について、(1) パケット転送キューの共用による物理リンク帯域の共用および(2) トランザクションキューの共用による物理ノード容量の共用を例に説明する。
【0027】
図1は、一の物理リンクに着目して、SDNスライス間でのパケット転送キューの共用による物理リンク帯域の共用方法を模式的に表現した図であり、同図(a)は共用前、同図(b)は共用後を表している。
【0028】
本発明では、いずれのスライスにおいてもフロー単位で優先度設定が可能であり、高優先のフローを収容する仮想リンクは高優先仮想リンクとされ、低優先のフローを収容する仮想リンクは低優先仮想リンクとされる。
【0029】
図示の例では、着目した物理リンクを、スライス#1,#2では高優先仮想リンクおよび低優先仮想リンクが通過し、スライス#3,#4では高優先の仮想リンクのみが通過し、スライス#5,#6では低優先の仮想リンクのみが通過している。高優先仮想リンクのパケット転送キューには、低優先仮想リンクのパケット転送キューよりも高い優先度でスケジューリング機会が与えられる。
【0030】
ここで、異なるスライス上の仮想リンク同士であっても、同一の優先クラスに属する仮想リンク同士での物理リンク帯域の共用であれば、一方のスライスにおける仮想リンクのトラヒックフロー量の増加が、他方のスライスにおける仮想リンクのトラヒックフローのパケット転送品質へ与える影響は小さい。しかも、スライス間での物理リンク帯域の共用によって、異なるスライスに対応する仮想リンク間でもトラヒックの統計多重効果が得られ、所要物理リンク帯域を削減できる。
【0031】
そこで、本発明ではスライス#3,#4の組み合わせ、およびスライス#5,#6の組み合わせのように、各物理リンクにおいて、通過する仮想リンクの優先クラスが1種類のみのスライス同士であって、かつ通過する仮想リンクの優先クラスが互いに同一のスライス間でのみ、同図(b)に示したように、パケット転送キューの共用による物理リンク帯域の共用が図られる。
【0032】
これに対して、スライス#1,#2の組み合わせのように、通過する仮想リンクの優先クラスが複数であるようなスライス間では、パケット転送キューおよび物理リンク帯域の共用は行わない。これは、もしパケット転送キューおよびリンク帯域の共用を行うと、一方のスライスにおいて高優先仮想リンクのトラヒックフロー量が増加した場合、他方のスライスにおいて低優先仮想リンクのトラヒックフローのパケット転送品質が不当に劣化する恐れがあるためである。但し、同一スライスに含まれる仮想リンク間では、トラヒックの統計多重効果が得られる。
【0033】
図2は、一の物理ノードに着目して、SDNスライス間でのトランザクションキューの共用による物理ノード容量の共用方法を模式的に表現した図であり、同図(a)は共用前、同図(b)は共用後を表している。本発明では、仮想ノードで実行されるサービス処理について、高優先のフローに対応するサービス処理は高優先サービス処理とされ、低優先のフローに対応するサービス処理は低優先サービス処理とされる。
【0034】
図示の例では、着目した物理ノードにおいて、スライス#1,#2の仮想ノードは高優先サービス処理および低優先サービス処理を実行し、スライス#3,#4の仮想ノードは高優先のサービス処理のみを実行し、スライス#5,#6の仮想ノードは低優先のサービス処理のみを実行する。高優先サービス処理をスケジューリングするトランザクションキューには、低優先サービス処理のトランザクションキューよりも高い優先度でスケジューリング機会が与えられる。
【0035】
ここで、異なるスライス上の仮想ノード同士であっても、同一優先クラスに属するサービス処理同士でのトランザクションキューの共用による物理ノード容量の共用であれば、一方のスライスにおけるサービス処理量の増加が、他方のスライスにおけるサービス処理の実行品質に与える影響は小さい。しかも、スライス間での物理ノード容量の共用によって、異なるスライスに対応する仮想ノード間でもサービス処理量の統計多重効果が得られ、所要物理ノード容量を削減できる。
【0036】
