(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような従来の入賞装置では、レバーなどの揺動する伝達部材を介して開閉扉(特許文献1では、玉誘導扉7)を開閉する構成であったため、ソレノイドの作動力が正確に伝達されにくく、開閉扉の開閉が不正確になる虞があった。また、特許文献1の構造では、開閉扉(玉誘導扉7)において、伝達部材と連係させるための突起部8を後方に延出させた形態で設けなければならず、更に、この突起部8の動作スペースを十分に確保しなければならなかった。つまり、装置内において突起部8に関連するスペースを大きく確保しなければならないため、スペース的に不利な構成であり、このため、入賞装置全体の小型化が難しかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、駆動源からの駆動力をより確実に開閉扉に伝達することができ、かつ、装置全体をよりコンパクトに構成しやすい遊技機用可変入賞装置及びこれを備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機用可変入賞装置は、
遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に取り付けられると共に所定の開口部が形成されてなる枠体と、
前記遊技盤の盤面と平行な所定の左右方向に沿った回動軸を中心として回動し得るように前記枠体に直接又は他部材を介して間接的に保持され、少なくとも前記開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉塞する閉塞位置とに変位し得る構成をなし、前記左右方向の一端側に被作用部が形成されてなる開閉扉と、
前記左右方向に沿って往復動し得るように配置された変位部材と、前記変位部材を駆動する駆動部と、を備えた駆動源と、
前記開閉扉に隣接して配置されると共に前記被作用部に作用する作用部が形成され、前記変位部材と連動して前記左右方向に沿って移動するように構成された伝達部材と、
を備え、
前記作用部が軸状部として構成され、前記被作用部が前記軸状部が挿入される筒状部として構成されており、
前記軸状部の外壁部には、円筒状の外周面が構成され、前記円筒状の外周面から窪んだ構成で溝部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部が形成され、
前記筒状部の内壁部には、前記螺旋状部に係合して前記螺旋状部に沿って相対移動する係合部として前記螺旋状部に入り込む凸部が形成され、
前記枠体には、前記軸状部と嵌合するガイド孔が形成されており、
前記ガイド孔には、前記軸状部の前記円筒状の外周面を支持する円筒状の内周面が前記左右方向に沿って構成されており、
前記軸状部は、前記円筒状の外周面が前記ガイド孔の前記円筒状の内周面に支持されつつ前記左右方向に沿って移動する構成であり、
前記駆動源での前記変位部材の変位に応じて前記伝達部材が連動し、前記被作用部に対する前記作用部の相対位置が変化することに伴い、前記作用部が、前記回動軸を中心として前記被作用部を回動させるように作用し、前記開閉扉が前記開放位置と前記閉塞位置との間で回動動作することを特徴とする。
【0007】
本発明の遊技機は、上記遊技機用可変入賞装置が遊技盤に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機用可変入賞装置及び遊技機では、駆動源の変位部材と連動して左右方向に沿って移動するように、開閉扉に隣接して伝達部材が設けられ、この伝達部材には、開閉扉の被作用部に作用する作用部が形成されている。そして、駆動源での変位部材の変位に応じて伝達部材が連動するように構成され、被作用部に対する作用部の相対位置が変化することに伴い、作用部が、回動軸を中心として被作用部を回動させるように作用し、開閉扉が開放位置と閉塞位置との間で回動動作するようになっている。