そこで、本発明ではスライス#3,#4の組み合わせ、およびスライス#5,#6の組み合わせのように、各物理ノードにおいて、実行されるサービス処理の優先クラスが1種類のみのスライス同士であって、かつ実行されるサービス処理の優先クラスが互いに同一のスライス間でのみ、同図(b)に示したように、トランザクションキューの共用による物理ノード容量の共用が図られる。
【0037】
これに対して、スライス#1,#2の組み合わせのように、実行されるサービス処理の優先クラスが複数であるようなスライス間では、トランザクションキューおよび物理ノード容量の共用は行わない。これは、もしトランザクションキューおよび物理ノード容量の共用を行うと、一方のスライスで実行される高優先サービス処理量が増加した場合、他方のスライスで実行される低優先サービス処理の実行品質が不当に劣化する恐れがあるためである。但し、同一スライスに含まれるサービス処理間では、トラヒックの統計多重効果が得られる。
【0038】
次いで、物理リンク帯域および物理ノード容量の共用を促進して、統計多重効果による所要物理リソース量の削減を最大化できる仮想ネットワークの再割当の方法について説明する。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る仮想ネットワーク再割当装置1の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、汎用のコンピュータやサーバに各機能を実現するアプリケーション(プログラム)を実装することで構成できる。あるいはアプリケーションの一部がハードウェア化またはROM化された専用機や単能機としても構成できる。
【0040】
仮想ネットワーク再割当装置1には、物理ネットワークのトポロジー情報、物理ネットワークへ割当済の既存仮想ネットワークの情報、および物理ネットワークへの既存仮想ネットワークの再割当要求が入力される。
【0041】
前記物理ネットワークのトポロジー情報は、物理ネットワークを構成する物理ノード集合および物理リンク集合で表される。既存仮想ネットワーク情報は、各既存仮想ネットワークを構成する各仮想リンクの優先クラスおよび各仮想ノードで実行されるサービス処理の優先クラスと、各仮想リンクおよび仮想ノードが割り当てられている物理パス情報および物理ノード情報によって表される。再割当要求は、周期的または所定のイベントを契機に入力される。
【0042】
再割当効果計算部10は、全ての既存仮想ネットワークを対象に、その再割当により得られる効果を計算する。例えば、他の仮想ネットワーク(スライス)と物理リンク帯域の共用が行われていない物理リンクをより多く含む再割当対象仮想ネットワークほど再割当効果を高く評価することができる。
【0043】
再割当対象仮想ネットワーク選択部20は、前記再割当効果の高い一部の既存仮想ネットワークを再割当対象仮想ネットワークとして選択する。物理ノード候補選択部50は、入力された各情報に基づいて、再割当対象仮想ネットワークの各仮想ノードを割り当て可能な物理ネットワークの物理ノード候補を選択する。
【0044】
コスト計算部30は、各物理リンクのコストを、再割当される仮想リンク(再割当対象仮想リンク)が各物理リンクを通過したと仮定したときの所要物理リンク帯域の増分として、その共用による統計多重効果を反映して計算する。このとき、今回の再割当対象仮想リンクの再割当後に再割当される予定の残りの再割当対象仮想リンク(再割当予定仮想リンク)の再割当結果を、再割当結果予測部301により確率的に予想してコスト計算に反映させる。
【0045】
物理リンクコスト計算部302は、再割当対象仮想ネットワークの再割当による所要物理リンク帯域の増分として、物理リンクコストを計算する。物理ノードコスト計算部303は、再割当対象仮想ネットワークの再割当による所要物理ノード容量の増分として、物理ノードコストを計算する。
【0046】
仮想ネットワーク再割当部40は、再割当対象仮想ネットワークを構成する各仮想リンクが接続する仮想ノードを割り当て可能な物理ノード候補のペア間に最小コスト経路を計算する最小コスト経路計算部401を含み、最小コスト経路を与える物理パス及び物理ノードに各仮想リンクおよび仮想ノードを割り当てる。
【0047】
前記仮想ネットワーク割当部40による仮想ネットワーク割当は、前記各コスト計算部302,303の計算結果に基づいて物理リンクコストおよび物理ノードコストを更新しながら、物理ノード候補の全ペアおよび全仮想リンクについて繰り返される。
【0048】
図4は、前記物理ネットワークのトポロジー情報[同図(a)]、再割当対象仮想ネットワーク[同図(b)]およびその割当結果[同図(c)]の一例を示した図である。
【0049】
各仮想ノードNvは1個の物理ノードNpへ割り当てられる。また、複数個の仮想ノードNvが1個の物理ノードNpに割り当てられることはない。一方、各仮想リンクlは、当該仮想リンクlが接続する2個の仮想ノードNvが割り当てられた2個の物理ノードNpを発着ノードとする1本の物理パスへ割り当てられる。
【0050】
図示の例では、物理ノードNp2,Np6,Np11,Np14に仮想ノードNv1,Nv4,Nv2,Nv3がそれぞれ割り当てられている。また、物理リンクl14-15,l1-15,l1-2から構成される物理パスに仮想リンクL1-3が割り当てられ、物理リンクl11-12,l12-13,l13-14から構成される物理パスに仮想リンクL2-3が割り当てられ、物理リンクl6-14から構成される物理パスに仮想リンクL3-4が割り当てられ、物理リンクl2-11から構成される物理パスに仮想リンクL1-2が割り当てられている。
【0051】
次いで、本発明の一実施形態の動作について説明する。本実施形態では、仮想ネットワークの再割当動作が起動された時点で物理ネットワークに割り当てられている既存仮想ネットワーク群から、再割当効果の高い複数の仮想ネットワークを再割当対象仮想ネットワークとして選択し、当該選択された複数の再割当対象仮想ネットワークの中で、再割当効果のより高い仮想ネットワークから優先的に、その仮想リンクの再割当を逐次的に実行する。
【0052】
本実施形態では、他の仮想ネットワーク(スライス)と物理リンク帯域の共用が行われていない物理リンクを予め決められた閾値以上含むような仮想ネットワークを再割当対象として選択し、当該再割当対象仮想ネットワークの中で、他のスライスと物理リンク帯域の共用が行われていない物理リンクをより多く含む再割当対象仮想ネットワークから優先的に仮想リンクの再割当を実行する。
【0053】
さらに、本実施形態では再割当対象仮想ネットワークとして選択されたが、未だ再割当が実行されておらず、今後の再割当が予定されている再割当予定仮想ネットワークに関しても、仮想ネットワーク再割当の結果を確率的に予想して、所要物理リソース量をより多く削減できる仮想ネットワーク再割当を実行する。
【0054】
図5は、本実施形態の動作を示したフローチャートであり、再割当要求が検知されると、ステップS1では、全ての既存仮想ネットワークに関して、その再割当効果が前記再割当効果計算部10により計算される。ステップS2では、再割当効果が所定の閾値を超える一部の既存仮想ネットワークが前記再割当対象仮想ネットワーク選択部20により選択される。ステップS3では、選択された全ての再割当対象仮想ネットワークの仮想リンクが仮想ネットワーク単位で再割当効果の高い順に仮想リンクリストに登録される。
【0055】
ステップS4では、再割当効果のより高い再割当対象仮想ネットワークから順に、その一の仮想リンクが前記仮想リンクリストから今回の注目仮想リンクとして選択される。ステップS5では、前記物理ネットワークのトポロジー情報および既存仮想ネットワーク情報に基づいて、各物理リンクのコストが計算される。
【0056】
以下、ステップS5における物理リンクコストの計算方法について説明する。物理リンクコストは、注目仮想リンクが当該物理リンクを通過したと仮定したときの所要物理リンク帯域の増分に設定される。このとき、再割当予定仮想ネットワークの各仮想リンクについても、前記再割当結果予測部301により各仮想リンクの再割当結果を確率的に予想して所要物理リンク帯域増加量の算出結果に反映させる。
【0057】
本実施形態では、統計多重されていない1本の仮想リンクiの所要物理リンク帯域Biを次式(1)のように定義する。