この構成では、伝達部材が駆動源の変位部材と同様の動きで連動するため、駆動源で発生した変位部材の動きが伝達部材に正確に反映され易くなり、その動きが開閉扉にも正確に伝わりやすくなる。更に、伝達部材が開閉扉の側方に隣接して左右に変位する構成であるため、開閉扉及びこれに作用する伝達部材のスペースが前後方向や上下方向に嵩張りにくくなり、しかも、変位部材と伝達部材とがいずれも左右方向に沿って移動する構成であるため、開閉扉、伝達部材、駆動源を、前後方向及び上下方向の嵩張りを抑えてコンパクトに構成しやすくなる。
【0009】
また、本発明は、前記作用部又は前記被作用部のうち、いずれか一方が筒状部として構成され、いずれか他方が前記筒状部内に挿入される軸状部として構成され、前記筒状部の内壁部又は前記軸状部の外壁部のうち、いずれか一方には、溝部又は凸条部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部が形成され、いずれか他方には、前記螺旋状部に係合して前記螺旋状部に沿って相対移動する係合部が形成されていてもよい。
この構成によれば、伝達部材の左右方向に沿ったスライド動作を、より簡易な構成で開閉扉の回動動作に変換することができる。更に、筒状部に軸状部が挿入された状態を維持しつつ左右方向に沿った相対移動によってスライド動作を回動動作に変換することができるため、回動部材と伝達部材の位置関係(特に、前後方向や上下方向の位置関係)をより正確に保ちながら安定的に開閉扉を開閉しやすくなる。
【0010】
この場合、前記作用部が前記軸状部として構成され、前記被作用部が前記筒状部として構成されており、前記軸状部の外壁部には、円筒状の外周面が構成され、前記円筒状の外周面から窪んだ構成で前記溝部が螺旋状に構成されてなる前記螺旋状部が形成され、前記筒状部の内壁部には、前記係合部として前記螺旋状部に入り込む凸部が形成されていてもよい。そして、前記枠体には、前記軸状部と嵌合するガイド孔が形成されており、前記ガイド孔には、前記軸状部の前記円筒状の外周面を支持する円筒状の内周面が前記左右方向に沿って構成されており、前記軸状部は、前記円筒状の外周面が前記ガイド孔の前記円筒状の内周面に支持されつつ前記左右方向に沿って移動する構成であってもよい。
このように、作用部を軸状部として構成し、枠体のガイド孔によって往復動可能に支持することで、伝達部材(特に作用部)を規定方向に安定的に移動させることが可能となる。しかも、軸状部は、円筒状の外周面から窪んだ構成で溝状の螺旋状部が形成されているため、ガイド孔によって軸状部を支持する際に螺旋状部が支持の安定性を阻害しにくくなり、ガイド孔の内周面が軸状部の円筒状の外周面を支持しながら円滑にスライド動作がなされる。
【0011】
更に、いずれの構成でも、前記伝達部材が前記変位部材に固定され、当該変位部材と一体的に移動する構成であってもよい。
この構成によれば、駆動源の動作がより正確に伝達部材に伝わりやすくなり、ひいては、開閉扉をより正確に開閉しやすくなる。しかも、変位部材と伝達部材の間に他の部材を多数介在させる必要がないため、部品点数の抑制及び装置全体の小型化を一層図り易くなる。
【0012】
また、いずれの構成でも、前記伝達部材の前記作用部は、前記被作用部を回転可能に支持することで前記開閉扉における前記左右方向一端側を支持する軸受として兼用されていてもよい。この場合、前記開閉扉における前記左右方向他端側の部分は、前記枠体に形成された軸受部に回転可能に支持される構成であることが望ましい。
このように作用部を左右方向一方側の軸受として兼用すれば、開閉扉付近の枠体領域をより削減することができ、軽量化、小型化をより促進しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10及びそれを備えた遊技機1を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(遊技機の概要)
まず、遊技機1の概要を説明する。