【0059】
k1:物理リンクにおける許容輻輳確率に応じて予め指定された定数
Ti_ave:再割当される仮想リンクiによる使用物理リンク帯域の平均
σ(Ti):再割当される仮想リンクiによる使用物理リンク帯域の標準偏差
【0060】
また、各物理リンクのコストClinkは、再割当済みを含む既存仮想リンクによる物理リンク帯域の共用状況および今回の割当対象仮想リンクが割り当てられた後の物理リンク帯域の共用状況が、以下の3つのケースのいずれに該当するのかに応じて、統計多重効果を考慮しながら計算される。
【0061】
図6は、第1ケースにおける再割当対象仮想リンクの再割当方法を模式的に示した図であり、ここでは一の物理リンクに着目して説明する。
【0062】
第1ケースは、注目している再割当対象仮想リンク[◎]と同一の優先クラス(ここでは、高優先クラス)の仮想リンクのみが当該物理リンクを通過する既存仮想ネットワーク#2,#3が存在しており[同図(a)]、再割当対象仮想リンク[◎]が既存仮想ネットワーク#2,#3の各仮想リンク(既存仮想リンク[〇])と物理リンク帯域を共用できる場合[同図(b)]である。なお、再割当予定仮想ネットワーク#5,#6,#7の各仮想リンク(再割当予定仮想リンク[●])については後述する。
【0063】
第1ケースでは、
図7に示したように、再割当対象仮想ネットワーク#4の先行する仮想リンク再割当によって、再割当対象仮想リンク[◎]と同一の優先クラスにn1個の仮想リンク[〇]が割当済みであっても良い。
【0064】
第2ケースは、
図8に示したように、再割当対象仮想リンク[◎]の再割当により、それまで他の既存仮想ネットワーク#2,#3との間で物理リンク帯域を共用できていた再割当対象仮想ネットワーク#4[同図(a)]が、当該物理リンクを優先クラスの異なる複数の仮想リンクが通過することになって物理リンク帯域を共用できなくなる場合[同図(b)]である。
【0065】
第3ケースは、
図9に示したように、再割当対象仮想ネットワーク#4において優先クラスの異なる複数の既存仮想リンクが当該物理リンクを既に通過しており[同図(a)]、再割当対象仮想リンク[◎]も他の仮想ネットワークの既存仮想リンクと物理リンク帯域を共用できない場合[同図(b)]である。
【0066】
次いで、各ケースにおける所要物理リンク帯域の増加量の具体的な計算方法について説明する。本実施形態では、再割当対象仮想リンクが消費する物理リンク帯域の変動分を消費物理リンク帯域の標準偏差σで表現する。そして、物理リンク帯域の共用による統計多重効果を計算結果に反映させるために、前記物理リンクコスト計算部302は、物理リンク帯域を共用する複数の仮想リンクが消費する総物理リンク帯域の分散を、各仮想リンクが単独で消費する物理リンク帯域の標準偏差σの二乗(分散)の積算値として計算し、総物理リンク帯域の変動分を当該積算値から求めた標準偏差で表現した。
【0067】
前記物理リンクコスト計算部302はさらに、物理リンク帯域を共用しない複数の仮想リンクが消費する総物理リンク帯域の標準偏差を、各仮想リンクが消費する物理リンク帯域の標準偏差の積算値として計算し、総物理リンク帯域の変動分を当該積算値で表現した。そして、再割当対象仮想リンクの新規割当前後における消費物理リンク帯域の差分を所要物理リンク帯域の増分とするようにした。
【0068】
前記第1ケースでは、再割当対象仮想リンクを新たに割り当てることによる所要物理リンク帯域の増分である物理リンクコストClinkが次式(2)で求められる。但し、各シンボルは以下の様に定義される。
【0070】
T_ave:再割当対象仮想リンクによる使用物理リンク帯域の平均
σ(T):再割当対象仮想リンクによる使用物理リンク帯域の標準偏差
n0:再割当対象仮想リンクと同一優先クラスに属する仮想リンクのみが当該物理リンクを通過している物理リンク帯域共用の対象となる既存仮想ネットワークにおける通過仮想リンク本数
n1:再割当対象仮想リンクと同一優先クラスに属して当該物理リンクに割当済みの再割当対象仮想ネットワークにおける仮想リンク本数
n3:再割当対象仮想リンクと同一優先クラスに属する仮想リンクのみが当該物理リンクを通過し、物理リンク帯域共用の対象となる再割当予定仮想ネットワークにおける通過仮想リンク本数の期待値
【0071】
定数k1で括られたカッコ内の第1項は、再割当対象仮想リンク追加後の使用物理リンク帯域の変動分、同第2項は、再割当対象仮想リンク割当前の使用物理リンク帯域の変動分であり、第1項のσ
2(T)は、再割当対象仮想リンクが新たに消費することになる物理リンク帯域の分散、Σσ
2(Ti)は、統計多重効果が反映されたn0+n1+n3本分の仮想リンクが消費することになる物理リンク帯域の分散であり、第1項では分散の和が求まるので統計多重効果が反映された値となる。なお、期待値n3は次式(3)で求められる。但し、各シンボルは以下の様に定義される。
【0073】
RS:再割当予定仮想ネットワーク数
nls,q:再割当予定仮想ネットワークsにおける、再割当対象仮想リンクと同じ優先クラスqに属する通過仮想リンク本数の期待値
vls:再割当予定仮想ネットワークsを構成する仮想リンク数
vls,q:再割当予定仮想ネットワークsを構成する再割当対象仮想リンクと同じ優先クラスqに属する仮想リンク数
Pl s,q,i:再割当予定仮想ネットワークsにおいて、再割当対象仮想リンクと同じ優先クラスqに属する仮想リンクi本のみが当該物理リンクを通過する確率
Hs:再割当予定仮想ネットワークsにおける、現在仮想リンクが割当てられている物理パスの平均ホップ数
L:物理リンク総数
上式(3)では、ある仮想リンクが当該物理リンクを通過する確率を、Hs/Lで近似する。
【0074】
前記第2ケースでは、再割当対象仮想リンクを割り当てることによる所要物理リンク帯域の増分である物理リンクコストClinkが、次式(4)で求められる。
【0076】
n0:再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスに属する仮想リンクのみが当該物理リンクを通過し、物理リンク帯域共用の対象となっていた既存仮想ネットワークにおいて当該物理リンクを通過する仮想リンク本数
n1:再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスに属し、当該物理リンクに割当済みの再割当対象仮想ネットワークにおける仮想リンク本数
n3:再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスに属する仮想リンクのみが当該物理リンクを通過する、物理リンク帯域共用の対象となっていた再割当予定仮想ネットワークにおける通過仮想リンク本数の期待値
【0077】
なお、期待値n3は次式(5)で求められる。
【0079】
RS:再割当予定仮想ネットワーク数
nls,q:再割当予定仮想ネットワークsにおける、再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスqに属する通過仮想リンク本数の期待値
vls:再割当予定仮想ネットワークsを構成する仮想リンク数
vls,q:再割当予定仮想ネットワークsを構成する再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスqに属する仮想リンク数
Pls,q,i:再割当予定仮想ネットワークsにおいて、再割当対象仮想リンクと異なる1つの優先クラスqに属する仮想リンクi本のみが当該物理リンクを通過する確率
Hs:再割当予定仮想ネットワークsにおける、現在仮想リンクが割当てられている物理パスの平均ホップ数
L:物理リンク総数
上式では、ある仮想リンクが当該物理リンクを通過する確率を、Hs/Lで近似する。
【0080】
前記第3ケースでは、再割当対象仮想リンクを割り当てることによる所要物理リンク帯域の増分である物理リンクコストClinkが次式(6)で求められる。
【0082】
n2:再割当対象仮想ネットワークを構成する当該物理リンクに割当済みの既存再割当仮想リンク本数
【0083】
図5へ戻り、ステップS6では、注目する発着物理ノードの絞り込みが、前記物理ノード候補選択部50により行われる。例えば