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されるものであり、木板(ベニヤ板)、アクリル板等によって構成される遊技盤2の盤面2a(前面)に沿って遊技球の発射を誘導するガイドレール5が設けられ、このガイドレール5等によって区画された形態で遊技領域が形成されている。また、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され、この液晶表示部3の下方には、始動口7が配置されている。そして、始動口7の下方には、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10が配置されている。また、遊技機1には、遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板(ガラス板等)が配置され、ガイドレール5等によって区画された遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球が流下するように構成されている。なお、
図1では、透明板の図示を省略している。
【0016】
本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の盤面2a(前面)と直交する方向を意味し、盤面2aに対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、「上下方向」とは、前後方向と直交する方向であって遊技球が流下する方向を意味する。例えば、
図1に示す遊技機1の長手方向が鉛直方向となるように盤面2aが鉛直方向と平行に配置される場合、鉛直方向が上下方向となる。また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する横方向を意味する。更に、上下方向と直交する平面方向を「水平方向」とする。即ち、「水平方向」は、前後方向及び左右方向と平行な面方向である。
【0017】
(遊技機用可変入賞装置の構造)
次に、遊技機用可変入賞装置10の構造を説明する。
遊技機用可変入賞装置10(以下、入賞装置10ともいう)は、
図1のように、遊技機1の遊技盤2に固定されて用いられるものであり、その一部が遊技盤2の前方側から視認可能となるように遊技盤2の前方側に露出した状態で配置される。なお、以下の代表例では、入賞装置10の枠体20が遊技盤2に直接固定された構成を例示するが、入賞装置10は、遊技盤2に取り付けられていればよく、例えば、枠体20が他部材を介して間接的に遊技盤2に固定されていてもよい。また、
図1等に示す代表例では、開口部22(
図2(B)等参照:後述)が大入賞口として機能するアタッカーとしての例を示すが、遊技球が枠体に形成された開口部内に入り込んで入賞し得る構成であれば電動チューリップや役物等の様々な入賞装置に適用できることは勿論である。
【0018】
この入賞装置10は、
図2、
図5〜
図8のような外観をなしており、
図4の分解斜視図で示すように、主として、枠体20、開閉扉40、伝達部材60、ソレノイド90、検知スイッチ98などを備えている。そして、
図2のように、枠体20に形成された開口部22(
図2(B))を遊技球の導入口とし、大当たり発生時などの所定条件の成立時には、
図2(B)、
図3(B)のように開閉扉40が前方側に傾倒することで、開口部22を開放すると共に、この開閉扉40を案内板として当該開閉扉40によって遊技球を開口部22内に導いて入賞させ、それ以外の時期には、
図2(A)、
図3(A)のように開閉扉40によって開口部22が閉じられ、開口部22の前方側(閉じられた開閉扉40の前方側)を遊技球が流下し得るようになっている。
【0019】
枠体20は、
図2のように、全体として箱状の形態をなし、内部に遊技球の通路23が構成されたものであり、例えば
図1のように、遊技機1の遊技盤2に接触する形態でこの遊技盤2に直接的に固定されている。この枠体20は、
図4のように、枠体20の上面部側を構成する上側部20aと、この上側部20aが上方側から組み付けられる中央部20bと、この中央部20bに対して下方側から組み付けられる下側部20cとを備えている。そして、これらが図示しないねじ等の連結部材などによって互いに連結されている。このように上側部20a、中央部20b、下側部20cが一体的に結合することで、
図2等に示す枠体20を構成しており、この枠体20が、各種部品を保持すると共に開口部22や通路23などを構成するようになっている。
【0020】