図4(a)の例において、仮想ノードNv1と物理ノードNp2とが予め対応付けされていれば、仮想ノードNv1にとっては、物理ノードNp2およびその隣接ノードNp1,Np3が発着物理ノードの候補とされる。
【0084】
ステップS7では、再割当対象仮想リンクが接続する2つの仮想ノードに関して、割当候補となる全ての物理ノードを発着ノードとする最小コスト経路が順次に算出される。但し、仮想ノードが既に物理ノードに割り当てられている場合は、当該物理ノードに発着ノードが限定される。また、既に他の仮想ノードが割り当てられている物理ノードは発着ノード候補から除外される。
【0085】
ステップS8では、前記物理ネットワークのトポロジー情報および既存仮想ネットワーク情報に基づいて、発着物理ノードのコストが計算される。発着物理ノードのコストは、当該発着物理ノードに仮想ノードが割り当てられ、当該仮想ノードで実行すべきサービス処理(再割当対象サービス処理)を当該発着物理ノードで実行すると仮定したときの所要発着物理ノード容量の増分で与えられる。例えば、統計多重されていない1つのサービス処理iを実行する際の所要物理ノード容量Biを次式(7)の様に定義する。
【0087】
k2:物理ノードにおける許容輻輳確率に応じて予め指定された定数
Ti_ave:サービス処理i による使用物理ノード容量の平均
σ(Ti):サービス処理i による使用物理ノード容量の標準偏差
【0088】
また、各物理ノードのコストCnodeは、前記各物理リンクの場合と同様に、既存サービス処理間での物理ノード容量の共用状況および再割当対象サービス処理が追加された後の物理ノード容量の共用状況が、以下の3つのケースのいずれに該当するのかに応じて、統計多重効果を考慮しながら計算される。
【0089】
図10は、第1ケースにおける再割当対象サービス処理の再割当方法を模式的に示した図であり、ここでは一の物理ノードに着目して説明する。
【0090】
第1ケースは、注目している再割当対象サービス処理[◎]と同一の優先クラス(ここでは、高優先クラス)のサービス処理のみが当該物理ノードに割り当てられている既存仮想ネットワーク#2,#3が存在しており[同図(a)]、再割当対象サービス処理[◎]が既存仮想ネットワーク#2,#3の各サービス処理と物理ノード容量を共用できる場合[同図(b)]である。
【0091】
なお、第1ケースでは、
図11に示したように、再割当対象仮想ネットワーク#4の先行するサービス処理の再割当によって、再割当対象サービス処理[◎]と同一の優先クラスにn1個のサービス処理[〇]が割当済みであっても良い。
【0092】
第2ケースは、
図12に示したように、再割当対象サービス処理[◎]の再割当により、それまで他の既存仮想ネットワーク#2,#3との間で物理ノード容量を共用できていた再割当対象仮想ネットワーク#4[同図(a)]が、当該物理ノードで優先クラスの異なる複数のサービス処理が実行されることになって物理ノード容量を共用できなくなる場合[同図(b)]である。
【0093】
第3ケースは、
図13に示したように、再割当対象仮想ネットワーク#4において優先クラスの異なる複数のサービス処理が当該物理ノードに既に割り当てられており[同図(a)]、再割当対象サービス処理[◎]も他の仮想ネットワークの既存サービス処理と物理ノード容量を共用できない場合[同図(b)]である。
【0094】
次いで、各ケースにおける所要物理ノード容量の増加量の具体的な計算方法について説明する。
【0095】
本実施形態では、再割当されるサービス処理が消費する物理ノード容量の変動分を消費物理ノード容量の標準偏差σで表現する。そして、物理ノード容量の共用による統計多重効果を計算結果に反映させるために、前記物理ノードコスト計算部303は、物理ノード容量を共用する複数のサービス処理が消費する総物理ノード容量の分散を、各サービス処理が単独で消費する物理ノード容量の標準偏差σの二乗(分散)の積算値として計算し、総物理ノード容量の変動分を当該積算値から求めた標準偏差で表現した。
【0096】