図2(B)で示すように、枠体20には、上側部20a及び中央部20bによって開口部22が構成されている。この開口部22は、正面視したときの開口形状が略矩形状(横方向に長い長方形状)となっており、上下方向の開口幅は、開口部22の左右方向全体にわたって遊技球の径よりも大きく、遊技球の径の2倍よりも小さい幅(より具体的には、遊技球の径の1.5倍よりも小さい幅)となっている。また、開口部22の左右方向の幅は、遊技球の径の2倍以上となっており、複数の遊技球が左右に重なって同時に開口部22内に入り込むことが可能となっている。
【0021】
本構成では、
図2(B)のように、開閉扉40が開放位置に保持されたときに、この開閉扉40の一方の板面40aによって遊技球を開口部22(入球口)へと導く遊技球誘導路が構成されるようになっている。開閉扉40は、
図2(B)のように配置されたときに、上方からの遊技球を受ける誘導板となり、このとき、板面40aの後方側が前方側よりも低位置になるように後ろ下がりの傾斜となる。従って、開放位置のときには、開閉扉40に受けられた遊技球が板面40a上を後ろ側に向かって転がりやすく、開口部22(入賞口)側に導かれやすくなる。
【0022】
図2(B)に示すように、枠体20の内部において、開口部22に隣接する後方側には、通路23が形成されている。通路23は、
図2(B)のように開閉扉40が開放位置に位置しているときに、この開閉扉40の後端側に続くように形成されており、開口部22から入り込んだ遊技球を所定の入賞口27に導く流路として機能する。この通路23は、中央部20bに形成された左右方向の板状部を底部24としている。なお、本構成では、底部24の下方に、発光素子を備えてなる図示しない発光基板が設けられており、この発光基板によって底部24を照射して光らせる構成となっている。また、上側部20aに形成された左右方向に延びる壁部によって上壁部25aが構成され、
図2(B)、
図3(B)のように、中央部20bに形成された立壁によって左右の側壁部25b,25cと、後方側の後壁部25dが構成されている。通路23は、このような構成により、前方側が開放し、左右両側、上下両側、及び後方側が閉じられた構成で、左右に延びる流路となっている。また、通路23は、底部24が配置された領域(入賞口27に至るまでの領域)の全体に亘って、上下の幅(上壁部25aと底部24の幅)が遊技球を1球ずつ通す大きさ(即ち、遊技球の径の2倍よりも小さい大きさ)で構成され、1球ずつ左右に流れやすくなっているため、入賞口27に遊技球が1球ずつ入りやすくなっている。
【0023】
図2(B)、
図3(B)に示すように、通路23の底部24の下流側の入賞口27に通過孔98aが位置するように検知スイッチ98が配置されている。この通過孔98aは、底部24と共に通路23の一部として機能しており、底部24上を転がる遊技球は、その直後に入賞口27から通過孔98aを通り、検知スイッチ98によって検知されるようになっている。また、通過孔98aの下方側には上下に貫通した孔部として構成される排出口21が続いており、通過孔98aを通った遊技球は排出口21を介して枠体20の外部に排出されるようになっている。このように開口部22(入球口)から排出口21まで、遊技球を通す流路が構成されているため開口部22(入球口)に入り込んだ遊技球は、1球ずつ検知スイッチ98で検知され、1球ずつ排出口21から排出されることになる。
【0024】
開閉扉40は、遊技盤2の盤面2aと平行な所定の左右方向に沿った回動軸Gを中心として回動し得るように、枠体20に直接又は他部材を介して間接的に保持されている。
図2、
図3等で示す例では、開閉扉40の左右方向一方側が枠体20に接触した状態で直接的に保持され、開閉扉40の左右方向他方側は、後述する伝達部材60を介して間接的に保持されている。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、開閉扉40の左右方向両側が枠体20に接触して直接的に支持されていてもよく、開閉扉40の左右方向両側が他部材を介して枠体20に支持されていてもよい。
【0025】
図3、
図4のように、開閉扉40は、開口部22(
図2(B))を開放する開放位置と開口部22を閉塞する閉塞位置とに変位し得るものであり、主として、板状に構成される誘導板41と、左右方向の一端側に配置される筒状部42(被作用部)と、左右方向の他端側に配置される軸部43とを備えている。