前記物理ノードコスト計算部303はさらに、物理ノード容量を共用しない複数のサービス処理が消費する総物理ノード容量の標準偏差を、各サービス処理が消費する物理ノード容量の標準偏差の積算値として計算し、総物理ノード容量の変動分を当該積算値で表現した。そして、再割当対象仮想ネットワークの新規割当前後における消費物理ノード容量の差分を所要物理ノード容量の増分とするようにした。
【0097】
前記第1ケースでは、再割当対象サービス処理を新たに割り当てることによる所要物理ノード容量の増分である物理ノードコストCnodeが次式(8)で求められる。但し、各シンボルは以下の様に定義される。
【0099】
T_ave:再割当対象サービス処理による使用物理ノード容量の平均
σ(T):再割当対象サービス処理による使用物理ノード容量の標準偏差
n0:再割当対象サービス処理と同一優先クラスに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードが当該物理ノードに割当てられ、物理ノード容量共用の対象となる既存仮想ネットワークが当該物理ノードで実行するサービス処理数
n1:再割当対象仮想ネットワークにおいて、既に当該物理ノードに割当済みの再割当対象サービス処理と同一優先クラスに属するサービス処理数
n3:再割当対象サービス処理と同一優先クラスに属するサービス処理のみを当該物理ノードで実行し、物理ノード容量共用の対象となる再割当予定仮想ネットワークにおけるサービス処理数の期待値
なお、期待値n3は次式(9)で求められる。但し、各シンボルは以下の様に定義される。
【0101】
RS:再割当予定仮想ネットワーク数
nns,q:再割当予定仮想ネットワークs において、再割当対象サービス処理と同じ優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードが、当該物理ノードに再割当される場合における、当該物理ノードで実行されるサービス処理数の期待値
vns:再割当予定仮想ネットワークs を構成する仮想ノード数
vns,q:再割当予定仮想ネットワークs を構成する再割当対象サービス処理と同じ優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノード数
sci:再割当予定仮想ネットワークs において、再割当対象サービス処理と同じ優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードi(i = 1〜vns,q)で実行されるサービス処理数
Pn s,i:再割当予定仮想ネットワークs において、再割当対象サービス処理と同じ優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードi(i = 1〜vns,q)が、当該物理ノードに再割当される確率
N:物理ノード総数
【0102】
上式(9)では、ある仮想ノードが当該物理ノードに再割当される確率を、1/Nで近似する。
【0103】
前記第2ケースでは、再割当対象サービス処理を割り当てることによる所要物理ノード容量の増分である物理ノードコストCnodeが、次式(10)で求められる。
【0105】
n0:再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードが当該物理ノードに割当てられ、物理ノード容量共用の対象となっていた既存仮想ネットワークが当該物理ノードで実行するサービス処理数
n1:再割当対象仮想ネットワークにおいて、再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスに属し、当該物理ノードに割当済みであるサービス処理数
n3:再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードが当該物理ノードに再割当され、物理ノード容量共用の対象となっていた再割当予定仮想ネットワークにおいて、当該物理ノードで実行されるサービス処理数の期待値であり、本実施形態では次式(11)で求められる。
【0107】
RS:再割当予定仮想ネットワーク数
nns,q:再割当予定仮想ネットワークsにおいて、再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードが、当該物理ノードに再割当される場合における、当該物理ノードで実行されるサービス処理数の期待値