【0026】
誘導板41は、左右方向に長い形態をなし、矩形状の板面の短手方向一端側(
図2(A)のような閉塞状態での下端側)が左右方向の回動軸Gを中心として回動可能に保持される。この誘導板41は、開閉扉40が閉塞位置となったときに
図2(A)のように開口部22の全体を覆うように閉塞する部分であり、開閉扉40が開放位置になったときには、
図2(B)のように傾倒して遊技球を後方側(通路23)に導くように機能する。
【0027】
筒状部42は、被作用部の一例に相当する部分であり、
図2〜
図6、
図8等で示すように、誘導板41の左右方向一方側(正面視したときの右側)に連結された構成で、誘導板41の左右方向の端部から左右方向一方側に突出して配置されている。この筒状部42は、
図4、
図12〜
図14で示すように、筒内の内壁面の大部分が、左右方向を円筒軸方向とする円筒面42aとして構成されており、この円筒面42aから内側(円筒軸G1側)に突出する構成で凸部50が形成されている。なお、開閉扉40が枠体20に組み付けられた状態では、円筒面42aの円筒軸G1の位置が開閉扉40の回動軸Gの位置とほぼ一致する。
【0028】
誘導板41の左右方向他方側(正面視したときの左側)には、誘導板41の左右方向の端部(筒状部42とは反対側の端部)から凹んだ構成で穴部44が形成されている。この穴部44は、内壁面がG1の方向を円筒軸方向とする円筒面として構成されており、この穴部44には、円柱状且つ棒状の軸部43が差し込まれる構成となっている。穴部44に軸部43が差し込まれた状態では、
図3のように、誘導板41の左右方向の端部(筒状部42とは反対側の端部)から左右方向他方側(筒状部42とは反対側)に軸部43が突出して配置されるようになっている。
【0029】
このように構成される開閉扉40は、
図3のように、左右方向一端側に配置される筒状部42が、伝達部材60を介して枠体20に回転可能に支持され、左右方向他端側に配置される軸部43が、枠体20に形成された軸受部26に回転可能に支持されるようになっている。
【0030】
なお、
図3、
図4で示すように、軸部43を保持する軸受部26は、中央部20bに形成された凹部26aと、上側部20aに形成された被覆部26bとによって構成されており、軸部43の回転を許容し、軸部43の上下方向、前後方向、左右方向一方側(誘導板41とは反対側)への移動を許容しないようになっている。また、後述する伝達部材60の軸状部62は、上下方向、前後方向への移動が許容されないように、上下方向及び前後方向の位置が定められた状態で枠体20に保持されている。具体的には、中央部20bにおいて前側に突出するように突出支持部28aが設けられ、上側部20aにおいても前側に突出するように突出被覆部28bが設けられている。そして、
図2(B)、
図7等で示すように、これら突出支持部28a及び突出被覆部28bとが互いに接触し合うように近接することで、軸状部62の一端側(開閉扉40側とは反対側)を回転可能に支持する軸受部28が構成されている。そして、このように構成される軸受部28によって軸状部62が回転可能に保持されることで、軸状部62の上下方向及び前後方向の位置が定められている。そして、このように上下方向及び前後方向の位置が定められた軸受部26及び軸状部62によって両端が保持される開閉扉40は、それら保持位置での上下方向及び前後方向の動きが規制された状態で回動のみが許容されることになり、
図3(A)(B)のように回動動作することになる。
【0031】
伝達部材60は、例えば樹脂材料などによって構成され、プランジャ94と連動して左右方向に沿って移動するように構成された部品であり、具体的には、プランジャ94の先端部(プランジャヘッド)に連結部61(具体的には、凹部61a:
図9、
図11等参照)が係合した状態で固定されており、プランジャ94の変位に伴ってプランジャ94と一体的に移動する構成となっている。
【0032】
なお、ここで説明する代表例では、伝達部材60が枠体20の一部に接触して枠体20に直接的に保持される構成を説明するが、伝達部材60は、枠体20に対して変位可能(具体的には、左右方向に沿った往復動可能)に取り付けられる構成であればよく、枠体20に取り付けられた他部材に支持される構成で枠体20に間接的に保持されていてもよい。
【0033】
この伝達部材60は、
図3で示すように、作用部に相当する軸状部62が、開閉扉40の筒状部42内に挿入された状態で開閉扉40に隣接して配置されている。このように筒状部42に挿入される軸状部62は、筒状部42(被作用部)を回転可能に支持することで開閉扉40における左右方向一端側を支持する軸受として兼用されている。
【0034】
本構成では、開閉扉40の側方に軸状部62が配置され、この軸状部62の後方に連結部61が配置されている。この連結部61は、開閉扉40よりもやや後方位置に配置されたソレノイド90のプランジャ94に固定されて軸状部62とプランジャ94とを連結する部分である。
【0035】
ソレノイド90は、駆動源の一例に相当し、
図4のように、コイル部92と、プランジャ94と、図示しないコイルばねとを備えている。コイル部92は、中空状に構成されると共に公知の電磁石として構成されるものであり、励磁状態及び非励磁状態に切り替え可能に構成され、変位部材を駆動する駆動部として機能する。プランジャ94は、コイル部92が非励磁状態のときに所定量突出した突出状態(
図3(A))となり、コイル部92が励磁状態のときに突出状態のときよりも突出量が小さい退避状態(
図3(B))となるように進退し、伝達部材60及び開閉扉40に対して駆動力を与えるように機能する。このプランジャ94は、磁性体によって構成されると共に
図4等のように一端側の端部(先端部)にフランジ部が形成されており、他端側がコイル部92内に挿し込まれている。そして、プランジャ94の周囲且つフランジ部とコイル部92の間にはフランジ部をコイル部92から離間する方向に付勢する図示しないコイルばねが配置されている。
【0036】
ソレノイド90は、コイル部92が非励磁状態のときには、コイルばねの付勢によりプランジャ94がある程度コイル部92の外側に押し出された位置となり(
図3(A))、コイル部92が励磁状態のときには、コイルばねの付勢に抗してプランジャ94がコイル部92内に引き込まれるようになっている(
図3(B))。このように、ソレノイド90は、コイル部92に対する電気的な制御によって、プランジャ94を水平方向に沿った向き(具体的には左右方向)に移動させ、プランジャ94に連動する部品(伝達部材60)に駆動力を与えることができるようになっている。
【0037】
また、検知スイッチ98は、検知手段の一例に相当し、公知の球検出センサとして構成されており、遊技球が通過孔98a内を通過したときに検出信号を発するように構成され、開口部22(入球口)から入球し入賞口27に入賞して通過孔98aを通る遊技球を検知する機能を有している。
【0038】
さて、このように構成される入賞装置10では、互いに作用する開閉扉40及び伝達部材60において、筒状部42が被作用部として機能し、軸状部62が作用部として機能する。具体的には、軸状部62の外壁部には、円筒状の外周面62aが構成され、円筒状の外周面62aから窪んだ構成で溝部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部70が形成されている。また、筒状部42の内壁部には、螺旋状部70に係合して螺旋状部70に沿って相対移動する凸部50(凸部50は係合部の一例に相当)が形成されており、筒状部42に対する軸状部62の相対移動によって螺旋状部70と凸部50とが作用し合うことになる。
【0039】
具体的には、
図13(B)等で示すように、軸状部62が筒状部42の筒内に挿入された状態では、軸状部62に形成された螺旋状部70の溝内に凸部50が挿入された状態となっており、螺旋状部70以外の外周面62a(円筒面)は、筒状部42における凸部50以外の内壁面(円筒面42a)と接触し合って嵌合するようになっている。そして、
図13(B)、
図14(B)のように、筒状部42に対する軸状部62の挿入度合いが変化することに伴い、螺旋状部70に対する凸部50の左右方向の相対位置が変化し、螺旋状部70に対する左右方向の相対位置に応じて凸部50の上下方向の相対位置(軸状部62の周囲での相対位置)が変化するようになっている。
【0040】
図3、