vns:再割当予定仮想ネットワークsを構成する仮想ノード数
vns,q:再割当予定仮想ネットワークsを構成する再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノード数
sci:再割当予定仮想ネットワークsにおいて、再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードi(i=1〜vns,q)で実行されるサービス処理数
Pn s,i:再割当予定仮想ネットワークsにおいて、再割当対象サービス処理と異なる1つの優先クラスqに属するサービス処理のみを実行する仮想ノードi(i = 1〜vns,q)が、当該物理ノードに再割当される確率
N:物理ノード総数
上式(11)では、ある仮想ノードが当該物理ノードに再割当される確率を、1/Nで近似する。
【0108】
前記第3ケースでは、再割当対象サービス処理を新たに割り当てることによる所要物理ノード容量の増分である物理ノードコストCnodeが次式(12)で求められる。
【0109】
【数12】
n2:再割当対象仮想ネットワークにおいて、当該物理ノードで実行される既存再割当サービス処理数
【0110】
ステップS9では、今回の発着物理ノードペアに対して算出された最小コスト経路に対応する物理パス経路のコストが算出される。物理パス経路のコストは、当該物理パス経路を構成する各物理リンクのコストClinkと発着物理ノードのコストCnodeとの重み付き総和である。
【0111】
ステップS10では、全ての発着物理ノードペアに関して物理パス経路のコスト算出が完了したか否かが判断される。完了していなければステップS7へ戻り、注目する発着物理ノードペアを変更して発着物理ノードコストの計算および物理パス経路のコスト算出が繰り返される。
【0112】
ステップS11では、最小コストの物理パス経路に仮想リンクが割り当てられる。ステップS12では、全ての再割当対象仮想ネットワークの全ての仮想リンクの割り当てが完了したか否かが判断される。完了していなければステップS4へ戻り、注目する仮想リンクを変更して物理パス経路のコスト算出および仮想リンクの割り当てが繰り返される。
【0113】
本実施形態によれば、SDNにおいて、物理ネットワークに割当てられている複数の仮想ネットワークを同時に再割当することにより、指定された優先クラスに基づくサービス品質へ影響が及ばない範囲で、各スライス間での物理リンク帯域および物理ノード容量の共用を促進して、統計多重効果による所要物理リソース量の削減を最大化できる仮想ネットワークの再割当を実現できる。
【0114】
また、本実施形態によれば、物理ネットワークに割当てられている仮想ネットワーク群から、再割当効果の高い一部の仮想ネットワークを選択して再割当対象とするので、仮想ネットワーク再割当のための処理量が減少し、サービスが中断される仮想ネットワーク数を少なくできる。
【0115】
さらに、本実施形態によれば、再割当効果の高い仮想ネットワークから優先して再割当を実行することで、所要物理リソース量の削減を最大化できる。
【0116】
さらに、本実施形態によれば、選択された複数の仮想ネットワークの再割当を逐次的に実行し、各々の再割当対象仮想ネットワークを構成する各仮想リンクを、最小コスト経路計算法を用いて逐次的に物理パスに再割当するため、少ない計算量で仮想ネットワーク再割当を実現できる。
【0117】
さらに、本実施形態によれば、各仮想リンクを再割当する物理パス経路の算出に先立って、再割当対象仮想ネットワークとして選択されたが未だ再割当が行われていない再割当予定仮想ネットワークに関しても、仮想ネットワーク再割当結果を確率的に予想して、物理リンクコストおよび発着物理ノードコストを算出するため、所要物理リソース量の削減を最大化できる。
【0118】
さらに、本実施形態によれば、各仮想ノードは、予め当該仮想ノードに対応付けられた物理ノードまたは当該物理ノードに隣接する物理ノードの中の1個に再割当されるので、仮想ノードへのアクセス遅延を抑えることができる。