図5等で示すように、枠体20に形成された上述の軸受部28には、軸状部62と嵌合するガイド孔30が左右方向に延びる構成で形成されており、ガイド孔30には、軸状部62の円筒状の外周面62aを支持する円筒状の内周面が左右方向に沿って構成されている。なお、
図4等では、この円筒状の内周面のうちの突出支持部28a側の内周面30aのみが表れているが、突出被覆部28bにも同様の内周面が構成されている。そして、ガイド孔30の円筒状の内周面は、円筒軸方向が回動軸Gの方向と一致する円筒面となっており、軸状部62は、円筒状の外周面62aがガイド孔30の円筒状の内周面に支持されつつ左右方向に沿って移動する構成となっている。従って、軸状部62は、上下方向や前後方向に移動せず、左右方向に延びる姿勢が保たれた状態で左右方向のみにスライドすることになる。
【0041】
このように構成される入賞装置10では、ソレノイド90でのプランジャ94の変位に応じて伝達部材60が連動し、筒状部42(被作用部)に対する軸状部62(作用部)の相対位置(具体的には、左右方向の相対位置)が変化することに伴い、軸状部62に形成された螺旋状部70が、回動軸Gを中心として筒状部42を回動させるように作用し、開閉扉40が開放位置と閉塞位置との間で回動動作する。
【0042】
例えば、大当たり発生等の所定条件が成立した時点で、ソレノイド90が
図3(A)の状態から
図3(B)のような状態となり、所定条件が成立した時点から解除条件が成立するまでの間は、
図3(B)のような状態で維持されることになる。この場合、開閉扉40等は、所定条件が成立した時点で、
図13の状態から
図14の状態に切り替わることになり、筒状部42に対する軸状部62の相対位置は、
図13(B)の状態から
図14(C)の状態に変化することになる。この際には、螺旋状部70の相対移動に応じて凸部50が螺旋状部70に案内され、軸状部62の周りを移動するように変位することになり、これにより、開閉扉40が回動して
図14のような状態に変化する。
【0043】
一方、解除条件が成立すると、ソレノイド90が
図3(B)の状態から
図3(A)のような状態となり、次の所定条件が成立するまでの間は、
図3(A)のような状態で維持されることになる。この場合、開閉扉40等は、解除条件が成立した時点で、
図14の状態から
図13の状態に切り替わることになり、筒状部42に対する軸状部62の相対位置は、
図14(C)の状態から
図13(B)の状態に変化することになる。この際にも、螺旋状部70の相対移動に応じて凸部50が螺旋状部70に案内され、軸状部62の周りを移動するように変位することになり、これにより、開閉扉40が回動して
図13のような状態に変化する。
【0044】
(本構成の主な効果)
本構成の遊技機用可変入賞装置10は、上述したように、ソレノイド90のプランジャ94と連動して左右方向に沿って移動するように、開閉扉40に隣接して伝達部材60が設けられ、この伝達部材60には、開閉扉40の被作用部に作用する作用部が形成されている。そして、ソレノイド90でのプランジャ94の変位に応じて伝達部材60が連動するように構成され、被作用部に対する作用部の相対位置が変化することに伴い、作用部が、回動軸を中心として被作用部を回動させるように作用し、開閉扉40が開放位置と閉塞位置との間で回動動作するようになっている。この構成では、伝達部材60がソレノイド90のプランジャ94と同様の動きで連動するため、ソレノイド90で発生したプランジャ94の動きが伝達部材60に正確に反映され易くなり、その動きが開閉扉40にも正確に伝わりやすくなる。更に、伝達部材60が開閉扉40の側方に隣接して左右に変位する構成であるため、開閉扉40及びこれに作用する伝達部材60のスペースが前後方向や上下方向に嵩張りにくくなり、しかも、プランジャ94と伝達部材60とがいずれも左右方向に沿って移動する構成であるため、開閉扉40、伝達部材60、ソレノイド90を、前後方向及び上下方向の嵩張りを抑えてコンパクトに構成しやすくなる。
【0045】
また、本構成のように、作用部又は被作用部のうち、いずれか一方が筒状部として構成され、いずれか他方が筒状部内に挿入される軸状部として構成され、筒状部の内壁部又は軸状部の外壁部のうち、いずれか一方に、溝部又は凸条部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部(例えば螺旋状部70)が形成され、いずれか他方に、螺旋状部に係合して螺旋状部に沿って相対移動する係合部(例えば凸部50)が形成された構成であれば、伝達部材の左右方向に沿ったスライド動作を、より簡易な構成で開閉扉40の回動動作に変換することができる。更に、筒状部に軸状部が挿入された状態を維持しつつ左右方向に沿った相対移動によってスライド動作を回動動作に変換することができるため、回動部材と伝達部材の位置関係(特に、前後方向や上下方向の位置関係)をより正確に保ちながら安定的に開閉扉40を開閉しやすくなる。
【0046】
本構成の具体例では、作用部が軸状部62として構成され、被作用部が筒状部42として構成されており、軸状部62の外壁部には、円筒状の外周面が構成され、円筒状の外周面から窪んだ構成で溝部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部70が形成され、筒状部42の内壁部には、係合部として螺旋状部70に入り込む凸部50が形成されている。そして、枠体20には、軸状部62と嵌合するガイド孔30が形成されており、ガイド孔30には、軸状部62の円筒状の外周面を支持する円筒状の内周面が左右方向に沿って構成されており、軸状部62は、円筒状の外周面がガイド孔30の円筒状の内周面に支持されつつ左右方向に沿って移動する構成となっている。このように、作用部を軸状部62として構成し、枠体20のガイド孔30によって往復動可能に支持することで、伝達部材60(特に作用部)を規定方向に安定的に移動させることが可能となる。しかも、軸状部62は、円筒状の外周面から窪んだ構成で溝状の螺旋状部70が形成されているため、ガイド孔30によって軸状部62を支持する際に螺旋状部70が支持の安定性を阻害しにくくなり、ガイド孔30の内周面が軸状部62の円筒状の外周面を支持しながら円滑にスライド動作がなされる。
【0047】
更に、本構成では、伝達部材60がプランジャ94に直接固定され、当該プランジャ94と一体的に移動する構成となっている。この構成によれば、ソレノイド90の動作がより正確に伝達部材60に伝わりやすくなり、ひいては、開閉扉40をより正確に開閉しやすくなる。しかも、プランジャ94と伝達部材60の間に他の部材を多数介在させる必要がないため、部品点数の抑制及び装置全体の小型化を一層図り易くなる。
【0048】
また、伝達部材60の作用部は、被作用部を回転可能に支持することで開閉扉40における左右方向一端側を支持する軸受として兼用されている。そして、開閉扉40における左右方向他端側の部分は、枠体20に形成された軸受部26に回転可能に支持される構成となっている。このように作用部を左右方向一方側の軸受として兼用すれば、開閉扉付近の枠体20領域をより削減することができ、軽量化、小型化をより促進しやすくなる。
【0049】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
上記実施形態では、作用部又は被作用部のうち、被作用部が筒状部42として構成され作用部が筒状部42内に挿入される軸状部62として構成された例を示したが、被作用部が軸状部として構成され、作用部が筒状部として構成されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、軸状部62の外壁部に溝部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部70が形成され、筒状部42の内壁部に、螺旋状部70に係合して螺旋状部70に沿って相対移動する係合部が形成された例を示したが、筒状部42の内壁部に螺旋状部が形成され、軸状部62の外壁部に係合部が形成されてもよい。
【0052】
上記実施形態では、溝部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部70が形成され、係合部として、螺旋状部70に係合して螺旋状部70に沿って相対移動する凸部50が形成された例を示したが、被作用部又は作用部の一方に、凸条部が螺旋状に構成されてなる螺旋状部が形成され、他方には、このような螺旋状部に係合し得る凹部構造の係合部が形成されていてもよい。